東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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・設置関係資料 その24 福島原発事故調査・検証委員会 中間報告

・設置関係資料 その24 福島原発事故調査・検証委員会 中間報告


http://icanps.go.jp/post-1.html
http://icanps.go.jp/111226Honbun6Shou.pdf


●中間報告のおもしろ箇所


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384頁以下

b 改訂耐震設計審査指針
 平成18 年9 月19 日に改訂された耐震設計審査指針では、津波に関しては、施設の周辺斜面の崩壊等とともに地震随伴事象として、「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」を「十分考慮したうえで設計されなければならない。」と記述されており、これが全てである。発電用原子炉施設の設計に当たり、必ず津波の影響を考慮するものとした初の指針であった。
 安全委員会事務局で本指針の改訂作業を担当した当時の課長は、当委員会によるヒアリングに対し、安全設計審査指針では、津波を最も過酷な自然現象の例として挙げているだけで、必ず津波を考慮すべきとは読めないため、改訂指針において頭出しをする必要があったとしている。
 この「極めてまれ」以下の表現ぶりは、同指針中で地震動に関して「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動」を適切に策定して耐震設計を行うこととしたことと表現ぶりを合わせたものとのことだが、津波に関して「極めてまれ」の意味するところについては具体的には書かれていない。なお、地震動に関しては、「設計上考慮する活断層として、後期更新世以降の活動が否定できないものとする。」(後期更新世以降とは、13 万年から12 万年前以降をいう。)との記述がある
 津波水位の評価方法や津波に対する安全設計の考え方についても、具体的な記述はない。
改訂指針では、地震学的見地からは策定された地震動を上回る強さの地震動が生起する可能性は否定できず、「残余のリスク」が存在することも初めて明記された。ただし、残余のリスクについては、改訂指針の「基本方針」の項に記載され、基本方針としては「・・・と想定することが適切な地震動による地震力に対して、その安全機能が損なわれることがないように設計されなければならない。」としているのに対し、残余のリスクについては同項の解説の中で策定地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことによって生ずる様々なリスクとして記述されており、必ずしも想定津波を超える高さの津波等の地震動以外の地震力に起因するリスクを含む概念であるとは明記されていない

