東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■3条1項本文の賠償責任 その8 各種社会保障制度等との関係 考え方

■3条1項本文の賠償責任 その8 各種社会保障制度等との関係 考え方


 今回のような大規模な原発事故が起きると,それが自然災害だけなら求償請求の相手がいないので問題も少ないだろうが,原発事故では原子力事業者という加害者が存在するため,被害者の損害賠償請求権と求償との関係が問題となることがあろう。

 第三者加害の事案について,生活保護等の公的扶助、その他社会福祉事業との関係,労災保険・雇用保険・医療保険等の社会保険との関係,民間の任意保険との関係など,多数の制度との関係が問題となりうる。


〔考え方〕
A 被害者(原発事故被害者)
B 加害者(原子力事業者)
C 支給者(国,自治体,事業主,基金,共済組合,保険組合,保険会社等)


1 A→Bの関係
 損害賠償請求

2 B←Aの関係
 損益相殺(支給のあった範囲内で賠償をしなくていいということ)

3 A→Cの関係
 給付金,保険金等の請求

4 C→Aの関係
 控除や免責(賠償があった範囲内で支給をしなくていいということ)

5 B→Cの関係
 なし

6 C→Bの関係
 求償請求(CによるAの損害賠償請求権の取得,代位)


 主として問題となるのは,上のうち,2損益相殺の可否,3控除の可否,6求償の可否である。

 これらの問題に共通する観点は

ア 被害者の損失の二重填補は防ぎたい。二重取りは不当。
イ たまたま保険等の給付があったからといって,それで加害者が賠償を免れることになるのは不当


 そして,これら問題について,法律,規則等があればそれに従えばよい。また,任意保険等で,被害者Aと支給者Cとの契約があれば,その内容に従えばよい。それ以外の場合は,判例や通達等を手かがりに考えていくしかない。
-------------
〔労災保険関係〕労働者災害補償保険法12条の4,原賠法改正付則4条,原子力損害の賠償に関する法律施行令3条,国家公務員災害補償法6条,裁判官災害補償法1条,地方公務員災害補償法59条,公立学校の学校医等災害補償法7条,非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令18条
〔医療保険関係〕健康保険法57条,国民健康保険法64条,船員保険法45条,国家公務員共済組合法48条,地方公務員等共済組合法50条,私立学校教職員共済法25条,高齢者の医療の確保に関する法律58条,介護保険法21条
〔年金関係〕国民年金法22条,133条,厚生年金保険法40条
〔その他〕災害救助法施行令22条,保険法25条
-------------

上の2の損益相殺の可否の問題については,以下のような観点が重要と思われる。
①その支給者からの支給が,被害者の損害填補の性質を有するものか否か,あるいはその他(福祉目的など)の趣旨か。なお,趣旨が混在している場合もありうる。
※厳密には,精神的損害の填補か,財産的損害の填補か,また,積極損害の填補か,消極損害の填補か否かなど,損害填補としてもその給付の趣旨の違いによっても,損益相殺の可否が分かれる(自賠責保険や労災保険などの例)。
※なお,給付の趣旨と,給付の効果(実質的に損害填補の役割を果たしている場合)は,一応別の問題。
②被害者(受給者)が支給者への返還義務負うか(生活保護法63条のような場合)
③支給者から加害者への代位請求に関する調整規定が存在するか否か
④掛け金を誰が支払っているか,支給の財源を誰が負担しているか。

上の3の控除,免責の可否の問題については,以下のような観点が重要と思われる。
①各種制度の趣旨,支給の性質。損害填補のための支給か否か

上の6の求償の可否の問題については,以下のような観点が重要と思われる。
①各種制度の趣旨,支給の性質。損害填補のための支給か否か
②掛け金を誰が支払っているか,支給の財源を誰が負担しているか。


※被害者が不法行為によって損害を被ると同時に,同一の原因によって利益を受ける場合には,損害と利益との間に「同質性」がある限り,公平の見地から,その利益の額を被害者が加害者に対して賠償を求める損害額から控除することによって損益相殺的な調整を図る必要がある(最高裁平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁)



 一般論として言えることは,お金の動きが被害者の損害填補目的の場合は,論理的には,損害は被害者の被ったもの1つとして,その最終負担をどうするかという問題であり,その調整としては,

・支給先行なら,Aからの損害賠償請求についてBは損益相殺可,そしてCからBへの求償可。
・賠償先行なら,Aからの支給請求に対してCは控除可。

という関係になろう。当然加害者Bが最終的に負担。



 これに対して,中には,その趣旨(福祉目的など)から,加害者Bからの損益相殺の主張は認められず,しかも,支給者Cの控除,免責も認められないような場合,つまり被害者Aが二重に受給することになっても仕方がないような場合もありうる。
 この場合は,Cが給付金等を支出したからといって,Bがその範囲でAへの賠償義務を免れることもないので,求償の問題〔CがAの有していたBに対する損害賠償請求権を支給額の範囲で取得する〕とはならないはずである。

 これは結局,支給者Cの固有の損害の問題であって,この損害を,その原因を作り出した加害者Bに対して,直接的に賠償請求ができるのかという問題であろう。


 考えられるのは,

・生活保護費増大で国や自治体が負担した部分のうち生活保護法63条での返還を得られなかった部分→国,自治体の損害
・労災保険や雇用保険で,加害者Bの損益相殺も支給者Cの控除も認められない部分→保険者の損害

など

〔なお,支給者Cとしては,本来,免責や控除を主張できる場合に,その裁量で敢えて支給したために損失を出したような場合は,その損失を加害者Bに負担させることはできないこととなろう。〕



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 考えてみれば,間接被害者や,肩代わり損害,反射損害として論じられているものと同様で,①直接の被害者の被った1つの損害を,最終的に加害者にどのように負担させるかという調整の問題と,②直接の被害者が被った損害とは別に,直接の被害者と一定の社会的関係にある主体自身に生じた固有の損害(支出を強いられたり,得られたはずの利益が得られなかったり)を,どこまで加害者に負担させるかという問題があって,前者①は結論は決まっているので〔求償の法律構成など〕論理的,技術的に解決可能と思われるが,後者②は,以前にも論じた波及的に広がる二次的な損害をどこまで,加害者に負わせるのが妥当かという問題〔政策的価値判断の要素の強い法解釈の場面〕であって,判例通説的な理屈としては相当因果関係の「相当性」や,特別事情の予見可能性の問題として論じられることになろうが,その絞り方については,今のところ明確な指標のようなものはなく,裁判官の感覚に左右される部分があるかもしれない。

たぶん

・制度趣旨
・加害者側の故意過失等の主観的態様,過失の場合はその程度
・加害行為の態様
・間接被害者側がその損害をどの程度まで予見できるのかという問題や,そのリスク管理の可能性の程度など,間接被害者側に結果の発生拡大の回避をどこまで期待してよいかという観点
・広がる被害の大きさ
・支給財源がもともとどこに帰属していたか

などを考慮することになるのではなかろうか。


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〔予見可能性と原発事故の特殊性〕

 相当因果関係を考える場合に,その原因からその結果が生じることが一般通常人を基準に通常と言えるか否かという問題と,そうでない場合は,特別事情の予見可能性があったか否かが問題となる。

 仮に,加害者が,一人の被害者を害した場合,特に故意ではなく害したような場合には,通常は被害者側の具体的事情など知りようもなく,被害者との関係で派生する,その他の者〔間接被害者〕の損害は,通常損害といえないか,特別損害としても予見可能性が無いとして,多くは相当因果関係が否定されることとなろう。
 しかし,大規模原発事故のように,村や町,数十キロに及ぶ範囲での全ての活動を不可能ならしめるような場合は,その膨大な数の人のなかには,もともとの健康状態や経済状態等から,著しい影響を受けて各種社会保障制度等の対象となる者が出てきて,そのために国や自治体が支出を強いられることは通常起こりうることである。

 この問題は,以前に風評被害について検討した問題と似ていて,人ひとりの状況を見れば特異性(過剰な回避)があるが,莫大な数の人に影響を与えた場合には,その中に一定割合で特異な事情が含まれることが明白な場合があって,これを因果関係の相当性や,特別事情の予見可能性との関係でどう考えいくかという問題である。

 サイコロを一回振って「1」の目が出る可能性は6分の1であろうが,100回降って,一回も「1」の目が出ないということはほとんど考えにくい。あるいは、トランプでカードを一枚ランダムに引いて、ジョカーを引く確率は53分の1だが、カード全部を手にするとそこにジョーカーが含まれるのは確実ということ。つまり,数が少なければ起きる可能性は低いが,数が多ければ,論理的には通常ありえ,また予見可能としかいいようがないものをどう考えるかという問題。



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2011-06-30 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・被災者の生活保護に関する通達

・被災者の生活保護に関する通達

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/soudan-c/center/post_43.html
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http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015bto.pdf

社援保発0317第1号
平成23年3月17目

各 都道府県 指定都市 中核市 民生主管部(局)長 殿

厚生労働省社会・援護局保護課長

東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて

 平成23年3月11目に発生した東北地方太平洋沖地震により、被災地の白治体で生活された方が他の自治体に避難した後、生活困窮に陥る事案が一部の白治体において発生しています。
被災者に対する支援については、現在、災害救助法(昭和22年法律第218号)等の他法他施策において必要な支援が進められていますが、生活保護の相談に至る場合も考えられることから、特に被災地周辺の保護の実施機関においては、被災地から一時的に避難した方から生活保護の申請があった場合、下記の事項について留意の上、迅速かつ適切な保護の実施にあたるよう、管内実施機関に対し周知徹底いただくよう、特段の御配慮をお願いします。



1 保護の実施責任について
今般の地震により本来の居住地を一時的に離れて遠方に避難している場合、本来の居住地に帰来できない等被災者の特別な事情に配慮し、避難先の保護の実施機関が実施責任を負い現在地保護を行うものとすること。
ただし、仮設住宅への入居や扶養義務者による引き取りなど、将来における居住の蓋然性が高いと認められる場合にろいては、当該居住事実がある場所を所管する実施機関が実施責任を負い居住地保護牽行うものとすること.

2 生活保護の決定について
被災者の状況を十分配慮レ、生活保護の申請意思が確認された場合においては、申請権の侵害がないように留意の上、迅速に対応すること。
また、被災者が本来の居住地に資産を残さざるを得ない場合等については、被災者の特別な事情に配慮し、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知)第3の3に掲げる「処分することができないか、又は著しく困難なもの」として取り扱うこととすること。
ただし、直ちには処分することが困難であっても、一定期限の到来により処分可能となるときその他後日の調査で資力が判明したときは、生活保護法(昭和25年5月4日法律第144号。以下「法」という。)第63条による費用返還義務を文書により明らかにした上で保護を開始することとし、当該被災者に対し上記の取扱いにっいて、十分説明した上で生活保護を開始するよう留意すること。
なお、保護開始時においては、生活保護制度はもとより、活用し得る他法他施策について十分説明し、懇切丁寧な対応に努めること。

3 扶養義務者、知人宅等へ転入する場合の住宅扶助について
本来支給を要しないものと解するが、保護開始後の避難前の住居に関し、賃貸借契約 が継続している場合で、必要やむを得ないときは支給して差し支えないこと。
なお、この場合、家主等に連絡をとることが可能なときには、早急に契約解除等の手続をとるよう指導すること。

4 被災地の白治体との連絡体制について
緊急的に避難先で保護を受給する場合、従前より保護受給中の方については、それぞれの保護の実施機関から二重に保護費が支給されることも考えられるが、被災地における特別な事情に配慮し、事後において現在地の保護の実施機関から被災地の保護の実施機関へ連絡・連携を図り調整すること。
また、この場合についても上記2のただし書と同様、保護開始時において、法第63条による費用返還義務を文書により明らかにした上で保護を開始することとし、当該被災者に対して返還義務がある旨を十分説明した上で、生活保護を開始するよう留意すること。


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http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016tyb-img/2r9852000001761s.pdf

社援保発0329第1号
平成23年3月29日

各 都道府県 指定都市 中核市 民生主管部(局)長 殿

厚生労働省社会・援護局保護課長

東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて(その2)

標記の件について、下記の事項に留意の上、適切な保護の実施にあたられるよう、管内実施機関に対し周知徹底をお願いします。.



1 保護費の支給事務について
避難所において保護費を支給する場合、必要な保護費を遺漏なく支給すること。被災状況によっては、生活実態の把握が十分できない場合も考えられるが、被災者の特別な事情に配慮し、不足が生じることのないよう配慮すること。
この場合、体育館・公民館等の避難所における最低生活費の算定に当たり、生活扶助は居宅基準を計上すること。ただし、避難所の代わりに旅館・ホテル等を借り上げた場合については、具体的な事例に即し、個別に判断することとしている。

2 一時的に保護費の支給が困難な場合の取扱いについて
生活保護受給者に対しては、上記1の対応により遺漏なく最低生活を保障することとしているが、保護の実施機関の震災被害等により一時的に保護費の支給が困難な状況にある場合については、「生活福祉資金貸付(福祉資金[緊急小口資金])の特例について」(平成23年3月11日社援発0311第3号厚生労働省社会援護局長通知)を参照の上、被災した世帯に対する緊急小口資金の貸付の活用も検討すること。
また、やむを得ず貸付を利用する場合、当該貸付金は保護費が実際に支給されるまでの生活費の立替えであることから、保護費支給時に速やかに一括して当該貸付金の償還を行うことについて、当該貸付の実施機関と連携を図り確認した上で収入認定しない取扱いとして差し支えない。
なお、保護費が支給された後、当該貸付金を速やかに一括して償還しないことが確認された場合、未償還分については最低生活費を超えるものとして、全額収入認定すること。


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http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001bd6k-img/2r9852000001be5y.pdf

社援保発0502第2号
平成23年5月2日

各 都道府県 指定都市 中核市 民生主管部(局)長 殿

厚生労働省社会・援護局保護課

東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)

生活保護行政の推進については、平素から格段の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
今般、東日本大震災の被災者が受ける義援金(以下「第1次義援金」という。)の配分が開始されたこと等を契機として、下記のとおり、被災した被保護世帯が東目本大震災に係る義援金、災害弔慰金、補償金、見舞金等(以下「義媛金等」という。)を受けた場合の収入認定の取扱いを定めました。管内実施機関に周知徹底いただくとともに、被災者の事情に配慮し、適切な保護の実施に当たるよう、特段の御配慮をお願いします.



1 義援金等の生活保護制度上の取扱いについて
義援金等の生活保護制度上の収入認定の取扱いは、「生活保護法による保護の実施要領 について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知)第8の3の (3)のオに従い、「当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額」を収入として認定しないこととし、その超える額を収入として認定すること。

2 自立更生計画の策定について
「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1目社発第246号厚生省社会局長通知)第8の2の(5)に定める「自立更生計画」の取扱いについては、次のとおりとすること。

(1)自立更生計画は、別紙1の様式により策定すること。
ただし、自立更生のために充てられる費用の内容(費目、金額)が明記されるものであれば、各実施機関で定めたものを使用しても差し支えないこと。
なお、策定に当たっては、被災者の被災状況や意向を十分に配慮し、一律・機械的な取扱いとならないよう留意するとともに、あらかじめ別紙2を提示、説明するなど被災者の事務負担の軽減に努めること。

(2)第1次義援金のように、震災後、緊急的に配分(支給)される義援金等については、当座の生活基盤の回復に充てられると考えられることや、一費目が低額で、かつ世帯員ごとに必要となる費目を個々に自立更生計画に計上することとすると被保護者の負担が大きくなることにかんがみ、費目・金額を積み上げずに包括的に一定額を自立更生に充てられるものとして自立更生計画に計上して差し支えないこと。この場合、使途について確認する必要はないこと。

(3)今後、複数次に渡って配分される義援金等については、自立更生計画を段階的に策定するなど、当該義援金等が、被災した被保護世帯の生活再建に有効に活用されるよう配慮すること。

(4)当該被保護世帯の自立更生のために充てられる費用であれば、直ちに自立更生のための用途に供されるものでなくても、実施機関が必要と認めた場合は、預託することなく、自立更生計画に計上して差し支えないこと。
ただし、実施機関は、自立更生計画の実施状況について(自立更生に充てられたものとして手続を簡略にした分を除く)、通宜、被保護世帯に報告を求めるなどの方法により把握すること。

(5)実際の経費が自立更生計画に計上した額を下回り、義援金等に残余が生じた場合、計上額と購入額との差額分の範囲内で、別途、自立更生のために充てられる費用として認定して差し支えないこと。
なお、このような場合、自立更生計画を再度策定する必要はないが、差額分の使途について事前に実施機関に報告するように被保護世帯に説明するなどの適切な取扱いに留意すること。

〈別紙1〉略


〈別紙2〉

[参考]自立更生のために充てられる費目(例)
1 生活用品・家具
什器
衣服・布団
食器棚
テーブル・イス
たんす
ガステーブル
その他

2 家電
テレビ
冷蔵庫
洗濯機
炊飯器
電子レンジ・オーブントースター
.冷暖房用器具
通信機器(携帯電話・固定電話・パソコン・プリンター・ファクシミリ等)
その他

3 生業・教育
事業用施設の整備に係るもの(施設の補修・事業用機器の購入等)
技能習得に係るもの
就学等に係るもの(学習図書、運動用具等、珠算課外学習、学習塾等)
制服・通学用鞄・靴等
文房具等
その他

4 住家
補修
建築.
配電設備・上下水道設備の新設
その他

5 結婚費用(寡婦福祉資金の結婚資金の貸付限度額相当)

6 墓石、仏壇、法事等弔意に要する経費

7 通院、通所及び通学等のために保有を容認された自動車の維持に要する経費

8 その他
その他生活基盤の整備に必要なもの


-----------------------------
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T101027Q0010.pdf
参考(改正後全文)

厚生省発社第123号
昭和36年4月1日
(最終一部改正:平成21年10月29日厚生労働省発社援1029第13号)

各 都道府県知事 指定都市長 殿
厚生事務次官

生活保護法による保護の実施要領について

 標記については、昭和33年6月6日厚生省発社第111号厚生事務次官通知を全面改正して新たに次のとおり定めることとしたので、生活保護法による保護の実施については、法令及び告示に定めるもののほか、この要領によることとされたい。
 なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準であることを申し添える。

第1 世帯の認定
 同一の住居に居住し、生計を一にしている者は、原則として、同一世帯員として認定すること。
 なお、居住を一にしていない場合であっても、同一世帯として認定することが適当であるときは、同様とすること。

第2 実施責任
 保護の実施責任は、要保護者の居住地又は現在地により定められるが、この場合、居住地とは、要保護者の居住事実がある場所をいうものであること。
 なお、現にその場所に居住していなくても、他の場所に居住していることが一時的な便宜のためであって、一定期限の到来とともにその場所に復帰して起居を継続していくことが期待される場合等には、世帯の認定をも勘案のうえ、その場所を居住地として認定すること。

第3 資産の活用
 最低生活の内容としてその所有又は利用を容認するに適しない資産は、次の場合を除き、原則として処分のうえ、最低限度の生活の維持のために活用させること。
 なお、資産の活用は売却を原則とするが、これにより難いときは当該資産の貸与によって収益をあげる等活用の方法を考慮すること。
1 その資産が現実に最低限度の生活維持のために活用されており、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持及び自立の助長に実効があがっているもの
2 現在活用されてはいないが、近い将来において活用されることがほぼ確実であって、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持に実効があがると認められるもの
3 処分することができないか、又は著しく困難なもの
4 売却代金よりも売却に要する経費が高いもの
5 社会通念上処分させることを適当としないもの

第4 稼働能力の活用
 要保護者に稼働能力がある場合には、その稼働能力を最低限度の生活の維持のために活用させること。

第5 扶養義務の取扱い
 要保護者に扶養義務者がある場合には、扶養義務者に扶養及びその他の支援を求めるよう、要保護者を指導すること。また、民法上の扶養義務の履行を期待できる扶養義務者のあるときは、その扶養を保護に優先させること。この民法上の扶養義務は、法律上の義務ではあるが、これを直ちに法律に訴えて法律上の問題として取り運ぶことは扶養義務の性質上なるべく避けることが望ましいので、努めて当事者間における話合いによって解決し、円満裡に履行させることを本旨として取り扱うこと。

第6 他法他施策の活用
 他の法律又は制度による保障、援助等を受けることができる者又は受けることができると推定される者については、極力その利用に努めさせること。

第7 最低生活費の認定
 最低生活費は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別等による一般的な需要に基づくほか、健康状態等によるその個人又は世帯の特別の需要の相異並びにこれらの需要の継続性又は臨時性を考慮して認定すること。
1 経常的最低生活費
 経常的最低生活費は、要保護者の衣食等月々の経常的な最低生活需要のすべてを満たすための費用として認定するものであり、したがって、被保護者は、経常的最低生活費の範囲内において通常予測される生活需要はすべてまかなうべきものであること。
 実施機関は、保護の実施にあたり、被保護者がこの趣旨を理解し、自己の生活の維持向上に努めるよう指導すること。
2 臨時的最低生活費(一時扶助費)
臨時的最低生活費(一時扶助費)は、次に掲げる特別の需要のある者について、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって、それらの物資を支給しなければならない緊急やむを得ない場合に限り、別に定めるところにより、臨時的に認定するものであること。
 なお、被服費等の日常の諸経費は、本来経常的最低生活費の範囲内で、被保護者が、計画的に順次更新していくべきものであるから、一時扶助の認定にあたっては、十分留意すること。
(1) 出生、入学、入退院等による臨時的な特別需要
(2) 日常生活の用を弁ずることのできない長期療養者について臨時的に生じた特別需要
(3) 新たに保護開始する際等に最低生活の基盤となる物資を欠いている場合の特別需要

第8 収入の認定
 収入の認定は、次により行うこと。

1 収入に関する申告及び調査
(1) 要保護者が保護の開始又は変更の申請をしたときのほか、次のような場合に、当該被保護者の収入に関し、申告を行なわせること。
ア実施機関において収入に関する定期又は随時の認定を行なおうとするとき。
イ当該世帯の収入に変動のあったことが推定され又は変動のあることが予想されるとき。
(2) 収入に変動があるときの申告については、あらかじめ被保護者に申告の要領、手続等を十分理解させ、つとめて自主的な申告を励行させること。
(3) 収入に関する申告は、収入を得る関係先、収入の有無、程度、内訳等について行なわせるものとし、保護の目的達成に必要な場合においては、前記の申告を書面で行なわせること。なお、その際これらの事項を証明すべき資料があれば、必ずこれを提出させること。
(4) 収入の認定にあたっては、(1)から(3)までによるほか、当該世帯の預金、現金、動産、不動産等の資産の状況、世帯員の生活歴、技能、稼働能力等の状況、社会保険その他社会保障的施策による受給資格の有無、扶養義務者又は縁故者等からの援助及びその世帯における金銭収入等のすべてについて綿密な調査を行ない、必要に応じて関係先につき調査を行なう等収入源について直接に把握すること。

2 収入額の認定の原則
 収入の認定は、月額によることとし、この場合において、収入がほぼ確実に推定できるときはその額により、そうでないときは前三箇月間程度における収入額を標準として定めた額により、数箇月若しくはそれ以上の長期間にわたって収入の実情につき観察することを適当とするときは長期間の観察の結果により、それぞれ適正に認定すること。

3 認定指針
(1) 就労に伴う収入
ア勤労(被用)収入
(ア) 官公署、会社、工場、商店等に常用で勤務し、又は日雇その他により勤労収入を得ている者については、基本給、勤務地手当、家族手当及び超過勤務手当等の収入総額を認定すること。
(イ) 勤労収入を得るための必要経費としては、(4)によるほか、社会保険料、所得税、労働組合費、通勤費等の実費の額を認定すること。
イ農業収入
(ア) 農業により収入を得ている者については、すべての農作物につき調査し、その収穫量に基づいて認定すること。
(イ) 農業収入を得るための必要経費としては、(4)によるほか、生産必要経費として小作料、農業災害補償法による掛金、雇人費、農機具の修理費、少額農具の購入費、納屋の修理費、水利組合費、肥料代、種苗代、薬剤費等についてその実際必要額を認定すること。
ウ農業以外の事業(自営)収入
(ア) 農業以外の事業(いわゆる固定的な内職を含む。)により収入を得ている者については、その事業の種類に応じて、実際の収入額を認定し、又はその地域の同業者の収入の状況、その世帯の日常生活の状況等から客観的根拠に基づいた妥当性のある認定を行なうこと。
(イ) 農業以外の事業収入を得るための必要経費は、(4)によるほか、その事業に必要な経費として店舗の家賃、地代、機械器具の修理費、店舗の修理費、原材料費、仕入代、交通費、運搬費等の諸経費についてその実際必要額を認定すること。ただし、前記家賃、地代等の額に住宅費を含めて処理する場合においては、住宅費にこれらの費用を重ねて計上してはならないこと。また、下宿間貸業であって家屋が自己の所有でなく、家賃を必要とする場合には、下宿間貸代の範囲内において実際家賃を認定して差し支えないこと。
エその他不安定な就労による収入知己、近隣等よりの臨時的な報酬の性質を有する少額の金銭その他少額かつ不安定な稼働収入がある場合で、その額(受領するために交通費等を必要とする場合はその必要経費の額を控除した額とする。)が月額8,000円をこえるときは、そのこえる額を収入として認定すること。
(2) 就労に伴う収入以外の収入
ア恩給、年金等の収入
(ア) 恩給、年金、失業保険金その他の公の給付(地方公共団体又はその長が条例又は予算措置により定期的に支給する金銭を含む。)については、その実際の受給額を認定すること。ただし、(3)のオ、ケ又はコに該当する額については、この限りでない。
(イ) (ア)の収入を得るために必要な経費として、交通費、所得税、郵便料等を要する場合又は受給資格の証明のために必要とした費用がある場合は、その実際必要額を認定すること。
イ仕送り、贈与等による収入
(ア) 他からの仕送り、贈与等による金銭であって社会通念上収入として認定することを適当としないもののほかは、すべて認定すること。
(イ) 他からの仕送り、贈与等による主食、野菜又は魚介は、その仕送り、贈与等を受けた量について、農業収入又は農業以外の事業収入の認定の例により金銭に換算した額を認定すること。
(ウ) (ア)又は(イ)の収入を得るために必要な経費としてこれを受領するための交通費等を必要とする場合は、その実際必要額を認定すること。
ウ財産収入
(ア) 田畑、家屋、機械器具等を他に利用させて得られる地代、小作料、家賃、間代、使用料等の収入については、その実際の収入額を認定すること。
(イ) 家屋の補修費、地代、機械器具等の修理費、その他(ア)の収入をあげるために必要とする経費については、最小限度の額を認定すること。
エその他の収入
(ア) 地方公共団体又はその長が年末等の時期に支給する金銭(ア又は(3)のエ、ケ、コ若しくはサに該当するものを除く。)については、その額が世帯合算額8,000円(月額)をこえる場合、そのこえる額を収入として認定すること。
(イ) 不動産又は動産の処分による収入、保険金その他の臨時的収入((3)のオ、カ又はキに該当する額を除く。)については、その額(受領するために交通費等を必要とする場合は、その必要経費の額を控除した額とする。)が、世帯合算額8,000円(月額)をこえる場合、そのこえる額を収入として認定すること。
(3) 次に掲げるものは、収入として認定しないこと。
ア社会事業団体その他(地方公共団体及びその長を除く。)から被保護者に対して臨時的に恵与された慈善的性質を有する金銭であって、社会通念上収入として認定することが適当でないもの
イ出産、就職、結婚、葬祭等に際して贈与される金銭であって、社会通念上収入として認定することが適当でないもの
ウ他法、他施策等により貸し付けられる資金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額
エ自立更生を目的として恵与される金銭のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額
オ災害等によって損害を受けたことにより臨時的に受ける補償金、保険金又は見舞金のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額
カ保護の実施機関の指導又は指示により、動産又は不動産を売却して得た金銭のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額
キ死亡を支給事由として臨時的に受ける保険金(オに該当するものを除く。)のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額
ク高等学校等で就学しながら保護を受けることができるものとされた者の収入のうち、生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)別表第7「生業扶助基準」に規定する高等学校等就学費の支給対象とならない経費及び高等学校等就学費の基準額で賄いきれない経費であって、その者の就学のために必要な最小限度の額(ウからキまでに該当するものを除く。)
ケ心身障害児(者)、老人等社会生活を営むうえで特に社会的な障害を有する者の福祉を図るため、地方公共団体又はその長が条例等に基づき定期的に支給する金銭のうち支給対象者一人につき8,000円以内の額(月額)
コ独立行政法人福祉医療機構法第12条第1項第10号に規定する心身障害者扶養共済制度により地方公共団体から支給される年金
サ地方公共団体又はその長から国民の祝日たる敬老の日又は子供の日の行事の一環として支給される金銭
シ現に義務教育を受けている児童が就労して得た収入であって、収入として認定することが適当でないもの
ス戦傷病者戦没者遺族等援護法による弔慰金又は戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法による特別弔慰金
セ未帰還者に関する特別措置法による弔慰料(同一世帯内に同一の者につきスを受けることができる者がある場合を除く。)
ソ原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律により支給される医療特別手当のうち36,060円並びに同法により支給される原子爆弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当及び葬祭料
タ戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法又は戦没者の父母等に対する特別給付金支給法により交付される国債の償還金
チ公害健康被害の補償等に関する法律により支給される療養手当及び同法により支給される次に掲げる補償給付ごとに次に定める額
(ア) 障害補償費(介護加算額を除く。)
障害の程度が公害健康被害の補償等に関する法律施行令第10条に規定する表(以下する法律施行令第十条に規定する表(以下「公害障害等級表」という。)の特級又は1級に該当する者に支給される場合33,790円
障害の程度が公害障害等級表の2級に該当する者に支給される場合16,900円
障害の程度が公害障害等級表の三級に該当する者に支給される場合10,150円
(イ) 遺族補償費33,790円
(4) 勤労に伴う必要経費
(1)のアからウまでに掲げる収入を得ている者については、勤労に伴う必要経費として別表「基礎控除額表」の額を認定すること。
なお、新規に就労したため特別の経費を必要とする者については、別に定めるところにより、月額10,400円をその者の収入から控除し、未成年者については、別に定めるところにより、月額11,600円をその者の収入から控除すること。また、就労に伴う収入を得ている者については、特別控除として、年間を通じ次の表の額の範囲内において必要な額をその者の収入から控除すること。
1 級地2 級地3 級地
特別控除額150,900円137,300円123,700円
(備考) 級地区分は、生活保護法による保護の基準別表第九「地域の級地区分」による。
(5) その他の必要経費
次の経費については、真に必要やむを得ないものに限り、必要な最小限度の額を認定して差し支えないこと。
ア出かせぎ、行商、船舶乗組、寄宿等に要する一般生活費又は住宅費の実費
イ就労に伴う子の託児費
ウ他法、他施策等による貸付金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額の償還金
エ住宅金融公庫の貸付金の償還金
オ地方税等の公租公課
カ健康保険の任意継続保険料
キ国民年金の受給権を得るために必要な任意加入保険料

