東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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・設置関係資料 その15 日本原子力学会原子力安全調査専門委員会

・設置関係資料 その15 日本原子力学会原子力安全調査専門委員会


http://www.aesj.or.jp/information/fnpp201103/chousacom/gb/gbcom_kyokun_gaiyo20110509.pdf

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福島第一原子力発電所事故からの教訓
2011年5月9日
一般社団法人日本原子力学会
原子力安全調査専門委員会
技術分析分科会
(QandA_gb@aesj.or.jp)

はじめに
福島第一原子力発電所の事故から教訓をくみ取り、世界で稼働中の原子力発電所で同じような事故を二度と起こさないようにすることが重要である。
公開されている情報を元に、今回の事故とその対応を、テーマに分類、分析し、その中から得られる教訓をまとめ、考えられる対策の例を提言としてとりまとめた。
なお、提言としては、「1年程度の短期に行うべき対策の例」と、「2、3年程度の中期にじっくり改革すべき対策の例」にまとめた。
1. 地震
2 津波
3 全電源喪失
4 全冷却系喪失
5. アクシデントマネジメント
6. 水素爆発
7. 使用済み燃料貯蔵プール
8. 安全研究
9. 安全規制と安全設計
10 組織・危機管理
11. 情報公開
12. 緊急時安全管理

1.地震の揺れに対する教訓
a. 地震の揺れに対する従来の対策は、おおむね有効であった可能性が高いと推定される
b. 外部電源系の地震対策が十分でなく、事故の拡大を防げなかった
提言(短期)
(1) 一部基準地震動Ssを越えた女川、東海第二原子力発電所については、地震の揺れによる影響について、定量的な評価を実施。再起動に向けて、必要があれば安全強化を行う
(2) 福島第一及び福島第二原子力発電所について、今回の地震に対する耐震評価を実施し、得られた知見を耐震設計の改善に資すること
提言(中期)
(3) 日本国内の発電所に今回の地震のメカニズムから必要があれば基準地震動Ssの見直しを行い、バックチェックを急ぐこと
(4) 外部電源の耐震性の考え方について、再度検討する必要がある

2.津波に対する教訓
a. 耐震設計で考慮していた津波の規模が不十分であった
b. 海水の浸水により、安全上重要な機器が停止し、事故の拡大を防げなかった
c. 地下構造物の浸水防止が不十分であり復旧作業を妨げている
提言(短期)
(1) 安全上重要な機器の損傷を防ぐため、これらが配置されている建物に海水が入らないようにするなどの、ハードウエア対応
(2) 今回の知見に基づき、津波の想定を見直すリスク評価手法を取り入れ、想定する津波に対する標準化を進める
提言(中期)
(3) 津波が敷地内に浸入しないように、防潮堤を作る
(4) 建物の水密性を高める。電線管など、すべての浸水経路を塞ぐ
(5) 津波によって機器や構造物が流され、建屋に障害を与える可能性考慮
(6) 排水ポンプをあらかじめ設置しておく
(7) 機器の予備品を、津波に影響を受けない場所に準備しておく
(8) 津波により散乱する瓦礫を除去する重機などをあらかじめ準備
(9) 安全重要度が低いピットであっても、海岸に近いものについては水密性を高め、津波が侵入しないようにする

3.全電源喪失に対する教訓
a. 安全審査が不十分であった
b. 全電源が長期間喪失し、事象の進展が防げなかった
c. 原子炉内の状況把握が困難となった
d. 電源が一部でも残っていれば、事象の進展を食い止められる可能性がある
提言(短期)
(1) 電源車、小型発電機など多様な方法で電源を供給する
(2) 交流電源がすべて喪失した場合を想定し、重要な機器および炉心の監視系供給をへの電力行えるようにする
(3) 発電機を複数機設置する場合は、あらかじめケーブルを接続しておく
提言(中期)
(4) 安全審査指針などの見直しをすすめる
(5) ガスタービン発電機など、多様な発電機を導入する。配置にも多様性を求め、固定式のものは免震床などを考慮する
(6) 海水冷却に頼らない、空冷式発電機を準備する
(7) 予備の電源盤を準備する
(8) 他の発電所(例えば水力)との電源融通を行う
(9) 蒸気タービン駆動炉心注水ポンプには小型の発電機を取り付け、制御用のバッテリーの充電を行う

