東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■2条「原子力損害」の意味・範囲 「自主」避難者の問題 その5 原子力損害賠償紛争審査会第13回の議論

■2条「原子力損害」の意味・範囲 「自主」避難者の問題 その5 原子力損害賠償紛争審査会第13回の議論


http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/gijiroku/1310893.htm

原子力損害賠償紛争審査会(第13回) 議事録
平成23年8月5日(金曜日)14時00分~16時30分

-------------------------------

<略>

【能見会長】  はい。
 それでは、次の議題3に移りたいと思います。先ほど途中で申し上げましたように、この自主避難に関連する問題というのは、いろいろ広がりもあり、深みもあり、重要であり、かつ難しい問題を含んでおりますので、私としては、今日の審査会でその扱い方について合意ができるのであれば、もちろん中間指針の中に含めてもいいと思っていたのですが、そう簡単にはいかないだろうと思いましたので、中間指針とは切り離して、ここで別に時間をとって議論していただきたいと思った次第です。
 前回も、ほんとうに短い時間でしたけれども、ご議論いただきまして、少し議論が出ましたので、そのときの議論などをも参考にしながら、自主避難に関する論点を整理したペーパーを用意しました。では、このペーパーについて、事務局から説明をお願いできますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  短いものでございますので、そのまま読ませていただきます。資料3でございます。
 自主避難に関する論点といたしまして、紛争審査会が策定する指針は、賠償すべき損害と認められる一定の類型の損害の範囲を示すもので、被災者の迅速な救済を図るという観点から、相当因果関係が認められ、賠償すべき損害として整理可能なものから順次指針として策定してきた。中間指針では、現段階で明らかになっている原子力損害の全体像として、避難に係る損害については、年間20ミリシーベルトを超える被曝のおそれのある区域・地点や今後起こり得る緊急時に避難が求められる区域など、政府の避難指示等の有無を基準として、避難をする合理性が認められるものを指針の対象とすることとした。
 2でございますが、一方、これ以外にも、避難等の対象区域外に住居があって、自主避難をしている方が多数いると考えられ、これらの者の避難費用等が賠償すべき損害と認められるか否かの問題がある。
 3でございますが、一般的には、指針の対象区域に居住する者ではなくとも、被曝の危険を回避するための避難行動が社会通念上合理的であると認められる場合には、その避難費用等は、賠償すべき損害となり得る。このような避難の合理性を判断するための基準としては、例えば、本件事故直後では原子力発電所からの距離等を基準に、それから、その後においては一般的には放射線量等を基準とすることが考えられるが、政府が避難指示等の措置を何ら講じない地点において、自主的な避難をすることが合理的か否かについて判断するための適切な基準があるかどうかが問題である。
 4でございます。政府は、年間20ミリシーベルトを計画的避難の指示や特定避難勧奨地点の指定の際の基準として用いており、これを上回るおそれのある地域・地点については、避難指示等の措置を講じることとしている。このような政府の基準は下回るが、相当量の放射線量率が観測された場合などにおいて、放射能の危険を懸念して自主的に避難することの合理性が認め得るか否かについては、いわゆる風評被害の場合と類似した点もある。また、妊婦、子供等対象者の範囲、検査費用、避難費用等損害項目の範囲、避難指示等が解除された区域との整合性など考慮すべき事項がある、ということでございます。
 申しわけございませんが、大臣にいらしていただきましたので、先ほどちょうど中間指針をおまとめいただいたところでございますので、木大臣のほうからですね。

【能見会長】  そうですね。では、第3の議題に入る前に、木大臣がお見えですので、先ほど中間指針が決定されたことをご報告申し上げ、大臣には、一言ごあいさつをいただければと思います。

【木文部科学大臣】  木義明でございます。
 能見会長はじめ、委員の皆様方には、4月15日の第1回開催以来、大変ご多忙中の中で精力的にご審議を重ねていただきましたこと、そして、本日、中間取りまとめをいただいたこと、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 ご承知のとおり、国会におきましても、被害者早期救済法、いわゆる政府仮払い法、そして賠償支援機構法が成立いたしました。被災者の早期救済を図るために、損害賠償を円滑に進める枠組みが整ったわけでございます。文部科学省といたしましては、関係省庁と連携をしながら、この指針に沿って、迅速に公正かつ適正な賠償が行われるように最大限の努力をしてまいります。
 今回の事故は、周辺住民の皆さんはもとより、極めて広範囲、そして、さまざまな被害をもたらしました。そういう意味において、我が国において例のない大変厳しいものでございました。したがって、国民、社会的にも大きな関心が示される中で、指針の取りまとめにおきましては、大変な難しい判断もおありであったのではないかと思っております。多岐にわたって検討をしていただきました会長をはじめ、委員の皆さん方に、改めて皆様方のご見識、ご尽力に敬意を表する次第でございます。
 一方、事故はまだ収束への途上にあります。今後も新たな被害が生じる可能性は排除できません。また、避難区域の解除後における損害賠償の考え方など、今後も指針の追加とか、あるいは改訂をする必要が生じることが考えられます。したがいまして、大変なご労苦の中で、またご多忙の中で、精力的にこれまで審議をいただきましたが、引き続き委員の皆様におかれましては、お知恵を拝借できますように、今後とものご協力をお願いを申し上げます。
 改めて、会長をはじめ、委員の皆さん方に、心からお礼を申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

