東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■18条 原子力損害賠償紛争審査会 中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)

■18条 原子力損害賠償紛争審査会 中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)


http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/houkoku/1318795.htm


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「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)」
平成24年3月16日
原子力損害賠償紛争審査会

第1 はじめに
1 避難区域等の見直し等の現状
 原子力損害賠償紛争審査会(以下「本審査会」という。)は、平成23年8月5日に決定・公表した「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(以下「中間指針」という。)において、政府による避難等の指示等に係る損害の範囲に関する考え方を示したが、その際、避難区域等の見直し等の状況の変化に伴い、必要に応じて改めて指針で示すべき事項について検討することとした。
 その後、政府(原子力災害対策本部)は、同年9月30日、緊急時避難準備区域を解除し、その指示及び公示を行った。また、政府(同本部)は、同年12月26日に策定した「ステップ2の完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」に基づき、現在設定されている避難指示区域を見直し、平成24年3月末を一つの目途に新たな避難指示区域を設定することを予定している。
 他方、いわゆる自主的避難等について、本審査会は、平成23年12月6日に決定・公表した「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」(以下「第一次追補」という。)において、その損害の範囲に関する考え方を示した。
2 基本的考え方
 上記の避難区域等の見直し等を踏まえて、この度の中間指針の追補(以下「第二次追補」という。)においては、中間指針及び第一次追補の対象となった政府による避難等の指示等に係る損害、自主的避難等に係る損害等に関し今後の検討事項とされていたこと等について、現時点で可能な範囲で考え方を示すこととする。
 東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における事故(以下「本件事故」という。)とこれらの損害との相当因果関係の有無は、最終的には個々の事案毎に判断すべきものであるが、第二次追補では、本件事故に係る損害賠償の紛争解決を促すため、賠償が認められるべき一定の範囲を示すこととする。
 なお、中間指針、第一次追補及び第二次追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。その際、これらの指針に明記されていない損害についても、個別の事例又は類型毎に、これらの指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、その全部又は一定の範囲を賠償の対象とする等、東京電力株式会社には合理的かつ柔軟な対応が求められる。

