東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

■16条「必要な援助」国の措置 その1 東電はつぶれるのか?

■16条「必要な援助」国の措置 その1 東電はつぶれるのか?

 ネットを見ていると、3条1項但書の免責規定の適用が無かったとすると、東電は巨額損害を無制限に賠償しなければならいので倒産は避けられないとする見解や、原子力損害賠償責任保険(8条,1200億円)と原子力損害賠償補償契約(10条、1200億円)を越える部分は、当然に16条の国の必要な援助(16条)で救済されるので倒産しないなど、いくつかの意見がある。

 そこで、16条の「必要な援助」について検討する。
 
 まず、民間保険(日本原子力保険プール)については、地震・噴火・津波に起因する損害の場合、保険会社の免責の余地があるので、今回はこれによる賠償は無いかもしれない。(なお、100%人災のJCOの臨界事故のときは、賠償額約150億円のうち10億円について、原子力保険プールから保険金が払われたとのことである。ご指摘の件
 この場合、まず原子力損害賠償補償契約(10条)に基づき、1200億円の損害までは、政府の補償によって填補される。なお、この1200億円は、1事業所ごとの金額であるから、福島第一原発の原子炉が複数破損した場合でも変わらない。
 そして損害額が、この1200億円を超えた場合に、16条の規定の適用が問題となってくる。16条は文言は以下のとおりである。

--------------------
第16条
1 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。
--------------------

 このような16条では「法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なう」とあるだけで、具体的にどういうときに、いかなる種類の援助をなすのか不明確な上に、「行う」とあるだけで政府の義務として規定されているわけでもない。このため種々の解釈が可能である。
 ます、立法課程をみると、当初は、賠償措置額を超えるものについては、当然に国の補償が前提とされていたようである。つまり、原賠法制定前には、3条の賠償責任は、原子力事業者の限定責任(賠償額の上限がある責任)として、規定される可能性があったものと思われる。それは、無限責任を負わせると、原発に手を出す事業者が出てこなくなって、原子力事業の推進ができないからというものであろう。
 原子力災害補償専門部会の答申(昭和34年12月)と原子力委員会内定「原子力災害補償制度の確立について」(昭和35年3月)では、以下のとおりの記述がある。

--------------------------
原子力災害補償専門部会の答申(昭和34年12月)
「第3に、損害賠償措置によってカバーしえない損害を生じた場合には国家補償をなすべきである。損害賠償措置はそれによって確保される金額に限度があるだけでなく、現実の問題としては、種々の理由によって賠償義務の履行の確保として不十分な場合を生ずることを否定することができないが、かような場合には政府が補償を行ない、被害者の保護に欠けるところがないようにしなければならない。」
「第3は、損害賠償措置をこえる損害が生じたときにその超過額について国家補償を行なう場合である。この場合には、損害の発生について原子力事業者に故意または重大な過失があるときにのみ、政府は求償権を有するものとする。」
「国家補償については、原子力事業者に政令で定める基準により補償料を納付せしめる。その額については、原子力事故とりわけ損害賠償措置の額をこえるごとき損害を生ぜしめるような大事故の生ずるおそれがきわめて少ないことを考慮した上で、政府は、原子力産業の発展に関するその政策的立場から妥当な基準を定めるべきである」

原子力委員会内定「原子力災害補償制度の確立について」(昭和35年3月)
「(2)責任の限度
 原子力事業者の責任の限度額は、損害賠償措置の金額と国家補償額との合計額とする。」
「(2)損害賠償措置の金額を超える原子力損害が発生した場合においては、政府は原子力事業者に対し、財政事情の許す範囲内において、その超える部分の金額を交付し、第三者に対し賠償せしめる。」
-------------------------------


