東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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・設置関係資料 その24 福島原発事故調査・検証委員会 中間報告

・設置関係資料 その24 福島原発事故調査・検証委員会 中間報告


http://icanps.go.jp/post-1.html
http://icanps.go.jp/111226Honbun6Shou.pdf


●中間報告のおもしろ箇所


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384頁以下

b 改訂耐震設計審査指針
 平成18 年9 月19 日に改訂された耐震設計審査指針では、津波に関しては、施設の周辺斜面の崩壊等とともに地震随伴事象として、「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」を「十分考慮したうえで設計されなければならない。」と記述されており、これが全てである。発電用原子炉施設の設計に当たり、必ず津波の影響を考慮するものとした初の指針であった。
 安全委員会事務局で本指針の改訂作業を担当した当時の課長は、当委員会によるヒアリングに対し、安全設計審査指針では、津波を最も過酷な自然現象の例として挙げているだけで、必ず津波を考慮すべきとは読めないため、改訂指針において頭出しをする必要があったとしている。
 この「極めてまれ」以下の表現ぶりは、同指針中で地震動に関して「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動」を適切に策定して耐震設計を行うこととしたことと表現ぶりを合わせたものとのことだが、津波に関して「極めてまれ」の意味するところについては具体的には書かれていない。なお、地震動に関しては、「設計上考慮する活断層として、後期更新世以降の活動が否定できないものとする。」(後期更新世以降とは、13 万年から12 万年前以降をいう。)との記述がある
 津波水位の評価方法や津波に対する安全設計の考え方についても、具体的な記述はない。
改訂指針では、地震学的見地からは策定された地震動を上回る強さの地震動が生起する可能性は否定できず、「残余のリスク」が存在することも初めて明記された。ただし、残余のリスクについては、改訂指針の「基本方針」の項に記載され、基本方針としては「・・・と想定することが適切な地震動による地震力に対して、その安全機能が損なわれることがないように設計されなければならない。」としているのに対し、残余のリスクについては同項の解説の中で策定地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことによって生ずる様々なリスクとして記述されており、必ずしも想定津波を超える高さの津波等の地震動以外の地震力に起因するリスクを含む概念であるとは明記されていない

c 耐震設計審査指針改訂に係る主な議論等
 平成13 年7 月10 日の第1 回耐震指針検討分科会において、NUPEC の取りまとめた「平成12 年度原子力施設の耐震安全性に関する調査成果報告書」が資料として提出され、安全設計審査指針に基づいて安全性評価の行われている津波に関して、津波評価法の標準化の検討が土木学会で進められていること及び前記(2)のとおり関係省庁が津波評価の検討を行い「地域防災計画における津波対策強化の手引き」をまとめたことが紹介され、さらに口頭で津波に関する今後の検討の方向性としては、同報告書で記載されたものは特にないことが申し添えられている。このことについて特段の議論はなかったが、事務局として、検討の当初から津波評価が視野に入っていたことがうかがえる。
 平成13 年10 月30 日の第3 回分科会で、事務局より検討すべき項目の分類・整理案が提案され、検討すべき22 項目中、地震による二次的影響という項目の中で津波の評価方法が挙げられている。具体的には、地震による津波の影響を評価するための具体的な指針を明記すべきこと及び津波に関する安全性に関して①過去の津波評価、②津波シミュレーションによる評価、③設計津波高さの想定、④引き波に関する安全性等の検討が必要ということが挙げられている。
 その後、分科会の下に基本ワーキンググループ、施設ワーキンググループ及び地震・地震動ワーキンググループの三つのワーキンググループが置かれて議論が引き継がれ、津波を含む地震随伴事象に関しては、平成15 年2 月13 日の第6 回及び3 月20 日の第7 回の地震・地震動ワーキンググループにおいて議論が行われた。
 第6 回地震・地震動ワーキンググループでは、事務局より津波に対する安全性評価に関する資料が提出され、安全設計審査指針等の記述に基づく当時の基本的考え方、津波水位評価方法及び土木学会の津波評価技術について説明がなされた。
 これに対して様々な議論がなされたが、その一つとして、民間学協会が策定した手法を安全審査で採り入れようとしたときにどのようなプロセスを踏んで採り入れるのかというものがあった。これに対し、事務局からは、津波評価技術について、「『地域防災計画における津波対策の手引き』の取りまとめ等に関与した人々が参加して、民間手法としてある程度オーソライズされたものであり、教科書的な手法がない中では安全審査に使えるのではないか。」、また、「今後社団法人日本電気協会の電気技術指針等に反映されるのであろうが、その際にはパブリックコメント手続も含めて透明性の高い審議プロセスが取られるので、これを参考に安全審査できるのではないか。」といった回答がなされている。津波評価技術で示された津波の評価方法について、事務局担当者は、当委員会によるヒアリングに対し、既往津波の2 倍を超える波高程度に計算される方法であり、良いものではないかと単純に思っていたと述べている。
 また、他の議論として、土木学会の方法には津波の高さの評価は書かれているが、そのような津波に対して施設が安全かどうかの評価については書かれていないことや、津波水位のシミュレーションを行うに当たり、そもそも津波の何が原子力発電所のどこをどのように安全性を損なうおそれがあるのかを押さえるべきといった指摘があった。この点については、次の会合の際に追加資料を出すこととされたが、関連して、原子炉が停止した後でも崩壊熱の除去が必要で、どんなルートを通ってでも最後は海水に熱を逃がすことのできる設備の機能が維持されなければならないといった指摘がなされた。
 第7 回地震・地震動ワーキンググループでは、追加資料が事務局から出され、「止める」・「冷やす」・「閉じ込める」の機能のうち、津波は「冷やす」の部分に影響を与え得ること、非常用海水ポンプは耐震As クラスとして設計されており地震動への心配はないが、海抜の低いところに設置されることが多いため津波を考慮する必要があり、水密性を確保させることなどで安全審査を通した例があること等の説明があった。これに対し、安全審査に当たり、各原子力発電所でどこに津波に関する話が明示されているのか、原子炉設置許可申請書等に津波の話は出てこないではないかといった質問があり、指針上全く書かれていないわけではなく、申請書上も添付書類の水理のところで記述があるが、細かいことは書かれていないというイメージであること、津波に対する評価については、安全審査の中だけではなく、詳細設計の段階も含めて個別に審査されていることが確認された。
 この回の最後の方で、ある委員から、津波が本当に大切な問題と捉えるならば、この場で議論して安全委員会として津波に対する安全審査指針を作ればよいし、そうでないなら、今のところは行政庁に任せ、詳細設計の中で見ていけばよいといった発言があった。これに対し、グループリーダーは、今日はそこまで踏み込んだ議論をするつもりはなく、今後指針を検討する場合に、このような観点が非常に重要になろうというコメントで議論を取りまとめた。当該グループリーダーは、ワーキンググループは、意思決定の場というよりも、分科会のための議論の整理を行う場という役割分担であると事務局から聞かされており、それに従ったとの供述が得られている。
 これら2 回の議論以降、津波についてはワーキンググループで議論はなされず、平成16 年5 月26 日の第9 回耐震指針検討分科会で、地震・地震動ワーキンググループでの検討状況が報告された際にも、第7 回ワーキンググループで結論が持ち越された議論のまま両論併記の形で資料が作成された。耐震指針検討分科会では、この後津波に関して特に議論はなされなかった。
 ワーキンググループでの議論からかなり後になって、平成17 年12 月28 日の第34 回耐震指針検討分科会において、事務局より、津波の安全性評価に関する部分を含む改訂耐震設計審査指針の文案が提示された。その後、津波については多少の文言修正は行われたが、いずれの回も目立った意見はなかった。
 全体を通じて、津波に関して「極めてまれ」という文言や「残余のリスク」の意味合いに関する議論はなされなかった。「極めてまれ」の意味するところについては、地震動評価で対象としている活断層の活動期間である後期更新世以降に、1 回でも活動があるような地震による津波ならば対象に含まれるとイメージする関係者が少なからず存在した。しかし、数値シミュレーションは文献記録のある数百年前以降に起こった津波のデータから行うものであり、どの程度の期間に起きた津波が対象となるかについて、認識のギャップが存在した。
 「残余のリスク」についても、当委員会によるヒアリングに対し、当時の地震・地震動ワーキンググループのグループリーダーは、新指針の基本方針で、それに対し安全機能が損なわれることのないよう設計しなければならないとした「地震力」には津波の影響も含まれると主張するが、前記のとおり、残余のリスクについては、策定地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことによって生ずる様々なリスクとして記述されており、必ずしも想定津波を超える高さの津波によるリスクを含むとは読めない表現ぶりにとどまっている。
 なお、当委員会によるヒアリングに対し、当時の地震・地震動ワーキンググループのグループリーダーは、「基本ワーキンググループには参加したが施設ワーキンググループには参加しておらず、施設側の議論の雰囲気は分からなかった。また、耐震指針検討分科会の主査とも、あまり頻繁に会って話をするというようなことはなかった。」と述べている



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439頁以下

(6)自然災害等についての事前対策
a 東京電力における自然災害等についての事前対策
 東京電力は、原子炉施設における地震、津波等の自然災害等を想定した上で、安全委員会が策定した安全設計審査指針、耐震設計審査指針等を踏まえ、原子炉施設が当該自然災害等に十分耐えられるような設計をし、それ自体が自然災害等への対策であるとの立場をとってきた。また、既設の原子炉施設については、耐震バックチェック等を通じて、改めて自然災害等に十分耐えられるかどうかを調査し、それへの耐性が十分でない場合には必要と考える対策工事を行うことにより対処してきた。社内でのかかる事前災害の想定、設計等は、原子力設備管理部原子力耐震技術センター(平成23 年2 月、新潟県中越沖地震対策センターから改称。以下「耐震技術センター」という。)等が担当していた。
 しかしながら、東京電力は、かかる事前の想定を超えた自然災害等が発生した場合のSA への対処方策を検討することまではしていなかった。当委員会によるヒアリングに対し、武藤栄顧問(取締役副社長兼原子力・立地本部長等を歴任)、小森明生常務取締役(元原子力・立地副本部長(原子力担当))(以下「小森常務」という。)及び吉田昌郎福島第一原発所長(元原子力設備管理部長)(以下「吉田所長」という。)を始めとする幹部や耐震技術センターのグループマネージャーらは、皆一様に、「設計基準を超える自然災害が発生することや、それを前提とした対処を考えたことはなかった。」旨述べたが、設計基準を超える自然災害が発生することを想定しなかった理由について明確な説明をした者はおらず、「想定すべき外部事象は無数にあるので、外部事象を想定し始めるときりがない。」旨供述した幹部もいた。吉田所長は、「平成19 年7 月の新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原発において事態を収束させることができたことから、ある意味では設計が正しかったという評価になってしまい、設計基準を超える自然災害の発生を想定することはなかった。」旨述べており、かかる供述は、東京電力において、設計基準を超える自然災害が発生することを想定した者がいなかったことの一つの証左といえる
 また、事前の想定を超えた自然災害が発生した場合のSA への対処方策の策定に当たっては、ある特定の部署だけが検討するのでは不十分であり、総合的、横断的な検討が必要となるところ、小森常務は、この点につき「自然災害への対策を検討するという見地から新潟県中越沖地震対策センターを新設したのであるが、同センターにおいても、後記bのとおり、ワーキングが立ち上げられるまでは横断的な検討がなされていなかったようであり、今になって指摘されれば、社内において、自然災害に対する総合的な対策を実施する意識や体制が不十分であったかもしれない。」旨述べている


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445頁以下

5 津波対策・シビアアクシデント対策についての基本的な考え方
(1)想定津波以上の規模の津波の可能性
 土木学会原子力土木委員会津波評価部会の首藤主査は、総説「津波」(『電力土木』電力土木技術協会、1988 年11 月)の中で、
「どの様に大きな構造物を作ったとしても,それを上回る津波が来襲する恐れは常に存在する。」「強度や安定性の検討には,波力や洗掘力の詳細な推定を必要とする。・・・にもかかわらず,これらの大きさを的確に推定する方法はまだ存在しない。したがって,主要施設については,少なくとも既往の巨大津波の到達域外に建造するのが安全である。」「意外と見過ごされているのが,浸水による機能障害である。既往実績あるいはそれを元にした数値計算の結果,浸水域外となったとしても,浸水の可能性が全く無いわけではない。・・・計画時の浸水域外のため防水を考慮してない電気系統などが,塩水に浸かつて障害を起こす。」
と記述しており、今回の調査過程で行われたヒアリングにおいても、
「津波は地震から完全に説明できるわけではなく、局所的に波高が高くなったりすることもある。原発ではいかなる状況下でも確実に冷却系を動かさなくてはならないが、非常時に使用する電源系などは少しでも水に濡れたら機能不全に陥る。少なくとも冷却補機は必ず動くように言い続けてきた。」
としている。この考え方は、原子力発電所の津波対策の本質を突いたものと思われたため、当委員会として、
 原子力施設の性格を考えると、再来するかも不確かだが、500 年から1000 年等と再来間隔が長く、規模も大きい可能性のある津波の可能性もあり、これを防潮堤等で対策しようというのは合理的でないが、多くの設備が被害を受けても冷却のための非常用設備だけは守れるような設計にするのが工学的に適した設計ではないか。多重防護の観点からは、例えば普通の構造物に対しては補正係数1.0 でよいが、非常用設備については2 倍や3 倍の高さにする等といった手立てを講じることが適切だったのではないか。
といった設計思想を関係者のヒアリングにおいて投げかけたところ、これに対する各社の受け止め方は以下のとおりであった

① 東京電力関係者
 理解はするが、2 段階にしなかった理由は、リスクが著しく大きなものではなかったことである。すなわち、津波は地震に随伴して発生する事象ではあるものの、取り扱う領域の広がり、そもそものモデル設定の考え方、設計用津波の設定方法等、当時の指針に基づく基準地震動設定とは策定方針自体は異なるものではあるが、平成14 年の津波評価技術策定時点では、算定される想定津波の波高は既往津波の2 倍程度となり、既往津波に相当すると考えられるS1 地震動の最大加速度振幅の1.5 倍程度になることの多かったS2 地震動に近いことから、津波評価技術に基づく津波水位はS2 地震動的な概念と考えた。このことを踏まえて、想定津波を超える確率はS2 地震動の発生確率として理解されていた10-4/年~10-5 /年(1 万年から10 万年に1 回発生)オーダー程度と考えた。その後、土木学会では平成15~17 年にリスクを確率論的に見積もる方向の検討が行われ、評価手法として未確立ではあるものの、その検討成果に基づいて福島第一原発のリスク評価を行ったところ、設計津波水位を超える確率は10-4/年オーダーであり、CDF の観点からリスクレベルとしては大きくないと認識した。
② 電力中央研究所関係者
 異論はない。コストとの兼ね合いはあるが、原子力発電所ならコストも見合うと思う。ただし、津波評価技術を事業者に受け入れられるものとする必要があった。そのためには数値的な考え方を打ち出すことが必要だが、再来期間のより長い不確かな津波については困難。不確かな津波については確率論的評価の中で対応しようと考えていた。
③ その他の関係者
 当委員会による関係者へのヒアリングにおいて、その他の学識経験者や行政官からは特に反論はなく、例えば、津波評価部会の委員も務めた佐竹教授からは、津波評価部会での議論は「2 倍や3 倍」にする前の高さの評価に関するものであり、2 倍、3 倍につながるような議論は当該部会の役割ではないと思っていたとの供述が得られている。また、東北大学大学院工学研究科の今村教授は、当時は決定論の限界を感じており、そのため確率論的評価の議論に進む必要があると認識していたが、それだけでなく、危機管理的な考え方による議論との2 本立てで進めるべきであったと述懐している。さらに、今村教授は、津波評価部会の第1期活動中には想定された設計津波水位を超えることへの危機感を持ってもらうチャンスがあったかも知れないが、第2 期以降は精度を向上させるという違う方向へ進んでしまったと述べている。


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2011-12-28 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その23 福島原発事故調査・検証委員会

