東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■18条 原子力損害賠償紛争審査会  中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)

■18条 原子力損害賠償紛争審査会  中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/12/07/1309711_3_1.pdf

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「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」

平成23年12月6日
原子力損害賠償紛争審査会

第1 はじめに
1 自主的避難等の現状等
 原子力損害賠償紛争審査会(以下「本審査会」という。)は、平成23年8月5日に決定・公表した「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(以下「中間指針」という。)において、政府による避難等の指示等(以下「避難指示等」という。)に係る損害の範囲に関する考え方を示したが、その際、避難指示等に基づかずに行った避難(以下「自主的避難」という。)に係る損害については、引き続き検討することとした。
 本審査会において、関係者へのヒアリングを含めて調査・検討を行った結果、中間指針第3の避難指示等の対象区域(以下「避難指示等対象区域」という。)の周辺地域では自主的避難をした者が相当数存在していることが確認された。
 自主的避難に至った主な類型としては、①東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における事故(以下「本件事故」という。)発生当初の時期に、自らの置かれている状況について十分な情報がない中で、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉建屋において水素爆発が発生したことなどから、大量の放射性物質の放出による放射線被曝への恐怖や不安を抱き、その危険を回避しようと考えて避難を選択した場合、及び②本件事故発生からしばらく経過した後、生活圏内の空間放射線量や放射線被曝による影響等に関する情報がある程度入手できるようになった状況下で、放射線被曝への恐怖や不安を抱き、その危険を回避しようと考えて避難を選択した場合が考えられる。
 同時に、当該地域の住民は、そのほとんどが自主的避難をせずにそれまでの住居に滞在し続けており、これら避難をしなかった者が抱き続けたであろう上記の恐怖や不安も無視することはできないと考えられる(以下、当該地域の住民による自主的避難と滞在を併せて「自主的避難等」という。)。

2 基本的考え方
 上記の自主的避難等の現状を踏まえて、この度の中間指針の追補(以下「中間指針追補」という。)においては、中間指針の対象となった避難指示等に係る損害以外の損害として、自主的避難等に係る損害について示すこととする。
 本件事故と自主的避難等に係る損害との相当因果関係の有無は、最終的には個々の事案毎に判断すべきものであるが、中間指針追補では、本件事故に係る損害賠償の紛争解決を促すため、賠償が認められるべき一定の範囲を示すこととする。
 なお、中間指針追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。


第2 自主的避難等に係る損害について
[自主的避難等対象区域]
 下記の福島県内の市町村のうち避難指示等対象区域を除く区域(以下「自主的避難等対象区域」という。)とする。

(県北地域)
福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村

(県中地域)
郡山市、須賀川市、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町

(相双地域)
相馬市、新地町

(いわき地域)
いわき市

(備考)
1)前記第1(はじめに)の1で示したように、本件事故を受けて自主的避難に至った主な類型は2種類考えられるが、いずれの場合もこのような恐怖や不安は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の状況が安定していない等の状況下で、同発電所からの距離、避難指示等対象区域との近接性、政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、自己の居住する市町村の自主的避難の状況(自主的避難者の多寡など)等の要素が複合的に関連して生じたと考えられる。以上の要素を総合的に勘案すると、少なくとも中間指針追補の対象となる自主的避難等対象区域においては、住民が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱いたことには相当の理由があり、また、その危険を回避するために自主的避難を行ったことについてもやむを得ない面がある。
2)自主的避難等の事情は個別に異なり、損害の内容も多様であると考えられるが、中間指針追補では、下記の[対象者]に対し公平に賠償すること、及び可能な限り広くかつ早期に救済するとの観点から、一定の自主的避難等対象区域を設定した上で、同対象区域に居住していた者に少なくとも共通に生じた損害を示すこととする。
3)上記自主的避難等対象区域以外の地域についても、下記の[対象者]に掲げる場合には賠償の対象と認められ、さらに、それ以外の場合においても個別具体的な事情に応じて賠償の対象と認められ得る。