 このあと原子力事業者の限定責任論は、後退し、基本的に無限責任を前提として、国会で以下のような議論がさなれた。


--------------------------------
衆議院国会審議(昭和35年5月18日)
「○前田(正)委員 
 ただ、ここで一つお聞きしておきたいと思いますのは、原子力事業者が、なるほど保険でカバーできるものはもちろんでありますが、保険でカバーできないものに対しても、自分の許す範囲のことはやるべきであると思うのであります。しかし、原子力事業者は、それじゃ破産をするまで全部の負担をしていかなければ、政府は必要な援助をしないのか、こういうことが一つ問題でありまして、原子力事業者というものは、もし破産するまですべて責任を負わなければならぬのだということになってくると、事実上原子力事業者に対しましての原子炉の売買契約というものが、なかなか成立しにくいという問題が出てくるのではないか。だから、当然保険とか、あるいは国家補償ということでやることはやらなければならないし、また、原子力事業者自身も、自分でできる範囲のことはやらなければならぬと思いますが、突き詰めて、破産するまでやらなければ政府が必要な援助をしない、こういうことではないと思う。それでは、この第一条の目的の「原子力事業の健全な発達に資する」ということにはならないと私は思うのでありますが、これはどういうふうに解釈いたしますか、お伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 その点は、御趣旨の通りでありまして、第一条の「原子力事業の健全な発達」ということもこの法案の目的でございますから、原子力小業が健全に発達できないような措置は含まれないと解釈しております。たとえば、発電会社のような場合には、電気料金というものは、公益事業で統制されて、政府の認可を要するわけであります。電気事業者が勝手に上げるというわけには参らないものであります。そういう面からしましても、発電会社等の経営というものは、一定の限度があり、また、公共性があると思うのであります。そういう上から統制を受けておるものについて、会社が壊滅的打撃を受けて原子力事業が発達できないような措置を、この第十六条において期待しているものではないのであります。やはり国が料金を統制している以上は、ある程度原子力事業あるいは発電事業というものの健全な発注、あるいは大衆に迷惑がかからないようにするということも考慮の中に含まれているものでありまして、御趣旨の通りであるとわれわれは考えております。
○奧村(又)政府委員 これはむずかしいお尋ねでありまして、この法律では、損害が起こった場合に被害者の保護をはかり、それから原子力事業の健全な発達に資するという趣旨でありまして、被害者の保護という規定については、民間における損害に対する保険と、それから、それを補完する意味の政府の補償措置と、それでも足りない場合の第十六条の国の措置というものでありまして、それ以上に国としても、また、財政上の立場もありまして、何かはかに具体的にせよというお尋ねでありましょうが、私は、これで一応被害者と原子力事業者を守る規定は完備しておると思います。
○前田(正)委員 そういう意味じゃなしに、今、大臣から御答弁がありました通り、国が必要な援助を行なうというときには、原子力事業者というものは、保険とか政府の補償とか、あるいは自分で負担できる範囲のものは負担して、それでも足りないところは政府の必要な援助を受けるわけでありますけれども、しかし、原子力事業者が事業として成り立たない、破産をする程度までやらなければ、国は補償しないということではこの法律の目的を達しないから、やはり原子力事業の健全な発展に資するという程度において、国が必要な十六条の援助をする、こういうことでどうか。それは、今、大臣もその通りであるというような御答弁であったのですが、政務次官はどう考えるかということをお聞かせ願いたい。
○奧村(又)政府委員 先ほどの私の答弁は、少し言葉が足りませんでしたので、つけ加えて申し上げますと、原子力事業者が、第十六条の規定の場合に、破産してもかまわぬのかということでありますが、決してさようなことは考えておりません。つまり、第三章の損害賠償措置において、賠償措置が十分できない、その額をこえた場合において、原子力事業者に対して必要な援助を行なう援助の内容というものは、補助もあるし、貸付もあるし、融資もありますし、つまり、国の力を相当加えて、被害者に対しての援助を十分いたしますという意味でありますから、逆に言えば、原子力事業者を破産に追い込むまで、原子力事業者だけで被害者の損害を埋めろという意味を持っていない、こういう意味で、中曽根大臣の御答弁と同一でありますから、御了承願いたいと思います。」
-------------------------------