【能見会長】  大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、第3の議題についてご議論いただきたいと思います。これは、先ほども言いましたように、非常に多くの問題点が関連しておりまして、難しい問題で、本来であれば、私から若干整理してお話したほうがいいのかもしれませんけど、あえてそれはしないで、皆様に自由なご議論をしていただきたいと思います。その上で、もし必要であれば、若干議論の整理をしたいと思います。そういうことですので、皆様のほうから、どなたでもご議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 中島委員、どうぞ。

【中島委員】  この自主避難に関する論点の第4の段落を前提にしますと、この自主避難の問題は、異質な2つの問題が含まれているように思われます。1つは、第4の段落の最初の3行に関するんですが、政府は、国際防護委員会の基準に従って、20ミリから100ミリの間の中の一番の安全値である20ミリを基準に、この避難の地点・範囲を指示されておりますけれども、瞬間的には20ミリの毎時に換算した値が出ているけれども、その後収束したために避難地域に入っていない区域がある。
 そうしますと、瞬間的に、このままだと20ミリになりそうだという値が出たときに避難したけれども、結果的に政府の指示の区域に入っていない地域、例を挙げますと、福島市がそうですけれども、福島県の公表されているものを見ますと、20ミリシーベルト、これは年間20ミリですから、毎時に直しますと、単純に割りますと2.8マイクロシーベルトですが、文科省の基準で言いますと、外に出る時間が1日8時間だとして計算しますと、3.幾つのマイクロシーベルトが基準になると思うんですが、瞬間的には福島市では、福島県のホームページから見ますと、事故直後は8とか9マイクロシーベルトの値が1週間ほど続いておりまして、専門家に聞きましたら、おそらく半減期が8日間のヨウ素ではないかと。というお話もありますが、しかし、一般の人はわかりませんので、この値からいくと、もう当然、政府指示の20ミリになると思って避難したけれども、結果的に福島は現在も警戒区域にも入っておりませんし、避難等の区域に入っておりません。
 このように、政府の基準に満ちている、瞬間的にはそうなる可能性もあったけれども、避難区域に入っていない地域をどうするかという問題と、さらにその下に風評被害と類似した点があるという指摘がありますが、さらに、そこに至らないけれども、何らかの危険を感じて、もう少し別の基準もあるようですので、当時はいろんな流言飛語もあったと思いますけれども、インターネット等で、国際的な基準から見ると危ないといううわさも流れていたりして、それに基づいて、妊婦や乳幼児を持っている、放射線感受性の高い家族のある人は、予防的に避難した人もいる。その場合に、政府の基準20ミリには達しないけれども、それに達しない基準で逃げた人の判断は不合理だったのかどうか。合理性があったのではないかという、この2つの問題、異質な問題があるように思います。
 この適切な基準があるかどうかが難しいというのは、風評被害の政府の20ミリに満たない基準でも逃げた、避難した場合はどうかというほうの問題ではないかと思うんですが、瞬間的には20ミリに達する、これは計算してみますと、3.8マイクロシーベルトを超えていた地域というのは、当時、政府の避難指示以外にもあったわけで、それに基づいて逃げた、避難した人は、当然、これは含まれてよいのではないかと思いますし、それ以下の基準でも、国際的にはいろんな説もあるようですが、それに近い値で危険を感じて逃げた場合はどうかというところがあると思います。
 これに関しては、問題の指摘のほかに意見も申し上げたいんですが。

【能見会長】  どうぞ、結構です。

【中島委員】  この20ミリより下のラインについてはどうかと、ここが大変難しいところかと思いますが、前回、草間委員が示唆されましたのは、労災の基準があるじゃないかとおっしゃられたものですから、労災認定基準をちょっと調べてみたんですが、昭和51年11月8日の労働省の通達では、白血病の認定基準では、年間5ミリシーベルトの被曝があった場合には、業務起因性を認めると。要するに、被曝との因果関係を認めるという基準になっている。
 この5ミリという値は、ちょうど、近い数字としては、放射線管理区域、これは文科省のQ&Aでは、観点が違うというふうになっていますけれども、放射線を扱う施設内では、5.2ミリという基準だったと思いますが、それに近い数字になっている。偶然なのか、付合している。このあたりも、1つの手がかりになるのではないかと思っております。

【能見会長】  どうもありがとうございました。
 基準のどれが適切かという問題のほかに、まず2つを分けて考えるべきではないかということを今議論されたわけですが、こういった点について、ほかの委員はどういうふうにお考えでしょうか。
 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】  今、中島委員が言われた2つというのは、すみません、ちょっと確認させてください。2つというのは、何と何ですか。

