東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

■2条「原子力損害」の意味・範囲 「自主」避難者の問題 その6 論点 原子力損害賠償紛争審査会第14回資料

■2条「原子力損害」の意味・範囲 「自主」避難者の問題 その6 論点 原子力損害賠償紛争審査会第14回資料


原子力損害賠償紛争審査会(第14回)
1.日時
平成23年9月21日(水曜日) 16時00分~18時00分
2.場所
文部科学省(中央合同庁舎7号館東館) 3階講堂

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/09/21/1311103_2_2.pdf

----------------------------------
(審14)資料2
自主的避難に関する主な論点

本資料は、審査会における議論のために作成したものであり、指針の内容、損害の範囲について何ら予断を与えるものではない。

【これまでの経緯】
 8月5日に「東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(以下「中間指針」という。)を決定・公表した。この中間指針では、政府による避難等の指示等(自主避難の勧告等も含む。)に基づく避難に係る被害については賠償の考え方が明らかにされたが、当該指示等に関係なく自らの判断で自主的に行った避難(以下「自主的避難」という。)に係る被害については、避難に至った状況及び事情が多岐に渡る上にその実態を明らかにすることが困難であること等から、中間指針の対象とされていない他の損害と併せ、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得るとの一般論を示している。一定範囲の自主的避難に係る損害につき原則として相当因果関係が認められる類型として指針で明示することが可能か否か、審査会において引き続き検討を行うこととされた。

【論点】
1.自主的避難に関する検討の方向性
 一般的には、政府による避難等指示の対象区域外に居住する者であっても、放射線被曝の危険を回避するための避難行動が社会通念上合理的であると認められる場合には、その避難費用等は、賠償すべき損害となり得る。このような避難の合理性を判断するための適切な基準について検討する。
 自主的避難については、そもそも指針によって具体的な基準を示して類型化することが可能か、それとも一般的な基準のみを指針で示し、個別具体的な事情に応じて相当因果関係を判断することが適当か、も含めて検討する必要がある。
 このため、これまでに得られた情報に基づき、次の2つのケースに分けて検討してはどうか。
① 事故当初の時期に、自らの置かれている状況について十分な情報がないと考えたことから大量の放射性物質の放出による被曝を回避するために避難を選択した場合
② ①の時期の経過後に、比較的低線量の放射線による健康への影響を可能な限り減らしたいと考えたことから避難を選択した場合

2.事故当初の自主的避難について
 事故当初は、原子力発電所の原子炉建屋で爆発が起きて一時的にある程度の放射性物質が放出されたとみられる。また、原子力発電所の状況等に応じて、避難指示等の範囲が拡大されるなどの状況であった。周辺の住民にとっても、自らの置かれている状況(水素爆発の再発可能性、放射線量等)に関する情報は、現在と比べても相当不足していたと考えられる。こうした中で、政府による避難指示等の対象ではないが、住民が自主的避難を行ったことについてどう考えるか。

(1)対象区域
 自主的避難の合理性を判断する際に、区域による具体的基準を設けることが可能か。
その際、住民にとって一定の生活圏を構成する行政区域ごとに検討することが考えられるのではないか。あるいは、他の分け方(例えば、東京電力(株)福島第一原子力発電所(以下「第一原発」という。)からの距離等)で検討するべきか。
 行政区域ごとに検討する場合、考慮すべき要素として、事故発生地からの距離、実際の線量、自主的避難者数、その人口比率等が考えられるのではないか。(例えば、避難指示等の区域に近接している相双地区及びいわき地区は、事故当初に自主的避難したことについて他の区域と異なると言えるか。また、県中地区、県北地区、県南地区についても一定割合の自主的避難者がいるが、どう考えるか。)
 ただし、これらの検討にあたっては、地震・津波によって家屋等に被害が生じたり、地域の電力・水道等のインフラが停止したりしたために避難した者が少なからずいることにも留意が必要である。
(3月15日時点での自主的避難者数(福島県災害対策本部の調査結果))
いわき地区(15,377人(人口比4.5%))、相双地区(12,205人(人口比約24%))、県中地区(6,448人(人口比1.2%))、県北地区(5,062人(人口比1.0%))、県南地区(1,062人(人口比0.7%))会津地区(102人(人口比0.04%))、南会津地区(不明)