[対象者]
 本件事故発生時に自主的避難等対象区域内に生活の本拠としての住居(以下「住居」という。)があった者(本件事故発生後に当該住居から自主的避難を行った場合、本件事故発生時に自主的避難等対象区域外に居り引き続き同区域外に滞在した場合、当該住居に滞 在を続けた場合等を問わない。以下「自主的避難等対象者」という。)とする。
また、本件事故発生時に避難指示等対象区域内に住居があった者についても、中間指針第3の[損害項目]の6の精神的損害の賠償対象とされていない期間並びに子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間(本件事故発生当初の時期を除く。)は、自主的避難等対象者の場合に準じて賠償の対象とする。
(備考)
1)損害賠償請求権は個々人につき発生するものであるから、損害の賠償についても、個々人に対してなされるべきである。
2)本件事故発生時に避難指示等対象区域内に住居があった者についても、自主的避難等対象者と同様の損害を被っていると認められる場合には、同様に賠償の対象とすべきと考えられる。この場合、中間指針による賠償と重複しない限りにおいて中間指針追補による賠償の対象とすべきであるから、中間指針第3の[損害項目]の6の精神的損害の賠償対象とされていない期間(例えば、平成23年4月22日の緊急時避難準備区域の指定以降、同区域から避難せずに滞在した期間や、同区域の指定解除後に帰還した後の期間)が対象となる。一方、避難指示等対象区域内に居住していた者が、本件事故に起因して自主的避難等対象区域内に避難し、同区域内に引き続き長期間滞在した場合、当該避難期間については中間指針で精神的損害の賠償対象とされているが、これは避難生活等を長期間余儀なくされたことによる精神的損害であり、自主的避難等対象区域内の住居に滞在し続ける者(以下「滞在者」という。)としての精神的損害とは質的に異なる面があるから、中間指針追補の対象ともすべきである(具体的には、自主的避難等対象区域内に避難して滞在した子供及び妊婦が該当する。後記[損害項目]の(指針)Ⅲ)及び(備考)3)参照。)。
3)上記の[対象者]以外の者についても、個別具体的な事情に応じて賠償の対象と認められ得る。

