東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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【旧法】制定当時の原子力損害の賠償に関する法律

【旧法】制定当時

法律第百四十七号(昭三六・六・一七)

  ◎原子力損害の賠償に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 原子力損害賠償責任(第三条―第五条)

 第三章 損害賠償措置

  第一節 損害賠償措置(第六条・第七条)

  第二節 原子力損害賠償責任保険契約(第八条・第九条)

  第三節 原子力損害賠償補償契約(第十条・第十一条)

  第四節 供託(第十二条―第十五条)

 第四章 国の措置(第十六条・第十七条)

 第五章 原子力損害賠償紛争審査会(第十八条)

 第六章 雑則(第十九条―第二十三条)

 第七草 罰則(第二十四条―第二十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「原子炉の運転等」とは、次の各号に掲げるもの及びこれらに附随してする核燃料物質の運搬、貯蔵又は廃棄をいう。

 一 原子炉の運転

 二 加工であつて政令で定めるもの

 三 再処理であつて政令で定めるもの

 四 核燃料物質の使用であつて政令で定めるもの

2 この法律において「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。)の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう。ただし、次条の規定により損害を賠償する責に任ずべき原子力事業者の受けた損害及び当該原子力事業者の従業員の業務上受けた損害を除く。

3 この法律において「原子力事業者」とは、次の各号に掲げる者(これらの者であつた者を含む。)をいう。

 一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「規制法」という。)第二十三条第一項の許可(承認を含む。次号及び第三号において同じ。)を受けた者(同法第三十九条第五項の規定により原子炉設置者とみなされた者を含む。)

 二 規制法第十三条第一項の許可を受けた者

 三 規制法第五十二条第一項の許可を受けた者

 四 日本原子力研究所

 五 原子燃料公社

4 この法律において「原子炉」とは、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第四号に規定する原子炉をいい、「核燃料物質」とは、同法同条第二号に規定する核燃料物質(規制法第二条第七項に規定する使用済燃料を含む。)をいい、「加工」とは、規制法第二条第六項に規定する加工をいい、「再処理」とは、規制法第二条第七項に規定する再処理をいい、「放射線」とは、原子力基本法第三条第五号に規定する放射線をいう。

   第二章 原子力損害賠償責任

 (無過失責任及び責任の集中)

第三条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責に任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

2 前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質の運搬により生じたものであるときは、当該核燃料物質の受取人である原子力事業者がその損害を賠償する責に任ずる。

第四条 前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責に任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責に任じない。

 (求償権)

第五条 第三条の場合において、その損害が第三者の故意又は過失により生じたものであるときは、同条の規定により損害を賠償した原子力事業者は、その者に対して求償権を有する。ただし、その損害が原子炉の運転等の用に供される資材の供給又は役務(労務を含む。)の提供(以下「資材の供給等」という。)により生じたものであるときは、当該資材の供給等をした者又はその者の従業員に故意があるときに限り、これらの者に対して求償権を有する。

2 前項の規定は、求償権に関し特約をすることを妨げない。

   第三章 損害賠償措置

    第一節 損害賠償措置

 (損害賠償措置を講ずべき義務)

第六条 原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置(以下「損害賠償措置」という。)を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。

 (損害賠償措置の内容)

第七条 損害賠償措置は、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結若しくは供託であつて、その措置により、一工場若しくは一事業所当たり(原子炉を船舶に設置する場合にあつては、一隻当たり)五十億円(政令で定める原子炉の運転等については、五十億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとして科学技術庁長官の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であつて科学技術庁長官の承認を受けたものとする。

2 科学技術庁長官は、原子力事業者が第三条の規定により原子力損害を賠償したことにより原子力損害の賠償に充てるべき金額が賠償措置額未満となつた場合において、原子力損害の賠償の履行を確保するため必要があると認めるときは、当該原子力事業者に対し、期限を指定し、これを賠償措置額にすることを命ずることができる。

3 前項に規定する場合においては、同項の規定による命令がなされるまでの間(同項の規定による命令がなされた場合においては、当該命令により指定された期限までの間)は、前条の規定は、適用しない。

    第二節 原子力損害賠償責任保険契約

 (原子力損害賠償責任保険契約)

第八条 原子力損害賠償責任保険契約(以下「責任保険契約」という。)は、第三条の規定による原子力事業者の損害賠償の責任が発生した場合において、一定の事由による原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を保険者(保険業法(昭和十四年法律第四十一号)又は外国保険事業者に関する法律(昭和二十四年法律第百八十四号)に基づき責任保険を営むことができる者に限る。以下同じ。)がうめることを約し、保険契約者が保険者に保険料を支払うことを約する契約とする。

第九条 被害者は、損害賠償請求権に関し、責任保険契約の保険金について、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有する。

2 被保険者は、被害者に対する損害賠償額について、自己が支払つた限度又は被害者の承諾があつた限度においてのみ、保険者に対して保険金の支払を請求することができる。

3 責任保険契約の保険金請求権は、これを譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、被害者が損害賠償請求権に関し差し押える場合は、この限りでない。

    第三節 原子力損害賠償補償契約

 (原子力損害賠償補償契約)

第十条 原子力損害賠償補償契約(以下「補償契約」という。)は、第三条の規定による原子力事業者の損害賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業者が補償料を納付することを約する契約とする。

2 補償契約に関する事項は、別に法律で定める。

第十一条 第九条の規定は、補償契約に基づく補償金について準用する。

    第四節 供託

 (供託)

第十二条 損害賠償措置としての供託は、原子力事業者の主たる事務所のもよりの法務局又は地方法務局に、金銭又は総理府令で定める有価証券によりするものとする。

 (供託物の還付)

