東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■2条「原子力損害」の意味・範囲 その5 風評被害2 東海村JCO臨界事故事件

■2条「原子力損害」の意味・範囲 その5 風評被害2 東海村JCO臨界事故事件

 平成11年9月30日に発生した東海村JCO臨界事故に関して、原子力損害調査研究会の最終報告書(平成12年3月29日)には、営業損害の一種として風評被害の賠償指針として以下のような記述がある。

--------------------------------------
7[営業損害]
(指針)
調査・検討の対象とした損害項目
I)  茨城県内で収穫される農畜水産物及びこれらに関連する営業であり、広く茨城県県外を商圏とするものについては、生産あるいは営業の拠点が茨城県内にあり、取引の性質から相手方等が取引拒絶等の行動に及ぶこともやむを得ないものと認められ、現実に減収のあった取引について、事故調査対策本部の報告(平成11年11月4日)及び住民説明会(同年11月13,14日)等によって、正確な情報が提供され、かつこれが一般国民に周知されるために必要な合理的かつ相当の時間が経過した時点(同年11月末)までの期間に生じた減収分(売上高から売上原価を控除した売上総利益=粗利益の額)が損害と認められる。
II)  上記I)以外の営業については、営業の拠点が屋内退避勧告のなされた区域内にあり、取引の性質から相手方等が取引や利用の拒絶等の行動に及ぶこともやむを得ないものと認められ、現実に減収のあった取引について、事故調査対策本部の報告(平成11年11月4日)及び住民説明会(同年11月13,14日)等によって、正確な情報が提供され、かつこれが一般国民に周知されるために必要な合理的かつ相当の時間が経過した時点(同年11月末)までの期間に生じた減収分(売上高から売上原価を控除した売上総利益=粗利益の額)が損害と認められる。
(備考)
1)  研究会が公表した「中間確認事項―営業損害に対する考え方―」(別添2)で記載したとおり。すなわち、
(1)少なくとも、
ア) 事故調査対策本部の報告(平成11年11月4日)及び住民説明会(同年11月13,14日)等によって、正確な情報が提供され、かつこれが一般国民に周知されるために必要な合理的かつ相当の時間が経過した時点(同年11月末)までに生じた現実の減収分であること
イ)屋内退避勧告がなされた区域内のものであること
ウ)平均的・一般的な人を基準として合理性のあるものであること
の3点を満たすものについては、特段の反証のない限り、事故との間に相当因果関係があると推認される。
(2)さらに、上記要素を満たさない場合においても、請求者による個別・具体的な立証の内容及び程度如何では、相当因果関係が肯定される場合がある
2)  売上総利益(粗利益)の算定については、当該請求者の決算書類等に基づいて行われることを原則とすべきであるが、大量・迅速処理を行う必要から、必要な範囲で統計的資料を併用することもやむを得ないものと考える。
3)  なお、損害として認められる場合であっても、賠償すべき損害額の算定にあたっては、損失の公平かつ適正な分担を図る見地から、具体的な事実関係に応じて、過失相殺や原因競合等の法理論を適用すべき場合(例えば、その性質から廃棄の必要性が認められない商品等を軽率な判断で廃棄してしまったために営業活動に支障が生じた場合など)もあり得る。

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 これは東海村JCO臨界事故での指針であり、今回の福島第一原発事故と同様に考えうるのかは別であろう。

 まず、JCO事件の場合、関係者6名が業務上過失致死罪で起訴され有罪判決がなされるほど、事業者側の過失が明白であり、しかも、災害等の自然力の働きがなく、100%人災といえる事件であったことである。
 またwikiには、JCO事件では、「臨界状態を収束させるための作業を行った関係者7人が年間許容線量を越える被曝をし、事故の内容を十分知らされずに、被曝した作業員を搬送すべく駆け付けた救急隊員3人の2次被曝が起こった。最大120ミリシーベルトの被曝で、50ミリシーベルトを超えたものは6名だった。さらに周辺住民207名への中性子線等の被曝も起こった。最大は25ミリシーベルトで、年間被曝線量限度の1ミリシーベルト以上の被曝者は112名だった。被曝者総数は、事故調査委員会で認定されただけで667名であった」とある。放射性物質の漏出量が多い今回の福島第一の事故は、これを上回る大規模なものになりそうである。
 JCO臨界事故では、8000名ほどが被害を申し出て、JCOはうち6000名ほどと和解し最終的に約7000件が実際の賠償の対象となり、合計150億円ほど支払ったらしい。このときJCO側には賠償能力が不足し、親会社である住友金属鉱山による資金支援がなされたとのことである。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/007/gaiyou/1279826.htm

【比較】
・自然災害の関与
 JCO事故  →×なし 100%人災
 福島第一事故 →○あり 天災が起点。自然力競合による割合的減責論の余地

・原子力事業者の過失
 JCO事故  →○明白
 福島第一事故 →△これから?

・被害者の数
 JCO事故  →小 1万人以内
 福島第一事故 →大 数万人から数十万人?

・損害の種類の多様性
 JCO事故  →小
 福島第一事故 →大

・損害発生期間、時間的広がり
 JCO事故  →小 安全宣言まで2ヶ月程度
 福島第一事故 →大 安全宣言まで?

・損害発生期間、空間的広がり
 JCO事故  →小 概ね茨城県内
 福島第一事故 →大 福島県外に及ぶ
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2011-04-09 : ・風評被害 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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