東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■2条「原子力損害」の意味・範囲 その17 風評被害 外国の輸入規制

■2条「原子力損害」の意味・範囲 その17 風評被害 外国の輸入規制

農林水産省 諸外国・地域の規制措置等
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

5月20日現在の規制措置
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kensa_0520.pdf

5月16日現在の規制措置
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kensa0516.pdf

上の農水省のpdf資料の最後のページにある指標値の表によると

〔野菜類(根菜,芋類除く)の放射性ヨウ素131〕単位Bq/kg
日本    2000
シンガポール 100
タイ     100
韓国     300
中国     160
香港     100
台湾     300
フィリピン 1000
ベトナム   100
マレーシア  100
米国     170
EU     300

〔野菜類の放射性セシウム134,137〕単位Bq/kg
日本     500
シンガポール1000
タイ     500
韓国     370
中国     210
香港    1000
台湾     370
フィリピン 1000
ベトナム  1000
マレーシア 1000
米国    1200
EU     500

-------------------------------

 今も,多数の国で,日本全土から,あるいは原発近隣県からの食品等の輸入規制をしている。このために,営業損害を被った生産者や輸出業者が保護されるのかという問題がある。
 以前にも触れたが,外国の輸入規制による損失を,国内の風評被害と同様に考え,相当因果関係を検討するなら,そのような輸入規制が一般通常人を基準に社会通念上,合理性があるものか否かという観点から判断されることになる。
 そして,現在も,日本政府が必死になって,風評被害を防ごうと外国政府に事情説明しているはずで,外国なので情報が足りないといことはないだろうし,各国の政府関係者や専門家の判断が前提となるはずだから,日本の消費者個人よりも,より合理的な判断が可能な状態にある可能性があって,外国政府の判断が不合理で異常で行きすぎた輸入規制であるとはなかなか言えないかもしれない。
 もっとも,国の判断は,消費者個人の判断とは異なること,上記のとおり各国ごとに基準値が存在することなどから,別の観点から,相当因果関係が判断されるかもしない。その場合,国内の消費者の買い控え問題とどのように区別し,それをどのように理由づけるのか,外国の基準値の合理性についてはどう考えるのかなどかが問題となろう。



〔シンガポールによる兵庫県産野菜の輸入規制について〕

・5月16日時点でのシンガポールの規制措置を見ると,

「千葉、東京、神奈川、埼玉、静岡、兵庫(6都県)」の「果物・野菜(加工品含む)」について,「輸入停止」となっていた。
 
・5月20日時点でのシンガポールの規制措置を見ると,

「千葉、東京、神奈川、埼玉(4都県)」の「野菜・果実とその加工品」について,「輸入停止」となっている。


・これは5月16日に輸入停止が解除されたからである。

http://www.maff.go.jp/j/press/kokusai/yusyutu/110517.html
「シンガポール政府は、産地の誤表示に基づいて、静岡・兵庫県産の野菜・果実につき輸入停止措置としていましたが、5月16日付けで、この措置を解除しましたので、お知らせいたします。」


・このようにシンガポールでは,5月16日まで,「兵庫」県産の野菜類を,輸入規制していたのであるが,シンガポール以外の国の場合,全都道府県で輸入規制しているために兵庫県産も規制対象となる場合があるが,特に数県を選んで規制する場合に,「兵庫県」を指定している国は無い。

 これは以下のような経緯によるものである。

------------------------------------
MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110404/asi11040423520005-n1.htm

兵庫県野菜も輸入停止に シンガポール
2011.4.4 23:51
 シンガポールの農畜産物管理庁は4日、兵庫県で生産された野菜から微量の放射性物質が検出されたため、同県産の野菜と果物を輸入停止にすると発表した。同国による輸入停止の対象都県は11になった。
 同庁によると、放射性物質が検出されたのは2日に入荷した兵庫県産のキャベツ。ヨウ素131やセシウム134などが検出された。
 同庁はこれまでに福島、茨城、栃木、群馬4県の牛乳を含む全生鮮品の輸入を停止。静岡、愛媛、千葉、神奈川、埼玉の5県と東京都については野菜と果物に限定して輸入を停止していた。(共同)

-------------------------------------


 しかし,これについては後に,兵庫県産では無かったと報道された。


-------------------------------------
産経関西
http://www.sankei-kansai.com/2011/04/08/20110408-051530.php

関西の社会ニュース2011年4月 8日
放射線キャベツは県外産ハクサイ
 シンガポールの農畜産物管理庁が、兵庫県産キャベツから微量の放射性物質を検出したとして輸入停止にした問題で、県は7日、問題となった野菜は県外産のハクサイだったと発表した。県はシンガポール政府に輸入停止の解除を農水省を通じて要請した。県によると、ハクサイは東京都内の業者が輸出。都に対して業者は「兵庫県産と他地域のハクサイを取り違えてしまった」と説明したという。
(2011年4月 8日 06:50)

-------------------------------------

 結局,この記事が事実だとすると,この東京都内の業者の行為によって,兵庫県産の野菜と果物が,4月4日から5月16日までの間,シンガポールに輸出できない状態になったともいえる。

 このことによって,兵庫県の生産者等が損害を被ったのか,どの程度被ったのかについては知らないが,仮に損害があったとした場合,これを東電が賠償しなければならないのかという点が問題となろう。

 この点,この東京都内の業者の行為がなければ,シンガポールは兵庫県産の果物・野菜を輸入停止しなかったのは確実であり,このような予見不可能な異常な経緯による損害までは,相当因果関係なしとされるかもしない。
 その場合は,損害を被った生産者は,この東京都内の業者に対して,民法709条に基づく損害賠償請求をすることになろう。

 あるいは,もともと原発事故による放射性物質の漏出が起点となった騒動であり,原発事故の後の混乱の中で,こういう間違いや情報の混乱は通常あることなので,相当因果関係ある損害として,東電に賠償義務があると考える余地があるかもしれない。
 その場合,もし仮に,その東京都内の業者が意図的に産地偽装等をしていたなどの場合は,東電は生産者に支払った賠償金の全部又は一部について,原賠法5条に基づく,求償請求をする余地がある。なお,この場合,5条1項の「故意」の対象について,それが原発事故についてのものなのか,損害の発生についてなのか問題となる余地はある。
 これら損害は,今回の事故による全損害の中では,微々たるものかもしれないが,5条による求償請求の余地があるものについては,東電もそれなりの準備をすることになろう。


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2011-05-23 : ・風評被害 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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