c 耐震設計審査指針改訂に係る主な議論等
 平成13 年7 月10 日の第1 回耐震指針検討分科会において、NUPEC の取りまとめた「平成12 年度原子力施設の耐震安全性に関する調査成果報告書」が資料として提出され、安全設計審査指針に基づいて安全性評価の行われている津波に関して、津波評価法の標準化の検討が土木学会で進められていること及び前記(2)のとおり関係省庁が津波評価の検討を行い「地域防災計画における津波対策強化の手引き」をまとめたことが紹介され、さらに口頭で津波に関する今後の検討の方向性としては、同報告書で記載されたものは特にないことが申し添えられている。このことについて特段の議論はなかったが、事務局として、検討の当初から津波評価が視野に入っていたことがうかがえる。
 平成13 年10 月30 日の第3 回分科会で、事務局より検討すべき項目の分類・整理案が提案され、検討すべき22 項目中、地震による二次的影響という項目の中で津波の評価方法が挙げられている。具体的には、地震による津波の影響を評価するための具体的な指針を明記すべきこと及び津波に関する安全性に関して①過去の津波評価、②津波シミュレーションによる評価、③設計津波高さの想定、④引き波に関する安全性等の検討が必要ということが挙げられている。
 その後、分科会の下に基本ワーキンググループ、施設ワーキンググループ及び地震・地震動ワーキンググループの三つのワーキンググループが置かれて議論が引き継がれ、津波を含む地震随伴事象に関しては、平成15 年2 月13 日の第6 回及び3 月20 日の第7 回の地震・地震動ワーキンググループにおいて議論が行われた。
 第6 回地震・地震動ワーキンググループでは、事務局より津波に対する安全性評価に関する資料が提出され、安全設計審査指針等の記述に基づく当時の基本的考え方、津波水位評価方法及び土木学会の津波評価技術について説明がなされた。
 これに対して様々な議論がなされたが、その一つとして、民間学協会が策定した手法を安全審査で採り入れようとしたときにどのようなプロセスを踏んで採り入れるのかというものがあった。これに対し、事務局からは、津波評価技術について、「『地域防災計画における津波対策の手引き』の取りまとめ等に関与した人々が参加して、民間手法としてある程度オーソライズされたものであり、教科書的な手法がない中では安全審査に使えるのではないか。」、また、「今後社団法人日本電気協会の電気技術指針等に反映されるのであろうが、その際にはパブリックコメント手続も含めて透明性の高い審議プロセスが取られるので、これを参考に安全審査できるのではないか。」といった回答がなされている。津波評価技術で示された津波の評価方法について、事務局担当者は、当委員会によるヒアリングに対し、既往津波の2 倍を超える波高程度に計算される方法であり、良いものではないかと単純に思っていたと述べている。
 また、他の議論として、土木学会の方法には津波の高さの評価は書かれているが、そのような津波に対して施設が安全かどうかの評価については書かれていないことや、津波水位のシミュレーションを行うに当たり、そもそも津波の何が原子力発電所のどこをどのように安全性を損なうおそれがあるのかを押さえるべきといった指摘があった。この点については、次の会合の際に追加資料を出すこととされたが、関連して、原子炉が停止した後でも崩壊熱の除去が必要で、どんなルートを通ってでも最後は海水に熱を逃がすことのできる設備の機能が維持されなければならないといった指摘がなされた。
 第7 回地震・地震動ワーキンググループでは、追加資料が事務局から出され、「止める」・「冷やす」・「閉じ込める」の機能のうち、津波は「冷やす」の部分に影響を与え得ること、非常用海水ポンプは耐震As クラスとして設計されており地震動への心配はないが、海抜の低いところに設置されることが多いため津波を考慮する必要があり、水密性を確保させることなどで安全審査を通した例があること等の説明があった。これに対し、安全審査に当たり、各原子力発電所でどこに津波に関する話が明示されているのか、原子炉設置許可申請書等に津波の話は出てこないではないかといった質問があり、指針上全く書かれていないわけではなく、申請書上も添付書類の水理のところで記述があるが、細かいことは書かれていないというイメージであること、津波に対する評価については、安全審査の中だけではなく、詳細設計の段階も含めて個別に審査されていることが確認された。
 この回の最後の方で、ある委員から、津波が本当に大切な問題と捉えるならば、この場で議論して安全委員会として津波に対する安全審査指針を作ればよいし、そうでないなら、今のところは行政庁に任せ、詳細設計の中で見ていけばよいといった発言があった。これに対し、グループリーダーは、今日はそこまで踏み込んだ議論をするつもりはなく、今後指針を検討する場合に、このような観点が非常に重要になろうというコメントで議論を取りまとめた。当該グループリーダーは、ワーキンググループは、意思決定の場というよりも、分科会のための議論の整理を行う場という役割分担であると事務局から聞かされており、それに従ったとの供述が得られている。
 これら2 回の議論以降、津波についてはワーキンググループで議論はなされず、平成16 年5 月26 日の第9 回耐震指針検討分科会で、地震・地震動ワーキンググループでの検討状況が報告された際にも、第7 回ワーキンググループで結論が持ち越された議論のまま両論併記の形で資料が作成された。耐震指針検討分科会では、この後津波に関して特に議論はなされなかった。
 ワーキンググループでの議論からかなり後になって、平成17 年12 月28 日の第34 回耐震指針検討分科会において、事務局より、津波の安全性評価に関する部分を含む改訂耐震設計審査指針の文案が提示された。その後、津波については多少の文言修正は行われたが、いずれの回も目立った意見はなかった。
 全体を通じて、津波に関して「極めてまれ」という文言や「残余のリスク」の意味合いに関する議論はなされなかった。「極めてまれ」の意味するところについては、地震動評価で対象としている活断層の活動期間である後期更新世以降に、1 回でも活動があるような地震による津波ならば対象に含まれるとイメージする関係者が少なからず存在した。しかし、数値シミュレーションは文献記録のある数百年前以降に起こった津波のデータから行うものであり、どの程度の期間に起きた津波が対象となるかについて、認識のギャップが存在した。
 「残余のリスク」についても、当委員会によるヒアリングに対し、当時の地震・地震動ワーキンググループのグループリーダーは、新指針の基本方針で、それに対し安全機能が損なわれることのないよう設計しなければならないとした「地震力」には津波の影響も含まれると主張するが、前記のとおり、残余のリスクについては、策定地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことによって生ずる様々なリスクとして記述されており、必ずしも想定津波を超える高さの津波によるリスクを含むとは読めない表現ぶりにとどまっている。
 なお、当委員会によるヒアリングに対し、当時の地震・地震動ワーキンググループのグループリーダーは、「基本ワーキンググループには参加したが施設ワーキンググループには参加しておらず、施設側の議論の雰囲気は分からなかった。また、耐震指針検討分科会の主査とも、あまり頻繁に会って話をするというようなことはなかった。」と述べている



