東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■3条の賠償責任の法的性質 その6 国家賠償法1条との関係

■3条の賠償責任の法的性質 その6 国家賠償法1条との関係

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〔国家賠償法〕
第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
 2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
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 国や公共団体において,原発事故前の関与(監督検査等)や,原発事故後の関与(避難指示,出荷制限その他)について,故意又は過失あった場合に,被害者が国や公共団体に対して,国賠法1条に基づき損害賠償することができないか。

 これについては,少なくとも次ぎの4つの問題があるように思う。

1 国への責任追及が,原賠法4条(責任集中の原則)との関係で許されるのか。

2 1で原賠法4条による国の免責を認めた場合でも,事後的関与(避難指示や出荷制限などの国の対応についての落ち度など)についても,4条の適用があるのか。

3 原賠法3条1項本文と国賠法1項との関係。

4 両立すると考えた場合の、両責任の関係、求償関係

1については,こちらで論じた。4条適用肯定,否定両方ありうる。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-38.html

2については,こちらで論じた。4条適用肯定,否定両方ありうる。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-129.html

4については、こちらで触れた。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-61.html
共同不法行為(民法719条1項)、不真性連帯債務
共同不法行為者間の求償関係については、こちら



 ここでは,3について検討する。

 一般に,国賠法は,民法の不法行為規定の特則と理解されるので,民法より優先的に適用される。
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〔国家賠償法〕
第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法 の規定による。
第五条  国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
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 また,原賠法も,民法の不法行為規定の特則と理解されるので,民法より優先的に適用される。
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・平成16年9月27日東京地裁判決(判タ1195号263頁)
 宅地販売業者が,売却予定で宅地造成中に,JCOの臨界事故が起き,予定価格での売却ができなかったとして,原賠法等を根拠に損害賠償請求した事例。 
「なお,原賠法2条2項,3条1項の「損害」を前提のように解する以上,原告が被告の「原子炉の運転等」以外を加害原因として主張していない本件においては,原賠法3条1項による無過失損害賠償責任と別個に民法709条による賠償責任が成立する余地はなく,原賠法3条に基づく請求(主位的請求)が認められない場合には,民法709条に基づく請求(予備的請求)も認められない。」
 なお,控訴審判決は,そのまま結論維持・平成17年9月21日東京高裁判決(判時1914号95頁)
・平成20年2月27日水戸地裁判決(判タ1285号201頁)
 JCO臨界事故関係。近隣住民が被爆及びPTSD等健康被害で,JCO及びその親会社住友金属鉱山に対して,主位的に民法709条,予備的に原賠法3条による損害賠償請求をした。
原賠法に規定する原子力損害の賠償責任は,原子力事業者に対して原子力損害に関する無過失責任を規定するなどした民法の損害賠償責任に関する規定の特則であり,民法上の債務不履行責任又は不法行為の責任発生要件に関する規定は適用を排除され,その類推適用の余地もないものであるから,本件事故による被爆と相当因果関係があるものとして損害賠償を請求する限りにおいては,原子力事業者に該当する被告JCOとの関係においても,民法上の不法行為に基づいて,賠償請求を認めることはできないというほかない。」
 なお,控訴審判決は,そのまま結論維持・平成21年5月14日東京高裁判決(判時2066号54頁)
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 原賠法3条1項本文と国賠法1項との関係については,特に条文も判例も存在しないが,国賠法と民法,原賠法と民法との関係は,それぞれ同一の責任主体における同一事象についての適用関係の問題であるが,国賠法と原賠法との関係は,そもそも責任主体が「原子力事業者」と「国」という違いがある。
 特別法は一般法に優先するという原則は,そもそも同一事象について,特別な立法がされた場合は,当然にそちらを優先適用すべきという立法意思が明白なので,そちらを優先するというものだろう。
 したがって,責任主体が異なれば,同一の事象とは言えないだろうし,そもそも原賠法では「原子炉の運転等」を加害原因として類型化しているのに対して,国の関与としては,事前の監視監督や,事後の避難指示等の過失行為が問題となる。
 このように原賠法と,国賠法は,損害結果においては重なりうるが,その落ち度のある行為や責任主体において重ならないので〔事象としては別のことを問題としているので〕,原賠法3条1項の存在から,当然に国賠法1条が適用排除されるということはないのではないか。

 結論としては,原賠法4条による国の免責の有無のみが問題となり,国の行為について原賠法4条適用を否定する立場では,国に落ち度があった場合,被害者から国への国賠請求が可能となるのではないか。

 なお国営の原子炉については,国=原子力事業者となり,原賠法が優先的に適用され,同法23条は,それを前提とする規定と思われる。

〔国賠法での賠償義務と,原賠法16条の国の援助との関係も問題となろうが,おそらく16条の「援助」は厳密には国の法的義務とまでは言えないものだろうから無関係。※我妻栄「原子力二法の構想と問題点」ジュリスト236号8頁,「援助するとはいってはいるものの具体的に政府の義務とはされていない。事業者に資力がなく被害者に充分の賠償をすることができなくとも国会が権限を与えなければどうにもならない,ということである。」〕


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2011-06-27 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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