・設置関係資料 その23 福島原発事故調査・検証委員会

http://icanps.go.jp/2011/07/29/0708gijiroku.pdf
第2回東電福島原発事故調査・検証委員会議事録
日 時:平成23 年7月8日(金)15:00~17:33
場 所:TKP 大手町カンファレンスセンターWEST ホールA

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〈略〉

○高須委員 私も今の点については、委員長のおっしゃったとおりだと思うんですけれども、2、3申し上げたいのは、今日、この委員会で基本的にはこのラインでやるということで走って、そして、動いている間に更に追加があるかもしれないし、更にここまでいくと無理かなということであれば、そこは議論するということだと思うんです。
 特に、私は第1チームについては非常に重要な役割だと思うんですけれども、過去のいろいろな重要な決定があるわけです。それは政府が決定したこともあるし、運営者が決定したこともあるかもしれないけれども、そういうときに、単に技術だけではなくて政策的、あるいは経営的、経済的な判断があって、実は印象としては、そちらの方が強かったのではないかという気がするわけです。日本の風潮として、専門家の意見というか知見よりも、かなり経営なり何なりの方が有利だということで、大事にしない風潮があるのではないかという気がしています。
 ですから、今の段階でコストはもう議論しないということになってしまうと、余り意味がないのではないかと思うんですが、他方、どこまでやるのか。一番バックエンドまでやるのかという話になってくると、これはかなり大変な話で、我々の作業ではできないのではないかという議論があると思うけれども、とりあえず、やはり走り出すということが大事だと思います。
 しかし、その側面を常に念頭に置いていただきたいというのは、私も同じ意見です。つまり、専門家の知見を徹底的に重視していないのではないか、今もそうではないかというのが印象としてあって、それが本当なのかどうか配慮するということを、その背景が何なのか、構造的な原因もあるだろうし、背景についても留意しつつ見るというのが第1チームは、第2チームもそうかもしれませんけれども、大事だということを申し上げたいと思います。
 もう一つは、この第2チームでいろいろ事故発生後の対応について、特に4で津波から耐震バックチェックといろいろ書いてあるわけですけれども、トータルしてまとめたようなもの、つまり多重防護という考え方が機能しなかったわけですが、なぜなのか、十分でなかった背景は何なのかということ。
 印象ですけれども、格納容器の冠水計画が一度報道されたと思います。やはり最悪の事態を想定して、いろいろな手を打つべきだったのが、そういう意味では見通しが甘かったのではないか。どのぐらい時間をロスして、本当にしなくてはいけないことが遅れたのかということはわかりませんけれども、この辺についても第2チームの「2 現場における対処に係る実態解明」の(6)でベント、代替注水とかありますが、そのほかのところもあります。その辺でも議論していただければと思います。
 大体の言葉はどこかで読めるのだから、余り変える必要はないと思うんですけれども、1点だけ気になったのは、国際的な側面なんです。つまり、第3チームの一番最後に「世界が求める情報の提供・外国等との連携」ということで、特にIAEA 等、国際機関との連携とあります。私の理解では、これは事故が起こった後の連携だと思うんです。
 私が気になるのは、事故が起きる前。実はいろいろと調べると、IAEA が原子力安全に関する基本原則とか規制要件ということをずっとやっているわけですけれども、その調和という問題があるわけです。各国の需要が勿論一番重要なんですけれども、それにできるだけハーモナイズしていくことについて、必ずしも日本は熱心ではなかったとか、あるいはCSS(Commission on Safety Standards)というのがあるんですけれども、そこの日本勧告は、規制当局の独立性を強く勧告してきているわけです。これについて、やはり日本政府当局者の対応が十分でなかったということなんだと思うんです。
 そういう意味で、今までどうだったかというのがこれでは読み取れないので、これだけは付け加えていただければということで、一案ですけれども、第2調査チームの最後の4に事前の対策と(1)~(11)まであるんですが、その中にもう一つ(12)として、例えばの話ですけれども、国際的な安全原則とか基準との調和と。
○畑村委員長 3ページ目のここのところに入れると。
○高須委員 そこに(12)として、国際的な安全原則・基準等の調和ということで、今までどのぐらい努力してきたのかということは調べる必要があるのかなと思います。
 以上でございます。
○畑村委員長 今、おっしゃったことは、もともと第1回目のときから本当は出ていた問題で、ここでも意識をしているけれども、項目として載っていませんが、当然やらなけれ
ばいけないことだと思っています。
 もう少し違うので見ると、もっと違う考えも本当は入れないと、取り扱えないかもしれないぐらい大事な部分ではないか。それは先ほどあった技術的な来歴とか、どこの技術をどう採用していくからこうなったというところから、全部が絡んでくる問題だと理解しています。
 今、言われた最後の方ですが、もう一つ、最初に言われた専門家の考えを大事にしない社会とか理由とか、そういうのを踏みこまなくてはいけない。これも全くそのとおりだという気がします。
 もう一つ、これは根本的で非常に大事な問題だと思うんですが、だれも今、言わなかったことを、実は高須さんはおっしゃっていて、多重防護が働かなかった理由です。
 多重防護があるから絶対かどうか知りませんが、だから、大丈夫だという説明をしていたんだけれども、多重防護があってもだめだったという事実があったときに、それでは多重防護でこれから先もずっとやり尽くすことができるのかといったら、本当はノーだとなっているとすると、多重防護に代わる新しい考えか、もっと進んだ考えをどこかで取り込まないと、本当の対策にはならないということになるのでないかという気がするんです。
 きっと吉岡先生がおっしゃった、次のソフトランディングの中で一番大事なのは、考え方の根本のところまで、そういう新しい考えを持ってこないとだめなんだということを言われているのでないかと思うんですが、これは推測です。
 だけれども、私はやはりその辺が大事なところかなと思っています。
 どうぞ、尾池委員。
○尾池委員 今のところなんですけれども、私は、多重防護はいいと思います。考えられるだけ全部やっておくという。ただ、多重防護になっていたのかというのが大事な観点だと思います。やっている、やっていると言っているけれども、私はこの前、現地へ行って本当にびっくりしましたが、津波が当然来るところまで何で削って下げなくてはいけないのか。あんなの多重防護とは言えないです。
 ですから、想定とそれに対する対策があって、多重防護の一つひとつの要素が成り立つわけですから、それが成り立っていたかどうかという方が大事な視点ではないかと思います。
○畑村委員長 検証をするには、誠に本当に検証でやらなくてはいけないのは、そこだろうと思います。そして、この間、2度に分けて、みんなが行ったから行ってみると、多重防護と言っているけれども、多重防護が成り立つには、実は1つずつが全部独立でないとだめなんです。
 だけれども、本当に多重防護というのはあの考えで、本当に1つずつが独立になっていたんだろうかと考えると、そうでもないのではないかと、行ってみると、そういうことを感じました。
 電源の喪失というけれども、切換えが本当にできるようになっているのかという、切換えが自由に効かないと多重になっていないことになって、どれか1個がやられてしまったら、みんなやられてしまうということになるんだが、本当にそういうことをちゃんとだれも考えなかったのか、それとも考えても大丈夫と思ったのかとか、そんなことがとても気になりました。
 自分の関心を言い過ぎるとだめになるから、もうやめます。
○高須委員 野さんがお待ちです。
○畑村委員長 済みません。
○野委員 この各チームの項目については、皆さんがおっしゃったとおりで、私も個別にお願いをしておりまして、大体入れていただいているので、後はこれを更に項目ごとに増やしていくことになるかと思います。
 若干、視点のことだけお願いをしたいと思います。私は津波のことは全く素人でわかりませんが、勿論、調査チームは考えてはおられるとは思うのですけれども、ここに書いてある項目だけ見ますと、国内のことのみを言っておられるわけですが、例えば2004 年にスマトラ沖で地震が起きて、カルバッカム原子力所に津波が押し寄せて、一部電力がなくなったとか、なくならないとか、そういう問題が起きているわけです。
 その時にどうして福島第一原発と同じような大事故にならなかったのか、スマトラ沖地震それを踏まえて各国はどんな対応をしたのか、東電はどんな対応をしたのか。念のためにお願いをしたいと思います。
 もう一点、これは1、2チームに関連するんですが、要は東京電力の意思決定システムといいますか、ある意味で体質の問題とかいろいろ言われていますが、そういうものが本当にあるのか、ないのか。これを探っていくのはなかなか難しいと思うのですけれども、大きな意味で言えば、東電のガバナンスの問題にもなろうかと思います。
 そういうものを検証するためには、過去の原子炉の損傷事故の隠し事件、それを受けてのいろいろな対応、対策、再発防止策をとっていると思いますけれども、そういうものがきちんとなされてきているかどうなのか。あるいは中越沖地震もありましたけれども、そういうものを踏まえて、どういう対応をとったのか。
 東電の中には、水力、火力、原子力があるわけですが、その中で原子力はどういう位置に置かれて、原子力の人たちの意見は上にどう伝わっていたのか、いないのか。全体のそういう意味での東電におけるガバナンス、統治能力の問題の是非、いろいろな問題に関わってくるお話だと思いますので、ひとつお願いをしたいと思います。よろしくどうぞ。

〈略〉

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2011-11-30 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その22 津波の試算

・設置関係資料 その22 津波の試算


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毎日jp
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/08/20110826k0000m040088000c.html
福島第1原発:大津波試算 東電と保安院に見解の相違


 東京電力が「福島第1原発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性がある」との試算を08年にまとめていながら、経済産業省原子力安全・保安院に今年3月7日まで報告せず、公表もしていなかった問題で、東電と保安院の間で見解の相違が表面化している。

 保安院の森山善範対策監は25日の会見で、「試算であったとしても、それまでの想定(1~4号機で最大5・7メートル)と大きな違いがあるのだから早く公表し、専門家の前で説明をすべきだった」と東電の対応を批判。一方、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「東電が勝手な想定をして原発の安全性を評価するよりも、(原発の津波対策の基準を策定する)土木学会の評価に基づいた方が合理性があり、その上で報告すべきだと思っている」と反論する。

 さらに保安院は、3月7日に東電から報告を受けた際、対応した耐震安全審査室長が東電に「設備面で対応が必要」と口頭指導したと説明。だが東電側は「そういう事実はない」(松本本部長代理)と否定している。

 また、東電は25日、08年の試算結果を経営層も把握していたことを明らかにした。東電は08年10月、土木学会に対し、津波対策の基準となる「原子力発電所の津波評価技術」の改訂を要請した。その際、当時の原子力・立地副本部長で、事故後は副社長として会見などに出席していた武藤栄顧問に報告し、了承を得ていた。武藤顧問は事故後「想定外の津波」との説明を繰り返していた。また、学会への要請後、当時原子力・立地本部長だった武黒一郎フェローにも報告していたという。

 一方、東電は25日、同原発3号機で26日から始める予定だった注水方法の変更を延期すると発表した。水を送り込むために使用予定だったステンレス製配管が、4号機使用済み燃料プール循環冷却装置で23日に微量な漏えいが見つかった配管と同じものだったため。【藤野基文】


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毎日jp
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110826k0000m040046000c.html
福島第1原発:津波試算に対応なし 東電に枝野長官が遺憾

 枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、東京電力が「福島第1原発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性がある」との試算を08年にまとめながら対策を取っていなかったことについて「08年からであれば、今回の地震に十分に対応する時間的余裕があった。認識しながら対応できていなかったのは大変遺憾だ」と述べた。

 また、東電は試算結果を東日本大震災の直前の3月7日まで経済産業省原子力安全・保安院に報告せず、東電も保安院も震災前には公表しなかった。東電は政府の事故調査・検証委員会に報告したうえで、24日に明らかにしたが、枝野氏は「予測情報が保安院にあったことが、(検証委の)調査を踏まえないと出てこなかったのも大変遺憾なことだ」と不快感を示した。
毎日新聞 2011年8月25日 19時52分


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毎日jp
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/08/20110825k0000m040070000c.html
福島第1原発:10メートル超津波 東電、直前に試算報告
毎日新聞 2011年8月24日 20時54分(最終更新 8月25日 1時22分)

 東京電力は24日、「福島第1原発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性がある」との試算結果を08年4~5月にまとめていたことを明らかにした。しかし「評価の必要がある」として具体的な対策を取らず、経済産業省原子力安全・保安院に報告したのも事故直前の今年3月7日だった。これらの事実を東電も保安院も公表せず、10メートルを超す3月11日の津波について「想定外だった」との説明を繰り返していた。

 試算は06年の原発耐震設計審査指針改定に伴い、保安院が指示した再評価作業の一環。東電は、政府の地震調査研究推進本部の見解に基づき、三陸沖から房総沖で明治三陸地震(1896年)並みの地震(マグニチュード8.3)が起きたと想定した。その結果、福島第1原発に到達する津波は▽5、6号機が10.2メートル▽1~4号機が8.4~9.3メートル▽防波堤南側で15.7メートルなどと推定された。

 しかし東電は結果を保安院へ報告せず、1~4号機で5.7メートルとしていた想定津波高の見直しもしなかった。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は24日の会見で「(10メートル超は)あくまで試算で、運用を変えるほど信用に足る数値か慎重に判断する必要があった」と説明。事故後、津波を「想定外」としたことについても「うそをついたわけではない。運用変更は学説や試算でなく固まった評価基準で行われるべきだ」と釈明した。

 保安院によると、3月7日の報告では耐震安全審査室長が報告書面を受け取り「設備面で何らかの対応が必要」と指導したが、4日後に巨大地震が発生。想定を大幅に上回る津波が深刻な事故を招いた。

 東電は08年12月にも、869年の「貞観(じょうがん)地震」を想定した試算で「8.7~9.2メートル」との結果をまとめ、09年9月、保安院に報告した。しかし報告は口頭だったうえ、保安院の担当者から上司に伝わったかどうかも不明という。

 保安院は、事故直前の東電からの報告も含め、こうした事実を公表しなかった。森山善範対策監は24日、政府の事故調査・検証委員会には説明したことを明らかにし、「規制機関として十分な対応を取れていなかった」と話した。【藤野基文、岡田英】


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時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011082400796
東電、津波15メートル超を想定=震災4日前、保安院に報告-福島第1

 福島第1原発事故で、東京電力は24日、同原発に押し寄せる津波の高さが15メートルを超える可能性があることを、東日本大震災発生4日前の3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に報告していたことを明らかにした。
 東電のこれまでの説明では、震災前の津波の想定高さは5.7メートルだった。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「あくまでも調査・研究の試算で公表に値しないと思った」と釈明。保安院の森山善範原子力災害対策監は政府の事故調査・検証委員会に同様の説明をしたことを明かした上で、「今後の検証対象になると思う」と述べた。(2011/08/24-22:06)


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Yomiuri.online
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110823-OYT1T01155.htm?from=top
東電福島原発、2008年に「津波10m」試算

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東電が、同原発に従来の想定を超える10メートル以上の津波が到来する可能性があると2008年に試算していたことを、政府の事故調査・検証委員会(委員長=畑村洋太郎・東大名誉教授)に説明していたことが分かった。

 東電はこの試算結果を非常用ディーゼル発電機の位置を高くするなどの津波対策に結びつけていなかった。速やかに対策が取られていれば、今回の事故被害を小さくできた可能性もあり、事故調は詳しい経緯を調べている。

 東電は、土木学会が02年2月にまとめた指針「原子力発電所の津波評価技術」に基づき、福島県沿岸部に津波を引き起こす地震は1938年の「塩屋崎沖地震」が最大級だと仮定。同原発での津波の高さを最大5・7メートルと計算し、冷却水(海水)をくみ上げるポンプの電動機の位置をかさ上げするなどの対策を取ってきた。だが東日本大震災で襲来した津波は14~15メートルに達したため、非常用発電機が浸水して全電源を喪失し、炉心の溶融を招いた。

 国の耐震設計審査指針が改定された06年9月、経済産業省原子力安全・保安院は電力各社に、各原発の耐震安全性を再評価(バックチェック)するよう指示した。関係者によると、これを受けて東電は08年夏、福島第一原発で想定される津波の高さについて新たに試算していた。
(2011年8月24日03時03分 読売新聞)