第9 保護の開始申請等
 生活保護は申請に基づき開始することを原則としており、保護の相談に当たっては、相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為も現に慎むこと。

第10 保護の決定
 保護の要否及び程度は、原則として、当該世帯につき認定した最低生活費と、第8によって認定した収入(以下「収入充当額」という。)との対比によって決定すること。
 また、保護の種類は、その収入充当額を、原則として、第1に衣食等の生活費に、第2に住宅費に、第3に教育費及び高等学校等への就学に必要な経費に、以下介護、医療、出産、生業(高等学校等への就学に必要な経費を除く。)、葬祭に必要な経費の順に充当させ、その不足する費用に対応してこれを定めること。

第11 施行期日及び関係通知の廃止
1 この通知は、昭和36年4月1日から施行すること。ただし、母子加算に関する改正は、昭和36年9月1日から施行すること。
2 昭和33年6月6日厚生省発社第111号厚生事務次官通知「生活保護法による保護の実施要領について」は、廃止すること。ただし、当該通知中母子加算に関する部分は、昭和36年8月31日までなお効力を有すること。


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■3条の賠償責任の法的性質 その7 労災保険法との関係

■3条の賠償責任の法的性質 その7 労災保険法との関係

〔労働者災害補償保険法(労災保険法)との関係〕
 労働者災害補償保険法による給付請求と,原賠法による阻害賠償請求請求は,請求相手も違うし,原賠法付則に調整規定もあることから,当然に両立しうる。

 なお,東電と雇用関係のある従業員については,通常の労働災害とみることができ,他の協力会社(下請け等)の作業員,その他の者との関係では,第三者加害による労働災害とみることになる?。
〔※労働災害の中には,①使用者加害の場合,②第三者加害の場合,③自然力等の不可抗力による場合の3パターンあり,①②については求償等の問題がありえ,特に②については保険等のとの関係で使用者の「第三者」性などが問題となる。なお,原賠法との関係で言えば,東電が3条1項但書で免責されない限り③のパターンはない。〕



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●原賠法 付則
(他の法律による給付との調整等)
第四条  第三条の場合において、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者(以下この条において単に「原子力事業者」という。)の従業員が原子力損害を受け、当該従業員又はその遺族がその損害のてん補に相当する労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による給付その他法令の規定による給付であつて政令で定めるもの(以下この条において「災害補償給付」という。)を受けるべきときは、当該従業員又はその遺族に係る原子力損害の賠償については、当分の間、次に定めるところによるものとする。
一  原子力事業者は、原子力事業者の従業員又はその遺族の災害補償給付を受ける権利が消滅するまでの間、その損害の発生時から当該災害補償給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該災害補償給付の価額となるべき額の限度で、その賠償の履行をしないことができる。
二  前号の場合において、災害補償給付の支給があつたときは、原子力事業者は、その損害の発生時から当該災害補償給付が支給された時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該災害補償給付の価額となるべき額の限度で、その損害の賠償の責めを免れる。
2  原子力事業者の従業員が原子力損害を受けた場合において、その損害が第三者の故意により生じたものであるときは、当該従業員又はその遺族に対し災害補償給付を支給した者は、当該第三者に対して求償権を有する。
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●社会保険庁通達
原子力損害の賠償に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について
(昭和五四年一一月一六日)
(庁保険発第一五号)
(各都道府県民生主管部(局)保険課(部)長あて社会保険庁医療保険部船員保険課長通知)
原子力損害の賠償に関する法律施行令の一部を改正する政令は、昭和五四年一一月一六日政令第二八○号をもつて公布され、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律(昭和五四年法律第四四号)の施行の日(昭和五五年一月一日)から施行されることとなつたが、改正の趣旨及び改正内容のうち船員保険に関する事項は次のとおりであるので通知する。

第一 改正の趣旨
 今回の改正は、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、原子力損害の賠償措置額を引き上げるほか、核燃料物質等の廃棄に係る賠償措置額を新たに定め、さらに原子炉の運転等により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者(以下「原子力事業者」という。)の従業員が原子力損害を受けた場合、原子力事業者が当該従業員又はその遺族に対してなすべき損害賠償についてその調整の対象とする災害補償給付を定めるものであること。

第二 改正内容等
 原子力事業者に使用される船員保険の被保険者が原子力損害を受け、当該船員又はその遺族がその損害のてん補に相当する船員保険法の規定による職務上の事由による給付を受けたときは、原子力事業者はその給付の額を限度として賠償の責めを免れることができることとされたこと。
 ただし、職務上の事由による障害年金(船員保険法第四一条第二項の規定が適用された障害年金を含む。)及び遺族年金(同法第五○条ノ二第三項の規定が適用された遺族年金を含む。)の給付については、当該給付の額のうち国庫負担の対象とならない部分についてのみ原子力事業者は賠償の責めを免れることができるものであること。
 なお、原子力事業者に使用される船員保険の被保険者が原子力損害を受けた場合、その損害が第三者の故意により生じたものであるときを除き、当該船員又はその遺族に対してなした職務上の事由による給付については、当該第三者に対して求償できないものであること

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・通達はこちらコメント



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〔国家公務員,船員〕
 また,船員や,自衛隊員等の国家公務員の労災については,前記の原賠法付則4条1項の「その他法令の規定による給付」として,他の労災保険と同様の扱いとなる。

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●原子力損害の賠償に関する法律施行令(昭和三十七年三月六日政令第四十四号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37SE044.html
(災害補償給付)
第三条  法附則第四条第一項に規定する政令で定める災害補償給付は、次に掲げる給付とする。
一  国家公務員災害補償法 (昭和二十六年法律第百九十一号)の規定による給付
二  船員保険法 (昭和十四年法律第七十三号)の規定による給付であつて職務上の事由によるもの

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〔政府よる求償請求〕
※下請け等の協力会社の従業員等の労働災害について,これを第三者(東電)による加害行為と見た場合

・原子力事業者に対する求償
 原賠法に基づく請求が基礎にあるので,原子力事業者の故意過失に関係なく求償可
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労働者災害補償保険法
第12条の4 政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
 2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。
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なお,原子力事業者以外の者に対する求償は,故意ある者についてのみ可
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原賠法 付則
(他の法律による給付との調整等)
第4条2項  原子力事業者の従業員が原子力損害を受けた場合において、その損害が第三者の故意により生じたものであるときは、当該従業員又はその遺族に対し災害補償給付を支給した者は、当該第三者に対して求償権を有する。
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※求償の対象となるのは、災害発生後3年以内に支給事由が生じた保険給付(年金たる保険給付については、この3年間に係るものに限る。)とされる(昭和41年6月17日基発第610号)。




〔原賠法に基づく損害賠償請求時における,労災保険との損益相殺の可否〕

 労災保険の支給金の種類によってまちまち。一般的には,その支給が,性質上,労働者の損失填補のためのものは損益相殺可,福祉事業としての性質を有する場合は不可といえる。以下参考判例。

・最高裁平成8年2月23日判決,判時1560-91,コック食品事件
「労働者災害補償保険法(以下「法」という。)による保険給付は、使用者の労働基準法上の災害補償義務を政府が労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)によって保険給付の形式で行うものであり、業務災害又は通勤災害による労働者の損害をてん補する性質を有するから、保険給付の原因となる事故が使用者の行為によって生じた場合につき、政府が保険給付をしたときは、労働基準法八四条二項の類推適用により、使用者はその給付の価額の限度で労働者に対する損害賠償の責めを免れると解され(最高裁昭和五〇年(オ)第六二一号同五二年一〇月二五日第三小法廷判決・民集三一巻六号八三六頁参照)、使用者の損害賠償義務の履行と年金給付との調整に関する規定(法六四条、平成二年法律第四〇号による改正前の法六七条)も設けられている。また、保険給付の原因となる事故が第三者の行為によって生じた場合につき、政府が保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者の第三者に対する損害賠償請求権を取得し、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができる旨定められている(法一二条の四)。他方、政府は、労災保険により、被災労働者に対し、休業特別支給金、障害特別支給金等の特別支給金を支給する(労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和四九年労働省令第三〇号))が、右特別支給金の支給は、労働福祉事業の一環として、被災労働者の療養生活の援護等によりその福祉の増進を図るために行われるものであり(平成七年法律第三五号による改正前の法二三条一項二号、同規則一条)、使用者又は第三者の損害賠償義務の履行と特別支給金の支給との関係について、保険給付の場合における前記各規定と同趣旨の定めはない。このような保険給付と特別支給金との差異を考慮すると、特別支給金が被災労働者の損害をてん補する性質を有するということはできず、したがって、被災労働者が労災保険から受領した特別支給金をその損害額から控除することはできないというべきである。」


※なお,損益相殺には,支給の確定を要する。以下参考判例。
・最高裁平成5年3月24日判決,判時1499-49
「損益相殺的な調整を図ることが許されるのは、当該債権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られるものというべきである。」




〔過失相殺と損益相殺の順序〕
 労災保険に関しては,過失相殺と損益相殺の適用順序については,まず過失相殺し、次に損益相殺するのが判例である。

・最判平成元年4月11日,判タ867-186
労働者災害補償保険法(以下「法」という。)に基づく保険給付の原因となつた事故が第三者の行為により惹起され、第三者が右行為によつて生じた損害につき賠償責任を負う場合において、右事故により被害を受けた労働者に過失があるため損害賠償額を定めるにつきこれを一定の割合で斟酌すべきときは、保険給付の原因となつた事由と同一の事由による損害の賠償額を算定するには、右損害の額から過失割合による減額をし、その残額から右保険給付の価額を控除する方法によるのが相当である(最高裁昭和五一年(オ)第一〇八九号同五五年一二月一八日第一小法廷判決・民集三四巻七号八八八頁参照)。けだし、法一二条の四は、事故が第三者の行為によつて生じた場合において、受給権者に対し、政府が先に保険給付をしたときは、受給権者の第三者に対する損害賠償請求権は右給付の価額の限度で当然国に移転し(一項)、第三者が先に損害賠償をしたときは、政府はその価額の限度で保険給付をしないことができると定め(二項)、受給権者に対する第三者の損害賠償義務と政府の保険給付義務とが相互補完の関係にあり、同一の事由による損害の二重填補を認めるものではない趣旨を明らかにしているのであつて、政府が保険給付をしたときは、右保険給付の原因となつた事由と同一の事由については、受給権者が第三者に対して取得した損害賠償請求権は、右給付の価額の限度において国に移転する結果減縮すると解されるところ(最高裁昭和五〇年(オ)第四三一号同五二年五月二七日第三小法廷判決・民集三一巻三号四二七頁、同五〇年(オ)第六二一号同五二年一〇月二五日第三小法廷判決・民集三一巻六号八三六頁参照)、損害賠償額を定めるにつき労働者の過失を斟酌すべき場合には、受給権者は第三者に対し右過失を斟酌して定められた額の損害賠償請求権を有するにすぎないので、同条一項により国に移転するとされる損害賠償請求権も過失を斟酌した後のそれを意味すると解するのが、文理上自然であり、右規定の趣旨にそうものといえるからである。」



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2011-06-28 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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■3条の賠償責任の法的性質 その6 国家賠償法1条との関係

■3条の賠償責任の法的性質 その6 国家賠償法1条との関係

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〔国家賠償法〕
第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
 2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
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 国や公共団体において,原発事故前の関与(監督検査等)や,原発事故後の関与(避難指示,出荷制限その他)について,故意又は過失あった場合に,被害者が国や公共団体に対して,国賠法1条に基づき損害賠償することができないか。

 これについては,少なくとも次ぎの4つの問題があるように思う。

1 国への責任追及が,原賠法4条(責任集中の原則)との関係で許されるのか。

2 1で原賠法4条による国の免責を認めた場合でも,事後的関与(避難指示や出荷制限などの国の対応についての落ち度など)についても,4条の適用があるのか。

3 原賠法3条1項本文と国賠法1項との関係。

4 両立すると考えた場合の、両責任の関係、求償関係

1については,こちらで論じた。4条適用肯定,否定両方ありうる。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-38.html

2については,こちらで論じた。4条適用肯定,否定両方ありうる。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-129.html

4については、こちらで触れた。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-61.html
共同不法行為(民法719条1項)、不真性連帯債務
共同不法行為者間の求償関係については、こちら



 ここでは,3について検討する。

 一般に,国賠法は,民法の不法行為規定の特則と理解されるので,民法より優先的に適用される。
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〔国家賠償法〕
第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法 の規定による。
第五条  国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
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 また,原賠法も,民法の不法行為規定の特則と理解されるので,民法より優先的に適用される。
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・平成16年9月27日東京地裁判決(判タ1195号263頁)
 宅地販売業者が,売却予定で宅地造成中に,JCOの臨界事故が起き,予定価格での売却ができなかったとして,原賠法等を根拠に損害賠償請求した事例。 
「なお,原賠法2条2項,3条1項の「損害」を前提のように解する以上,原告が被告の「原子炉の運転等」以外を加害原因として主張していない本件においては,原賠法3条1項による無過失損害賠償責任と別個に民法709条による賠償責任が成立する余地はなく,原賠法3条に基づく請求(主位的請求)が認められない場合には,民法709条に基づく請求(予備的請求)も認められない。」
 なお,控訴審判決は,そのまま結論維持・平成17年9月21日東京高裁判決(判時1914号95頁)
・平成20年2月27日水戸地裁判決(判タ1285号201頁)
 JCO臨界事故関係。近隣住民が被爆及びPTSD等健康被害で,JCO及びその親会社住友金属鉱山に対して,主位的に民法709条,予備的に原賠法3条による損害賠償請求をした。
原賠法に規定する原子力損害の賠償責任は,原子力事業者に対して原子力損害に関する無過失責任を規定するなどした民法の損害賠償責任に関する規定の特則であり,民法上の債務不履行責任又は不法行為の責任発生要件に関する規定は適用を排除され,その類推適用の余地もないものであるから,本件事故による被爆と相当因果関係があるものとして損害賠償を請求する限りにおいては,原子力事業者に該当する被告JCOとの関係においても,民法上の不法行為に基づいて,賠償請求を認めることはできないというほかない。」
 なお,控訴審判決は,そのまま結論維持・平成21年5月14日東京高裁判決(判時2066号54頁)
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 原賠法3条1項本文と国賠法1項との関係については,特に条文も判例も存在しないが,国賠法と民法,原賠法と民法との関係は,それぞれ同一の責任主体における同一事象についての適用関係の問題であるが,国賠法と原賠法との関係は,そもそも責任主体が「原子力事業者」と「国」という違いがある。
 特別法は一般法に優先するという原則は,そもそも同一事象について,特別な立法がされた場合は,当然にそちらを優先適用すべきという立法意思が明白なので,そちらを優先するというものだろう。
 したがって,責任主体が異なれば,同一の事象とは言えないだろうし,そもそも原賠法では「原子炉の運転等」を加害原因として類型化しているのに対して,国の関与としては,事前の監視監督や,事後の避難指示等の過失行為が問題となる。
 このように原賠法と,国賠法は,損害結果においては重なりうるが,その落ち度のある行為や責任主体において重ならないので〔事象としては別のことを問題としているので〕,原賠法3条1項の存在から,当然に国賠法1条が適用排除されるということはないのではないか。

 結論としては,原賠法4条による国の免責の有無のみが問題となり,国の行為について原賠法4条適用を否定する立場では,国に落ち度があった場合,被害者から国への国賠請求が可能となるのではないか。

 なお国営の原子炉については,国=原子力事業者となり,原賠法が優先的に適用され,同法23条は,それを前提とする規定と思われる。

〔国賠法での賠償義務と,原賠法16条の国の援助との関係も問題となろうが,おそらく16条の「援助」は厳密には国の法的義務とまでは言えないものだろうから無関係。※我妻栄「原子力二法の構想と問題点」ジュリスト236号8頁,「援助するとはいってはいるものの具体的に政府の義務とはされていない。事業者に資力がなく被害者に充分の賠償をすることができなくとも国会が権限を与えなければどうにもならない,ということである。」〕


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2011-06-27 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)

・原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)

http://www.iaea.org/Publications/Documents/Conventions/supcomp.html


International Conventions & Agreements

Convention on Supplementary Compensation for Nuclear Damage

THE CONTRACTING PARTIES,

RECOGNIZING the importance of the measures provided in the Vienna Convention on Civil Liability for Nuclear Damage and the Paris Convention on Third Party Liability in the Field of Nuclear Energy as well as in national legislation on compensation for nuclear damage consistent with the principles of these Conventions;

DESIROUS of establishing a worldwide liability regime to supplement and enhance these measures with a view to increasing the amount of compensation for nuclear damage;



RECOGNIZING further that such a worldwide liability regime would encourage regional and global co-operation to promote a higher level of nuclear safety in accordance with the principles of international partnership and solidarity;


HAVE AGREED as follows:



CHAPTER I
GENERAL PROVISIONS


Article I
Definitions

For the purposes of this Convention:

•"Vienna Convention" means the Vienna Convention on Civil Liability for Nuclear Damage of 21 May 1963 and any amendment thereto which is in force for a Contracting Party to this Convention.

•"Paris Convention" means the Paris Convention on Third Party Liability in the Field of Nuclear Energy of 29 July 1960 and any amendment thereto which is in force for a Contracting Party to this Convention.

•"Special Drawing Right", hereinafter referred to as SDR, means the unit of account defined by the International Monetary Fund and used by it for its own operations and transactions.

•"Nuclear reactor" means any structure containing nuclear fuel in such an arrangement that a self-sustaining chain process of nuclear fission can occur therein without an additional source of neutrons.

•"Installation State", in relation to a nuclear installation, means the Contracting Party within whose territory that installation is situated or, if it is not situated within the territory of any State, the Contracting Party by which or under the authority of which the nuclear installation is operated.

  •"Nuclear Damage" means:

  •loss of life or personal injury;

  •loss of or damage to property;

  and each of the following to the extent determined by the law of the competent court:

  •economic loss arising from loss or damage referred to in sub-paragraph (i) or (ii), insofar as not included in those sub-paragraphs, if incurred by a person entitled to claim in respect of such loss or damage;

  •the costs of measures of reinstatement of impaired environment, unless such impairment is insignificant, if such measures are actually taken or to be taken, and insofar as not included in sub-paragraph (ii);

  •loss of income deriving from an economic interest in any use or enjoyment of the environment, incurred as a result of a significant impairment of that environment, and insofar as not included in sub-paragraph (ii);

  •the costs of preventive measures, and further loss or damage caused by such measures;

  •any other economic loss, other than any caused by the impairment of the environment, if permitted by the general law on civil liability of the competent court,

  in the case of sub-paragraphs (i) to (v) and (vii) above, to the extent that the loss or damage arises out of or results from ionizing radiation emitted by any source of radiation inside a nuclear installation, or emitted from nuclear fuel or radioactive products or waste in, or of nuclear material coming from, originating in, or sent to, a nuclear installation, whether so arising from the radioactive properties of such matter, or from a combination of radioactive properties with toxic, explosive or other hazardous properties of such matter.

•"Measures of reinstatement" means any reasonable measures which have been approved by the competent authorities of the State where the measures were taken, and which aim to reinstate or restore damaged or destroyed components of the environment, or to introduce, where reasonable, the equivalent of these components into the environment. The law of the State where the damage is suffered shall determine who is entitled to take such measures.

•"Preventive measures" means any reasonable measures taken by any person after a nuclear incident has occurred to prevent or minimize damage referred to in sub-paragraphs (f)(i) to (v) or (vii), subject to any approval of the competent authorities required by the law of the State where the measures were taken.

•"Nuclear incident" means any occurrence or series of occurrences having the same origin which causes nuclear damage or, but only with respect to preventive measures, creates a grave and imminent threat of causing such damage.

•"Installed nuclear capacity" means for each Contracting Party the total of the number of units given by the formula set out in Article IV.2; and "thermal power" means the maximum thermal power authorized by the competent national authorities.

•"Law of the competent court" means the law of the court having jurisdiction under this Convention, including any rules of such law relating to conflict of laws.

•"Reasonable measures" means measures which are found under the law of the competent court to be appropriate and proportionate, having regard to all the circumstances, for example:

  •the nature and extent of the damage incurred or, in the case of preventive measures, the nature and extent of the risk of such damage;

  •the extent to which, at the time they are taken, such measures are likely to be effective; and

  •relevant scientific and technical expertise.



Article II
Purpose and Application

1.The purpose of this Convention is to supplement the system of compensation provided pursuant to national law which:

  •implements one of the instruments referred to in Article I (a) and (b); or

  •complies with the provisions of the Annex to this Convention.

2.The system of this Convention shall apply to nuclear damage for which an operator of a nuclear installation used for peaceful purposes situated in the territory of a Contracting Party is liable under either one of the Conventions referred to in Article I or national law mentioned in paragraph 1(b) of this Article.

3.The Annex referred to in paragraph 1(b) shall constitute an integral part of this Convention.





CHAPTER II
COMPENSATION

Article III
Undertaking

1.Compensation in respect of nuclear damage per nuclear incident shall be ensured by the following means:


  •the Installation State shall ensure the availability of 300 million SDRs or a greater amount that it may have specified to the Depositary at any time prior to the nuclear incident, or a transitional amount pursuant to sub-paragraph (ii);

  •a Contracting Party may establish for the maximum of 10 years from the date of the opening for signature of this Convention, a transitional amount of at least 150 million SDRs in respect of a nuclear incident occurring within that period.

•beyond the amount made available under sub-paragraph (a), the Contracting Parties shall make available public funds according to the formula specified in Article IV.


2.
  •Compensation for nuclear damage in accordance with paragraph 1(a) shall be distributed equitably without discrimination on the basis of nationality, domicile or residence, provided that the law of the Installation State may, subject to obligations of that State under other conventions on nuclear liability, exclude nuclear damage suffered in a non-Contracting

  •Compensation for nuclear damage in accordance with paragraph 1(b), shall, subject to Articles V and XI.1(b), be distributed equitably without discrimination on the basis of nationality, domicile or residence.


3.If the nuclear damage to be compensated does not require the total amount under paragraph 1(b), the contributions shall be reduced proportionally.


4.The interest and costs awarded by a court in actions for compensation of nuclear damage are payable in addition to the amounts awarded pursuant to paragraphs 1(a) and (b) and shall be proportionate to the actual contributions made pursuant to paragraphs 1(a) and (b), respectively, by the operator liable, the Contracting Party in whose territory the nuclear installation of that operator is situated, and the Contracting Parties together.




Article IV
Calculation of Contributions


1.The formula for contributions according to which the Contracting Parties shall make available the public funds referred to in Article III.1(b) shall be determined as follows:


• •the amount which shall be the product of the installed nuclear capacity of that Contracting Party multiplied by 300 SDRs per unit of installed capacity; and


•the amount determined by applying the ratio between the United Nations rate of assessment for that Contracting Party as assessed for the year preceding the year in which the nuclear incident occurs, and the total of such rates for all Contracting Parties to 10% of the sum of the amounts calculated for all Contracting Parties under sub-paragraph (i).



•Subject to sub-paragraph (c), the contribution of each Contracting Party shall be the sum of the amounts referred to in sub-paragraphs (a)(i) and (ii), provided that States on the minimum United Nations rate of assessment with no nuclear reactors shall not be required to make contributions.


•The maximum contribution which may be charged per nuclear incident to any Contracting Party, other than the Installation State, pursuant to sub-paragraph (b) shall not exceed its specified percentage of the total of contributions of all Contracting Parties determined pursuant to sub-paragraph (b). For a particular Contracting Party, the specified percentage shall be its UN rate of assessment expressed as a percentage plus 8 percentage points. If, at the time an incident occurs, the total installed capacity represented by the Parties to this Convention is at or above a level of 625,000 units, this percentage shall be increased by one percentage point. It shall be increased by one additional percentage point for each increment of 75,000 units by which the capacity exceeds 625,000 units.


2.The formula is for each nuclear reactor situated in the territory of the Contracting Party, 1 unit for each MW of thermal power. The formula shall be calculated on the basis of the thermal power of the nuclear reactors shown at the date of the nuclear incident in the list established and kept up to date in accordance with Article VIII.


3.For the purpose of calculating the contributions, a nuclear reactor shall be taken into account from that date when nuclear fuel elements have been first loaded into the nuclear reactor. A nuclear reactor shall be excluded from the calculation when all fuel elements have been removed permanently from the reactor core and have been stored safely in accordance with approved procedures.




Article V
Geographical Scope

1.The funds provided for under Article III.1(b) shall apply to nuclear damage which is suffered:

  •in the territory of a Contracting Party; or

  •in or above maritime areas beyond the territorial sea of a Contracting Party:

    •on board or by a ship flying the flag of a Contracting Party, or on board or by an aircraft registered in the territory of a Contracting Party, or on or by an artificial island, installation or structure under the jurisdiction of a Contracting Party; or

    •by a national of a Contracting Party;

    excluding damage suffered in or above the territorial sea of a State not Party to this Convention; or

  •in or above the exclusive economic zone of a Contracting Party or on the continental shelf of a Contracting Party in connection with the exploitation or the exploration of the natural resources of that exclusive economic zone or continental shelf;

provided that the courts of a Contracting Party have jurisdiction pursuant to Article XIII.


