東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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・設置関係資料 その10 IAEA閣僚会議、日本政府の報告書(平成23年6月)

・設置関係資料 その10 IAEA閣僚会議、日本政府の報告書(平成23年6月)

原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書について
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/backdrop/20110607001.html

概要
[概要の構成]
1.はじめに
2.事故前の我が国の原子力安全規制等の仕組み
3.東北地方太平洋沖地震とそれによる津波の被害
4.福島原子力発電所等の事故の発生と進展
5.原子力災害への対応
6.放射性物質の環境への放出
7.放射線被ばくの状況
8.国際社会との協力
9.事故に関するコミュニケーション
10.今後の事故収束への取組み
11.その他の原子力発電所における対応
12.現在までに得られた事故の教訓
13.むすび


1.はじめに
 2011年3月11日14時46分(日本時間、以下同じ)に発生した東北地方太平洋沖地震とそれが引き起こした津波が東京電力の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所(以下、「福島原子力発電所」という。)を襲い、未曾有の大規模かつ長期にわたる原子力事故が発生した。
 我が国にとっては、この地震と津波による大規模な災害への対応とともに、その地震と津波により引き起こされた原子力事故への対応も同時に行わなければならないという極めて厳しい事態となった。
 この原子力事故は、我が国にとって大きな試練となり、世界各国の支援を受けつつ、国内の数多くの関係機関が一体となって対応に取り組んでいるところである。また、我が国は、この事故が世界の原子力発電の安全性に懸念をもたらす結果となったことを重く受け止め反省している。そして、何よりも事故の発生によって、世界の人々に放射性物質の放出について不安を与える結果になったことを心からお詫びする。
 現在、我が国は事故の収束に向けて英知を結集して取り組んでいるところであるが、福島原子力発電所で何が起こり、それがどのように進展し、そして我が国が事故をどのように収束させようとしているかについて、正確な情報を絶えず世界に伝えることは我が国の責任である。また、我が国がこの事故から何を教訓として汲み取っているかを世界に伝えることも我が国の責任であると認識している。
 本報告書は、このような認識にたって、本年6月に開催される国際原子力機関(IAEA)の「原子力安全に関する閣僚会議」における我が国からの報告としてとりまとめたものである。事故の収束は、原子力災害対策本部の下に置かれた政府・東京電力統合対策室が、海江田万里経済産業大臣の指揮の下に原子力安全・保安院、東京電力等が力を結集する形で取り組んでいる。本報告書の作成は、原子力災害対策本部の中で、政府・東京電力統合対策室による事故収束に向けての取組み等を踏まえて作業を進め、外部有識者の意見も聴取しながら行った。作成作業の全体は、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣の命を受けた細野豪志内閣総理大臣補佐官が統括した。
 本報告書は、事故報告書としては暫定的なもので、現在まで得られた事実関係を基に事故の評価や得られた教訓をとりまとめたものである。範囲としては、現時点までの原子力安全と原子力防災に関する技術的な事柄を中心としており、原子力損害賠償、社会生活への影響等についてまではとりあげていない。
 政府としては、この報告書のとりまとめとは別に、福島原子力発電所の事故への対応の全体について検証するため、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」(以下、「検証委員会」という。)を設置した。この検証委員会においては、従来の原子力行政からの「独立性」、国民や国際社会に対する「公開性」、技術的な問題のみならず制度的な問題まで含めた検討を行う「包括性」を基本として、事故の対応に関して政府を含めたあらゆる活動を厳格に検証することにしており、本報告書の内容についてもその検証委員会での検証の対象になるものである。この検証の活動の状況についても世界に公表することになる。
 我が国は、この事故について、高い透明性をもって情報を公開することを基本としている。この方針の下、本報告書を作成するに当たっては、事実関係を正確に記載すること、事故への対応をできるだけ厳しく客観的に評価すること、判明していることとまだ判明していないことの区別を明確にしておくなどに留意した。事実関係の記載については、本年5月31日までに判明したことに基づいている。
 我が国は、今後も全力でこの事故の調査分析に取り組むこととしており、その結果については、引き続きIAEAと世界各国に提供する方針である。