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asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0423/OSK201104230072.html
想定外の大津波「50年以内に10%」 東電06年発表
2011年4月24日8時5分

東京電力は、福島第一原発に、設計の想定を超える津波が来る確率を「50年以内に約10%」と予測し、2006年に国際会議で発表していた。東電は「試算の段階なので、対策にどうつなげるかは今後の課題だった」と説明している。

 東電原子力・立地本部の安全担当らの研究チームは福島原発を襲う津波の高さを「確率論的リスク評価」という方法で調べ、06年7月、米国であった原子力工学の国際会議で報告した。

 その報告書は「津波の影響を評価する時に、『想定外』の現象を予想することは重要である」と書き始められている。

 報告書によると、東電は慶長三陸津波(1611年)や延宝房総津波(1677年)などの過去の大津波を調査。予想される最大の地震をマグニチュード8.5と見積もり、地震断層の位置や傾き、原発からの距離などを変えて計1075通りを計算。津波の高さがどうなるか調べた。

 東電によると、福島第一原発は5.4~5.7メートルの津波を想定している。だが報告書によると、今後50年以内にこの想定を超える確率が約10%あり、10メートルを超える確率も約1%弱あった。

 報告書は「想定を超える可能性が依然としてある」と指摘。「津波について知識が限られていることや、地震のような自然現象にはばらつきがある」ことを理由にあげている。

 確率で原発の危険度を評価する方法は、地震の揺れが原因になるものは実用化されているが、津波についてはまだ基準が決まっていない。一方で、東電は、地震の規模を最大でも東日本大震災の約5分の1として予測しており、「10%」でも過小評価だった可能性がある。

 報告書について東電は「津波の評価法を検討するための試算段階のもの。まだ広く認められた方法ではないので、公表は考えていない」と説明する。

 また、設計の想定を最大5.7メートルと決めた根拠について、東電は「社内で経緯などを整理しているところ」として明らかにしていない。(木村俊介)


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毎日jp 毎日新聞社
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20111128k0000m040140000c.html

福島第1原発:08年に津波可能性 本店は対策指示せず
 2008年に東京電力社内で、福島第1原発に想定を大きく超える津波が来る可能性を示す評価結果が得られた際、原発設備を統括する本店の原子力設備管理部が、現実には「あり得ない」と判断して動かず、建屋や重要機器への浸水を防ぐ対策が講じられなかったことが27日、分かった。東電関係者が明らかにした。

 12月に中間報告を出す政府の事故調査・検証委員会も経緯を調べており、研究の進展で得た津波リスク評価の扱いや対応が適切だったかが焦点となる。

 東電関係者によると、社内研究の成果である新たな津波評価を受け、原子力・立地本部の幹部らが対応策を検討した。その際、設備を主管する原子力設備管理部は「そのような津波が来るはずはない」と主張。評価結果は学術的な性格が強く、深刻に受け取る必要はないとの判断だったという。同本部の上層部もこれを了承した。

 原子力設備管理部は、06年に発覚したデータ改ざんの再発防止のため実施した07年4月の機構改革で「設備の中長期的な課題への計画的な対応や設備管理の統括をする」として新設された。部長は発足時から昨年6月まで吉田昌郎現福島第1原発所長が務めた。

 東電は08年春、明治三陸地震が福島沖で起きたと仮定、想定水位5.7メートルを大幅に超え、最大で水位10.2メートル、浸水高15.7メートルの津波の可能性があるとの結果を得た。東電関係者は「評価結果をきちんと受け止めていれば、建屋や重要機器の水密性強化、津波に対応できる手順書作りや訓練もできたはずだ」と指摘している。

 東電広報部は「自主的に試算した内容については、土木学会に審議してもらい、設備に反映させていくつもりだった。学会に審議を要請したのは08年10月で、軽視や放置をしていたわけではない」としている。

毎日新聞 2011年11月28日 2時00分

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2011-08-31 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その21 シビアアクシデントマネージメント

・設置関係資料 その21 シビアアクシデントマネージメント


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毎日新聞 2011年8月17日 2時31分

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/08/20110817k0000m040142000c.html
福島第1原発:東電、水素爆発予測せず ベント手順書なし

 東京電力福島第1原発事故で、3月12日に起きた1号機の水素爆発について、政府の「事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)の聴取に対し、東電側が爆発前に予測できていなかったと証言していることが分かった。長時間の全電源喪失時に格納容器を守るため実施するベント(排気)のマニュアル(手順書)がなかったことも判明。このため、作業に手間取るなど、初期対応で混乱した様子が浮かび上がった。

 関係者によると、政府事故調はこれまでに、同原発の吉田昌郎所長ら東電社員や政府関係者らから聴取を続けている。

 1号機の水素爆発は、東日本大震災の翌日の3月12日午後3時36分に発生。建屋の上部が吹き飛んだ。水素は、燃料棒に使用されるジルコニウムが高温になって水と反応し発生したとみられている。

 関係者によると、事故調に対し、東電側は原子炉や格納容器の状態に気を取られ、水素が原子炉建屋内に充満して爆発する危険性を考えなかったという趣旨の発言をし、「爆発前に予測できた人はいなかった」などと説明しているという。

 また、ベントについては、マニュアルがなかったため設計図などを参考にして作業手順などを検討。全電源が喪失していたため作業に必要なバッテリーなどの機材を調達し始めたが、型式などの連絡が不十分だったこともあり、多種多様な機材が運び込まれて、必要なものを選別する手間が生じた。

 さらに作業に追われる中、機材が約10キロ南の福島第2原発や作業員らが宿泊する約20キロ南のJヴィレッジに誤って配送され、取りに行かざるをえない状況になった。ある社員は「東電本店のサポートが不十分だった」と話しているという。

 一方、1号機の炉心を冷却するための非常用復水器(IC)が一時運転を中断していたものの、吉田所長ら幹部がそのことを把握せず、ICが稼働しているという前提で対策が検討されていたことも判明。事故調の聴取に吉田所長は「重要な情報を把握できず大きな失敗だった」などと話しているという。

 事故調は、東電側からの聴取内容と一連の事故に関するデータなどを精査した上で事故原因を解明していく方針だ。

 ◇震災翌日の首相視察「目的分からぬ」

 「目的が全く分からない」--。菅直人首相が東日本大震災翌日の3月12日、東京電力福島第1原発を視察したことについて、現場のスタッフが政府の「事故調査・検証委員会」の調べに、懐疑的な感想を述べていることが明らかになった。

 菅首相からの「なぜこんなことになるのか」との質問には、「自由な発言が許され、十分な説明をできる状況ではなかった」と振り返る説明があった。また、海江田万里経済産業相が12日午前6時50分、1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるベントの実施命令を出したことに、現場は「違和感が強く、意図的にぐずぐずしていると思われたら心外」と受け止めたという。

 陸上自衛隊のヘリコプターによる使用済み核燃料プールへの放水には、「ありがたかったが、作業効率が極めて低いと感じた。プールに入っていないと思われるケースが多かった」との感想があったという。



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http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/1/ho016.pdf

○発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて
平成4年5月28日
原子力安全委員会決定

1.はじめに
 当懇談会は、海外諸国においてシビアアクシデント(*)対策の一環としての格納容器対策が規制要求としてあるいは原子炉設置者の自主的意図によって採択され始めていることを踏まえ、国内原子炉のPSA、米国原子力規制委員会(NRC)が取りまとめを行っている「シビアアクシデントのリスク(NUREG-1150)」など海外のPSA及び国内外のシビアアクシデント研究の最新の成果などを基礎資料として、格納容器対策を主体とするアクシデントマネージメントについて、ワーキンググループを設置して検討してきた。本報告書はこの検討結果をまとめたものである。
 近年、アクシデントマネージメントは、原子炉施設のリスク管理手段の一つとして重要であることが国際的に広く認識されるようになり、設計基準事象を超える事象が万一発生した場合を想定して、炉心冷却機能の回復や格納容器の健全性の維持等を目指す緊急時操作手順の整備及びそれらに係わる要員の訓練、並びに関連機材の整備等が各国で検討され、あるいは実施されてきている
 アクシデントマネージメントとは、設計基準事象を超え、炉心が大きく損傷する恐れのある事態が万一発生したとしても、現在の設計に含まれる安全余裕や安全設計上想定した本来の機能以外にも期待し得る機能またはそうした事態に備えて新規に設置した機器等を有効に活用することによって、それがシビアアクシデントに拡大するのを防止するため、もしくはシビアアクシデントに拡大した場合にもその影響を緩和するために採られる措置をいう。ここではこれらのうち、前者をフェーズⅠのアクシデントマネージメント、後者をフェーズⅡのアクシデントマネージメントと呼ぶこととする。
 フェーズⅠのアクシデントマネージメントは、何らかの原因で喪失した炉心冷却等の安全機能を回復させるための様々の操作から構成される。これらの操作が的確に行われるためには、施設の状態が事象の全段階を通して把握しやすいように配慮された測定・表示・記録設備を整備するとともに、起因となる事象が容易に識別できないような複雑な事象の発生に際しても、プラント状態の表示内容に基づき、プラントを安全な状態に復帰させるために適切な操作を行えるように配慮された手順書等を整備すること、さらにアクシデントマネージメントの実施に携わる者の教育・訓練を実施することが重要である。これらの表示装置や手順書の整備等は各国で行われてきており、我が国においても、国の指導に基づき原子炉設置者は、このアクシデントマネージメントの一部についてその手順書を表示装置との関係に留意しながら検討・整備し、また要員に対して「運転訓練センター」等において教育・訓練を行ってきている
 一方、フェーズⅡのアクシデントマネージメントとしては、損傷炉心の冷却をはかるために炉心もしくは格納容器の熱除去機能を回復すること、また格納容器の過圧破損の防止を目的として核分裂生成物(FP)を含む格納容器雰囲気を部分的に環境へ放出せざるを得なくなった場合にも、これを管理された状態で行うために、格納容器に専用のベントライン(フィルター付の場合を含む)を設置して利用すること等が考えられている。欧米諸国においては、こうした操作に係わる手順書等の整備が進められてきており、特にスウェーデン、フランス、ドイツ等においては、格納容器にフィルター付ベント設備を付加して、これを利用することもその手順に含めている。また、PWRアイスコンデンサー型格納容器については、大量の水素ガス発生への対応策として水素燃焼装置を設置することが米国、フィンランドなどで行われている。我が国においては、このフェーズⅡのアクシデントマネージメントについては、現在原子炉設置者において検討中である。
 本報告では、これらの状況に鑑みて、まずアクシデントマネージメントの安全確保における役割と位置付けについて検討し、さらに国内のフェーズⅠのアクシデントマネージメントに係わる整備状況とその妥当性を国内原子炉のPSA及びNUREG-1150に示される米国原子炉のPSA等に基づき検討している。次いで、国内外のシビアアクシデント研究の最新の成果、各国において整備が検討され、あるいは既に整備された設備の様態・データなどをも参考に、フェーズⅡのアクシデントマネージメントに係わる格納容器対策、特にフィルター付格納容器ベント設備並びに水素燃焼装置についてその設備の利害得失を分析し、これに関して我が国が採るべき考え方を検討している。
(*) シビアアクシデント
 原子炉安全基準専門部会共通問題懇談会中間報告書(平成2年2月)では、次のようにしている。「設計基準事象を大幅に超える事象であって、安全設計の評価上想定された手段では適切な炉心の冷却または反応度の制御ができない状態であり、その結果、炉心の重大な損傷に至る事象」;なお、ここでいう設計基準事象とは、「原子炉施設を異常な状態に導く可能性のある事象のうち、原子炉施設の安全設計とその評価に当たって考慮すべき」とされた事象とする。

2.アクシデントマネージメントの役割と位置付け
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)は、原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物又は原子炉による災害の防止上支障がないものであることを原子炉の設置許可の要件の一つとしている。国はこの要件を満たしているか否かを判断するために、原子炉施設が適切な安全管理のもとで確実に事故を防止できること及び原子炉施設に設計基準事象の発生を仮定した場合にも周辺公衆に対して著しい放射線被ばくのリスク(以下、「原子炉施設による周辺公衆に対する放射線被ばくのリスク」を単に「リスク」という)を与えないよう事故の拡大を防止し、またその影響緩和に効果的な安全設備が備えられていることなどを審査している。これに加えて、安全管理のあり方については、運転開始に先立って、その方針を規定する保安規定を作成するよう原子炉設置者に求め、妥当と判断された場合にこれを認可することとし、さらに原子炉の運転約1年ごとに原子炉施設の定期検査を行うことを義務づけている。
 これらにより、原子炉施設の安全性は十分確保されるが、さらに万一の事態に備えて、災害対策基本法のもとに原子力防災対策を整備することとし、これに基づき、設計基準事象を大幅に上回るシビアアクシデントの知見も考慮して、放射性物質の大量の放出があった場合にも、災害の発生を未然に防止し又は被害の拡大を防止するために有効適切な体制、必要資機材の整備、防災訓練等のあり方が定められている。
 このようにして、原子炉施設のリスクは充分小さくなっているが、万一原子炉施設にシビアアクシデントに至るおそれのある事象、あるいはシビアアクシデントが発生した場合に、適切なアクシデントマネージメントが行われるものとすれば、シビアアクシデントに至る可能性はさらに減少し、あるいはシビアアクシデントによる公衆への影響を緩和できるため、リスクは一層小さいものとなる。アクシデントマネージメントは、本来原子炉設置者がその技術的知見に基づき、現実の事態に直面しての臨機の処置も含め、柔軟に行う措置である。これらのことから、あるアクシデントマネージメントが原子炉施設の設備を大幅に変更することなく実施可能であり、その実施を想定することによりリスクが効果的に減少する限りにおいて、その実施が奨励又は期待されるべきと考えられる。なお、そうしたリスクの減少の目標としては、フェーズⅠとフェーズⅡのアクシデントマネージメントの有効性のバランスにも配慮しつつ、例えばIAEA・INSAG(国際原子力安全諮問委員会)の基本安全原則が示す定量的な安全目標(炉心損傷の発生率10-4/炉年(既存炉に対して)、10-5/炉年(新設炉に対して)、また大規模なFP放出の発生率はさらにこれらの1/10)などを一つの参考とするのが適切であろう。
 ところで、アクシデントマネージメントが適切に行われるためには、原子炉設置者が、最新のシビアアクシデント研究の成果などを参考にして、その実施に関してあらかじめ有効適切と考えられる措置の手順を定め、それに必要な資機材並びに実施体制を整備し、要員を訓練しておくことが大切である。
 これらのことを考え合わせると、このアクシデントマネージメントに関して国のとるべき対応については、次のようないくつかの考え方がある。
 一つの考え方は、前述のようにアクシデントマネージメントについて効果的な実施が奨励又は期待されるという立場から、原子炉設置者がアクシデントマネージメントに係わる整備等を行うよう指導し、例えば保安規定の認可に際してその内容を確認するべきとするものである。
 また別の考え方は、不適切なアクシデントマネージメントが原子炉設置者によって計画され、設計基準事象に対する防護の水準が低下することを防止する観点から、原子炉設置者により計画されるアクシデントマネージメントが工学的安全施設の適切な利用を阻害するものでないことを、例えば、工事計画の認可の際に確認すべきとするものである。具体的には、格納容器にフィルター付ベント設備及び水素燃焼装置などを付加する場合、設計基準事象に対する工学的安全施設の機能に悪影響を及ぼす可能性について、安全規制の一環としてチェックされるべきであるとする考え方である。
 さらに次のような考え方もある。アクシデントマネージメントは本来原子炉設置者がその技術的知見に基づき、現実の事態に直面しての臨機の処置も含め、柔軟に行う措置であるから、国の事前評価により結果として特定の手段を排除することなどは、効果的なアクシデントマネージメントの実施を阻害することになりかねないと考えられる。しかし一方、緊急時対策の効果的実施の観点からは、関係者間で充分な調整が必要と考えられる。またPSAの結果などを分析するとアクシデントマネージメントの持つシビアアクシデント時の安全確保機能は、審査指針に基づく安全評価においては期待されていない機器あるいは機能を用いる場合でも、本来異常状態に対処するために設計された機器・系統等に匹敵する効果が得られる場合もある。これらのことから、国は、原子炉設置者がアクシデントマネージメントに係わる整備を行う際に参考とするための基本的考え方を整備しておくべきであるとする考え方である。