【中島委員】  年間20ミリシーベルトに相当する値に達していたけれども、その瞬間は達していたけれども、その記録が、その観測が続かなかったために、その後、結局、特定避難勧奨地点に入っていないところがあると。しかし、瞬間的に高い数値が出たために避難した場合と、そこに至らないけれども避難した人というのは、少し異質なのではないかという問題です。

【大塚委員】  わかりました。すみません。
 私も2つに分けたほうがいいと思っていたんですけど、中島委員の意見とわりと近いとは思いますが、事故直後に、3月中に不安を感じて避難をした方について、合理的な行動であれば避難費用を出してもいいと考えますけれども、少なくとも避難費用は出したほうがいいと思いますけれども、そこで、どこで区切るかというのはちょっと問題になってしまいますので、今、中島委員が言われたのを、幾つかの基準を出していただいたので、それが基準になるかなと思いますし、当時は、アメリカは80キロと言っていたので、何を信ずるかというのは多分わからない中で行動された方がいらっしゃることは事実だと思いますので、そのどこまでを合理的と見るかというのを考えなくてはいけないと思っています。
 中島委員の意見と多少別の観点で申しますと、この問題は、何が合理的かということはもちろん私も大事だと思っているんですけれども、コアになる問題というのは、むしろ不安だと思うんですね。不安で行動したことをどう見るかとか、あるいは、今でも20ミリシーベルトはいっていないけれども、避難区域のそばに住んでいる方も含めて、不安に感じておられる方をどう見るかという、避難されることをどう見るかということだと思います。これは下級審の判決で幾つか出ていて、別に固まっているわけではないですけれども、平穏生活権の問題というのが幾つか認められたものがございますので、廃棄物処分場のそばで井戸水を飲んでいる方とかですけれども、それと同じような問題ではないかと思います。
 ただ、単に不安を感じているから直ちに賠償を払うということには、残念ながらなりませんので、ある程度やはり合理性とか合理的な基準というのは必要にはなってくると思います。単に通常人だったら不安に感じるというだけで賠償するわけにはいかないと思いますけれども、その合理的な基準が何かというのは、検討する必要があると思いまして、今、中島委員が言われたものは、その中の幾つかの例ということになるのではないかと思います。
 私自身も2つ分けたほうがいいと思っているんですけど、さっきの中島委員の議論とは多少違いますけれども、事故直後、3月中に不安を感じて出ていかれた、避難された方と、それ以降に避難した方とか、避難はされていないけれども不安を感じていらっしゃる方というのは、ちょっと区別したほうがいいかなと思っています。3月中に水素爆発が起こったので、びっくりして避難した方というのは、より強い保護に値するのではないかという感じはいたします。後者のほうも、もちろん、ある程度精神的損害を感じておられるので、それはやはりある程度の合理的な基準は必要だと思いますし、払っていいが、かなり限られた額になるかとは思いますが、それらの2種類の区分けができるのではないかと考えております。
 いずれにしても、20ミリシーベルトを超えるところに住んでおられた方で避難された方に比べると、リスクは小さいことは小さいので、全額を払うとかという話には残念ながらならないとは思いますので、賠償額は限定されることにはなると思うということも、追加して申し上げておきたいところでございます。
 それから、あと、特に子どもですね。子どもと妊婦の方が、特に払う必要があるのではないかと思います。

【能見会長】  先に、米倉委員、どうぞ。

【米倉委員】  線量に関してはちょっと置いておきまして、違う視点で少し議論を出させていただきたいと思います。それは、この中間指針で今まで見てきたものが、基本的には、政府が決めた避難ということによって、避難を余儀なくされたという方、あるいは、出荷制限ということによって損害を受けた、あるいは、若干違うと思うんですが、風評被害ということで、これもある意味で第三者が関与して、こういう被害を受けたということに今までなってきたわけです。そこに限られてきたので、この論点の1番目の一番下にある、「政府の避難指示等の有無を基準として」というふうに書かれてはいますけれども、そこで、この審査会で議論してきたところは、やむを得ず避難を強制されたというところに対する損害賠償をするという、そういう基準になっているかと思います。
 自主避難ということになりますと、これは本人が動いたことということで、別の視点が入ってきているように思いますので、ここまで広めるのであれば、それにかかわるようなかなり広い範囲のものも一緒に考える必要があるだろうというふうに考えています。
 先ほど幾つか議論があった中で、では年間20ミリシーベルトというのに対してどのように考えるかということがあるんですけれども、中島委員が言われたように、実際に住民の方々がそこで持っている情報は、年間20ミリシーベルトではなくて、ある地点の線量率が幾らであったかということなので、もし何らかの基準を認めるとすれば、そのときそのときの線量率、これが1つ基準になるかなと。それから、水素爆発等によって、それなりの恐怖心を感じられたということ。それから、先ほどから話があるように、お子さんがいらっしゃるときに、放射線に対する不安を感じられた。そういう幾つかのファクターが出てくるので、そういうものを勘案して、何か基準を決めていくということになるのかなというように感じています。

