東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■3条1項但書の「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」とは その4 予見可能性

■3条1項但書の「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」とは その4 予見可能性

 下に示したのは,平成21年6月と7月の経済産業省総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会での議論の抜粋である。活断層・地震研究センター長岡村行信氏が,東電側の出席者に貞観地震の評価が軽すぎる点や,連動型地震の可能性を何度も指摘するも,東電側としては,さほど危険視する必要がないとの認識であったようだ。
 結果的にはそれが甘かったわけで,以下のような研究者の指摘があった以上,東電側に予見可能性が全くなかったとまでは言えないのではないか。

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総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会
耐震・構造設計小委員会 地震・津波、地質・地盤
合同WG(第32回)議事録
日 時:平成21年6月24日(水)10:00~12:30
場 所:経済産業省別館10階 各省庁共用1028号会議室
出 席 者: 主 査 纐纈 一起 委 員 安達 俊夫 吾妻 崇 阿部 信太郎 岩下 和義 宇根 寛 岡村 行信 衣笠 善博 駒田 広也 杉山 雄一 高島 賢二 古村 孝志 

○纐纈主査 岡村先生どうぞ。
○岡村委員 まず、プレート間地震ですけれども、1930年代の塩屋崎沖地震を考慮されているんですが、御存じだと思いますが、ここは貞観の津波というか貞観の地震というものがあって、西暦869年でしたか、少なくとも津波に関しては、塩屋崎沖地震とは全く比べ物にならない非常にでかいものが来ているということはもうわかっていて、その調査結果も出ていると思うんですが、それに全く触れられていないところはどうしてなのかということをお聴きしたいんです。
○東京電力(西村) 貞観の地震について、まず地震動の観点から申しますと、まず、被害がそれほど見当たらないということが1点あると思います。あと、規模としては、今回、同時活動を考慮した場合の塩屋崎沖地震でマグニチュード7.9相当ということになるわけですけれども、地震動評価上は、こういったことで検討するということで問題ないかと考えてございます。
○岡村委員 被害がないというのは、どういう根拠に基づいているのでしょうか。少なくともその記述が、信頼できる記述というのは日本三大実録だけだと思うんですよ。それには城が壊れたという記述があるんですよね。だから、そんなに被害が少なかったという判断をする材料はないのではないかと思うんですが。
○東京電力(西村) 済みません、ちょっと言葉が断定的過ぎたかもしれません。御案内のように、歴史地震ということもありますので、今後こういったことがどうであるかということについては、研究的には課題としてとらえるべきだと思っていますが、耐震設計上考慮する地震ということで、福島地点の地震動を考える際には、塩屋崎沖地震で代表できると考えたということでございます。
○岡村委員 どうしてそうなるのかはよくわからないんですけれども、少なくとも津波堆積物は常磐海岸にも来ているんですよね。かなり入っているというのは、もう既に産総研の調査でも、それから今日は来ておられませんけれども、東北大の調査でもわかっている。ですから、震源域としては、仙台の方だけではなくて、南までかなり来ているということを想定する必要はあるだろう、そういう情報はあると思うんですよね。そのことについて全く触れられていないのは、どうも私は納得できないんです。
○名倉安全審査官 事務局の方から答えさせていただきます。
産総研の佐竹さんの知見等が出ておりますので、当然、津波に関しては、距離があったとしても影響が大きいと。もう少し北側だと思いますけれども。地震動評価上の影響につきましては、スペクトル評価式等によりまして、距離を現状の知見で設定したところでどこら辺かということで設定しなければいけないのですけれども、今ある知見で設定してどうかということで、敷地への影響については、事務局の方で確認させていただきたいと考えております。多分、距離的には、規模も含めた上でいくと、たしか影響はこちらの方が大きかったと私は思っていますので、そこら辺はちょっと事務局の方で確認させていただきたいと思います。あと、津波の件については、中間報告では、今提出されておりませんので評価しておりませんけれども、当然、そういった産総研の知見とか東北大学の知見がある、津波堆積物とかそういうことがありますので、津波については、貞観の地震についても踏まえた検討を当然して本報告に出してくると考えております。以上です。
○纐纈主査 やはり地震動も、少なくとも検討したということはないとまずいと思いますけれども、そのようにお願いしたいと思います。宇根先生どうぞ。

