東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■18条 原子力損害賠償紛争審査会 中間指針の論点(案) 第10回審査会

■18条 原子力損害賠償紛争審査会 中間指針の論点(案) 第10回審査会

平成23年7月14日 第10回審査会資料

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/07/14/1308423_2.pdf
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(審10)資料2

中間指針の論点(案)

 本資料は、審査会における議論のために作成したものであり、指針の内容、損害の範囲に何ら予断を与えるものではない。中間指針の作成に向けて、今後の議論に必要だと考えられる内容を以下に示す。

第1 指針の位置づけ
1 第一次指針を始めこれまでに既に決定・公表した内容にその後の検討事項を加え、賠償すべき損害と認められる一定の損害類型を示すもの。
2 中間指針では、当面の被害のうち、類型化が可能で賠償すべき損害について示すが、今後、事故の収束、避難区域等の見直し等の状況の変化に伴い、必要に応じてあらためて検討を行う。
3 中間指針に示されなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められ得る。中間指針で明示されないものについては、東京電力によって、迅速、公平かつ適正な賠償が行われることを期待する。


第2 各損害項目に共通する考え方
1 本件事故と相当因果関係のある損害、すなわち社会通念上当該事故から当該損害が生じるのが合理的かつ相当であると判断される範囲のものが原子力損害に含まれる。
2 JCO事故を参考としつつ、本件事故特有の事情を十分考慮する。
3 地震・津波による損害は賠償の対象とはならないが、原子力損害との区別が判然としない場合には、合理的な範囲で、特定の損害が原子力損害に該当するか否か及びその損害額の推認をすることが考えられる。
4 膨大な被害者に対する迅速な救済が求められるため、合理的な範囲で証明の程度の緩和、客観的な統計データ等による合理的な算定方法等により、一定額の賠償を認めることが考えられる。
5 請求金額の一部の前払いなど、東京電力の合理的かつ柔軟な対応が求められる。


第3 政府による避難等の指示に係る損害について
[対象区域]
避難区域(警戒区域)、屋内退避区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域
※特定避難勧奨地点及び一部の地方公共団体の要請による一時避難を対象に追加することとして良いか。

[損害項目]
1 検査費用(人)
対象区域内で屋内退避し、又は同区域内から同区域外に避難した者が、放射性物質への曝露の有無等を確認する目的で受けた検査につき支出した必要かつ合理的な範囲の検査費用及びその付随費用。
※特定避難勧奨地点で避難を選択しなかった者の検査費用及びその付随用を賠償の対象とすべきか。

2 避難費用
対象者が負担した必要かつ合理的な範囲の以下の費用
)対象区域から避難するために負担した交通費、家財道具の移動費用
)対象区域外に滞在することを余儀なくされたことにより負担した宿泊費及びこの宿泊に付随して負担した費用
)避難等による生活費の増加分(避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の額に加算)

3 一時立入費用
一時立入りに参加するために負担した必要かつ合理的な範囲の交通費、家財道具の移動費用、除染費等(前泊や後泊が不可欠な場合の宿泊費等も含む。)。

4 帰宅費用
対象区域の指定の解除に伴い、対象区域内の住居に戻るために負担した必要かつ合理的な範囲の交通費、家財道具の移動費用。

5 生命・身体的損害
①対象者が負担した以下の費用
)避難等を余儀なくされたため、傷害を負い、治療を要する程度に健康状態が悪化し、疾病にかかり、あるいは死亡したことにより生じた逸失利益、治療費、薬代、精神的損害等
)避難等を余儀なくされ、これによる治療費を要する程度の健康状態の悪化(精神的障害を含む。)等を防止するため、負担が増加した検査費、治療費、薬代等

6 精神的損害(避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害)
対象者個々人が受けた精神的苦痛のうち、少なくとも以下のものが賠償すべき損害と認められる。
)避難及び対象区域外滞在を長期間余儀なくされた者が、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛
)屋内退避を長期間余儀なくされた者が、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛
※特定避難勧奨地点から避難した者等の精神的損害の算定方法はどうするか。