第2 政府による避難指示等に係る損害について
1 避難費用及び精神的損害
 中間指針第3の[損害項目]の2の避難費用及び6の精神的損害は、中間指針で示したもののほか、次のとおりとする。
(1) 避難指示区域
中間指針第3の[対象区域]のうち、「(1) 避難区域」の①東京電力株式会社福島第一原子力発電所から半径20km圏内(平成23年4月22日には、原則立入り禁止となる警戒区域に設定。)及び「(3) 計画的避難区域」については、平成24年3月末を一つの目途に、
① 避難指示解除準備区域(年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された地域)
② 居住制限区域(年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被曝線量を低減する観点から引き続き避難を継続することを求める地域)
③ 帰還困難区域(長期間、具体的には5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域)
という新たな避難指示区域(上記①~③の括弧内は各区域の基本的考え方)が設定されること(以下「避難指示区域見直し」という。)等を踏まえ、これらの避難指示区域が設定された地域(以下単に「避難指示区域」という。)内に本件事故発生時における生活の本拠としての住居(以下「住居」という。)があった者の避難費用及び精神的損害は、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)避難指示区域内に住居があった者については、中間指針第3の[損害項目]の6の「第2期」を避難指示区域見直しの時点まで延長し、当該時点から終期までの期間を「第3期」とする。
Ⅱ)Ⅰ)の第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害並びにそれらの損害額の算定方法は、原則として、引き続き中間指針第3の[損害項目]の2及び6で示したとおりとする。但し、宿泊費等(中間指針第3の[損害項目]の2の(指針)Ⅰ)の②の「宿泊費等」をいう。以下同じ。)が賠償の対象となる額及び期間には限りがあることに留意する必要がある。
Ⅲ)Ⅰ)の第3期における精神的損害の具体的な損害額(避難費用のうち通常の範囲の生活費の増加費用を含む。)の算定に当たっては、避難者の住居があった地域に応じて、以下のとおりとする。
① 避難指示区域見直しに伴い避難指示解除準備区域に設定された地域については、一人月額10万円を目安とする。
② 避難指示区域見直しに伴い居住制限区域に設定された地域については、一人月額10万円を目安とした上、概ね2年分としてまとめて一人240万円の請求をすることができるものとする。但し、避難指示解除までの期間が長期化した場合は、賠償の対象となる期間に応じて追加する。
③ 避難指示区域見直しに伴い帰還困難区域に設定された地域については、一人600万円を目安とする。
Ⅳ)中間指針において避難費用及び精神的損害が特段の事情がある場合を除き賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は、避難指示区域については今後の状況を踏まえて判断されるべきものとする。
(備考)
1)Ⅰ)について、中間指針第3の[損害項目]の6において、精神的損害の具体的な損害額の算定期間の第2期は、「第1期(本件事故発生から6ヶ月間)終了から6ヶ月間」としつつ、「警戒区域等が見直される等の場合には、必要に応じて見直す。」としていたことから、避難指示区域については避難指示区域見直しに伴い、当該見直しの時点までを「第2期」とし、当該時点から終期までの期間を新たに「第3期」とすることとした。
2)Ⅱ)について、中間指針第3の[損害項目]の2では、「①対象区域から避難するために負担した交通費、家財道具の移動費用」、「②対象区域外に滞在することを余儀なくされたことにより負担した宿泊費及びこの宿泊に付随して負担した費用」及び「③避難等対象者が、避難等によって生活費が増加した部分があれば、その増加費用」について、必要かつ合理的な範囲で賠償すべき避難費用と認めている。また、中間指針第3の[損害項目]の6では、避難等対象者が受けた精神的苦痛のうち、少なくとも「自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛」及び「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」は賠償すべき損害と認めている。この場合、上記①及び②は実費を損害額とし、上記③は原則として上記の精神的損害と合算した一定の金額をもって両者の損害額とすることが、それぞれ合理的な算定方法であるとされている。
3)Ⅱ)について、宿泊費等は必要かつ合理的な範囲で賠償されるものであり、その額は、例えば従前の住居が借家であった者については、当面は宿泊費等の全額とし、一定期間経過後は従前の家賃より増額の負担を余儀なくされた場合の当該増額部分とすることが考えられる。また、宿泊費等が賠償の対象となる期間は、避難指示の解除後相当期間経過までとするのが原則であるが、例えば従前の住居が持ち家であった者の居住していた不動産の価値が全損となった場合については、その全額賠償を受けることが可能となった時期までを目安とすることが考えられる。
4)Ⅱ)について、帰還困難区域等に住居があった者が当該住居への帰還を断念し移住しようとする場合には、これに伴う移動費用、生活費の増加費用等は、中間指針第3の[損害項目]の2及び4で示した避難費用及び帰宅費用に準じて賠償すべき損害と認められる。また、帰還困難区域にあっては、長年住み慣れた住居及び地域における生活の断念を余儀なくされたために生じた精神的苦痛が認められ、その他の避難指示区域にあっても、中間指針第3の[損害項目]の6で示された精神的苦痛に準じて精神的損害が認められる。なお、避難を継続する者と移住しようとする者との間で、損害額及び支払方法等に差を設けないことが適当である。
5)Ⅲ)について、具体的な損害額の算定に当たっては、避難の長期化に伴う「いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛」の増大等を考慮した。この場合、避難指示解除準備区域は、比較的近い将来に避難指示の解除が見込まれることから、これまでと同様に月単位で算定することとした。一方、帰還困難区域は、今後5年以上帰還できない状態が続くと見込まれることから、こうした長期にわたって帰還できないことによる損害額を一括して、実際の避難指示解除までの期間を問わず一律に算定することとしたが、この額はあくまでも目安であり、帰還できない期間が長期化する等の個別具体的な事情によりこれを上回る額が認められ得る。また、居住制限区域は、現時点で解除までの具体的な期間が不明であるものの、ある程度長期化すると見込まれることを踏まえ、基本的には月単位で算定することとしつつ、被害者救済の観点から、当面の損害額として一定期間分を想定した一括の支払いを受けることができるものとすることが適当である。なお、同区域における損害額は、避難指示解除までの期間が長期化した場合には、賠償の対象となる期間に応じて増加するが、その場合、最大でも帰還困難区域における損害額までを概ねの目安とすることが考えられる。
6)Ⅳ)について、避難指示区域は、現時点で実際に解除された区域がないこと等から、少なくとも現時点で具体的な相当期間を示すことは困難と判断した。
7)Ⅳ)の相当期間経過後の「特段の事情がある場合」については、例えば一定の医療・介護等が必要な者に関しては解除後の地域の医療・福祉体制等を考慮し、子供に関しては通学先の学校の状況を考慮する等、個別具体的な事情に応じて柔軟に判断することが適当である。さらに、多数の避難者に対して速やかかつ公平に賠償するため、避難指示の解除後相当期間経過前に帰還した場合であっても、原則として、個々の避難者が実際にどの時点で帰還したかを問わず、当該期間経過の時点を一律の終期として損害額を算定することが合理的である。
(2) 旧緊急時避難準備区域
中間指針第3の[対象区域]のうち、「(4) 緊急時避難準備区域」については、平成23年9月30日に解除されていること等を踏まえ、当該区域(以下「旧緊急時避難準備区域」という。)内に住居があった者の避難費用及び精神的損害は、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)中間指針の第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害並びにそれらの損害額の算定方法は、引き続き中間指針第3の[損害項目]の2及び6で示したとおりとする。
Ⅱ)中間指針の第3期における精神的損害の具体的な損害額(避難費用のうち通常の範囲の生活費の増加費用を含む。)の算定に当たっては、一人月額10万円を目安とする。
Ⅲ)中間指針において避難費用及び精神的損害が特段の事情がある場合を除き賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は、旧緊急時避難準備区域については平成24年8月末までを目安とする。但し、同区域のうち楢葉町の区域については、同町の避難指示区域について解除後「相当期間」(前記(1)の(指針)Ⅳ))が経過した時点までとする。
(備考)
1)Ⅰ)について、旧緊急時避難準備区域の第2期は、中間指針第3の[損害項目]の6で示したとおり、第1期(本件事故発生から6ヶ月間)終了から6ヶ月間とし、平成24年3月11日から終期までの期間を第3期とする。
2)Ⅱ)については、避難指示区域の場合に準じて算定した。
3)Ⅲ)については、①この区域におけるインフラ復旧は平成24年3月末までに概ね完了する見通しであること、②その後も生活環境の整備には一定の期間を要する見込みであるものの、平成24年度第2学期が始まる同年9月までには関係市町村において、当該市町村内の学校に通学できる環境が整う予定であること、③避難者が従前の住居に戻るための準備に一定の期間が必要であること等を考慮した。但し、現時点でこれらの事情を前提に目安として示すものであり、今後、当該事情に変更が生じた場合は、実際の状況を考慮して柔軟に判断することが適当である。また、当該期間経過後の「特段の事情がある場合」については、前記(1)の(備考)の7)に同じである。
4)楢葉町については、同町の区域のほとんどが避難指示区域である等の特別の事情があることを考慮した。
5)Ⅲ)について、避難指示区域と同様、中間指針の第3期においては、避難指示の解除後相当期間経過前に帰還した場合であっても、原則として、個々の避難者が実際にどの時点で帰還したかを問わず、当該期間経過の時点を一律の終期として損害額を算定することが合理的である。なお、第1期又は第2期において帰還した場合や本件事故発生当初から避難せずにこの区域に滞在し続けた場合は、個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得る。
(3) 特定避難勧奨地点
中間指針第3の[対象区域]のうち、「(5) 特定避難勧奨地点」については、解除に向けた検討が開始されていること等を踏まえ、当該地点に住居があった者の避難費用及び精神的損害は、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)中間指針の第3期において賠償すべき避難費用及び精神的損害並びにそれらの損害額の算定方法は、引き続き中間指針第3の[損害項目]の2及び6で示したとおりとする。
Ⅱ)中間指針の第3期における精神的損害の具体的な損害額(避難費用のうち通常の範囲の生活費の増加費用を含む。)の算定に当たっては、一人月額10万円を目安とする。
Ⅲ)中間指針において避難費用及び精神的損害が特段の事情がある場合を除き賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は、特定避難勧奨地点については3ヶ月間を当面の目安とする。
(備考)
1)Ⅰ)について、特定避難勧奨地点の第2期は、中間指針第3の[損害項目]の6で示したとおり、第1期(本件事故発生から6ヶ月間)終了から6ヶ月間とし、平成24年3月11日から終期までの期間を第3期とする。
2)Ⅱ)については、避難指示区域の場合に準じて算定した。
3)Ⅲ)については、①特定避難勧奨地点の解除に当たっては地方公共団体と十分な協議が行われる予定であること、②当該地点が住居単位で設定され、比較的狭い地区が対象となるため、広範囲に公共施設等の支障が生じているわけではないこと、③避難者が従前の住居に戻るための準備に一定の期間が必要であること等を考慮した。但し、現時点で実際に解除された地点はないことから、当面の目安として示すものである。また、当該期間経過後の「特段の事情がある場合」については、前記(1)の(備考)の7)に同じである。
4)Ⅲ)について、中間指針の第3期において特定避難勧奨地点の解除後相当期間経過前に当該地点の住居に帰還した場合、第1期又は第2期において帰還した場合及び本件事故発生当初から避難せずに同地点に滞在し続けた場合は、前記(2)の(備考)の5)に同じである。