【能見会長】  では、草間委員、どうぞ。

【草間委員】  まず、自主避難に関してですけれども、中間指針の中で、4月22日に一応解除になっても、とりあえず残っている方たちについて、7月末日まで認めましょうと。これは、ある意味、ちょっと逆の考え方をすれば、自主避難をしているということになると思うんですね。だから、これを認めたということになると、今議論になっている自主避難についても、何らかの形で認めざるを得ないんじゃないかなと思います。だから、自主避難について認めるということは賛成なんですけれども、ここでその基準を決めるということは大変難しいと思うんですね。
 だから、先ほど、4月22日の取扱いについて、特段の理由がある場合にという形だったと思うんです。だから、特段の理由の中に、例えば線量率の高いところとか、そういったような形で認識することにしないと、ここで数値的な基準を決めますと、さまざまな、ただでさえダブルスタンダートが問題になっているときに、ダブルスタンダートになる可能性もあるので、私は1つの基準というよりも、特段の理由のときに、例えば線量率が高いとか、そういったことを入れるような形が1つあるのかなと思っています。
 それと、先ほど、子どもとか妊婦がいるから云々という話ですけれども、ICRPも含めまして、20から100というのは、緊急時の公衆の避難等の措置をするときに、20から100の巾の中でということなんですけれども、限度も含めまして、ICRPは、公衆の限度等を決めるときに、なぜ職業人より低くしているか。もちろん、直接的な利益があるかないかというのもですけれども、公衆の中には子どもや妊婦がいるということで、低くしているんですね。だから、20ミリというのは、子どもも妊婦も含めて、一応20から100の間で考えたらどうでしょうということですので、そういうふうにご理解いただきたいと思います。
 なぜ公衆の限度を低くしているかということにつきましては、ICRPがPublication9を出したときに、そういったことをきっちり明示しております。ICRP勧告というのは、2007年勧告が最新ですけれども、一応ずっと継続性を持って勧告をしてきているので、ぜひその辺はお考えいただきたいと思います。
 いずれにしましても、ここで基準を決めるということではなくて、特段の理由のときに、先ほどあったような数値を用いるということをお考えいただいたらどうかなと思います。
 それと、先ほどの労災のことですけれども、誤解があるといけないんですけれども、5ミリシーベルト掛ける業務年数という形です。それで、5ミリシーベルトというのは、先ほどお話ありましたように、昭和51年の基発810号すなわち基準局通達で出されているんですけれども、そのときの5ミリというのは、当時、職業人の限度が今でいう50ミリだったんですね。それで、その10分の1というのと、当時は――今は公衆の限度というのは1ミリシーベルトですけれども、この1ミリというのは、1980年のICRPのパリ声明で1ミリというのが出たんですけれども、それまでは公衆の限度というのは1年間に5ミリだったんですね。一応管理区域が云々ではなくて、職業人の10分の1、あるいは、公衆の限度の今でいう5ミリ、そういったのが参考になったのではないかと考えております。