3.シビアアクシデントへの拡大防止のため(フェーズⅠ)のアクシデントマネージメン

3.1 整備の状況
 フェーズⅠのアクシデントマネージメントは、主として炉心冷却等の安全機能を回復させるための様々の操作から構成される。また、これらのアクシデントマネージメントが的確に行われるように配慮された手順書等の整備が考えられている。
 国内原子炉では、このようなフェーズⅠのアクシデントマネージメントとして、様々な対策が整備または検討されているが、その主なものを主要な事故シーケンス別に整理して示すと以下のとおりである。
1)BWRプラント
①全交流電源喪失事象に対して、
外部電源の復旧又はディーゼル発電機の修復
②原子炉スクラム失敗(ATWS)事象に対して、
a)原子炉保護系が作動しない場合に手動スクラムまたは制御棒の手動挿入
b)ホウ酸水注入系(SLC)の手動起動
③トランジェント時の崩壊熱除去機能喪失事象に対して、
a)残留熱除去系(RHR)の復旧
b)格納容器スプレイの手動起動
c)格納容器ベント
④トランジェント後の注水失敗に対して、
a)高圧系ECCS、原子炉隔離時冷却系(RCIC)の手動起動
b)自動減圧系(ADS)、低圧系ECCSの手動起動
c)代替注水設備の手動起動
 なお、後述する国内のレベル1PSAでは、上記の操作のうち、SLCの手動起動、ADSの手動起動、ECCSの手動起動、格納容器ベント及び機器の復旧等の操作を考慮に入れている。また、格納容器ベントについては、既存の設備(不活性ガス系(AC系)または非常用ガス処理系(SGTS)を用いたダクトベント)を利用するとして評価している。この場合のベントは、トランジェント後の崩壊熱除去機能喪失事象における格納容器の損傷を防止するためのものである。
2)PWRプラント
①トランジェントに対して、
主給水系の復旧
②トランジェント及び小LOCAに対して、
フィードアンドブリード
③中LOCA及び小LOCAに対して、
主蒸気逃し弁(MSRV)手動開による冷却
④全交流電源喪失に対して、
外部電源の復旧またはディーゼル発電機の修復
⑤ATWS事象に対して、
手動による原子炉トリップ及び緊急ホウ酸水注入
⑥安全注入(SI)信号不作動事象に対して、
SI信号不作動時のECCS手動起動
⑦格納容器スプレイ信号不作動事象に対して、
格納容器スプレイ信号不作動時のスプレイ手動起動
⑧再循環切り替えが必要な事象に対して、
燃料取替用水タンク(RWST)との代替水源からの水の補給
なお、後述する国内のレベル1PSAでは、上記操作のうち、フィードアンドブリード、MSRV手動開、緊急ホウ酸水注入系の手動起動及び機器の復旧等の操作を考慮に入れている。
3.2 フェーズⅠのアクシデントマネージメントの評価
 本節では、海外で行われたレベル1PSAの評価結果を参考にしつつ、国内原子炉に対して産業界及び原子力安全解析所の行ったレベル1PSAの結果に基づき、国内原子炉におけるフェーズIのアクシデントマネージメントの有効性について考察を行う。
1)BWRプラント
 海外におけるBWRプラントに関するPSA評価のうち、参考となる例としては、国内原子炉とも比較可能な米国のPeach Bottom炉(BWR-4・Mark Ⅰプラント)に対して行われた「原子炉安全研究(WASH-1400)」及びNUREG-1150を挙げることができる。このうち、WASH-1400においては、内的事象による炉心損傷の主要な事故シーケンスは、ATWS事象(以下「TCシーケンス」という。)及びトランジェント後の崩壊熱除去機能喪失事象(以下「TWシーケンス」という。)となっている。一方、NUREG-1150においては、最近の研究成果を踏まえて、格納容器ベント設備や格納容器破損後の炉心冷却などのアクシデントマネージメントを考慮した結果、炉心損傷に至る全事象の発生率(以下、「全炉心損傷発生率」という。)に占めるTWシーケンスの割合はかなり小さくなっている。また、全炉心損傷発生率についてもWASH-1400の例と比して約1/5程度に低減している。
 NRCは、Mark Ⅰプラントの格納容器容積が他の型式の格納容器に比べて小さいということから、Mark Ⅰプラントに対して格納容器性能改善対策を勧告することを決定し、その対策の一つとして、「耐圧強化ベント」の設置を掲げている。これは、TWシーケンスに対して考えられている格納容器ベント操作時に、ベントラインの過圧破損を恐れて操作をためらうことを防止するとの観点から、耐圧性のあるベントラインを設置するものである。なおNRCは、残留熱を大気に直接逃がす隔離時復水器(Isolation Condenser)を有するMark Ⅰプラントに対しても、この場合TWシーケンスが支配的とはならないにもかかわらず、他のMark Ⅰプラントと同様に「耐圧強化ベント」の設置を勧告している。
 一方、我が国の代表的BWR-4プラントの場合、既存のベント系(ダクトベント)を用いて運転員による手動の操作が可能であるとするなど前節に述べたフェーズIのアクシデントマネージメントの一部を考慮した結果、TWシーケンスの全炉心損傷発生率に占める割合は1%未満となっており、全炉心損傷発生率もNUREG-1150の数分の1以下の値となっている。
 我が国のその他の代表的BWRプラントであるBWR-3及びBWR-5についても、全炉心損傷発生率はBWR-4と同じオーダーである。なお、我が国のBWR Mark ⅠプラントとMark Ⅱプラントとでは、単位出力当たりの格納容器容積については大きな差異はない。
2)PWRプラント
 海外におけるPWRプラントに対するPSA評価のうち、参考となる例としては、米国のZion炉(4ループ、大型ドライ型格納容器プラント)及びSequoyah炉(4ループ、アイスコンデンサ型格納容器プラント)に対して行われたNUREG-1150の評価を挙げることができる。この例では、全炉心損傷発生率は概ね、10-5~10-4/炉年程度と評価されている。
 これに対し、我が国の代表的PWR4ループプラントの場合、前節のフェーズⅠのアクシデントマネージメントの一部を考慮した結果、全炉心損傷発生率はNUREG-1150の評価結果の1/10以下となっている。なお、ドイツの原子炉安全協会(GRS)がBiblis Bプラント(4ループ大型ドライ型格納容器プラント)を対象として実施した「リスク研究phase B」によれば、アクシデントマネージメントを考慮した場合としない場合とでは、全炉心損傷発生率に約1桁の差が生ずることが示されているが、我が国の評価ではこれらをも下回る結果となっている。
3.3 まとめ
 フェーズⅠのアクシデントマネージメントについては、我が国ではその一部が原子炉設置者において、「徴候ベース」あるいは「安全機能ベース」と呼ばれる手順書として、従来のいわゆる「イベントベース」の手順書を補完する形で整備されている。さらに、手順書に基づいてアクシデントマネージメントが適切に行われるよう、運転に携わる者に対し、「運転訓練センター」等において教育・訓練が行われてきている。
 これらのフェーズⅠのアクシデントマネージメントの一部を考慮したレベル1PSAによれば、代表的な国内原子炉の炉心損傷に至る事象の発生率は、評価の不確かさを考慮しても10-5/炉年より小さく、これは例えばIAEA・INSAG(国際原子力安全諮問委員会)の基本安全原則が示す定量的な安全目標(炉心損傷の発生率10-4/炉年(既存炉に対して)、10-5/炉年(新設炉に対して))を満足している。また米国においてPSAが実施されているプラントのうちシステム等の類似した同型プラントと比較しても、同様な手法により解析を行った我が国のプラントの炉心損傷の発生率は小さいと評価されている。ただし、我が国の代表的国内原子炉に対するこの評価結果は、これまでの良好な運転管理の信頼性が今後とも維持されること及び手順書に含まれているアクシデントマネージメントが的確に実施されることが前提となっている。
 なお、アクシデントマネージメントとしての安全機能の回復操作等をより高い信頼度で実施するためには、異常原因の認知や対応操作のための情報提供系・計測系の充実を行うこと及び操作内容の単純・自動化等を行うことが有効と考えられる。さらに、フェーズⅠのアクシデントマネージメントとして、現有設備の改造や可搬式設備の導入等の手段により安全機能の代替能力を拡充するなどその検討の範囲を広げることにより、シビアアクシデントへの拡大防止をより確実なものとすることが可能と考えられる。