2 営業損害
 中間指針第3の[損害項目]の7の営業損害は、中間指針で示したもののほか、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)中間指針第3の[損害項目]の7の営業損害の終期は、当面は示さず、個別具体的な事情に応じて合理的に判断するものとする。
Ⅱ)営業損害を被った事業者による転業・転職や臨時の営業・就労等が特別の努力と認められる場合には、かかる努力により得た利益や給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な対応が必要である。
(備考)
1)Ⅰ)の営業損害の終期は、突然かつ広範囲に被害が生じたという本件事故の特殊性、営業損害を被った事業者の多様性等にかんがみれば、少なくとも現時点で具体的な目安を一律に示すことは困難であり、当面は示さず、個別具体的な事情に応じて合理的に判断することが適当である。なお、営業損害の終期は、専らⅠ)により判断されるものであって、これとは別に、避難指示等の解除、同解除後相当期間の経過、避難指示等の対象区域への帰還等によって到来するものではない。
2)具体的な終期の判断に当たっては、①基本的には被害者が従来と同じ又は同等の営業活動を営むことが可能となった日を終期とすることが合理的であること、②一方、被害者の側においても、本件事故による損害を可能な限り回避し又は減少させる措置を執ることが期待されており、一般的には事業拠点の移転や転業等の可能性があると考えられること等を考慮するものとする。また、例えば公共用地の取得に伴う損失補償基準等を当該判断の参考にすることも考えられるが、その場合には、本件事故には、突然かつ広範囲に被害が生じた上、避難した者が避難指示解除後に帰還する場合があること等、土地収用等と異なる特殊性があることにも留意する必要がある。
3)Ⅱ)について、営業損害を被った事業者において、本件事故後の営業・就労(転業・転職や臨時の営業・就労を含む。)によって得られた利益や給与等があれば、これらの営業・就労が本件事故がなければ従前の事業活動に仕向けられていたものである限り、損害額から控除するのが原則と考えられる。しかしながら、本件事故には突然かつ広範囲に多数の者の生活や事業等に被害が生じたという特殊性があり、被害者が営業・就労を行うことが通常より困難な場合があり得る。また、これらの営業・就労によって得られた利益や給与等を一律に全て控除すると、こうした営業・就労をあえて行わない者の損害額は減少しない一方、こうした営業・就労を行うほど賠償される損害額は減少することになる。このため、当該利益や給与等について、一定の期間又は一定の額の範囲を「特別の努力」によるものとして損害額から控除しない等の「合理的かつ柔軟な対応」が必要である。