[損害項目]
(指針)
Ⅰ)自主的避難等対象者が受けた損害のうち、以下のものが一定の範囲で賠償すべき損害と認められる。
① 放射線被曝への恐怖や不安により自主的避難等対象区域内の住居から自主的避難を行った場合(本件事故発生時に自主的避難等対象区域外に居り引き続き同区域外に滞在した場合を含む。以下同じ。)における以下のもの。
)自主的避難によって生じた生活費の増加費用
)自主的避難により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛
)避難及び帰宅に要した移動費用
② 放射線被曝への恐怖や不安を抱きながら自主的避難等対象区域内に滞在を続けた場合における以下のもの。
)放射線被曝への恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により、正常な日常生活の維持・継続が相当程度阻害されたために生じた精神的苦痛
)放射線被曝への恐怖や不安、これに伴う行動の自由の制限等により生活費が増加した分があれば、その増加費用
Ⅱ)Ⅰ)の①の)ないし)に係る損害額並びに②の)及び)に係る損害額については、いずれもこれらを合算した額を同額として算定するのが、公平かつ合理的な算定方法と認められる。
Ⅲ)Ⅱ)の具体的な損害額の算定に当たっては、①自主的避難等対象者のうち子供及び妊婦については、本件事故発生から平成23年12月末までの損害として一人40万円を目安とし、②その他の自主的避難等対象者については、本件事故発生当初の時期の損害として一人8万円を目安とする。
Ⅳ)本件事故発生時に避難指示等対象区域内に住居があった者については、賠償すべき損害は自主的避難等対象者の場合に準じるものとし、具体的な損害額の算定に当たっては以下のとおりとする。
① 中間指針第3の[損害項目]の6の精神的損害の賠償対象とされていない期間については、Ⅲ)に定める金額がⅢ)の①及び②における対象期間に応じた目安であることを勘案した金額とする。
② 子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間については、本件事故発生から平成23年12月末までの損害として一人20万円を目安としつつ、これらの者が中間指針追補の対象となる期間に応じた金額とする。
(備考)
1)本件事故に起因して自主的避難等対象区域内の住居から自主的避難を行った者は、主として自宅以外での生活による生活費の増加費用並びに避難及び帰宅に要した移動費用が生じ、併せてこうした避難生活によって一定の精神的苦痛を被っていると考えられることから、少なくともこれらについては賠償すべき損害と観念することが可能である。また、滞在者は、主として放射線被曝への恐怖や不安やこれに伴う行動の自由の制限等を余儀なくされることによる精神的苦痛を被っており、併せてこうした不安等によって生活費の増加費用も生じている場合があると考えられることから、少なくともこれらについては賠償すべき損害と観念することが可能である。
2)賠償すべき損害額については、自主的避難が、避難指示等により余儀なくされた避難とは異なることから、これに係る損害について避難指示等の場合と同じ扱いとすることは、必ずしも公平かつ合理的ではない。
 一方、自主的避難者と滞在者とでは、現実に被った精神的苦痛の内容及び程度並びに現実に負担した費用の内容及び額に差があることは否定できないものの、いずれも自主的避難等対象区域内の住居に滞在することに伴う放射線被曝への恐怖や不安に起因して発生したものであること、当該滞在に伴う精神的苦痛等は自主的避難によって解消されるのに対し、新たに避難生活に伴う生活費増加等が生じるという相関関係があること、自主的避難等対象区域内の住民の中には諸般の事情により滞在を余儀なくされた者もいるであろうこと、広範囲に居住する多数の自主的避難等対象者につき、自主的避難者と滞在者を区別し、個別に自主的避難の有無及び期間等を認定することは実際上極めて困難であり、早期の救済が妨げられるおそれがあること等を考慮すれば、自主的避難者か滞在者かの違いにより金額に差を設けることは公平かつ合理的とは言い難い。
 こうした事情を考慮して、精神的損害と生活費の増加費用等を一括して一定額を算定するとともに、自主的避難者と滞在者の損害額については同額とすることが妥当と判断した。
3)自主的避難等対象者の属性との関係については、特に本件事故発生当初において、大量の放射性物質の放出による放射線被曝への恐怖や不安を抱くことは、年齢等を問わず一定の合理性を認めることができる。その後においても、少なくとも子供及び妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていること等から、比較的低線量とはいえ通常時より相当程度高い放射線量による放射線被曝への恐怖や不安を抱くことについては、人口移動により推測される自主的避難の実態からも、一定の合理性を認めることができる。
 このため、自主的避難等対象者のうち子供及び妊婦については、本件事故発生から平成23年12月末までを、また、その他の自主的避難等対象者については、本件事故発生当初の時期を、それぞれ賠償の対象期間として算定することが妥当と判断した。なお、平成24年1月以降に関しては、今後、必要に応じて賠償の範囲等について検討することとする。
4)3)の期間の損害額の算定に当たっては、身体的損害を伴わない慰謝料に関する裁判例等を参考にした上で、精神的苦痛並びに子供及び妊婦の場合の同伴者や保護者分も含めた生活費の増加費用等について、一定程度勘案することとした。
5)本件事故発生時に避難指示等対象区域内に住居があった者のうち、子供及び妊婦が自主的避難等対象区域内に避難して滞在した期間の損害額の算定に当たっては、これらの者は、避難している期間について既に中間指針第3の[損害項目]の6の精神的損害の賠償対象とされており、両者の損害の内容に一部重複すると考えられる部分があることを勘案することとした。
6)Ⅰ)ないしⅣ)については、個別具体的な事情に応じて、これら以外の損害項目が賠償の対象となる場合や異なる賠償額が算定される場合が認められ得る。

(以上)



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なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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