4.シビアアクシデント時の影響を緩和するため(フェーズⅡ)のアクシデントマネージ
メント
4.1 整備の状況
 シビアアクシデントに至った場合に周辺環境への影響を緩和するために行われるフェーズⅡのアクシデントマネージメントについての基本的方針は、シビアアクシデント時に想定される様々な格納容器の破損モードに対し、『はじめに』で述べたような手段によって、格納容器の健全性を維持しつつ、その過程で必要に応じサプレッションプール水によるスクラビングやフィルターにより、放射性物質の環境への異常な放出を抑制することである。
 我が国においては、BWRについて格納容器の不活性化及び可燃性ガス濃度制御系(FCS)の設置、PWRについて格納容器スプレイの設置などの措置が既に採用されているが、これらの措置は、安全評価上想定した以外にも機能を期待でき、結果的にフェーズⅡのアクシデントマネージメントの一部とみなすこともできる。なお、これら以外のフェーズⅡのアクシデントマネージメントについては、現在原子炉設置者において検討中である。
 一方、海外においては、既存設備の有効な活用に加え、追加設備の設置による格納容器対策として以下に述べるようなものが考えられている。
1)BWRプラント
 海外のBWRプラントにおいて、現在設置または検討されているフェーズⅡのアクシデントマネージメントとしての格納容器対策としては次のようなものがある。
①フィルター付ベント設備またはウェットウェルベント設備
②格納容器内注水設備
③ADSの機能強化
④水素制御設備
 上記の格納容器対策は、後述するように、組み合わせて実施された場合に大きなリスク低減効果が得られる。すなわち、格納容器破損モードごとに、その破損モードに対処し得るそれぞれの対策を並行的に実施することにより、シビアアクシデント時の格納容器の信頼性を大きく向上させることができるようになる。
 例えば、想定される格納容器の破損モードとしては、過圧破損、過温破損、格納容器直接加熱(DCH)及び水素燃焼等が考えられるが、フィルター付ベント設備単独では過圧破損が回避できるのみで、過温破損にはほとんど効果がない。過温破損を防止するためには、格納容器内に注水すること等によって、溶融炉心を冷却し、それによってコア・コンクリート反応を抑制するとともに、格納容器内雰囲気温度を下げる必要がある。逆に、格納容器内注水設備のみでは過圧破損が回避できない。
 また、原子炉圧力容器が、内圧が高圧に保たれたまま破損して溶融炉心が噴出するとした場合、溶融炉心による格納容器直接加熱により格納容器が破損する可能性がある。このため、ADS機能の強化を図ることにより高圧での炉心溶融を回避することが検討されている。さらに、Mark Ⅲ型格納容器を有するプラントに対しては、水素燃焼による格納容器の破損を防止するための水素燃焼装置等の水素制御設備が設置または検討されている。
2)PWRプラント
 海外のPWRプラントにおいて、現在設置または検討されているフェーズⅡのアクシデントマネージメントとしての格納容器対策としては次のようなものがある。
①フィルター付ベント設備
②水素燃焼装置
③格納容器内部スプレイの強化
④格納容器外部スプレイ
⑤格納容器内注水設備
 上記の格納容器対策は、BWRプラントと同様、組み合わせて実施された場合に大きなリスク低減効果が得られる。
 例えば、フィルター付ベント設備単独では過圧破損が回避できるのみで、コア・コンクリート反応による格納容器破損にはほとんど効果がない。コア・コンクリート反応による格納容器破損を防止するためには、格納容器内部スプレイの強化や格納容器内注水設備により、溶融炉心を冷却し、それによってコア・コンクリート反応を抑制する必要がある。これらの格納容器対策は、大型ドライ型格納容器プラントを対象に設置または検討されている。
 また、アイスコンデンサ型プラントは、大量の水素発生時に水素燃焼による格納容器の早期破損の可能性が高いと考えられており、これを防止するために水素燃焼装置が設置または検討されている。さらに、格納容器の過圧破損を防止することを目的として、鋼製格納容器の外側にスプレイすることにより格納容器内雰囲気を冷却する格納容器外部スプレイが検討されている。
4.2 欧米諸国における格納容器対策の現状
 欧米諸国においてシビアアクシデント時のアクシデントマネージメントのための具体的手段として、各種の格納容器対策が検討されている。これらの格納容器対策のうち格納容器ベント設備と水素燃焼装置に係わる各国の規制上の位置付け及び設備の概要について調査を行った。
1)格納容器ベント設備
 欧米ではフェーズⅡのアクシデントマネージメントの一環としてフィルター付格納容器ベント設備が設置または検討されている。
 フランスでは、1978年にフランス電力庁(EDF)が実施したPSAを背景に、設計基準事象を上回る事象に対する安全目標として、炉心溶融に至った場合にも環境へのFP放出量をサイト周辺の緊急時計画に見合ったレベルまで低減させることを決定した。この安全目標に適合させるためのひとつの方策としてフィルター付格納容器ベント設備が採用されている。なお、具体的な設計では、FPエアロゾルに対する除染係数(以下「DF」という)を10以上とすることが要求されている。
 ドイツでは1986年~1987年にかけて原子炉安全委員会(RSK)がフィルター付格納容器ベント設備に関する基本要件を勧告している。その中では、フィルター付格納容器ベント設備は所内緊急時対応計画を完成させるための措置とされており、プラントの安全運転にとっての技術的要件としては位置付けられていない。なお、具体的な設計では、エアロゾルに対してDFを1,000以上とすることが、また元素状よう素に対してDFを10以上とすることが要求されている。現在、ほぼすべてのプラント(PWR及びBWRプラント)に格納容器ベント設備が設置済みと考えられる。
 スウェーデンではシビアアクシデントに関する基本方針が、1980年~1981年に政府から出された。その中では、土地汚染を生じるような大量の放射性物質放出の可能性は小さいが、これをさらに低減するため、その手段としてフィルター付格納容器ベント設備の設置が要求され、すべてのプラントに設置済みである。なお、具体的な設計では、大規模土地汚染と急性死亡の発生防止の観点から、放出FPを1,800MWtの原子炉の炉心インベントリの0.1%以内に抑えることが要求されている。
 フィンランドでは、BWRプラントについてフィルター付格納容器ベント設備を設置済みである。
 英国では、PWRプラントに対する格納容器ベント設備の採用について、どのシステムを採るかを含め検討中である。なお、その最終決定は1991年度中になされる見込みである。
 一方、米国においては、前述のように、BWR Mark Ⅰ格納容器に対してフェーズⅠのアクシデントマネージメントとして耐圧強化ベント対策を要求しているが、フェーズⅡのアクシデントマネージメントとしては注水設備と耐圧強化ベント対策の組み合わせが議論されている段階で、フィルター付ベント設備についてはNRCの検討要求項目の中には入っていない。また、PWRプラントに対しては格納容器ベント設備は特に検討項目として指摘されていない。
 格納容器ベント設備の設計において、フランス、ドイツでは単一故障、電源喪失及び地震を考慮していないが、スウェーデンではこれらを考慮している。
2)水素燃焼装置
 シビアアクシデント時の水素制御に関する各国の対応策は統一されておらず、今後の研究、開発成果を待って方策を講じるとしている国も多い。
 米国ではNRCが1979年~1980年に、TMI-2事故の検討に基づく勧告及びアクションプランを発表し、BWRプラント及びPWRアイスコンデンサ型プラントへの水素対策の実施を求めた。その後、1981年12月にBWR Mark Ⅰ、Ⅱ格納容器に対して窒素ガスによる不活性化対策を行うべきという規則が出された。続いて1985年1月にBWR Mark Ⅲ及びPWRアイスコンデンサ型プラントに対して水素制御系の改善等に関する要求をまとめた規則が出された。なお、これらのプラントについては「グロープラグ式水素燃焼装置」が設置済みである。
 フランスにおいては、フランス原子力庁(CEA)の研究所がPWRドライ型プラントの水素制御方式について研究を実施しているが、まだ水素対策の方針を決定していない。フランス電力庁(EDF)では米国、フランス等における関連する試験や研究結果から、水素制御系の設置の必要性が生じた場合には、これを考慮する方針としている。
 ドイツでは、水素対策の最終結論をまだ出していないが、水素不活性化と制御の可能性に関する研究の検討を通じて、PWRドライ型プラントの水素対策としては、燃焼方式によるものが適当と判断し、水素燃焼装置の設置を全原子炉設置者が同意した。なお、現在さらに詳細な研究を行っている。
 また、フィンランドにおいては、PWRアイスコンデンサ型プラントに対し、水素対策として「グロープラグ式水素燃焼装置」が設置済みである。
 一方、英国では、PWRプラントのPSA結果をもとに、水素燃焼により格納容器の健全性が損なわれる可能性は小さいとして、具体的な設備対応策はとられていない。
3)格納容器対策に要するコストについて
 格納容器対策の設備設置に要するコストは設備仕様により異なり一概に言えないが、フィルター付き格納容器ベント設備の設置コストは、一部を除き約100万ドルから約450万ドルまでの評価結果があり、また水素燃焼装置の設置コストは約490万ドルとの評価例がある。
4.3 格納容器対策の効用について
 格納容器ベント設備等のフェーズⅡのアクシデントマネージメント対策の効用を評価するに当たっては、レベル2PSAの評価結果が参考となる。
 このため、我が国の産業界及び原子力安全解析所で行われた予備的なレベル2PSAの評価結果について検討した。検討においては、格納容器破損の発生率、ソースターム評価結果及び格納容器ベント設備を採用した場合のソースタームの低減効果、並びに水素燃焼装置を設置した場合の格納容器破損の発生率の低減効果について調査を行うとともに、BWRについては米国のPSA結果との比較を行った。
 なお、今回検討したレベル2PSAの評価結果は現時点での知見に基づくものであり、レベル2PSAで取り扱っている現象に対する知見が今後増大すれば見直しが行われるべきものである。
1)格納容器ベント設備
〔BWR〕
 米国のPeach Bottom炉に関する評価結果によれば、格納容器ベント設備(耐圧型)のみでは、どのシーケースでも過温によるドライウェル破損が生じるとされている。なお、環境へのFP放出はこのドライウェルからの放出が主となることから、ベント設備の方式(耐圧強化ベント、フィルター付ベント、ダクトベント)の違いによってリスクに関し有意な差は生じていない。また、改良型ADS、バックアップスプレイ、バックアップ圧力容器注水などの対策は、個別的にはリスク低減効果は小さいものの、これらすべてを格納容器ベント設備と組み合わせて採用した場合には大きなリスク低減効果が期待できることが示されている。
 これに対し、我が国の代表的BWRプラントに対する予備的なレベル2PSAの評価結果は、概略次のとおりである。
)BWR-4・Mark Ⅰプラントの場合、格納容器破損に至る全事象の発生率(以下「全格納容器破損発生率」という)は全炉心損傷発生率の約1/7(産業界)と評価されている。また、格納容器の破損モードは、全交流電源喪失事象及びLOCA後の炉心冷却失敗事象など、炉心損傷後に格納容器が破損するシーケンスでは過温破損、TC及びTWシーケンスなどの事故シーケンスでは過圧破損である。(なお、レベル2PSAにおいては、格納容器の温度または内圧が一定の値を超えると評価された場合をもって、それぞれ「過温破損」もしくは「過圧破損」するとしている)また、このうち比較的早期(10時間以内)にFP放出に至る格納容器破損事故の発生率は、全炉心損傷発生率の約1/10である。
 また、ソースタームの評価結果によると、すべての事故シーケンスにおいて、CsI、CsOHの放出割合が他の核種に比べて1桁以上大きくなっている。
 BWR-5・Mark Ⅱプラントの場合、TC及びTWシーケンスでは、格納容器の過圧破損によって注水機能が喪失し、炉心溶融に至る。Mark Ⅱプラントの格納容器では溶融炉心によるコンクリート侵食により、原子炉圧力容器下部ペデスタル部に破損が生ずる。全格納容器破損発生率は、全炉心損傷発生率の約1/3(産業界)~約1/4(原子力安全解析所)と評価されている。また、このうち比較的早期にFP放出に至る格納容器破損事故の発生率は、全炉心損傷発生率の約1/5である。
 また、産業界のソースタームの評価結果によると、格納容器内に流出した溶融炉心の温度がMark Ⅰプラントの場合よりも高くなり、コア・コンクリート反応が増大し、Te、Sr、Moの寄与が増加する。また、ペデスタル部が破損するとスクラビング効果が期待できなくなるため、CsI、CsOHの放出割合についてもMark Ⅰプラントに比べて全般的に大きくなっている。
)格納容器ベント設備によるFP放出低減効果について、環境影響の観点から重要なCsIに着目した結果を以下に示す。
 BWR-4・Mark Ⅰプラントの場合、ダクトベント、耐圧強化ベントのいずれでも、これによる環境へのCsIの放出量の低減効果は大差なく、効果の大きい事故シーケンスでもファクター10程度である。これはドライウェルで過温破損が生じ、ベント配管をバイパスして放出されてしまうシーケンスが支配的となるためである。一方、注水設備によって溶融炉心の冷却の効果が確実に期待できるとすれば、ダクトベントまたは耐圧強化ベントの場合にはスクラビング効果に相当するDF、フィルター付格納容器ベント設備の場合にはフィルターのDFに相当するFP放出量の低減効果があると考えられる。
 BWR-5・Mark Ⅱプラントの場合、ダクトベント、耐圧強化ベントのいずれのケースも、環境へのCsIの放出量の低減効果は少ない。また、ダクトベントのケースに比べ、耐圧強化ベントのケースは放出割合がかえって増大している。これは、ダクトベントの場合には、放出されるFPの建屋内沈着が期待できるのに対し、耐圧強化ベントの場合には、建屋をバイパスするため、これを期待できないためである。一方、BWR-4・Mark Ⅰプラントの場合と同様、格納容器への注水が行われ溶融炉心の冷却の効果が確実に期待できるとすれば、フィルター付きベント設備の場合にはフィルターのDFに相当するFP
放出量の低減効果があると考えられる。
〔PWR〕
 我が国の代表的PWRプラントに対する予備的なレベル2PSAの評価結果は、概略次のとおりである。
)全格納容器破損発生率は大型ドライ型格納容器プラントの場合、全炉心損傷発生率の約1/7(産業界、原子力安全解析所とも)である。また、産業界の評価結果によれば、アイスコンデンサ型格納容器プラントの全格納容器破損発生率は、全炉心損傷発生率の約1/5(水素燃焼装置を設置しない場合)及び約1/10(水素燃焼装置を設置した場合)となっている。
 準静的圧力上昇(緩慢な圧力上昇)に伴う格納容器の過圧破損発生率は、大型ドライ型格納容器プラントについては全格納容器破損発生率の約62%(産業界)~約51%(原子力安全解析所)、アイスコンデンサ型格納容器プラントについては全格納容器破損発生率の約30%(水素燃焼装置を設置しない場合)及び約60%(水素燃焼装置を設置した場合)となっている。
)上記の結果から、大型ドライ型格納容器プラント及び水素燃焼装置を設置したアイスコンデンサ型格納容器プラントにおいて、格納容器への注水設備と組み合わせた格納容器ベント設備を採用すれば、全格納容器破損発生率を約1/3に低減することが可能と考えられる。
 また、フィルター付ベント設備による環境へのCsI放出の低減効果については、準静的圧力上昇により格納容器が過圧破損に至る事故シーケンスに対し、注水設備によって溶融炉心の冷却の効果が確実に期待できる場合には、フィルターのDFに相当するFP放出量の低減効果があると考えられる。
2)水素燃焼装置
 PWRアイスコンデンサ型格納容器プラントの全格納容器破損発生率は、大型ドライ型格納容器プラントの全格納容器破損発生率に比べ、格納容器自由体積が小さく破損圧力が低いため、5倍程度大きくなっているが、水素燃焼装置を設置することによって、次に示すように格納容器破損の発生率を低減し得ることが示されている。
 すなわち、産業界における予備的なレベル2PSAの評価結果によれば、PWRアイスコンデンサ型格納容器プラントにおいては、水素燃焼装置の設置により、全格納容器破損発生率は全炉心損傷発生率の約1/5から約1/10へと低減している。これは水素燃焼装置の設置により原子炉圧力容器破損以前に炉心で発生した水素が格納容器内で急速に燃焼するモード(アイスコンデンサ型格納容器プラントで水素燃焼装置無しの場合には約48%を占める)がほとんど無視できるようになるためである。
4.4 格納容器対策の実施に付随して発生する課題と対応
 前節までアクシデントマネージメントの一環としての格納容器ベント設備及び水素燃焼装置を対象として、PSAの観点からその効用について検討を行ってきた。
 しかしながら、これらの設備を採用した場合、その内容によっては機器の故障、誤動作や運転員の誤操作により、かえって原子炉施設全体としての安全性を阻害する可能性も考えられる。
 本節においては、これらの対策を施す場合、付随して発生すると考えられる技術的課題を可能な限り洗い出し、その課題に対する諸外国の対応状況を調査し、評価を行った。
1)格納容器ベント設備
 格納容器ベント設備は、格納容器の過圧破損を防ぎ、その健全性を維持するための設備であるため、ベント開始の設定圧力をいくらにするかということは、ベント設備の設計・運用上、重要である、種々の実験等により、格納容器の破損限界圧力は設計圧力の3倍程度といわれているが、これまでのベント設計では、設定圧力として格納容器の設計圧力又はこれを若干上回った値を採用している場合が多い。
 また、格納容器ベント設備を採用した場合、設備の故障、誤動作または運転員の誤操作が安全性をかえって阻害する可能性については、各国とも通常時閉止の隔離弁を2弁設置するか又はラプチャーディスクあるいはこれらの組み合わせにより対応している。特にラプチャーディスクを用いない手動開方式の場合には、誤操作防止の観点から、監視計器、手順書の整備及び訓練の充実が必要である。
 ベント中においては、①ベントラインでの水素燃焼、②BWRプラントにおける注水システムのキャビテーション、ベント後においては、③隔離弁再閉止失敗、④格納容器負圧破損の可能性などが考えられるが、各国とも①については、圧力開放装置(オリフィス)の設置又は窒素置換の設計対応、②については、注水系の水源切替や外部水源等による運用、③については隔離弁2弁構成による設計対応、④については格納容器内圧力モニタによる設計対応等が図られている。実際には手順書の作成時に監視項目、操作等の運転操作とこれらの設計対応とを十分関連づけ、その運用を具体化しておくことが必要である。
2)水素燃焼装置
 水素燃焼装置の機能は、大量に水素が発生する事故時において、格納容器内の水素濃度を低くすることである。水素燃焼装置の型式には、グロープラグ式、触媒式及びスパーク式があるが、米国等のPWRアイスコンデンサ型プラントに実際に設置されているのは、グロープラグ式である。
 本設備を採用するに当たっては、その効果を確実なものにするために、①作動時期、②大量の水素発生雰囲気条件下での機能、③局所的な爆ごうの発生の可能性、④電源系の信頼性の検討が必要である。①については、グロープラグ式の場合、事故検知後に運転員が手動投入を行うことになり(他の型式は自動作動)、その場合、操作開始までの時間的余裕は十分にあるものの、操作の時期を誤って過剰圧力を生じさせないよう適切な操作要領等の検討が必要である。また②については、グロープラグ式の場合、米国のいくつかの研究所において大量水素発生時のスプレイ、フォッギング等の影響評価実験が実施されているが、他の方式については今後確認が必要である。さらに③については、米国PWRプラントの水素燃焼装置の設置例は、局所的な水素の高濃度化を防止するために、格納容器の各区画ごとに水素燃焼装置を設置するなどの対策が講じられているが、これを含め局所的爆ごう防止の対策及びその妥当性については、我が国及び諸外国において水素燃焼挙動の把握に関する
 実験研究が進行中であり、これらの研究による知見を踏まえて判断することが肝要である。また、④については、グロープラグ式及びスパーク式水素燃焼装置の場合は、電源の信頼性についての検討が必要である。

5.技術的検討結果
 格納容器ベント設備及び水素燃焼装置を中心として、フェーズⅠ及びフェーズⅡのアクシデントマネージメントの観点から利害得失を含めて検討し、得られた技術的検討結果を以下にまとめて示す。
1)格納容器ベント設備
)フェーズⅠのアクシデントマネージメントとしての格納容器ベント設備
 米国においては、前述のとおりTWシーケンスでの炉心損傷を防止するために、BWR Mark Ⅰプラントに耐圧強化型格納容器ベント設備の設置が勧告されている。一方、既存のベント系(ダクトベント)の利用を考慮に入れた、我が国の代表プラントのレベル1PSAによれば、炉心損傷発生率は十分に低く、また全炉心損傷発生率のうちTWシーケンスの割合も小さくなっている。
 米国における耐圧強化型格納容器ベント対策は、Mark Ⅰプラントの格納容器容積が他の格納容器の型式に比べて小さいという議論を背景として、主としてMark Ⅰプラントを対象として要求されている。しかし、実際には、国内BWRプラントのMarkⅠとMark Ⅱプラントでは単位出力当たりの格納容器容積について設計上の差はなく、また全炉心損傷発生率についても顕著な差はない。従って、Mark Ⅰプラントの格納容器に対してのみ特に耐圧強化型格納容器ベント設備を設置する必然性は必ずしも明らかではない。
 なお、国内PWRプラントにおいては、フェーズⅠのアクシデントマネージメントとしての格納容器ベント設備に期待していないので、これについての検討はここでは省くものとする。
)フェーズⅡのアクシデントマネージメントとしての格納容器ベント設備
 フェーズⅡのアクシデントマネージメントとしての格納容器ベント設備として特徴的なものは、欧州諸国のBWR及びPWRプラントで設置が進められているフィルター付きベント設備である。BWRプラントについては、サプレッションプールでのスクラビングによるFP放出低減効果を期待するウェットウェルベント設備もある。
 なお、前述の米国の耐圧強化型格納容器ベント設備は当初はフェーズⅡの段階でも使用することが考えられていた経緯がある。
 BWR Mark Ⅰ、Ⅱ格納容器の現状の設計においては、フィルター付ベント設備もしくはウェットウェルベント設備のみでは格納容器の過温破損が防止できないため、
 必ずしも環境へのFP放出の低減に関して有効とならないが、格納容器への注水と組み合わせた場合には、フィルターもしくはサプレッションプールのバイパスを回避することができ、環境へのFP放出量の低減に関して有効なものとなる。
 PWRでは、フィルター付ベント設備は、格納容器の準静的な過圧破損モードに対しては有効であるが、フィルター付ベント設備のみでは他の破損モードには有効ではないため、シビアアクシデント時の格納容器破損の発生率を低下する観点から、格納容器スプレー系の強化あるいは格納容器内注水等ベント設備以外の対策も併せて、総合的に検討していく必要がある。
 なお、格納容器ベント設備の設備仕様を具体的に決定するに当たっては、DCH、溶融炉心の冷却特性及びプールスクラビング効果等のシビアアクシデント時の物理現象に関する研究を推進し、不確かさの幅の低減に努めていく必要がある。
2)水素燃焼装置
 設計ベースを超える大量の水素ガスの発生に対する対応策については、原子炉安全基準専門部会のワーキンググループにおいて検討がなされてきた。
 同ワーキンググループにおいては、大量の水素発生時の問題点、今後の措置、格納容器の耐力、米国における規制、研究開発状況及び我が国の規制に適用する場合の問題点等について検討がなされてきた。その後、格納容器の安全性の役割、指針への導入方法などについて検討がなされている。その結果、大量水素発生時においても格納容器は、現設計のままで格納機能を維持できる可能性がかなり高いが、なお一層の検討が必要であるとの結論がまとめられている。さらに、同ワーキンググループにおいて、国内PWRアイスコンデンサ型プラントにつき、水素燃焼装置を水素制御対策のひとつとして検討している。その結果、計画的に水素の燃焼が制御できれば、格納容器の内圧上昇を極めて限られた範囲に止めうるものの、確実にかつ遅滞なく燃焼を起こさせる燃焼装置についてはまだ実証性が不十分であるとの結論がまとめられている。当懇談会においては、同ワーキンググループの検討結果を踏まえ、PSAの結果など国内外のシビアアクシデント研究の最新の成果、海外諸国において設置が検討され、あるいは既に設置された設備の様態、データ等を参考にその効用及び設置に付随して生ずる課題と対応について検討してきたが、現状で得られた知見をまとめると以下のとおりである。
①水素制御方式としては、水素再結合方式、水素燃焼方式及び不活性化方式があるが、このうち設計基準事象を超える大量の水素発生に対しては水素再結合方式は適さない。
②PWRプラントに比べ、格納容器容積が相対的に小さいBWR Mark Ⅰ、Ⅱプラントについては、我が国では設計当初より窒素ガスによる不活性化方式が採用されている。
③格納容器容積が相対的に大きいPWRプラントについては運転中に格納容器内の巡視・点検を行っていること及び格納容器容積が大きいことから不活性化方式は適さない。
④水素燃焼方式による水素燃焼装置の型式としては、グロープラグ式、スパーク式及び触媒式が挙げられるが、グローブラグ式及びスパーク式は電源の信頼性について検討が必要である。また、触媒式及びスパーク式はシビアアクシデント条件下での性能確認試験が完了していない。
⑤米国及びフィンランドのPWRアイスコンデンサ型プラントには既にグロープラグ式の水素燃焼装置が設置されている。
⑥我が国の産業界のレベル2PSAの結果によれば、PWRアイスコンデンサ型プラントに水素燃焼装置を設置することにより、全格納容器破損発生率は約半分になる。
⑦PWRドライ型格納容器プラントは格納容器容積・出力比が大きく破損限界圧力も高いため安全裕度は大きいと認識されており、ドイツにおいて水素燃焼装置が設置される予定であるのを除き各国でも水素燃焼装置を設置していない。
 また、水素燃焼装置の作動の時期を誤り、水素濃度が高くなった時点で作動させることになった場合に、過剰圧力を生じさせないよう適切な操作要領等の検討が必要である。
 また、このような状態に対して、可能性は低いと思われるが、爆ごうの発生について検
討が必要である。

