東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■2条「原子力損害」の意味・範囲 その25 継続的不法行為と消滅時効

■2条「原子力損害」の意味・範囲 その25 継続的不法行為と消滅時効

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民法第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
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鉱業法第115条 損害賠償請求権は、被害者が損害及び賠償義務者を知つた時から三年間行わないときは、時効によつて消滅する。損害の発生の時から二十年を経過したときも、同様とする。
2  前項の期間は、進行中の損害については、その進行のやんだ時から起算する。
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消滅時効,除斥期間一般については,こちらで述べた。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-30.html


〔考え方〕
 交通事故のように一回の加害行為で一時に損害を発生させるものでは,「損害及び加害者を知った時から三年間」というのは、〔後遺障害を除いて〕比較的容易に決定しうるが,不動産の不法占拠や公害などのように,加害行為が継続し,日々損害が発生する継続的不法行為については,消滅時効の起算点をどこに求めるかについては,判例や学説上,諸説ある。

A 古い全部進行説(古い判例,大審院判決大正9年6月29日)
 最初に損害及び加害者を知ったときから進行するとする立場。
※この説に対しては,現に加害行為が継続し,損害が発生続けている場合であっても,損害賠償請求できなくなることになった不当であるとして,後の判例では覆されている。

B 個別進行説(大審院連合部判決昭和15年12月14日,名古屋地裁判決昭和55年9月11日判時976-40)
 損害賠償請求権は,日々発生する損害ごとに,その時効期間は進行するとする立場。

C 個別進行修正説(熊本地裁判決昭和48年3月20日判タ294-108,東京地裁判決昭和56年9月28日,判タ458-118,津地裁四日市支部判決昭和57年6月25日判時1048-25)
 個別進行説を前提にし,損害類型によっては、「損害及び加害者を知った時」の解釈で起算点を後ろにずらす立場。

D 全部進行説
 継続的不法行為が止んだ時点から,損害全部について,消滅時効が進行するとする立場〔鉱業法115条2項類推?〕。

E 分類説
 継続的不法行為のうち,非累積性の被害については個別に進行し,累積性の被害にいては,不法行為が止んだ時から進行するとする立場〔鉱業法115条2項類推?〕。


 大体、上のような立場があり、現時点で,裁判所の統一的な確定的判断はないようであるが,ざっと見たところ概ね上のCかEのような立場であろうと思われる。
 


〔原発事故では〕
 原発事故で継続的不法行為による損害としては、以下のようなものが考えられる。

1 非財産的損害
a汚染等で避難,退避生活を強いられることによる精神的苦痛

2 財産的損害
a汚染により土地建物等が使えないことによる財産的損失(自宅や農地等の使用不可)
b 避難や汚染等で休業を強いられ発生する逸失利益
c 汚染水漏出継続で漁業ができないことによる損失
d 放射性物質による土壌汚染や汚染水漏出なとで風評被害が続くことにる損失


 前記のC個別進行修正説でも,具体的にどのような場合に起算点を後ろにずらすのか,Eの分類説でも,累積性あるものとそうでないものをどのように明確に区別できるのかという問題があって,こういう場合は裁判ではこうなるということが,どうもはっきりしない。

 訴訟になりかねない法的紛争では,消滅時効に関しては,常に悲観的に考えて行動するのが良く,特に財産的損害で,一日いくらで計算できるたぐいのものは,日々発生し、消滅時効は個別進行するという前提で行動すべきであろう。


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※東電による仮払いを債務の「承認」(民法147条3号)とみて,時効中断の余地

※2aで,放射性物質による汚染等のために使用を妨げられている自宅等の不動産について,「不動産価格<使用を妨げられていることによる財産的損害の合計額(≒賃料相当損害金×日数)」となった場合にどうなるのか、財物について,加害行為が続く場合に,その財産的損害の金額の上限というものを考えるのかという問題あり。また自宅については宿泊費との関係も問題。

※2d 風評被害について,継続的加害行為とみるべきか?
 原発事故が収束ぜず,除染も行われず,風評が継続して,商品の売れ行きが継続的に悪く,また取引値が安くあるいは値が付かずの場合?

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2011-06-21 : ・消滅時効の問題 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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