東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■立法過程 その7 国会審議(昭和35年5月17日)

■立法過程 その7 国会審議(昭和35年5月17日)

34-衆-科学技術振興対策特別委…-12号 昭和35年05月17日

昭和三十五年五月十七日(火曜日)
    午前十一時十七分開議
 出席委員
   委員長 村瀬 宣親君
   理事 小坂善太郎君 理事 西村 英一君
   理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
   理事 石野 久男君 理事 岡  良一君
   理事 北條 秀一君
      秋田 大助君    細田 義安君
      石川 次夫君    大原  亨君
      岡本 隆一君    松前 重義君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       横山 フク君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁
        原子力局長)  佐々木義武君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        大蔵政務次官  奧村又十郎君
        気象庁長官   和達 清夫君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局政策課
        長)      井上  亮君
        運 輸 技 官
        (気象庁観測部
        長)      川畑 幸夫君
    ―――――――――――――
五月十三日
 原子力損害の賠償に関する法律案(内閣提出第
 一三三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力損害の賠償に関する法律案(内閣提出第
 一三三号)
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――

○村瀬委員長 これより会議を開きます。
 原子力損害の賠償に関する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。中曽根国務大臣。

○中曽根国務大臣 ただいま議題となりました原子方損害の賠償に関する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 わが国における原子力の開発利用は、昭和三十一年原千万基本法の施行を見て以来目ざましい進展を示し、昨年末にはコールダーホール改良型発電炉の設置許可を見る等、今や研究体制の強化とともに実用化へ一歩を進めんとする段階に至りつつあるのでありますが、かかる原子力開発利用の発展に伴い、原子力災害に対する賠償制度の確立が必須の要請とされてきたのであります。
 もとより、原子力の開発利用につきましては、その安全性の確保が絶対的な要件であることは申すまでもなく、万々一にも不測の事態の生じないよう、政府といたしましても原子炉の設置等に際しましては、原子炉等規制法以下諸般の法令及び行政措置により万全の対策を講じており、第三者にまで被害の及ぶような大規模な災害の発生する可能性はほとんどあり得ないと考えているところであります。しかしながら、現代科学の最先端にある原子力の開発利用でありますだけに、なお技術的に未知の点があるとされており、万々が一に災害の発生する可能性を理論的に完全に、否定することは困難な事情にあるのであります。同時に、原子力の災害は万々一にも発生いたしました場合には、放射能による被害規模が広範な地域にわたる可能性があり、また、後発性、遺伝的影響の特異な放射能障害をもたらす危険性があるという特殊性を有するものであります。かかる特殊性にかんがみ、安全性の確保を第一義としつつも、万々一の際における賠償制度を確立いたしません限り、住民の不安は除去されず、また、原子力発電等の事業者も不安定な基盤の上に事業を行なわざるを得ず、原子力研究及び原子力事業の正常な発展は望むべくもないのであります。一方、世界の趨勢に日を転じますと、すでにアメリカ、イギリス、西ドイツ及びスイスの各国におきましては、原子力損害の賠償に関する法制が整備されており、国際原子力機関におきましても、国際条約の審議が進められている現況にあるのであります。
 かかる情勢に対応いたしまして、わが国原子力委員会におきましても、すでに昭和三十三年十月原十力災害補償についての基本方針を決定し、同時に原子力災害補償専門部会を設置して検討を続け、昨年十二月同部会の答申を受け、本年三月には原子力損害賠償制度の確立について決定を行なったのであります。政府といたしましても、すでに原子炉等規制法の一部を改正し、本年初めより、原子炉の段丘につきましては五十億円以下の損害賠償措置を具備させることとして参ったのでありますが、これは暫定的な措置であり、ただいま申し上げました原子力委員会決定の趣旨を尊重いたしまして、鋭意検討を重ねました結果、今般成案を得ましたので、ここに本法案を国会に提出する運びとなった次第であります。
 以下、本法律案の内容につきまして、その重要な点を御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的は、原子炉の運転、核燃料物質の加工、使用及び再処理等の行為を行なうことによって、方々一放射能等、原子力による被害を第三者に与えました場合、その損害の賠償に関する基本的制度を定めて、被害者の保護に遺憾なきを期することにより住民の不安を除去し、同時に、原子力事業者に損害賠償措置を講じさせることにより原子万事業経営の基盤を安定化し、原子力事業の健全な発達に寄与しようとするものであります。