<略>

12.現在までに得られた事故の教訓
 福島原子力発電所の事故の様相としては、自然災害を契機にしていること、核燃料、原子炉圧力容器や格納容器の損傷という過酷事故(シビアアクシデント)に至ったこと、複数の原子炉の事故が同時に引き起こされたことがあげられる。さらに事故発生から3か月近く経過し、その収束に向けた中長期的な取組みが必要になっていること、その結果、多くの周辺住民に長期にわたり避難を求めるなど社会的に大きな負担を課し、また、関係地域内の農畜産業等の産業活動にも多大の影響を与えてきていることなどがあげられる。このように、過去のスリーマイルアイランド発電所事故やチェルノブイリ発電所事故とは様相の異なる点が多くある。
 また、地震や津波により電気、通信、交通等の社会インフラが周辺の広域にわたって壊滅した状況の下で、原子力発電所内での緊急対応作業や発電所周辺での原子力防災活動を行わざるを得なかったこと、余震の発生が各種の事故対応活動をしばしば制限したことなども特徴的なことである。
 今回の事故はシビアアクシデントに至り、原子力安全に対する国民の信頼を揺るがし、原子力に携わる者の原子力安全に対する過信を戒めるものとなった。このため、今回の事故から徹底的に教訓を汲み取ることが重要である。原子力安全確保の最も重要な基本原則は深層防護であることを念頭に、現時点で、次の5つのグループに分けた教訓を示す。
 これらの教訓を踏まえ我が国における原子力安全対策は、今後、根本的な見直しが不可避であると認識している。これらの教訓の中には、我が国固有の事情によるものも含まれているが、教訓の全体像の提示という観点から、それらも含めて示すことにする。

教訓第1のグループは、今回の事故がシビアアクシデントであることを踏まえて、シビアアクシデントの防止策が十分であったかをみて、そこから得られる教訓群である。
教訓第2のグループは、今回のシビアアクシデントの事故への対応が適当であったかをみて、そこから得られる教訓群である。
教訓第3のグループは、今回の事故における原子力災害への対応が適当であったかをみて、そこから得られる教訓群である。
教訓第4のグループは、原子力発電所の安全確保の基盤が堅固に構築されていたかをみて、そこから得られる教訓群である。
教訓第5のグループは、全ての教訓を総括して安全文化の徹底がなされてきたかをみて、そこから得られる教訓である。

