東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■16条「必要な援助」国の措置 その8 事故処理費が莫大な場合

■16条「必要な援助」国の措置 その8 事故処理費が莫大な場合

 原賠機構法案と全く関係なく、その数字もごく大雑把に、考えてみると。


http://www.asahi.com/national/update/0709/TKY201107090574.html
この記事から、楽観的に考えて、たとえば10年で処理終了と仮定。
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asahi.com
福島第一廃炉まで数十年 東電の中長期工程案  2011年7月10日4時59分

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東電と原子炉メーカーが検討している廃炉に向けた中長期的な工程表案が明らかになった。早くて3年後に使用済み燃料プールから燃料の取り出しを始め、10年後をめどに原子炉内の燃料を取り出し始める。原子炉を解体して撤去する廃炉まで、全体で数十年かかるとしている。

 朝日新聞が入手した資料によると、福島第一原発1~4号機の使用済み燃料プールに保管されている3108体の燃料を、十分に冷やした後、3年後の2014年度初頭をめどに取り出しを始める。取り出した燃料は敷地内の共用プールに移すことを検討する。共用プールの改造のほか、燃料の輸送容器の製造などが必要になる。
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http://www.asahi.com/special/10005/TKY201105310473.html
廃炉費用について、スリーマイル事故で約6兆円、チェルノブイリ事故で約20兆円とのこと。ただしチェルノブイリは今も処理終わらず。
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asahi.com
原発事故処理に5.7兆~20兆円 民間研究機関が推計2011年5月31日19時44分

 民間シンクタンクの日本経済研究センター(東京都)の岩田一政理事長は31日、東京電力の福島第一原子力発電所の事故処理費用について、農漁業の補償を除いた最も楽観的なケースでも10年間で5.7兆円、条件によって20兆円以上になるとの推計を、内閣府の原子力委員会で報告した。

 土壌汚染の処理費が不明なため、福島第一原発から半径20キロ圏内の土地を一律で東電や国が買い上げるとの極端な条件で計算した。

 この場合、土地の買い上げ費用が公示地価から4兆3千億円、立ち退きを強いられる人への所得補償は平均所得から6300億円と計算。

 さらに、原発の廃炉費用は、米スリーマイル島原発事故を参考にすると10年で6兆円弱、旧ソ連チェルノブイリ原発事故を参考にすると約20兆円かかる計算になるという。汚染水や土壌の処理費、農漁業への補償は含んでいない

 こうした処理の財源として、10年で約12兆円の資金が確保できれば「当面は心配いらない」としている。財源候補に、青森県六ケ所村の使用済み燃料再処理工場の来年予定の操業を凍結、費用の一部6兆円を転用することなどを挙げた。(小堀龍之)
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〔利害関係者の優先順位〕

1 抵当権など特定財産上に別除権ある債権

2 財団債権(破産法148条)→●廃炉費用等の事故処理費用
 租税のうち納期未到来や納期限から1年を経過していないもの、破産開始決定前の3か月間の未払給料、退職前3か月分の退職金など

3 優先的破産債権(破産法98条、一般の先取特権その他優先権ある債権) 租税のうち納期限から1年を経過したもの、財団債権となるもの以外の労働債権、●金融機関の保有する一般担保付社債など

4 一般の破産債権→●損害賠償請求権

5 劣後的破産債権(破産法99条)
 破産手続開始後の利息など

6 株主



〔前提〕ごくおおざっぱに仮定して

東電を大雑把に、
http://www.youtube.com/watch?v=2y3AFxwl2ec
純資産 2.6兆円
総資産 13兆円
年間売上 5兆円
純利益 2000億円程度?
純利益×10年で、2兆円
とする。

総資産と10年間の純利益合計で、13兆円+2兆円で、15兆円

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110503/plc11050323450017-n1.htm
この記事から、原発賠償総合計を4兆円と仮定


〔破綻処理すると〕

ごく大雑把に考えて、現時点で破産して、10年間、管財業務があるとして、

・当然株価は0として、

事故処理費(事故収束、廃炉費用等の、損害賠償以外の費用)

A 処理費5兆円で済んだら   10兆円浮く→配当財源となりうる
B 処理費10兆円で済んだら   5兆円浮く→配当財源となりうる
C 処理費15兆円なら       配当財源無し
D 処理費20兆円なら    配当財源が一切無い上に、マイナス5兆円の処理費となり、ここは最終的に国が負担するしかない


