東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■4条 責任集中の原則 その1

【4条 責任集中の原則 その1】

原賠法4条1項には,「第四条  前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。」とある。

これについては,文部科学省のサイトで以下のよう説明されている。
http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/faq/1261352.htm
---------------------------------------
Q3.責任集中の原則とはどのようなものですか。
A3
責任集中の原則とは、賠償責任を負う原子力事業者以外の者は一切の責任を負わないとするものです。これにより、被害者は容易に賠償責任の相手方を知り得、賠償を確保することができるようになります。
一方、この責任集中は、原子力事業者に機器等を提供している関連事業者を、被害者の賠償請求との関係において免責するものであり、これら関連事業者は安定的に資材を供給することが可能になり、これにより原子力事業の健全な発達に資することにもなります。

なお、多くの諸外国の原子力損害賠償制度においても、同様の制度が採用されています。
----------------------------------------

 文科省のこの回答を見ると,原子力事業者以外の協力関連会社等は,原子力事業者が賠償を負う限り,常に,いかなる損害の賠償責任も負わないかのよう読める。しかし,条文を読む限りでは,4条には,「前条の場合においては」とあり,これは,原子力事業者が「原子力損害」について,無過失責任としての損害賠償責任を負う場合のことであり,少なくとも「原子力損害」以外の損害については,やはり一般原則にもどり,各社に過失ある限り,関係各社への損害賠償請求は否定されないのではないかと考えられる。4条の「その損害を賠償する責めに任じない」とあるのは,前条を受けてのものであり,どう読んでも「その損害」=「原子力損害」と思われるからである。
 ただし,文科省の4条の責任集中の原則の趣旨を見ると,3条の「原子力損害」については,その責任追及対象を原子力事業者に限定したものと考えられ,したがって「原子力損害」については,過失の有無にかかわらず,原子力事業者以外の者に対しては責任の追及はできないことになろう。

 もっとも,この4条の責任集中原則については,妙な規定だなと思う。たしかに,被害者側から見て,責任追及対象がばらけるより,1社に集中した方が,やりやすいという側面がある。しかし,その1社が財務体質が悪く,責任財産が少なくて,他方,そのファミリー企業が潤っていて豊富な資産を持っているような場合には,被害者は困ってしまう。追及対象が広い方が,被害者の保護になるはずである。たしかに「原子力損害」に該当し,しかも原子力事業者が賠償しきれない場合には,国の措置(原賠法16条)として,税金をつぎ込んで賠償可能とすることになるので,被害者としては,最終的には困ることはなかろう。しかし,これを「原子力損害」以外にまで適用し,他の過失ある業者までを免除すると解すると,結果として,被害者の保護はないがしろにされることになろう。この点からも,少なくとも「原子力損害」以外の損害については,4条の適用は無いものと解されるのではないか。
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2011-04-06 : ■4条責任集中の原則 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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