【能見会長】  ほかにいかがでしょうか。
 今、草間委員から、この審査会で基準を設けることは難しいというお話があったのですが、基準という場合に、おそらく分けて考えなくてはいけない問題があると思うのですが、これは大塚委員の意見とも少し関係するところですが、この審査会で安全性の基準そのものを決めることは当然できないし、この審査会の権限の範囲内でもない。ここの審査会で考えることは、何らかの安全の基準がありうるのであれば、それが決まっていなくても、それを横目でにらみながらといいますか、それを想定しながらも、その安全性の基準そのものとはそれとは別に、いわば独自に、避難等をするのが合理的な状況なのかどうかを決めること、その基準を決めることだろうと思うのです。この判断自体もなかなか難しいということは、おっしゃるとおりだと思います。まずはっきりさせておきたいことは、われわれが議論するのは安全基準そのものとはやはり違うということです。自主避難が合理性があるといえる基準は何かを考えたらいい。
 この問題については、この審査会では必ずしも最初から課題として正面にこれを据えて議論してきていないので、十分な議論もなされてないし、また、十分な調査もされておりません。ICRPの勧告についても検討しなければならないと思いますが、そのようなことをここで議論すべきかどうかも、はっきりしません。ともかくも検討しなければならない問題が多いが、どれも十分に検討していない状況です。そこで、放射線について全くの門外漢である私などは疑問がたくさんあって、それを1つ1つ解明していきたいと思っています。
 先ほど中島委員が、爆発直後にとにかく危ないと思って逃げるという問題と、それから、もうちょっと落ちついてというか、少し長期的な視野のもとで――中島委員は長期的な視野とはおっしゃらなかったかもしれないけど、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトの間の問題をどう考えるというのは、一応別に考えたいということでした。
 前者のほうは、私はそれなりに何か基準が出せそうな気がするのですが、後者の1から20ミリシーベルトの問題については、これも専門の先生方がおられるので、いろいろ伺いたいのですけれども、そもそもICRPの緊急時の、20から100ミリシーベルトという基準ですか、その基準と、それから、現状被曝状況というのでしょうか、ある程度落ちつくという状況のもとでの1から20ミリシーベルトという基準があると思いますけれども、一体どっちでそもそも考えるべきなのかわかっておりません。これは安全性の基準の問題で、先ほどこの審査会で判断すべきだと言った風評の問題とは違いますけれども、いろいろな判断をする上での前提問題として、ICRPの勧告を当てはめた場合に、現状をどのように考えたらよいのか、そもそも私にはよくわからないところがあり、それも1つ勉強したいと思っております。
 それから、もう一つは、危険を感じるといいますか、不安を感じるということについてですが――大塚委員は、先ほど、ごみ焼却場の場合の平穏生活権の話をされましたが、今回の原子力事故の場合は、放射線量が1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまでの間であっても、おそらく単なる不安の問題ではなくて、ある種の健康の危険というものがあるけれども、それがどのぐらいかわからないという状況での不安ではないかと思うので、ごみ焼却場の近隣で平穏生活が害されるというのとは違うのではないかと思います。では1から20ミリシーベルトの放射線の危険というのはどの程度のものなのか。私、素人の考え方ですけれども、間違っていたら指摘していただきたいんですが、仮に年間10ミリシーベルトという状況で、それが時間とともにだんだん減るのかもしれませんけど、仮にその年間被曝量が10年間続くと、合計では100ミリシーベルトになる。100ミリシーベルトというのは、一般的にはがんの発生する有意な差をもたらす値であると言われているのではないかと思います。そこで、10年間とかより長期の時間的スパンを考えると、現在の放射線量の危険というのはどうなのかという問題があります。子どもですと、10年間ここで暮らしていると危ないんじゃないかと考えるというのが不合理なのか合理的な心配なのか、というような問題があるような気がするのです。こうした問題もこの審査会で議論して決着がつくという問題ではないかもしれませんが、審査会では十分議論して、それなりに我々が納得できる考え方を出していきたいと思います。
 今、直ちにこの場で答えいただくのが難しければ、また後で十分資料をそろえてからでも結構なんですが、先ほどのICRPの勧告でいう20から100ミリシーベルトという基準と1から20ミリシーベルトという基準では、どっちがどういう場面で適用されるか。これはどういうふうに考えたらよろしいんですか。

【草間委員】  ICRPは3つのバンドをつくっているわけですね。1ミリ以下と、1から20と、20から100。
 20から100というのは、いわゆる緊急時の公衆の被曝の上限です。緊急時被曝というのは、いろいろ定義の仕方があると思うんですけれども、1つの定義の仕方として、線源が全くコントロールされていない状況での被曝です。だから、福島原子力発電所の場合を考えますと、今3つのステップに分けて安定化をしましょうという形で考えているわけですけれども、とりあえずステップ1の段階までは線源がコントロールされていないというふうに考えていいのではないでしょうか。これを国がどう考えるかの問題ですけれども、緊急時というのは、いわゆる線源がコントロールされていない状態での被曝というわけですので、どこまでを緊急時と考えるかなんですね。
 それで、1から20というのは、緊急時以外の残存汚染に適用されるものです。今、事故による汚染は、特にセシウムのように半減期の長いものですので、残存汚染という形で残るわけですので。だから、緊急時と残存汚染というポイントをどこで分けるかというところに大きく関係してくるんだろうと思うんですね。

【能見会長】  原子炉自体は、今の状況だと完全にコントロールはされていないかもしれないけど、新たな爆発が生じるという状況ではなくて、そういう意味では、各地の線量も少しずつ減る状況で、そういう状況というのは、緊急時ではなくて、もう既に次の段階だというふうには言えないんですか。

【草間委員】  個人的な考えですけれども、私は、原子炉収束を3つのステップで考えましょうと、保安院等が言っております。第1ステップまでは、まだ原子炉が水素爆発を起こすかもしれないという形で、すごく不安定だったわけですけれども、とりあえず第1ステップは完了しましたということをもうきっちり言っておられるので、だから、第1ステップが終わった段階では、もう1から20のところで考えるということに移行していいのではないかなと思っています。
 防災指針等では、この前田中委員が言ったように、外部被曝では一応50ミリと決められているのですけれども、今回の事故では20ミリを判断の基準とした。これは妥当な判断だったんだろうと思っています。しかし、現在は次の段階に移行したほうがよいと思っております。

