東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

■3条1項但書の「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」とは その2

【3条1項但書の「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」とは その2】

ネット上にあった原子力損害賠償制度専門部会報告書(案)原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会によると。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/songai/siryo/siryo05/siryo2.htm#4

------------------------------------
4.免責事由(異常に巨大な天災地変)

(1)国際的動向
 パリ条約及び現行ウィーン条約では、異常に巨大な天災地変が免責となっているのに対して、昨年採択されたウィーン条約改正議定書においては、従来免責とされていた異常に巨大な天災地変が免責とされなくなったため、我が国原賠法がこの点について改正を要するかどうかの検討を行った。

(2)現在の免責事由の取扱い
 原子力事業者は原子力損害に対する無過失賠償責任を負っているが、原賠法第3条第1項但書では、異常に巨大な天災地変による原子力損害については原子力事業者を免責としている。異常に巨大な天災地変とは、一般的には日本の歴史上例の見られない大地震、大噴火、大風水災等が考えられる
 我が国原賠法の考え方としては、被害者保護の立場から、原子力事業者の責任を無過失賠償責任とするとともに、原子力事業者の責任の免除事由を通常の不可抗力よりも大幅に限定し、賠償責任の厳格化を図っている。
 また、免責事由の内容は、責任制限、保険条件、国家補償を含む損害賠償制度全体及び地理的条件等との関連において総合的に検討されるべきものである。

(3)我が国における免責事由の検討
 我が国は原賠法制定時に無過失・無限の賠償責任及びいわゆる責任の集中を制度として採用し、更に事業者の免責は単なる天災地変でなく、異常に巨大な天災地変に限定しており、このような場合にまで事業者に賠償責任を負わせることは妥当ではないと考えられる。
 また、異常に巨大な天災地変による原子力損害が生じた場合には、法第17条で、国が被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講じて被害者保護に遺漏なきを期すこととしている。
 以上の点を踏まえ、現行原賠法において異常に巨大な天災地変による原子力損害については国の救済措置が別途講じられることとなっていることから、国際的水準との関係においては、改めて法改正を要しないと考えられる。

-------------------------------------


この議論によると「異常に巨大な天災地変」とは、一般的には日本の歴史上例の見られない大地震、大噴火、大風水災等が考えられるとのことである。

しかし,地震のどの点を比較するのか不明であって,震度・マグニチュード・加速度など考え得るが,そもそも,地震学発展以前の地震について正確な震度・マグニチュード・加速度など推定の範囲でしか得られない。日本の歴史といってもどこまで遡って考えるべきかあいまいである。

wikiによると超巨大地震として以下のものが挙げられている。
・アメリカ北西部カスケード沈み込み帯の地震(カスケード地震)(M8.7 - 9.2、1700年)
・アリカ地震(M9.0 - 9.1[5]、1868年)
・カムチャツカ地震(Mw9.0、1952年)[6]
・チリ地震(Mw9.5、1960年)
・アラスカ地震(Mw9.2、1964年)
・スマトラ島沖地震(Mw9.1 - 9.3、2004年)
・東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(Mw9.0、2011年)

当然であるが,1700年以前にもこのような超巨大地震があったはずで,これ以外には存在しないということではなかろう。これを見ると,マグニチュード9を超える超巨大地震は,世界的にはあんがい頻繁に起きてる感じがする。

日本の地震の歴史をみると,wikiを見る限りはM9超えの地震は,今までなかったような記述になっている。ただし,これも古い地震については,推定ということになろう。wikiの地震年表で気になったのには,869年7月9日に起きた貞観三陸地震である。M 8.3~8.6と推定されているが,発生場所が今回の地震と似ていて,津波の被害も相当大きかったものと推定されている。(津波災害は繰り返す
場所的にいっても今回の地震が,貞観地震に似たものであったとすると,日本の歴史上例の見られない大地震とは言えないことになろう。なお,地震の「加速度」比較では,別の頁で比較したように,東日本大震災(福島第1原発付近)は,阪神淡路大震災よりも揺れは小さかった。

毎日jpに以下のような記事がある。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110327k0000m040036000c.html
----------------------------------------
「福島第1原発:東電「貞観地震」の解析軽視
産総研の研究チームが仮定した貞観地震の震源域と周辺で起きた過去の宮城県沖地震の震源域(産総研の図を基に2010年5月作成)
東日本大震災の発生メカニズム 東京電力福島第1原発の深刻な事故原因となった大津波を伴う巨大地震について、09年の経済産業省の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能性を指摘されていたことが分かった。東電は「十分な情報がない」と対策を先送りし、今回の事故も「想定外の津波」と釈明している。専門家の指摘を軽んじたことが前例のない事故の引き金になった可能性があり、早期対応を促さなかった国の姿勢も問われそうだ。」「◇専門家「貞観の再来」多くの専門家は、東日本大震災を「貞観地震の再来」とみている。同研究所などは05年以降、貞観地震の津波による堆積(たいせき)物を調査。同原発の約7キロ北の福島県浪江町で現在の海岸線から約1.5キロの浸水の痕跡があったほか、過去450~800年程度の間隔で同規模の津波が起きた可能性が浮かんだ。東電によると、現地で測定された地震動はほぼ想定内で、地震によるトラブルは少なかった。一方、非常用電源の喪失などの津波被害で、原子炉が冷却できなくなった。」
----------------------------------------

今回の大震災は,たぶん地震(の揺れ)だけみると,さほどの揺れではなかったはずで,原発付近の加速度は阪神大震災より小さいのだから,日本の歴史上例を見ないほどの揺れの大きな震災とは言えないはずである。では,その直後にきた津波はどうかというと,貞観地震後津波が,地層の調査でかなり内陸部まで津波が遡上してきていた痕跡が見つかっている上,それが福島原発から北に7キロ程度しか離れておらず,歴史的には十分に例があったのではないかと思われる。このあたりの問題は,地震学や古地震学の専門家の議論が必要。


関連記事
スポンサーサイト
2011-04-05 : ■3条1項但書「異常に巨大な天災地変」 免責規定 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

text2

Author:text2
原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

全記事のリスト表示

全ての記事を表示する

検索フォーム

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

QRコード

QR

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ニュース
541位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
時事
246位
アクセスランキングを見る>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。