(第1の教訓のグループ)シビアアクシデント防止策の強化
(1)地震・津波への対策の強化
 今回の地震は複数震源の連動による極めて大規模なものであった。その結果、福島第一原子力発電所においては、原子炉建屋基礎盤上で観測された地震動の加速度応答スペクトルが、設計の基準地震動の加速度応答スペクトルに対して、一部の周期帯で超えた。地震によって外部電源に対して被害がもたらされた。原子炉施設の安全上重要な設備や機器については、現在までのところ地震による大きな損壊は確認されていないが、詳細な状況についてはまだ不明であり更なる調査が必要である。
 福島原子力発電所を襲った津波については、設置許可上の設計及びその後の評価による想定高さを大幅に超える14~15mの規模であった。この津波によって海水ポンプ等の大きな損傷がもたらされ、非常用ディーゼル電源の確保や原子炉冷却機能の確保ができなくなる要因となった。手順書においては、津波の侵入は想定されておらず、引き波に対する措置だけが定められていた。このように津波の発生頻度や高さの想定が不十分であり、大規模な津波の襲来に対する対応が十分なされていなかった
 設計の考え方の観点からみると、原子力発電所における耐震設計においては、考慮すべき活断層の活動時期の範囲を12~13万年以内(旧指針では5万年以内)とし、大きな地震の再来周期を適切に考慮するようにしており、さらにその上に、残余のリスクも考慮することを求めている。これに対して、津波に対する設計は、過去の津波の伝承や確かな痕跡に基づいて行っており、達成するべき安全目標との関係で、適切な再来周期を考慮するような取組みとはなっていなかった
 このため、地震の想定については、複数震源の連動の取扱いを考慮するとともに、外部電源の耐震性を強化する。津波については、シビアアクシデントを防止する観点から、安全目標を達成するための十分な再来周期を考慮した津波の適切な発生頻度と十分な高さを想定する。その上で、この十分な高さを想定した津波による敷地への浸水影響を防止する構築物等の安全設計を、津波のもつ破壊力を考慮に入れて行う。さらに深層防護の観点から、策定された設計用津波を上回る津波が施設に及ぶことによるリスクの存在を十分認識して、敷地の冠水や遡上波の破壊力の大きさを考慮しても重要な安全機能を維持できる対策を講じる。
(2)電源の確保
 今回の事故の大きな要因は必要な電源が確保されなかったことである。その原因は、外部事象による共通原因故障に係る脆弱性を克服する観点から電源の多様性が図られていなかったこと、配電盤等の設備が冠水等の厳しい環境に耐えられるものになっていなかったことなどがあげられる。さらに電池の寿命が交流電源の復帰に要する時間に比べて短かったこと、外部電源の回復に要する時間の目標が明確でなかったことなどもあげられる。
 このため、空冷式ディーゼル発電機、ガスタービン発電機など多様な非常用電源の整備、電源車の配備等によって電源の多様化を図ること、環境耐性の高い配電盤等や電池の充電用発電機を整備することなどにより、緊急時の厳しい状況においても、目標として定めた長時間にわたって現場で電源を確保できるようにする。
(3)原子炉及び格納容器の確実な冷却機能の確保
 今回の事故において、海水ポンプの機能喪失によって、最終の熱の逃し場(最終ヒートシンク)を失うことになった。注水による原子炉冷却機能が作動したが、注水用水源の枯渇や電源喪失により炉心損傷を防止できず、また格納容器冷却機能も十分に働かなかった。その後も原子炉の減圧に手間取り、さらに減圧後の注水においても、消防車等の重機による原子炉への注水がアクシデントマネジメント対策として整備されていなかったこともあって困難が伴った。このように原子炉及び格納容器の冷却機能が失われたことが事故の重大化につながった。
 このため、代替注水機能の多様化、注水用水源の多様化や容量の増大、空気冷却方式の導入など、長期にわたる代替の最終ヒートシンクの確保により、原子炉及び格納容器の確実な代替冷却機能を確保する。
(4)使用済燃料プールの確実な冷却機能の確保
 今回は電源の喪失により使用済燃料プールの冷却ができなくなったため、原子炉の事故対応と並行して、使用済燃料プールの冷却機能喪失による過酷事故を防止する対応も必要となった。これまで使用済燃料プールの大きな事故のリスクは、炉心事故のリスクに比べて小さいとして、代替注水等の措置は考慮されてこなかった
 このため、電源喪失時においても、使用済燃料プールの冷却を維持できるよう、自然循環冷却方式又は空気冷却方式の代替冷却機能や、代替注水機能を導入することにより、確実な冷却を確保する。
(5)アクシデントマネジメント(AM)対策の徹底
 今回の事故はシビアアクシデントに至ったものである。シビアアクシデントに至る可能性をできるだけ小さくし、又はシビアアクシデントに至った場合でもその影響を緩和するための措置として、アクシデントマネジメント対策は福島原子力発電所においても導入されていた。今回の事故の状況をみると、消火水系からの原子炉への代替注水など一部は機能したが、電源や原子炉冷却機能の確保などの様々な対応においてその役割を果たすことができず、アクシデントマネジメント対策は不十分であった。また、アクシデントマネジメント対策は基本的に事業者の自主的取組みとされ、法規制上の要求とはされておらず、整備の内容に厳格性を欠いた。さらに、アクシデントマネジメントに係る指針については1992年に策定されて以来、見直しがなされることなく、充実強化が図られてこなかった。
このため、アクシデントマネジメント対策については、事業者による自主保安という取組みを改め、これを法規制 上の要求にするとともに、確率論的評価手法も活用しつつ、設計要求事項の見直しも含めて、シビアアクシデントを効果的に防止できるアクシデントマネジメント対策を整備する。
(6)複数炉立地における課題への対応
 今回の事故では、複数炉に同時に事故が発生し、事故対応に必要な資源が分散した。また、二つの原子炉で設備を共用していたことやそれらの間の物理的間隔が小さかったことなどのため、一つの原子炉の事故の進展が隣接する原子炉の緊急時対応に影響を及ぼした。
 このため、一つの発電所に複数の原子炉がある場合は、事故が起きている原子炉の事故時操作が、他の原子炉の操作と独立して行えるようにするとともに、それぞれの原子炉の工学的な独立性を確実にし、ある原子炉の事故の影響が隣接炉に及ばないようにする。併せて、号機毎に原子力安全確保の責任者を選任し、独立した事故対応が行える体制の整備などを進める。
(7)原子力発電施設の配置等の基本設計上の考慮
 今回は、使用済燃料プールが原子炉建屋の高い位置にあったことから事故対応に困難が生じた。また、原子炉建屋の汚染水がタービン建屋に及び、建屋間の汚染水の拡大を防ぐことができなかった
 このため、今後は原子力発電施設の配置等の基本設計において、重大な事故の発生を考慮しても冷却等を確実に実施でき、かつ事故の影響の拡大を防止できる施設や建屋の適切な配置を進めることとする。その際、既存の施設については、同等の機能を有するための追加的な対策を講じる。
(8)重要機器施設の水密性の確保
 今回の事故の原因の一つは、補機冷却用海水ポンプ施設、非常用ディーゼル発電機、配電盤等の多くの重要機器施設が津波で冠水し、このために電源の供給や冷却系の確保に支障をきたしたことである。
 このため、目標とする安全水準を達成する観点から、設計上の想定を超える津波や、河川に隣接立地して設計上の想定を超える洪水に襲われたような場合でも重要な安全機能を確保できるようにする。具体的には、津波や洪水の破壊力を踏まえた水密扉の設置、配管等浸水経路の遮断、排水ポンプの設置などにより、重要機器施設の水密性を確保できるようにする。

