東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■水素爆発 どこに問題があったのか。

■水素爆発 どこに問題があったのか。

何が、事実であるのか、2ヶ月以上経っても不明確な情報しかないが、ごく大雑把に見て、地震発生から原発の水素爆発に至るまで、次ような問題が考えられる。原発施設が、各時点で、どのような状態であったかによって、主たる問題がどこにあったかが異なってくる。


1 地震発生。原発施設の耐震性の問題

2 津波来襲。全電源喪失。津波対策の問題。

3 ベントの遅れ。判断

4 注水の遅れ。判断

5 水素爆発。水素に対する対処。回収?排出?、事前?事後?



1と2と5?は、事前の準備、自然災害対策の問題

3と4と5?は、事後の対処、判断の問題



【パターンA】→1で致命傷を負っている場合
 地震で、圧力容器、格納容器等が損壊しており、津波の有無や、電源、地震後の対処いかんに関わらず(短時間でのベントや注水が不可能ないし無意味)、水素爆発は避けられなかった。
 →主として原発施設の耐震性の問題。

【パターンB】→2で全電源喪失したのが致命傷の場合
 当初から言われているように、地震では原子炉周りの施設は概ね健全で、その後の津波で予備電源等が壊れ、全電源喪失(かつ短時間での回復不能)したのが緊急時の冷却不能に陥った原因であった場合で、かつ、(なんらかの方法によって)短時間でのベントや注水することが不可能ないし無意味であった場合。
 →主として津波対策の問題。

【パターンC】→3ないし4の判断の誤りが致命傷の場合
 地震では施設は概ね健全で、その後の津波で全電源喪失したが、(なんらかの方法によって)爆発予想より短期間でベントや注水が可能で、しかもそれが水素爆発阻止に有効であったのに、判断ミス等でそれらが遅れてしまい、爆発の結果を招いた場合。
 →主として震災津波後の対処、判断の問題。

【パターンD】→1と2で致命傷
 地震と津波が発生した11日の各時点での各原発の状態を事後的に検証することが不可能であり、1と2で致命傷を負ったと考え、短時間でのベントも注水も不能で、あるいは、無意味であったとした場合。〔短期間でのベント等が可能で有効であったときはパターンCと同様〕
 →主として地震と津波に対する事前対策の問題

【パターンE】→1から4まで
 11日から14日までの圧力容器、格納容器、水位等の状況が不明で、どの時点で水素爆発に至る致命傷が生じたのか、また、どの時点で、どのような対処が妥当でかつ可能であったのかなど不明であるために、水素爆発について、問題の所在が不明確となるパターン。

【パターンF】→5が致命傷?
 各パターンで水素発生に至るとしても、発生した水素に対する事前ないし事後の対処が可能なのに、それをしていなかったために水素爆発に至ったとしたら、水素対策の問題?。


〔なお、いずれのパターンでも津波で外部電源等の諸施設が流された事実や、津波が届かなかった地点の鉄塔が倒れていることなど、はっきりしていることもあろうから、少なくとも水素爆発に至る前の原発施設の損壊について、地震対策、津波対策に不足があったことは明白で、また、そのような損壊がなければ、水素爆発はありえなかったとなると、これらの問題が、水素爆発の要因であったことは間違いない。〕



 パターン1の場合は、問題が大きい。

 東電の「福島第一原子力発電所3号機の耐震安全性について」を見ると、海洋プレート内地震の場合、最大加速度を600ガル程度と想定していたようである。

http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/pdfdata/bi0508-j.pdf
----------------------------------
福島第一原子力発電所3号機の耐震安全性について
平成22年5月 東京電力株式会社

5.2 検討用地震の地震動評価
選定した検討用地震について,応答スペクトルに基づく地震動評価および断層モデルを用いた手法による地震動評価をそれぞれ実施しました。なお,評価にあたっては,地震の発生様式に応じた地震動特性や,敷地地盤の振動特性を考慮しています。
また,この地震動評価にあたっては,その評価結果に及ぼす影響が大きいと考えられる震源要素(震源の位置・規模など)を選定し,その不確かさを適切に考慮することで,安全側な評価を実施しています。
このうちプレート間地震については,検討用地震として選定した塩屋崎沖の地震②(M7.5)と塩屋崎沖の地震③(M7.3)の地震動評価に加え,不確かさを考慮して①から③の一連のプレート間地震が同時活動するケースを仮想塩屋崎沖の地震(M7.9)として設定し,その地震動を評価しました(第5.2-1図)。
なお,内陸地殻内地震として考慮している双葉断層の断層長さは37km(M7.4)ですが,基準地震動Ssは,福島第一原子力発電所5号機中間報告時(平成20年3月)の暫定評価(断層長さ47.5km,M7.6)に基づき策定しています。また,双葉断層の断層長さを暫定評価の47.5kmから37kmに見直した場合においても,基準地震動Ssに変更はありません。
------------
5.4 基準地震動Ssの策定のまとめ
地震動評価結果に基づき,以下の通り3種類の基準地震動Ssを策定しました(第5.4-1,2図)。
・基準地震動Ss-1(最大加速度450ガル):内陸地殻内地震・プレート間地震の評価結果を上回るように設定
基準地震動Ss-2(最大加速度600ガル):海洋プレート内地震の評価結果を上回るように設定
・基準地震動Ss-3(最大加速度450ガル):震源を特定せず策定する地震動
-------------------------------------


 そして、今回の地震について、保安院のサイトの資料では、東西南北上下どの方向にも、600ガルを越える揺れはきていないようである。この場合、どのように考えるか。
 
1 地震計が壊れていた。
  実際には想定した600ガルを越える地震がきていたので原発は壊れた。
2 地震計は壊れていなかった。
(1)客観的に耐震基準は充たしていた。
  原発が壊れた理由が説明できない。揺れの周期等で不測の悪条件が重なり壊れた?
(2)客観的に耐震基準を充たしていなかった。
 a 原発施設の耐震評価等の方法、データの取得、分析等が間違っていた。
   数値の見誤り、計算ミス、データの改ざん等の問題
 b 評価、データ取得、分析等に何の落ち度もないが、なんらかの未知の事態で客観的に耐震基準を充たすことができていなかった。

 上で考えると、2(2)aの、数値の見誤りや、データの改ざん等は論外で、犯罪的なヒューマンエラーによって、今回の事故に至った場合といえよう。
 それより問題なのは、上の2(1)や2(2)bの場合で、これは少なくとも現時点での原発の安全確保の不可能性を意味するものと思われ、他の原発も同様の状態にあることになる。


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2011-05-15 : ■その他 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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