2.Any signatory or acceding State may, at the time of signature of or accession to this Convention or on the deposit of its instrument of ratification, declare that for the purposes of the application of paragraph 1(b)(ii), individuals or certain categories thereof, considered under its law as having their habitual residence in its territory, are assimilated to its own nationals.


3.In this article, the expression "a national of a Contracting Party" shall include a Contracting Party or any of its constituent sub-divisions, or a partnership, or any public or private body whether corporate or not established in the territory of a Contracting Party.





CHAPTER III
ORGANIZATION OF SUPPLEMENTARY FUNDING

Article VI
Notification of Nuclear Damage

Without prejudice to obligations which Contracting Parties may have under other international agreements, the Contracting Party whose courts have jurisdiction shall inform the other Contracting Parties of a nuclear incident as soon as it appears that the damage caused by such incident exceeds, or is likely to exceed, the amount available under Article III.1(a) and that contributions under Article III.1(b) may be required. The Contracting Parties shall without delay make all the necessary arrangements to settle the procedure for their relations in this connection.




Article VII
Call for Funds

1.Following the notification referred to in Article VI, and subject to Article X.3, the Contracting Party whose courts have jurisdiction shall request the other Contracting Parties to make available the public funds required under Article III.1(b) to the extent and when they are actually required and shall have exclusive competence to disburse such funds.

2.Independently of existing or future regulations concerning currency or transfers, Contracting Parties shall authorize the transfer and payment of any contribution provided pursuant to Article III.1(b) without any restriction.




Article VIII
List of Nuclear Installations

1.Each Contracting State shall, at the time when it deposits its instrument of ratification, acceptance, approval or accession, communicate to the Depositary a complete listing of all nuclear installations referred to in Article IV.3. The listing shall contain the necessary particulars for the purpose of the calculation of contributions.

2.Each Contracting State shall promptly communicate to the Depositary all modifications to be made to the list. Where such modifications include the addition of a nuclear installation, the communication must be made at least three months before the expected date when nuclear material will be introduced into the installation.

3.If a Contracting Party is of the opinion that the particulars, or any modification to be made to the list communicated by a Contracting State pursuant to paragraphs 1 and 2, do not comply with the provisions, it may raise objections thereto by addressing them to the Depositary within three months from the date on which it has received notice pursuant to paragraph 5. The Depositary shall forthwith communicate this objection to the State to whose information the objection has been raised. Any unresolved differences shall be dealt with in accordance with the dispute settlement procedure laid down in Article XVI.

4.The Depositary shall maintain, update and annually circulate to all Contracting States the list of nuclear installations established in accordance with this Article. Such list shall consist of all the particulars and modifications referred to in this Article, it being understood that objections submitted under this Article shall have effect retrospective to the date on which they were raised, if they are sustained.

5.The Depositary shall give notice as soon as possible to each Contracting Party of the communications and objections which it has received pursuant to this Article.




Article IX
Rights of Recourse

1.Each Contracting Party shall enact legislation in order to enable both the Contracting Party in whose territory the nuclear installation of the operator liable is situated and the other Contracting Parties who have paid contributions referred to in Article III.1(b), to benefit from the operator's right of recourse to the extent that he has such a right under either one of the Conventions referred to in Article I or national legislation mentioned in Article II.1(b) and to the extent that contributions have been made by any of the Contracting Parties.

2.The legislation of the Contracting Party in whose territory the nuclear installation of the operator liable is situated may provide for the recovery of public funds made available under this Convention from such operator if the damage results from fault on his part.

3.The Contracting Party whose courts have jurisdiction may exercise the rights of recourse provided for in paragraphs 1 and 2 on behalf of the other Contracting Parties which have contributed.




Article X
Disbursements, Proceedings

1.The system of disbursements by which the funds required under Article III.1 are to be made available and the system of apportionment thereof shall be that of the Contracting Party whose courts have jurisdiction.

2.Each Contracting Party shall ensure that persons suffering damage may enforce their rights to compensation without having to bring separate proceedings according to the origin of the funds provided for such compensation and that Contracting Parties may intervene in the proceedings against the operator liable.

3.No Contracting Party shall be required to make available the public funds referred to in Article III.1(b) if claims for compensation can be satisfied out of the funds referred to in Article III.1(a).




Article XI
Allocation of Funds

The funds provided under Article III.1(b) shall be distributed as follows:

1.
  •50% of the funds shall be available to compensate claims for nuclear damage suffered in or outside the Installation State;


  •50% of the funds shall be available to compensate claims for nuclear damage suffered outside the territory of the Installation State to the extent that such claims are uncompensated under sub-paragraph (a).


  •In the event the amount provided pursuant to Article III.1(a) is less than 300 million SDRs:

    •the amount in paragraph 1(a) shall be reduced by the same percentage as the percentage by which the amount provided pursuant to Article III.1(a) is less than 300 million SDRs; and

    •the amount in paragraph 1(b) shall be increased by the amount of the reduction calculated pursuant to sub-paragraph (i).


2.If a Contracting Party, in accordance with Article III.1(a), has ensured the availability without discrimination of an amount not less than 600 million SDRs, which has been specified to the Depositary prior to the nuclear incident, all funds referred to in Article III.1(a) and (b) shall, notwithstanding paragraph 1, be made available to compensate nuclear damage suffered in and outside the Installation State.





CHAPTER IV
EXERCISE OF OPTIONS

Article XII

1.Except insofar as this Convention otherwise provides, each Contracting Party may exercise the powers vested in it by virtue of the Vienna Convention or the Paris Convention, and any provisions made thereunder may be invoked against the other Contracting Parties in order that the public funds referred to in Article III.1(b) be made available.

2.Nothing in this Convention shall prevent any Contracting Party from making provisions outside the scope of the Vienna or the Paris Convention and of this Convention, provided that such provision shall not involve any further obligation on the part of the other Contracting Parties, and provided that damage in a Contracting Party having no nuclear installations within its territory shall not be excluded from such further compensation on any grounds of lack of reciprocity.

3.
  •Nothing in this Convention shall prevent Contracting Parties from entering into regional or other agreements with the purpose of implementing their obligations under Article III.1(a) or providing additional funds for the compensation of nuclear damage, provided that this shall not involve any further obligation under this Convention for the other Contracting Parties.

  •A Contracting Party intending to enter into any such agreement shall notify all other Contracting Parties of its intention. Agreements concluded shall be notified to the Depositary.





CHAPTER V
JURISDICTION AND APPLICABLE LAW

Article XIII
Jurisdiction

1.Except as otherwise provided in this article, jurisdiction over actions concerning nuclear damage from a nuclear incident shall lie only with the courts of the Contracting Party within which the nuclear incident occurs.

2.Where a nuclear incident occurs within the area of the exclusive economic zone of a Contracting Party or, if such a zone has not been established, in an area not exceeding the limits of an exclusive economic zone, were one to be established by that Party, jurisdiction over actions concerning nuclear damage from that nuclear incident shall, for the purposes of this Convention, lie only with the courts of that Party. The preceding sentence shall apply if that Contracting Party has notified the Depositary of such area prior to the nuclear incident. Nothing in this paragraph shall be interpreted as permitting the exercise of jurisdiction in a manner which is contrary to the international law of the sea, including the United Nations Convention on the Law of the Sea. However, if the exercise of such jurisdiction is inconsistent with the obligations of that Party under Article XI of the Vienna Convention or Article 13 of the Paris Convention in relation to a State not Party to this Convention jurisdiction shall be determined according to those provisions.

3.Where a nuclear incident does not occur within the territory of any Contracting Party or within an area notified pursuant to paragraph 2, or where the place of a nuclear incident cannot be determined with certainty, jurisdiction over actions concerning nuclear damage from the nuclear incident shall lie only with the courts of the Installation State.

4.Where jurisdiction over actions concerning nuclear damage would lie with the courts of more than one Contracting Party, these Contracting Parties shall determine by agreement which Contracting Party's courts shall have jurisdiction.

5.A judgment that is no longer subject to ordinary forms of review entered by a court of a Contracting Party having jurisdiction shall be recognized except:

  •where the judgment was obtained by fraud;

  •where the party against whom the judgment was pronounced was not given a fair opportunity to present his case; or

  •where the judgment is contrary to the public policy of the Contracting Party within the territory of which recognition is sought, or is not in accord with fundamental standards of justice.

6.A judgment which is recognized under paragraph 5 shall, upon being presented for enforcement in accordance with the formalities required by the law of the Contracting Party where enforcement is sought, be enforceable as if it were a judgment of a court of that Contracting Party. The merits of a claim on which the judgment has been given shall not be subject to further proceedings.

7.Settlements effected in respect of the payment of compensation out of the public funds referred to in Article III.1(b) in accordance with the conditions established by national legislation shall be recognized by the other Contracting Parties.




Article XIV
Applicable Law

1.Either the Vienna Convention or the Paris Convention or the Annex to this Convention, as appropriate, shall apply to a nuclear incident to the exclusion of the others.

2.Subject to the provisions of this Convention, the Vienna Convention or the Paris Convention, as appropriate, the applicable law shall be the law of the competent court.




Article XV
Public International Law

This Convention shall not affect the rights and obligations of a Contracting Party under the general rules of public international law.





CHAPTER VI
DISPUTE SETTLEMENT

Article XVI

1.In the event of a dispute between Contracting Parties concerning the interpretation or application of this Convention, the parties to the dispute shall consult with a view to the settlement of the dispute by negotiation or by any other peaceful means of settling disputes acceptable to them.

2.If a dispute of this character referred to in paragraph 1 cannot be settled within six months from the request for consultation pursuant to paragraph 1, it shall, at the request of any party to such dispute, be submitted to arbitration or referred to the International Court of Justice for decision. Where a dispute is submitted to arbitration, if, within six months from the date of the request, the parties to the dispute are unable to agree on the organization of the arbitration, a party may request the President of the International Court of Justice or the Secretary-General of the United Nations to appoint one or more arbitrators. In cases of conflicting requests by the parties to the dispute, the request to the Secretary-General of the United Nations shall have priority.

3.When ratifying, accepting, approving or acceding to this Convention, a State may declare that it does not consider itself bound by either or both of the dispute settlement procedures provided for in paragraph 2. The other Contracting Parties shall not be bound by a dispute settlement procedure provided for in paragraph 2 with respect to a Contracting Party for which such a declaration is in force.

4.A Contracting Party which has made a declaration in accordance with paragraph 3 may at any time withdraw it by notification to the Depositary.





CHAPTER VII
FINAL CLAUSES

Article XVII
Signature

This Convention shall be open for signature, by all States at the Headquarters of the International Atomic Energy Agency in Vienna from 29 September 1997 until its entry into force.




Article XVIII
Ratification, Acceptance, Approval

1.This Convention shall be subject to ratification, acceptance or approval by the signatory States. An instrument of ratification, acceptance or approval shall be accepted only from a State which is a Party to either the Vienna Convention or the Paris Convention, or a State which declares that its national law complies with the provisions of the Annex to this Convention, provided that, in the case of a State having on its territory a nuclear installation as defined in the Convention on Nuclear Safety of 17 June 1994, it is a Contracting State to that Convention.

2.The instruments of ratification, acceptance or approval shall be deposited with the Director General of the International Atomic Energy Agency who shall act as the Depositary of this Convention.

3.A Contracting Party shall provide the Depositary with a copy, in one of the official languages of the United Nations, of the provisions of its national law referred to in Article II.1 and amendments thereto, including any specification made pursuant to Article III.1(a), Article XI.2, or a transitional amount pursuant to Article III.1(a)(ii). Copies of such provisions shall be circulated by the Depositary to all other Contracting Parties.




Article XIX
Accession

1.After its entry into force, any State which has not signed this Convention may accede to it. An instrument of accession shall be accepted only from a State which is a Party to either the Vienna Convention or the Paris Convention, or a State which declares that its national law complies with the provisions of the Annex to this Convention, provided that, in the case of a State having on its territory a nuclear installation as defined in the Convention on Nuclear Safety of 17 June 1994, it is a Contracting State to that Convention.

2.The instruments of accession shall be deposited with the Director General of the International Atomic Energy Agency.

3.A Contracting Party shall provide the Depositary with a copy, in one of the official languages of the United Nations, of the provisions of its national law referred to in Article II.1 and amendments thereto, including any specification made pursuant to Article III.1(a), Article XI.2, or a transitional amount pursuant to Article III.1(a)(ii). Copies of such provisions shall be circulated by the Depositary to all other Contracting Parties.




Article XX
Entry Into Force

1.This Convention shall come into force on the ninetieth day following the date on which at least 5 States with a minimum of 400,000 units of installed nuclear capacity have deposited an instrument referred to in Article XVIII.

2.For each State which subsequently ratifies, accepts, approves or accedes to this Convention, it shall enter into force on the ninetieth day after deposit by such State of the appropriate instrument.




Article XXI
Denunciation

1.Any Contracting Party may denounce this Convention by written notification to the Depositary.

2.Denunciation shall take effect one year after the date on which the notification is received by the Depositary.




Article XXII
Cessation

1.Any Contracting Party which ceases to be a Party to either the Vienna Convention or the Paris Convention shall notify the Depositary thereof and of the date of such cessation. On that date such Contracting Party shall have ceased to be a Party to this Convention unless its national law complies with the provisions of the Annex to this Convention and it has so notified the Depositary and provided it with a copy of the provisions of its national law in one of the official languages of the United Nations. Such copy shall be circulated by the Depositary to all other Contracting Parties.

2.Any Contracting Party whose national law ceases to comply with the provisions of the Annex to this Convention and which is not a Party to either the Vienna Convention or the Paris Convention shall notify the Depositary thereof and of the date of such cessation. On that date such Contracting Party shall have ceased to be a Party to this Convention.

3.Any Contracting Party having on its territory a nuclear installation as defined in the Convention on Nuclear Safety which ceases to be Party to that Convention shall notify the depositary thereof and of the date of such cessation. On that date, such Contracting Party shall, notwithstanding paragraphs 1 and 2, have ceased to be a Party to the present Convention.




Article XXIII
Continuance of Prior Rights and Obligations

Notwithstanding denunciation pursuant to Article XXI or cessation pursuant to Article XXII, the provisions of this Convention shall continue to apply to any nuclear damage caused by a nuclear incident which occurs before such denunciation or cessation.




Article XXIV
Revision and Amendments

1.The Depositary, after consultations with the Contracting Parties, may convene a conference for the purpose of revising or amending this Convention.

2.The Depositary shall convene a conference of Contracting Parties for the purpose of revising or amending this Convention at the request of not less than one-third of all Contracting Parties.




Article XXV
Amendment by Simplified Procedure

1.A meeting of the Contracting Parties shall be convened by the Depositary to amend the compensation amounts referred to in Article III.1(a) and (b) or categories of installations including contributions payable for them, referred to in Article IV.3, if one-third of the Contracting Parties express a desire to that effect.

2.Decisions to adopt a proposed amendment shall be taken by vote. Amendments shall be adopted if no negative vote is cast.

3.Any amendment adopted in accordance with paragraph 2 shall be notified by the Depositary to all Contracting Parties. The amendment shall be considered accepted if within a period of 36 months after it has been notified, all Contracting Parties at the time of the adoption of the amendment have communicated their acceptance to the Depositary. The amendment shall enter into force for all Contracting Parties 12 months after its acceptance.

4.If, within a period of 36 months from the date of notification for acceptance the amendment has not been accepted in accordance with paragraph 3, the amendment shall be considered rejected.

5.When an amendment has been adopted in accordance with paragraph 2 but the 36 months period for its acceptance has not yet expired, a State which becomes a Party to this Convention during that period shall be bound by the amendment if it comes into force. A State which becomes a Party to this Convention after that period shall be bound by any amendment which has been accepted in accordance with paragraph 3. In the cases referred to in the present paragraph, a Contracting Party shall be bound by an amendment when that amendment enters into force, or when this Convention enters into force for that Contracting Party, whichever date is the later.




Article XXVI
Functions of the Depositary

In addition to functions in other Articles of this Convention, the Depositary shall promptly notify Contracting Parties and all other States as well as the Secretary-General of the Organization for Economic Co-operation and Development of:

  •each signature of this Convention;

  •each deposit of an instrument of ratification, acceptance, approval or accession concerning this Convention;

  •the entry into force of this Convention;

  •declarations received pursuant to Article XVI;

  •any denunciation received pursuant to Article XXI, or notification received pursuant to Article XXII;

  •any notification under paragraph 2 of Article XIII;

  •other pertinent notifications relating to this Convention.




Article XXVII
Authentic Texts

The original of this Convention, of which Arabic, Chinese, English, French, Russian and Spanish texts are equally authentic, shall be deposited with the Director General of the International Atomic Energy Agency who shall send certified copies thereof to all States.

IN WITNESS WHEREOF, THE UNDERSIGNED, BEING DULY AUTHORIZED THERETO, HAVE SIGNED THIS CONVENTION.

Done at Vienna, this twelfth day of September, one thousand nine hundred ninety-seven.

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ANNEX


A Contracting Party which is not a Party to any of the Conventions mentioned in Article I(a) or (b) of this Convention shall ensure that its national legislation is consistent with the provisions laid down in this Annex insofar as those provisions are not directly applicable within that Contracting Party. A Contracting Party having no nuclear installation on its territory is required to have only that legislation which is necessary to enable such a Party to give effect to its obligations under this Convention.

Article 1
Definitions

1.In addition to the definitions in Article I of this Convention, the following definitions apply for the purposes of this Annex:

  •"Nuclear Fuel" means any material which is capable of producing energy by a self-sustaining chain process of nuclear fission.

  •"Nuclear Installation" means:

    •any nuclear reactor other than one with which a means of sea or air transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or for any other purpose;

    •any factory using nuclear fuel for the production of nuclear material, or any factory for the processing of nuclear material, including any factory for the re-processing of irradiated nuclear fuel; and

    •any facility where nuclear material is stored, other than storage incidental to the carriage of such material;

    provided that the Installation State may determine that several nuclear installations of one operator which are located at the same site shall be considered as a single nuclear installation.

  •"Nuclear material" means:

    •nuclear fuel, other than natural uranium and depleted uranium, capable of producing energy by a self-sustaining chain process of nuclear fission outside a nuclear reactor, either alone or in combination with some other material; and

    •radioactive products or waste.

  •"Operator", in relation to a nuclear installation, means the person designated or recognized by the Installation State as the operator of that installation.

  •"Radioactive products or waste" means any radioactive material produced in, or any material made radioactive by exposure to the radiation incidental to, the production or utilization of nuclear fuel, but does not include radioisotopes which have reached the final stage of fabrication so as to be usable for any scientific, medical, agricultural, commercial or industrial purpose.


2.An Installation State may, if the small extent of the risks involved so warrants, exclude any nuclear installation or small quantities of nuclear material from the application of this Convention, provided that:

  •with respect to nuclear installations, criteria for such exclusion have been established by the Board of Governors of the International Atomic Energy Agency and any exclusion by an Installation State satisfies such criteria; and

  •with respect to small quantities of nuclear material, maximum limits for the exclusion of such quantities have been established by the Board of Governors of the International Atomic Energy Agency and any exclusion by an Installation State is within such established limits.

The criteria for the exclusion of nuclear installations and the maximum limits for the exclusion of small quantities of nuclear material shall be reviewed periodically by the Board of Governors.




Article 2
Conformity of Legislation

1.The national law of a Contracting Party is deemed to be in conformity with the provisions of Articles 3, 4, 5 and 7 if it contained on 1 January 1995 and continues to contain provisions that:

  •provide for strict liability in the event of a nuclear incident where there is substantial nuclear damage off the site of the nuclear installation where the incident occurs;

  •require the indemnification of any person other than the operator liable for nuclear damage to the extent that person is legally liable to provide compensation; and

  •ensure the availability of at least 1000 million SDRs in respect of a civil nuclear power plant and at least 300 million SDRs in respect of other civil nuclear installations for such indemnification.


2.If in accordance with paragraph 1, the national law of a Contracting Party is deemed to be in conformity with the provision of Articles 3, 4, 5 and 7, then that Party:

  •may apply a definition of nuclear damage that covers loss or damage set forth in Article I(f) of this Convention and any other loss or damage to the extent that the loss or damage arises out of or results from the radioactive properties, or a combination of radioactive properties with toxic, explosive or other hazardous properties of nuclear fuel or radioactive products or waste in, or of nuclear material coming from, originating in, or sent to, a nuclear installation; or other ionizing radiation emitted by any source of radiation inside a nuclear installation, provided that such application does not affect the undertaking by that Contracting Party pursuant to Article III of this Convention; and

  •may apply the definition of nuclear installation in paragraph 3 of this Article to the exclusion of the definition in Article 1.1(b) of this Annex.


3.For the purpose of paragraph 2 (b) of this Article, "nuclear installation" means:

  •any civil nuclear reactor other than one with which a means of sea or air transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or any other purpose; and

  •any civil facility for processing, reprocessing or storing:

    •irradiated nuclear fuel; or

    •radioactive products or waste that:

      1.result from the reprocessing of irradiated nuclear fuel and contain significant amounts of fission products; or

      2.contain elements that have an atomic number greater than 92 in concentrations greater than 10 nano-curies per gram.

  •any other civil facility for processing, reprocessing or storing nuclear material unless the Contracting Party determines the small extent of the risks involved with such an installation warrants the exclusion of such a facility from this definition.

4.Where that national law of a Contracting Party which is in compliance with paragraph 1 of this Article does not apply to a nuclear incident which occurs outside the territory of that Contracting Party, but over which the courts of that Contracting Party have jurisdiction pursuant to Article XIII of this Convention, Articles 3 to 11 of the Annex shall apply and prevail over any inconsistent provisions of the applicable national law.




Article 3
Operator Liability

1.The operator of a nuclear installation shall be liable for nuclear damage upon proof that such damage has been caused by a nuclear incident:

  •in that nuclear installation; or

  •involving nuclear material coming from or originating in that nuclear installation, and occurring:

    •before liability with regard to nuclear incidents involving the nuclear material has been assumed, pursuant to the express terms of a contract in writing, by the operator of another nuclear installation;

    •in the absence of such express terms, before the operator of another nuclear installation has taken charge of the nuclear material; or

    •where the nuclear material is intended to be used in a nuclear reactor with which a means of transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or for any other purpose, before the person duly authorized to operate such reactor has taken charge of the nuclear material; but

    •where the nuclear material has been sent to a person within the territory of a non-Contracting State, before it has been unloaded from the means of transport by which it has arrived in the territory of that non-Contracting State;

  •involving nuclear material sent to that nuclear installation, and occurring:

    •after liability with regard to nuclear incidents involving the nuclear material has been assumed by the operator pursuant to the express terms of a contract in writing, from the operator of another nuclear installation;

    •in the absence of such express terms, after the operator has taken charge of the nuclear material; or

    •after the operator has taken charge of the nuclear material from a person operating a nuclear reactor with which a means of transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or for any other purpose; but

    •where the nuclear material has, with the written consent of the operator, been sent from a person within the territory of a non-Contracting State, only after it has been loaded on the means of transport by which it is to be carried from the territory of that State;


  provided that, if nuclear damage is caused by a nuclear incident occurring in a nuclear installation and involving nuclear material stored therein incidentally to the carriage of such material, the provisions of sub-paragraph (a) shall not apply where another operator or person is solely liable pursuant to sub-paragraph (b) or (c).


2.The Installation State may provide by legislation that, in accordance with such terms as may be specified in that legislation, a carrier of nuclear material or a person handling radioactive waste may, at such carrier or such person´s request and with the consent of the operator concerned, be designated or recognized as operator in the place of that operator in respect of such nuclear material or radioactive waste respectively. In this case such carrier or such person shall be considered, for all the purposes of this Convention, as an operator of a nuclear installation situated within the territory of that State.


3.The liability of the operator for nuclear damage shall be absolute.


4.Whenever both nuclear damage and damage other than nuclear damage have been caused by a nuclear incident or jointly by a nuclear incident and one or more other occurrences, such other damage shall, to the extent that it is not reasonably separable from the nuclear damage, be deemed to be nuclear damage caused by that nuclear incident. Where, however, damage is caused jointly by a nuclear incident covered by the provisions of this Annex and by an emission of ionizing radiation not covered by it, nothing in this Annex shall limit or otherwise affect the liability, either as regards any person suffering nuclear damage or by way of recourse or contribution, of any person who may be held liable in connection with that emission of ionizing radiation.


5.
  •No liability shall attach to an operator for nuclear damage caused by a nuclear incident directly due to an act of armed conflict, hostilities, civil war or insurrection.

  •Except insofar as the law of the Installation State may provide to the contrary, the operator shall not be liable for nuclear damage caused by a nuclear incident caused directly due to a grave natural disaster of an exceptional character.


6.National law may relieve an operator wholly or partly from the obligation to pay compensation for nuclear damage suffered by a person if the operator proves the nuclear damage resulted wholly or partly from the gross negligence of that person or an act or omission of that person done with the intent to cause damage.


7.The operator shall not be liable for nuclear damage:

  •to the nuclear installation itself and any other nuclear installation, including a nuclear installation under construction, on the site where that installation is located; and

  •to any property on that same site which is used or to be used in connection with any such installation;

  •unless otherwise provided by national law, to the means of transport upon which the nuclear material involved was at the time of the nuclear incident. If national law provides that the operator is liable for such damage, compensation for that damage shall not have the effect of reducing the liability of the operator in respect of other damage to an amount less than either 150 million SDRs, or any higher amount established by the legislation of a Contracting Party.


8.Nothing in this Convention shall affect the liability outside this Convention of the operator for nuclear damage for which by virtue of paragraph 7(c) he is not liable under this Convention.


9.The right to compensation for nuclear damage may be exercised only against the operator liable, provided that national law may permit a direct right of action against any supplier of funds that are made available pursuant to provisions in national law to ensure compensation through the use of funds from sources other than the operator.


10.The operator shall incur no liability for damage caused by a nuclear incident outside the provisions of national law in accordance with this Convention.




Article 4
Liability Amounts

1.Subject to Article III.1(a)(ii), the liability of the operator may be limited by the Installation State for any one nuclear incident, either:

  •to not less than 300 million SDRs; or

  •to not less then 150 million SDRs provided that in excess of that amount and up to at least 300 million SDRs public funds shall be made available by that State to compensate nuclear damage.

2.Notwithstanding paragraph 1, the Installation State, having regard to the nature of the nuclear installation or the nuclear substances involved and to the likely consequences of an incident originating therefrom, may establish a lower amount of liability of the operator, provided that in no event shall any amount so established be less than 5 million SDRs, and provided that the Installation State ensures that public funds shall be made available up to the amount established pursuant to paragraph 1.

3.The amounts established by the Installation State of the liable operator in accordance with paragraphs 1 and 2, as well as the provisions of any legislation of a Contracting Party pursuant to Article 3.7(c) shall apply wherever the nuclear incident occurs.




Article 5
Financial Security

1.
  •The operator shall be required to have and maintain insurance or other financial security covering his liability for nuclear damage in such amount, of such type and in such terms as the Installation State shall specify. The Installation State shall ensure the payment of claims for compensation for nuclear damage which have been established against the operator by providing the necessary funds to the extent that the yield of insurance or other financial security is inadequate to satisfy such claims, but not in excess of the limit, if any, established pursuant to Article 4. Where the liability of the operator is unlimited, the Installation State may establish a limit of the financial security of the operator liable provided that such limit is not lower than 300 million SDRs. The Installation State shall ensure the payment of claims for compensation for nuclear damage which have been established against the operator to the extent that yield of the financial security is inadequate to satisfy such claims, but not in excess of the amount of the financial security to be provided under this paragraph.

  •Notwithstanding sub-paragraph (a), the Installation State, having regard to the nature of the nuclear installation or the nuclear substances involved and to the likely consequences of an incident originating therefrom, may establish a lower amount of financial security of the operator, provided that in no event shall any amount so established be less than 5 million SDRs, and provided that the Installation State ensures the payment of claims for compensation for nuclear damage which have been established against the operator by providing necessary funds to the extent that the yield of insurance or other financial security is inadequate to satisfy such claims, and up to the limit provided in sub-paragraph (a).