 この政府答弁では、要するに、原子力事業者の損害賠償責任は限定責任ではなく、無限責任であることを前提として、ただし、16条の「必要な援助」は、原子力事業者が全財産を支払った後に、それで足りなかった場合にみ、政府による援助ができる趣旨の規定ではないものとされている。また、その方法も、補助・貸付・融資等あり、国の力を相当加えて、被害者に対して賠償を確保する趣旨とされている。
 結局、原子力事業者を破産に追い込むということはしないにしろ、いついかなる条件のもとに、いかなる援助がなされるかは、内閣と国会の判断に、ゆだねられるとしか言いようがない。賠償措置額を超えるという異常な事態での処理スキームについては、今、しかるべき所で考えられているはずであるが、「被害者の保護」と「原子力事業の健全な発達」のためという法の趣旨に合致するいかなる処置も可能性としてはありうるはずで、東電がいきなり破産はしないまでも、東電がやっていた事業が、資本的に別の経営主体に引き継がれる可能性や、そうでないとしても国が賠償・補償した部分については、破産せず事業継続する以上、将来的に国家に返済する義務は免れないはずで、そういう意味では、東電は、倒産はしないが、全額賠償は最終的には免れないといえるのではなかろうか。ただし、このあたりは、法の解釈適用というより、政治的決着がありうる。
 4月11日現在、いまだ原発事故は収束に向かっておらず、損害が拡大を続けているのであり、JCO事故の100倍の損害とすると、1兆5千億円だろうし、それ以下かもしれないし、その何倍も拡大するかもしれないので、それらがある程度明確になってこないかぎり、処理スキームも確定しようがないはずである。今はまだそこまでたどりついていないものと思われる。


 なお、昭和45年11月に、3条の賠償責任を、無限責任から限定責任に改正しようとする動きがあったが、結局は、無限責任のままでいくことになった。以下のとおりである。

--------------------------
原子力損害賠償制度検討専門部会答申(昭和45年11月30日)
「(ロ)このような状況にかんがみ、わが国においても、被害者の保護および原子力事業の健全な発達を図るという目的からみて、これら諸外国の例を参考として原子力事業者の損害賠償責任を一定の額で制限するとともに、民間の責任保険等の措置額をこえる原子力損害については、適正な補償料を徴収することを前提とする政府の損害賠償補償契約(以下「国家補償」という。)の拡大により措置することが望ましい方向であると考えられる。
 これに関して、現行賠償法の国の援助の規定は、万一損害賠償措置額をこえる原子力損害が発生した場合の被害者の保護のための措置としては、必ずしも十分ではなく、むしろ、一定の額まで国家補償を拡大することが、被害者の保護という点においてもより確実な措置といえるのではないかという意見、さらに原子力事業者に無過失の損害賠償責任を集中していることとの均衡から考えても無限の損害賠償責任を課しておくことは酷ではないかという意見が強く述べられた
 この場合、諸外国の例にもかんがみ、原子力事業者の損害賠償責任をたとえば400億円程度で制限し、これをこえる原子力損害について、原子力事業者を免責にするとともに、その額までは民間の責任保険等の措置額で不足する分について国家補償により対処しようとするものである。
(ハ)しかし、このような制度を今直ちに現行賠償法を改正して導入すべきか否かについては、次のような慎重論も強かった。
 すなわち、わが国は、地続きで国境を接する欧州諸国とは事情を異にしているので、諸外国の原子力損害賠償制度に合致させなければならない緊急性に乏しいとともに、すでに現行の原子力損害賠償制度のもとにおいて原子力発電所等の建設、運転が続々と進められており、現在までのところ責任制限および国家補償の拡大をしなければ被害者の保護に欠ける原子力事業の健全な発達を阻害するような事態は起っておらず、また近い将来においても必ずしも起こるものとは考えられない。反面、今日、原子力事業者の損害賠償責任を一定の額で制限することは、原子力に対する国民感情あるいは最近の社会情勢からみて必ずしも適当とはいえない。また、万一民間の責任保険等の措置額をこえる原子力損害が発生した場合には、被害者の保護を図り、原子力事業の健全な発達を阻害することのないよう原子力事業者に対する国の援助の規定を十分に活用して、援助措置を講ずることにより対処しうるものと考えられる

(ニ)上記の両意見についてさらに検討した結果、当面現行賠償法どおりとするが、原子力事業者の責任制限および国家補償の拡大については、将来の課題として検討すべき問題であると考える。」
------------------------------

