東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■3条の賠償責任の法的性質 その1

【3条の賠償責任の法的性質 その1】

 まず,原賠法1条には,「この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする」とある。
 したがって,その立法目的は,被害者保護と原子力事業の健全な発達ということである。
 そして3条と4条では,無過失責任とその責任の集中が規定されている。
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(無過失責任、責任の集中等)
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2  前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。

第四条  前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。
2  前条第一項の場合において、第七条の二第二項に規定する損害賠償措置を講じて本邦の水域に外国原子力船を立ち入らせる原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額は、同項に規定する額までとする。
3  原子炉の運転等により生じた原子力損害については、商法 (明治三十二年法律第四十八号)第七百九十八条第一項 、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律 (昭和五十年法律第九十四号)及び製造物責任法 (平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない。
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 つまりこの責任は,被害者保護及び原子力事業の健全な発達のために,「原子力損害」の賠償については,原子力事業者に対して,民法の一般の不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条,過失責任)よりも重い責任,すなわち無過失責任を負わせるものである。ここで無過失責任とは,損害を被った被害者が,原子力事業者(今回の事故では「東京電力」)に対して,損害賠償請求訴訟を提起した場合に,同事業者の「過失」を立証する必要がなく,また,同事業者が「無過失」を立証したとしても責任を免れることはできないというものであり,被害者にとっては有利なものである。
 また,その立法趣旨から見ても,第3条の規定で,原子力事業者の責任を,民法の不法行為より緩和する趣旨のものとはとても考えにくく,原子力事業者の責任を加重するものであろう。したがって,「原子力損害」の意味を限定的に考える立場でも,それに該当しない損害については,ただちに原子力事業者が免責されることはなく,その損害が原子力事業者の行為と相当因果関係が認められ,原子力事業者の故意又は過失が認められれば,民法709条による救済はありうる。
 もっとも,法は,「原子力損害」について,原子力事業者にこのような無過失責任を負わせる一方で,第3条1項但書で,「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」とし,例外的な場合にその第3条1項本文の「無過失」責任を免除している。
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2011-04-06 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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