3 就労不能等に伴う損害
 中間指針第3の[損害項目]の8の就労不能等に伴う損害は、中間指針に示したもののほか、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)中間指針第3の[損害項目]の8の就労不能等に伴う損害の終期は、当面は示さず、個別具体的な事情に応じて合理的に判断するものとする。
Ⅱ)就労不能等に伴う損害を被った勤労者による転職や臨時の就労等が特別の努力と認められる場合には、かかる努力により得た給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な対応が必要である。
(備考)
1)Ⅰ)の就労不能等に伴う損害の終期についての考え方は、基本的には前記2の(備考)の1)及び2)に同じである。但し、その終期は、一般的には営業損害の終期よりも早期に到来すると考えられることも考慮するものとする。
2)Ⅱ)について、「特別の努力」に係る「合理的かつ柔軟な対応」の考え方は、基本的には前記2の(備考)の3)に同じである。

4 財物価値の喪失又は減少等
 中間指針第3の[損害項目]の10の財物価値の喪失又は減少等は、中間指針で示したもののほか、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)帰還困難区域内の不動産に係る財物価値については、本件事故発生直前の価値を基準として本件事故により100パーセント減少(全損)したものと推認することができるものとする。
Ⅱ)居住制限区域内及び避難指示解除準備区域内の不動産に係る財物価値については、避難指示解除までの期間等を考慮して、本件事故発生直前の価値を基準として本件事故により一定程度減少したものと推認することができるものとする。
(備考)
1)Ⅰ)について、財物価値の喪失又は減少等については、中間指針第3の[損害項目]の10において「現実に価値を喪失し又は減少した部分」を賠償すべき損害と認めているが、特に帰還困難区域内の不動産については、5年以上の長期間にわたり立入りが制限され使用ができないこと等の特別の事情があり、当面は市場価値が失われたものと観念することができる。このため、迅速な被害者救済の観点から、当該不動産に係る財物価値が本件事故発生直前の価値を基準として100パーセント減少(全損)したものと推認することによって、本件事故直前の価値の全額を賠償対象とすることができるものとする。
2)Ⅱ)について、居住制限区域内及び避難指示解除準備区域内の不動産に係る財物価値についても、帰還困難区域内の不動産に準じ、一定期間使用ができないこと等を踏まえ、その価値減少分を客観的に推認することによって、当該減少分を賠償対象とすることができるものとする。
3)「本件事故発生直前の価値」は、例えば居住用の建物にあっては同等の建物を取得できるような価格とすることに配慮する等、個別具体的な事情に応じて合理的に評価するものとする。
4)賠償後に東京電力株式会社の費用負担による除染、修理等によって価値が回復した場合には、当事者間の合意によりその価値回復分を清算することが考えられる。
5)中間指針第2の4で示したように、地震・津波による損害については賠償の対象とはならないが、本件事故による損害か地震・津波による損害かの区別が判然としない場合もあることから、合理的な範囲で、「原子力損害」に該当するか否か及びその損害額を推認することが考えられるとともに、東京電力株式会社には合理的かつ柔軟な対応が求められる。

第3 自主的避難等に係る損害について
 第一次追補において示した自主的避難等に係る損害について、平成24年1月以降に関しては、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)少なくとも子供及び妊婦については、個別の事例又は類型毎に、放射線量に関する客観的情報、避難指示区域との近接性等を勘案して、放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には、賠償の対象となる。
Ⅱ)Ⅰ)によって賠償の対象となる場合において、賠償すべき損害及びその損害額の算定方法は、原則として第一次追補第2の[損害項目]で示したとおりとする。具体的な損害額については、同追補の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、合理的に算定するものとする。
(備考)
1)第一次追補は、自主的避難等に係る損害について、一定の区域を設定した上で、同区域に居住していた者に少なくとも共通に認められる損害を示した。これは、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の状況が安定していない等の状況下で、本件事故発生時から平成23年12月末までを対象期間として算定したものである。その際、平成24年1月以降に関しては、今後、必要に応じて賠償の範囲等について検討することとした。
2)これを受けて第二次追補では、平成24年1月以降に関しては、①第一次追補とは、対象期間における状況が全般的に異なること、②他方、少なくとも子供及び妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていると考えられること等から、第一次追補の内容はそのまま適用しないが、個別の事例又は類型によって、これらの者が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には賠償の対象とすることとする。

