東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■4条 責任集中の原則 その2

【4条 責任集中の原則 その2】

条文
第4条
1  前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。
2  前条第一項の場合において、第七条の二第二項に規定する損害賠償措置を講じて本邦の水域に外国原子力船を立ち入らせる原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額は、同項に規定する額までとする。
3  原子炉の運転等により生じた原子力損害については、商法 (明治三十二年法律第四十八号)第七百九十八条第一項 、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律 (昭和五十年法律第九十四号)及び製造物責任法 (平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない。

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原子力委員会原の子力損害賠償制度検討会報告書(平成14年3月)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2002/siryo12/siryo1.htm

「原子力損害賠償制度は被害者の救済措置であると同時に原子力施設の運転等を行う原子力事業者に責任を集中させ第三者補償を明らかにすることによって、原子力事業を健全に発展させるためのものである。」
「国際的な原子力損害賠償制度が確立されている場合には、①事業者の無過失責任、②原子力事業者に対する損害賠償責任の集中、③裁判管轄国と準拠法の特定(原則事故発生地国)が担保されるため、上のような問題が回避される可能性が高い。加えて、原子力損害賠償に関する国際条約の下では、原子力事故が発生した場合に、賠償責任が原子力事業者に集中され、プラント機器の供給者は包括的に免責されるため、国際的な原子力産業の健全な発展にも寄与しうるとの利点もある。上に指摘した、事業者に対する責任集中制度の採用も含め、国際条約確立を通じた、国際間の損害賠償処理に係る不確実性の除去は、国際的な原子力開発・投資に関する各者間の協力・取引を促進することに繋がる。そして、こうした協力・取引の活性化は、国際協調の下での原子力産業の健全な発展の基盤を提供するのは勿論のこと、各事業者・プラント機器供給者相互間のチェックを可能とし、原子力開発利用における安全性向上に大きく寄与することにも繋がる。」

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 このような検討会の報告書を読んでいて感じられるのは、4条の責任集中の原則は、一方で被害者保護を唱いながらも、要するに原子力発電事業を可能にするために、機器や原材料等を納入する関係業者の責任を軽くしてやるためのものではないかといことである。原発事故のように、そのリスク判断が難しく、その損害が想像を絶する莫大な額に拡大する可能性がある場合に、その賠償義務を負うおそれの下では、関係業者が事実上取引ができず、原子力事業が進まないので、これらの者を事前に免責することが、この条文の本旨ということであろう。
 前に示した,文部科学省のサイトにある回答には、「責任集中の原則とは、賠償責任を負う原子力事業者以外の者は一切の責任を負わないとするものです。これにより、被害者は容易に賠償責任の相手方を知り得、賠償を確保することができるようになります。一方、この責任集中は、原子力事業者に機器等を提供している関連事業者を、被害者の賠償請求との関係において免責するものであり、これら関連事業者は安定的に資材を供給することが可能になり、これにより原子力事業の健全な発達に資することにもなります。」とある。
 確かに、何兆円何十兆円と莫大な損害額に拡大するおそれの下で、関係業者が原子力事業者と取引しなければならないというのは、不都合なので、事前に免責しておくというのはわかるが、どんなにでたらめなことをしても、故意でない限り原子力事業者から求償も受けないというのでは、関係業者のモラルハザードを招かないのであろうか。
 納品する業者が免責されるから、受け取り使用する業者が、より念入りにチェックすることになり、原発の安全性確保につながると考えているかものしれないが、立法論としては、賠償額の上限額を限定してでも、過失がある場合には、関係業者に責任に負わせる方がよさそうな気がする。立法段階でどのような議論がなされたのか、知りたいところである。
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2011-04-06 : ■4条責任集中の原則 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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