・税金・労働債権・利息・その他の管財処理費等を全部考えないとして、

Aなら社債権者が満額5兆回収して、残り5兆円一般の破産債権者(事故被害者含む)が回収。事故被害者の賠償として足りない分があれば、原賠法16条との関係で、被害者への国からの補償は考えられる。

Bなら社債権者が5兆円回収しておわり。一般の破産債権者(事故被害者含む)は、回収できず。原発事故の賠償も東電からは0、ただし、原賠法16条との関係で、被害者への国からの補償は考えられる。

C、Dなら社債権者も他の破産債権者も全て回収不可。原発事故の賠償も東電からは0、ただし、原賠法16条との関係で、被害者への国からの補償は考えられる。

----------------------------
つまり

・結局破綻処理すると、国の負担は

Aなら、0
Bなら、原発賠償分の4兆円
Cなら、原発賠償分の4兆円
Dなら、原発賠償分の4兆円+処理費不足分5兆円=9兆円

・一般担保付社債権者の回収額は、

Aなら、満額5兆円
Bなら、満額5兆円
Cなら、0
Dなら、0

・他の債権者の回収額は、

Aなら、5兆円を案分
Bなら、0
Cなら、0
Dなら、0
※ただし、どの場合でも、原発事故被害者は、原賠法16条の存在から、国によって補償される余地あり。



-----------------------------
〔破綻処理しないと〕


賠償と処理費を除いて、上と同様に、東電の利益

年2000億円程度?

賠償金4兆円÷10年で、毎年4000億円

処理費÷10年=、
A 5000億円
B 1兆円
C 1兆5000億円
D 2兆円

社債その他債権者への返済、年間5000億円? 仮定


Aなら、年間2000億-4000億-5000億-5000億=1兆2000億円赤
10年後にマイナス12兆として、総資産13-12=1兆。

Bなら、年間2000億-4000億-1兆-5000億=1兆7000億円赤
10年後にマイナス17兆として、総資産13-17=-4兆(足りない分は国が金を入れたとして)

Cなら、年間2000億-4000億-1兆5000億-5000億=2兆2000億円赤
10年後にマイナス22兆として、総資産13-22=-9兆(足りない分は国が金を入れたとして)

Dなら、年間2000億-4000億-2兆-5000億=2兆7000億円赤
10年後にマイナス27兆として、総資産13-27=-14兆(足りない分は国が金を入れたとして)

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つまり

・破綻処理しない場合、国の負担は

Aなら、0
Bなら、東電に入れた分の4兆円
Cなら、東電に入れた分の9兆円
Dなら、東電に入れた分の14兆円

・一般担保付社債権者の回収額は、

AからDまで、満額

・他の債権者の回収額は、

国が金を入れると考えた場合は、AからDまで、満額

・原発事故被害者は、

当然にAからDまで、東電から満額


------------------------------
〔結論〕
 極めて大雑把な計算で、予測すると

 原発事故被害者は、破綻、存続、どちらでも、東電又は国から満額回収できるとして、

 たぶん、事故収束、廃炉等の事故処理費の金額(5~20兆)と、社債残額(増えないとして5兆)の合計が、東電の総資産(13兆)と処理終了までの純利益の合計額(2兆?)を上回ったあたり、


 簡単にいうと、事故処理費と一般担保付き社債の合計が、東電の総資産と全利益を全部食いつぶすような場合は、もともと原発事故被害者へ回る分の余裕は、はじめから一切ないのだから、さっさと破産させて、処理した方が最終的には国の負担は少なくなる。


 上記の計算だと、事故処理費が10兆超えるようなら、すぐにでも破綻処理した方が国は得ということ。



 なぜこんなことになるかというと、

 そもそも債権の優先度は、

 事故処理費(財団債権) > 一般担保付社債 > 損害賠償請求権

だからである。


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 事故処理費が莫大なものになる可能性が出てくると、あながち枝野氏の直感も大きくはずれていたとは言えなくなる。



事故処理費と16条との関係はこちらで述べた。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-116.html

 今から半世紀以上前の立法過程の議論を見ても、損害賠償額が巨額になって、それをどうするかという議論はあるが、事故処理費用等のいわば原子力事業者の自損分の金額が巨大になって、それをどうするという議論は見られず、不備としかいいようがない。



 
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