東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■原発労災関連判例

■原発労災関連判例

①昭和56年3月30日・大阪地方裁判所判決(昭和49年(ワ)第1661号,判タ440号62頁)日本原子力発電所放射線被曝訴訟第一審判決,岩佐訴訟
 日本原電敦賀発電所内で作業をしたことのある下請作業員が,作業時に右足関節内側に放射線被曝を受けたとして損害賠償を求めた事案。裁判所は,被爆原因に入る前に,次ぎのように判示した。
「放射線がわれわれの五感の作用によって把握できず、自ら感知できないままに被曝するということである。しかも、その被害は極めて重大である。ところが、被曝の有無を審査する資料は、被告の手中にあるもの以外に考えられないうえ、もしもそれらの資料に作為が加えられることになれば、真相の発見は不可能である。その見地からすれば、被告の如き設備における放射線の管理は、一般人が疑いを挟む余地がない程度に、客観性の保障された測定資料により裏付けられたものであることが要請される。しかるに、原告が作業をした当時は、そこまでの行き届いた管理方法が執られていたとは受取り難い。それだけに原告の如き部外者に対し、発電所内で放射線被曝を受けたとの事実自体の立証を求めることは、不可能を強いるに等しいというべきである。そうかといって抽象的危険性の立証をもって足りるとする訳にはいかないのであり、具体的危険性の立証をもって必要にして十分と考えざるを得ないであろう。つまり、かかる具体的危険性が認められるときは、被告において被曝の事実がないなどの特段の反証をしない限り、放射線被曝の事実を推認して防げないというべきである。しかも、原告の如き部外者にとって、具体的危険性の立証と雖も決して容易なことではないのであるから、その判断基準として余り高度の蓋然性を要求することは相当でないというべきである。それに右判断に供されるべき被告手中の測定資料について、隠匿や作為が加えられたことが判明した場合にも、そのことから具体的危険性を推認して差し支えないというべきである。」
 ただし,この判決では,結論としては,「原告の患部の被爆を推認しうるような具体的危険性は認め難い」として,原告の請求を棄却した。この訴訟は,控訴審,上告審でも労働者敗訴。平成3年まで争われた。

②平成20年5月23日・東京地方裁判所判決(平成16年(ワ)第21303号),長尾訴訟第一審判決
 原告は,福島第一原発で,昭和52年から4年3ヶ月,同原発で作業に従事し,平成10年になって多発性骨髄腫を発症し,平成16年に労災認定され,同年に東電に対して,原賠法に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。
 東京地裁は,原告の疾患が多発性骨髄腫であることを否定し,仮に,多発性骨髄腫であっても,国連科学委員会が低線量域と表現する200mSv未満の放射線被曝と多発性骨髄腫との因果関係については,疫学調査の結果からも,これを肯定することができないとして,請求棄却した。

③平成21年4月28日・東京高等裁判所判決(平成20年(ネ)第3613号),上の長尾訴訟の控訴審判決
 原告の疾患が多発性骨髄腫であることは認めた上,以下のように判示した。
「多発性骨髄腫と放射線被ばくとの間に前記(3)のアからウまでに指摘されているような関連性が認められるとしても、本件放射線被ばくが原告光明の多発性骨髄腫を招来したものと高度の蓋然性をもって証明されたということはできず、本件放射線被ばくと原告光明の多発性骨髄腫の発症との間の因果関係を認めることはできないといわざるを得ず、他にこれを肯認するに足りる証拠は存在しない。」
「控訴人らは、原告光明の放射線被ばくと多発性骨髄腫の発症との因果関係については、仮に高度の蓋然性が証明されないとしても、疫学データ等により統計的な確率が証明されれば、因果関係の有無に関する心証度に応じて損害額を認定すべきであると主張する。しかし、前記のとおり、訴訟上の因果関係の立証は、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであるから、高度の蓋然性が証明されない場合には、因果関係の立証が不十分であるとして請求が棄却されることはやむを得ないものというべきである。控訴人らは、高度の蓋然性の証明がない場合であっても、因果関係の有無に関する心証度に応じて損害額を認定すべきであると主張するが、独自の見解であり、到底採用することはできない。」


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2011-05-11 : ■判例 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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