(別の委員による別の議論つづく)

○纐纈主査 岡村先生。
○岡村委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、海溝型地震で、塩屋崎のマグニチュード7.36程度で、これで妥当だと判断すると断言してしまうのは、やはりまだ早いのではないか。少なくとも貞観の佐竹さんのモデルはマグニチュード8.5前後だったと思うんですね。想定波源域は30少し海側というか遠かったかもしれませんが、やはりそれを無視することはできないだろうと。そのことに関して何か記述は必要だろうと思います。

(別の議論へいって閉会)







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総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会
耐震・構造設計小委員会 地震・津波、地質・地盤
合同WG(第33回)議事録
日 時:平成21年7月13日(月)14:00~16:30
場 所:経済産業省別館10階 各省庁共用1028号会議室
出 席 者: 主 査 纐纈 一起 委 員 阿部 信太郎 伊藤 洋 岡村 行信 衣笠 善博 駒田 広也 杉山 雄一 高島 賢二 高田 毅士 古村 孝志 翠川 三郎 山本 博文 吉中 龍之進

○東京電力(西村) 東京電力西村と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、引き続きまして2点目のコメント回答でございます。
前回のワーキングの会合におきまして、プレート間地震の検討を行う際に、869年の貞観の地震を考慮すべきではないかという御意見をいただきました。
本日、御説明は2点ございまして、1点目は、まず、平成20年3月に私どもから中間報告書を提出したわけですが、その際にどのように考えてきたかということについて御案内申し上げます。それから、2点目でございますが、その中で「日本被害地震総覧」という文献に基づいて諸元を設定しているわけですけれども、それのほかに、前回御質問いただいた佐竹さんほかの論文もあるということもありましたので、こういったものを考えた場合、基準地震動Ssに対してどういった影響があるかということについて検討してまいりましたので、その内容について御説明申し上げます。

(東電側のシミュレーション説明が続く)

被害地震総覧で諸元の幅を考慮する際には陸に近づけばマグニチュードは小さ目になると考えられますが、ここでは、仮に目いっぱい近づけた上でマグニチュードを大きくすることを考えた場合どうなるかということを併せて示しております。その際、佐竹さんほかが提案されている波源モデルの耐専スペクトルのレベルに対して、ほぼ同じか、比較して若干小さめになっていることがわかります。
以上ですが、あとは参考文献ということでございます。説明は以上です。

○纐纈主査 ただいまの御説明に御質問等ございましたらお願いいたします。岡村先生。

○岡村委員 貞観ですけれども、確かに地震動をどういうふうに推定するかというのは難しいとは思うんですが、ここでは佐竹ほか(2008)の断層モデルをそのまま、そこから地震動を計算されているんですが、そもそもこういう地震って何なんだということを今の知見で考えると、やはり連動型地震と言われているものだろうと考えるのが妥当だと思うんですね。それは、17世紀ですか、千島海溝で起こったとか、2004年のスマトラ沖地震がそういうものに相当すると考えているわけですけれども、そういう地震というものは、要するにもう少し短い間隔で普通に起こっている震源域が、複数の震源域が同時に破壊する、そういうことで起こるのだろうと言われているわけですね
そういうふうに考えると、やはりここは、塩屋崎沖地震というものが1つある。もう少し北に行くと宮城県沖地震というものもある。そこをまたぐようなところでこの貞観の地震というものは考えざるを得ない。津波の情報だけではですね。そうすると、やはり今わかっている震源域のところは連動の範囲に含まれるのではないかと考えるのが、今の知識では妥当かなと私は思うんですよね。だから、これだとちょっと外れますよね。塩屋崎沖地震よりちょっと遠いところに貞観の震源モデルを考えて、それとは別のものだというイメージで今、話をされているんですけれども、別にしていいとはなかなか考えにくいのではないかと私は思います。
○纐纈主査 いかがでしょうか。
○東京電力(西村) 御指摘ありがとうございました。それぞれの地震をどのように同時活動させるかということは、なかなか難しいところだと我々思っているところですが、まずここで申し上げたいのは、塩屋崎沖自体が、それぞればらばらだったものを、同時活動を見るということを今回やっているということ、それから、貞観の地震も、波源モデルということもありますので、本来、もう少しばらばらしていたのかもしれないということはあるかと思いますが、仮にこういったものを考えた場合、目いっぱい見たとしてもということで今回ちょっと見てみたということです。
御指摘のように、例えば今回の貞観の地震と塩屋崎沖をつなげるかどうかということについては、ちょっと我々もそこまでできるかどうかというところがまだ十分な情報がないのかなと思いますが、そうは申しましても、今回ごらんいただきましたように、まず、こういったそれぞれの地震を考えても、Ssのレベルから考えますと、まだ余裕があるということを踏まえてこのようにさせていただいていると考えています。
ただ、まとめの中でも申し上げましたように、貞観の地震についてはまだ情報を収集する必要があると認識しておりますので、引き続き検討は進めてまいりたいと思ってございます。
○纐纈主査 岡村先生、よろしいですか。