第十三条 被害者は、損害賠償請求権に関し、前条の規定により原子力事業者が供託した金銭又は有価証券について、その債権の弁済を受ける権利を有する。

 (供託物の取りもどし)

第十四条 原子力事業者は、次の各号に掲げる場合においては、科学技術庁長官の承認を受けて、第十二条の規定により供託した金銭又は有価証券を取りもどすことができる。

 一 原子力損害を賠償したとき。

 二 供託に代えて他の損害賠償措置を講じたとき。

 三 原子炉の運転等をやめたとき。

2 科学技術庁長官は、前項第二号又は第三号に掲げる場合において承認するときは、原子力損害の賠償の履行を確保するため必要と認められる限度において、取りもどすことができる時期及び取りもどすことができる金銭又は有価証券の額を指定して承認することができる。

 (命令への委任)

第十五条 この節に定めるもののほか、供託に関する事項は、総理府令・法務省令で定める。

   第四章 国の措置

 (国の措置)

第十六条 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者が第三条の規定により損害を賠償する責に任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。

2 前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。

第十七条 政府は、第三条第一項ただし書の場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。

   第五章 原子力損害賠償紛争審査会

 (原子力損害賠償紛争審査会)

第十八条 科学技術庁に、附属機関として、原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介を行なわせるため、政令の定めるところにより、原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)を置くことができる。

2 審査会は、次の各号に掲げる事務を処理する。

 一 原子力損害の賠償に関する紛争について和解の仲介を行なうこと。

 二 前号に掲げる事務を行なうため必要な原子力損害の調査及び評価を行なうこと。

3 前二項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営並びに和解の仲介の申立及びその処理の手続に関し必要な事項は、政令で定める。

   第六章 雑則

 (国会に対する報告及び意見書の提出)

第十九条 政府は、相当規模の原子力損害が生じた場合には、できる限りすみやかに、その損害の状況及びこの法律に基づいて政府のとつた措置を国会に報告しなければならない。

2 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力委員会が損害の処理及び損害の防止等に関する意見書を内閣総理大臣に提出したときは、これを国会に提出しなければならない。

 (第十条第一項及び第十六条第一項の規定の適用)

第二十条 第十条第一項及び第十六条第一項の規定は、昭和四十六年十二月三十一日までに第二条第一項各号に掲げる行為を開始した原子炉の運転等に係る原子力損害について適用する。

 (報告徴収及び立入検査)

第二十一条 科学技術庁長官は、第六条の規定の実施を確保するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し必要な報告を求め、又はその職員に、原子力事業者の事務所若しくは工場若しくは事業所(原子炉を船舶に設置する場合にあつては、その船舶)に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (通商産業大臣又は運輸大臣との協議)

第二十二条 科学技術庁長官は、第七条第一項の規定による処分又は同条第二項の規定による命令をする場合においては、あらかじめ、発電の用に供する原子炉に係るものについては通商産業大臣、船舶に設置する原子炉に係るものについては運輸大臣に協議しなければならない。

 (国に対する適用除外)

第二十三条 第三章、第十六条及び次章の規定は、国に適用しない。

   第七章 罰則

第二十四条、第六条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十五条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第二十一条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第二十一条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人その他の従業者が、その法人又は人の事業に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して九月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に規制法第二十三条第一項の許可を受けている者(同法第三十九条第五項の規定により原子炉設置者とみなされている者を含む。)については、この法律の施行の日から三月間は、第六条の規定は、適用せず、かつ、この法律の規定による改正前の規制法第二十三条第二項第九号に掲げる事項の変更の許可に係る同法の規定及び同法第七十八条第三号(同法第二十三条第二項第九号に係る部分をいう。)の規定は、なおその効力を有する。その期間内に第七条第一項の承認を申請した場合において、その申請について承認又は不承認の処分を受けるまでの間も、同様とする。

2 日本原子力研究所については、この法律の施行の日から三月間は、第六条の規定は、適用しない。前項後段の規定は、その期間内に日本原子力研究所が第七条第一項の承認を申請した場合について準用する。

 (科学技術庁設置法の改正)

第三条 科学技術庁設置法(昭和三十一年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  第九条第四号の次に次の一号を加える。

  四の二 原子力損害の賠償に関すること。

 (規制法の改正)

第四条 規制法の一部を次のように改正する。

  第二十条第二項に次の一号を加える。

  五 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第六条の規定に違反したとき。

  第二十三条第二項第九号を削る。

  第二十四条第一項第四号中「核燃料物質、核燃料物質によつて汚染された物」を「核燃料物質(使用済燃料を含む。以下同じ。)、核燃料物質によつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。以下同じ。)」に改め、同項第五号を削る。

  第二十六条第一項中「、第八号又は第九号」を「又は第八号」に改める。

  第三十一条第二項中「第五号並びに」を削る。

  第三十三条第二項に次の一号を加える。

  七 原子力損害の賠償に関する法律第六条の規定に違反したとき。

  第三十九条五項中「、第八号又は第九号」を「又は第八号」に改める。

  第五十六条に次の一号を加える。

  六 原子力損害の賠債に関する法律第六条の規定に違反したとき。

  第七十六条中「、第二十三条第二項第九号、第二十四条第一項第五号」を削る。

  第七十八条第三号中「、第八号又は第九号」を「又は第八号」に改める。

第五条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の施行後この法律の規定による改正前の規制法第二十六条第一項(同法第二十三条第二項第九号に係る部分をいう。)の規定がその効力を失う前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(内閣総理・法務・大蔵・通商産業・運輸大臣署名) 
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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