 第二に、原子力事業者の賠償責任につきましては、民法の不法行為責任の特例として無過失責任とし、かつ、康子力事業者に責任を集中することといたしたのであります。無過失責任といたしましたのは、原子力の分野においては、未知の要素が含まれるという実情にかんがみ、原子力損害の発生について故意、過失の存在しない場合も考えられ、また、かりにこれらの要件が存在するといたしましても、その立証は事実上不可能と認められるからであり、一方、近代科学の所産である危険を内包する事業を営む者は、よって生ずる損害については故意、過失の有無を問わず責任を負うべしとして無過失責任を課している各国の例に徹しても妥当であると考えられるからであります。また、原子力事業が広範な産業の頂点に立つ総合産業でありますだけに、損害発生時における責任の帰属が不明確になる場合が予想されるのであります。それでは被害者の保護に欠けるばかりでなく、原子力事業に対する資材、役務等の供給が円滑を欠き、事業そのものの発達が阻害されることとなるおそれが強い点もあわせ考慮して責任の集中を行なったのであります。従ってまた、損害の発生が資材、役務の供給に原因するような場合にありましても、原子力事業者の求償権は原則としてこれらの者に故意がある場合に限って行使できるものとしたのであります。ただし、異常に巨大な天災地変等によって損害が生じた場合まで、原子力事業者に賠償責任を負わせますことは公平を失することとなりますので、このような不可抗力性の特に強い特別の場合に限り、事業者を免責することといたしたのであります
 第三に、損害賠償のための一定の措置を講じない限り、原子炉の運転等を行なわせないこととし、損害賠償責任を担保するための措置を原子万事業者に強制することといたしたのであります。この措置は、原子力損害賠償責任保険にかけるか、または供託をするか、あるいはこれらに相当するその他の方法により、一事業所または一工場当たり五十億円を損害賠償に充てることができるようにしなければならないものであります。ただし、教育用の小型原子炉等、大規模の損害の発生が予想されないものにつきましては、その規模内容に応じてこの金額を引き下げることといたしておるのであります。
 第四に、現在の原子力損害賠償責任保険につきましては、その大半を外国保険市場の再保険に依存しているのでありますが、一定の事由、たとえば日本における地震、正常運転等による損害は外国保険業者がこれに応じないという実情にあるため、保険のみをもってしては賠償責任の全部はカバーしきれない場合があるのであります。このような場合における損害賠償の履行を確保するため、政府といたしましては、原子力損害賠償補償契約を原子力事業者との間に締結し、被害者の保護の完全を期することといたしたのであります。なお、この補償契約の詳細につきましては、さらに検討の上、別に法律をもって定めることといたしておるのであります。
 第五に、ただいま申し上げましたように、五十億円までの損害賠償につきましては完璧を期待し得るのでありますが、五十億円をこえる損害がかりに生じた場合いかにこれに対処するかという問題が残るわけであります。政府といたしましては、このような場合はまずあり得ないと考えておりますが、万々一このような事態に至りました場合は、被害者の保護と原子力事業の健全な発達をはかるというこの法律案の目的を達成するため必要と認められますときは、国会の議決により、政府に属させられた権限の範囲内において、原子力事業者に対し、賠償に必要な援助を行なうことといたしたのであります。また、原子力損害が異常に巨大な天災地変等によって生じたため原子力事業者が損害賠償の責任を負わないような場合におきましても、政府は、原子力損害の被災者の救助や被害の拡大防止のために必要な措置を講ずるものとして、住民の不安に対処することとしているのであります。
 さらに、原子力損害に関する国民的関心、損害、の特殊性等にかんがみ、万々一相当規模の原子力損害が発生いたしましたような場合には、わが国原子力政策の帰趨にもかかる問題でありますので、国家的規模において、すなわち、国民の代表たる国会の意思が十分反映されるような形態で処理されるのが適当であろうと考えるものであります。このため、政府は、相当規模の原子力損害が生じました場合には、できる限りすみやかに損害の状況及びこの法律に基づき政府のとりました措置を国会に報告するものといたしたのであります。また、原子力損害が生じました際、専門的立場から、原子力委員会が損害の処理、損害の防止等につき内閣総理大臣に意見書を提出いたしましたときは、政府は、当該意見書を国会に提出しなければならないものといたしたのであります。
 第六に、原子力損害の賠償につき紛争が生じました場合、その迅速な処理をはかり、被害者の保護に資するため、紛争に関し和解の仲介及びそのための損害の調査評価を行なう特別の機関として、原子力損害賠償紛争審査会を必要に応じ設置するものといたしたのであります。
 第七に、原子力損害につきまして国の特別の措置を講じておりますゆえんのものは、その未知の要素に基づく不安を除くところにその一半の理由があるわけでありまして、今後研究が進み、未知の点が究明されるに従い、国による特別の措置の必要性は減少する方向にあると言えるのであります。アメリカ、西ドイツ等におきましても、国の措置は一応十年程度としている点も参考とし、この法律案におきましても、国の補償契約及び事業者に対する援助措置につきましては、現段階において、一応今後十年に限るものといたしたわけであります。
 以上が原子力損害の賠償に関する法律案の提案の理由並びに要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。