6.結論と提案
 これまで我が国で行われたレベル1PSAの結果によれば、代表的な国内原子炉では、これまでの良好な運転実績が今後も維持されること及び国の指導に基づき整備が進められているフェーズⅠのアクシデントマネージメントが高い信頼度で実施されることが期待し得るならば、原子炉施設内部の原因によってシビアアクシデントが発生する可能性は充分小さいと判断される。また、このフェーズⅠのアクシデントマネージメントの整備に関し、その範囲を広げて検討することにより、シビアアクシデントの発生防止にさらに一層の効果があると考えられる。
 一方、米国等で実施されたレベル2PSA及び我が国で実施された予備的なレベル2PSAの結果によれば、不確実さはあるものの、格納容器内への注水等の対策と組み合わせて設置するフィルター機能を有する格納容器ベント設備(BWR及びPWR)、並びにPWRアイスコンデンサ型格納容器への水素燃焼装置の設置は、フェーズⅡのアクシデントマネージメントの一部として有効な対策となり得ると判断される。
 以上のこと及び『2.アクシデントマネージメントの役割と位置付け』で述べた考え方を踏まえると、アクシデントマネージメントを整備し、万一の場合にこれを的確に実施することは、強く奨励もしくは期待されるべきものと当懇談会は考える。そこで、今後アクシデントマネージメントの整備を一層促進するために、当懇談会は次のような提案を行うものである。
(1) 原子力安全委員会は、原子炉設置者が行うアクシデントマネージメントの整備につき、その性格と位置付け及び原子炉設置者・規制当局の任務等に関する基本的考え方を示し、今後の当事者の努力の方向と枠組みを明らかにすること。
(2) 上記考え方においては、アクシデントマネージメントを次のように位置付けることが適当であると考える。すなわち、アクシデントマネージメントは、これまでの対策によって十分低くなっているリスクをさらに低減するための、原子炉設置者の技術的知見に依拠する「知識ベース」の措置であり、状況に応じて原子炉設置者がその知見を駆使して臨機にかつ柔軟に行われることが望まれるものである。従って、現時点においては、これに関連した整備がなされているか否か、あるいはその具体的対策の内容の如何によって、原子炉の設置または運転を制約するような規制的措置が要求されるものではない。
(3) また、上記考え方においては、次の点を明示することが適当であると考える。すなわち、アクシデントマネージメントの範囲としては、フェーズⅠ、Ⅱの双方を含み、原子炉設置者は原子炉のリスクを一層低減する努力の一つとして、アクシデントマネージメントの整備に努めるべきである。ただし、原子炉施設の設計等によって、ある事故の可能性が存在しないかあるいは極めて低いと考えられる場合には、これに対応するアクシデントマネージメントについてはこれを除外することもあり得る。なお、その場合の目安としては、フェーズⅠとフェーズⅡのアクシデントマネージメントの有効性のバランスや海外で採用され始めている定量的な安全目標も参考となろう。
(4) さらに、上記考え方においては、アクシデントマネージメントの整備に際しての具体的検討事項として、少なくとも次の項目を掲げておくことが適当であると考える。
a)アクシデントマネージメントの整備の具体的内容に関し、
• アクシデントマネージメントの実施内容
• アクシデントマネージメント実施に係わる設備、機材の整備(異常診断、状況把握を運転要員が行いやすいように配慮した測定・表示・記録設備を含む)
• アクシデントマネージメントの手順書の整備と要員の教育訓練を検討すること
b)上記の整備に当たって、新たに設備を付加する場合、あるいは既設の設備を利用するにしても従来の手順書等に定めのない操作を行うことを規定する場合には、これらによって既存の安全機能を阻害しないことを確認すること
c)アクシデントマネージメントの整備は、適切な計画に基づき、可能な項目から順次実施されること。なお、原子炉設置者等において、適当な年限を定め、その整備状況がレビューされること
d)原子炉設置者は、その設備の様態、運転経験をもとに、個別プラントのPSAを実施し、アクシデントマネージメントを含む運転管理の重要性を再認識し、リスクの一層の低減に努めること
(5) 上記を進めるに当たり、アクシデントマネージメントの整備に関連する国の役割については、本報告書『2.アクシデントマネージメントの役割と位置付け』に述べられている考え方も参照して早急に議論を進め、コンセンサスを得る必要がある。
(6) 一方、国の研究機関等及び原子炉設置者においては、リスク低減努力に当たり、特に不確実さの大きい人的因子やシビアアクシデントに係わる物理的諸現象の研究等を進めて、不確かさの幅の低減を図るよう努力を払う必要がある。
 当懇談会は、シビアアクシデントに関する内外の状況を展望するとき、上記の提案は緊急かつ重要な意義を有すると確信するものであり、原子力安全委員会において早急に検討を開始されることを希望するものである。

(参考)
平成4年5月28日付け原子力安全委員会決定文(平成9年10月20日一部改正)
発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて
 当委員会は、原子炉安全基準専門部会に昭和62年7月、共通問題懇談会を設け、シビアアクシデントの考え方、確率論的安全評価手法、シビアアクシデントに対する格納容器の機能等について検討してきた。その後、平成2年2月19日、同懇談会からシビアアクシデントに関する知見及びそれまでに得られていた確率論的安全評価の一部について「原子炉安全基準専門部会共通問題懇談会中間報告書」を受けた。
 さらに当委員会は、平成4年3月5日、同懇談会から「シビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントに関する検討報告書-格納容器対策を中心として-」(以下、「報告書」という。)を受けた。これは、近年、シビアアクシデントへの拡大防止対策及びシビアアクシデントに至った場合の影響緩和対策(以下、「アクシデントマネージメント」という。)が発電用軽水型原子炉施設(以下、「原子炉施設」という。)の安全性の一層の向上を図る上で重要であると認識されていること、また、アクシデントマネージメントの一部として海外諸国において格納容器対策が採択され始めていることを踏まえ、我が国が採るべき考え方について検討を行ったものである。
 当委員会は、報告書の内容を検討した結果、報告書が述べるアクシデントマネージメントの役割と位置付け及び格納容器対策に関する技術的検討結果についてはこれを妥当なものであると考える。また、アクシデントマネージメントの整備を一層促進するための同懇談会の提案は、我が国の原子炉施設の安全性の一層の向上に資するものであり意義深いものと認識する。
 当委員会としては、同懇談会の提案を踏まえ、下記の方針で対応を行うこととする。また、原子炉設置者及び行政庁においても、同方針に沿って一層の努力をされるよう要望する。


1.我が国の原子炉施設の安全性は、現行の安全規制の下に、設計、建設、運転の各段階において、①異常の発生防止、②異常の拡大防止と事故への発展の防止、及び③放射性物質の異常な放出の防止、といういわゆる多重防護の思想に基づき厳格な安全確保対策を行うことによって十分確保されている。これらの諸対策によってシビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さいものとなっており、原子炉施設のリスクは十分低くなっていると判断される。
 アクシデントマネージメントの整備はこの低いリスクを一層低減するものとして位置付けられる。
 したがって、当委員会は、原子炉設置者において効果的なアクシデントマネージメントを自主的に整備し、万一の場合にこれを的確に実施できるようにすることは強く奨励されるべきであると考える。
2.原子炉設置者においては、原子炉施設の安全性の一層の向上を図るため、報告書が示す提案の具体的事項を参考としてアクシデントマネージメントの整備を継続して進めることが必要である。また、行政庁においても、報告書を踏まえ、アクシデントマネージメントの促進、整備等に関する行政庁の役割を明確にするとともに、その具体的な検討を継続して進めることが必要である。
3.当委員会としては、アクシデントマネージメントに関し、今後必要に応じ、具体的方策及び施策について行政庁から報告を聴取することとする。当面は以下のとおり行うこととする。
(1) 今後新しく設置される原子炉施設については、当該原子炉施設の詳細設計の段階以降速やかに、アクシデントマネージメントの実施方針(設備上の具体策、手順書の整備、要員の教育訓練等)について、行政庁から報告を受け、検討することとする。この検討結果を受け、原子炉設置者は、アクシデントマネージメント策を当該原子炉施設の燃料装荷前までに整備することとする。
(2) 運転中又は建設中の原子炉施設については、順次、当該原子炉施設のアクシデントマネージメントの実施方針について行政庁から報告を受け、検討することとする。
(3) 上記(1)及び(2)の際には、当該原子炉施設に関する確率論的安全評価について行政庁から報告を受け、検討することとする。
4.関係機関及び原子炉設置者においては、シビアアクシデントに関する研究を今後とも継続して進めることが必要である。さらに、当委員会としては、これらの成果の把握に努めるとともに所要の検討を行っていくこととする。



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2011-08-17 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その20 非常用電源

・設置関係資料 その20 非常用電源

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ウォール・ストリートジャーナル 日本版
http://jp.wsj.com/Japan/node_201568/?tid=tohoku
問われる福島原発の設計-非常用発電機の設置場所も対象に
2011年 3月 17日 10:26 JST

【東京】福島第1原子力発電所では、過熱した原子炉を冷却する努力が続いているが、危機を招いた原発の設計と安全性に問題はなかったか問われ始めている。


 福島原発は日本でも最も古い原発で、原子炉6基は1970年代に稼働を開始した。比較的旧式の技術である沸騰水型原子炉で、太平洋岸の6つの立方体の建物に収容されている。沿岸近くにあるのは、必要な場合、海水をくみ上げやすいし、重い資材を船で運搬できるためだ。

 福島原発は10年前、記録偽造スキャンダルの中心となり、原発を運転している東京電力は一時すべての原発の運転を停止し、多数の幹部が辞任した。原子力専門家によれば、この結果、福島原発で報告されていなかった問題が公開されたという。

 原子力業界は世界的な原発拡張を推進するにあたって、浮上している設計問題を綿密に精査することになりそうだ。近畿大学原子力研究所の伊藤哲夫所長は「先週の大地震と津波は、われわれのエンジニアリング上の想定を大きく超えていた」と述べ、「世界中の原子力産業が原発設計にあたってこうした想定をどうみるか再検討しなければならないだろう」と語った。

 精査の対象の一つは、福島第1原発の非常用ディーゼル発電機だ。これは地下にあり、安全な部屋に隔離されていた。原発が電力を失った際に13基の発電機が起動すると想定されていた。

 もう一つの精査対象は、原発の原子炉6基が互いに近接したところにあることだ。このため、一つの原子炉が打撃を受けると他の炉に波及し、復旧努力に障害になる。伊藤所長は、互いに近接していることで、機材を容易に移動できるし、労働力を低めに抑えられると指摘。ただし事故が発生した現在、こうした意図は「間違った考え」であったかにみえるとし、「運転上の効率性と安全性のバランスを保つ必要がある」と語った。

 米エクセル・エナジー社のテリー・ピケンズ取締役(原子力規制政策担当)は、福島原発と同じような原子炉は全くないと述べた。これは当時、電力会社は自らエンジニアリング会社や建設会社を採用し、カスタマイズされた設計をしていたためだという。米ミネソタ州にあるエクセルのモンティセロ原発では、ディーゼル発電機は出来るかぎり離れたところにある。これは「天変地異によって原発と発電機が同時に破壊されないようにする」ためだ。

 福島原発は11日の地震の際に電力を失った。運転していた3つの原子炉は設計通り、自動的に運転を停止した。だが電力が失われたことから、冷却システムが機能しなくなった。東電は、津波で非常用発電機が一つ残っただけだと述べた。地上にあった燃料タンクは津波で流されたようだという。

 東電の小森明生常務(原発担当)は先週末の会見で、非常用発電機をどの程度のエレベーション(高い場所、海抜)に設置するかは潜在的な問題だと指摘した。東電スポークスマンはこの発言を確認したが、完全な精査は作業員が原子炉を制御できてからになろうと述べた。

 原子力安全・保安院のスポークスマンによれば、福島第1原発の非常用発電機の設計は、日本の他の原発に「かなり普遍的」だという。同スポークスマンは、ディーゼル発電機の設置場所、とりわけエレベーションが問題との議論に反論し、原発は一定の規模の津波に耐えられると結論していたと述べた。同スポークスマンは「11日の大地震に続く津波がわれわれの想定を上回っていたのは疑いない。それが問題だ」と述べた。

 東電のスポークスマンは、発電機の設置場所を他に移せば、別の問題が発生すると述べた。同スポークスマンは「原子炉は海岸線から100メートル地点にあり、非常用発電機を収容している家屋はかなり防水機能があった」とし、「発電機をもっと高い場所に設置できたはずだと主張できるが、そうなれば、発電機は地震に脆弱になってしまう」と指摘した。同スポークスマンは「われわれはこうした諸リスクを徹底的に勘案して、非常用発電機を低めの場所に設置した」と強調。「(発電機の設置場所が誤っていたなどと主張するのは)後智恵というものだ」と述べた。

記者: Norihiko Shirouzu and Rebecca Smith


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asahi.com
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104060163.html
福島第一原発の安全不備 非常設備は改修せず
2011年4月6日11時41分

 東京電力の福島第一原発が津波に襲われた後、被害が拡大した理由に、非常用ディーゼル発電機などの設置場所など安全設計上の問題があった疑いが浮上した。1970年代から第一原発の運転を続ける中で、東電は改良工事など対策を講じることはできなかったのか。