第4 除染等に係る損害について
 除染等に係る損害は、中間指針で示したもののほか、次のとおりとする。
(指針)
Ⅰ)本件事故に由来する放射性物質に関し、必要かつ合理的な範囲の除染等(汚染された土壌等の除去に加え、汚染の拡散の防止等の措置、除去土壌の収集、運搬、保管及び処分並びに汚染された廃棄物の処理を含む。)を行うことに伴って必然的に生じた追加的費用、減収分及び財物価値の喪失・減少分は、賠償すべき損害と認められる。
Ⅱ)住民の放射線被曝の不安や恐怖を緩和するために地方公共団体や教育機関が行う必要かつ合理的な検査等に係る費用は、賠償すべき損害と認められる。
(備考)
1)Ⅰ)について、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)第四十四条第一項においては、「事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。」と規定されているが、特別措置法に基づく措置に直接要する経費のみならず当該措置に伴う財物損壊や営業損害等を含め、同法第四十四条第一項の対象となるか否かにかかわらず、Ⅰ)に該当するものは原子力損害として賠償の対象となる。
2)Ⅱ)については、現存被曝状況や避難状況にある住民の放射線被曝に対する不安や恐怖は深刻であり、これらの不安や恐怖を緩和するため、地方公共団体及び教育機関が、子供を対象とした外部被曝線量の測定、日常的に摂取する食品の放射能検査等の対策を余儀なくされていることを考慮した。

(以上)


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テーマ : 原発事故
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2012-03-19 : ・指針 : コメント : 0 : トラックバック : 1
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■18条 原子力損害賠償紛争解決センター 総括基準 その2

■18条 原子力損害賠償紛争解決センター 総括基準 その2


http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1310412.htm

基準5 訪日外国人を相手にする事業の風評被害等について (PDF:97KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/03/14/1316595_7_1.pdf

基準6 弁護士費用について (PDF:109KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/03/14/1316595_8_1.pdf

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総括基準(訪日外国人を相手にする事業の風評被害等について)
(総括基準)
1 我が国に営業の拠点がある観光業の風評被害について、平成23年5月末までに生じた外国人観光客に関する被害のうち解約以外の原因により発生したもの及び通常の解約率の範囲内の解約により発生したものと本件事故との間の相当因果関係が認められるのは、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な外国人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。
2 我が国に営業の拠点がある観光業の風評被害について、平成23年6月以降に生じた外国人観光客に関する被害と本件事故との間の相当因果関係が認められるのは、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な外国人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。
3 訪日外国人を相手にする事業の風評被害について、商品又はサービスの買い控え、取引停止等と本件事故との間の相当因果関係が認められるのは、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な外国人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。
4 1から3までの基準の適用については、放射性物質による汚染の危険性を懸念する訪日外国人は、福島県及びその近隣地域のみを敬遠するのではなく、日本国内の全部を敬遠するのが通常であることに留意するものとする。

(理 由)
1 中間指針第7の1の指針Ⅱ)及びⅢ)によれば、我が国に営業の拠点がある観光業の外国人観光客に関する風評被害について、「本件事故の前に予約が既に入っていた場合であって、少なくとも平成2 3 年5 月末までに通常の解約率を上回る解約が行われたこと」( 中間指針第7 の3 の指針Ⅱ )参照)以外の原因により発生した減収等については、中間指針第7の1 の指針Ⅱ ) の一般的な基準に照らして本件事故との相当因果関係を判断すべきこととなる。
2 観光業とはいえない事業であっても、訪日外国人を相手にする事業の風評被害については、中間指針第7 の1 の指針Ⅱ )の一般的な基準に照らして本件事故との相当因果関係を判断すべきこととなる。
3 本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理の合理性を検討するに当たっては、平均的・一般的な訪日外国人は、福島県及びその近隣地域のみを敬遠するのではなく、日本国内の全部を敬遠するのが通常であることから、そのことを検討に当たっての留意事項とすることとした。

以 上

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総括基準(弁護士費用について)
(総括基準)
1 原子力損害を受けた被害者が原子力損害賠償紛争解決センターへの和解の仲介の申立てをするについて自己の代理人弁護士を選任した場合においては、下記の損害が、弁護士費用として賠償すべき損害と認められる。
 1) 標準的な場合
 和解により支払を受ける額の3%を目安とする。
 2) 和解金が高額(おおむね1億円以上)となる場合
 和解により支払を受ける額の3%未満で仲介委員が適切に定める額
 和解により支払を受ける額については、個人又は法人単位に考えるのが原則であるが、弁護士が複数の個人又は法人から委任を受けている場合には、事情により、複数の個人又は法人が和解により支払を受ける額の合算額をもとにしてこの基準を適用することができる。
 3) 例外的な取り扱い
 和解仲介手続における被害者の代理人弁護士の活動に通常の事案よりも複雑困難な点があったと認められる場合(弁護士にかかった手間と比べて和解金が著しく少額である場合を含む。)には、弁護士費用相当額の損害を増額することができる。
和解仲介手続における被害者の代理人弁護士の活動が、適正、迅速な審理の実現にあまり貢献しなかったと認められる場合には、仲介委員の判断により、弁護士費用相当額の損害を認定しないことができる。