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

2011-04-11 : ■16条「必要な援助」国の措置 : コメント : 2 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

第16条の趣旨
「原子力損害賠償制度」(科学技術庁原子力局監修、平成3年)での第16条の解説では、次のようになっています。

(4) 被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資するというこの法律の二つの目的に照らして判断する趣旨である。損害の規模、事故発生の態様、原子力事業者の資力等、損害発生の際の具体的事清に応じて判断することとなろう。
(5) 必要であるかどうかは、政府の判定するところである。しかし、その判断は、この法律の目的の達成という基準のみに基づかなければならない。また、この判断に基づいてとった政府の措置は、国会に報告しなければならない(第19条第1項)。
(6) 援助とは、典型的には補助金の交付による原子力事業者の賠償損失の補償が考えられる。それほどの必要がないと認められる場合には、低利融資、融資についての利子補給、金融の斡旋等の形態も考えられよう。
(7) 損害が賠償措置額を超え、かつ、法律の目的の達成のために必要と認められるときは、必ず援助を行うものとする趣旨である。この点に関しては、立法時の国会における審議の過程で、当時の故池田科学技術庁長官は、「政府の援助は、この法律の目的、すなわち、被害者の保護を図り、また、原子力事業の健全な発達に資するために必要な場合には必ず行なうものとする趣旨であります。従って、一人の被害者も泣き寝入りさせることなく、また、原子力事業者の経営を脅かさないというのが、この立法の趣旨で」あると述べている。

第1条の目的によってのみ援助は判断されるというのが、立法時の趣旨であったということでしょう。また、(7)で引用されている池田正之輔の答弁を議事録から引用すると次のようになっています。

-衆-科学技術振興対策特別委…昭和36年04月12日

○齋藤(憲)委員 そこで、この援助をしてやるということから、どれだけの援助をしてもらえるか戸惑っておる原子力事業者もおるでしょうが、一体援助というものは、具体的にどういうことを意味するのか、援助というものを解剖して、はっきりしていただいた方が私はいいと思うのです。一つこれを御説明願いたい。
○杠政府委員 ただいまの御質問に対しましては、事柄が非常に重大なことでございますから、科学技術庁長官の方からお答え申し上げるつもりではございますが、事務当局としての解釈をまず申し上げておきます。
 解釈といたしましては、ただいま齋藤先生のお話の中に、たしか五十億円が原子力事業者の限度かのごとき御発言があったかと思うのでございますが、私がただいま御説明申し上げましたのは、保険においてめんどうを見るのが五十億円であるということを申し上げたのでありまして、五十億円をこえましても、原子力事業者というものは相変わらず無制限に責任を負う、従いまして、その人たちがどういうような資金の作り方をして第三者に補償をするか、これはいろいろなやり方があるだろうと思います。原子力事業者そのもののやりくりにおいていろいろあるだろうと思いますが、もしも五十億円の保険で足りない分を、いわば四苦八苦して作る際に、原子力事業者が破産してしまうかもしれない。そうすると、実際問題として払えなくなることもある。と同時に、原子力事業者の事業の円滑なる発展も期しがたいということになりますので、その際には国が援助する。その援助という意味の解釈ですが、援助の内容は、たとえば、補助金を原子力事業者に出すということ等が考えられるわけでございます。
○齋藤(憲)委員 その第十六条に「前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。」こういう第二項があって、これは必要な援助の内容を規定しておられるのだと思うのであります。ですから、その五十億円をこえて、なおかつ無限に原子力事業者が損害賠償の責めに任じなければならないというのを、それはあくまで追及したって原子力事業者がぶっ倒れる、だから、それ以上に及んだ原子力事業者が負うべきところの無限の損害賠償については、今度は国家が肩がわりをしてやる、しかし、国家が無限に肩がわりをするというわけにはいかないので、この第二項にある「国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。」こう私は規定してあるのだと思うのであります。ですから、これは、総括的に、総論的に「国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内」ということをいかに大臣に御質問申し上げても、御答弁をいただけないと私は思うんです。それは、そのつどに損害の状況というものは違うのだから、その起きた損害のそのつどの状況によって、国会に付与せられるところの権限というものは私は違ってくるのじゃないかと思うんです。けれども、大体普遍的に通用する条件というものがあるんじゃないか、それはやはりその損害の状況により、及び原子力事業者の資力ないしは立場というようなものを考えて、低利の融資を行なうとか、利子補給をしてやるとかなんとか、適切な道を講じて、原子力事業者も立っていくし、それから、一般被害者も一人としてこの原子力災害によって恨みを残すとか、泣き寝入りをするというようなことがないようにしてやるという立法精神を盛ったものではないか、こう思うのでありますが、その点に関しまして、これは重大な問題でありますから、一つ長官から御答弁をお願いしたいと思います。
○池田(正)国務大臣 これは、今、齋藤委員の御指摘になった通りでありまして、政府の援助は、この法律の目的、すなわち、被害者の保護をはかり、また、原子力事業者の健全な発達に資するために必要な場合には必ず行なうものとする趣旨であります。従って、一人の被害者も泣き寝入りさせることなく、また、原子力事業者の経営を脅かさせないというのが、この立法の趣旨でございます。

