東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

■3条の賠償責任の法的性質 その7 労災保険法との関係

■3条の賠償責任の法的性質 その7 労災保険法との関係

〔労働者災害補償保険法(労災保険法)との関係〕
 労働者災害補償保険法による給付請求と,原賠法による阻害賠償請求請求は,請求相手も違うし,原賠法付則に調整規定もあることから,当然に両立しうる。

 なお,東電と雇用関係のある従業員については,通常の労働災害とみることができ,他の協力会社(下請け等)の作業員,その他の者との関係では,第三者加害による労働災害とみることになる?。
〔※労働災害の中には,①使用者加害の場合,②第三者加害の場合,③自然力等の不可抗力による場合の3パターンあり,①②については求償等の問題がありえ,特に②については保険等のとの関係で使用者の「第三者」性などが問題となる。なお,原賠法との関係で言えば,東電が3条1項但書で免責されない限り③のパターンはない。〕



-----------------------------
●原賠法 付則
(他の法律による給付との調整等)
第四条  第三条の場合において、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者(以下この条において単に「原子力事業者」という。)の従業員が原子力損害を受け、当該従業員又はその遺族がその損害のてん補に相当する労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による給付その他法令の規定による給付であつて政令で定めるもの(以下この条において「災害補償給付」という。)を受けるべきときは、当該従業員又はその遺族に係る原子力損害の賠償については、当分の間、次に定めるところによるものとする。
一  原子力事業者は、原子力事業者の従業員又はその遺族の災害補償給付を受ける権利が消滅するまでの間、その損害の発生時から当該災害補償給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該災害補償給付の価額となるべき額の限度で、その賠償の履行をしないことができる。
二  前号の場合において、災害補償給付の支給があつたときは、原子力事業者は、その損害の発生時から当該災害補償給付が支給された時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該災害補償給付の価額となるべき額の限度で、その損害の賠償の責めを免れる。
2  原子力事業者の従業員が原子力損害を受けた場合において、その損害が第三者の故意により生じたものであるときは、当該従業員又はその遺族に対し災害補償給付を支給した者は、当該第三者に対して求償権を有する。
------------------------------

●社会保険庁通達
原子力損害の賠償に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について
(昭和五四年一一月一六日)
(庁保険発第一五号)
(各都道府県民生主管部(局)保険課(部)長あて社会保険庁医療保険部船員保険課長通知)
原子力損害の賠償に関する法律施行令の一部を改正する政令は、昭和五四年一一月一六日政令第二八○号をもつて公布され、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律(昭和五四年法律第四四号)の施行の日(昭和五五年一月一日)から施行されることとなつたが、改正の趣旨及び改正内容のうち船員保険に関する事項は次のとおりであるので通知する。

第一 改正の趣旨
 今回の改正は、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、原子力損害の賠償措置額を引き上げるほか、核燃料物質等の廃棄に係る賠償措置額を新たに定め、さらに原子炉の運転等により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者(以下「原子力事業者」という。)の従業員が原子力損害を受けた場合、原子力事業者が当該従業員又はその遺族に対してなすべき損害賠償についてその調整の対象とする災害補償給付を定めるものであること。

第二 改正内容等
 原子力事業者に使用される船員保険の被保険者が原子力損害を受け、当該船員又はその遺族がその損害のてん補に相当する船員保険法の規定による職務上の事由による給付を受けたときは、原子力事業者はその給付の額を限度として賠償の責めを免れることができることとされたこと。
 ただし、職務上の事由による障害年金(船員保険法第四一条第二項の規定が適用された障害年金を含む。)及び遺族年金(同法第五○条ノ二第三項の規定が適用された遺族年金を含む。)の給付については、当該給付の額のうち国庫負担の対象とならない部分についてのみ原子力事業者は賠償の責めを免れることができるものであること。
 なお、原子力事業者に使用される船員保険の被保険者が原子力損害を受けた場合、その損害が第三者の故意により生じたものであるときを除き、当該船員又はその遺族に対してなした職務上の事由による給付については、当該第三者に対して求償できないものであること

--------------------------------

・通達はこちらコメント



--------------

〔国家公務員,船員〕
 また,船員や,自衛隊員等の国家公務員の労災については,前記の原賠法付則4条1項の「その他法令の規定による給付」として,他の労災保険と同様の扱いとなる。

---------------------------------
●原子力損害の賠償に関する法律施行令(昭和三十七年三月六日政令第四十四号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37SE044.html
(災害補償給付)
第三条  法附則第四条第一項に規定する政令で定める災害補償給付は、次に掲げる給付とする。
一  国家公務員災害補償法 (昭和二十六年法律第百九十一号)の規定による給付
二  船員保険法 (昭和十四年法律第七十三号)の規定による給付であつて職務上の事由によるもの

---------------------------------




〔政府よる求償請求〕
※下請け等の協力会社の従業員等の労働災害について,これを第三者(東電)による加害行為と見た場合

・原子力事業者に対する求償
 原賠法に基づく請求が基礎にあるので,原子力事業者の故意過失に関係なく求償可
----------------------
労働者災害補償保険法
第12条の4 政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
 2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。
----------------------