■「大工事になり金かかる」関係者証言

 「福島第一原発は、ほかの原発と比べても極端に津波に弱い」。原発の安全確保の基本方針を決める原子力安全委員の一人は、事故から復旧の見通しが立たない中で、こう指摘した。

 福島第一原発は、国内の商業用原発としては最も古い部類に入り、60年代から70年代にかけて建設された。その後、耐震性などを強化するため、70~80年代にかけて大規模な改良工事が行われた。

 この工事にかかわった元東電社員の原子力技術者によると、各建屋につながれている電気ケーブルやパイプなどをコンクリートで覆い、岩盤と接するように工夫した工事などが繰り返されたという。ただ、今回、津波の被害を拡大させた疑いがある、非常用ディーゼル発電機の設置場所や、海水ポンプがほぼむき出しの状態で置かれていたことを見直すことについては、この技術者は「検討課題にはなっていなかった」。

 この理由について、原子力技術者は「想定した津波の高さで原子炉建屋は安全な位置にあると判断していることがまずあるが、発電機の位置などを変えようとしても、原子炉建屋の中に収納できるようなスペースはなく、設計の大幅な変更につながる。その発想は当時なかった」。また、東電の中堅幹部は、「もし、改修に踏み切ったとしたら、大規模な工事になり、多額のカネがかかる。当時は設計通りに作ることが至上命題だった」と話した。

 この背景には、60~70年代の建設当時、原発先進国・米国の技術を移入し、日本側はそれを学ぶ過程にあったことがある。東電元幹部はこう説明する。「福島第一はゼネラル・エレクトリック(GE)の設計を東芝と日立製作所が試行錯誤しながら学ぶ練習コースみたいなものだった」

 福島第一原発に六つある原子炉のうち、1~5号機はGEが開発をした、「マーク1」と呼ばれるタイプの沸騰水型炉。関係者によると、福島第一の非常用発電機の場所や、ポンプの構造は、GEの基本設計の通りだという。一方、6号機からは、原子炉建屋により余裕のある「マーク2」が採用され、70年代中ごろから90年代にかけて建設された福島第二と、柏崎刈羽両原発では「マーク2」の改良炉が主になっている。非常用発電機の位置やポンプを覆う建屋の建設も、東芝や日立製作所が経験を積み、改良していった点だ。

 だが、後発の原発に盛り込まれた安全設計の進展が、福島第一に活用されることはなかった。原子力技術者は「福島第二などの建設からも何年もたっているわけで、なぜ、福島第一に安全思想をリターンしなかったのかという点は、この大震災があったからこそ悔やまれる。東電は今後、厳しく検証を迫られることになるだろう」と指摘した。

■「後から直すと、当初の対策が甘かったと指摘される」

 一方、「日本では大きな原発事故はありえない」という、「安全神話」に頼る意識も影響した。

 東日本大震災が起きる前から、想定以上の津波が起きる危険性は指摘されていた。「防波堤をもっと高くできたはずだ」という声は東電社内でも起きている。ただ、東電の中堅幹部がかつての上司に「なぜ改良しなかったのか」と聞いたところ、「後から高くすると、当初の津波対策は甘かったという指摘を受ける。それを避けたかった」ということを言われたという。この中堅幹部は「非常用発電機を原子炉建屋に移すことについても、同じ考えがあったと思う」と話す。

 安全確保を目的とした、国の規制も改良を妨げたという指摘もある。原子力安全委員の一人は「日本は非常用発電機一つの位置を変えるにも、複雑な許認可が伴う。いまさら言っても遅いが、そのあたりが硬直化している」と話した。(板橋洋佳、市田隆、小島寛明)


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NHK newsweb
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111229/t10014975631000.html

東電 過去にも非常用発電機が水没
平成23年12月29日 4時40分
東京電力福島第一原子力発電所で、20年前、非常用発電機が、配管から漏れた水につかり、機能しなくなるトラブルが起きていたことが、東京電力の元社員らの話で分かりました。発電機の浸水対策を進め、今回の事故のような深刻な事態を防ぐきっかけにもなり得たトラブルでしたが、結果として、対策にはつながりませんでした。

福島第一原発の事故では、地下1階の非常用ディーゼル発電機が、津波によって流れ込んだ水につかって機能しなくなり、原子炉を冷やせなくなったことが、事態を深刻化させる原因の1つとなりました。このような浸水から、発電機を守るきっかけにもなり得たトラブルが、20年前の平成3年10月に起きていたことが、東京電力の元社員らの話で分かりました。元社員らによりますと、トラブルが起きたのは、福島第一原子力発電所1号機のタービン建屋で、配管から漏れ出した水が地下1階に流れ込み、非常用発電機が機能しなくなりました。当時、福島第一原発の技術者だった元社員は、タービン建屋が海に近かったことから、「もし津波が来たら、同じように地下の発電機が水につかって使えなくなると思い、上司に相談した」などと話しています。一方、東京電力は、当時、発電機のある部屋のドアに、防水対策を施したということですが、発電機を地下から高い場所に移し替えるなど、津波を想定した対策は採りませんでした。これについて東京電力は、「このトラブルの原因は、配管からの水漏れでその対策は講じている。また『津波の危険性を上司に相談した』という元社員の主張について、当時の上司は、相談を受けたという認識を持っていない」としています。

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毎日新聞 2012年1月4日 20時28分
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2012/01/20120105k0000m040055000c.html


福島第1原発:91年事故でも非常用電源起動できない状態


 東京電力は4日、福島第1原発のタービン建屋地下で91年10月に起きた非常用電源部屋の浸水事故について、非常用電源は起動できない状況だったと発表した。昨年末の発表では非常用電源は機能していたとしていたが、当時の報告書を詳細に分析し、訂正した。

 東日本大震災に伴う津波で浸水し、非常用電源が起動できなかったことが今回の事故の一因になった。20年前は外部電源が機能していたとはいえ、当時の経験を教訓にできなかったことになる。

 東電によると、配管が腐食したために中を流れる原子炉の冷却用海水が毎時20立方メートル漏出。部屋にあふれて非常用発電機と配電盤が約60センチの深さで冠水した。報告書にあった電気抵抗データなどから起動できない状態だったことが判明したという。

 東電は「地下の方が耐震性が優れているので置いた」と説明した。【比嘉洋】

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2011-08-16 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その19 IAEA福島事故調査団報告書

・設置関係資料 その19 IAEA福島事故調査団報告書


・報告書
MISSION REPORT
http://www-pub.iaea.org/MTCD/meetings/PDFplus/2011/cn200/documentation/cn200_Final-Fukushima-Mission_Report.pdf



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・要旨
http://www.kantei.go.jp/foreign/kan/topics/201106/20110601iaea_tyousa_e.pdf

IAEA INTERNATIONAL FACT FINDING EXPERT MISSION OF THE NUCLEAR ACCIDENT FOLLOWING THE GREAT EAST JAPAN EARTHQUAKE AND TSUNAMI

Tokyo, Fukushima Dai-ichi NPP, Fukushima Dai-ni NPP and Tokai NPP, Japan 24 May- 1 June 2011

Preliminary Summary

IAEA EXPERT MISSION TO JAPAN

PRELIMINARY SUMMARY
1 JUNE 2011

The Great East Japan Earthquake on 11 March 2011, a magnitude 9 earthquake,generated a series of large tsunami waves that struck the east coast of Japan, thehighest being 38.9 meters at Aneyoshi, Miyako.

The earthquake and tsunami waves caused widespread devastation across a large part of Japan, with more than 14,000 lives lost. In addition to this, at least 10,000 people remain missing, with many more being displaced from their homes as towns and villages were destroyed or swept away. Many aspects of Japan’s infrastructure have been impaired by this devastation and loss.

As well as other industries, several nuclear power facilities were affected by the severe ground motions and large multiple tsunami waves: Tokai, Higashi Dori, Onagawa, and TEPCO`s Fukushima Dai-ichi and Dai-ni. The operational units at these facilities were successfully shutdown by the automatic systems installed as part of the design of the nuclear power plants to detect earthquakes. However, the large tsunami waves affected all these facilities to varying degrees, with the most serious consequences occurring at TEPCO`s Fukushima Dai-ichi.

Although all off-site power was lost when the earthquake occurred, the automatic systems at TEPCO`s Fukushima Dai-ichi successfully inserted all the control rods into its three operational reactors upon detection of the earthquake, and all available emergency diesel generator power systems were in operation, as designed. The first of a series of large tsunami waves reached the TEPCO`s Fukushima Dai-ichi site about 46 minutes after the earthquake.

These tsunami waves overwhelmed the defences of TEPCO`s Fukushima Dai-ichi facility, which were only designed to withstand tsunami waves of a maximum of 5.7 meters high. The larger waves that impacted this facility on that day were estimated to be larger than 14 meters high. The tsunami waves reached areas deep within the units causing the loss of all power sources except for one emergency diesel generator (6B), with no other significant power source available on or off the site, and little hope of outside assistance.

The station blackout at TEPCO`s Fukushima Dai-ichi and impact of the tsunami rendered the loss of all instrumentation and control systems at reactors 1-4, with emergency diesel 6B providing emergency power to be shared between Units 5 and 6.

The tsunami and associated large debris caused widespread destruction of many buildings, doors, roads, tanks and other site infrastructure at TEPCO`s Fukushima Dai-ichi, including loss of heat sinks. The operators were faced with a catastrophic, unprecedented emergency scenario with no power, reactor control or instrumentation, and in addition to this, severely affected communications systems both within and external to the site. They had to work in darkness with almost no instrumentation and control systems to secure the safety of six reactors, six associated fuel pools, a common fuel pool, and dry cask storage facilities.

With no means to control or cool the reactor units, the three reactor units at TEPCO’s Fukushima Dai-ichi that were operational up to the time of the earthquake quickly heated up due to usual reactor decay heating. Despite the brave and sometimes novel attempts of the operational staff to restore control and cool the reactors and spent fuel, severe damage of the fuel and a series of explosions occurred. These explosions caused further destruction at the site, making the scene faced by the operators even more demanding and dangerous. Moreover, radiological contamination spread into the environment. These events are provisionally determined to be of the highest rating on the International Nuclear Event Scale.

To date no health effects have been reported in any person as a result of radiation exposure from the nuclear accident.

By agreement with the Government of Japan, the International Atomic Energy Agency conducted a preliminary mission to find facts and identify initial lessons to be learned from the accident at TEPCO’s Fukushima Dai-ichi and promulgate this information across the world nuclear community. To this end, a team of experts undertook this fact finding mission from 24 May to 1 June 2011. The results of this mission will be reported to the IAEA Ministerial Conference on Nuclear Safety at IAEA headquarters in Vienna from 20-24 June 2011. This is a preliminary summary report to provide immediate feedback to the Government of Japan.

During the IAEA mission, the team of nuclear experts received excellent co-operation from all parties, receiving information from many relevant Japanese ministries, nuclear regulators and operators. The mission also visited three affected nuclear power facilities – Tokai, TEPCO’s Fukushima Dai-ni and Dai-ichi to gain an appreciation of the status of the plant and the scale of the damage. The facility visits allowed the experts to talk to the operator staff as well as to view the on-going restoration and remediation work.

The mission gathered evidence, undertook a preliminary assessment and has developed preliminary conclusions as well as lessons to be learned. These preliminary conclusions and lessons have been shared and discussed with Japanese experts and officials. They fall broadly under the three specialist areas of external hazards, severe accident management and emergency preparedness. They are of relevance to the Japanese nuclear community, the IAEA and for the worldwide nuclear community to learn lessons to improve nuclear safety.

The main preliminary findings and lessons learned are:
• The Japanese Government, nuclear regulators and operators have been extremely open in sharing information and answering the many questions of the mission to assist the world in learning lessons to improve nuclear safety.
• The response on the site by dedicated, determined and expert staff, under extremely arduous conditions has been exemplary and resulted in the best approach to securing safety given the exceptional circumstances. This has been greatly assisted by highly professional back-up support, especially the arrangements at J-Village to secure the protection of workers going on sites.
• The Japanese Government’s longer term response to protect the public, including evacuation, has been impressive and extremely well organized. A suitable and timely follow-up programme on public and worker exposures and health monitoring would be beneficial.
• The planned road-map for recovery of the stricken reactors is important and acknowledged. It will need modification as new circumstances are uncovered and may be assisted by international co-operation. It should be seen as part of a wider plan that could result in remediation of the areas off site affected by radioactive releases to allow people evacuated to resume their normal lives. Thus demonstrating to the world what can be achieved in responding to such extreme nuclear events.
• The tsunami hazard for several sites was underestimated. Nuclear designers and operators should appropriately evaluate and provide protection against the risks of all natural hazards, and should periodically update these assessments and assessment methodologies in light of new information, experience and understanding.
• Defence in depth, physical separation, diversity and redundancy requirements should be applied for extreme external events, particularly those with common mode implications such as extreme floods.
• Nuclear regulatory systems should address extreme external events adequately, including their periodic review, and should ensure that regulatory independence and clarity of roles are preserved in all circumstances in line with IAEA Safety Standards.
• Severe long term combinations of external events should be adequately covered in design, operations, resourcing and emergency arrangements.
• The Japanese accident demonstrates the value of hardened on-site Emergency Response Centres with adequate provisions for communications, essential
plant parameters, control and resources. They should be provided for all major nuclear facilities with severe accident potential. Additionally, simple effective robust equipment should be available to restore essential safety functions in a timely way for severe accident conditions.
• Hydrogen risks should be subject to detailed evaluation and necessary mitigation systems provided.
• Emergency arrangements, especially for the early phases, should be designed to be robust in responding to severe accidents.

The IAEA mission urges the international nuclear community to take advantage of the unique opportunity created by the Fukushima accident to seek to learn and improve worldwide nuclear safety.