(理 由)
1 原子力損害賠償紛争解決センターへの和解の仲介の申立ては、高度の法律知識を必要とする。本人による申立ては、本人が提出した申立書及び証拠書類だけでは審理がなかなか進まず、仲介委員又は調査官からの数多くの質問に回答することにより、ようやく審理が前に進む事件が多く、この場合であっても、申立人が真に主張立証したいことが審理の対象から漏れるリスクを否定することはできない。そうすると、申立人が弁護士を代理人に選任した場合の弁護士費用は、相当な範囲内で、本件事故と相当因果関係のある損害とみることが相当である。
2 原子力損害賠償紛争解決センターへの和解の仲介の申立ては、責任原因論の争いがないのが通常であることや、訴訟におけるような厳格な主張、立証手続の規制がないという点において、弁護士にとって、損害賠償請求訴訟を委任された場合ほどには手間がかからない。そうすると、判決における標準的な弁護士費用相当額の損害(認容額の10%)よりも低めの額(和解により支払を受ける額の3%)を、弁護士費用として賠償すべき損害と定めるのが相当である。
3 和解により支払を受ける額が増加する割合ほどには、弁護士の手間は増加しないのが通常であるとみられる。したがって、和解により支払を受ける額が高額(おおむね1億円以上)にわたる場合には、標準的な割合(3%)よりも低い割合で弁護士費用相当額の損害を算定することとした。
 また、事案によっては、和解により支払を受ける額が高額にわたるかどうかは、弁護士に委任をした複数の個人又は法人が和解により支払を受ける額の合算額をもとに判断することが適当であることから、そのような基準を定めた。
4 和解仲介手続における被害者の代理人弁護士の活動が、通常の事案よりも手間がかかり、複雑困難であったといえるような場合(弁護士にかかった手間と比べて和解金が著しく少額である場合を含む。)には、損害額を和解により支払を受ける額の3%よりも増額することが相当であり、弁護士費用相当額の損害を増額することができることとした。
和解仲介手続における被害者の代理人弁護士の活動が、適正、迅速な審理の実現に貢献しない場合には、弁護士費用相当額の損害を認定する基礎を欠く。このような場合には、弁護士費用相当額の損害を認定しないことができることとした。

以上

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■18条 原子力損害賠償紛争解決センター 総括基準 その1

■18条 原子力損害賠償紛争解決センター 総括基準 その1


http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/baisho/1310412.htm

基準1 避難者の第2期の慰謝料について (PDF:100KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/02/16/1316595_2_1.pdf

基準2 精神的損害の増額事由等について (PDF:78KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/02/16/1316595_3_1.pdf

基準3 自主的避難を実行した者がいる場合の細目について (PDF:106KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/02/16/1316595_4_1.pdf

基準4 避難等対象区域内の財物損害の賠償時期について (PDF:80KB)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/02/16/1316595_5_1_1.pdf

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総括基準(避難者の第2期の慰謝料について)

第1 今後の生活の見通しへの不安に対する慰謝料
(総括基準)
 本件事故において、避難等対象者が受けた精神的苦痛(「生命・身体的損害」を伴わないものに限る。) のうち、対象区域から実際に避難した上引き続き同区域外滞在を長期間余儀なくされた者(又は余儀なくされている者) 及び本件事故発生時には対象区域外に居り、同区域内に住居があるものの引き続き対象区域外滞在を長期間余儀なくされた者(又は余儀なくされている者) について、今後の生活の見通しに対する不安が増大したことにより生じた精神的苦痛に対する慰謝料として、次の額を賠償すべき損害とする。

 対象期間 第2期(本件事故発生後7ヶ月目から6ヶ月間)
 金 額 一人月額5万円を目安とする。

(理 由)
1 中間指針の第1の4、第3の6の備考11によれば、中間指針で類型化された慰謝料( 自宅以外での避難生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたことによる慰謝料)以外の慰謝料であっても、本件事故との間に相当因果関係があれば、損害賠償が認められる。
2 中間指針策定後(8月5日より後) の事情の変化として、以下の事情が認められる。
1 ) 避難生活が予想以上に長期化し、今後の生活の見通しが立たない避難住民が多い。8月27日に閣僚から福島県知事等に対して、長期間にわたって住民の居住が困難な地域
が生じる可能性や、帰宅まで20年以上かかる地域が存在する可能性についての言及があり、このころから、避難生活の長期化が広く認識されるに至った。
2 ) 同じころから、帰宅の条件として、原子力発電所の原子炉が安定するだけでは十分ではなく、除染をして放射線量を低減させることが必要であるという認識が広まった。し
かしながら、必要な除染が完了する見込み時期は明らかになっていない。
3 中間指針において、事故から6 ヶ月経過後の避難生活を余儀なくされたことによる慰謝料が月額10万円から月額5万円に減額される理由は、避難生活の基盤が整備されて新しい環境にも徐々に適応し、避難生活の不便さなどの要素が第1期(本件事故発生から6ヶ月間) よりも縮減される、という点にあるという。
 避難生活の不便さなどの要素は7ヶ月目から徐々に減少しているとしても、上記2 記載の事情を考慮すると、避難者は、将来自宅に戻れる見込みがあるのかどうか、戻れるとしてもそれが何年先のことになるのかが不明であり、自宅に戻れることを期待して避難生活を続けるか、自宅に戻ることを断念して自宅とは別の場所に生活拠点を移転するかを決し難く、今後の生活の見通しが立たないという非常に不安な状態に置かれているということができる。
4 中間指針策定後の上記3 記載の事情を考慮すると、今後の生活の見通しが立たない不安が増大していることが認められ、これについて賠償する必要性が高い。その金額は、避難生活を余儀なくされたことによる慰謝料額(一人月額5万円)を勘案すると、これと同程度とみることができ、これと同額の一人月額5万円を目安とするのが相当である。

第2 避難による慰謝料
(総括基準)
 本件事故発生後6ヶ月経過後も避難所等における避難生活を余儀なくされている者について、自宅以外での避難生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたことによる第2期(本件事故発生後7ヶ月目から6ヶ月間) の慰謝料については、中間指針において目安とされる一人月額5万円から2万円程度増額した額を、賠償すべき損害とする。

