東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■2条「原子力損害」の意味・範囲 その1 環境損害

【2条「原子力損害」の意味・範囲】
条文上は,「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害とされる。

この条文は,核燃料からの放射線やその化学的毒性から生ずる損害に限定しているようだが,生命・身体に対する損害にのみ限定しているわけではないし,その他の損害も含むものと解されるが,その具体的範囲については,「相当因果関係」だとか「社会通念」だとか,法解釈上の理屈で限定されることになるだろう。

この点については,科技庁で環境損害について以下のようなの議論がなされたようである。
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3回原子力損害賠償制度専門部会議事要旨(案)
1.日時     平成10年9月11日(金)
         午前10:00~12:00
2.場所     科学技術庁 第7会議室(通産省別館9階)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/songai/siryo/siryo04/siryo1.htm

(4)原子力損害(環境損害)の概念について
事務局より資料3-5に基づき、説明があった後、主に次の質疑応答があった。
(能見)整理すると、原子力損害に入るのかという問題と、賠償の対象になるとして一定の制限を設ける必要がないのかという問題がある。前者については、原子力損害の定義から予防措置費用は別としても、対象になるといってよいと考える。問題は後者で、裁判になれば相当因果関係で切られるだろうが、油濁と比較して原子力は環境以上に人身損害が大きい。理論的には無限責任ゆえ、すべての賠償はなされるにしても、現実には賠償措置額があって、限定された資金の中で環境損害と人身損害が一時的には取り合いになる。人身損害の重要性を考えると、環境損害には一定の限界を明確に設け、人身損害の保護を手厚くするのがよいのではないか。
(住田)結論に異論はないが、放射線の作用等による損害という定義は、損害の概念というよりは原因行為による類型にすぎず、損害が何かということは一切規定していないのではないか。そこで環境損害はどういうものかを一般法たる民法から考えていくことになる。油賠法の場合は条約を批准するための国内法整備として行われたため、条約の文言に引っ張られた面もあろうが、今回は条約とは別に独立した国内法として考えればよい。資料中、原賠法の原子力損害からは排除されていないとあるが、むしろこの点は規定されていないということであろう。環境損害の内容について各国なりの考え方があろうが、被害者が特定しがたいだけで、損害自体は発生しているわけだから、当然原賠法の損害概念に入るといってよい。そして損害賠償の範囲として、合理的な、社会通念上相当なものという判例があり、そこで縛りがかかると思う。よって、環境損害を入れることにつき、特別の規定は必要ないと考えている。ただ、油賠法の場合は経済的損失だけだが、我が国の一般原則でいくと、非財産的損害も入ってくることになろう。ただ、どのような取扱いにするかは議論をしておく必要があろう。避難費用については、前回法改正時に議論があったようだが、避難を余儀なくされたということは一つの損害であり、その賠償の範囲としては社会通念上相当なものとなり、やはり特別の規定は必要ないと考える。
(山嵜)原賠法は不法行為法の特別規定にすぎず、無過失責任や賠償措置額の強制を特別に定めたものである。原子力損害の損害に関する限り、不法行為法が基礎にある。能見委員の意見だが、環境損害の賠償額自体を制限するということか、それとも人身損害よりも弁済の順序を遅らせるということか。
(能見)勿論、賠償額を民事責任のレベルで制限することではない。将来的には、責任は限定せず、賠償措置額から取る順序なりルールなりを決めておくのがよいのではないか。

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2011-04-05 : ■2条「原子力損害」 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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