東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

■4条 責任集中の原則 その4 国の責任はどうなるのか?

■4条 責任集中の原則 その4 国の責任はどうなるのか?

 実用炉は経産省の管轄であるから,原子力安全・保安院に監視監督義務があるとして,原発の設置保存管理,事故後の対応等について,同院が,監督や検査の義務を怠るなどして,それが今回の事故につながった,あるいは被害を拡大させたといえる場合には,国にも責任があるはずである。〔事実関係は,事故後の調査によって明らかにされるべき〕

 この場合,被害者は,本来は,国家賠償法1条1項で,国に損害賠償請求できることになる。
 もっとも,この請求は,原賠法4条の規定(責任集中の原則)との関係が問題となる。

 原賠法4条1項は,「前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない」とし,原子力事業者以外の者は一切,被害者に賠償する必要がないことを規定している。
 文言から言えば「原子力事業者以外の者」には,国も含まれるはずであり,国もこの4条によって免責されることになる。

 そもそも,原賠法23条には,(国に対する適用除外)「第三章、第十六条及び次章の規定は、国に適用しない。」とあるものの,4条は,この規定による排除の対象となっていない。

 ただ,この結論では,国が自ら定めた法律で,本来負うべき被害者への賠償責任を免れることになる。これが許されるという結論は,いかにも妙である。これが許されるなら,あらゆる国の落ち度について,免責規定を置くことによって全く無責任な国家運営が可能になり不当である。

また国家賠償請求権は、憲法17条で認められた基本的権利であり、これを憲法より下位にある法律で無にするようなことは許されないだろう。

 そもそも,原賠法4条は,被害者保護の観点から,被害者が容易に賠償責任を追及する相手方を知うるようにし,かつ,原子力事業者に機器や原料等を提供している関連事業者に,莫大になりかねない原発事故等の賠償責任を予め免れさせて,原子力事業をしやすくして,もって「原子力事業の健全な発達」を達成しようとする趣旨のものであるから,国家の側に責任があるような場合にまで,この免責を受けさせることは,本来法が予定していないものであり,4条による国の免責は無いのではなかろうか。

 あるいは,損害額が莫大で,賠償措置額を超えさらに東電の支払能力をも超えた損害の場合,最終的には,原賠法16条で,国が被害者保護をはかるので,16条が存在することから,4条は国にも適用があるとするのであろうか。ただし,16条の「必要な援助」は国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものであり,義務として国の賠償を定めたものではない。


(なお,国にたいする賠償請求の余地があるとした場合でも,国賠法1条と民法709条,715条等の関係について,その公務員個人に対しては,〔故意による職権濫用があった場合は別として〕損害賠償請求はできないものと解釈されているので,裁判では認められいこととなろう。また,この場合は,そもそも原賠法4条1項で,「原子力事業者以外の者」として,当該公務員は免責されるかもしれない。なお,国賠法上は,国が賠償金を支払った場合に,国は「故意又は重過失」のあった公務員に対しては,求償請求が可能とされる(国賠法1条2項)。)
関連記事
スポンサーサイト
2011-04-12 : ・国の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

text2

Author:text2
原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

全記事のリスト表示

全ての記事を表示する

検索フォーム

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

QRコード

QR

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ニュース
761位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
時事
343位
アクセスランキングを見る>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。