なお,原子力事業者以外の者に対する求償は,故意ある者についてのみ可
----------------------
原賠法 付則
(他の法律による給付との調整等)
第4条2項  原子力事業者の従業員が原子力損害を受けた場合において、その損害が第三者の故意により生じたものであるときは、当該従業員又はその遺族に対し災害補償給付を支給した者は、当該第三者に対して求償権を有する。
----------------------

※求償の対象となるのは、災害発生後3年以内に支給事由が生じた保険給付(年金たる保険給付については、この3年間に係るものに限る。)とされる(昭和41年6月17日基発第610号)。




〔原賠法に基づく損害賠償請求時における,労災保険との損益相殺の可否〕

 労災保険の支給金の種類によってまちまち。一般的には,その支給が,性質上,労働者の損失填補のためのものは損益相殺可,福祉事業としての性質を有する場合は不可といえる。以下参考判例。

・最高裁平成8年2月23日判決,判時1560-91,コック食品事件
「労働者災害補償保険法(以下「法」という。)による保険給付は、使用者の労働基準法上の災害補償義務を政府が労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)によって保険給付の形式で行うものであり、業務災害又は通勤災害による労働者の損害をてん補する性質を有するから、保険給付の原因となる事故が使用者の行為によって生じた場合につき、政府が保険給付をしたときは、労働基準法八四条二項の類推適用により、使用者はその給付の価額の限度で労働者に対する損害賠償の責めを免れると解され(最高裁昭和五〇年(オ)第六二一号同五二年一〇月二五日第三小法廷判決・民集三一巻六号八三六頁参照)、使用者の損害賠償義務の履行と年金給付との調整に関する規定(法六四条、平成二年法律第四〇号による改正前の法六七条)も設けられている。また、保険給付の原因となる事故が第三者の行為によって生じた場合につき、政府が保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者の第三者に対する損害賠償請求権を取得し、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができる旨定められている(法一二条の四)。他方、政府は、労災保険により、被災労働者に対し、休業特別支給金、障害特別支給金等の特別支給金を支給する(労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和四九年労働省令第三〇号))が、右特別支給金の支給は、労働福祉事業の一環として、被災労働者の療養生活の援護等によりその福祉の増進を図るために行われるものであり(平成七年法律第三五号による改正前の法二三条一項二号、同規則一条)、使用者又は第三者の損害賠償義務の履行と特別支給金の支給との関係について、保険給付の場合における前記各規定と同趣旨の定めはない。このような保険給付と特別支給金との差異を考慮すると、特別支給金が被災労働者の損害をてん補する性質を有するということはできず、したがって、被災労働者が労災保険から受領した特別支給金をその損害額から控除することはできないというべきである。」


※なお,損益相殺には,支給の確定を要する。以下参考判例。
・最高裁平成5年3月24日判決,判時1499-49
「損益相殺的な調整を図ることが許されるのは、当該債権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られるものというべきである。」




〔過失相殺と損益相殺の順序〕
 労災保険に関しては,過失相殺と損益相殺の適用順序については,まず過失相殺し、次に損益相殺するのが判例である。

・最判平成元年4月11日,判タ867-186
労働者災害補償保険法(以下「法」という。)に基づく保険給付の原因となつた事故が第三者の行為により惹起され、第三者が右行為によつて生じた損害につき賠償責任を負う場合において、右事故により被害を受けた労働者に過失があるため損害賠償額を定めるにつきこれを一定の割合で斟酌すべきときは、保険給付の原因となつた事由と同一の事由による損害の賠償額を算定するには、右損害の額から過失割合による減額をし、その残額から右保険給付の価額を控除する方法によるのが相当である(最高裁昭和五一年(オ)第一〇八九号同五五年一二月一八日第一小法廷判決・民集三四巻七号八八八頁参照)。けだし、法一二条の四は、事故が第三者の行為によつて生じた場合において、受給権者に対し、政府が先に保険給付をしたときは、受給権者の第三者に対する損害賠償請求権は右給付の価額の限度で当然国に移転し(一項)、第三者が先に損害賠償をしたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができると定め(二項)、受給権者に対する第三者の損害賠償義務と政府の保険給付義務とが相互補完の関係にあり、同一の事由による損害の二重填補を認めるものではない趣旨を明らかにしているのであつて、政府が保険給付をしたときは、右保険給付の原因となつた事由と同一の事由については、受給権者が第三者に対して取得した損害賠償請求権は、右給付の価額の限度において国に移転する結果減縮すると解されるところ(最高裁昭和五〇年(オ)第四三一号同五二年五月二七日第三小法廷判決・民集三一巻三号四二七頁、同五〇年(オ)第六二一号同五二年一〇月二五日第三小法廷判決・民集三一巻六号八三六頁参照)、損害賠償額を定めるにつき労働者の過失を斟酌すべき場合には、受給権者は第三者に対し右過失を斟酌して定められた額の損害賠償請求権を有するにすぎないので、同条一項により国に移転するとされる損害賠償請求権も過失を斟酌した後のそれを意味すると解するのが、文理上自然であり、右規定の趣旨にそうものといえるからである。」



関連記事
スポンサーサイト
2011-06-28 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

text2

Author:text2
原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

全記事のリスト表示

全ての記事を表示する

検索フォーム

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

QRコード

QR

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ニュース
592位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
時事
267位
アクセスランキングを見る>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。