7 営業損害
①対象区域内で事業の全部又は一部を営んでいた者が政府による指示等を受けて避難したことで営業不能になる等、同事業に支障が生じたことによる営業、取引等の減収分。この減収分は、本件事故がなければ得られたであろう収益から、本件事故により負担を免れた費用を控除した額としてよいか。(「収益」には、商品やサービスの売上高のほか、事業の実施に伴って得られたであろう交付金等(例えば、農業における戸別所得補償交付金、医療事業における診療報酬、私立学校における私学助成)がある場合は、これらも含まれる。また、「費用」には、商品やサービスの売上原価や販売費・一般管理費が含まれる。)
②同事業に支障が生じたために負担した必要かつ合理的な範囲の追加的費用(商品、営業資産の廃棄費用等)や、事業への支障を避けるため又は事業を変更したために生じた必要かつ合理的な範囲の追加的費用(事業拠点の移転費用、営業資産の移動・保管費用等)
③対象区域内(警戒区域を除く。)で避難等指示後も事業の全部又は一部を営んでいる者が政府による指示等により生じた営業、取引等の減収分及び追加的費用
④政府による避難指示等の解除後に合理的な範囲内で生じた減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用(機械の再整備費等)
※廃業や倒産の場合の損害の算定方法、営業損害の終期について、どのように扱うか。【別紙参照】

8 就労不能等に伴う損害
対象区域内に住居又は勤務先がある勤労者について、同区域内に係る避難等を余儀なくされたことに伴い、その就労が不能となった場合の給与等の減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用。
就労不能等に伴う終期について、どのように扱うか。【別紙参照】

9 検査費用(物)
対象区域内にあった商品を含む財物に対する以下の場合の検査費用
)当該財物の性質等から検査を実施して安全を確認することが必要かつ合理的である場合
)取引先の要求等により必要かつ合理的な範囲で検査の実施を余儀なくされたものと認められた場合

10 財物価値の喪失又は減少等
財物(動産及び不動産)につき、現実に発生した以下の損害。
①政府の指示による避難等を余儀なくされたことに伴い、対象区域内に所有していた財物の管理が不能等となったため、当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合には、現実に価値を喪失し又は減少した部分及びこれに伴う必要かつ合理的な範囲内の追加的費用(当該財物の廃棄費用、除染費用、修理費用等)
②①のほか、当該財物が本件事故の発生時に対象区域内にあった以下の場合についても、①と同様に損害を算定する。
)財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質に曝露した場合
))には該当しないものの、財物の種類、性質及び取引様態から、平均的・一般的な人の認識を基準として、本件事故により当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合
③対象区域内に所有又は管理する財物の管理が不能等となり、又は放射性物質に曝露することにより、その価値が喪失又は減少することを予防するため、必要かつ合理的な範囲内で所有者等が支出した費用
④賠償の基準となる財物の価値は、原則として、本件事故発生時点における財物の時価に相当する額とすべきであるが、時価の算出が困難である場合には、合理的な額の簿価を基準として算出することも認められるのか。
⑤除染や修理に係る費用は、原則として当該財物の客観的価値の範囲内のものとするが、代替性のない財物等については、当該価値を超えたとしても必要かつ合理的な範囲内で賠償すべき損害と認められ得るか。
⑥不動産に係る以下の損害については、その契約成立の確実性及び解約等の理由の相当性から判断して、合理的な範囲で損害が認められるとして良いか。
・不動産売買契約又は不動産賃貸借契約の解約による損害
・不動産を担保とする融資の拒絶による損害
・不動産の売却予定価格の値下げによる損害
・不動産賃貸契約における賃料の減額を行ったことによる損害


第4 政府による航行危険区域設定等に係る損害について
[対象]
航行危険区域等、飛行禁止区域

[損害項目]
1 営業損害
①航行危険区域等の設定により、現実に発生した以下の損害。
)漁業者が、対象区域内での操業の断念を余儀なくされたことによる減収分
)内航海運業及び旅客船事業を営んでいる者等が、同区域を迂回して航行したことによる必要かつ合理的な範囲での費用の増加分又は減収分
②飛行禁止区域の設定により、航空運送事業を営んでいる者が、同区域を迂回して飛行したことによる必要かつ合理的な範囲での費用の増加分
2 就労不能等に係る損害
航行危険区域等又は飛行禁止区域の設定により、同区域での操業が不能等となった漁業者若しくは内航海運業者又は航空運送事業者等の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされたことによる勤労者の給与等の減収分。


第5 政府等による出荷制限指示等に係る損害について
[対象]
農林水産物の出荷、作付け等について、政府が本件事故に関し行う制限の指示等(地方公共団体が本件事故に関し合理的理由に基づき行うもの及び生産者団体が政府又は地方公共団体の関与の下で本件事故に関し合理的理由に基づき行うものを含む。)に係る損害