2.Nothing in paragraph 1 shall require a Contracting Party or any of its constituent sub-divisions to maintain insurance or other financial security to cover their liability as operators.

3.The funds provided by insurance, by other financial security or by the Installation State pursuant to paragraph 1 or Article 4.1(b) shall be exclusively available for compensation due under this Annex.

4.No insurer or other financial guarantor shall suspend or cancel the insurance or other financial security provided pursuant to paragraph 1 without giving notice in writing of at least two months to the competent public authority or, in so far as such insurance or other financial security relates to the carriage of nuclear material, during the period of the carriage in question.




Article 6
Carriage

1.With respect to a nuclear incident during carriage, the maximum amount of liability of the operator shall be governed by the national law of the Installation State.

2.A Contracting Party may subject carriage of nuclear material through its territory to the condition that the amount of liability of the operator be increased to an amount not to exceed the maximum amount of liability of the operator of a nuclear installation situated in its territory.

3.The provisions of paragraph 2 shall not apply to:

  •carriage by sea where, under international law, there is a right of entry in cases of urgent distress into ports of a Contracting Party or a right of innocent passage through its territory;

  •carriage by air where, by agreement or under international law, there is a right to fly over or land on the territory of a Contracting Party.




Article 7
Liability of More Than One Operator

1.Where nuclear damage engages the liability of more than one operator, the operators involved shall, in so far as the damage attributable to each operator is not reasonably separable, be jointly and severally liable. The Installation State may limit the amount of public funds made available per incident to the difference, if any, between the amounts hereby established and the amount established pursuant to Article 4.1.

2.Where a nuclear incident occurs in the course of carriage of nuclear material, either in one and the same means of transport, or, in the case of storage incidental to the carriage, in one and the same nuclear installation, and causes nuclear damage which engages the liability of more than one operator, the total liability shall not exceed the highest amount applicable with respect to any one of them pursuant to Article 4.

3.In neither of the cases referred to in paragraphs 1 and 2 shall the liability of any one operator exceed the amount applicable with respect to him pursuant to Article 4.

4.Subject to the provisions of paragraphs 1 to 3, where several nuclear installations of one and the same operator are involved in one nuclear incident, such operator shall be liable in respect of each nuclear installation involved up to the amount applicable with respect to him pursuant to Article 4. The Installation State may limit the amount of public funds made available as provided for in paragraph 1.




Article 8
Compensation Under National Law

1.For purposes of this Convention, the amount of compensation shall be determined without regard to any interest or costs awarded in a proceeding for compensation of nuclear damage.

2.Compensation for damage suffered outside the Installation State shall be provided in a form freely transferable among Contracting Parties.

3.Where provisions of national or public health insurance, social insurance, social security, workmen's compensation or occupational disease compensation systems include compensation for nuclear damage, rights of beneficiaries of such systems and rights of recourse by virtue of such systems shall be determined by the national law of the Contracting Party in which such systems have been established or by the regulations of the intergovernmental organization which has established such systems.




Article 9
Period of Extinction

1.Rights of compensation under this Convention shall be extinguished if an action is not brought within ten years from the date of the nuclear incident. If, however, under the law of the Installation State the liability of the operator is covered by insurance or other financial security or by State funds for a period longer than ten years, the law of the competent court may provide that rights of compensation against the operator shall only be extinguished after a period which may be longer than ten years, but shall not be longer than the period for which his liability is so covered under the law of the Installation State.

2.Where nuclear damage is caused by a nuclear incident involving nuclear material which at the time of the nuclear incident was stolen, lost, jettisoned or abandoned, the period established pursuant to paragraph 1 shall be computed from the date of that nuclear incident, but the period shall in no case, subject to legislation pursuant to paragraph 1, exceed a period of twenty years from the date of the theft, loss, jettison or abandonment.

3.The law of the competent court may establish a period of extinction or prescription of not less than three years from the date on which the person suffering nuclear damage had knowledge or should have had knowledge of the damage and of the operator liable for the damage, provided that the period established pursuant to paragraphs 1 and 2 shall not be exceeded.

4.If the national law of a Contracting Party provides for a period of extinction or prescription greater than ten years from the date of a nuclear incident, it shall contain provisions for the equitable and timely satisfaction of claims for loss of life or personal injury filed within ten years from the date of the nuclear incident.




Article 10
Right of Recourse

National law may provide that the operator shall have a right of recourse only:

  •if this is expressly provided for by a contract in writing; or

  •if the nuclear incident results from an act or omission done with intent to cause damage, against the individual who has acted or omitted to act with such intent.




Article 11
Applicable Law

Subject to the provisions of this Convention, the nature, form, extent and equitable distribution of compensation for nuclear damage caused by a nuclear incident shall be governed by the law of the competent court.



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・ウィーン条約(原子力損害の民事責任に関するウィーン条約)(VC)

・ウィーン条約(原子力損害の民事責任に関するウィーン条約)(VC)

http://www.iaea.org/Publications/Documents/Infcircs/1996/inf500.shtml
http://www.iaea.org/Publications/Documents/Infcircs/1996/infcirc500.pdf

International Atomic Energy Agency
Information Circular
(Unofficial electronic edition) INFCIRC/500
20 March 1996
GENERAL Distr.
Original: ENGLISH, FRENCH,
RUSSIAN and SPANISH


--------------------------------------------------------------------------------

VIENNA CONVENTION
ON CIVIL LIABILITY FOR NUCLEAR DAMAGE

1. The Vienna Convention on Civil Liability for Nuclear Damage was adopted on 21 May 1963 and was opened for signature on the same day. It entered into force on 12 November 1977, i.e. three months after the date of deposit with the Director General of the fifth instrument of ratification, in accordance with Article XXIII.

2. In view of the demand for copies of the Convention, its text is being issued as an INFCIRC document in all authentic languages, i.e. English, French, Russian and Spanish.


------------------------------------------------------------------------------------

VIENNA CONVENTION
ON CIVIL LIABILITY FOR NUCLEAR DAMAGE
THE CONTRACTING PARTIES,
HAVING RECOGNIZED the desirability of establishing some minimum standards to provide financial protection against damage resulting from certain peaceful uses of nuclear energy,
BELIEVING that a convention on civil liability for nuclear damage would also contribute to the development of friendly relations among nations, irrespective of their differing constitutional and social systems,
HAVE DECIDED to conclude a convention for such purposes, and thereto have agreed as follows -


ARTICLE I
1. For the purposes of this Convention -
(a) "Person" means any individual, partnership, any private or public body whether corporate or not, any international organization enjoying legal personality under the law of the Installation State, and any State or any of its constituent sub-divisions.
(b) "National of a Contracting Party" includes a Contracting Party or any of its constituent sub-divisions, a partnership, or any private or public body whether corporate or not established within the territory of a Contracting Party.
(c) "Operator", in relation to a nuclear installation, means the person designated or recognized by the Installation State as the operator of that installation.
(d) "Installation State", in relation to a nuclear installation, means the Contracting Party within whose territory that installation is situated or, if it is not situated within the territory of any State, the Contracting Party by which or under the authority of which the nuclear installation is operated.
(e) "Law of the competent court" means the law of the court having jurisdiction under this Convention, including any rules of such law relating to conflict of laws.
(f) "Nuclear fuel" means any material which is capable of producing energy by a self-sustaining chain process of nuclear fission.
(g) "Radioactive products or waste" means any radioactive material produced in, or any material made radioactive by exposure to the radiation incidental to, the production or utilization of nuclear fuel, but does not include radioisotopes which have reached the final stage of fabrication so as to be usable for any scientific, medical, agricultural, commercial or industrial purpose.
(h) "Nuclear material" means -
(i) nuclear fuel, other than natural uranium and depleted uranium, capable of producing energy by a self-sustaining chain process of nuclear fission outside a nuclear reactor, either alone or in combination with some other material; and
(ii) radioactive products or waste.
(i) "Nuclear reactor" means any structure containing nuclear fuel in such an arrangement that a self-sustaining chain process of nuclear fission can occur therein without an additional source of neutrons.
(j) "Nuclear installation" means -
(i) any nuclear reactor other than one with which a means of sea or air transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or for any other purpose;
(ii) any factory using nuclear fuel for the production of nuclear material,or any factory for the processing of nuclear material, including any factory for the re-processing of irradiated nuclear fuel; and
(iii) any facility where nuclear material is stored, other than storage incidental to the carriage of such material; provided that the Installation State may determine that several nuclear installations of one operator which are located at the same site shall be considered as a single nuclear installation.
(k) "Nuclear damage" means -
(i) loss of life, any personal injury or any loss of, or damage to, property which arises out of or results from the radioactive properties or a combination of radioactive properties with toxic, explosive or other hazardous properties of nuclear fuel or radioactive products or waste in, or of nuclear material coming from, originating in, or sent to, a nuclear installation;
(ii) any other loss or damage so arising or resulting if and to the extent that the law of the competent court so provides; and
(iii) if the law of the Installation State so provides, loss of life, any personal injury or any loss of, or damage to, property which arises out of or results from other ionizing radiation emitted by any other source of radiation inside a nuclear installation.
(1) "Nuclear incident" means any occurrence or series of occurrences having the same origin which causes nuclear damage.

2. An Installation State may, if the small extent of the risks involved so warrants, exclude any small quantities of nuclear material from the application of this Convention, provided that -
(a) maximum limits for the exclusion of such quantities have been established by the Board of Governors of the International Atomic Energy Agency; and
(b) any exclusion by an Installation State is within such established limits. The maximum limits shall be reviewed periodically by the Board of Governors.



ARTICLE II

1. The operator of a nuclear installation shall be liable for nuclear damage upon proof that such damage has been caused by a nuclear incident -
(a) in his nuclear installation; or
(b) involving nuclear material coming from or originating in his nuclear installation, and occurring -
(i) before liability with regard to nuclear incidents involving the nuclear material has been assumed, pursuant to the express terms of a contract in writing, by the operator of another nuclear installation;
(ii) in the absence of such express terms, before the operator of another nuclear installation has taken charge of the nuclear material; or
(iii) where the nuclear material is intended to be used in a nuclear reactor with which a means of transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or for any other purpose, before the person duly authorized to operate such reactor has taken charge of
the nuclear material; but
(iv) where the nuclear material has been sent to a person within the territory of a non-Contracting State, before it has been unloaded from the means of transport by which it has arrived in the territory of that non-Contracting State;
(c) involving nuclear material sent to his nuclear installation, and occurring -
(i) after liability with regard to nuclear incidents involving the nuclear material has been assumed by him, pursuant to the express terms of a contract in writing, from the operator of another nuclear installation;
(ii) in the absence of such express terms, after he has taken charge of the nuclear material; or
(iii) after he has taken charge of the nuclear material from a person operating a nuclear reactor with which a means of transport is equipped for use as a source of power, whether for propulsion thereof or for any other purpose; but
(iv) where the nuclear material has, with the written consent of the operator, been sent from a person within the territory of a non-Contracting State, only after it has been loaded on the means of transport by which it is to be carried from the territory of that State; provided that, if nuclear damage is caused by a nuclear incident occurring in a nuclear installation and involving nuclear material stored therein incidentally to the carriage of such material, the provisions of sub-paragraph (a) of this paragraph shall not apply where another operator or person is solely liable pursuant to the provisions of sub-paragraph (b) or (c) of this paragraph.

2. The Installation State may provide by legislation that, in accordance with such terms as may be specified therein, a carrier of nuclear material or a person handling radioactive waste may, at his request and with the consent of the operator concerned, be designated or recognized as operator in the place of that operator in respect of such nuclear material or radioactive waste respectively. In this case such carrier or such person shall be considered, for all the purposes of this Convention, as an operator of a nuclear installation situated within the territory of that State.

3.
(a) Where nuclear damage engages the liability of more than one operator, the operators involved shall, in so far as the damage attributable to each operator is not reasonably separable, be jointly and severally liable.
(b) Where a nuclear incident occurs in the course of carriage of nuclear material, either in one and the same means of transport, or, in the case of storage incidental to the carriage, in one and the same nuclear installation, and causes nuclear damage which engages the liability of more than one operator, the total liability shall not exceed the highest amount applicable with respect to any one of them pursuant to Article V.
(с) In neither of the cases referred to in sub-paragraphs (a) and (b) of this paragraph shall the liability of any one operator exceed the amount applicable with respect to him pursuant to Article V.
4. Subject to the provisions of paragraph 3 of this Article, where several nuclear installations of one and the same operator are involved in one nuclear incident, such operator shall be liable in respect of each nuclear installation involved up to the amount applicable with respect to him pursuant to Article V.
5. Except as otherwise provided in this Convention, no person other than the operator shall be liable for nuclear damage. This, however, shall not affect the application of any international convention in the field of transport in force or open for signature, ratification or accession at the date on which this Convention is opened for signature.
6. No person shall be liable for any loss or damage which is not nuclear damage pursuant to sub-paragraph (k) of paragraph 1 of Article I but which could have been included as such pursuant to sub-paragraph (k) (ii) of that paragraph.
7. Direct action shall lie against the person furnishing financial security pursuant to Article VII, if the law of the competent court so provides.



ARTICLE III

The operator liable in accordance with this Convention shall provide the carrier with a certificate issued by or on behalf of the insurer or other financial guarantor furnishing the financial security required pursuant to Article VII. The certificate shall state the name and address of that operator and the amount, type and duration of the security, and these statements may not be disputed by the person by whom or on whose behalf the certificate was issued. The certificate shall also indicate the nuclear material in respect of which the security applies and shall include a statement by the competent public authority of the Installation State that the person named is an operator within the meaning of this Convention.



ARTICLE IV

1. The liability of the operator for nuclear damage under this Convention shall be absolute.

2. If the operator proves that the nuclear damage resulted wholly or partly either from the gross negligence of the person suffering the damage or from an act or omission of such person done with intent to cause damage, the competent court may, if its law so provides,relieve the operator wholly or partly from his obligation to pay compensation in respect of the damage suffered by such person.

3.
(a) No liability under this Convention shall attach to an operator for nuclear damage caused by a nuclear incident directly due to an act of armed conflict, hostilities, civil war or insurrection.
(b) Except in so far as the law of the Installation State may provide io the contrary, the operator shall not be liable for nuclear damage caused by a nuclear incident directly due to a grave natural disaster of an exceptional character.

4. Whenever both nuclear damage and damage other than nuclear damage have been caused by a nuclear incident or jointly by a nuclear incident and one or more other occurrences, such other damage shall, to the extent that it is not reasonably separable from the nuclear damage, be deemed, for the purposes of this Convention, to be nuclear damage caused by that nuclear incident. Where, however, damage is caused jointly by a nuclear incident covered by this Convention and by an emission of ionizing radiation not covered by it, nothing in this Convention shall limit or otherwise affect the liability, either as regards any person suffering nuclear damage or by way of recourse or contribution, of any person who may be held liable in connection with that emission of ionizing radiation.

5. The operator shall not be liable under this Convention for nuclear damage -
(a) to the nuclear installation itself or to any property on the site of that installation which is used or to be used in connection with that installation; or
(b) to the means of transport upon which the nuclear material involved was at the time of the nuclear incident.

6. Any Installation State may provide by legislation that sub-paragraph (b) of paragraph 5 of this Article shall not apply, provided that in no case shall the liability of the operator in respect of nuclear damage, other than nuclear damage to the means of transport, be reduced to less than US $5 million for any one nuclear incident.

7. Nothing in this Convention shall affect -

(a) the liability of any individual for nuclear damage for which the operator, by virtue of paragraph 3 or 5 of this Article, is not liable under this Convention and which that individual caused by an act or omission done with intent to cause damage; or
(b) the liability outside this Convention of the operator for nuclear damage for which, by virtue of sub-paragraph (b) of paragraph 5 of this Article, he is not liable under this Convention.



ARTICLE V
1. The liability of the operator may be limited by the Installation State to not less than US $5 million for any one nuclear incident.

2. Any limits of liability which may be established pursuant to this Article shall not include any interest or costs awarded by a court in actions for compensation of nuclear damage.

3. The United States dollar referred to in this Convention is a unit of account equivalent to the value of the United States dollai in terms of gold on 29 April 1963, that is to say US $35 per one troy ounce of fine gold.

4. The sum mentioned in paragraph 6 of Article IV and in paragraph 1 of this Article may be converted into national currency in round figures.



ARTICLE VI

1. Rights of compensation under this Convention shall be extinguished if an action is not brought within ten years from the date of the nuclear incident. If, however, under the law of the Installation State the liability of the operator is covered by insurance or other financial security or by State funds for a period longer than ten years, the law of the competent court may provide that rights of compensation against the operator shall only be extinguished after a period which may be longer than ten years, but shall not be longer than the period for which his liability is so covered under the law of the Installation State. Such extension of the extinction period shall in no case affect rights of compensation under this Convention of any person who has brought an action for loss of life or personal injury against the operator before the expiry of the aforesaid period of ten years.

2. Where nuclear damage is caused by a nuclear incident involving nuclear material which at the time of the nuclear incident was stolen, lost, jettisoned or abandoned, the period established pursuant to paragraph 1 of this Article shall be computed from the date of that nuclear incident, but the period shall in no case exceed a period of twenty years from the date of the theft, loss, jettison or abandonment.

3. The law of the competent court may establish a period of extinction or prescription of not less than three years from the date on which the person suffering nuclear damage had knowledge or should have had knowledge of the damage and of the operator liable for the damage, provided that the period established pursuant to paragraphs 1 and 2 of this Article shall not be exceeded.

4. Unless the law of the competent court otherwise provides, any person who claims to have suffered nuclear damage and who has brought an action for compensation within the period applicable pursuant to this Article may amend his claim to take into account any aggravation of the damage, even after the expiry of that period, provided that final judgment has not been entered.

5. Where jurisdiction is to be determined pursuant to sub-paragraph (b) of paragraph 3 of Article XI and a request has been made within the period applicable pursuant to this Article to any one of the Contracting Parties empowered so to determine, but the time remaining after such determination is less than six months, the period within which an action may be brought shall be six months, reckoned from the date of such determination.



ARTICLE VII

1. The operator shall be required to maintain insurance or other financial security covering his liability for nuclear damage in such amount, of such type and in such terms as the Installation State shall specify. The Installation State shall ensure the payment of claims for compensation for nuclear damage which have been established against the operator by providing the necessary funds to the extent that the yield of insurance or other financial security is inadequate to satisfy such claims, but not in excess of the limit, if any, established pursuant to Article V.

2. Nothing in paragraph 1 of this Article shall require a Contracting Party or any of its constituent sub-divisions, such as States or Republics, to maintain insurance or other financial security to cover their liability as operators.

3. The funds provided by insurance, by other financial security or by the Installation State pursuant to paragraph 1 of this Article shall be exclusively available for compensation due under this Convention.

4. No insurer or other financial guarantor shall suspend or cancel the insurance or other financial security provided pursuant to paragraph 1 of this Article without giving notice in writing of at least two months to the competent public authority or, in so far as such insurance or other financial security relates to the carriage of nuclear material, during the period of the carriage in question.



ARTICLE VIII

Subject to the provisions of this Convention, the nature, form and extent of the compensation, as well as the equitable distribution thereof, shall be governed by the law of the competent court.



ARTICLE IX
1. Where provisions of national or public health insurance, social insurance, social security, workmen's compensation or occupational disease compensation systems include compensation for nuclear damage, rights of beneficiaries of such systems to obtain compensation under this Convention and rights of recourse by virtue of such systems against the operator liable shall be determined, subject to the provisions of this Convention, by the law of the Contracting Party in which such systems have been established, or by the regulations of the intergovernmental organization which has established such systems.

2.
(a) If a person who is a national of a Contracting Party, other than the operator, has paid compensation for nuclear damage under an international convention or under the law of a non-Contracting State, such person shall, up to the amount which he has paid, acquire by subrogation the rights under this Convention of the person so compensated. No rights shall be so acquired by any person to the extent that the operator has a right of recourse against such
person under this Convention.
(b) Nothing in this Convention shall preclude an operator who has paid compensation for nuclear damage out of funds other than those provided pursuant to paragraph 1 of Article VII from recovering from the person providing financial security pursuant to that paragraph or from the Installation State, up to the amount he has paid, the sum which the person so compensated would have obtained under this Convention.



ARTICLE X

The operator shall have a right of recourse only -
(a) if this is expressly provided for by a contract in writing; or
(b) if the nuclear incident results from an act or omission done with intent to cause damage, against the individual who has acted or omitted to act with such intent.



ARTICLE XI

1. Except as otherwise provided in this Article, jurisdiction over actions under Article II shall lie only with the courts of the Contracting Party within whose territory the nuclear incident occurred.

2. Where the nuclear incident occurred outside the territory of any Contracting Party, or where the place of the nuclear incident cannot be determined with certainty, jurisdiction over such actions shall lie with the courts of the Installation State of the operator liable.

3. Where under paragraph 1 or 2 of this Article, jurisdiction would lie with the courts of more than one Contracting Party, jurisdiction shall lie -
(a) if the nuclear incident occurred partly outside the territory of any Contracting Party, and partly within the territory of a single Contracting Party, with the courts of the latter; and
(b) in any other case, with the courts of that Contracting Party which is determined by agreement between the Contracting Parties whose courts would be competent under paragraph 1 or 2 of this Article.



ARTICLE XII

1. A final judgment entered by a court having jurisdiction under Article XI shall be recognized within the territory of any other Contracting Party, except -
(a) where the judgment was obtained by fraud;
(b) where the party against whom the judgment was pronounced was not given a fair opportunity to present his case; or
(c) where the judgment is contrary to the public policy of the Contracting Party within the territory of which recognition is sought, or is not in accord with fundamental standards of justice.

2. A final judgment which is recognized shall, upon being presented for enforcement in accordance with the formalities required by the law of the Contracting Party where enforcement is sought, be enforceable as if it were a judgment of a court of that Contracting Party.

3. The merits of a claim on which the judgment has been given shall not be subject to further proceedings.



ARTICLE XIII

This Convention and the national law applicable thereunder shall be applied without any discrimination based upon nationality., domicile or residence.



ARTICLE XIV

Except in respect of measures of execution, jurisdictional immunities under rules of national or international law shall not be invoked in actions under this Convention before the courts competent pursuant to Article XI.



ARTICLE XV

The Contracting Parties shall take appropriate measures to ensure that compensation for nuclear damage, interest and costs awarded by a court in connection therewith, insurance and reinsurance premiums and funds provided by insurance, reinsurance or other financial security, or funds provided by the Installation State, pursuant to this Convention, shall be freely transferable into the currency of the Contracting Party within whose territory the damage is suffered, and of the Contracting Party within whose territory the claimant is habitually resident, and, as regards insurance or reinsurance premiums and payments, into the currencies specified in the insurance or reinsurance contract.



ARTICLE XVI

No person shall be entitled to recover compensation under this Convention to the extent that he has recovered compensation in respect of the same nuclear damage under another international convention on civil liability in the field of nuclear energy.



ARTICLE XVII

This Convention shall not, as between the parties to them, affect the application of any international agreements or international conventions on civil liability in the field of nuclear energy in force, or open for signature, ratification or accession at the date on which this Convention is opened for signature.



ARTICLE XVIII

This Convention shall not be construed as affecting the rights, if any, of a Contracting Party under the general rules of public international law in respect of nuclear damage.



ARTICLE XIX

1. Any Contracting Party entering into an agreement pursuant to subparagraph (b) of paragraph 3 of Article XI shall furnish without delay to the Director General of the International Atomic Energy Agency for information and dissemination to the other Contracting Parties a copy of such agreement.

2. The Contracting Parties shall furnish to the Director General for information and dissemination to the other Contracting Parties copies of their respective laws and regulations relating to matters covered by this Convention.



ARTICLE XX

Notwithstanding the termination of the application of this Convention to any Contracting Party, either by termination pursuant to Article XXV or by denunciation pursuant to Article XXVI, the provisions of this Convention shall continue to apply to any nuclear damage caused by a nuclear incident occurring before such termination.



ARTICLE XXI

This Convention shall be open for signature by the States represented at the International Conference on Civil Liability for Nuclear Damage held in Vienna from 29 April to 19 May 1963.



ARTICLE XXII

This Convention shall be ratified, and the instruments of ratification shall be deposited with the Director General of the International Atomic Energy Agency.



ARTICLE XXIII

This Convention shall come into force three months after the deposit of the fifth instrument of ratification, and, in respect of each State ratifying it thereafter, three months after the deposit of the instrument of ratification by that State.



ARTICLE XXIV

1. All States Members of the United Nations, or of any of the specialized agencies or of the International Atomic Energy Agency not represented at the International Conference on Civil Liability for Nuclear Damage held in Vienna from 29 April to 19 May 1963, May accede to this Convention.

2. The instruments of accession shall be deposited with the Director General of the International Atomic Energy Agency.

3. This Convention shall come into force in respect of the acceding State three months after the date of deposit of the instrument of accession of that State but not before the date of the entry into force of this Convention pursuant to Article XXIII.



ARTICLE XXV

1. This Convention shall remain in force for a period of ten years from the date of its entry into force. Any Contracting Party may, by giving before the end of that period at least twelve months' notice to that effect to the Director General of the International Atomic Energy Agency, terminate the application of this Convention to itself at the end of that period of ten years.

2. This Convention shall, after that period of ten years, remain in force for a further period of five years for such Contracting Parties as have not terminated its application pursuant to paragraph 1 of this Article, and thereafter for successive periods of five years each for those Contracting Parties which have not terminated its application at the end of one of such periods, by giving, before the end of one of such periods, at least twelve months' notice to that effect to the Director General of the International Atomic Energy Agency.



ARTICLE XXVI

1. A conference shall be convened by the Director General of the International Atomic Energy Agency at any time after the expiry of a period of five years from the date of the entry into force of this Convention in order to consider the revision thereof, if one-third of the Contracting Parties express a desire to that effect.

2. Any Contracting Party may denounce this Convention by notification to the Director General of the International Atomic Energy Agency within a period of twelve months following the first revision conference held pursuant to paragraph 1 of this Article.

3. Denunciation shall take effect one year after the date on which notification to that effect has been received by the Director General of the International Atomic Energy Agency.



ARTICLE XXVII

The Director General of the International Atomic Energy Agency shall notify the States invited to the International Conference on Civil Liability for Nuclear Damage held in Vienna from 29 April to 19 May 1963 and the States which have acceded to this Convention of the following -
(a) signatures and instruments of ratification and accession received pursuant to Articles XXI, XXII and XXIV;
(b) the date on which this Convention will come into force pursuant to Article XXIII;
(c) notifications of termination and denunciation received pursuant to Articles XXV and XXVI;
(d) requests for the convening of a revision conference pursuant to Article XXVI.



ARTICLE XXVIII

This Convention shall be registered by the Director General of the International Atomic Energy Agency in accordance with Article 102 of the Charter of the United Nations.



ARTICLE XXIX

The original of this Convention, of which the English, French, Russian and Spanish texts are equally authentic, shall be deposited with the Director General of the International Atomic Energy Agency, who shall issue certified copies.




IN WITNESS WHEREOF, the undersigned Plenipotentiaries, duly authorized thereto,have signed this Convention.

DONE in Vienna, this twenty-first day of May, one thousand nine hundred and sixty-three.