(第2の教訓のグループ)シビアアクシデントへの対応策の強化
(9)水素爆発防止対策の強化
 今回の事故では、1号機の原子炉建屋で3月12日15時36分に、3号機の原子炉建屋で3月14日11時01分に、それぞれ水素による爆発が起こったとみられる。さらに4号機でも3月15日06時頃に原子炉建屋で水素が原因とみられる爆発が起こった。すなわち、1号機における最初の爆発から有効な手だてをとることができないまま、連続した爆発が発生する事態となり、これが今回の事故をより重大なものにした。沸騰水型軽水炉では、設計基準事故に対して格納容器の健全性を維持するため、格納容器内を不活性化し、可燃性ガス濃度制御系を設置している。しかしながら、原子炉建屋に水素が漏えいして爆発するような事態を想定しておらず、原子炉建屋における水素対策はとられていなかった
 このため、発生した水素を的確に逃すか減じるため、格納容器における水素対策に加えて、シビアアクシデント時に機能する原子炉建屋での可燃性ガス濃度制御系の設置、水素を外に逃すための設備の整備等の水素爆発防止対策を強化する。
(10)格納容器ベントシステムの強化
 今回の事故では、シビアアクシデント発生時の格納容器ベントシステムの操作性に問題があった。また、格納容器ベントシステムの放射性物質除去機能が十分でなかったため、アクシデントマネジメント対策として効果的に活用できなかった。さらに、ベントラインの独立性が十分でないため、接続する配管等を通じて他の部分に悪影響をもたらした可能性もある。
 このため、今後は、格納容器ベントシステムの操作性の向上や独立性の確保、放射性物質除去機能の強化などにより、格納容器ベントシステムを強化する。
(11)事故対応環境の強化
 今回の事故時に、中央制御室は放射線量が高くなり一時は運転員が立ち入れなくなるとともに、現在も長時間の作業が困難であるなど、中央制御室の居住性が低下した。また、緊急時対策実施の中心になる原子力発電所緊急時対策所においても、放射線量の上昇、通信環境や照明の悪化など、様々な面で事故対応活動に支障をきたした。
 このため、中央制御室や緊急時対策所の放射線遮へいの強化、現場での専用換気空調系の強化、交流電源によらない通信、照明等の関係設備の強化など、シビアアクシデントが発生した場合にあっても事故対応活動を継続的に実施できる事故対応環境を強化する。
(12)事故時の放射線被ばくの管理体制の強化
 今回の事故では、津波により多くの個人線量計や線量読み取り装置が海水に浸かって使用できず、適切な放射線管理が困難になる中で、放射線業務従事者が現場作業に携わらざるを得ない状況となった。また、空気中の放射性物質の濃度測定も遅れ、内部被ばくのリスクを増大させることになった。
 このため、事故時用に個人線量計や被ばく防護用資材を十分に備えておくこと、事故時に放射線管理の要員を拡充できる体制とすること、放射線業務従事者の被ばく測定を迅速に行うことのできる体制や設備を整備することなどにより、事故時の放射線被ばくの管理体制を強化する。
(13)シビアアクシデント対応の訓練の強化
 シビアアクシデントが発生した場合に、原子力発電所における事故収束の対応や関係機関の的確な連携を実現するための実効的な訓練がこれまで十分には行われてこなかった。 例えば、今回の事故において、発電所内の緊急時対策所と原子力災害対策本部・原子力災害現地対策本部との連携や、事故対応において重要な役割を担う自衛隊、警察、消防等との連携体制の確立に時間を要したが、こうした点も的確な訓練の実施によって未然に防止できた可能性がある。
 このため、シビアアクシデント発生時に、事故収束のための対応、発電所の内外における状況把握、住民の安全確保に必要な人材の緊急参集などを円滑に行い、関係機関が連携して機能するため、シビアアクシデント対応の訓練を強化する。
(14)原子炉及び格納容器などの計装系の強化
 原子炉と格納容器の計装系がシビアアクシデントの下で十分に働かず、原子炉の水位や圧力、放射性物質の放出源や放出量などの重要な情報を迅速かつ的確に確保することが困難であった。
 このため、シビアアクシデント発生時に十分機能する原子炉と格納容器などの計装系を強化する。
(15)緊急対応用資機材の集中管理とレスキュー部隊の整備
 今回の事故では、Jヴィレッジを中心として、事故や被災対応の関係者、資機材を結集し懸命な後方支援を行っているが、事故当初は、周辺においても地震・津波の被害が発生していたため、緊急対応用資機材や事故管理活動を支援するレスキュー部隊の動員を迅速かつ十分に行うことができず、現場での事故対応が十分に機能しなかった。
 このため、過酷な環境下でも緊急時対応の支援が円滑に行えるよう、緊急対応用資機材の集中管理やこれを運用するレスキュー部隊の整備を進める。