(理 由)
1 中間指針第3の6の備考10によれば、第3の6の指針Ⅲ)② 記載の第2期の損害額(一人月額5万円)については、目安であるから、具体的な賠償に当たって柔軟な対応を妨げるものではないとされている。
2 避難所等における避難生活を送る避難者は徐々に減少し、本件事故発生から6ヶ月を経過した時点においては非常に少なくなっている。本件事故発生後6ヶ月経過後も避難所等における避難生活を余儀なくされる状態は、相対的にみて、通常の避難者よりも過酷な状況に置かれているということができる。したがって、目安とされる一人月額5万円から2万円程度増額した額(一人月額7万円程度)を、賠償すべき額とするのが相当である。

以上

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総括基準(精神的損害の増額事由等について)

(総括基準)
1 中間指針第3の6(指針)Ⅰ) に規定する精神的苦痛に対する慰謝料(以下「日常生活阻害慰謝料」という。)については、下記の事由があり、かつ、通常の避難者と比べてその精神的苦痛が大きい場合には、中間指針において目安とされた額よりも増額することができる。
・ 要介護状態にあること
・ 身体または精神の障害があること
・ 重度または中程度の持病があること
・ 上記の者の介護を恒常的に行ったこと
・ 懐妊中であること
・ 乳幼児の世話を恒常的に行ったこと
・ 家族の別離、二重生活等が生じたこと
・ 避難所の移動回数が多かったこと
・ 避難生活に適応が困難な客観的事情であって、上記の事情と同程度以上の困難さがあるものがあったこと

2 日常生活阻害慰謝料の増額の方法としては、1 の増額事由がある月について目安とされた月額よりも増額すること、目安とされた月額とは別に一時金として適切な金額を賠償額に加算することなどが考えられる。具体的な増額の方法及び金額については、各パネルの合理的な裁量に委ねられる。

3 日常生活阻害慰謝料以外に、本件事故と相当因果関係のある精神的苦痛が発生した場合には、中間指針第3の6の備考11)を適用して、別途賠償の対象とすることができる。
(理 由)
1 中間指針第3の6の備考10)には、日常生活阻害慰謝料の額(中間指針第3の6( 指針)のⅢ)及びⅤ)に規定する金額)について「あくまでも目安であるから、具体的な賠償に当たって柔軟な対応を妨げるものではない」と記載されていることから、増額という柔軟な対応をすることができる標準的な場合を定める必要がある。
2 避難等対象者が受けた精神的苦痛には、いずれの者についても想像を絶するほどの甚だしいものがあったというべきであるが、その中でも、避難生活への適応が困難な客観的事情と認められる事情があり、かつ、通常の避難者と比べてその精神的苦痛が大きいと認定できる者について、日常生活阻害慰謝料の増額をすることができる標準的な場合と定めるのが適当である。
3 増額の方法については、個別の事案に応じた適切なものであれば、その方法を問わないが、標準的な方法として、増額事由がある月の月額を目安とされた額よりも増額すること、一時金として適切な金額を定めることを例示した。増額の程度については、個別の事案に応じた適切なものであれば足り、特に上限などを定めることを要しないと考えられる。
4 中間指針第3の6の備考11) には、「その他の本件事故による精神的苦痛についても、個別の事情によっては賠償の対象と認められ得る。」と記載されていることから、日常生活阻害慰謝料以外の本件事故と相当因果関係のある精神的苦痛の発生が認定できる場合には、これによる慰謝料が賠償の対象となる。賠償額の算定については、各パネルの合理的な裁量に委ねられる。

以上

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総括基準(自主的避難を実行した者がいる場合の細目について)

(総括基準)
1 自主的避難対象者が自己又は家族の自主的避難の実行に伴い支出した実費等の損害の積算額が中間指針追補記載の自主的避難対象者に対する損害額の目安となる金額(40 万円又は8万円)を上回る場合において、当該実費等の損害が賠償すべき損害に当たるかどうかを判断するには、①自主的避難を実行したグループに子供又は妊婦が含まれていたかどうか、②自主的避難の実行を開始した時期及び継続した時期、③当該各時期における放射線量に関する情報の有無及び情報があった場合にはその内容、④当該実費等の損害の具体的内容、額及び発生時期などの要素を総合的に考慮するものとする。

2 賠償の対象となるべき実費等の損害としては、以下のものが考えられる。
1) 避難費用及び帰宅費用(交通費、宿泊費、家財道具移動費用、生活費増加分)
2) 一時帰宅費用、分離された家族内における相互の訪問費用
3) 営業損害、就労不能損害( 自主的避難の実行による減収及び追加的費用)
4) 財物価値の喪失、減少( 自主的避難の実行による管理不能等に起因するもの)
5) その他自主的避難の実行と相当因果関係のある支出等の損害

3 1及び2により実費等の損害を賠償する場合においては、当該実費等の損害のほかに、中間指針追補記載の上記金額(40万円又は8万円)のうち精神的苦痛に対する慰謝料に相当する額を賠償するものとする。この場合において、賠償の総額には、中間指針追補記載の上記金額(40万円又は8万円)が含まれているものと扱う。