齋藤(憲)というのは、初代科学技術庁政務次官であった齋藤憲三で、「援助」という曖昧な表現を余儀なくされた16条の解釈については、国会答弁で明らかにしようとあらかじめ準備していたことが分かります。そして、逐条解説で引用されたということでしょう。
第2項の国会の議決についても、わざわざ次のように解説し、「援助」の範囲がこれにより限定されるものでないことを述べています。

(9) 第一項の援助が補助金の交付、利予補給等、財政支出を伴うものであれば、それについて国会の承認を要することは当然である。予備費使用によるときは、すでに予算編成時において事前に支出の権限を与えられているので、改めて国会の承認を得ることを要しないが、これも予備費ということで事前に国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内で行うことは当然である。予備費で足りない場合は、予算(補正予算)に組んで国会の議決を経て支出の権限を得ることとなる。要するにこの第二項は、当然の事柄を注意的に規定したものであって第一項に基づく政府の援助の範囲を限定しようとする趣旨のものではない
また、援助の形態として融資の斡旋等を政府が行う場合には、本来行政権の範囲内で可能な事柄であるから、改めて国会の議決によって授権される必要のないことは勿論である。
2011-04-26 13:12 : igovall URL : 編集
国家補償から援助となった背景
立法作業に入った後に大蔵省が国家補償を認めないと強固に主張したことにより、第16条は妥協策として「援助」に落ち着いたという経過があります。その状況について、星野英一が次のように説明しています。
「そもそも、わが原子力産業の発展のしかたが、諸外国とやや異なっている。アメリカのような私企業の強力な所は別として、どこの国でも、事故の危険性もあり、採算も短期的には問題のある事業に、私企業がそうたやすく飛びつくものではない。まず国が、長期的なエネルギー政策の見地から、開業を試み、次第に私企業におろしていくのである。私企業も、採算の問題のほか、損害賠償問題で躊躇するが、その点は国が十分めんどうを見てやるから、ということで、賠償法が整備される。ところが、わが国では、バスに乗り遅れまいとする考慮からか、各社が競って原子力産業に飛び付き、各々外国会社と結びついて激しい競争をしている。この状態のもとでは、外国のように『危険だが国の長期的な政策のためにやってくれ、その代わり最大の問題である損害賠償については安心してくれ』という論理にならず、『そんなにやりたいなら自分の負担で勝手にやれ』といわれても、反論のしようがないのである。もちろん、原子力産業担当官庁としては、そうではなく、諸外国と同じゆき方にするつもりであったろうが、その点国としての統一的な政策となるに至っていなかった。これは原子力産業界自体のいわばPRが足りなかったことにも由来する。」(民法論集第3巻「原子力災害補償」脚注)
2011-04-26 13:56 : igovall URL : 編集
Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

text2

Author:text2
原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

全記事のリスト表示

全ての記事を表示する

検索フォーム

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

QRコード

QR

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ニュース
1030位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
時事
447位
アクセスランキングを見る>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。