東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■日弁連(日本弁護士連合会)の「東日本大震災法律相談Q&A」

■日弁連(日本弁護士連合会)の「東日本大震災法律相談Q&A」

日弁連(日本弁護士連合会)の「東日本大震災法律相談Q&A」
http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/saigaihhukou.html
http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/data/soudanQ&A.pdf

原子力損害関係箇所

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Q181 放射能による被害を考える場合に参考になる概念を教えてください,
A 被曝した直後に放射能の影響による障害が出る場合を急性障害といい,ある程度の期間経過後に障害が出る場合を晩発性障害といいます。
 身体の外部にある放射性物質からの放射線による被曝を外部被曝といい,透過力の強い放射線が問題になります。体内に取り込まれた放射性物質からの放射線による被曝を内部被曝といい,透過力が弱い放射線でも問題になります。
Q182 放射能の程度と人体への影響の関連について教えてください。
A 放射能の量と人体への影響の関係は一義的に明確なものではありません。そこで,国際放射線防護委員会(ICRP)は,正当化の原則,最適化の原則,線量限度遵守の原則を打ち出し,放射線は利用の便益が害よりも大きい時に利用が許されること,被曝線量はなるべく少なくし,制限被曝線量値は遵守すべきであると勧告しています。レントゲン,CTは有用な目的のために使用が許されていますが,観測値とこれらの放射線量を比較して全てを語ることはできません。
 人体への影響を考える放射能の単位をシーベルトといいます。1ミリシーベルトは1/1000シーベルト,1マイクロシーベルトは1/1000ミリシーベルトです。日本では,ICRP勧告に基づき,一般人の制限線量は年間1ミリシーベルト,原発関係従事者は年間50ミリシーベルトでかつ5年間平均が20ミリシーベルトを超えないこととされています。
 緊急時の職業人の制限線量は100ミリシーベルトとされていましたが,急遽250ミリシーベルトに上げられました。
Q183 避難指示の根拠は何ですか,
A 原子力災害対策特別措置法15条3項で,内閣総理大臣は,原子力緊急事態が発生した時は,市町村長及び都道府県知事に対し,避難のための立退き又は屋内への避難の勧告又は指示を行うべきこと,その他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとすると規定しています。
Q184 屋内退避,避難の目安は何ですか。
A 原子力安全委員会が「屋内退避及び避難についての指標」という指針を作成しており,予測線量が10~50ミリシーベルトであれば,「住民は自宅等の屋内退避する,但し,中性子線又はガンマ線が放出される時は,コンクリート建屋に退避するか,避難すること」,予測線量が50ミリシーベルト以上であれば,「住民はコンクリート建屋内に退避するか,避難すること」と規定されています。
Q185 いつまで避難しなくてはいけないのですか。
A 原子力災害対策特別措置法15条4項で,内閣総理大臣は,原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときは,原子力安全委員会の意見を聴いて,原子力緊急事態解除宣言をするものとすると規定しています。
 重要な判断資料として,その地域の放射線量がどの程度減っているかを推定しなくてはなりませんが,Q180の放射能の半減期が推定に利用されますから,どのような放射性物質がどの程度放出されたかが重要になってきます。
Q186 原子力災害の被災者にはどのような保護が与えられるのですか。
A 原子力緊急事態により国民の生命,身体又は財産に生ずる被害を原子力災害といい(原子力災害対策特別措置法2条1号),同法は原子力災害から国民の生命,身体及び財産を保護することを目的として制定されています。
 緊急事態応急対策として,緊急事態応急対策実施責任者が,「被災者の救難,救助その他の保護」(同法26条1項3号),「緊急輸送の確保」(同6号),「食糧,医薬品その他の物資の確保」(同7号),「その他原子力災害の拡大の防止を図るための措置」を実施する(同条2項)と規定しています。
 原子力緊急事態解除宣言があった以降には,原子力災害事後対策が実施されます(同法27条)。生活面に直接関わる対策は,「健康診断,心身の健康に関する相談,その他医療に関する措置」(同条1項2号),その他原子力災害の拡大の防止又は原子力災害の復旧を図るための措置」(同4号)が規定されています。
 具体的に必要な措置は,多種多様ですから,真に必要な対策が速やかに実施されることが同法の要求するところです。
Q187 原子力損害賠償法でどこまで賠償されるのですか。
A 原子力損害の賠償に関する法律にいう原子力損害とは「核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し,又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう)により生じた損害をいう」(同法2条2項)と規定されています。
 原発の場合は,核分裂過程で中性子,核分裂生成物が発生し,核分裂生成物が壊変(Q179参照)する際にα線等の放射線が発生します。これらから外部被曝,内部被曝(Q181参照)したことによる損害が典型的な場合です。
 核分裂過程の作用,核燃料物質等の放射線の作用には,熱エネルギーを発生させることも含まれますから,爆発によって直接被害をこうむった場合も含まれるでしょう。
 避難して何年間も家に帰れなかったことによる損害は相当因果関係の範囲の問題です。
Q188 原子力事業者,原子力機器メーカーの責任を教えてください。
A 原子力事業者の責任については,「原子炉の運転等の際,当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは,当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。但し,その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは,この限りでない。」(同法3条1項)に規定されています。