4 賠償は、本来は、個人単位で行われるものであるが、実際の和解案の作成に当たっては、家族等のグループに属する複数の者(滞在者を含む。) に生じた実費等の損害を合算したり、これらの者に係る中間指針追補記載の上記金額を合算したりするなど、グループ単位での計算をすることを妨げない。

5 1及び2に準じて算出される実費等の損害の合計額が中間指針追補記載の上記金額( 40万円又は8万円)に満たなくても、当該実費等の損害の合計額と3 による精神的苦痛に対する慰謝料に相当する額とを合算した額が中間指針追補記載の上記金額(40万円又は8万円)を上回る場合には、前記1から4までの基準を準用する。
 本件事故後に、避難指示等対象区域及び自主的避難等対象区域のいずれにも属さない場所からこれらのいずれかに属する場所への転勤を勤務先から命じられたが、家族のうち妊婦又は子供を含むグループが転勤先に同行せずに二重生活が始まった場合には、前記1,2及び4の規定を準用する。

6 本件事故発生時に避難指示等対象区域及び自主的避難等対象区域のいずれにも属さない場所に住居があった者が自主的避難を実行した場合において、当該住居の所在場所が、発電所からの距離、避難指示等対象区域との近接性、放射線量に関する情報、当該住居の属する市町村の自主的避難の状況などの要素を総合的に考慮して、自主的避難等対象区域と同等の状況にあると評価されるときには、中間指針追補及び前記1から5までの基準を準用する。

(理 由)
1 中間指針追補には、「中間指針追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」という記載があり(中間指針追補2頁。同趣旨の記載が、対象区域につき3頁、対象者につき5頁、損害項目につき8頁にある。)、個別具体的な事情により相当因果関係のある損害と認める場合の基準を定める必要がある。
2 自主的避難の実行に伴い支出した実費等の損害が賠償の対象になるかどうかを考慮する際には、中間指針追補に表れた各種の要素を検討するのが相当である。賠償の対象となる損害項目については、政府指示により避難した者について検討された項目に準じて検討するのが相当である。
3 実費等の損害を賠償しても、精神的苦痛に対する損害は賠償されていない。そのため、中間指針追補における自主的避難対象者に対する損害額の目安(40万円又は8万円) のうち、精神的苦痛に対する損害額とみられる部分を賠償する必要がある。
 このようにして算定された金額(40万円又は8万円を上回る。)が賠償された場合には、中間指針追補記載の金額(40万円又は8万円)も賠償されたものと扱うのが相当である。
4 家族などのグループ単位での避難が実際には多いと思われることから、グループ単位での計算も、個人単位での計算も、和解案として許容されることとした。
5 実費等の損害の合計額が中間指針追補における自主的避難対象者に対する損害額の目安(40万円又は8万円)を下回る場合であっても、実費等の損害の合計額と3による精神的苦痛に対する慰謝料に相当する額を合算した金額が上記損害額の目安(40万円又は8万円)を上回るときには、当該合算した金額(40万円又は8万円を上回る。)を賠償するのが相当であるから、1から4までの基準を準用することとした。
 また、本件事故後の転勤命令により新たに避難指示等対象区域又は自主的避難等対象区域のいずれかに勤務することになったが、転勤先の放射線量等の影響を考慮して家族のうち妊婦又は子供などが転勤先に同行せずに二重生活が始まった場合は、子供又は妊婦を含むグループが自主的避難を実行した場合に準ずるものであるから、前記1,2 及び4の規定を準用することとした。
6 避難指示等対象区域及び自主的避難等対象区域のいずれにも属さない場所に住居があった者が自主的避難を実行した場合についても、その者の居住地が自主的避難等対象区域と同等の状況にあると評価されるときには、自主的避難等対象区域居住者と同様に扱うのが相当であるから、中間指針追補及び1から5までの基準を準用することとした。

以 上

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総括基準(避難等対象区域内の財物損害の賠償時期について)

(総括基準)
 次に掲げる損害は、現地への立ち入りができない等の理由により被害物の現状等が確認できない場合であっても、速やかに賠償すべき損害と認められる。
1 ) 動産(製造業の機械・機具などの生産設備、卸小売業・サービス業などその他の事業者の事業用設備、住宅の家財等)であって、避難等対象区域内に存在するものについての、下記の損害
① 避難等を余儀なくされたことに伴い管理が不能等となったため、価値の全部又は一部が失われた場合における価値の喪失又は減少分及びこれらに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用
② その価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質に曝露した場合における価値の喪失又は減少分及びこれらに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用
③ 財物の種類、性質及び取引態様等から、平均的・一般的な人の認識を基準として、本件事故により当該財物の価値の全部又は一部が失われた場合における価値の喪失又は減少分及びこれらに伴う必要かつ合理的な範囲の追加的費用
2 ) 不動産であって、避難等対象区域内に存在するものについての、上記1 )の①から③ までに記載の損害

(理 由)
 中間指針第3の10の備考1)に「立ち入りができないため、価値の喪失又は減少について現実に確認ができないものは、蓋然性の高い状況を想定して喪失又は減少した価値を算定することが考えられる」とあることからすれば、動産、不動産の価値の喪失又は減少について、現地への立ち入りができない等の理由により被害物の現状等が確認できない場合であっても、速やかに賠償すべき損害と考えるべきである。

以上

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なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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