【能見会長】  田中委員、どうぞ。

【田中委員】  少し整理してみたいと思うんですが、我が国の防災指針では、予測が50ミリシーベルトを超えるようなときは避難をさせるということになっていて、それは、今、20キロ圏内がそれに該当していると思います。20から50ミリの予測がある場合には屋内退避、今は避難準備区域というんですか、そういうことになると思います。
 今回の事故の特徴は、その外側に実際に20ミリを超えるような汚染区域が出てきたということで、これが計画的避難区域になっています。実際には、当初は日本政府は、防災指針を適用して、住民の避難とか屋内退避を指示していました。その後しばらくたって、ICRPのこの事故に関しての勧告が出てきて、それを日本政府が検討して、それで、20ミリを境界として避難させるとか、避難させないというところが出てきたので、先ほど中島委員が言いましたように、当初の予測という意味では、50ミリだった。当初から20ミリが基準になっていたということはないんだと思います。
 ですから、計画的避難区域の指示が出たのは、4月の半ばぐらいでしたでしたか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  22日です。

【田中委員】  22日ですかね。その時点で20ミリという値が非常に明確に出て、そこからはもう20ミリの上か下かという議論になってきているので。だから、先ほど中島委員のおっしゃったように、実際に空間の線量率がある程度わかってきたのは、多分、3月の20日過ぎぐらいだと思いますので、それまではほとんど国民はよくわからない状態にあって、避難されたんだと思います。
 そこのあたりをどう見るかなんですが、非常に難しい問題ですけれども、私もある程度、あるレベル以上、ある種の認定的なことが必要になるのかもしれませんけれども、自主避難について、ある程度そういうことを踏まえて、国の基準もいろいろ動いたというか、必ずしもアプリオリに決まっていなかったし、その情報が国民に正確に伝わっていなかったという意味において、ある程度そこは配慮する必要があるのではないか。特に子どもについての不安というのは、いまだに消えていませんので、そういう点はあるかなと思いますけれども、今、どこにどうすべきかというのは、私自身は考えあぐねているところです。

【能見会長】  ほかに。では、まず大塚委員、どうそ。次に、鎌田委員、お願いします。

【大塚委員】  2つほど申し上げておきたいんですけれども、自主的に避難することが合理的であったかというのは、その時点で考えなければいけないので、今からさかのぼって考えるようなことでは多分ないと思うんですよね。今、20ミリかどうかが基準として用いられているからと言って、当時の行動の合理性について一定の基準に照らして厳密に考えなければいけないことかどうかというのは、そもそも問題があるとは思います。ただ、だからといって、対象者がものすごく広がっていくことは、もちろん問題があるので、限定をしなくてはいけないとは思っていますが、合理的かどうかというのは、ほんとうにぎりぎり、今考えて詰めることかというと、やっぱり当時合理的だったかどうかということを考えなくてはいけないのではないかなというのが1点ございます。
 もう1点ですけれども、会長がおっしゃったように、廃棄物処分場のケースと違って、こちらのほうが健康に危険がある場合とも言えると確かに思うんですけれども、ただ、聞くところによると、100ミリシーベルトでも0.5パーセントがんの確率が上がるということだそうなので、その下については、そもそもよくわからない、残念ながらしきい値がないという話は伺っていますので、そういう意味では、損害賠償からみたときに法的に健康への危険があると言い切れるかはなかなか難しく、不安の問題だと思うんです。不安というのは法的に扱いにくいものですから、私も不安を取り上げたいと特に思っているわけではないのですけれど、やっぱりある程度不安ということを考えざるを得ないのかなというふうに、私自身は考えております。

【能見会長】  では、鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  これまでの各委員のご意見でも、自主避難について、一応一定の配慮をしなければいけないという点では、おおむねコンセンサスがあるんだろうと思うんですね。しかし、どの範囲まで相当因果関係の範囲内にあるものと認めるべきかということを考えるのは、実際、非常に難しいんだと思います。客観的な基準があれば、この指針の基本的な考え方の上に乗っていきやすくなるんですけれども、その基準も、安全基準を定める、あるいは安全基準の合理性について判断する能力は、この審査会には基本的にはないということ。
 それから、自主避難することが適切かどうかと、今大塚委員がおっしゃられたことと共通なのかどうか、自信はありませんけれども、今はこういう状態だったら自主避難したほうがいいとか悪いとかという、こういう行動指針的な基準をつくるのも、ここの役割ではないわけです。
損害賠償の観点から言えば、過去の自主避難について、どこまでが相当因果関係の範囲内であったか。これが行政的な措置によって避難を余儀なくされているわけではないということで言えば、合理的な回避行動として認められるかどうかというのが基準になるんだろうと思います。そのときには、やっぱりその時点時点でどうであったかですから、時期と場所と、それから、幼児、妊婦その他であるかどうかという人の属性とで見ていかなければいけないんだと思いますし、同時に、一般に言われる安全基準の考え方、あるいは、その時々に公表されていたデータや情報との関連というので、かなりきめ細かく見ていかなければいけない。こういう点についても、多分、一般原則では大方のコンセンサスがあるんだろうと思いますので、そういうふうな基本的な考え方の中で、どこまで中身を詰めていけるかという作業を、私はこの審査会で少し詰めて議論をして、合理的な指針の基準ができていけば、それはつくっていくべきではないかなと思います。
 同時に、この資料の中にも書いてありますけれども、自主避難というのは1つの象徴的な事柄で、避難はしていないけれども、避難等の対象区域の隣接地域の人たちの検査費用等も、今の基準、指針からは明示的には挙げられていなくて、一般基準の中で判断してくださいと言われているわけですけど、これは問題の性質としてはほぼ同等でありますから、そういった関連した問題とのバランス等も考えながら、第一弾として出した中間指針の周辺部にあって、合理的に救済をしなければいけないというふうに皆さんが考えることについて、第2段階での指針づくりという作業を始めてはいかがかと考えております。

