東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■3条の賠償責任の法的性質 その3 自然力競合との関係

■3条の賠償責任 その3 自然力競合との関係

 今回の福島第一原発の事故と、JCO臨界事故との決定的な違いは、自然力が介在したか否かという点である。JCO事故は100%人災であるのに対して、今回の事故は、大地震と大津波が起点となっている。
 原賠法3条1項本文の責任は、無過失責任であり、これは危険を発生させるものを設置、支配、又は管理している者は、そこから生じた損害についての責任を負うべきであるという危険責任の法理に基づくものであり、土地工作物責任(民法717条)、営造物責任(国賠法2条)等も同様の法理に基づくものと理解される。
 今回の事件のように自然力が介在して発生した損害について、その全てを責任主体(原賠法では「原子力事業者」)に負わせてよいのかという問題がある。
 全てを負わせるのは公平でないという判断であれば、何らかの理屈で損害額の減額を図ることになるが、これまで自然力競合による減責が問題になってきたのは、震災と建物の瑕疵との競合や、水害と橋や堤防等の瑕疵との競合である。震災・津波と原発との競合は、今回が初めてのことかと思われる。
(※割合的因果関係論は、無数に論文が存在し、理解しきることは困難なもので、以下はきわめて大雑把な説明である。)
 減額を認める一つの理屈として、自然力競合の場合に、割合的因果関係論を前提に、自然力の寄与度に応じて相当因果関係を認め責任主体を減責しようとするものがあり、肯定否定両説がある。裁判所は、そもそも割合的因果関係論については、一貫して否定的であるとされており、割合的因果関係論を正面から採用して、自然力等の寄与度に応じて減責するということは今のところ考えにくい。
 割合的因果関係論については、その導入は理論的混乱を招くとか、不法行為責任一般に妥当するのは、損害の公平な分担の観点もあるが、被害者保護の理念もあり、割合的因果関係を認めると、安易な減責につながり、被害者保護がないがしろにされるおそれがあるという批判がある。
 自然力が競合して発生した損害については、裁判所が、割合的因果関係論を正面から採用して、その減責を認めないとしても、おそらく相当因果関係の「相当性」の認定過程で、絞りをかけていくであろうが、そこに無理が出てくるかもしれない。(無過失責任とは言え「瑕疵」が要件とされる工作物責任や営造物責任とは異なり、原賠法では、こういった帰責要因が全く前提となっていのが特殊な点で、損害の公平な分担と被害者保護を、この場合にどう考えていくのか、東電に過失があるように場合にはどう考えるのかなど難しい問題がある。)

 なお自然力ではなく、生産者側が自ら行きすぎた生産調整や、商品の過剰な廃棄をしてしまったような場合など、生産者側の落ち度が認められ、その行為によって損害が拡大したと認定されるような場合には、原賠法3条の責任においても、民法722条2項(過失相殺)の適用ないし類推によって、賠償額が減額されるはずである。




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 また,以下ように立法的な解決がなされている場合もある。原賠法ではこのような斟酌規定はない。

・大気汚染防止法
(賠償についてのしんしやく)
第二十五条の三  第二十五条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができる。

・水質汚濁防止法
(賠償についてのしんしやく)
第二十条の二  第十九条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができる。

・水洗炭業に関する法律
(賠償についてのしんしやく)
第十九条 第十六条第一項に規定する損害の発生に関して被害者の責に帰すべき事由があつたときは、裁判所は、損害賠償の責任及び範囲を定めるのについて、これをしんしやくすることができる。天災その他の不可抗力が競合したときも、同様とする。

・鉱業法
(賠償についてのしんしやく)
第百十三条 損害の発生に関して被害者の責に帰すべき事由があつたときは、裁判所は、損害賠償の責任及び範囲を定めるのについて、これをしんしやくすることができる。天災その他の不可抗力が競合したときも、同様とする。


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2011-04-17 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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