東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■原発事故による風評被害対策について考える その5 風評被害での訴訟攻防

■原発事故による風評被害対策について考える その5 風評被害での訴訟攻防


【原告の主張立証】
1 当事者
・原告の業務内容等
・被告が「原子力事業者」(原賠法2条3項,原子炉等規制法23条1項1号)に該当する事実

2「原子力損害」の発生,その経緯
・被告によって,原賠法2条1項「原子炉の運転等」があったこと。
・「原子炉の運転等」の下に,地震津波が起き,水素爆発,放射性物質の飛散に至った経緯(事業者の過失不要なので,注意義務や,東電の過失を根拠づける事実等の主張立証は不要)
・風評の広がり,価格低下,取引停止,検査要求、廃棄,作付け断念等の経緯,その日時,量等

3 因果関係 
・事実的因果関係
 原発事故、放射性物質への虞から買い控えが生じ、ひいては減収が生じたこと
・相当因果関係
 「相当性」を根拠づける事実の主張立証
〔相当性の判断基準,方法について,従来の下級審判例理論を争う余地?〕
 「相当性」判断について従来の判例に従うとしても,消費者や取引業者等の回避行動が,一般通常人を基準として合理的といえ,一般に是認できるものであったこと,それを根拠づける事実。安全性危険性の曖昧さ,消費者を取り巻く情報環境等。

4 損害額の計算
・値段の低下,取引停止分,過去の決算書類等で減収額,廃棄費用、検査費用等
・損益相殺分マイナス(保険等。被告の抗弁)



【被告の反論】
1 原賠法3条1項但書の適用あり
・今回の天災が,「異常に巨大な天災地変」であること,それを根拠づける事実。巨大な規模等,立法過程での認識,予見可能性等
・相当因果関係。その「異常に巨大な天災地変」によって,今回の原発事故が起きたこと。
被告の無過失の主張立証を要するか?〕

2 原賠法2条2項の「原子力損害」の意味について,法律的主張
・意味を限定的に捉えて,風評被害のような拡大損害は,2条2項の定義に当てはまらず「原子力損害」にはそもそも該当しないと主張する。

3 因果関係の否認
・事実的因果関係否認 
 国、マスコミ、その他第三者に行為による因果関係の中断?
  震災後の消費自粛が原因?
・相当因果関係否認、「相当性」を否定する事実の主張立証
 その買い控え等が,一般通常人を基準として,是認できない不合理なものであること。安全の確実さ,その認識の容易性等。

4 過失相殺(民法722条2項)の主張
・原告の過分な処置によって,損害が拡大された。損害拡大防止義務違反。

〔5 原因競合による減責の主張〕
自然力
・国、その他の行為
・他の消費低迷要因の競合

【原告の反論】
1 原賠法3条1項但書の適用なし
・今回の天災は3条1項但書にいう「異常に巨大」なものではないこと,評価障害事実。規模等,立法過程での認識,予見可能性等
被告の過失の競合による適用否定の主張できるか?〕

2「原子力損害」の意味については,従来の判例どおり,結果類型等は無限定とすべきとの法律的主張。
〔仮に,限定説で、該当しないとすると,原告は,被告の過失立証して民法709条の適用を主張するというルートへ。被告は,過失の評価障害事実主張立証へ〕

3 過失(民法722条2項)なきこと
・廃棄処分,作付け断念等が,やむを得なかった事実。損害拡大防止義務違反なきこと。政府自治体の指示,土壌等の汚染程度,営業努力の事実等。


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 風評被害でも福島に近くて,損害も明白そうなものについては,普通は,訴訟にまでならずに解決するだろう。

 JCO事故のときの指針では,以下のように時間的場所的限界が示された。

---------------------
I)  茨城県内で収穫される農畜水産物及びこれらに関連する営業であり、広く茨城県県外を商圏とするものについては、生産あるいは営業の拠点が茨城県内にあり、取引の性質から相手方等が取引拒絶等の行動に及ぶこともやむを得ないものと認められ、現実に減収のあった取引について、事故調査対策本部の報告(平成11年11月4日)及び住民説明会(同年11月13,14日)等によって、正確な情報が提供され、かつこれが一般国民に周知されるために必要な合理的かつ相当の時間が経過した時点(同年11月末)までの期間に生じた減収分(売上高から売上原価を控除した売上総利益=粗利益の額)が損害と認められる。
 II)  上記I)以外の営業については、営業の拠点が屋内退避勧告のなされた区域内にあり、取引の性質から相手方等が取引や利用の拒絶等の行動に及ぶこともやむを得ないものと認められ、現実に減収のあった取引について、事故調査対策本部の報告(平成11年11月4日)及び住民説明会(同年11月13,14日)等によって、正確な情報が提供され、かつこれが一般国民に周知されるために必要な合理的かつ相当の時間が経過した時点(同年11月末)までの期間に生じた減収分(売上高から売上原価を控除した売上総利益=粗利益の額)が損害と認められる。
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 今回は,規模も態様も違うので,風評被害について,原子力損害賠償紛争審査会でどのような指針がでるか予想もできないが,紛争審査会が不当請求や賠償金の過払いを防ごうと考えている以上,まず時間的場所的に明白といえるものを,その対象とし,曖昧なものについてはケースバイケースで判断ということになり,そこについては明確な判断指針を出せないことになるのではないか。

 いずれにしても訴訟で争われるのは,相当因果関係が問題となる事案であろうし,そこについての攻防がもっとも熾烈になるのではなかろうか。


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2011-05-23 : ・風評被害対策 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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