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439頁以下

(6)自然災害等についての事前対策
a 東京電力における自然災害等についての事前対策
 東京電力は、原子炉施設における地震、津波等の自然災害等を想定した上で、安全委員会が策定した安全設計審査指針、耐震設計審査指針等を踏まえ、原子炉施設が当該自然災害等に十分耐えられるような設計をし、それ自体が自然災害等への対策であるとの立場をとってきた。また、既設の原子炉施設については、耐震バックチェック等を通じて、改めて自然災害等に十分耐えられるかどうかを調査し、それへの耐性が十分でない場合には必要と考える対策工事を行うことにより対処してきた。社内でのかかる事前災害の想定、設計等は、原子力設備管理部原子力耐震技術センター(平成23 年2 月、新潟県中越沖地震対策センターから改称。以下「耐震技術センター」という。)等が担当していた。
 しかしながら、東京電力は、かかる事前の想定を超えた自然災害等が発生した場合のSA への対処方策を検討することまではしていなかった。当委員会によるヒアリングに対し、武藤栄顧問(取締役副社長兼原子力・立地本部長等を歴任)、小森明生常務取締役(元原子力・立地副本部長(原子力担当))(以下「小森常務」という。)及び吉田昌郎福島第一原発所長(元原子力設備管理部長)(以下「吉田所長」という。)を始めとする幹部や耐震技術センターのグループマネージャーらは、皆一様に、「設計基準を超える自然災害が発生することや、それを前提とした対処を考えたことはなかった。」旨述べたが、設計基準を超える自然災害が発生することを想定しなかった理由について明確な説明をした者はおらず、「想定すべき外部事象は無数にあるので、外部事象を想定し始めるときりがない。」旨供述した幹部もいた。吉田所長は、「平成19 年7 月の新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原発において事態を収束させることができたことから、ある意味では設計が正しかったという評価になってしまい、設計基準を超える自然災害の発生を想定することはなかった。」旨述べており、かかる供述は、東京電力において、設計基準を超える自然災害が発生することを想定した者がいなかったことの一つの証左といえる
 また、事前の想定を超えた自然災害が発生した場合のSA への対処方策の策定に当たっては、ある特定の部署だけが検討するのでは不十分であり、総合的、横断的な検討が必要となるところ、小森常務は、この点につき「自然災害への対策を検討するという見地から新潟県中越沖地震対策センターを新設したのであるが、同センターにおいても、後記bのとおり、ワーキングが立ち上げられるまでは横断的な検討がなされていなかったようであり、今になって指摘されれば、社内において、自然災害に対する総合的な対策を実施する意識や体制が不十分であったかもしれない。」旨述べている