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・パリ条約(原子力の分野における第三者責任に関するパリ条約)

・パリ条約(原子力の分野における第三者責任に関するパリ条約)

http://www.nea.fr/html/law/nlparis_conv.html

Convention on Third Party Liability in the Field of Nuclear Energy of 29th July 1960, as amended by the Additional Protocol of 28th January 1964 and by the Protocol of 16th November 1982

The GOVERNMENTS of the Federal Republic of Germany, the Republic of Austria, the Kingdom of Belgium, the Kingdom of Denmark, the Kingdom of Spain, the Republic of Finland, the French Republic, the Hellenic Republic, the Italian Republic, the Grand Duchy of Luxembourg, the Kingdom of Norway, the Kingdom of the Netherlands, the Portuguese Republic, the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland, the Kingdom of Sweden, the Swiss Confederation and the Turkish Republic¹ ;

CONSIDERING that the OECD Nuclear Energy Agency, established within the framework of the Organisation for Economic Co-operation and Development (hereinafter referred to as the "Organisation")², is charged with encouraging the elaboration and harmonization of legislation relating to nuclear energy in participating countries, in particular with regard to third party liability and insurance against atomic risks;

DESIROUS of ensuring adequate and equitable compensation for persons who suffer damage caused by nuclear incidents whilst taking the necessary steps to ensure that the development of the production and uses of nuclear energy for peaceful purposes is not thereby hindered;

CONVINCED of the need for unifying the basic rules applying in the various countries to the liability incurred for such damage, whilst leaving these countries free to take, on a national basis, any additional measures which they deem appropriate;

HAVE AGREED as follows:


Article 1

1.For the purposes of this Convention:

 1."A nuclear incident" means any occurrence or succession of occurrences having the same origin which causes damage, provided that such occurrence or succession of occurrences, or any of the damage caused, arises out of or results either from the radioactive properties, or a combination of radioactive properties with toxic, explosive, or other hazardous properties of nuclear fuel or radioactive products or waste or with any of them, or from ionizing radiations emitted by any source of radiation inside a nuclear installation.

 2."Nuclear installation" means reactors other than those comprised in any means of transport; factories for the manufacture or processing of nuclear substances; factories for the separation of isotopes of nuclear fuel; factories for the reprocessing of irradiated nuclear fuel; facilities for the storage of nuclear substances other than storage incidental to the carriage of such substances; and such other installations in which there are nuclear fuel or radioactive products or waste as the Steering Committee for Nuclear Energy of the Organisation (hereinafter referred to as the "Steering Committee") shall from time to time determine; any Contracting Party may determine that two or more nuclear installations of one operator which are located on the same site shall, together with any other premises on that site where radioactive material is held, be treated as a single nuclear installation.

 3."Nuclear fuel" means fissionable material in the form of uranium metal, alloy, or chemical compound (including natural uranium), plutonium metal, alloy, or chemical compound, and such other fissionable material as the Steering Committee shall from time to time determine.

 4."Radioactive products or waste" means any radioactive material produced in or made radioactive by exposure to the radiation incidental to the process of producing or utilizing nuclear fuel, but does not include (1) nuclear fuel, or (2) radioisotopes outside a nuclear installation which have reached the final stage of fabrication so as to be usable for any industrial, commercial, agricultural, medical, scientific or educational purpose.

 5."Nuclear substances" means nuclear fuel (other than natural uranium and other than depleted uranium) and radioactive products or waste.

 6."Operator" in relation to a nuclear installation means the person designated or recognised by the competent public authority as the operator of that installation.


2.The Steering Committee may, if in its view the small extent of the risks involved so warrants, exclude any nuclear installation, nuclear fuel, or nuclear substances from the application of this Convention.



Article 2

This Convention does not apply to nuclear incidents occurring in the territory of non-Contracting States or to damage suffered in such territory, unless otherwise provided by the legislation of the Contracting Party in whose territory the nuclear installation of the operator liable is situated, and except in regard to rights referred to in Article 6(e).



Article 3

1.The operator of a nuclear installation shall be liable, in accordance with this Convention, for:

 1.damage to or loss of life of any person; and

 2.damage to or loss of any property other than

  1.the nuclear installation itself and any other nuclear installation, including a nuclear installation under construction, on the site where that installation is located; and

  2.any property on that same site which is used or to be used in connection with any such installation,

upon proof that such damage or loss (hereinafter referred to as "damage") was caused by a nuclear incident in such installation or involving nuclear substances coming from such installation, except as otherwise provided for in Article 4.


2.Where the damage or loss is caused jointly by a nuclear incident and by an incident other than a nuclear incident, that part of the damage or loss which is caused by such other incident, shall, to the extent that it is not reasonably separable from the damage or loss caused by the nuclear incident, be considered to be damage caused by the nuclear incident. Where the damage or loss is caused jointly by a nuclear incident and by an emission of ionizing radiation not covered by this Convention, nothing in this Convention shall limit or otherwise affect the liability of any person in connection with that emission of ionizing radiation.



Article 4

In the case of carriage of nuclear substances, including storage incidental thereto, without prejudice to Article 2:

1.The operator of a nuclear installation shall be liable, in accordance with this Convention, for damage upon proof that it was caused by a nuclear incident outside that installation and involving nuclear substances in the course of carriage therefrom, only if the incident occurs:

 1.before liability with regard to nuclear incidents involving the nuclear substances has been assumed, pursuant to the express terms of a contract in writing, by the operator of another nuclear installation;

 2.in the absence of such express terms, before the operator of another nuclear installation has taken charge of the nuclear substances; or

 3.where the nuclear substances are intended to be used in a reactor comprised in a means of transport, before the person duly authorized to operate that reactor has taken charge of the nuclear substances; but

 4.where the nuclear substances have been sent to a person within the territory of a non-Contracting State, before they have been unloaded from the means of transport by which they have arrived in the territory of that non-Contracting State.


2.The operator of a nuclear installation shall be liable, in accordance with this Convention, for damage upon proof that it was caused by a nuclear incident outside that installation and involving nuclear substances in the course of carriage thereto, only if the incident occurs:

 1.after liability with regard to nuclear incidents involving the nuclear substances has been assumed by him, pursuant to the express terms of a contract in writing, from the operator of another nuclear installation;

 2.in the absence of such express terms, after he has taken charge of the nuclear substances; or

 3.after he has taken charge of the nuclear substances from a person operating a reactor comprised in a means of transport; but

 4.where the nuclear substances have, with the written consent of the operator, been sent from a person within the territory of a non-Contracting State, after they have been loaded on the means of transport by which they are to be carried from the territory of that State.


3.The operator liable in accordance with this Convention shall provide the carrier with a certificate issued by or on behalf of the insurer or other financial guarantor furnishing the security required pursuant to Article 10. However, a Contracting Party may exclude this obligation in relation to carriage which takes place wholly within its own territory. The certificate shall state the name and address of that operator and the amount, type and duration of the security, and these statements may not be disputed by the person by whom or on whose behalf the certificate was issued. The certificate shall also indicate the nuclear substances and the carriage in respect of which the security applies and shall include a statement by the competent public authority that the person named is an operator within the meaning of this Convention.


4.A Contracting Party may provide by legislation that, under such terms as may be contained therein and upon fulfilment of the requirements of Article 10(a), a carrier may, at his request and with the consent of an operator of a nuclear installation situated in its territory, by decision of the competent public authority, be liable in accordance with this Convention in place of that operator. In such case for all the purposes of this Convention the carrier shall be considered, in respect of nuclear incidents occurring in the course of carriage of nuclear substances, as an operator of a nuclear installation on the territory of the Contracting Party whose legislation so provides.




Article 5

1.If the nuclear fuel or radioactive products or waste involved in a nuclear incident have been in more than one nuclear installation and are in a nuclear installation at the time damage is caused, no operator of any nuclear installation in which they have previously been shall be liable for the damage.


2.Where, however, damage is caused by a nuclear incident occurring in a nuclear installation and involving only nuclear substances stored therein incidentally to their carriage, the operator of the nuclear installation shall not be liable where another operator or person is liable pursuant to Article 4.


3.If the nuclear fuel or radioactive products or waste involved in a nuclear incident have been in more than one nuclear installation and are not in a nuclear installation at the time damage is caused, no operator other than the operator of the last nuclear installation in which they were before the damage was caused or an operator who has subsequently taken them in charge, or has assumed liability therefor pursuant to the express terms of a contract in writing shall be liable for the damage.


4.If damage gives rise to liability of more than one operator in accordance with this Convention, the liability of these operators shall be joint and several: provided that where such liability arises as a result of damage caused by a nuclear incident involving nuclear substances in the course of carriage in one and the same means of transport, or, in the case of storage incidental to the carriage, in one and the same nuclear installation, the maximum total amount for which such operators shall be liable shall be the highest amount established with respect to any of them pursuant to Article 7 and provided that in no case shall any one operator be required, in respect of a nuclear incident, to pay more than the amount established with respect to him pursuant to Article 7.




Article 6

1.The right to compensation for damage caused by a nuclear incident may be exercised only against an operator liable for the damage in accordance with this Convention, or, if a direct right of action against the insurer or other financial guarantor furnishing the security required pursuant to Article 10 is given by national law, against the insurer or other financial guarantor.


2.Except as otherwise provided in this Article, no other person shall be liable for damage caused by a nuclear incident, but this provision shall not affect the application of any international agreement in the field of transport in force or open for signature, ratification or accession at the date of this Convention.


3.
 1.Nothing in this Convention shall affect the liability:

  1.of any individual for damage caused by a nuclear incident for which the operator, by virtue of Article 3(a)(ii)(1) and (2) or Article 9, is not liable under this Convention and which results from an act or omission of that individual done with intent to cause damage;

  2.of a person duly authorized to operate a reactor comprised in a means of transport for damage caused by a nuclear incident when an operator is not liable for such damage pursuant to Article 4(a)(iii) or (b)(iii).

 2.The operator shall incur no liability outside this Convention for damage caused by a nuclear incident.


4.Any person who has paid compensation in respect of damage caused by a nuclear incident under any international agreement referred to in paragraph (b) of this Article or under any legislation of a non-Contracting State shall, up to the amount which he has paid, acquire by subrogation the rights under this Convention of the person suffering damage whom he has so compensated.


5.Any person who has his principal place of business in the territory of a Contracting Party or who is the servant of such a person and who has paid compensation in respect of damage caused by a nuclear incident occurring in the territory of a non-Contracting State or in respect of damage suffered in such territory shall, up to the amount which he has paid, acquire the rights which the person so compensated would have had against the operator but for the provisions of Article 2.


6.The operator shall have a right of recourse only:

 1.if the damage caused by a nuclear incident results from an act or omission done with intent to cause damage, against the individual acting or omitting to act with such intent;

 2.if and to the extent that it is so provided expressly by contract.


7.If the operator has a right of recourse to any extent pursuant to paragraph (f) of this Article against any person, that person shall not, to that extent, have a right against the operator under paragraphs (d) or (e) of this Article.


8.Where provisions of national or public health insurance, social security, workmen's compensation or occupational disease compensation systems include compensation for damage caused by a nuclear incident, rights of beneficiaries of such systems and rights of recourse by virtue of such systems shall be determined by the law of the Contracting Party or by the regulations of the inter-Governmental organisation which has established such systems.




Article 7

1.The aggregate of compensation required to be paid in respect of damage caused by a nuclear incident shall not exceed the maximum liability established in accordance with this Article.


2.The maximum liability of the operator in respect of damage caused by a nuclear incident shall be 15 000 000 Special Drawing Rights as defined by the International Monetary Fund and used by it for its own operations and transactions (hereinafter referred to as "Special Drawing Rights"). However,

 1.any Contracting Party, taking into account the possibilities for the operator of obtaining the insurance or other financial security required pursuant to Article 10, may establish by legislation a greater or lesser amount;

 2.any Contracting Party, having regard to the nature of the nuclear installation or the nuclear substances involved and to the likely consequences of an incident originating therefrom, may establish a lower amount,

provided that in no event shall any amounts so established be less than 5 000 000 Special Drawing Rights. The sums mentioned above may be converted into national currency in round figures.


3.Compensation for damage caused to the means of transport on which the nuclear substances involved were at the time of the nuclear incident shall not have the effect of reducing the liability of the operator in respect of other damage to an amount less than either 5 000 000 Special Drawing Rights, or any higher amount established by the legislation of a Contracting Party.


4.The amount of liability of operators of nuclear installations in the territory of a Contracting Party established in accordance with paragraph (b) of this Article as well as the provisions of any legislation of a Contracting Party pursuant to paragraph (c) of this Article shall apply to the liability of such operators wherever the nuclear incident occurs.


5.A Contracting Party may subject the transit of nuclear substances through its territory to the condition that the maximum amount of liability of the foreign operator concerned be increased, if it considers that such amount does not adequately cover the risks of a nuclear incident in the course of the transit: provided that the maximum amount thus increased shall not exceed the maximum amount of liability of operators of nuclear installations situated in its territory.


6.The provisions of paragraph (e) of this Article shall not apply:

 1.to carriage by sea where, under international law, there is a right of entry in cases of urgent distress into the ports of such Contracting Party or a right of innocent passage through its territory; or

 2.to carriage by air where, by agreement or under international law there is a right to fly over or land on the territory of such Contracting Party.


7.Any interest and costs awarded by a court in actions for compensation under this Convention shall not be considered to be compensation for the purposes of this Convention and shall be payable by the operator in addition to any sum for which he is liable in accordance with this Article.




Article 8

1.The right of compensation under this Convention shall be extinguished if an action is not brought within ten years from the date of the nuclear incident. National legislation may, however, establish a period longer than ten years if measures have been taken by the Contracting Party in whose territory the nuclear installation of the operator liable is situated to cover the liability of that operator in respect of any actions for compensation begun after the expiry of the period of ten years and during such longer period: provided that such extension of the extinction period shall in no case affect the right of compensation under this Convention of any person who has brought an action in respect of loss of life or personal injury against the operator before the expiry of the period of ten years.


2.In the case of damage caused by a nuclear incident involving nuclear fuel or radioactive products or waste which, at the time of the incident have been stolen, lost, jettisoned or abandoned and have not yet been recovered, the period established pursuant to paragraph (a) of this Article shall be computed from the date of that nuclear incident, but the period shall in no case exceed twenty years from the date of the theft, loss, jettison or abandonment.


3.National legislation may establish a period of not less than two years for the extinction of the right or as a period of limitation either from the date at which the person suffering damage has knowledge or from the date at which he ought reasonably to have known of both the damage and the operator liable: provided that the period established pursuant to paragraphs (a) and (b) of this Article shall not be exceeded.


4.Where the provisions of Article 13(c)(ii) are applicable, the right of compensation shall not, however, be extinguished if, within the time provided for in paragraphs (a), (b) and (c) of this Article,

 1.prior to the determination by the Tribunal referred to in Article 17, an action has been brought before any of the courts from which the Tribunal can choose; if the Tribunal determines that the competent court is a court other than that before which such action has already been brought, it may fix a date by which such action has to be brought before the competent court so determined; or

 2.a request has been made to a Contracting Party concerned to initiate a determination by the Tribunal of the competent court pursuant to Article 13(c)(ii) and an action is brought subsequent to such determination within such time as may be fixed by the Tribunal.


5.Unless national law provides to the contrary, any person suffering damage caused by a nuclear incident who has brought an action for compensation within the period provided for in this Article may amend his claim in respect of any aggravation of the damage after the expiry of such period provided that final judgment has not been entered by the competent court.




Article 9

The operator shall not be liable for damage caused by a nuclear incident directly due to an act of armed conflict, hostilities, civil war, insurrection or, except in so far as the legislation of the Contracting Party in whose territory his nuclear installation is situated may provide to the contrary, a grave natural disaster of an exceptional character.




Article 10

1.To cover the liability under this Convention, the operator shall be required to have and maintain insurance or other financial security of the amount established pursuant to Article 7 and of such type and terms as the competent public authority shall specify.


2.No insurer or other financial guarantor shall suspend or cancel the insurance or other financial security provided for in paragraph (a) of this Article without giving notice in writing of at least two months to the competent public authority or in so far as such insurance or other financial security relates to the carriage of nuclear substances, during the period of the carriage in question.


3.The sums provided as insurance, reinsurance, or other financial security may be drawn upon only for compensation for damage caused by a nuclear incident.




Article 11

The nature, form and extent of the compensation, within the limits of this Convention, as well as the equitable distribution thereof, shall be governed by national law.




Article 12

Compensation payable under this Convention, insurance and reinsurance premiums, sums provided as insurance, reinsurance, or other financial security required pursuant to Article 10, and interest and costs referred to in Article 7(g), shall be freely transferable between the monetary areas of the Contracting Parties.




Article 13

1.Except as otherwise provided in this Article, jurisdiction over actions under Articles 3, 4, 6(a) and 6(e) shall lie only with the courts of the Contracting Party in whose territory the nuclear incident occurred.


2.Where a nuclear incident occurs outside the territory of the Contracting Parties, or where the place of the nuclear incident cannot be determined with certainty, jurisdiction over such actions shall lie with the courts of the Contracting Party in whose territory the nuclear installation of the operator liable is situated.


3.Where jurisdiction would lie with the courts of more than one Contracting Party by virtue of paragraphs (a) or (b) of this Article, jurisdiction shall lie,

 1.if the nuclear incident occurred partly outside the territory of any Contracting Party and partly in the territory of a single Contracting Party, with the courts of that Contracting Party; and


 2.in any other case, with the courts of the Contracting Party determined, at the request of a Contracting Party concerned, by the Tribunal referred to in Article 17 as being the most closely related to the case in question.


4.Judgments entered by the competent court under this Article after trial, or by default, shall, when they have become enforceable under the law applied by that court, become enforceable in the territory of any of the other Contracting Parties as soon as the formalities required by the Contracting Party concerned have been complied with. The merits of the case shall not be the subject of further proceedings. The foregoing provisions shall not apply to interim judgments.


5.If an action is brought against a Contracting Party under this Convention, such Contracting Party may not, except in respect of measures of execution, invoke any jurisdictional immunities before the court competent in accordance with this Article.




Article 14

1.This Convention shall be applied without any discrimination based upon nationality, domicile, or residence.


2."National law" and "national legislation" mean the national law or the national legislation of the court having jurisdiction under this Convention over claims arising out of a nuclear incident, and that law or legislation shall apply to all matters both substantive and procedural not specifically governed by this Convention.


3.That law and legislation shall be applied without any discrimination based upon nationality, domicile, or residence.




Article 15

1.Any Contracting Party may take such measures as it deems necessary to provide for an increase in the amount of compensation specified in this Convention.


2.In so far as compensation for damage involves public funds and is in excess of the 5 000 000 Special Drawing Rights referred to in Article 7, any such measure in whatever form may be applied under conditions which may derogate from the provisions of this Convention.




Article 16

Decisions taken by the Steering Committee under Article 1(a)(ii), 1(a)(iii) and 1(b) shall be adopted by mutual agreement of the members representing the Contracting Parties.




Article 17

Any dispute arising between two or more Contracting Parties concerning the interpretation or application of this Convention shall be examined by the Steering Committee and in the absence of friendly settlement shall, upon the request of a Contracting Party concerned, be submitted to the Tribunal established by the Convention of 20th December 1957 on the Establishment of a Security Control in the Field of Nuclear Energy.




Article 18

1.Reservations to one or more of the provisions of this Convention may be made at any time prior to ratification of or accession to this Convention or prior to the time of notification under Article 23 in respect of any territory or territories mentioned in the notification, and shall be admissible only if the terms of these reservations have been expressly accepted by the Signatories.


2.Such acceptance shall not be required from a Signatory which has not itself ratified this Convention within a period of twelve months after the date of notification to it of such reservation by the Secretary-General of the Organisation in accordance with Article 24.


3.Any reservation admitted in accordance with this Article may be withdrawn at any time by notification addressed to the Secretary-General of the Organisation.




Article 19

1.This Convention shall be ratified. Instruments of ratification shall be deposited with the Secretary-General of the Organisation.


2.This Convention shall come into force upon the deposit of instruments of ratification by not less than five of the Signatories. For each Signatory ratifying thereafter, this Convention shall come into force upon the deposit of its instrument of ratification.




Article 20

Amendments to this Convention shall be adopted by mutual agreement of all the Contracting Parties. They shall come into force when ratified or confirmed by two-thirds of the Contracting Parties. For each Contracting Party ratifying or confirming thereafter, they shall come into force at the date of such ratification or confirmation.




Article 21

1.The Government of any Member or Associate country of the Organisation which is not a Signatory to this Convention may accede thereto by notification addressed to the Secretary-General of the Organisation.


2.The Government of any other country which is not a Signatory to this Convention may accede thereto by notification addressed to the Secretary-General of the Organisation and with the unanimous assent of the Contracting Parties. Such accession shall take effect from the date of such assent.




Article 22

1.This Convention shall remain in effect for a period of ten years as from the date of its coming into force. Any Contracting Party may, by giving twelve months' notice to the Secretary-General of the Organisation, terminate the application of this Convention to itself at the end of the period of ten years.


2.This Convention shall, after the period of ten years, remain in force for a period of five years for such Contracting Parties as have not terminated its application in accordance with paragraph (a) of this Article, and thereafter for successive periods of five years for such Contracting Parties as have not terminated its application at the end of one of such periods of five years by giving twelve months' notice to that effect to the Secretary-General of the Organisation.


3.A conference shall be convened by the Secretary-General of the Organisation in order to consider revisions to this Convention after a period of five years as from the date of its coming into force or, at any other time, at the request of a Contracting Party, within six months from the date of such request.




Article 23

1.This Convention shall apply to the metropolitan territories of the Contracting Parties.


2.Any Signatory or Contracting Party may, at the time of signature or ratification of or accession to this Convention or at any later time, notify the Secretary-General of the Organisation that this Convention shall apply to those of its territories, including the territories for whose international relations it is responsible, to which this Convention is not applicable in accordance with paragraph (a) of this Article and which are mentioned in the notification. Any such notification may in respect of any territory or territories mentioned therein be withdrawn by giving twelve months' notice to that effect to the Secretary-General of the Organisation.


3.Any territories of a Contracting Party, including the territories for whose international relations it is responsible, to which this Convention does not apply shall be regarded for the purposes of this Convention as being a territory of a non-Contracting State.




Article 24

The Secretary-General of the Organisation shall give notice to all Signatories and acceding Governments of the receipt of any instrument of ratification, accession, withdrawal, notification under Article 23, and decisions of the Steering Committee under Article 1(a)(ii), 1(a)(iii) and 1(b). He shall also notify them of the date on which this Convention comes into force, the text of any amendment thereto and of the date on which such amendment comes into force, and any reservation made in accordance with Article 18.




Annex I

The following reservations were accepted either at the time of signature of the Convention or at the time of signature of the Additional Protocol:

•1.6(a) and (c)(i):

Reservation by the Government of the Federal Republic of Germany, the Government of the Republic of Austria and the Government of the Hellenic Republic.

 Reservation of the right to provide, by national law, that persons other than the operator may continue to be liable for damage caused by a nuclear incident on condition that these persons are fully covered in respect of their liability, including defence against unjustified actions, by insurance or other financial security obtained by the operator or out of State funds.


•2.6(b) and (d):

Reservation by the Government of the Republic of Austria, the Government of the Hellenic Republic, the Government of the Kingdom of Norway and the Government of the Kingdom of Sweden ³.

 Reservation of the right to consider their national legislation which includes provisions equivalent to those included in the international agreements referred to in Article 6(b) as being international agreements within the meaning of Article 6(b) and (d).


•3.8(a):

Reservation by the Government of the Federal Republic of Germany and the Government of the Republic of Austria.

 Reservation of the right to establish, in respect of nuclear incidents occurring in the Federal Republic of Germany and in the Republic of Austria respectively, a period longer than ten years if measures have been taken to cover the liability of the operator in respect of any actions for compensation begun after the expiry of the period of ten years and during such longer period.


•4.9:

Reservation by the Government of the Federal Republic of Germany and the Government of the Republic of Austria.

 Reservation of the right to provide, in respect of nuclear incidents occurring in the Federal Republic of Germany and in the Republic of Austria respectively, that the operator shall be liable for damage caused by a nuclear incident directly due to an act of armed conflict, hostilities, civil war, insurrection or a grave natural disaster of an exceptional character.


•5.19 :

Reservation by the Government of the Federal Republic of Germany, the Government of the Republic of Austria, and the Government of the Hellenic Republic.

 Reservation of the right to consider ratification of this Convention as constituting an obligation under international law to enact national legislation on third party liability in the field of nuclear energy in accordance with the provisions of this Convention.




Annex II

This Convention shall not be interpreted as depriving a Contracting Party, on whose territory damage was caused by a nuclear incident occurring on the territory of another Contracting Party, of any recourse which might be available to it under international law.



IN WITNESS WHEREOF, the undersigned Plenipotentiaries, duly empowered, have signed this Convention.

DONE in Paris, this twenty-ninth day of July Nineteen Hundred and Sixty, in the English, French, German, Spanish, Italian and Dutch languages in a single copy which shall remain deposited with the Secretary-General of the Organisation for European Economic Co-operation2 by whom certified copies will be communicated to all Signatories.




Notes by the Secretariat

1.The designation of the Signatories is the same as that in the Protocol of 16th November 1982. It should be noted that Finland acceded to the Paris Convention and the Additional Protocol of 1964 on 16th June 1972 and has signed the Protocol of 1982.

2.The Organisation for European Economic Co-operation (OEEC) was reconstituted as the Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD) on 30th September 1961, in accordance with the provisions of the Convention on the Organisation for Economic Co-operation and Development of 14th December 1960.
In addition, following the Decision of the OECD Council dated 17th May 1972 [C(72)106 (Final)], the European Nuclear Energy Agency (ENEA) is now called the OECD Nuclear Energy Agency (NEA).

3.At the time of the deposit of its instruments of accession, the Government of Finland subordinated its accession to the present reservation.

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・原子力損害賠償制度 各国比較

・原子力損害賠償制度 各国比較

 賠償措置額の多寡の問題とか、免責事由の内容等の問題があるが、ごく大雑把に、○が多い方が、原子力事業者に事業者に厳しい制度だとして、


・日本
事業者の無過失責任 ○(3条)
事業者への責任集中 ○(4条)
免責事由        ×(3条1項但書、異常に巨大な天災地変又は社会的動乱)
無限責任        ○

・アメリカ
事業者の無過失責任 △(州法で)
事業者への責任集中 △(州法で)
免責事由        ×(戦争行為)
無限責任        ×(措置額130億ドル程度)

・イギリス
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由        ×(武力紛争の過程における敵対行為)
無限責任        ×(約324億円)

・フランス
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由        ×(武力紛争、戦争行為、暴動又は内戦、例外的性質を持つ重大な自然災害)
無限責任        ×(約137億円)

・ドイツ
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由        ○(免責なし)
無限責任        ○

・スイス
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由       ×(被害者の故意、重過失で免責又は減責)
無限責任       ○

・カナダ
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由        ×(戦争、侵略、暴動及び原子力損害を起こそうとする故意)
無限責任        ○

・中国
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由        ×(社会的動乱、異常に巨大な天災)
無限責任        ×(約46億円?)

