東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■原発事故による風評被害対策について考える その1 序論

■原発事故による風評被害対策について考える その1 序論

 まず,対策としては,

1 現時点から先の風評被害を抑制・阻止するための対策
2 既に発生してしまった風評被害を回復するための対策

 この二方向あると思われるが,ここでは2の対策を考えたい。

 風評被害による損失(営業損害)については,主として東電への損害賠償請求による回復が考えられ,これについては,今のところ以下のような手続きが考えられる。〔今回の原発事故では,風評被害以外の損害も膨大に発生していることから,国が別の仲裁制度等を設けるかもしれない。〕

1 当事者が直接東電に請求して支払いを受ける。
2 業界組織や自治体等の支援を受けつつ当事者が直接東電に請求。
3 裁判外紛争解決(ADR,弁護士会総合紛争解決センターなど)
4 原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介(原賠法18条2項2号)
5 民事調停
6 民事訴訟

 原発事故による風評被害といっても,事件の性質としては,通常の不法行為に基づく損害賠償事件と異ならず,民事紛争をいかに速やかに納得いく形で解決していくかが問題となる。

1から3までは,私的紛争解決
4から6までは,国の機関が関与

1と2は,当事者どうしの話し合,直接請求
3から5までは,第三者の関与を前提とする和解の場
6は,裁判による決着(ただし,訴訟手続内で和解解決もある)


 他の種の民事事件と同様で,「証拠が全て」の世界である。1から6までのどの方法,手続をとるにしても,証拠が重要である。ただし,原賠法に基づく,「原子力損害」の損害賠償請求では,次ぎのとおり,加害者側の過失の立証が必要なく,①損害と②因果関係の2点に立証対象が絞られてくるはずである。


〔民法709条,不法行為に基づく損害賠償請求権の成立要件〕
1 故意・過失
2 権利侵害(違法性の存在)
3 損害の発生
4 侵害行為と損害発生との間に因果関係があること
5 責任能力

 今回の事件で,原賠法に基づく請求をする場合,1の故意過失は立証の必要がない。原賠法3条では,無過失責任主義がとられており,被害者は加害者の故意・過失を立証する必要がないし,また加害者が無過失の主張をして争うこともできない。
 また,2の権利侵害について,そもそも,風評被害は,通常の財産上の権利の侵害(営業損害)の問題であり,権利侵害の要件が問題となることはない。
 さらに,東電は,自然人ではなく法人であり,5の責任能力も問題とならない。

 要するに,原子力損害賠償請求事件では,紛争解決のために当事者が立証すべきは,3の損害発生と4の因果関係(相当因果関係)のみである。

 したがって,風評被害を受けた者が,既に受けてしまった風評被害の回復を図ろうとする場合,必要なのは,①損害と②因果関係の立証に必要な資料の収集につきる。これはなにも,被害者自身のためになるだけではなくて,実際に支払いをする東電にとっても,客観的証拠が有れば支払いやすいし,紛争解決に係わる審査委員,調停委員,裁判所等にとっては,当事者に納得いく和解案を提示しやすくなるので,スムーズな解決に繋がり,関係者全員の利益につながるはずである。
 
 そこで,次項以下で,「損害の立証の準備」と「因果関係の立証の準備」のために,いかなる資料を収集すべきか考えてみる。




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2011-04-21 : ・風評被害対策 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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Author:text2
原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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