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445頁以下

5 津波対策・シビアアクシデント対策についての基本的な考え方
(1)想定津波以上の規模の津波の可能性
 土木学会原子力土木委員会津波評価部会の首藤主査は、総説「津波」(『電力土木』電力土木技術協会、1988 年11 月)の中で、
「どの様に大きな構造物を作ったとしても,それを上回る津波が来襲する恐れは常に存在する。」「強度や安定性の検討には,波力や洗掘力の詳細な推定を必要とする。・・・にもかかわらず,これらの大きさを的確に推定する方法はまだ存在しない。したがって,主要施設については,少なくとも既往の巨大津波の到達域外に建造するのが安全である。」「意外と見過ごされているのが,浸水による機能障害である。既往実績あるいはそれを元にした数値計算の結果,浸水域外となったとしても,浸水の可能性が全く無いわけではない。・・・計画時の浸水域外のため防水を考慮してない電気系統などが,塩水に浸かつて障害を起こす。」
と記述しており、今回の調査過程で行われたヒアリングにおいても、
「津波は地震から完全に説明できるわけではなく、局所的に波高が高くなったりすることもある。原発ではいかなる状況下でも確実に冷却系を動かさなくてはならないが、非常時に使用する電源系などは少しでも水に濡れたら機能不全に陥る。少なくとも冷却補機は必ず動くように言い続けてきた。」
としている。この考え方は、原子力発電所の津波対策の本質を突いたものと思われたため、当委員会として、
 原子力施設の性格を考えると、再来するかも不確かだが、500 年から1000 年等と再来間隔が長く、規模も大きい可能性のある津波の可能性もあり、これを防潮堤等で対策しようというのは合理的でないが、多くの設備が被害を受けても冷却のための非常用設備だけは守れるような設計にするのが工学的に適した設計ではないか。多重防護の観点からは、例えば普通の構造物に対しては補正係数1.0 でよいが、非常用設備については2 倍や3 倍の高さにする等といった手立てを講じることが適切だったのではないか。
といった設計思想を関係者のヒアリングにおいて投げかけたところ、これに対する各社の受け止め方は以下のとおりであった

① 東京電力関係者
 理解はするが、2 段階にしなかった理由は、リスクが著しく大きなものではなかったことである。すなわち、津波は地震に随伴して発生する事象ではあるものの、取り扱う領域の広がり、そもそものモデル設定の考え方、設計用津波の設定方法等、当時の指針に基づく基準地震動設定とは策定方針自体は異なるものではあるが、平成14 年の津波評価技術策定時点では、算定される想定津波の波高は既往津波の2 倍程度となり、既往津波に相当すると考えられるS1 地震動の最大加速度振幅の1.5 倍程度になることの多かったS2 地震動に近いことから、津波評価技術に基づく津波水位はS2 地震動的な概念と考えた。このことを踏まえて、想定津波を超える確率はS2 地震動の発生確率として理解されていた10-4/年~10-5 /年(1 万年から10 万年に1 回発生)オーダー程度と考えた。その後、土木学会では平成15~17 年にリスクを確率論的に見積もる方向の検討が行われ、評価手法として未確立ではあるものの、その検討成果に基づいて福島第一原発のリスク評価を行ったところ、設計津波水位を超える確率は10-4/年オーダーであり、CDF の観点からリスクレベルとしては大きくないと認識した。
② 電力中央研究所関係者
 異論はない。コストとの兼ね合いはあるが、原子力発電所ならコストも見合うと思う。ただし、津波評価技術を事業者に受け入れられるものとする必要があった。そのためには数値的な考え方を打ち出すことが必要だが、再来期間のより長い不確かな津波については困難。不確かな津波については確率論的評価の中で対応しようと考えていた。
③ その他の関係者
 当委員会による関係者へのヒアリングにおいて、その他の学識経験者や行政官からは特に反論はなく、例えば、津波評価部会の委員も務めた佐竹教授からは、津波評価部会での議論は「2 倍や3 倍」にする前の高さの評価に関するものであり、2 倍、3 倍につながるような議論は当該部会の役割ではないと思っていたとの供述が得られている。また、東北大学大学院工学研究科の今村教授は、当時は決定論の限界を感じており、そのため確率論的評価の議論に進む必要があると認識していたが、それだけでなく、危機管理的な考え方による議論との2 本立てで進めるべきであったと述懐している。さらに、今村教授は、津波評価部会の第1期活動中には想定された設計津波水位を超えることへの危機感を持ってもらうチャンスがあったかも知れないが、第2 期以降は精度を向上させるという違う方向へ進んでしまったと述べている。


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