(略)

○名倉安全審査官
今回、この貞観地震の記載を追加することによりまして、39ページから参考文献を記載しておりますけれども、その次の40ページに佐竹ほか(2008)の文献ということで記載させていただいております。

(中間報告修正差分等の説明つづく)

○纐纈主査 どうぞ、御意見ありましたら。岡村先生。
○岡村委員 最初の中間報告の案で、また貞観の話ですけれども、どちらも23ページに貞観のことが書いてあって、ここでは、新たな知見の波源モデルを震源断層と仮定した上で地震動を計算したと。それで、小さいということしか書かれていないんですね。先ほど私が申し上げたのは、それでは足りないのではないですかということを申し上げたつもりで、要するに塩屋崎沖地震、それも連動させているということですけれども、貞観はそれ全体を含むものである可能性があるということなので、それで十分とは思っていないというつもりで言ったんです。それは、東京電力さんも、それでまた検討するとお答えになったと私は理解したので、そのことを少し何か検討していただきたいと思います。
○名倉安全審査官 済みません、逆にお聴きしたいのは、これは、今さまざまな研究機関において、こういった知見をいろいろと、調査結果が今どんどん得られているような状況でありまして、今後、いろいろな知見が得られていく中で、その時々に応じた対応をすべきということであるのか、それとも、今の中間報告における検討の中でそれをやるべきとおっしゃられているのか、そこのところはどちらということで理解すればよろしいでしょうか。
○岡村委員 この中間報告の性格をどう考えるかだと思うんですね。ただ、現状でわかっていることは、先ほど申し上げたことなわけですね。そこからどういう地震動が考えられるかということは、まだ研究としては全く行われていない話ではありますけれども、ただ、そういう海溝型地震に関する知見というものを考えると、それなりのものを考えるべきではないかというのが私の意見です。だから、それをここに入れていただけるのかどうかということだと思います。だから、地震動に関しては、よくわかっていないということもありますから、今後検討するということでもいいのかもしれないですけれども、ただ、実際問題として、この貞観の時期の地震動を幾ら研究したって、私は、これ以上精度よく推定する方法はほとんどないと思うんですね。残っているのは津波堆積物ですから、津波の波源域をある程度拘束する情報はもう少し精度が上がるかもしれないですが、どのぐらいの地震動だったかというのは、古文書か何かが出てこないと推定しようがないとは思うんですね。そういう意味では、先延ばしにしても余り進歩はないのかとは思うんですが
○名倉安全審査官 今回、先ほど東京電力から紹介した資料にもありましたけれども、佐竹ほか(2008)の中で、当然、今後の津波堆積物の評価、それは三陸の方もありましたが、それから、多分、南の方も今後やられる必要があると思いますが、そういったものによって、位置的なものにつきましては大分動く可能性があるということもありますので、そこら辺の関係を議論するためのデータとして、今後得られる部分がいろいろありますので、そういった意味では、今、知見として調査している部分も含めた形でやられた方が信頼性としては上がると私は思っていますので、そういう意味では、その時々に応じた知見ということで、今後、適切な対応がなされることが必要だと思います。その旨、評価書の方に記載させていただきたいと思います。
○纐纈主査 よろしいですか。
高島先生。
○高島委員 今の問題なんですけれども、例えば南海トラフなどでは、例えば宝永地震のときには、東海、東南海、南海が大体一緒に動いていたと。常にその様に震源域が壊れているわけではないわけですね。それで連動とおっしゃっていると思うんですけれども、そのときの地震動はどうなるか。浜岡については3つと2つと1つとそれぞれ計算していますよね。そういう御趣旨の指摘かと思ったんですけれども、佐竹先生ほかが書いているこのペーパーを知見と呼ぶのはどうかという気がします。文献や論文の類だと思うんです。知見というのはもう少し広く、属性的に明らかになったときに呼ぶのかなという気がしたんですが、表記上どうなんでしょうか。