【能見会長】  どうぞ、田中委員。

【田中委員】  現実に自主避難だけが今取り上げられていますけれども、実際にこの地域のほとんど95パーセントから99パーセントぐらいの人が、避難したくてもできないから、そのまま生活しているという実態も、自主避難の人の救済をする場合には、少しそこも配慮しないといけないのではないかという感じがするので、その辺もぜひご議論いただければと思います。

【能見会長】  今ご指摘の点も非常に重要な観点で、この問題は、従来のこの指針で扱っていた枠組みとやっぱり違う切り口なんですね。20キロ圏、30キロ圏は、それなりにある程度予想される放射線被曝線量を前提にはしていたのかもしれませんけれども、ある意味で単純に距離でもって切っていて、具体的にどの程度の汚染があったかというのとは違う観点から切った範囲です。それに対して、今問題となっているのは、放射線の被曝そのものに関連する――そのものではないかもしれないけれども、それをもとにしての不安ということです。そうなってきますと、今おっしゃったように、自主避難だけが問題ではなくて、そこに残っている人たちのほうが、相変わらず放射線の被曝は続くわけですから、被曝量が多くなり、そういう人たちについてはどう考えるのかという問題も関係してくる。その人たちの健康、健診とか検査の問題とか、場合によっては、その地に残らざるを得なくて、ずっと被曝を続けているため、それが一定の量以上だと、そのような状況のもとでの精神的な損害というものもあるかもしれない。非常に問題の範囲が広くて、そういう意味で、先ほど鎌田委員が言われたように、なかなか簡単には、今すぐには決めにくい。しかし、自主避難についても、この審査会で取り組もうということになっても、どういう観点から、どういうことを検討したらいいか、それからそのためにはま、いろんな必要な調査なども必要になってくると思います。何をしたらいいのか、議論のためにはどんな準備をしたらよいのか、そんな点についても少し議論を進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 米倉委員、どうぞ。

【米倉委員】  少し関連した話になるかもしれないんですが、最初に私がお話ししたように、もともとこの最初の指針、今回の中間指針というのが、ある意味で、政府によって決められた、強制された、それに対する損害賠償という形で始まっているのに対して、今回の事故によって起こった被害という視点ではあまり議論がされてこなかったように思います。自主避難というのは、その1つの例だと思うんですけれども、例えば、幾つか抜けている視点があるように思います。今回、一時立入でいろんな方が協力しておられるのですが、その方々が健康被害を起こしたり、放射線ではなくて、熱中症、あるいはいろいろな病気で倒れられる。
一時立入の住民の方々は、これはおそらく避難地域の方なので、そちらでみられると思うんですけれども、その作業に従事している方、これはボランタリーで来ておられる方もたくさんいらっしゃるので、そういう中での被害というのをどんなふうにみていくのとか、幾つかそういうものがあるような気がしますので、全体として今回中間指針で見た、その周辺部にあるような、放射線あるいは原発事故による被害の中で、それに近い部分というのは、もう一度取りまとめて、何か議論するということをしないと、これだけを取り上げるというのはどうなのかなということを感じます。
 それから、もう1点、先ほど言われたように、まさにそのとおりで、最初の避難地域においても避難できなかった方の問題を取り上げたんですけれども、同じように、自主避難されて、すぐ近くにおられる方というのは非常に不安を持っていらっしゃる。そういう方々に対しても、やはり何らかの検査費用等の補てんはしてあげなくてはいけない。そういうことも含めて、いろいろ幅広い議論が要るかなというふうに感じました。