・韓国
事業者の無過失責任 ○
事業者への責任集中 ○
免責事由        ×(国家間の武力衝突、敵対行為、内乱または反乱)
無限責任        ×(約63億円)

-------------------------------
・インド
http://www.jepic.or.jp/news/pdf/20100906-09-1.pdf

■インド:インド議会、原子力損害賠償法案を可決
インド下院は2010 年8 月25 日、上院は8 月30 日、原子力損害賠償法案を賛成多数で可決した。上下両院とも左翼政党の損害賠償額の増額を求めた修正動議を否決した後、最大野党のインド人民党(BJP)の賛成を得て可決した。今後大統領の署名をもって成立する。8 月20 日に政府が示した法案では、運転事業者が原子力設備などの供給事業者に賠償を肩代わりさせることができる条件として、「原子力事故が、原子力損害を起こそうとする意図で行われた供給事業者またはその従業員の行為の結果による場合で、このような行為には、明らかなまたは潜在的な欠陥のある設備または材料もしくは基準を満たしていない役務の供給を含む」となっていたが、原子力損害が意図的に起こされたことを証明するのは不可能として野党が反対したため、「原子力損害を起こそうとする意図で行われた」が削除され、「原子力事故が、基準を満たしていない役務による明らかなまたは潜在的な欠陥のある設備または材料の供給を含む、供給事業者またはその従業員の行為の結果による場合」となった。チャバン科学技術大臣は、ボパールでのガス漏えいによる悲劇(15,000 人死亡)のような経験をした国はほかにないので、インドは、供給事業者に対する原子力損害賠償責任を定めた最初の国になるだろうと述べた。本法案の通過によって、2005 年7 月にシン首相が訪米し、米国との間で民生用原子力協力に合意して以来始まった、インドが民生用原子力協力を得るための手続きがすべて終了したことになる。


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2011-06-26 : ■その他 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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■2条「原子力損害」の意味・範囲 その24 安全配慮義務違反と消滅時効

■2条「原子力損害」の意味・範囲 その24 安全配慮義務違反と消滅時効


 原発事故後の収束作業中,東電等の雇い主(使用者)側の被曝管理等がずさんで,社員・作業員(被用者)が,許容限度以上の被曝をしていまい後に健康を害したり,死亡したような場合。このようなことは起きないかもしれないが、念のため検討してみる。


〔法の適用〕
・原発事故後の収束作業中の被曝について,これを「原子炉の運転等の際」(原賠法3条1項本文)に生じた「原子力損害」と見てよいのかについては,同法2条1項との関係で問題となるかもしれないが,おそらく「原子炉の運転等」には収束作業まで含むとなどとされるだろう。また,原子力事業者の従業員でも,原賠法の適用を受けるという点については,こちらで述べたとおり,法改正がなされていて問題はない。

・また,使用者は,労働契約上,当然に,労働者がその生命身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をすべき義務(最判昭50.2.25,労働契約法5条)を負っており,それを怠った場合には,労働契約上の義務違反として,使用者は債務不履行責任(民法415条)を負う。
 原賠法と民法の債務不履行責任(民法415条)の関係については,こちらで述べた。

・下請け作業員についても,最高裁判決平成3年4月11日(三菱重工神戸造船所事件,判タ759-95)で,「上告人の管理する設備、工具等を用い、事実上上告人の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も上告人の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであったというのであり、このような事実関係の下においては、上告人は、下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、右労働者に対し安全配慮義務を負うものであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。」とされ,会社に対して,安全配慮義務違反による損害賠償請求をなす余地はあろう。



〔従業員による損害賠償請求の法律上の根拠〕

1 民法の不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)
・過失立証必要
・時効は3年(民法724条前段)
・遅延損害金の発生は損害発生時から(最判昭37.9.4)

2 原賠法上の損害賠償請求権(原賠法3条1項)
・過失立証不要(加害者の無過失の抗弁も認められず)
・時効は3年(民法724条前段)
・遅延損害金の発生は損害発生時から

3 債務不履行に基づく損害賠償請求権(民法415条)
・使用者において無過失立証必要
・時効は10年(民法167条1項,安全配慮義務違反について最判昭50.2.25)
・催告時から(民法412条3項)


 上の1と2では,こちらで触れたとおり,2が優先(特別法優先の原則)される。

 また,上の1と3の比較では,過失の立証責任や時効の点で、3が有利なのは明白であり,契約関係当事者間の紛争は,通常は,不法行為ではなくて債務不履行責任を追及する訴訟を提起することになる。〔ただし安全配慮義務違反については,債務不履行でも,その義務の内容,違反の事実については,被害者側が立証責任を負う(最判昭56.2.16)〕

 上の2と3と比較すると,時効の点では3が有利だが,訴訟で過失が問題とならないという点では2が有利である。また,遅延損害金の発生時期を考えると,「損害及び加害者を知った時から三年」(民法724条)以内であれば,普通は,2の原賠法に基づく損害賠償請求をすることになろう。

 したがって,通常は原賠法での賠償請求がなされることになろうが,仮に,従業員が,被曝が原因で発病し,そのことを知ったのに,3年以上放置してしまった場合などに,使用者の安全配慮義務違反を根拠にして時効期間10年の債務不履行責任を追及することが可能かどうか,その場合の時効の起算点との関係で問題となる。


〔考え方〕
 安全配慮義務違反(債務不履行,民法415条)による損害賠償請求権の10年の消滅時効の起算点については,以下のように考えられるのではないか。

1 安全配慮義務違反による短期間あるいは一回的事故で,即時に損害発生する場合
 損害発生時から進行(東京地裁判決昭和57年3月29日,判タ475-85)

2 安全配慮義務違反による短期間あるいは一回的事故で,相当な時間経過後に損害発生(晩発性の傷害)する場合
a説 損害発生時から進行する。
b説 安全配慮義務の不履行と一体をなす損害で当初からその発生を予見することが可能であったものについて,安全配慮義務違反時から進行し,それ以外は,損害発生時から進行する(判タ495-28)。

3 継続的な安全配慮義務違反があって被害が次第に進行するような場合
 こちらで述べた継続的不法行為と同様に考えて,累積的な健康被害については,全体として一個の損害賠償請求権と見て,退職などによってその安全配慮義務違反が止んだときから進行する?(東京高裁判決昭和58年2月24日,判タ496-100)


 原発事故の事後処理作業中の被曝による晩発性の健康被害については,たぶん上の2のような場合に該当するであろうから,b説のように考えて,晩発性の傷害が予見可能性もあったとするなら,被曝の時から10年の時効は進行しはじめるということなるだろうし,そうでないなら損害発生時(発病時)から進行するということになろうか。ただ,被曝すれば必ず晩発生の症状が出るというわけでもないだろうし,現実に発病していないとき,その病気の内容も程度も不明であって,損害賠償請求自体が困難であろうから,民法166条1項の「権利を行使することができる時」とは言えないはずで,除斥期間や時効の起算点を後ろにずらすことが多い近時の判例の流れからいくと,このような場合には損害発生時(発病時)から起算されるかもしれない。
 
 病状が徐々に悪化するケースで,消滅時効に関する起算点について,長崎じん肺訴訟の最高裁判決は以下のとおり。
・長崎じん肺上告審判決,最高裁平成6年2月22日(判タ853-73)
「前示事実関係によれば、じん肺は、肺内に粉じんが存在する限り進行するが、それは肺内の粉じんの量に対応する進行であるという特異な進行性の疾患であって、しかも、その病状が管理二又は管理三に相当する症状にとどまっているようにみえる者もあれば、最も重い管理四に相当する症状まで進行した者もあり、また、進行する場合であっても、じん肺の所見がある旨の最初の行政上の決定を受けてからより重い決定を受けるまでに、数年しか経過しなかった者もあれば、二〇年以上経過した者もあるなど、その進行の有無、程度、速度も、患者によって多様であることが明らかである。そうすると、例えば、管理二、管理三、管理四と順次行政上の決定を受けた場合には、事後的にみると一個の損害賠償請求権の範囲が量的に拡大したにすぎないようにみえるものの、このような過程の中の特定の時点の病状をとらえるならば、その病状が今後どの程度まで進行するのかはもとより、進行しているのか、固定しているのかすらも、現在の医学では確定することができないのであって、管理二の行政上の決定を受けた時点で、管理三又は管理四に相当する病状に基づく各損害の賠償を求めることはもとより不可能である。以上のようなじん肺の病変の特質にかんがみると、管理二、管理三、管理四の各行政上の決定に相当する病状に基づく各損害には、質的に異なるものがあるといわざるを得ず、したがって、重い決定に相当する病状に基づく損害は、その決定を受けた時に発生し、その時点からその損害賠償請求権を行使することが法律上可能となるものというべきであり、最初の軽い行政上の決定を受けた時点で、その後の重い決定に相当する病状に基づく損害を含む全損害が発生していたとみることは、じん肺という疾病の実態に反するものとして是認し得ない。これを要するに、雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺に罹患したことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、最終の行政上の決定を受けた時から進行するものと解するのが相当である。」



〔被害者死亡の場合〕
 たとえば,夫が30歳(2011年)で原発処理に従事し,過剰な被曝が原因で44歳(2025年)で発病し働けなくなり退職。障害慰謝料,逸失利益,医療費等の賠償は受けていたが51歳(2032年)で死亡。妻はそのまま時間を徒過。夫死亡から5年後(2037年)に,会社に対して,夫の死亡に基づく損害分(死亡慰謝料等)の賠償請求をした場合。
 この場合,死後5年経過しているので、おそらく原賠法に基づく損害賠償請求権は,3年の消滅時効(民法724条前段)にかかってしまっている。
 そこで,安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(時効期間は10年,民法167条1項)を請求するとができないか。

 2037年では
1 被曝から26年経過している。
2 発病,退職から12年経過している。
3 死亡から5年経過している。


 晩発性の健康障害については,こちらで述べたとおり,除斥期間の起算点を,発病時とするのが最近の判例の潮流なので,20年の除斥期間(民法724条後段)にかかって,賠償請求できなくなるということはないかもしれない。〔ただし解釈次第。〕

 しかし,死亡時から5年経過しているので,通常は,原賠法に基づく損害賠償請求権の3年の短期消滅時効(民法724条前段)にかかってしまっている。

 そこで,死亡に関する損害(死亡慰謝料,逸失利益等)について,会社の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権と構成して,10年の時効期間(民法167条1項)はまだ完成していないと主張して損害賠償請求できるかということになる。
 これは,安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効の起算点の問題のうち,特に死亡に基づく損害賠償請求の場合どうなるのかという問題である。

 この点については,参考になる判例として,最高裁平成16年4月27日判決がある。

・最高裁平成16年4月27日判決(平成13(受)1759),※なお,除斥期間に関する同日の平成13(受)1760とは別のもの
雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺にかかったことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は,じん肺法所定の管理区分についての最終の行政上の決定を受けた時から進行すると解すべきであるが(最高裁平成元年(オ)第1667号同6年2月22日第三小法廷判決・民集48巻2号441頁),じん肺によって死亡した場合の損害については,死亡の時から損害賠償請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。なぜなら,その者が,じん肺法所定の管理区分についての行政上の決定を受けている場合であっても,その後,じん肺を原因として死亡するか否か,その蓋然性は医学的にみて不明である上,その損害は,管理二~四に相当する病状に基づく各損害とは質的に異なるものと解されるからである。」


 このじん肺訴訟では,裁判所は,健康被害による損害と,その後の死亡による損害を別とのもと考えており,この判決の判旨を類推すれば,少なくとも東電の従業員については,原賠法による構成ではなく,安全配慮義務違反と構成して,夫の死亡の慰謝料,逸失利益等を請求するかぎり,時効完成は死亡時らか10年(民法167条1項)ということになり,前述の例では,妻の請求は,消滅時効を理由としては棄却されないとうことになるのだろう。下請け作業員についても、こちらで述べたとおり、東電との関係で「指揮監督」や「支配従属」関係があるなどして,元請企業が,「下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入った」といえる限りは、同様。




〔労災保険の各種請求の短期消滅時効〕

----------------------
・労災保険法(労働者災害補償保険法)
第四十二条  療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、二年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によつて消滅する。
----------------------

 この42条の期間の性質と、その起算点については、以下の判例がある。

・東京地裁平成7年10月19日、王子労働基準監督署長(昭和重機)事件
1 労災保険法四二条は、時効期間、除斥期間のいずれを定めた規定か。
 労災保険法四二条は、法文上「時効によって消滅する」と明記しており、同法上の保険給付請求権は、それぞれ給付ごとの支給事由が生じた日に発生する権利であって、その行使が容易である反面、いたずらに長期にわたって不安定な状態下に置くことは煩瑣な事務をますます複雑化するおそれがあることから、短期消滅時効期間を定めたものと解すべきである。したがって、労災保険法四二条が除斥期間を定めたものであるとの被告の見解は採用しない。
2 労災保険法四二条の消滅時効の起算点について
 労災保険法四二条は、消滅時効の起算点について直接の定めをしていないので、同法四三条により、その消滅時効の起算点は、民法の一般原則によって決すべきである。そうすると、消滅時効は、権利者において権利を行使することにつき法律上の障碍事由がない限り、権利を行使することのできるときから進行することとなる(民法一六六条)。したがって、本訴で問題となっている休業補償給付請求権についてみれば、この請求権は、業務上の傷病による療養で労働することのできないために賃金を受けない日ごとに発生し、その日ごとに発生する受給権については、それぞれその翌日から時効が進行することとなるので、昭和五七年三月一〇日から平成二年一〇月一三日までの休業補償給付請求権は、これを行使するにつき法律上の障碍事由の存することは認められないから、時効期間の経過により時効消滅したことは明らかである。

※例として
5年
・障害(補償)給付 傷病が治った日の翌日
・遺族(補償)給付 労働者が死亡した日の翌日
2年
・療養(補償)給付 療養に要する費用の支出が具体的に確定した日の翌日
・休業(補償)給付 労働不能のため賃金を受けない日ごとにその翌日
・葬祭料 労働者が死亡した日の翌日
・葬祭給付 労働者が死亡した日の翌日
・介護(補償)給付 介護補償給付の対象となる月の翌月の1日
・二次健康診断等給付 一次健康診断の結果を知り得る日の翌日

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2011-06-25 : ・消滅時効の問題 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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■3条の賠償責任の法的性質 その5 民法415条(債務不履行責任)との関係

■3条の賠償責任の法的性質 その5 民法415条(債務不履行責任)との関係


 原子力事業者の従業員が,原発事故処理作業中に,会社側の被曝管理がずさんなために,限度を超えた被曝をしてしまい健康被害が生じた場合,当該従業員が,原賠法3条1項本文に基づく損害賠償請求を,原子力事業者に対してなしうることは当然として,それ以外に会社側の雇用契約上の安全配慮義務違反(最高裁昭和50年2月25日判決,労働契約法5条)を理由に民法415条に基づく損害賠償請求をなしうるのかという問題がある。


〔考え方〕
 以下のような判例がある。
-----------------------------
・平成20年2月27日水戸地裁判決(判タ1285号201頁)
 JCO臨界事故関係。近隣住民が被爆及びPTSD等健康被害で,JCO及びその親会社住友金属鉱山に対して,主位的に民法709条,予備的に原賠法3条による損害賠償請求をした。
「原賠法に規定する原子力損害の賠償責任は,原子力事業者に対して原子力損害に関する無過失責任を規定するなどした民法の損害賠償責任に関する規定の特則であり,民法上の債務不履行責任又は不法行為の責任発生要件に関する規定は適用を排除され,その類推適用の余地もないものであるから,本件事故による被爆と相当因果関係があるものとして損害賠償を請求する限りにおいては,原子力事業者に該当する被告JCOとの関係においても,民法上の不法行為に基づいて,賠償請求を認めることはできないというほかない。」
-----------------------------

 上の判決の事例では,原告は民法709条での損害賠償を主位的に求めたにすぎず,なぜ裁判所が「債務不履行責任」の責任発生要件に関する規定について適用排除と論じているのか不明である。
 そもそも,原賠法が,民法の不法行為規定の特則であることは立法過程の段階から,何度も言及されているが,債務不履行責任を含む民法の損害賠償責任一般についての特別法であると論じたものは見たことがない。
 この判決も結論においては,民法の不法行為規定の適用排除しか述べておらず,事案においても債務不履行責任など問題となっていないから,債務不履行にもとづく損害賠償義務(民法415条)と原賠法との関係を論じたものとも思えない。どういう趣旨で述べているのか不明である。〔当事者の主張に対するなんらかの応答だろうとは思われるが〕
 なお,同判例の解説(判タ1285-201)でも,「原子力損害の賠償に関しては,責任発生の要件と関連する民法709条,715条,716条及び717条の規定の適用が排除される(その他の規定については適用が排除されることない。)と解されている(科学技術庁原子力局監『原子力損害賠償制度』52頁)。」との記述がある。

 原賠法の律する法律関係は,予め債権債務関係あることを前提としないのであり,民法の不法行為法の特則であることは明白であり,債務不履行のような債権債務関係がある当事者間に生ずる事象との関係では,特別法とは言えない。
 また,同じ損害賠償請求であっても,原賠法に基づくそれは「原子炉の運転等」により発生した損害に関するものであり,従業員の追及する債務不履行責任は,安全配慮義務違反という別の帰責原因によるものであるから,当然に両者は両立しうるはずである。
 しかし,この点について明示した判例はみつからない。

 通常は,事業者の「過失」が問題とならないという点で,無過失責任を前提とする原賠法の方が有利なので,原告は,わざわざ雇い主の安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく損害賠償請求(民法415条)をする必要はないと思われるが,消滅時効の問題などから,将来的には債務不履行責任の追及の方が有利になる場面が出てくるかもしれない。



〔労災保険との関係〕
 なお,労働者が被った損害の填補方法としては,労災保険法(労働者災害補償保険法)に基づく補償請求があり,損害の種類や額について限度があるものの,これについては,当然に原賠法との請求が両立しうる。もちろん二重取りはできない。
 原賠法の付則は,以下のとおり,
----------------------
付則
(他の法律による給付との調整等)
第四条  第三条の場合において、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者(以下この条において単に「原子力事業者」という。)の従業員が原子力損害を受け、当該従業員又はその遺族がその損害のてん補に相当する労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による給付その他法令の規定による給付であつて政令で定めるもの(以下この条において「災害補償給付」という。)を受けるべきときは、当該従業員又はその遺族に係る原子力損害の賠償については、当分の間、次に定めるところによるものとする。
一  原子力事業者は、原子力事業者の従業員又はその遺族の災害補償給付を受ける権利が消滅するまでの間、その損害の発生時から当該災害補償給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該災害補償給付の価額となるべき額の限度で、その賠償の履行をしないことができる。
二  前号の場合において、災害補償給付の支給があつたときは、原子力事業者は、その損害の発生時から当該災害補償給付が支給された時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該災害補償給付の価額となるべき額の限度で、その損害の賠償の責めを免れる。
2  原子力事業者の従業員が原子力損害を受けた場合において、その損害が第三者の故意により生じたものであるときは、当該従業員又はその遺族に対し災害補償給付を支給した者は、当該第三者に対して求償権を有する。
-----------------------



〔下請け作業員の場合〕
 原子力事業者〔東電〕の社員は,東電との直接の雇用契約があるので,被曝管理がずさんで過剰に限度を超えて被曝したような場合は,当然に,安全配慮義務違反の問題となる。では,東電と直接の雇用関係にない下請け,孫請けのいわゆる協力会社の従業員は,東電に対して,安全配慮義務違反による債務不履行責任の追及ができないか。これについては,三菱重工神戸造船所事件についての最高裁判決がある。

・最高裁判決平成3年4月11日(三菱重工神戸造船所事件,判タ759-95)
 造船所で稼働していた下請労働者が,工場騒音の被曝によって難聴傷害に罹患したことで,元請企業も安全配慮義務違反による賠償義務が負うかが争われた。
「右認定事実によれば、上告人の下請企業の労働者が上告人のD造船所で労務の提供をするに当たっては、いわゆる社外工として、上告人の管理する設備、工具等を用い、事実上上告人の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も上告人の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであったというのであり、このような事実関係の下においては、上告人は、下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、右労働者に対し安全配慮義務を負うものであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。」

 このように「指揮監督」や「支配従属」関係があるなどして,元請企業が,「下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入った」といえる限りは,元請企業も,下請企業の労働者に対して,信義則上,安全配慮義務を負い,下請労働者との関係で直接の労働契約がなかったとしても,安全配慮義務違反(債務不履行)による損害賠償義務(民法415条)を負う余地が認められている。

 なお,今回の事故処理で,東電側と,下請会社の労働者との指揮監督関係などがどうなっているのかは知らないが、下請け協力企業が実際には,作業員の供給の口利き,手配しかしていないような場合には,おそらく元請けの支配下にあるものと見られるだろう。


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2011-06-24 : ■3条1項本文の責任 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その11 検査 原子力安全基盤機構

・設置関係資料 その11 検査 原子力安全基盤機構

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毎日jp 毎日新聞社
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/06/20110615k0000m040132000c.html

福島第1原発:東電頼みの検査、露呈…安全基盤機構ミス


 原発の法定検査に疑問符が浮かんだ。東京電力福島第1原発3号機の安全弁を巡る「原子力安全基盤機構」の検査ミス。東京電力のトラブル隠し(02年)を受け、検査強化を目的に設立された機構だが、東電からの指摘でやっと自らのミスに気付いた。「東電に頼り過ぎた」。検査員はそう反省したという。昼食代の一部を企業側に負担させてから検査に取りかかるケースもあり、元検査員の一人は「ガチンコ(真剣勝負)の検査員は多くない」と明かした。

 08年12月、北九州市門司区のバルブメーカー工場。機構の検査員2人は、検査手法や手順を記した機構備えつけの「要領書」を手に東電やメーカーの担当者に機器を操作させ、検査を開始した。

 検査は、通常運転時に安全弁が圧力容器から放射性物質を含んだ規定量以上の水蒸気を漏らさないかどうかをチェックするもの。水蒸気の代わりに窒素ガスを使い漏えい量の測定を行うため、窒素ガスの圧力が水蒸気であればどの程度の気圧に相当するか換算する式が必要だ。ところが、要領書には肝心の換算式を記載していない不備があり、検査員は東電側がかけた圧力を妥当だと思い込み検査を終えた。ところが約1カ月後、東電から「圧力が低過ぎた」と連絡が入った。検査員らは機構の内部調査に「東電とメーカーに頼り過ぎた」と答えたという。

 「東電の言い値で検査しているだけでは」。記者の質問に機構の工藤雅春検査業務部次長は「そう言われればその通り。忸怩(じくじ)たる思いはある」と答えた。

 ◇「職員の能力不足も」

 「国の代わりに検査する建前なのに、ガチンコの検査員は多くない。なれ合い検査がまん延している」。10年3月に退職した元検査員の男性(62)は明かす。

 機構の検査部門には百数十人の職員が在籍する。このうち約6割は専門性を高めるために雇用した原子力関連メーカー、電力会社、民間検査会社などの出身者たちだ。それでも▽九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)など原発4基で点検すべき事項を点検しなかった「確認漏れ」(07年発覚)▽日本原燃ウラン濃縮工場(青森県六ケ所村)で要件を満たしていないウラン貯蔵容器を「合格」と判定(10年発覚)--などのミスが相次いできた。

 男性は「専門知識が不足している職員がいる。内部で研修はしているが、知識や経験が乏しく、厳しくチェックしようにも能力不足で不可能だ」と言う。

 通常、検査は午後に実施される。検査前の昼食には検査員、検査先のメーカー、電力会社社員らが一堂に会する。1500~2000円程度の弁当が出るが、検査員は500円を支払うだけ。「差額分は『接待』だが固辞する検査員は少ない。『なあなあ』の検査の象徴」と男性は語った。【酒造唯、川辺康広】


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毎日jp 毎日新聞社
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/06/20110615k0000m040130000c.html

福島第1原発:安全弁検査ミス…保安院所管法人が見逃す

 経済産業省原子力安全・保安院所管の独立行政法人「原子力安全基盤機構」(東京都港区)が08年12月、東京電力福島第1原発3号機の交換用の圧力容器安全弁2台に対する法定検査を誤った手法で実施し、合格させていたことが機構関係者の話で分かった。正常運転時に相当する圧力をかけ放射性物質を閉じ込められるかどうかをチェックしなければならないのに、加圧不足だった。密閉性の低い弁が設置されれば、容器内から規定量以上の放射性物質が漏れる可能性があったという。

 機構は翌月、東電からの指摘を受けてミスに気づき、再検査した。実際に2台を取り付けたのは再検査合格後だったため「安全面での影響はなかった」との理由で、公表しなかった。機構は東電の原発トラブル隠し(02年8月発覚)で、保安院が検査結果の改ざんを見抜けなかった教訓から、検査強化を目的に03年10月に設立された。法定検査を実施できる唯一の機関だけに、識者から厳しい批判の声が上がっている。

 この安全弁は「主蒸気逃がし安全弁」。直径数十センチ、高さ2メートル弱の円筒状の機器で、3号機には8台取り付けられている。正常運転時は放射性物質を含んだ蒸気を基準値以上に漏らさないよう炉内に閉じ込め、事故時は安全弁を開け、圧力を下げて容器破損を防ぐ。消耗により8台のうち6台を交換することになり、08年12月2、3の両日、安全弁を製造した北九州市のバルブメーカーの工場で電気事業法に定められた検査をした。

 機構の検査員2人は、立ち会った東電社員らに指示して、正常運転時の蒸気に相当する圧力の窒素ガスを弁に向けて噴射し、ガスの漏えい量が基準値内かどうかを確認した。6台のうち4台への加圧は適切だったが、残る2台は規定値より各0.55気圧、0.46気圧低い70.38気圧、71.28気圧しか加圧していなかった。東電側の単純ミスだったが、2人はこれを見抜けないまま合格を意味する「良」と判定したという。

 東電は機構の検査に先立つ08年11月18日、独自に同様の検査を実施した際に同じミスをしていた。社内の安全審査部門が二重チェック態勢をとっており、機構検査後の09年初めまでにミスを把握した。

 安全弁は再検査後、保安院の書面チェック(09年4月)を経て、3号機に設置された。圧力容器の圧力が急上昇した3月13日、正常に動いたが、蒸気に含まれる水素が原子炉建屋まで漏れ建屋は翌日水素爆発した。【清水憲司、酒造唯、川辺康広】

 原子力安全基盤機構の工藤雅春検査業務部次長の話 謙虚に反省しており、既に再発防止策も講じた。

 【ことば】原子力安全基盤機構

 保安院の委任で行う法定検査のほか、海外の原子力施設で起きたトラブルに関する情報の収集・分析などを業務とする。10年度予算(収入)は約222億5000万円で、国からの交付金が約93%を占める。職員426人(4月現在)の中には電力会社や原子力関連メーカーの出向者もおり、独立性を疑問視する声もある。


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asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0615/TKY201106150134.html
福島第一原発の安全弁、検査ミスでいったん合格 08年
2011年6月15日12時35分

原発での国の法定検査を担う独立行政法人原子力安全基盤機構が、2年半前に東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉の安全弁の検査を誤った手法で実施し、合格させていたことがわかった。運転前に東電が誤りに気づいて指摘し、機構が再検査した。

 問題の弁は、「主蒸気逃し安全弁」。通常は閉じているが、事故時には、炉の破損を防ぐため弁を開けて中の圧力を逃す。検査は2008年12月、弁の交換に伴って行われた。

 正常運転時には原子炉内には一定の圧力がある。このため、検査でこうした圧力をかけても弁がきちんと閉まった状態を保てるかどうかを確かめる必要がある。しかし、問題の検査では規定値よりも低い値でしか加圧していなかった。

 検査は機構の検査員2人が東電社員に指示して実施。東電社員の単純ミスで加圧不足になったが、検査員は気づかず、検査に合格させた。

 東電は、翌09年初めに再検査した際にミスに気づいて機構に報告。機構は再検査し、09年4月に経済産業省原子力安全・保安院の審査を経て、3号機に弁が設置された。

 02年に発覚した東電のトラブル隠しで、保安院が検査の改ざんを見抜けなかった。この教訓から検査強化のために03年に機構が設立された。経産省所管の独立行政法人で、国の法定検査をする唯一の機関。

 保安院の西山英彦審議官は15日の会見で「東電に指摘されるまで気付かなかったことは非常に遺憾。専門機関としては、こういうことはないようにしなくてはいけない。正しい方法で再度検査をしており安全性に問題はない」と話した。

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■18条 原子力損害賠償紛争審査会 その12 和解仲介パネル

■18条 原子力損害賠償紛争審査会 その12 和解仲介パネル

http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201106/23_a.html
官房長官記者発表
平成23年6月23日(木)午前
.原子力損害賠償に係る紛争解決のための新たな枠組づくりについて

 私(官房長官)から1点、原子力損害賠償に係る紛争解決のための新たな枠組み作りについて申し上げます。
 東京電力の原子力事故については、今後、これまでに例を見ない多数の損害賠償請求がなされることが見込まれます。
 原子力被災者の方々の経済的な救済を早期に実現するためには、この損害賠償請求手続き及びその後の処理を、迅速かつ適切に行なうための紛争解決の枠組みを設ける必要があります。
 そこで、現行の原子力損害賠償紛争審査会の機能を拡充することとし、審査会の下に新たに和解の仲介を行なう仲介委員を新設し、多数の和解・仲介パネルを設置できる体制とともに、それを支える法曹実務家を中心として構成される事務局体制の整備に着手することといたしました。
 また更に、今後の紛争処理状況を見ながら、紛争解決機能を強化するための立法措置の在り方等についても検討をしてまいります。
 詳細については、文部科学省にお尋ね下さい


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毎日jp
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/06/20110623k0000e010080000c.html
福島第1原発:原子力賠償審に和解仲介機能 官房長官発表