○纐纈主査 ただ、連動させてしまうと、多分、佐竹ほかの結果によれば、津波の結果に合わなくなってしまうんですよね。
○岡村委員 このモデルは、津波堆積物の分布域まで津波が浸水するというか、それを説明するためのモデルなんですよ。要するに、どこにおいても滑り量とかいろいろファクターを変えていけば、ある程度のものはできるわけですよね。ですから、福島沖を含むようなモデルで、例えばもう少し幅を狭くするとか、沖側の部分をもう少し狭くするとかというような形で延ばせば、多分、津波の浸水域を合わせることはできると思うんですよね。このモデルをつくるときにはいろいろなファクターがありますから。
○纐纈主査 多分おっしゃるとおりだと思いますが、それだと、常識的なスケーリングとかなり離れてしまうので、地震動のモデルとしてはあり得ないものになってしまうのではないかと思いますけれども。
○岡村委員 それは、そこまで断言できるほど解析されているのかわからないですが、どうしてそういうふうに思われるわけでしょうか。
○纐纈主査 断層面サイズが大きくなれば、滑り量もそれに比例して当然大きくなりますから。
○岡村委員 いやそれほど、このモデルも、例えば大体同じ範囲で、5m、7m、10mといういろいろな計算をしているわけですよね。そのぐらいの差でかなり変わってくるということですから、私は、一応、モデルはみんな議論しましたけれども、少しずらして震源域を含むような形にすること自体はできるのではないかと思います。それは、やってみないとわからないですが。
○纐纈主査 御本人がそうおっしゃっているのでは、そのとおりかもしれません。
○名倉安全審査官 事務局からよろしいですか。
今回の中間報告におきましては、東京電力の方は津波の評価をまだ提出しておりません。そういうこともありまして、本報告で津波のところもやってくるはずですし、その中で、こういった知見も踏まえた場合の評価といったものが一体どういうふうにできるのか。その場合に、東京電力が設定した津波の解析条件ではありますけれども、そういったものに対して、津波堆積物のところ、要は得られているところの結果、そこら辺、ちょっと検討できるかどうかということはありますが、少しそういったもの、津波の波源を設定するときの考え方等との整合性もとった上で、地震動評価上何か影響があるのかという位置付けの検討は、少し必要なのかなと思っております。
○纐纈主査 何らかの記述をいただくということで御納得いただいたということでよろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。高島先生。

(別の議論がつづく)

○岡村委員 あともう一点、またしつこいようですけれども、貞観ですが、貞観をどう扱うかというのは、やはりここも先ほどの福島と同じような問題があると思いますので、そこに全く触れないというのはちょっとどうかと思うんですけれども。
○東北電力(広谷) 貞観の地震につきましては、一応、中間報告書の方にも、この地震が海洋プレート内地震か、もしくはプレート間地震であった場合、敷地に与える影響という形で、簡単な記載はしてございます。ただ、やはり先ほどの佐竹ほかに対しまして直接的な記載は特にしておりません。
先ほど、東京電力さんの方から説明がありましたけれども、仮に佐竹ほかモデルに対しましてモデル8とかモデル10というものがありましたが、等価震源距離的に見ますと、この2つの断層についてはやはり女川と福島とほぼ同じようなところに位置しておりますので、今後、福島で検討されるようなことにつきましては、女川についても同じように鋭意検討していく必要があると考えてございます。

(別の議論へ行き閉会)
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なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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