4.全冷却系喪失に対する教訓
a. 海水冷却は津波に対して脆弱性がある
b. 電源があれば炉心損傷までの時間的余裕が比較的ある
提言(短期)
(1) 消防車などを用いた冷却系への注水訓練の実施とハードウエア整備
提言(中期)
(2) 海水ポンプモータなどの予備品をあらかじめ、津波の影響を受けない場所に準備しておく
(3) 海水ポンプに対する浸水防止対策例えば防水壁や専用、建屋の設置を行う
(4) 海水に頼らない冷却システムを準備し冗長性を担保する。例えば崩壊熱除去が可能な容量の空気冷却機などを設置しておく
(5) 動力の要らない自然循環冷却システムを考案する
(6) 水源を多様化しておく。(河川、ダム、防火用水など)。必要に応じて送電線をさらに多重化する

5.アクシデントマネジメントに対する教訓(1/2)
a. アクシデントマネジメント(AM)対策が事故の大幅な悪化を防いだ
b. 全電源喪失を考慮したアクシデントマネジメント(AM)が不十分であった可能性がある
c. 炉心が損傷した後、放射性物質が放出された後のAM対策が十分に検討されていなかった
提言(短期)
(1) シビアアクシデントのAM対策として、下記目的のため、数日間使用可能な予備電源を準備する。また、空気作動弁操作のために窒素ボンベを常備しておくことも有効である
i) 炉心の重要なパラメータおよび排気塔放射線モニター計測用電源ベントラインの制御が行えるように電源ラインを準備する
ii) 水素再結合機及び非常用ガス処理系電源
(2) ベント実施が現地責任者の判断でできるようにする
(3) AM対策の訓練を実際の状況(津波により瓦礫が散乱している状況など)を想定して実施する。なお、瓦礫の散乱を考慮し、あらかじめ炉心給水用ホースの設置をしておく対策なども有効である

5.アクシデントマネジメントに対する教訓(2/2)
a. アクシデントマネジメント(AM)対策が事故の大幅な悪化を防いだ
b. 全電源喪失を考慮したアクシデントマネジメント(AM)が不十分であった可能性がある
c. 炉心が損傷した後、放射性物質が放出された後のAM対策が十分に検討されていなかった
提言(中期)
(4) 全電源喪失以外の起因事象によるAMを見直すとともに、必要な常設の設備対応を実施する。なお、今回の事故における具体的なAM対応やプラントの挙動を評価し、AMの改善に繋げることが重要である
(5) ベントラインにゼオライトの砂と水を入れたフィルタードベント等を設置
(6) 同一敷地内に複数立地している場合のAM同時対応策について評価
(7) 大量の汚染水が発生する可能性がある事を考慮し、移動式汚染水処理設備をあらかじめ準備しておく(事故後に発災事業所に輸送)
(8) 炉心損傷が起きた後の、炉心冷却手法や閉じ込め手法を系統的に検討する。また、必要なハードウエア対応を考慮する
(9) 放射性物質を放出した後の、炉心冷却手法や閉じ込め手法を検討する。また、必要なハードウエア対応も考慮する

