東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■3条1項但書の「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」とは その6 関東大震災の3倍論の不毛性

■3条1項但書の「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」とは その6 関東大震災の3倍論の不毛性

 その3でみた中曽根答弁(昭和35年月17日)の「関東大震災の三倍以上の大震災」というものが,どこから来たかについて,立法前に政府に答申を出した法律学者等の座談会や概要説明に,以下のような記述があった。
http://www.yuhikaku.co.jp/static/shinsai/jurist.html

----------------------------------
・ジュリスト1961年10月15日号16頁(No.236)【特集】原子力損害補償 原子力災害補償をめぐって(座談会)我妻栄,鈴木竹雄,加藤一郎,井上亮,福田勝治,堀井清章,長崎正造,杉村敬一郎
「井上 これは専門部会でもずいぶん御義論をいただいたわけであります。そして法案では「異常に巨大な天災地変」という言葉を使っています。少なくとも関東大震災の三倍以上くらいの地震これはいまだかってない想像を絶した地震というようなものを一応考えているわけです。およそ想像ができる,あるいは経験的にもあったというのは,この「異常に巨大な天災地変」の中には一応含まれないという解釈をしているわけです。」
「加藤 これは関東大震災のように今まであったものが入らないことは当然でしょうが,その三倍から五倍からか,そこら辺になるときめ手がなくなる。今おっしゃった三倍という見当は,現在作っている原子炉が大体そういう基準でできているのですか。」
「井上 一応そういうことも考慮の中に入っていたわけです。東海村の建設中のコールダーホールの設計基準が,大体関東大震災の二倍程度の地震にたえうるような設計ということになっていますが,一応ここでは少なくとも常識で考えられない,歴史上いまだかったないようなという趣旨です。」

・ジュリスト1961年10月15日号(No.236)31頁【特集】原子力損害補償 原子力損害2法の概要 竹内昭夫
「第一に問題になるのは,「異常に巨大な」という包括的・弾劾的な表現が,具体的にはとの程度の「天災地変又は社会的動乱」を意味するかという点である。」
「-関東大震災や伊勢湾台風のように-およそ経験的に考えられるような程度のものに対しては万全の防護措置がなされるべきは当然であり,じじつ日本原子力発電株式会社が輸入するコールダーホール型原子炉は関東大震災の二ないし三倍の地震までの耐震性をもつよう設計されている。」
「従って,ここで免責される「天災地変又は社会的動乱」とは,現在の技術をもってしては,経済性を全く無視しない限り,防止措置をとりえないような,極めて限られた「異常かつ巨大な」場合を意味するわけである。」
--------------------------------

 結局,この関東大震災の三倍というのは,当時東海村に建設中の原子炉が,関東大震災の2~3倍程度には耐えうるものだから,その「3倍」という数字が,なんとなく使われるようになったものと思われる。
 上の竹内昭夫の「経済性を全く無視しない限り,防止措置をとりえないような,極めて限られた「異常かつ巨大な」場合」というよな記述は,経済性という別の視点を持ち込んでいるようであるが,いずれにしても「3倍」というのは,当時つくられていた原子炉の耐震性の上限よりも上程度という意味のようである。(ただし,この議論は,安全性に関しては,完全に転倒した議論ではあるが。)
 
 このように「3倍」論は,当時作られていた原子炉の地震についての耐震性を基に言われ始めたものであり,立法当時は,津波被害はほとんど想定されていなかったようで,ざっと見たところ議論された形跡がない。今回のように電源が全て喪失し,その結果爆発事故に至り,その原因が主として大津波によるような事件では,「3倍」というのは何の基準にもなり得ないのではないか。

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2011-04-13 : ■3条1項但書「異常に巨大な天災地変」 免責規定 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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