(2)対象時期
 自主的避難をした時期によって、合理性を判断する基準とすることが可能か。事故発生直後は、住民が得られる情報が十分ではなかったが、日を重ねるにつれて原子炉建屋の状況が明らかになり、3月16日以降、文部科学省及び福島県より、各地域における放射線量に関する情報が発表(3月19日以降、モニタリングの地点が充実)され、県内の新聞でも報道された。また、政府による避難指示等については、3月15日までに20km圏内への避難指示及び20~30km圏内への屋内退避指示が出され、その後、3月25日には、官房長官より、屋内退避区域における自主避難の促進、避難指示を想定した諸準備の加速について公表された。また、4月22日には、屋内退避指示が解除されるとともに、新たに警戒区域、計画的避難区域及び緊急時避難準備区域が設定された。こうした中で、
①どの時点までをこの「事故当初の時期」として議論すべきか。
②その「事故当初の時期」の中で、自主的避難をする場合は一様に扱ってよいか、それとも時期により扱いを変えるべきか。
③自主的避難の後、避難先に滞在する期間により扱いを変えるべきか。この際、後に検討する「事故当初の時期経過後の自主的避難」との関係をどう考えるか。

(事故発生以降の政府の対応)
3月11日 第一原発1号機から半径2km圏内の住民に避難指示(20:50)
その後、第一原発から半径3km圏内の住民に避難指示(21:23)
第一原発から半径10km圏内の住民に屋内退避指示(21:23)
3月12日 第一原発から半径10km圏内の住民に避難指示(5:44)
東京電力(株)福島第二原子力発電所(以下「第二原発」)から半径3km圏内の住民に避難指示(7:45)
第二原発から半径10km圏内の住民に屋内退避指示(7:45)
第一原発1号機にて爆発音(15:36)
その後、半径10km圏内の住民に避難指示(17:39)
第一原発から半径20km圏内の住民に対する避難指示(18:25)
3月14日 第一原発3号機にて爆発音(11:01)
3月15日 第一原発2号機にて爆発音(6:00頃)
第一原発から半径20~30km圏内の住民に屋内退避指示(11:00)
注水作業に直接関わりのない作業員等の一時撤退
3月15日頃~ 福島県が第一原発から半径50km圏内の市町村に安定ヨウ素剤を配備
(3月16日 米国政府による自国民に対する80km圏外への退避勧告)
3月18日 INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)評価について、レベル5と暫定評価
3月25日 屋内退避区域の住民に対する自主避難の促進の必要性及び避難準備の可能性について発言(官房長官記者会見)
4月11日 計画的避難区域及び緊急時避難準備区域の設定に関して発言(官房長官記者会見)
4月12日 INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)評価について、レベル7と暫定評価
4月21日 避難区域を、第二原発から半径10km圏内から半径8km圏内に変更
第一原発から半径20km圏内を警戒区域に設定
4月22日 第一原発から半径20kmから30km圏内に設定されていた屋内退避指示を解除。計画的避難区域及び緊急時避難準備区域を設定
6月30日以降 特定避難勧奨地点を指定

(3)損害項目
 政府による避難等の指示等によって避難した者については、避難費用、営業損害、就労不能等に係る損害、精神的損害等の損害項目について賠償すべき損害と認めている。一方、自主的避難については、自ら避難を選択したことにより被害が生じた、また自主的避難をした者の住む地域には避難をせずに滞在していた者がいた、という点で政府による避難等の指示等の場合とは異なる。これらを踏まえ、もし自主的避難に係る損害を認める場合、どのような損害項目を賠償の対象とすべきか。