6.水素爆発に対する教訓
a. 水素爆発により原子炉建屋が破損した
b. 格納容器外の水素爆発は考慮されていなかった
c. 格納容器外への水素漏洩経路が不明
提言(短期)
(1) 格納容器パラメータ計測システムや水素結合器などへ、予備電源を供給ーモニターができできる仕組みと、パラメタの遠隔るようにする
(2) ベントラインの再チェックと漏洩検査を行う。また、ベントの訓練を実施する
提言(中期)
(3) 格納容器外水素爆発のメカニズムを評価する
(4) 格納容器外に水素が漏れないようなAM対策を行う。例えば、静的触媒再結合器の設置などが考えられる

7.使用済み燃料貯蔵プールに対する教訓
a. 使用済み燃料貯蔵プールの冷却に失敗した
b. 建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある
提言(短期)
(1) 使用済み燃料貯蔵プールに対するAMを見直す
具体的には電源喪失直後に消防車による注水ができるように準備する、プールのある運転床にある消火栓から注水ができるように準備する、あらかじめフレキシブルホースなどを設置して地上からの注水が容易になるようにしておくことなどが考えられる
(2) 電源喪失しても予備電源などで燃料プール温度及び漏洩監視モニターを監視できるように電源を準備する
提言(中期)
(3) 使用済み燃料貯蔵プールの自然循環冷却システムを導入する
(4) 空冷の中間貯蔵設備を導入する
(5) シミュレーションによって事故挙動を評価し、4号機建屋破損の原因を調査・特定する。また使用済み燃料貯蔵プールの状況を調査する

8.安全研究の推進に対する教訓
a. シビアアクシデント研究と成果の活用が不十分であった
b. 国家予算の使い方に無駄が多い
提言(短期)
(1) JAEAやJNESを通じた、既存のシビアアクシデント研究成果の規制への反映
(2) 人材育成シビアアクシデントを含む安全研究、安全設計に係わる人材育成を体系的に実施する
提言(中期)
(3) シビアアクシデント研究の推進
特に、水素挙動解析、水素燃焼、使用済み燃料プール評価など
(4) モデリング・シミュレーション技術の推進
特に、原子力安全の高度化、シミュレーションの検証と妥当性確認
(5) 災害時に必要な研究成果については、予算措置を行い、維持していくことが必要である。場合によっては法律改正も必要である

9.安全規制と安全設計に対する教訓
a. 外的事象に対する安全設計の考え方が不十分であった
b. 極まれに発生するが、影響が大きな事象に対する評価が不十分
c. 共通要因故障への備えが不十分であった
d. 日本の安全規制の仕組みが不十分であった
提言(短期)
(1) 津波に対するアクシデントマネジメント(AM)対策を評価する
提言(中期)
(2) 外的事象に対する定量的リスク評価手法の確立
(3) 内的事象に対する深層防護の再確認と定量的リスク評価の高度化
(4) 不確定性が大きく影響が巨大な事象に関するリス、ク評価手法確立
(5) 定量的リスク評価でカバーできない事象に対するAM対応策
(6) 安全重要度・多様性多重性の見直し。特に電気系の見直し
(7) 日本の安全規制システムの全面的な見直し。
i) 法律体系を見直し、原子炉等規制法に電気事業法を統一する
ii) 原子炉等規制法を改正しシビアアクシデントを規制範囲に取り込む
iii) 設置許可に包括的安全解析書を導入する。
iv) 民間第三者認証制度を導入し、あわせて監査的検査制度を導入する

10.組織、危機管理に対する教訓
a. 責任体制が不十分であった
b. 停電や情報伝達の問題などにより緊急時の円滑な対応がうまくいかなかった
提言(短期)
(1) 専門性を持った責任者がすべての責任の統括する
提言(中期)
(2) 専門性を持った規制組織を作る
i) 原子力安全委員会を三条機関化し、日本版NRC(米国原子力安全規制委員会)のような専門性の高い規制組織を作る
ii) 環境放射線モニタリングを原子炉等規制法に取込み、都道府県が実施することで、原子力施設の監視を強化し、透明性を高めるとともに、原災法への円滑な橋渡しを図る
iii) 役職に応じた資格制度を導入するとともに、人事の固定化を図る
iv) 規制監査機関を作り、委員会事務局の監査を行う
v) 同機関は、諸外国の規制機関との連携を緊密に保つとともに、IAEAの活動に能動的に参画する