 枝野幸男官房長官は23日午前の記者会見で、福島第1原発事故による損害賠償指針の策定のために設置している文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」の機能を拡充し、被災者と東京電力との和解の仲介を行う「和解仲介パネル」を設置すると発表した。枝野氏は「紛争解決機能を強化するための立法措置のあり方も検討する」とし、被災者との交渉円滑化のための新法制定も検討するとした。

 枝野氏は会見で「これまでに例を見ない多数の損害賠償請求がなされることが見込まれる」と指摘し、「被災者の経済的救済の早期実現には、賠償請求手続きやその後の処理を迅速に行う枠組みを設ける必要がある」と述べた。また、審査会の下に和解の仲介を行う「仲介委員」を新たに置き、法曹関係者で構成する数十人規模の事務局体制を整備する考えを示した。【影山哲也】

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■18条 原子力損害賠償紛争審査会 その11 中間指針策定に向けた今後の検討項目(案)

■18条 原子力損害賠償紛争審査会 その11 中間指針策定に向けた今後の検討項目(案)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/attach/1307501.htm

中間指針策定に向けた今後の検討項目(案)(第一次指針及び第二次指針で示された事項等)

1.政府による避難等の対象地域に係る損害

○生命・身体的損害
・事故の復旧作業等に従事した原子力発電所作業員、自衛官、消防隊員、警察官又はその他の者が被った放射線被曝等に係る被害(労働災害又は公務災害による補償の対象となるもの以外)
・PTSD(心的外傷後ストレス障害)等

○精神的損害(第二次指針の対象とならなかったもの)

○営業損害等
・廃業や倒産の場合の損害の算定方法等

○財物価値の喪失又は減少等
・立ち入りができず価値の喪失、減少等を現実に確認できない場合の手法
・除染等が必要な場合の損害のとらえ方
・不動産を担保とする融資の拒絶、賃貸借契約等に係る損害

2.政府指示等の対象地域外に係る損害関係

<避難関係>
○避難等対象区域外の住民の避難費用、検査費用等
○避難等対象区域の通過者の検査費用

<営業損害関係>
○いわゆる風評被害(第二次指針の対象以外)
・原則として相当因果関係のある類型(業種・品目・地域、輸出等)
・相当因果関係を判断するための合理的な立証方法等

○代替性のない部品等の仕入れが不能となった取引先等のいわゆる間接損害

3.共通項目等

○中間指針の位置付け
○政府指示等が解除された後に発生する損害(第二次指針の対象以外)
○避難費用、営業損害、就労不能等に伴う損害、風評被害など継続的に発生し得る損害についての終期の判断
○被害者への各種給付金等と損害賠償金との関係(損益相殺の可否等)
○地方公共団体独自の財産的損害
○東日本大震災による影響を考慮した損害額の算定方法等
○その他、必要に応じて合理的な損害の証明方法や損害額の算定方法等(風評被害、営業損害等)



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■18条 原子力損害賠償紛争審査会 その10 第二次指針追補

■18条 原子力損害賠償紛争審査会 その10 第二次指針追補

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/houkoku/__icsFiles/afieldfile/2011/06/20/1307518_1_3.pdf
「東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第二次指針追補」
平成23年6月20日
原子力損害賠償紛争審査会

第1 はじめに
1 平成23年5月31日に公表された「東京電力( 株) 福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第二次指針」の第2 の〔損害額算定方法〕の「2避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の損害額算定方法」において、「避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害」及び「生活費の増加費用」を合算した損害額( 以下、「損害額」という。) の具体的な算定方法について、暫定的な考え方を明らかにした。
 すなわち、損害額の算定に当たっては、宿泊場所等によって、生活環境、利便性、プライバシー確保等の点からみて精神的苦痛の程度は異なると考えられるため、① 避難所・体育館・公民館等( 以下、「避難所等」という。)、② アパート・借家・公営住宅・仮設住宅・実家・親戚方・知人方等、③ ホテル、旅館等の順序で段階的に金額に差を設け、また、④ 屋内退避を余儀なくされた者については、上記③ の金額を超えない範囲で損害額を算定することが考えられるが、なお引き続き検討するとした。

2 これを受けて、このたびの指針追補( 以下「第二次指針追補」という。) においては、損害額の算定方法等につき、その考え方を明示することとした。
 具体的には、「対象者」、「損害額算定の基本的考え方及び算定期間」、「損害額の算定方法」、「損害発生の始期及び終期」に関する考え方を明らかにする。


第2 避難生活等を余儀なくされたことによる精神的損害の損害額の算定方法
1 対象者
( 指針)
Ⅰ ) 損害の賠償の対象者は、① 避難及び対象区域外滞在を余儀なくされたことに伴い、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、あるいは、② 屋内退避を余儀なくされた
ことに伴い、長期間行動の自由が制限されるなど、避難等により正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたって著しく阻害された者である。
Ⅱ ) 上記① 又は② に該当する者であれば、その年齢や世帯の人数等にかかわらず、避難等をした者個々人が賠償の対象となる。
( 備考)
1 ) Ⅰ )の① 又は② に該当する者は、対象区域( 避難区域、警戒区域、屋内退避区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域)から実際に避難した上引き続き同区域外での滞在を長期間余儀なくされた者( 又は余儀なくされている者)、本件事故発生時に対象区域外に居り、同区域内に生活の本拠としての住居があるものの引き続き対象区域外滞在を長期間余儀なくされた者( 又は余儀なくされている者) 、及び屋内退避区域の指定が解除されるまでの間、同区域における屋内退避を長期間余儀なくされた者である。
 但し、緊急時避難準備区域内に生活の本拠としての住居がある者であって、本指針が定められた日以降に同区域外に避難を開始した者( 子ども、妊婦、要介護者、入院患者等を除く。) については、Ⅰ ) の① の対象としない。
2 ) 損害賠償請求権は個々人につき発生するものであるから、損害の賠償についても、世帯単位ではなく、個々人に対してなされるべきである。
 また、年齢や世帯の人数あるいはその他の事情により、各避難者が現実に被った精神的苦痛の程度には個人差があることは否定できないものの、指針においては、全員に共通する精神的苦痛につき賠償対象とされるのが妥当と解されること、生活費の増加費用についても個人ごとの差異は少ないと考えられることから、年齢等により金額に差は設けないこととした。

2 損害額算定の基本的考え方及び算定期間
( 指針)
 損害額の算定に当たっては、差し当たって、その算定期間を以下の3 段階に分け、それぞれの期間について金額を算定することが合理的と認められる。
Ⅰ ) 事故発生から6 ヶ月間( 第1 期)
Ⅱ ) 第1 期終了から6 ヶ月間( 第2 期)
 但し、警戒区域等が見直される等の場合には、必要に応じて見直す。
Ⅲ ) 第2 期終了後、終期までの期間( 第3 期)
( 備考)
1 ) 第1 で述べたとおり、第2 次指針においては、損害額の算定方法として、宿泊場所等によって4 類型に分けて算定する方法を含め引き続き検討することとした。
2 ) しかしながら、長期間の避難等を余儀なくされた者は、正常な日常生活の維持・継続を長期間にわたり著しく阻害されているという点では全員共通した苦痛を被っていること、また、仮設住宅等に宿泊する場合と旅館・ホテル等に宿泊する場合とで、個別の生活条件を考えれば一概には生活条件に明らかな差があるとはいえないとも考えられることから、主として宿泊場所等によって分類するのではなく、一律の算定を行い、相対的に過酷な避難生活が認められる避難所等についてのみ、事故後一定期間は滞在期間に応じて一定金額を加算することとし、むしろ、主として避難等の時期によって合理的な差を設けることが適当である。
3 ) 本件事故後、避難等した者の大半が仮設住宅等への入居が可能となるなど、長期間の避難生活のための基盤が形成されるまでの6 ヶ月間( 第1 期) は、地域コミュニティ等が広範囲にわたって突然喪失し、これまでの平穏な日常生活とその基盤を奪われ、自宅から離れ不便な避難生活を余儀なくされた上、帰宅の見通しもつかない不安を感じるなど、最も精神的苦痛の大きい期間といえる。
4 ) 第1 期終了後6 ヶ月間( 第2 期) は、引き続き自宅以外での不便な生活を余儀なくされている上、いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛がある。その一方で、突然の日常生活とその基盤の喪失による混乱等という要素は基本的にこの段階では存せず、この時期には、大半の者が仮設住宅等への入居が可能となるなど、長期間の避難生活の基盤が整備され、避難先での新しい環境にも徐々に適応し、避難生活の不便さなどの要素も第1 期に比して縮減すると考えられる。但し、その期間は必要に応じて見直すこととする。
5 ) 第2 期終了後、実際に帰宅が可能となるなどの終期までの間( 第3 期) は、いずれかの時点で避難生活等の収束の見通しがつき、帰宅準備や生活基盤の整備など、前向きな対応も可能となると考えられるが、現時点ではそれがどの時点かを具体的に示すことが困難であることから、今後の本件事故の収束状況等諸般の事情を踏まえ、改めて第3 期における損害額の算定を検討することが妥当であると考えられる。
6 ) なお、屋内退避区域の指定が解除されるまでの間、同区域において屋内退避をしていた者については、避難及び対象区域外滞在をした者の損害額を超えない範囲で損害額を算定する。

3 損害額の算定方法
( 指針)
 損害額の算定に当たっては、前記2 で述べた第1 期ないし第3 期に応じて、以下のとおりとすることが考えられる。
Ⅰ ) 第1 期については、一人月額1 0 万円を目安とする。
 但し、この間、避難所等における避難生活を余儀なくされた者については、避難所等において避難生活をした期間は、一人月額1 2 万円を目安とする。また、屋内退避区域の指定が解除されるまでの間、同区域において屋内退避をしていた者( 計画的避難区域から避難した者、及び緊急時避難準備区域から本指針が定められた日の前日までに避難を開始した者を除く。) については、一人10 万円を目安とする。
Ⅱ ) 第2 期については、一人月額5 万円を目安とする。
Ⅲ ) 第3 期については、今後の本件事故の収束状況等諸般の事情を踏まえ、改めて損害額の算定方法を検討するのが妥当であると考えられる。
( 備考)
1 ) 前記2 の( 備考) の3 ) で述べたように、第1 期は特に精神的苦痛が大きい期間と認められる。このため、本期間の損害額の算定に当たっては、本件は負傷を伴う精神的損害ではないことを勘案しつつ、自動車損害賠償責任保険における慰謝料( 日額4 ,2 0 0 円。月額換算1 2万6 ,0 0 0 円)を参考にした。本件事故により平穏な日常生活とその基盤が突如失われ、自宅から離れた不便な避難生活を強いられ、いつ故郷の自宅に戻ることができるのか判然としない不安感を覚えるなど大きな精神的苦痛を被ったことや生活費の増加分も考慮し、一人当たり月額1 0 万円を目安とするのが合理的であると判断した。
 但し、特に避難当初の避難所等における長期間にわたる避難生活は、他の宿泊場所よりも生活環境・利便性・プライバシー確保の点からみて相対的に過酷な生活状況であったことは否定し難いため、この点を損害額の加算要素として考慮し、避難所等において避難生活をしていた期間についてのみ、一人月額1 2 万円を目安とすることが考えられる。
2 ) 前記2 の( 備考) の4 ) で述べたように、第2 期については、第1 期に見られる突然の混乱等からは脱し、希望すれば大半の者が仮設住宅等への入居が可能となるなど長期間の避難生活のための基盤が形成され、避難生活の過酷さも第1 期に比して緩和されると考えられる。そこで、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準( 財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部) による期間経過に伴う慰謝料の変動状況も参考とし、一人月額5 万円を目安とすることが考えられる。
3 ) 前記2 の( 備考) の5 ) で述べたように、第3 期については、そのいずれかの時点で避難生活の収束の見通しがつき、帰宅準備や、避難期間に応じた生活基盤の整備など、前向きな対応も可能となると考えられるが、現時点ではそれがどの時点かを具体的に示すことが困難であることから、今後の本件事故の収束状況等諸般の事情を踏まえ、改めて損害額を検討するのが妥当である。
4 ) なお、損害額の算定は月単位で行うのが合理的と認められるが、これはあくまでも目安であるから、具体的な賠償に当たって柔軟な対応を妨げるものではない。
5 ) なお、屋内退避区域の指定が解除されるまでの間、同区域において屋内退避をしていた者については、避難及び対象区域外滞在をした者の損害額を超えない範囲で損害額を算定することとし、その損害額は1 0 万円を目安とするのが妥当である。

4 損害発生の始期及び終期
( 指針)
Ⅰ ) 損害発生の始期については、個々の対象者が避難等をした日にかかわらず、原則として本件事故発生時である平成23年3月11日とする。
Ⅱ ) 損害発生の終期については、基本的には対象者が対象区域内の住居に戻ることが可能となった日とすることが合理的であるが、対象者の具体的な帰宅の時期等を現時点で見通すことは困難であるため、なお引き続き検討する。
( 備考)
1 ) 対象者の損害発生の始期については、個々の対象者が実際に避難等をした日とすることも考えられる。
 しかしながら、上記対象者が実際に避難をした日はそれぞれの事情によって異なっているものの、避難等をする前の生活においても、本件事故発生日以降は、避難後の精神的苦痛に準ずる程度に、正常な日常生活の維持・継続を著しく阻害されることによる精神的苦痛を受けていたと考えられることから、損害発生の始期は平成23年3月11日の本件事故発生日とするのが合理的であると判断した。
 但し、緊急時避難準備区域内に生活の本拠としての住居がある対象者( 子ども、妊婦、要介護者、入院患者等)であって、本指針が定められた日以降に避難した者については、当該者が実際に避難した日を始期とする。
2 ) なお、損害発生の終期については、基本的には対象区域内の住居に戻ることが可能となった日とするのが合理的である。しかしながら、実際の対象者の具体的な帰宅の時期等を現時点で見通すことは困難であるため、今後の本件事故の収束状況等諸般の事情を踏まえ、改めて具体的な終期を検討するのが妥当であると考えられる。
( 以上)
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・土地建物,土壌等の汚染 その5 人格権に基づく請求

・土地建物,土壌等の汚染 その5 人格権に基づく請求

 自分の土地建物等が汚染された場合に,東電に対して除染を請求しうるかという問題については,こちらで論じた。

 ただし,これは所有権者が自らの土地建物や農地等の除染を請求するものであって,自分の家や所有地だけ除染されても,その他の汚染がひどくて町や村を歩けなければ意味がない。
 そこで自分の住む町や村を住めるようになるまで,公道から河川,公園等の日常生活の範囲内すべて除染せよと,何らかの根拠に基づいて請求することができないか。


 まず,妨害排除を請求するにあたってどのような法律的根拠が考えられるのか。

1 不法行為構成(民法709条,原賠法3条)
 不法行為責任の内容として賠償だけでなく,原状回復や差し止め等の請求もなしうるとする説もあるが少数説。
 
2 物権的請求権(所有権に基づく妨害排除請求権)
 自分の所有地については可能であるが,他の部分の除染請求までは難しい。

3 環境権=人が健康で'快適な生活を維持するために必要な良き環境を享受し,かつ,これを支配し得る権利
 権利内容の不明確性が問題となる。

4 人格権=生命・健康を人間が本来有する状態で維持しうる権利
 大阪空港訴訟の一審判決が,「個人の生活上の利益は物権と同等に保護に値する」とし,その後の公害訴訟などで,広く根拠とされるようになった。
〔明文はないが,財産権である物権ですら排他的支配権の救済,保護の観点から妨害排除請求権等が認められることから,より重要な排他的権利である生命身体健康等への妨害の排除請求権は,私権として当然に認められてしかるべきという理屈〕

・金沢地方裁判所平成18年3月24日判決,志賀原発2号機差止訴訟1審判決
 電気事業者である被告が設置した原子力発電所の原子炉が運転された場合,原告らの生命,身体,健康が侵害される具体的危険が認められるとして,原告らの原子炉運転差止請求を認容した事例
個人の生命,身体及び健康という重大な保護法益が現に侵害されている場合,又は侵害される具体的な危険がある場合には,その個人は,その侵害を排除し,又は侵害を予防するために,人格権に基づき,侵害行為の差止めを求めることができると解される。原告らは,「人格権」を,生命,身体及び健康よりも拡大し,「人間の健康の維持と人たるにふさわしい生活環境の中で生きていくための権利」と主張するが,差止請求の根拠となる絶対的権利としての「人格権」は,名誉とプライバシーとを別にすれば,生命,身体及び健康を中核とする権利として捉えるべきものと考える。」
「原告らは,差止請求の根拠として「環境権」をも主張するが,「人が健康で快適な生活を維持するために必要な良き環境を享受し,かつ,これを支配し得る権利」が認められていると解すべき実定法上の明確な根拠はなく,また,環境は,社会の構成員が共通に享受する性格のものであるから,そのようなものについて個々人が排他的に支配し得るような私法上の権利を有していると認めることには疑問があり,少なくとも,その権利の内容及びこれが認められるための要件も明らかとはいえない現段階においては,このような権利ないし利益が実体法上独立の差止請求の根拠となり得ると解することは困難である。」
人格権に対する侵害行為の差止めを求める訴訟においては,差止請求権の存在を主張する者において,人格権が現に侵害され,又は侵害される具体的危険があることを主張立証すべきであり,このことは,本件のような原子炉施設の運転の差止めの可否が問題となっている事案についても変わるところはないと解すべきである。そして,前記第1章第2の2(5)イ,エの各事実によれば,原子炉周辺住民が規制値を超える放射線被ばくをすれば,少なくともその健康が害される危険があるというべきであるから,本件において原告らは,本件原子炉の運転により,原告らが規制値(以下「許容限度」ということがある。)を超える放射線を被ばくする具体的危険があることを主張立証すべきことになる。」


 この判決金沢地裁がいう「規制値」「許容限度」とはICRPの「一般公衆の防護のための線量限度として,実効線量限度を1年当たり1ミリシーベルト」が前提とされている。

 また,この判決は,商業溶炉で初めて,差し止めが認められた判決とされ,その後の控訴審,名古屋高等裁判所金沢支部平成21年3月18日判決では,「被控訴人ら本件原発の周辺公衆が許容限度を超える放射線を被ばくする具体的危険性があるとは認められない」として,被曝の具体的危険性の有無の認定で原告逆転敗訴となった〔最高裁は平成22年10月28日に控訴審判決を維持し上告棄却,上告不受理決定をした〕。

 ただし,この控訴審でも,「許容限度」の数字は特に問題とならず,ICRPの年1ミリシーベルトが前提とされている。


 このような判決の理屈でいくと,少なくとも〔バックグラウンド分を除く〕実効線量年1ミリシーベルト以上になる地域については,既に汚染されていて年1ミリの「許容限度」を超えているのだから具体的危険性の存在は明白とも言えるのであって,人格権に基づく妨害排除として,日常生活範囲の全ての除染を請求することができるのかもしれない。


 
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■3条の賠償責任の法的性質 その4 民法709条との関係

■3条の賠償責任の法的性質 その4 民法709条との関係


〔関係を論じた判例〕
 原賠法3条1項本文による損害賠償請求権と,民法709条によるそれとの関係を論じた判例としては,以下のようなものがある。

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・平成16年9月27日東京地裁判決(判タ1195号263頁)
 宅地販売業者が,売却予定で宅地造成中に,JCOの臨界事故が起き,予定価格での売却ができなかったとして,原賠法等を根拠に損害賠償請求した事例。 
「なお,原賠法2条2項,3条1項の「損害」を前提のように解する以上,原告が被告の「原子炉の運転等」以外を加害原因として主張していない本件においては,原賠法3条1項による無過失損害賠償責任と別個に民法709条による賠償責任が成立する余地はなく,原賠法3条に基づく請求(主位的請求)が認められない場合には,民法709条に基づく請求(予備的請求)も認められない。」
 なお,控訴審判決は,そのまま結論維持・平成17年9月21日東京高裁判決(判時1914号95頁)

・平成20年2月27日水戸地裁判決(判タ1285号201頁)
 JCO臨界事故関係。近隣住民が被爆及びPTSD等健康被害で,JCO及びその親会社住友金属鉱山に対して,主位的に民法709条,予備的に原賠法3条による損害賠償請求をした。
「原賠法に規定する原子力損害の賠償責任は,原子力事業者に対して原子力損害に関する無過失責任を規定するなどした民法の損害賠償責任に関する規定の特則であり,民法上の債務不履行責任又は不法行為の責任発生要件に関する規定は適用を排除され,その類推適用の余地もないものであるから,本件事故による被爆と相当因果関係があるものとして損害賠償を請求する限りにおいては,原子力事業者に該当する被告JCOとの関係においても,民法上の不法行為に基づいて,賠償請求を認めることはできないというほかない。」
 なお,控訴審判決は,そのまま結論維持・平成21年5月14日東京高裁判決(判時2066号54頁)

------------------------------



〔考え方〕 
 原賠法3条と民法709条との関係を論じる場合に,「原子力損害」の意味の理解が前提として重要である。「原子力損害」の意味,考え方については,こちら
-----------------------------------
A 無限定説
 「原子力損害」を,原子炉の運転等(2条1項)により発生した損害で,2条3項の「作用」と相当因果関係あるもの全てを含むと広くとらえる説(下級審判例)
B 限定説
 「原子力損害」を,2条2項の字義どおり,核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用により生じた損害とし,その範囲を限定していく考え(立法過程での関係者の考え,原子力事業者側の考え)
 B1 核燃料物質の放射線や毒性で生命身体財産が害された場合のみ(直接損害のみ)
 B2 直接損害以外にもその結果生じた逸失利益等の損害含む(直接損害+間接損害)
------------------------------------


 まず,立法過程では,かなり曖昧であるが,以下のように考えられていた。

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原子力災害補償専門部会の答申(昭和34年12月)
「「原子力損害」とは、核燃料物質等の放射性、爆発性その他の有害な特性によって第三者のこうむった損害を指し、一般災害による損害を含まないものとする」

・原子力委員会内定「原子力災害補償制度の確立について」(昭和35年3月)「(2)原子力損害
 本制度の対象となる原子力損害は、原子力事業側の偶発的事故であると否とをとわず、核燃料物質等の特性により生じた損害とし、一般災害を含まないものとする。」

衆議院国会審議(昭和35年5月18日)
「○中曽根国務大臣 この第二条の第二項に書いてありますように、原子力損害とは、原子核分裂の作用、つまり、原子炉の内部における作用の影響による分、または核燃料物質によって汚染されたものの放射線の作用、つまり、これはその結果出てきたものの放射能による汚染の作用、それから、これを吸引したとかなんとかいうような場合の毒性作用、こういう損害をいうのでございまして、たとえば、輸送途中におけるいろいろなそういう事故等もこれに入ってくるのであります。
○前田(正)委員 具体的に申し上げますならば、放射能をかぶった場合の退避命令、そういうものの立ちのきによる退避の費用などは入っておるわけですか。
○中曽根国務大臣 それとこれとの相当因果関係がどの程度あるか、そういう判定の問題になりますが、その辺は法律解釈の問題でございますから、原子力局長から答弁いたさせます。
○佐々木(義)政府委員 事故が発生した場合の退避の際に要した費用等に関しましては、もちろん、相当因果関係を持っている場合には賠償額の中に入りますが、ただいま御指摘になりました、いわゆる原子力損害とは何ぞやという損害そのものの定義の中には、そういう費用は入っていないというふうに解釈しております
○前田(正)委員 そうすると、損害の中には入ってないけれども、補償の中には、民法の相当因果関係の範囲のものは全部入る、こう解釈していいわけですか。
○佐々木(義)政府委員 その通りでございます。」
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 上の佐々木政府委員の答弁を解釈すると,以下のようになるのではないか。

 条文
--------------
・原賠法2条2項本文「この法律において「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう。」
・原賠法3条1項本文「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」
--------------

 原賠法2条2項本文の定義規定にある「原子力損害」は損害原因に関する定義であって,他方3条1項本文により賠償されるべき「原子力損害」は,原子炉の運転等により生ずる損害のうち相当因果関係のある損害を意味するものであって,別の観点からするものであるから,一致する必要はない。あるいは,損害原因の類型は2条の定義どおりであるが,損害結果の類型については,条文上の限定がないので,民法の一般の不法行為と同様に考えてよく,2条と3条の損害はともに,損害結果としていかなる類型であろうと相当因果関係があるものであれば,含まれるという理解であろう。

 ただし,上の国会審議では退避費用等の間接損害が賠償されるかという問題についての議論がなされているだけである。
 直接損害,間接損害というのも曖昧なところがあるが,一般には,直接損害は,放射線の被曝で人の健康が害されたり,放射性物質による汚染で財物が使用できず,無価値となったりしたことによる損害で,間接損害は,直接損害を被ることを前提にした入院費用とか退避費用とか逸失利益を意味するものと思われる。

 そして直接損害を受けたことを前提とせずに拡大する風評被害のようなものについては,かつて以下のように論じられていた。

----------------------------------
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/songai/siryo/siryo05/siryo1.htm
第4回原子力損害賠償制度専門部会議事要旨(案)
1.日時     平成10年9月30日(水)
         午後14:30~17:00

(3)原子力損害(予防措置費用)について
事務局より資料4-2に基づき説明があった後、主に次の質疑応答があった。
(遠藤)いわゆる風評損害についての解釈・裁判例はどうか。また、条約での解釈を問う。
(事務局)風評損害は原子力損害に該当しないと考えている。原電敦賀で放射能汚染の風評と魚の売上げの減少との間に相当因果関係なしとの平成元年名古屋高裁判決がある。
(能見)まず、風評をもたらす原因を作出したことに責任(過失)があって、かつ、それと風評から生ずる損害が相当因果関係のある限り、民法不法行為法の賠償の対象にはなる。ただ、原子力損害ではないので、原賠法の問題ではないと理解している。条約上も同様であると考える。
(遠藤)核物質輸送船が沈没して実害又は風評損害が生じるケースを想定して質問した。
(鳥井)もんじゅのように放射線は出ていないが、ナトリウムの影響による場合はどうか。
(事務局)放射線の特性による損害であることが必要である。
(鳥井)これからの原子力のあるべき姿からしてそれでいいのか。ナトリウム化合物による腐食であっても原子炉事故による被害に変わりはない。
(住田)法律の守備範囲の問題と関わってくると考える。原賠法が無限責任や国の援助を定めているのは、原子力事故の甚大性・晩発性に配慮したものであり、過剰避難・誤想避難は原子力の心理的影響に基づくもので、これは他の法律が受け持っていると整理すべきである。原賠法は放射線等による損害すべてにつき補償するとの姿勢は鮮明にしておきたい
(能見)災対法で国や自治体がまず負担すると、原賠法に基づいて求償できるものか。
(事務局)法文上規定はないが、ありうるかと考える。
(部会長)求償できるかどうかは、原子力損害にあたるかどうかによろう。原賠法が分担すべき損害の範囲には、現行法の原子力損害の定義から読むのには工夫のいる部分もあり、避難費用を入れるにしてもどの範囲までにするか、例えばスイスやアメリカでは限界を明確にしている。現行法でカバーされているかというアプローチではなくて、原子力損害としてどういう概念で捉えれば妥当な守備範囲が決まるか、というアプローチをしながら、今後検討していくということも含めてこれでよいかということである。
(能見)予防措置費用の中のあるものについては、必ずしも条文上明確ではない。明確にして実際の裁判所の指針にするか、あるいは裁判所の解釈に任せるか、二つの選択肢がある。個人的には将来明確に書いたほうがよいと考えるが、裁判実務に詳しい方に聞きたい。
(山嵜)法律で範囲を明定すれば、裁判所もそれを参考にして認定することはあるだろう。しかしながら、伝統的な相当因果関係概念は若干異なるかもしれない。ここでの避難費用にはダメージという意味の不法行為の損害の他に、補償(コンペンセイション)的なものも入ってきている。後者を明定しても裁判所は限定的に判断するかもしれない。
(住田)解釈指針としての法律条文として損害概念を書ききれるかという立法技術的な問題もあろう。他法令や条約を参考に書ききれるなら、そのほうが法治国家として適切であろう。しかし書ききるのはかなり大変な作業である。個人的には以前にも述べたが、原賠法には原因しか書いてなく、損害概念については一般則に任せている。司法による運用を信頼したい。ただし、原子力損害にはわけのわからないものも入りうるし、法律家にはわからない分野ゆえ、一般的にはどういうものが入りうるかというコンメンタール的なものを作って裁判所の用に供しておき、裁判等である程度煮詰まってきたら法律事項であげられるものが出てくるかもしれない。また、支払基準的なものも必要ではないか。
(部会長)10年待たずに書けるなら、法改正することを含んでの検討であると理解する。
-----------------------------