 1項本文は,原子力事業者の無過失責任を規定しています。問題は但書です。想定外の地震といえば異常に巨大な天災地変になるとすると容易に免責されてしまいます。過小評価すれば免責されるのはおかしな話です。原発の耐震設計では,極めてまれであるが発生する可能性のある地震をさらに不確かさを考慮して想定しなければならないのですから,異常に巨大な天災地変とすべきではないと考えます。
 原子力機器のメーカーの責任については認めません。同法4条1項に「前条の場合においては,同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は,その損害を賠償する責めに任じない」と規定して原子力事業者に責任を集中しています。そして同条3項に「製造物責任法の規定は適用しない」と規定して製造物責任を認めません。原子力発電所の安全性確保に重大な責任を負っている原子力機器メーカーの責任を認めないのは法の欠陥だと考えます。
Q189 原子力損害の賠償に関する法律では,原子力事業者の責任限度は規定されていますか。
A 原子力損害賠償法3条1項但書の場合は免責されますが,免責されない場合は,原子力事業者に責任限度額はありません。同法4条3項に「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律」の規定は適用しないと規定されています。但し,原子力事業者の確実な支払い原資は,損害賠償措置を講ずることにより担保され,一事業所当たり1200億円につき,①保険契約を締結②政府と補償契約を締結③供託の措置を講ずることとされています(同法7条)。そして,この金額を超え,かつ,被害者救済のために必要である時には,政府は,原子力事業者の損害賠償に必要な援助を行う(同法16条)と規定されています。あくまでも損害賠償の主体は原子力事業者です。
 なお,原子力事業者が免責される場合は,被災者の救助及び被害の拡大防止のための必要な措置を政府が講ずることになっています(同法17条)。
Q190 民法の不法行為による損害賠償請求,国家賠償法による損害賠償請求は可能ですか。
A 原子力損害賠償法は民法の不法行為の特例を定めたものなので,原子力損害については原子力事業者の無過失責任(3条1項Q188)が適用され,それ以外の損害について民法の不法行為責任が適用されます。
 同法は,原子力損害の賠償責任を原子力事業者に集中しており(4条1項),国は事業者の責任が1200億円以内で政令の定める賠償措置額(Q189参照)を超える場合に,国会の議決による範囲内で原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うと規定するに止めています(16条)。
Q191 放射能汚染された食品の取扱について教えてください。
A 平成23年3月17日,厚生労働省は,原子力安全委員会が作成していた「原子力施設等の防災対策について」のうちの「飲食物の摂取制限に関する指標」を急遽採用して暫定規制値とし,これを上回る食品については,食品衛生法第6条2号の「有害な,若しくは有害な物質が含まれ,若しくは付着し,又はこれらの疑いがあるもの」として食用に供されることがないよう販売その他について十分処置されたいと各自治体に通知しました。
 放射性ヨウ素ならば,飲料水,牛乳・乳製品で300ベクレル,根菜,芋類を除く野菜類で2000ベクレル,放射性セシウムならば,飲料水,牛乳・乳製品で200ベクレル,野菜類,穀類,肉・卵・魚・その他で500ベクレル,乳児用の牛乳・乳製品で100ベクレルが制限値です。
 1ベクレルとは,原子核が1秒間に1個の崩壊を起こす場合をいいます。
Q192 農産物の出荷制限の指示を出しておきながら,食べても人体に影響を及ぼさないという政府報道はどのように理解したらいいのでしょうか。
A 食品衛生法における今回の暫定規制値は, 原子力安全委員会の「飲食物摂取制限に関する指標」を採用したものですが, その指標の作成は, I C R P 等の国際的動向を踏まえ, 甲状腺の線量年5 0 ミリシーベルトを基礎にして食品の摂取量等を考慮して策定されたものです。放射線防護の観点から遵守しなければならない基準ですので,
農作物の出荷制限は, 止むを得ない措置です。
 それでいながら,人体に影響する程度の放射線量ではないというのは,混乱させるだけの広報です。人体に対する影響は明確ではなく,低線量でも人体に対する影響があることもあるので出荷制限をしているが,低線量であるほど人体に与える影響が顕在化する確率が少なくなると考えられるという程度にとどめるべきでしょう。
 なお,農産物の原産地表示が全県表示であるから,制限値を超えない農産物の生産地のものも出荷制限すると広報されましたが, きめ細かい生産地表示に改めれば解消できる問題です。政府の対応は,風評被害を助長することになりかねません。
Q193 出荷制限されたことによる損害は,どこに請求したらいいのでしょうか。
A 出荷制限は,原子力災害対策特別措置法第20条3項による原子力対策本部長(内閣総理大臣を充てる同法17条1項)の指示です。これは福島第1原発から外部に放出された放射能汚染に基づく出荷制限ですから,それによる経済的損失は原子力損害(Q187)です。従って, 原子力損害賠償法により原子力事業者に請求できます。
Q194 出荷制限されていない農産物についても,同じ県の農産物だから買わないという風評被害は,どのように救済されるのですか。
A この風評被害は,放射能汚染されているのではないかと思う消費者の不安心理に基づく買い控えによる損害です。原子力損害賠償法には, 特別に風評被害を保護する規定はないので,原発の事故と風評被害の間に相当因果関係が存在するか否かの価値的判断をすることになります。相当因果関係が認められれば,原子力事業者に対し,損害を請求できます。
 ある農産物が食品衛生法の制限値を超える放射能汚染されているので出荷制限されていると報道されれば,出荷制限された地域の他の農産物も放射能汚染されていると推測して買い控え行動をとることが必ずしも不合理と考えられないのであれば,相当因果関係が認められると解されます。放射能汚染の対象,内容,出荷制限の対象,意味,人体への影響等について,正確で分かりやすい広報をしていて,放射能汚染をしていると考えるのは消費者の極めて主観的な心理状態であると考えられ,消費者が買い控え行動をとることが不合理と考えられる場合には相当因果関係が否定されることもありうるでしょう。

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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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