[損害項目]
1 営業損害
①農林漁業者において、同指示等により同指示等に係る行為の断念を余儀なくされた等のため現実に生じた減収分。
②農林漁業者において、同指示等により事業に支障が生じたために負担した必要かつ合理的な範囲の追加的費用(商品の回収費用、廃棄費用等)や、事業への支障を避けるため又は事業を変更したために生じた必要かつ合理的な範囲の追加的費用(代替飼料の購入費用等)
③農林漁業者において、同指示等の解除後に合理的な範囲内で生じた減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用(農地や機械の再整備費等)
④同指示等の対象品目を仕入れた加工・流通業者において、同指示等によりその販売等の断念を余儀なくされて生じた減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用

2 就労不能等に伴う損害
政府等による出荷制限指示等により、農林漁業者等の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合の給与等の減収分。

3 検査費用(物)
政府等による出荷制限指示等に基づき検査を行った場合に農林漁業者等が負担した検査費用。


第6 その他の政府指示等に係る損害について
その他の政府指示等に係る損害として、以下を追加して良いか。
[対象]
事業活動に係る行為について、第5のほか、政府が本件事故に関し行う制限の指示等(地方公共団体が本件事故に関し合理的理由に基づき行う場合を含む。)に係る損害(政府の指標に基づき水道水の摂取制限を実施した水道事業者等の損害、政府の指導等に基づき放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の取扱いを行った事業者の損害など)

[損害項目]
1 営業損害
①事業者において、同指示等により同指示等に係る行為の断念を余儀なくされたため現実に生じた減収分。
②同事業に支障が生じたために負担した必要かつ合理的な範囲の追加的費用(商品の回収費、廃棄費用等)や、事業への支障を避けるため又は事業を変更したために生じた必要かつ合理的な範囲の追加的費用(代替水の提供に係る費用等)
③同指示等の解除後に合理的な範囲内で生じた減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用
2 就労不能等に伴う損害
政府等による制限指示等により、事業者の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合の給与等の減収分。
3 検査費用(物)
事業者が政府等による制限指示等に基づき検査を行った場合に事業者の負担した検査費用。


第7 いわゆる風評被害について
1 一般的基準
①「風評被害」についても、本件事故と相当因果関係のあるものであれば賠償対象とする。その一般的な基準は、消費者又は取引先が、商品又はサービスについて、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。
②具体的には、業種毎の特徴等を踏まえ、営業や品目の内容、地域、損害項目等により類型化した上で判断する。
③損害項目は、消費者又は取引先が商品又はサービスの買い控え、取引停止等を行ったために生じた次のもの。
)営業損害
取引数量の減少又は取引価格の低下による減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用(商品の返品費用、廃棄費用等)
)就労不能等に伴う損害
事業者の経営状態が悪化したため、そこで勤務していた勤労者が就労不能等を余儀なくされた場合の給与等の減収分。
)検査費用(物)
取引先の要求等により実施を余儀なくされた必要かつ合理的な範囲の検査の費用
2 農林漁業の風評被害
3 観光業の風評被害
4 その他の風評被害
※原則として相当因果関係が認められる風評被害の類型として何を追加できるか。
※外国政府による食品等の輸入規制(輸入停止・検査要求など)、外国人観光の減少等、外国人又は外国政府が介在する被害について、どのように取り うか。【別紙参照】


第9 放射線被曝による損害について
 本件事故の復旧作業等に従事した原子力発電所作業員、自衛官、消防隊員、警察官又はその他の者(住民を含む。)が、本件事故によって放出された放射性物質による急性又は晩発性の放射線障害により、傷害を負い、健康状態が悪化し、疾病にかかり、あるいは死亡したことにより生じた逸失利益、治療費、薬代、精神的損害等は、賠償すべき損害として良いか。


第10 その他
1 被害者への各種給付金等と損害賠償金との調整
①本件事故により原子力損害を被った者が、同時に本件事故に起因して一定の利益を受けたと評価できる場合には、損害と当該利益との間に同質性が認められる限り、公平の見地から、その利益の額を損害額から控除することとして良いか。
②同質性の認められる各種逸失利益の金額から控除される、又は損害額から控除されるべきではない給付金等として、いくつかの給付金等を例示する必要があるか。
2 地方公共団体の財産的損害
 地方公共団体が民間事業者と同様の立場で行う事業(水道事業、下水道事業、病院事業等の地方公共団体の経営する企業及び収益事業)に関する損害については、本指針に示された事業者等に関する基準に照らして賠償すべき損害の範囲を判断することとして良いか。
※直接の被害者と一定の関係にある第三者、あるいはその第三者と一定の関係にある者の損害は、どこまで相当因果関係があり賠償すべき損害と認めらるか。【別紙参照】
以上


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2011-07-16 : ・論点 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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