(4)対象者の属性
 幼い子供を持つ親や妊婦は、事故当初、安全性に関する十分な情報がない中で、放射線による子供の健康への影響を懸念して避難を選択する場合も考えられる。幼い子供や妊婦に係る自主的避難については、それ以外の者が行ったものと分けて考える必要があるか。

3.事故から一定期間経過後の自主的避難について
 事故から一定期間が経過し、原子力発電所のプラントの状況も報道等を通じて事故当初より明らかにされ、一部の区域等(計画的避難区域、特定避難勧奨地点等)を除いて自らの生活圏内の放射線量も年間20ミリシーベルト以下と予測されることが確認されたが、少しでも被曝線量を低減させるために自主的避難することについてどう考えるか。

(1)対象区域、対象時期等
 放射線量が年間20ミリシーベルト以下の地域では、放射線量との関係で緊急時の避難をする必要がないために政府は避難指示を行っていない。一方、年間20ミリシーベルト以下の地域であっても、通常よりも比較的高い放射線量の地域については、長期間その放射線量を維持したまま生活することは想定されていない。このため、政府及び自治体は、住民の安全を前提に、除染等により生活環境の整備を進めている。こうした除染等の環境整備が計画的に行われる中で、現時点で放射線量が通常よりも高いことを理由に、自主的避難することをどう考えるか。その対象区域、対象時期についてどう考えるか。

(2)損害項目
 2.(3)と同様に、自主的避難については、自ら避難を選択したことにより被害が生じた、また自主的避難をした者の住む地域には避難をせずに滞在していた者がいたとの事情を踏まえ、もし自主的避難に係る損害を認める場合、どのような損害項目を賠償の対象とすべきか。

(3)対象者の属性
 幼い子供を持つ親や妊婦は、放射線による子供の健康への影響を懸念して避難を選択する場合が考えられるが、放射線量等に関する情報が事故当初よりは得られる状況での判断である点で、前述の事故当初の場合と異なる。この状況で、幼い子供や妊婦に係る自主的避難について、それ以外の者が行ったものと分けて考える必要があるか。

4.その他考慮すべき事項
(1)避難しなかった者との関係
・ 自主的避難者の数よりも避難せずに滞在していた者の数がはるかに多い中で、避難した者に損害を賠償することをどう考えるか。
・ また、避難しなかった者が不安に感じたまま滞在することがあると考えられるが、これをどう考えるか。
・ 一方、中間指針では実際に避難した者について「避難等に係る精神的苦痛」(すなわち、「避難による自宅以外での生活」又は「屋内退避による行動の自由の制限等」により「正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛」)が賠償対象と認められていることとの関係をどう考えるか。

(2)避難指示等の区域における損害との関係
自主的避難に関する損害の範囲については、仮に損害を認める場合、中間指針で示されている避難指示等に係る損害の範囲との関係をどう考えるか。例えば、以下の論点が考えられる。
・ 自主的避難に関する損害項目や範囲に関して、避難指示等に関する損害の賠償を超えないようにすべきか、それとも、両者の関係を考えず議論してよいか。
・ 避難指示等が解除された後に同指示等区域から避難した場合をどう考えるか。その他の区域からの自主的避難と同等に扱うべきか。
・ 中間指針では、緊急時避難準備区域から6月20日以降に避難を開始した場合は、子供、妊婦、要介護者、入院患者等に限って賠償の対象とされているが、このこととの関係をどう考えるか。

(3)対象者及びその損害の認定の困難さ
 自主的避難の形態は様々であり、一定期間に一定区域にいた者が移動した際、原子力損害として認められるかどうかの認定が困難な場合がある。証明の事務負担を緩和しつつ適切に賠償するための方策は考えられるか。


----------------------------------

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

2011-09-22 : ・「自主」避難者の問題 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

text2

Author:text2
原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

全記事のリスト表示

全ての記事を表示する

検索フォーム

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

QRコード

QR

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ニュース
615位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
時事
276位
アクセスランキングを見る>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。