○村瀬委員長 以上をもちまして提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――

〈略〉
     ――――◇―――――

○前田(正)委員長代理 次に、資料要求に関して発言の申し出がありますので、これを許します。岡良一君。

○岡委員 明日から原子力損害の賠償に関する法律案の審議が始まることになっておりますので、ぜひ次の資料を出していただきたいと思います。
 第一は、各国の立法例でございます。あまりこうかんなものをいただいてもなかなか大へんでございますから、できたら、その重要なポイントについて、それぞれ各国別に表のような形で、日本のものも含めて、一覧表のようなものにしてぜひ一つ出していただきたいと思います。
 それから、この損害賠償の当然前提となろうと思いますが、一体原子炉が、たとえば、コールダーホール型あるいは動力試験伊が万一最大の事故を起こしたときにどの程度の災害を及ぼすかということ、これも若干の予算で調べられてあるはずでございますので、一つ正直に出していただきたい。
 それから、この保険契約約款を一つ出していただきたい。
 それから、大蔵省と交渉中だといいますが、補償契約でございますね、これはさまった決定版じゃなくても、一応その要項的な骨子を一つお願いしたい。
 それから、この法律案では、従業員の損害の補償が除かれております。一方、労災保険もかなり改正されておりますが、改正された労災法の中で、特に原子力従業員の事故に基づく傷害等に対する補償の可能性を私どもはっきりと知りたいので、これはいずれ係りの人に来てもらって聞きますが、事前に、該当する法律案を整備して出していただきたいと思います。
 それから、もう一つは、今、石川君も指摘されました原子力施設周辺都市整備ですが、これも出る、出ると言いながら、出さないままで損害賠償が出てきた。これは、特に日本が原子力施設を東海村に集中しておる関係上、この損害賠償と不可分の問題として私ども重大な関心を払っておりますので、どういう構想があるのか、せめて、その骨子だけでも資料としてお願いしたいと思います。
 それから、ちょっと一点だけ和達長官にお尋ねいたします。それは、気象庁長官としての利達さんではなく、日本学術会議の議長としてのあなたに、私は一言だけお尋ねをいたしたいと思います。
 それは、先ほど中曽根科学技術庁長官の御所信によれば、台風の観測等については、やはり米空軍の観側のデータというものを今後も使用していくということでございます。U2機であろうと、あるいはまた、それ以外のものであろうと、米軍の台風観測というものは軍事目的であります。この軍事目的による観測データというものに日本が依存するというようなことは、学術会議の伝統的な精神から見て、まことに遺憾なことだと私は存ずるのでございますが、議長として、この点いかにお考えであるか、一つ明確な御所信だけをお伺いをしておきたいと思います。

○和達政府委員 学術会議の議長としてでなく、お答え申し上げます。
 気象庁といたしましても、先ほど来のお話にありますように、この気象の研究が軍事目的にならないように、あるいはそれと関係づけられないように、できるだけ努力を払いまして、そうして、お話しのような心配をよく考慮いたした上で、もし、できますならば、また、必要でありますならば、日米の研究協力の体制を作りたいと考えます。

○前田(正)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午後一時より委員会を開催することとし、これにて散会いたします。
    午後零時四十五分散会
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