 上では,能見善久教授は,「風評をもたらす原因を作出したことに責任(過失)があって、かつ、それと風評から生ずる損害が相当因果関係のある限り、民法不法行為法の賠償の対象にはなる。ただ、原子力損害ではないので、原賠法の問題ではないと理解している」と述べておられる。
 住田裕子弁護士も「原賠法が無限責任や国の援助を定めているのは、原子力事故の甚大性・晩発性に配慮したものであり、過剰避難・誤想避難は原子力の心理的影響に基づくもので、これは他の法律が受け持っていると整理すべきである。」としている。

 平成10年のこの時点では,既に平成元年5月17日の敦賀原発風評被害訴訟名古屋高等裁判所金沢支部判決(判タ705号108頁)が存在し,そこでは,理論上は,風評被害のようなものも一定の限度で相当因果関係のある損害となりうる余地を認めているが,その訴訟では,原賠法と民法709条の適用関係は論じられておらず,当事者も被告事業者の業務上の注意義務違反(過失)を主張していることから,そもそも事案は、民法709条のみに基づく争いであったものとおもわれる。


 したがって,平成10年9月のこの時点では,こちらで述べたB2限定説のようなものは十分にあり得たものと思われる。


 しかし、平成11年9月30日にJCO臨界事故が起き、その翌年3月の原子力損害調査研究会の損害認定指針では、「茨城県内で収穫される農畜水産物及びこれらに関連する営業であり、広く茨城県県外を商圏とするものについては、生産あるいは営業の拠点が茨城県内にあり、取引の性質から相手方等が取引拒絶等の行動に及ぶこともやむを得ないものと認められ、現実に減収のあった取引について、事故調査対策本部の報告(平成11年11月4日)及び住民説明会(同年11月13,14日)等によって、正確な情報が提供され、かつこれが一般国民に周知されるために必要な合理的かつ相当の時間が経過した時点(同年11月末)までの期間に生じた減収分(売上高から売上原価を控除した売上総利益=粗利益の額)が損害と認められる。」とされ、賠償対象となることが指針として示された。


 その後の平成15年6月24日水戸地裁判決(判時1830号103頁)は,水産加工品の風評被害の賠償を,原賠法3条と民法709条,同715条を根拠に求めた裁判例であるが,ここでは「損害」の発生自体が否定されており,一般に風評被害のようなものが「原子力損害」に該当しうるか否かや,原賠法と民法の適用関係については論じられていない。
 
 そして,風評による土地価格の下落について,民法709条の適用排除を判示した前掲の平成16年9月27日東京地裁判決が、「この点,原賠法2条2項,3条1項の「損害」とは,「原子炉の運転等」,「核燃料物質の原子核分裂の過程の作用」と相当因果関係があるすぎり,すべての損害を含むと解すべきであって,条文上何らの限定が加えられていないことから,被告が主張するような人身損害又は物に対する損害を伴わない損害(純粋経済損失)を除外する根拠はないというべきである。」と判示した。
 ただし,この判例は,純粋経済損失については肯定しているが,風評被害のようなものも一般に「原子力損害」となりうることを認めたか否かについては微妙である。

 その後の平成18年2月27日東京地裁判決(判タ1207号116頁)では,「本件臨界事故によって消費者が納豆商品を買い控えるなどした結果,納豆業界全体の売上げが減少するという風評被害が生じていたものと認められるのであって,本件臨界事故発生と納豆業界全体の売上減少との間には一定限度で相当因果関係があるということができる。」「もっとも,本件臨界事故後,一般消費者が納豆商品を買い控えるに至ったことが窺われるものの,それは一般消費者の個別的な心情に基づくものであり,放射線汚染という具体的な危険が存在しない商品であるのにもかかわらず,それが危険であるとして,上記商品を敬遠し買い控えるに至るという心理的状態に基づくものである以上,そこには一定の時間的限界があるというべきである。この時間的限界をどのように画すかは困難な問題であるが,それは一般消費者が上記のような心情を有することが反復可能性を有する期間,あるいは一般的に予見可能性があると認め得る期間に限定されるというべきである。」と判示し,風評被害も賠償の対象になりうることを認めたものの,この裁判は民法709条で風評被害が争われたものであり,風評被害も「原子力損害」たりうるとする立場(無限定説)を前提とすると,「原子力損害」について民法709条の適用を排除した前掲の平成16年9月27日東京地裁判決との整合性はないように思われる。

 この判決の直後の平成18年4月19日東京地裁判決(判時1960号64頁,原賠法で風評被害の賠償を求めた事案)では,「同法が,賠償されるべき損害の範囲について何ら限定を付していないことからすれば,当該事故と相当因果関係が認められる損害である限り,これを「核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害」(同法3条1項)と認めて妨げないというべきであり,いわゆる風評被害について,これと別異に解すべき根拠はない。」と判示され,はっきりと風評被害のようなものも,「原子力損害」として原賠法で賠償の対象となる可能性が認められることになった。

 

 いまのところ下級審の判例しかないが,裁判所としては、原賠法3条の「原子力損害」については,損害結果の類型については,特に限定なく,「原子炉の運転等」により発生した損害で相当因果関係があるもの全てを意味するとし,風評被害のようなものも相当因果関係がある限り含まれるとする立場(無限定説)ということになろう。


1 直接損害
2 間接損害
3 その他相当因果関係あるもの全て(純粋経済損失,風評被害等)

 つまり,原賠法の「原子力損害」については,以前は上の1と2だけ(その他は民法709条で)という考えもありえたが,遅くとも平成16年以降の判例の流れからすると,1から3まで全部,原賠法でカバーされることになる。

 上の1+2のみとするB限定説なら,その外側である3については,民法709条の問題となり,風評被害等について民法709条が排除されることはない。
 他方,1から3まで,全て原賠法でカバーされるとするA無限定説なら,民法709条を問題とする必要性はないことになる。
 ただし,原賠法が,民法の不法行為規定の特則だといっても,民法に関しては,原賠法4条3項のような排除規定がない以上,民法709条が当然適用排除される否かはかならずしも自明とはいえないが,特別法は一般法に優先するという原則に基づき,一般法である民法の不法行為規定の適用が排除されるということなのだろう。



〔関係〕
 原賠法3条と民法709条との関係については,以下のようになろう。

A 無限定説
 損害については全部重なり,「原子炉の運転等」を加害原因とする限り,原賠法の適用のみが問題であり、民法709条は適用の余地はない。〔下級審判例,平成16年9月27日東京地裁判決,平成20年2月27日水戸地裁判決〕

B 限定説
 原賠法と民法709条との「損害」の重なる部分については,民法は適用排除,その余の部分については,民法709条で請求しうる。〔たぶん前述の能見教授らの平成10年時点での理解〕


 最高裁判決のない現時点での,判例の理解としては,概ね原賠法3条1項の「原子力損害」についてはAの無限定説を前提に,一般法である民法709条については適用の余地なしとする立場だと思われる。

〔なお,民法717条の土地工作物責任と,原賠法との関係を論じた判例は見あたらないが,おそらく同様の理解で,「原子力損害」については,適用の余地なしということになろう。〕


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■2条「原子力損害」の意味・範囲 その25 継続的不法行為と消滅時効

■2条「原子力損害」の意味・範囲 その25 継続的不法行為と消滅時効

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民法第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
--------------------------
鉱業法第115条 損害賠償請求権は、被害者が損害及び賠償義務者を知つた時から三年間行わないときは、時効によつて消滅する。損害の発生の時から二十年を経過したときも、同様とする。
2  前項の期間は、進行中の損害については、その進行のやんだ時から起算する。
--------------------------

消滅時効,除斥期間一般については,こちらで述べた。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-30.html


〔考え方〕
 交通事故のように一回の加害行為で一時に損害を発生させるものでは,「損害及び加害者を知った時から三年間」というのは、〔後遺障害を除いて〕比較的容易に決定しうるが,不動産の不法占拠や公害などのように,加害行為が継続し,日々損害が発生する継続的不法行為については,消滅時効の起算点をどこに求めるかについては,判例や学説上,諸説ある。

A 古い全部進行説(古い判例,大審院判決大正9年6月29日)
 最初に損害及び加害者を知ったときから進行するとする立場。
※この説に対しては,現に加害行為が継続し,損害が発生続けている場合であっても,損害賠償請求できなくなることになった不当であるとして,後の判例では覆されている。

B 個別進行説(大審院連合部判決昭和15年12月14日,名古屋地裁判決昭和55年9月11日判時976-40)
 損害賠償請求権は,日々発生する損害ごとに,その時効期間は進行するとする立場。

C 個別進行修正説(熊本地裁判決昭和48年3月20日判タ294-108,東京地裁判決昭和56年9月28日,判タ458-118,津地裁四日市支部判決昭和57年6月25日判時1048-25)
 個別進行説を前提にし,損害類型によっては、「損害及び加害者を知った時」の解釈で起算点を後ろにずらす立場。

D 全部進行説
 継続的不法行為が止んだ時点から,損害全部について,消滅時効が進行するとする立場〔鉱業法115条2項類推?〕。

E 分類説
 継続的不法行為のうち,非累積性の被害については個別に進行し,累積性の被害にいては,不法行為が止んだ時から進行するとする立場〔鉱業法115条2項類推?〕。


 大体、上のような立場があり、現時点で,裁判所の統一的な確定的判断はないようであるが,ざっと見たところ概ね上のCかEのような立場であろうと思われる。
 


〔原発事故では〕
 原発事故で継続的不法行為による損害としては、以下のようなものが考えられる。

1 非財産的損害
a汚染等で避難,退避生活を強いられることによる精神的苦痛

2 財産的損害
a汚染により土地建物等が使えないことによる財産的損失(自宅や農地等の使用不可)
b 避難や汚染等で休業を強いられ発生する逸失利益
c 汚染水漏出継続で漁業ができないことによる損失
d 放射性物質による土壌汚染や汚染水漏出なとで風評被害が続くことにる損失


 前記のC個別進行修正説でも,具体的にどのような場合に起算点を後ろにずらすのか,Eの分類説でも,累積性あるものとそうでないものをどのように明確に区別できるのかという問題があって,こういう場合は裁判ではこうなるということが,どうもはっきりしない。

 訴訟になりかねない法的紛争では,消滅時効に関しては,常に悲観的に考えて行動するのが良く,特に財産的損害で,一日いくらで計算できるたぐいのものは,日々発生し、消滅時効は個別進行するという前提で行動すべきであろう。


-------------------------------

※東電による仮払いを債務の「承認」(民法147条3号)とみて,時効中断の余地

※2aで,放射性物質による汚染等のために使用を妨げられている自宅等の不動産について,「不動産価格<使用を妨げられていることによる財産的損害の合計額(≒賃料相当損害金×日数)」となった場合にどうなるのか、財物について,加害行為が続く場合に,その財産的損害の金額の上限というものを考えるのかという問題あり。また自宅については宿泊費との関係も問題。

※2d 風評被害について,継続的加害行為とみるべきか?
 原発事故が収束ぜず,除染も行われず,風評が継続して,商品の売れ行きが継続的に悪く,また取引値が安くあるいは値が付かずの場合?

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・税金関係 その1 減免・控除等

・税金関係 その1 減免・控除等

東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災特例法)

 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 所得税法等の特例(第四条―第十四条)
 第三章 法人税法等の特例(第十五条―第三十三条)
 第四章 相続税法等の特例(第三十四条―第三十八条)
 第五章 登録免許税法の特例(第三十九条―第四十一条)
 第六章 消費税法等の特例(第四十二条―第四十八条)
 第七章 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の特例(第四十九条)

第二条  この法律において、「東日本大震災」とは、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。



------------------------------
〔国税庁〕
東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/110427/01.htm

1 大震災の被災者に対する税制上の措置
問 東日本大震災により資産に損害を受けた方に対する税制上の措置にはどのようなものがありますか。

(答)
 東日本大震災(平成23 年3月11 日において発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいいます。以下「大震災」といいます。)により資産に損害を受けた個人の方に対する税制上の措置の主なものは次のものがあります。
(1) 所得税の減免措置
所得税の雑損控除及び災害減免法の税金の軽減免除の適用
詳細は、前記Ⅰ第1の1のとおりです。
ロ 震災特例法による大震災の被災者に係る税制上の特例措置の適用
震災特例法による被災者に係る所得税関係の特例措置には、以下のものがあります。
詳細は、前記Ⅰ第1の3のとおりです。
① 雑損控除の特例
② 雑損失の繰越控除の特例
③ 災害被災者に対する所得税の減免の特例
④ 被災事業用資産の損失の必要経費算入に関する特例等
⑤ 純損失の繰越控除の特例
⑥ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の適用期間に係る特例
⑦ 被災代替資産等の特別償却
⑧ 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例
(2) 納税の猶予
詳細は、前記Ⅰ第3のとおりです。
(3) 申告・納付などの期限の延長
詳細は、前記Ⅰ第4のとおりです。
【法令等】
所法72、震災特例法2、前記Ⅰを引用したものについては引用元参照

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1 東日本大震災の意義
問 震災特例法の対象となる「東日本大震災」には、長野県などの地震による災害も含まれますか。

(答)
 今回の税制の特例措置は、「東日本大震災」の被災者等の負担の軽減を図るためのものであり、① 東北地方太平洋沖地震の余震や、② 3月12 日に発生した長野県北部の地震による災害なども、一連の災害として、特例措置の対象に含まれております。

(参考) 3月15 日に発生した静岡県東部の地震による災害も、特例措置の対象に含まれています。
 また、福島県の原子力発電所の事故による災害も対象となります。
【法令等】
震災特例法2①
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16 原子力発電所の事故による損失
問 原子力発電所の事故による災害により、農作物や原乳を廃棄した場合の損失の取扱いはどのようになりますか。

(答)
 震災特例法の対象となる「東日本大震災」については、「東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害」と規定されており、福島県の原子力発電所事故による災害も対象となります
したがって、例えば、原子力災害対策特別措置法に基づいて行われた避難指示や食品の出荷制限によって、廃棄を余儀なくされた農作物等の棚卸資産に係る損失など、地震や津波などによる事業用資産の滅失と同様の損失と認識できるものについては、棚卸資産について大震災により生じた損失の金額として震災特例法における被災事業用資産の必要経費算入に関する特例等や純損失の繰越控除の特例などが適用されることとなります。
【法令等】
所法37①、震災特例法2①、6①


17 風評被害による損失
問 原子力発電所の事故に伴う風評被害により、農作物が出荷できない等の被害が生じているが、この損失も「原子力発電所の事故による災害」に含まれるのか。

(答)
1 いわゆる風評被害の震災特例法上の取扱いについては、損失の実態や、原子力損害賠償法の補償の範囲や指針に関する今後の議論などを踏まえ、その結論と整合的に取り扱うこととなるものと考えています。

(注) 例えば、原子力損害賠償法の補償の対象とされるなど、地震や津波などによる事業用資産の滅失と同様の損失と認識できるものについては、震災特例法における被災事業用資産の必要経費算入に関する特例等や純損失の繰越控除の特例などが適用されることとなります。
2 なお、農業所得に係る所得税の計算に当たっては、収入金額から必要経費を控除して計算することになっているので、災害によってその収入金額が減少した場合や必要経費が増加した場合には、課税の対象となる所得金額は自動的に減少する仕組みになっています。
【法令等】
震災特例法2①


18 家畜の損失
問 家畜が大震災により死亡しました。
この場合の損失の金額の取扱いはどのようになりますか。

(答)
1 棚卸資産である家畜が死亡した場合、その家畜に係る損失の金額は、納税者の選択により、平成22 年分又は平成23 年分の事業(農業)所得の金額の計算上、必要経費に算入することとなります。なお、その死亡した家畜の損失に係る共済金が支給された場合、その共済金は、平成23 年分の事業(農業)所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなりますが、納税者が家畜に係る損失の金額を平成22 年分の事業(農業)所得の金額の計算上必要経費に算入した場合には、その共済金は、その家畜に係る損失の金額を限度として平成22 年分の事業(農業)所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなります。
2 減価償却資産である家畜が死亡した場合、その損失の金額(未償却残高)は、納税者の選択により、平成22 年分又は平成23 年分の事業(農業)所得の金額の計算上、必要経費に算入することとなります。なお、家畜の損失に係る共済金が支給された場合、その家畜に係る損失の金額からその共済金を控除した金額を必要経費に算入することとなります。
【法令等】
所法37①、51①、震災特例法6①②、震災特例令5②


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■4条 責任集中の原則 その14 民間の第三者の責任

■4条 責任集中の原則 その14 民間の第三者の責任


 今回発生した損害〔今後の拡大分も含む〕について,第三者の行為が関与している場合どうなるのか。

 経営者公務員については,以前に論じた。また,東電社員や設計や資材原料供給業者や,下請け等の関係業者は,原賠法4条によって,「原子力事業者以外の者」として当然に免責されるだろう。〔ただし,故意がある場合は,5条で求償請求される可能性はある。〕

 そこで,残りの他の民間の第三者〔法人含む〕の関与によって,損害が発生拡大している場合について,検討してみたい。



〔分類〕
 放射性物質による汚染は,どの程度の危険性があるのか判然としないことから,次ぎの二つの方向での損害拡大と,それと関係なく火事場泥棒的関与をする第三者の行為があり得る。

※低線量長期の被曝についての客観的危険性〔諸説あって現時点では判然としないとする〕

1 結果的に客観的危険性よりも,危険性を大きくみせる方向での情報を流通させたことによって,風評被害等の損害が拡大する。
・過大な危険宣伝で,風評被害が拡大する。
・過大な危険宣伝で,不必要な避難等をする人が出てきて損害が拡大する。

2 結果的に客観的危険性よりも、危険性を小さくみせる情報を流通させることによって,被曝等による健康被害等の損害を拡大させる。
・○○ミリシーベルトまでは害がないと宣伝したが,後に被曝者の発ガン率等に増加が認められた場合

3 火事場泥棒的な関与をする第三者
・避難区域で窃盗をする。
・義捐金詐欺等の行為。
・産地偽装等で風評被害拡大させる。



〔特徴〕
1と3は即時的な損害,2は生じたとしても晩発的
1と3は主として財産的損害,2は生命身体に関する非財産的損害がまず問題



〔検討〕
 3の場合で,犯罪に該当するような場合は,その犯人は刑事罰の対象となるはの当然であり,民事的にも不法行為(民法709条)が成立し,被害者に対して,損害賠償責任を負うのは当然であろう。
 そのような犯罪結果は,通常は,原子力事業者側にとって予見可能性のない特別損害であり,相当因果関係のある原子力損害とはえないとされ,原賠法4条の適用の前提を欠くだろうし,仮にそうでなくても,これら犯罪者が,原賠法4条によって民事責任を免責されるというのは,法の趣旨からして考えられないからである。〔避難勧告がでた地域で,空き巣が入った場合に,東電や国の責任がどうなるのかについては,別項で考えたい。〕


 危険又は安全情報に関する上の1と2の場合は,事故後の関与を問題とすることになろうから,こちらで述べた事故後の後続行為による損害拡大についての責任の問題がある。

 また,東電の負う「原子力損害」の賠償責任との関係が問題となり,原発事故との相当因果関係の認められる損害の範囲内での損害の拡大かどうか,その場合の原賠法4条との関係,相当因果関係の範囲を超えて発生した損害はどうなるのかという問題がある。

A 第三者の行為で「原子力損害」(原発事故と相当因果関係のある損害)が拡大したといえる場合。
 A1 原発事故後に関与した第三者も原賠法4条で免責されるとする立場。
 A2 原発事故後に関与した第三者は原賠法4条での免責を受けないとする立場。
B 第三者の行為で拡大した損害が「原子力損害」とはいえない場合

 
・まず,上のAとBの区別は,原発事故との相当因果関係の有無(通常損害か否か,そうでない場合は,予見可能性があったか否か)で区別される。

・Aの場合で,A1の立場だと,原賠法4条で第三者は故意過失の有無にかかわらず,被害者との関係で免責される。〔故意ある場合にかぎって,原子力事業者から求償請求を受ける。原賠法5条〕

・Aの場合で,A2の立場だと,第三者も原子力損害について,故意又は過失ある場合に,民法709条で賠償責任を負うことになる〔「原子力事業者」ではないので原賠法の無過失責任を負うことはない。〕。この場合は,原子力事業者も責任を負うので,両者間の共同不法行為の求償関係等が問題となる。これはこちらで触れた。

・Bの場合は,「原子力損害」にあたらず,原則として原子力事業者は責任を負わないので,当該第三者に民法709条による不法行為成立の余地があるのみとなる。



〔具体的には〕
 上の1や2のように危険性、安全性に関して,結果として誤情報を流して損害を拡大させた場合,その第三者が,損害賠償責任を負う余地があるとして,具体的にどのような場合に負う可能性があるのか。

 まず,一般論として,単なるテレビ等のマスコミでの発言や,書籍等での記述,ネットでの書き込み等で,放射性物質や低線量被曝に関して,安全とか危険とかの発言をして,結果として誤情報を流すことになったとしても,損害賠償義務が発生するようなことはなかろう。現時点で,既に相反する情報が氾濫しているのであって,どちらを信用するかは受け手の判断によるものであり,特定の個人の名誉や信用を毀損するものではない限り,いちいち不法行為が成立していたのでは,そもそも自由な言論が成り立たない社会となるのであって,原則として責任を問われることなかろう。
 
 可能性があるのは,「誤」情報と知りつつ,意図的に,特定地域の農産物が危ないというような情報を流して,損害を与えたような場合であって,この場合は,通常の企業の信用毀損の場合と同様に考えられ,損害賠償義務が発生する余地はある。ただし,この場合でも,一切汚染がありえない地域は別として,そもそも微量の放射性物質や低線量被曝の危険性について「誤」情報であるか否かは,おそらく現時点ではっきりしないのであり,行為者の故意や過失が立証できるのかという問題があって,よほど明白な虚偽情報でない限り、その責任を問うことは容易ではなかろう。

 他には,たとえばXと専門家Yに契約関係があって,YはXのために,微量の放射性物質や低線量被曝の危険性,安全性について,適切なアドバイスを与えなければならない立場にあった場合。
 この場合,当然,専門家YはXに,その時点でのYの研究してきた成果やその学問領域の一般的成果に基づき,Yが適切だと考えるアドバイスをXに与える義務があり,この義務に反して,Yが,それまでの自分の研究成果に反し,その学問領域の成果にも反するような,結果としてでたらめなアドバイスを与えて,Xに損害を発生させたような場合は,善管注意義務違反(民法644条)等でXに対して債務不履行責任(民法415)を負い,同時に不法行為責任(民法709条)を負う可能性がある。

 さらに派生的には,Xが国や自治体であったり,あるいは知事や政治家等の人物で,住民の健康や安全を確保すべき施策を決定実行しうる立場にあることを知りつつ,Yが,それまでの自分の研究成果にも反し,その学問領域の成果にも反するような,結果としてでたらめなアドバイスを敢えて与えて,Xや,そこの住民らに損害を発生させたような場合は,通常損害か,あるいは予見可能性のある特別損害にあたるだろうから,民法709条でその住民らに対して,損害賠償義務を負うことになる可能性はある。

 ただし,アドバイスの時点で,特に学問上の定説もないような場合,Yが自らの学問成果に基づいてアドバイスしている限りは,普通は責任を問われないだろう。可能性があるのは,アドバイスの時点で,自らの説が間違っていることに気づいていたり,間違っていないまでも,自説が確実でないことは知っているのに,敢えて為政者に損害発生のリスクが高まる方向での施策を実行させたような場合であろう。

 なお,この場合,「損害発生のリスクが高まる方向」の意味は難しくて,微量な放射性物質や低線量被曝についての客観的危険度があるとして,それより危険性を過大評価すると財産的損害の拡大につながり,過小評価になると人の生命や健康への非財産的損害拡大につながる可能性があり,それがまた即時的に発生するか,晩発性かの差もあって,どのようなアドバイスであっても「損害発生のリスクが高まる方向での施策を実行させた」とは簡単に言えないところがある。さらに,結果として危険の過大評価であった場合でも,財産的損失以外にも,家族の離散や避難生活でのストレスによる病気等の非財産的損害もありえある。
 ただし、どちらがより致し方ない判断だったといえるのかという点では、一般的には,倫理的観点からすれば,経済的損失が多少大きくなっても,人の生命身体を保護する方向での,つまり安全よりの判断をするべきということなのであろうから,そういう意味では,危険性について小さめに評価しアドバイスをする専門家の方が,そうでない専門家よりも,責任を問われる可能性は高いのかもしれない。もっとも、その場合の人的損害は晩発性という問題があって、10年も20年も先だと,その専門家はもういないという可能性がある。また、こちらで触れたように、そもそも低線量の被曝による影響については、今のところ裁判上の立証の難しさがある。




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■ 原子力損害賠償請求訴訟 その1 裁判管轄(国内土地管轄)

■ 原子力損害賠償請求訴訟 その1 裁判管轄(国内土地管轄)

 今回の原発事故で,損害を被った者が,民事訴訟や民事調停を申し立てる場合に,どの裁判所に申し立てることができるのかという問題。

 原賠法は,民法の不法行為規定の特則であり,不法行為の一種であるから,通常の不法行為と同様に考えてよいはずである。以下,1~3のどれでも,原告は選択しうる。


1 被告法人の主たる事務所又は営業所(民訴法4条4項)
 東電の本店所在地は,千代田区なので,東京地裁の本庁ということになる。

※なお,訴額が140万円以下なら,原則として,同地管轄の簡易裁判所となる(裁判所法33条1項1号)。以下すべて同じ。


2 原告の住所地(義務履行地=債権者の現在の住所,民訴法5条1号,民法484条)
 ex. たとえば,避難勧告が出され福島県双葉郡から,長野県松本市に避難・転居し,住民票はまだ福島にある場合→長野地裁松本支部,又は,松本簡裁

※民法484条の「住所」は,各人の生活の本拠を意味するものとされ(民法22条),住民票の移転の有無を問わない。現に生活の本拠として住んでいるところであれば足りる。


3 不法行為地(民訴法5条9号)
 民訴法5条9号の「不法行為のあった地」には,加害行為地と,結果発生地がともに含まれると解されるので,少なくとも両方が国内である場合には,ともに不法行為地ということになろう(大阪地裁平成7年7月19日判決,判タ903号238頁)。

・たとえば仮に,福島第一原発から,放射性物質が飛来し,その結果,千葉県旭市(のうち旧旭市)の野菜が汚染され出荷制限にあって損害を被った場合は,そこが不法行為地(結果発生地)となり,管轄は,千葉地裁八日市場支部,又は,銚子簡裁にあることになる。

・また,放射性物質の飛散元になった福島第一原発(加害行為地)は,福島県双葉郡にあるので,管轄は,福島地裁いわき支部,又は,福島富岡簡裁にもあることになる。

ただし,福島富岡簡易裁判所は,原発に近く,避難区域にあるため,現在は,以下のとおり。
http://www.courts.go.jp/about/bousai/sinsai_110418.html

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※平成23年4月18日 福島富岡簡易裁判所の事務移転
 双葉郡8町村(広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村)を管轄する福島富岡簡易裁判所については,事務の取扱いを一時停止しておりましたが,裁判所法第38条の規定に基づき,平成23年4月22日から当分の間,同裁判所が取り扱う事務のうち,刑事事件に関する事務は,いわき簡易裁判所において,民事事件に関する事務を含むその余の事務は,郡山簡易裁判所においてそれぞれ取り扱います(双葉郡8町村を管轄する地方・家庭裁判所の裁判事務は,これまでと同じく福島地方・家庭裁判所いわき支部で取り扱っています。)。
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