【能見会長】  はい。
 ほかにいかがでしょうか。
 いろいろなご意見が出まして、先ほど鎌田委員がある程度整理をしてくださいましたが、私も、皆さんの大体のご意見の方向として、この自主避難の問題については、その範囲とか基準はともかくとして、賠償の対象になり得る損害がある可能性がある。それを議論しよう、とそういうところは大体皆さん共通したご意見だったように思います。そして議論するとして、取り上げる問題ないし視点は、自主避難だけか、もうちょっと広い視点で、中間指針では落ちている問題を拾うべきか――中間指針は中間指針で、早急にまとめなくてはいけなかったことで、これは当然必要かつ合理的な作業だったわけですが、難しくてすぐに議論できないために中間指針の対象から落ちているものがあります。そういう問題も取り上げて、自主避難の問題と一緒に今後議論する。そういうことが皆さんの共通のご意見であったように思います。
 ただ、今後、一体どういうことを調べた上でどのように議論したらいいのか、あるいは、自主避難の基準についてはなかなか難しいんですけど、何か基準を考える上で参考になるような考え方があるのかないのか、こうした点についても、少し議論を続けていきたいと思っております。今日、そういう結論といいますか、今後作業を続けていくということのご了解が得られるのであれば、今後少し必要な資料を集め、調べても見ようと思います、ただ、こうした作業ということになると、おそらく来週やるというわけにはいかなくて、いろいろ調べなくてはいけないものがたくさんあると思いますので、今後議論を継続する時期については少し検討させていただければと思います。必ずこの審査会でもう一度、適切な時期に取り上げてご議論いただくということでいかがでしょうか。
 どうぞ、大塚委員。

【大塚委員】  今のおまとめで全く異論ないんですけれども、ひょっとしたら委員の方の中でも多少ニュアンスの違いがあると思うんですけど、私が多少違っているのは、広く関連したものをいろいろ取り上げることは非常に重要だともちろん思っているんですけれども、おそらく自主避難を3月中にされた方というのは、ほかの方に比べて、やはり考えなくてはいけない度合いは高いのではないかなというふうに私自身は思っていまして、濃淡が多少あるのかなというふうに思います。それは「合理的に行動したというふうに考えられれば」ということではありますが、私はそういう意見を持っているということだけちょっと申し上げます。

【能見会長】  この点も若干ニュアンスの差があって、私は、大塚委員が爆発直後にすぐに避難された方と、それから――そちらのほうが保護の程度が強いのではないかというご意見だったと思いますけれども、どちらが保護の程度が高いのか、私はまだ判断しかねていますけれども、しばらくたって、やっぱり放射線量が相当あるというので避難されるという方も、それもそれなりに合理的な、かえってある程度の情報をもとにしての行動なので、合理的な行動と言いやすい側面もあり、一概にどちらがということは言いにくいような気もします。その点も含めて、もうちょっと検討させていただければと思います。
 鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】  一言。
 先ほど、損害の性質と時期と地域によって、かなりきめ細かく見なければいけないということと、それから、自主避難だけに限らないというふうに申し上げましたけれども、逆に、自主避難も含めて、審査会が議論の対象にしたということは、何でも幅広く全部賠償するという姿勢を示したということでは決してないわけで、やっぱり相当因果関係の範囲というのが基本にあって、それの中で類型的にとらえられるものから順番にやってきた。それは、明らかに抜け落ちているものがあるのは、最初から承知の上なんですけれども、そういうものの中で、特別に判断の基準を明示していったほうが、今後の展開の上で、被害者の救済を迅速かつ適正に進める上で合理的であり望ましいというものについては、可能な範囲で拾い上げていこうということで、無限に拡大しようというふうな趣旨で申し上げたということではありませんので、念のため申し上げます。

【能見会長】  今の点は全くおっしゃるとおりで、ここで賠償の対象とするのは、あくまでやはり原子力損害というカテゴリーのものであり、かつまた、相当因果関係の範囲内のものということですので、当然、おのずから限度があるということでございます。
 これは私の個人的な感想ですけれども、今までこの審査会でもって、避難費用をはじめとして、医療損害、それから、風評損害も含めて、それなりに幅広く実際に生じた損害というのを賠償の対象としてまいりまして、そういう意味では、指針として十分寄与するものだというふうに思います。しかし、改めて今この問題を考えてみますと、人の健康そのものに関連する被害、健康の被害のおそれがあるので逃げるというものを含めてですが、そちらについては、今日の議論があったように難しい問題があるために、十分扱ってこなかったなという感想を持っております。そういうことで、この自主避難の問題、関連する問題を含めて、人の健康そのものに関わる問題について、もっと切り込んで議論する、十分資料を集めて議論できればということでございます。
 一応私のまとめとしては、そういうことですけれども、ほかに何かご意見があればお願いします。よろしゅうございますか。
 それでは、まだ今後も大変な作業が続くことになりますが、とりあえず今日の審議はこのくらいにしたいと思います。次回の日程ということは特に今確定的には申し上げられないのですが、事務局のほうから何か補足できますか。

【田口原子力損害賠償対策室次長】  会長のお言葉もありましたように、何を調査すべきか、あるいは、議論のためのどういうものを準備するかというものも含めて、会長と相談させていただいた上で、委員の皆様と日程を調整させていただきたいと思います。

【能見会長】  以上で今日の審査会を終わりたいと思います。どうも今日は長い時間ありがとうございました。これで閉会します。

―― 了 ――

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2011-09-06 : ・「自主」避難者の問題 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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