11.情報公開に対する教訓
a. 情報公開が十分ではないと見られている
b. 技術的な説明が不十分であった
c. 放射線安全に対する説明性が低い
d. 避難区域の設定が段階的に拡大した
e. 避難区域などの設定に関する自治体との連携不足
f. 自治体と災害本部の意思疎通が無い
提言(短期)
(1) SPEEDIの全面的な公開
(2) プレス発表における技術的な説明の改善
(3) 統一された放射線安全の考え方に基づいた防護措置の発表
(4) 原子力災害対策法の見直し。特に国と自治体の役割を実態に合わせて明確化
提言(中期)
(5) 見直された原子力災害対策法にのっとり、事故が起こることを前提とした訓練の実施
(6) ERSSやSPEEDIの高度化と利用法に関する議論を明確化
(7) 原子力透明化法の制定

12.緊急時安全管理に対する教訓
a. 構内の放射線量に関する情報一元化、共有化に課題がある
b. 免震重要棟の設計条件に放射性物質の流入は想定されていなかった
c. 緊急事態での従業員・作業員への健康等への影響の認識が不足
提言(短期)
(1) 情報共有化の徹底
(2) 緊急時における放射線管理要員の確保および資機材の調達の事前計
提言(中期)
画と実行可能性確認
(3) 緊急時の人間行動など行動科学および健康科学面からの分析とその知見の反映

重要な教訓のまとめ
a. 耐震設計で考慮していた津波の規模が不十分であった
b. 海水の浸水により、安全上重要な機器が停止し、その結果、全交流電源喪失、全冷却系喪失となり、事故の拡大を防げなかった
c. 全電源が長期間喪失し、非常用冷却システムの稼動が十分ではなく、事象の進展が防げなかった。
d. 電源喪失により、原子炉内の状況把握が困難となった。
e. 海水冷却は津波に対して脆弱性があり、ヒートシンクが失われた
f. 全電源喪失を考慮したアクシデントマネジメント(AM)が不十分であった可能性がある
g. 格納容器外の水素爆発は考慮されていなかった
h. 建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある
i. 外的事象に対する安全設計の考え方が不十分であった
j. 日本の安全規制の仕組みが不十分であった
k. 情報発信に多くの課題がある
l. アクシデントマネジメント(AM)対策が事故の大幅な悪化を防いだ。
m. 地震の揺れに対する従来の対策は、おおむね有効であった可能性が高いと推定される

重要な対策のまとめ
1. 津波対策として水密性強化など物理的な対策を行うこと
2. 多様な電源をあらかじめ準備しておくこと
3. 海水冷却だけではない、多様な冷却システムを検討し準備すること
4. シビアアクシデントが発生しうることを想定し、アクシデントマネジメント(AM)対策を十分に検討すること。また、AM対策として複数電源ラインなど必要なハードウエアを整備すること。さらに、AMに対する訓練や教育を実施すること
5. 水素爆発を起こさないAM対策や、使用済み燃料貯蔵プールに対するAM対策を検討し、必要な手当てをすること
6. シビアアクシデント研究を推進するとともに、人材育成につとめること
7. 安全規制のあり方について、法律改正、組織改正を含めて根本から見直すこと
8. 定量的リスク評価手法を確立し、リスクを全面的に規制に取込むこと
9. 緊急時の情報公開や情報共有について再評価すること
10. 事故が起こることを前提とした防災訓練を実施すること
11 今回の地震・津波・事故に対して、耐震設計、配置設計、AM対応、プラント応答などを詳細に評価し、改善に資すること

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福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における個人の責任追及に偏らない調査を求める声明 (2011/7/7)
http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/pr20110707.pdf


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