(第3の教訓のグループ)原子力災害への対応の強化
<略>

(第4の教訓のグループ)安全確保の基盤の強化
<略>

(第5の教訓のグループ)安全文化の徹底
(28)安全文化の徹底
 原子力に携わる全ての者は安全文化を備えていなければならない。「原子力安全文化」とは、「原子力の安全問題に、その重要性にふさわしい注意が必ず最優先で払われるようにするために、組織と個人が備えるべき統合された認識や気質であり、態度である。」(IAEA)とされている。これをしっかりと我が身のものにすることは、原子力に携わる者の出発点であり、義務であり、責任である。安全文化がないところに原子力安全の不断の向上はない。
 しかし、今回の事故に照らし、我が国の原子力事業者は、組織も個人もともにその安全確保に対して第一義的な責任を負う者として、あらゆる新知見に対して目を凝らし、それが自らのプラントの脆弱性を意味するか否かを確認し、プラントの公衆安全に係るリスクが十分低く維持されているとの確信に影響があると認めるときには、安全性向上のための適切な措置を講じることに真摯に取り組んできたかを省みなければならない
 また同様に我が国の原子力規制に携わる者は、組織も個人もともに国民のために原子力安全の確保に責任を有する者として、安全確保の上でわずかな疑念もないがしろにせず、新しい知見に対して敏感にかつ俊敏に対応することに真摯に取り組んできたかを省みなければならない。
 このため、今後は、原子力安全の確保には深層防護の追求が不可欠であるとの原点に常に立ち戻り、原子力安全に携わる者が絶えず安全に係る専門的知識の学習を怠らず、原子力安全確保上の弱点はないか、安全性向上の余地はないかの吟味を重ねる姿勢をもつことにより、安全文化の徹底に取り組む。

13.むすび
 本年3月11日に発生した福島原子力発電所の事故は、極めて大規模な地震と津波によって引き起こされ、かつ、同時に複数の原子炉にまたがる未曾有の大事故となった。我が国はこの困難な事故を克服するために全力で立ち向かっている。
 特に事故の現場では、作業に従事する人が厳しい環境の中で事故の収束に向けて懸命に取り組んでおり、この貢献なくしては事態の解決はあり得ない。政府は、作業に従事する人に対する支援に全力で取り組んでいくこととしている。
 今回の事故は地震・津波の襲来という自然災害を契機にして引き起こされたものであるが、外部電源の喪失や冷却機能の喪失などによってシビアアクシンデントに至ったこと、シビアアクシデントへの不断の備えが十分でなかったことを重く受けとめている。今回の事故から得られる教訓を踏まえ、今後、我が国は、原子力安全対策の根本的な見直しが不可避であると認識している。
 このため、我が国は、事故の収束の状況をみつつ、「原子力安全基盤の研究強化計画」を推進していくこととしている。この計画では、シビアアクシデント対策強化のための研究などを国際協力によって推進し、その成果が世界の原子力安全の向上につながるように取り組むものである。
 これと同時に、我が国は、原子力発電の安全確保を含めた現実のコストを明らかにする中で、原子力発電のあり方についても国民的な議論を行っていく必要がある。
 我が国は、この事故に関する情報と得られる教訓については、今後の事故の収束とさらなる調査解明によって更新していくし、それらを引き続き国際原子力機関と世界各国に提供し続ける考えである。
 また、今回の事故の収束に向けて、様々な面で世界各国の支援を受けていることを心強く受けとめており、厚く感謝するとともに、引き続きIAEAや世界各国からのご支援をお願いしたい。
 我々は、事故の収束に向けて多大な困難を伴うことを覚悟しているが、我が国のみならず、世界の英知と努力を結集して、必ずこの事故を乗り越えることができると確信している。

<略>


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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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