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経済産業省 要旨の仮訳
http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2011/files/230601-1-2.pdf


(仮訳)
IAEA調査団
暫定的要旨
2011年6月1日

マグニチュード9の地震であった2011年3月11日の東日本大地震は,日本の東海岸を直撃した数度に亘る津波を発生させ,そのうち最大のものは,宮古市姉吉における38.9メートルに及んだ。

地震及び津波は,日本の広い地域において広範囲の荒廃をもたらし,14,000名以上の死者を出した。これに加え,少なくとも10,000名の人々が今なお行方不明であり,町や村が破壊されたことで多くの避難者を出した。日本のインフラの多くが,この荒廃や喪失により損害を受けた。

他の産業と同様,いくつかの原子力発電施設が激しい地表の振動及び大規模な複数の津波により影響を受けた。東海,東通,女川並びに東京電力の福島第一及び福島第二である。これらの施設の運転中のユニットは,原子力発電所の設計の一部として備えられていた地震を検知するための自動システムにより,停止に成功した。しかし,大きな津波は,程度の差はあれ,これらの施設すべてに影響を与えた。その最も重大な結果が,東京電力福島第一で発生した。

地震発生時,施設外のすべての電源が失われたものの,東京電力福島第一の自動システムは,地震を検知した際,すべての制御棒を3機の運転中の炉に挿入させることに成功し,利用可能なすべての緊急ディーゼル発電システムは設計どおり作動した。大規模な津波の第一波は,東京電力福島第一のサイトに地震発生から約46分後に到達した。

津波は,最大5.7メートルの津波に持ち応えるよう設計されたに過ぎなかった東京電力福島第一の防御施設を圧倒した。同日,この施設に衝撃を与えた波のうち大きなものは14メートル以上と推定された。津波は,これらのユニット奥深くに到達し,緊急ディーゼル発電機の1台(6B)を除くすべての電源の喪失を引き起こし,施設内外に利用可能な電力源がなくまた外部からの支援の希望が殆どない状態をもたらした。

東京電力福島第一における全交流電源喪失と,津波の衝撃は,1~4号機のすべての機器とコントロール・システムの喪失をもたらし,緊急ディーゼル発電機6Bは,5,6号機間で共有される形で非常電源を供給する状況になった。津波及びそれに伴う大きながれきは,東京電力福島第一において,ヒートシンクの喪失も含め,広範囲にわたり多くの建物,戸口,道路,タンクその他のサイトのインフラの破壊を引き起こした。運転員は,電源も,炉の制御も,機器もない状態に加え,施設内部及び外部との通信システムも甚大な影響を受けるといった,壊滅的で先例のない緊急事態に直面した。彼らは,暗闇の中で,機器やコントロール・システムが殆どない状態で6機の炉及び付設された燃料プール,共用使用済燃料プール,乾式キャスクを用いた貯蔵施設の安全を確保するために作業しなければならなかった。

原子炉ユニットを制御又は冷却する手段がない状態で,地震発生時まで運転中であった東京電力福島第一原子力発電所の3つの原子炉ユニットの温度は通常発生する崩壊熱によって急速に上昇した。運転員が,制御能力を取り戻して原子炉及び使用済燃料の冷却を行うために勇敢でかつ時には前例のない取組を実施したにもかかわらず,燃料への重大な損傷及び一連の爆発が生じた。これらの爆発により,敷地において更なる損傷が発生し,運転員が直面する状況を一層困難かつ危険にした。更に,放射能汚染が周囲に広がった。これらの事象は,暫定的に国際原子力事象評価尺度(INES)で最も高い評価に分類されている。

今日まで,今回の原子力事故による放射線被ばくの結果として人が健康上の影響を受けた事例は報告されていない。

日本政府との合意により,国際原子力機関(IAEA)は東京電力福島第一原子力発電所における事故に関する事実を収集し,初期的な教訓を特定し,これらの情報を世界の原子力コミュニティに公表するために暫定的な調査を行った。そのために,2011年5月24日から6月1日まで専門家チームがこの事実調査を実施した。調査の結果は,2011年6月20日から24日までウィーンのIAEA本部で行われる原子力安全に関するIAEA閣僚会議に報告される。本稿は,日本政府に対し直ちに結果を伝えるための暫定的な要旨である。

IAEAによる調査期間中,原子力専門家からなる調査団は,全ての関係者から素晴らしい協力を得ることができ,多数の関係省庁,原子力規制当局及び原子力発電所の事業者から情報を得ることができた。また,調査団は原子力発電所の状況及び損傷の規模を完全に把握するため,東海原子力発電所並びに東京電力の福島第一発電所及び福島第二発電所を訪問した。

右訪問により,専門家は運転員と話すことができ,また現在進行中の復旧・改修作業を視察することができた。

調査団は証拠を収集し,暫定的な評価を行うとともに暫定的な結果及び教訓を得た。これらの暫定的な結論及び教訓は,日本の専門家及び政府関係者と共有され,議論された。これらは,大きく分けて外的事象のハザード,シビアアクシデント・マネジメント及び緊急に対する準備の3つの広い専門分野に該当する。これらは,原子力安全を改善するための教訓を得る上で,日本の原子力コミュニティー,IAEA及び世界の原子力コミュニティーにとって関連がある。

主な暫定的な調査結果及び教訓は,以下のとおり
● 日本政府,原子力規制当局及び事業者は,世界が原子力安全を改善する上での教訓を学ぶことを支援すべく,調査団との情報共有及び調査団からの多数の質問への回答におい
て非常に開かれた対応をとった。
● 非常に困難な状況下において,サイトの運転員による非常に献身的で強い決意を持つ専門的対応は模範的であり,非常事態を考慮すれば,結果的に安全を確保する上で最善のアプローチとなった。 これは,非常に高度な専門的な後方支援,就中,サイトで活動している作業員の安全を確保するためのJビレッジにおける対応が大きな助けとなっている。
● 避難を含め,公衆を保護するための日本政府の長期的な対応は見事であり,非常に良く組織されている。公衆及び作業員の被ばくに関する適切且つ時宜を得たフォローアップ計画及び健康モニタリングは有益であろう。
● 損傷した原子炉の復旧のために計画されたロード・マップは重要であり認知されている。新たな状況が発見されればその修正が必要となるが,国際協力による支援を受けることも可能である。(ロード・マップは,)サイト外で放射線の放出により影響を受けた地域の救済をもたらし,それにより避難した人々が通常の生活を取り戻すことを可能にするような,より広範な計画の一部と捉えるべきである。これにより,かような極限的な原
子力の事象に対応する上で何を成し遂げ得るのかを世界に示すことになる。
● いくつかのサイトにおける津波というハザードは過小評価されていた。原子力発電所の設計者及び運転者は,すべての自然のハザードの危険性を適切に評価し,これに対する防護措置を講ずるべきであり,新たな情報,経験や理解を踏まえて危険性についての評価及び評価手法を定期的に更新すべきである。
● 極限的な外部事象,特に大洪水のような共通性のある事象に対し,深層防護,物理的な分離,多様性及び多重性の要件が適用されるべきである。
● 原子力規制の制度は,極限的な外的事象に対し,それらの定期的な見直しを含めて適切に対処でき,また,規制の独立性及び役割の明確さがIAEA安全基準に沿ってあらゆる状況において維持されるようなものとすべきである。

● 外的事象の深刻で長期的な組み合わせについては,設計,運転,資源の調達及び緊急時対応において十分に考慮されるべきである。
● この日本の事故は,適切な通信手段,重要なプラント・パラメーター,コントロール及びリソースを十分に備えた敷地内の堅固な緊急対応センターの有用性を立証している。このような施設は,潜在的にシビア・アクシデントが起きる可能性のあるすべての主要な原子力施設に設けられるべきである。さらに,シビア・アクシデントの状況に対して重要な安全機能をタイミング良く回復させるため,簡単で有効且つ丈夫な設備が利用できるようにすべきである。
● 水素がもたらすリスクは詳細に評価され,必要な緩和システムが提供されるべき。
● 緊急時対応は,就中初期段階の対応は,シビア・アクシデントにしっかりと対応できるように設計されるべきである。


IAEA調査団は,国際的な原子力コミュニティに対し,世界の原子力安全について学び,これを改善することを追求すべく,福島の事故によって生み出されたこの比類ない機会を活用することを要請する。 (了)


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・設置関係資料 その18 パブリックコメント 平成18年6月

・設置関係資料 その18 パブリックコメント 平成18年6月


「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(案)」に対する意見募集にご応募いただいたご意見及び対応方針案について

http://netstrage.com/2030200002-181.pdf


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183頁
【意見】
プレート境界地震の連動を明記すること。
【理由】
 近年の津波堆積物の研究成果から、プレート境界地震では、通常のプレート間地震に比較して極めて大きな地震の発生が確認されている。
 2004年12月のスマトラ沖地震でも、複数のセグメントが連動して破壊してマグニチュード9.0の超巨大地震となって大津波がインド洋沿岸を襲い、数十万人の命が失われた。
 これらの事実は、指針にプレート境界地震の連動を明記する必要があることを示す。しかし、改訂指針案にはプレート境界地震の連動が具体的に記載されていない。
 東北電力の女川原発が三基ともスクラムした、2005.8.16に発生した宮城県沖地震は、単独のセグメントが活動したプレート境界地震である。この地震は想定より小さい、遠くの地震であったが、想定を超える揺れが観測された。
 太平洋側の原子力施設の耐震設計指針には、広範囲のプレート境界地震の連動を明記すべきであるが、記述がない。
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(意見) プレート境界地震の連動の可能性を明記するべき。(理由) 改定指針案のどこにも、上記の記述がない。このことは非常に重要で、例えば浜岡原発の立地について言えば、東海地震だけでなく、東南海地震、更にはまた南海地震との連動も想定される。それは宝永地震などの過去の例からも明らかであり、どのパターンを取るかは、実際に起きてみるまでは分からないところである。同様の事は、他の場所で起きるプレート境界地震についても、あり得ることである。 そして、そのことは更に、実は浜岡をめぐる想定においても、果たして南海地震までとの連動で留まるのか、との心配も否定のできないところとなる。これらは決して起り得ないことではない。或いは台湾あたりまでの範囲ともなり得る可能性さえ、ゼロではないと言えよう。考えられる全ての場合を想定しておくことが必要である。 我々が過去の記録を辿って知ることができるのは、地球の歴史から言って、現在に近い部分のほんの一部にしか過ぎない。ヴェーゲナーの死後、プレート理論が誕生して、まだたかだか42年である。我々は地底の活動について、未知の部分の方がはるかに多く、自然の大きな力の前には、本当に小さな存在でしかないことを謙虚に知るべきである。現にスマトラ沖地震では、予期もしない広範囲の連動によって、大破壊がもたらされたことを、我々は教訓としなければならない。 個々の立地状況における具体的な可能性を論ずる必要はないまでも、少なくとも、プレート境界地震について、連動の可能性があることだけは、新指針には明記しなければならない。そして、発電用原子炉施設は、この指針を満たすものでなくてはならない。



「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」については、解説Ⅱ.(3)に以下のように記述していま
す。
「①検討用地震の選定に当たっては、敷地周辺の活断層の性質や過去の地震の発生状況を精査し、さらに、敷地周辺の中・小・微小地震の分布、応力場、地震発生様式(プレートの形状・運動・相互作用を含む。)に関する既往の研究成果等を総合的に検討することとする。
②検討用地震は、次に示す地震発生様式等に着目した分類により選定することとする。
)内陸地殻内地震
「内陸地殻内地震」とは、陸のプレートの上部地殻地震発生層に生じる地震をいい、海岸のやや沖合
で起こるものを含む。
)プレート間地震
「プレート間地震」とは、相接する二つのプレートの境界面で発生する地震をいう。
)海洋プレート内地震
「海洋プレート内地震」とは、沈み込む(沈み込んだ)海洋プレート内部で発生する地震をいい、海
溝軸付近ないしそのやや沖合で発生する「沈み込む海洋プレート内の地震」と、海溝軸付近から陸側で発生する「沈み込んだ海洋プレート内の地震(スラブ内地震)」の2種類に分けられる。」
 また、耐震指針検討分科会報告書には、以下のように記述しています。
「「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」について、敷地に大きな影響を与えると予想される地震(以下「検討用地震」という。)を複数選定し、それぞれの検討用地震ごとに、「応答スペクトルに基づいた地震動評価」及び「断層モデルを用いた手法による地震動評価」の双方を実施し、それぞれによる基準地震動Ss を策定することとした。なお、検討用地震の選定に当たっては、「内陸地殻内地震」、「プレート間地震」及び「海洋プレート内地震」という地震発生様式等に着目した分類によることとした。」
 以上のように、検討用地震は、プレートの形状・運動・相互作用を含む地震発生様式に関する既往の研究成果等を総合的に検討したうえで選定することとしており、ご意見にあるプレートの動きやプレート間地震の連動についても検討が行われるものと考えています。
(石橋委員意見)
事務局の対応方針案は抜本的に短くしてよいのではないか。
説明/回答の一案:「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」の部分で個別に審査できるものと考えます。


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194頁
意見(7):6.耐震設計方針(1)基本的な方針に、次の⑤を追加せよ⑤地震による損傷は共通事象、同時多発的であることを配慮すること理由:原発の設計では“多重防護”が強調されていて、万一ある装置等に故障・事故等が発生しても、それをカバーして事故が進展しないようになっている、といわれてきた。しかし、地震時には安全装置を含む複数の装置・機器類が同時に損傷を被る恐れがあり、なおかつ、外部電源の喪失やサイト周辺の交通麻痺等の状況もあって、にわかに機能不全の修復に対応できない状況が懸念される。地震時に原発の安全が確保されるためには、複数の装置・機器類が共通事象として同時多発的に損傷を受ける事態を想定して設計しておくだけでなく、敷地外部と遮断される事態も想定して方策を準備しておかなければならない。
 審議過程において、このことは再三指摘されてきている。柴田委員は文書[41-3-2]で「・・平常時には、十分に、対策がされているが、地震時において、非常用諸システムの共通損傷モードとしての、考慮が必要と思われる」と指摘している。さらに文書[42-5-1]で同委員は「地震による損傷は、共通事象、同時多発的である。従って、単一事象としては、対策がとられていても、必要に応じ、同時多発的の可能性のあることを認識して、その対策を考えなければならない」との文言を、本文もしくは解説に加えることを提案した。そして事務局による報告書[43-3]にも「地震時随伴事象について・・以下のような具体的な案が追加的に出された」として、⑤共通事象、同時多発性、が記されている。しかるに指針(案)では、本文にも(解説)にも削除され、かつ、採用されなかった意見を記載することとしていた「見解」にも脱落している。



(対応方針案)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、報告書に以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。
①施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な地震時地殻変動(特に地震に伴う隆起・沈降)に起因する地盤の変形によっても、施設の安全機能が損なわれないこと。
②検討用地震に随伴すると想定することが適切な余震の地震動によっても、施設の安全機能が損なわれないこと。
③地震時に発生する可能性のある次の諸事象が、発電所の重大な事故の誘因とならないことを確認する。
 また、その安全性を評価する場合には、その事象の発生の可能性を考慮すること。
)発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態
)冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性
)周辺の都市火災、およびそれに起因する煙、ガスの影響
)近接する化学プラントなどからの、可燃性ガス、毒性ガスの発電所、および、その従業員への影響
)上流にあるダムの崩壊の影響(地震に起因する堰止湖を含む)
④周辺人工物の地震による損傷に基づく、間接的影響、すなわち、火災、毒性ガス、爆発性ガスなどの影響を、評価しなければならない。
⑤地震による損傷は、共通事象、同時多発的である。従って、単一事象としては、対策がとられていても、必要に応じ、同時多発の可能性のあることを認識して、その対策を考えなければならない。
これらの意見も含め、地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
 なお、安全保護系の多重性については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針34 に「安全保護系は、その系統を構成する機器若しくはチャンネルに単一故障が起きた場合、又は使用状態からの単一の取り外しを行った場合においても、その安全保護機能を失わないように、多重性を備えた設計であること。」と記されています。
 以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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239頁
(意見)
「8.地震随伴事象に対する考慮」の項に、次の規定も追加してください。
『地震時に発生する可能性のある次の諸事象が、発電所の重大な事故の誘因とならないこと、および事故の拡大を招かないことを確認する。また、その安全性を評価する場合には、その事象の発生の可能性を考慮すること。
)発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態
)冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性
)非常用ディーゼルの燃料供給の安定性
)周辺の道路状況』
(理由)
「耐震指針検討分科会報告書」の18ページに、『旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。』としてその上記))が示されています。)以降の代わりに燃料供給の安定性と道路事情を加えて、指針本文に明記することを提案します。なお、事故の誘因とならないだけではなく、事故の拡大を防止することの確認も必要であるので、下線部を追加します。
地震随伴事象について議論された第41回速記録によれば、たとえば「発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態」について、『まず短期間であれば、もともと非常用発電機のようなものが用意されておりますし、それからもし長期間復旧できそうもないというようなときでも非常用発電機の燃料補充をするとかいうことも考えられます・・・(中略)要するに、災害対策という領域でも対応されるべきである』(事務局)とあり、安全審査指針類でカバーされているという意見でした。非常用発電機はもともと短期間の対策でしかないといわれているのですが、では長期間に亘る際にはというと、「非常用発電機の燃料補充をする」と簡単に片付けられます。しかし例えば中越地震のですら、がけ崩れや地割れで道路は寸断、平坦地でも柏崎原発の周辺道路はほとんど使い物にならなくなりました。下水管が埋設されていてマンホールが浮き上がったのです。
まして証言『異様な音と共にアスファルトの道路がパクッと割れ、幅一米弱の亀裂が生じた。(中略)地面は未だ大揺れ、その時亀裂した道路が又、異様な音と共に閉じた。開いたり閉じたりする様は人の力ではない。(中略)見れば、その亀裂の中に半身が落ち込みそうになっていた』(静岡新聞03.4.7)にあるように44 年東南海地震ほどの巨大地震の場合を想定すれば、指針に明記し、サイト周辺への対策をも求めるのは当然でしょう。『念には念を入れて、大前提なら大前提ということで書くべきであろうと。書いてなぜ悪いのかというのが僕にはよく分からない。』(芝田委員)に同感です。



(対応方針案)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂指針案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、意見募集の参考資料として示した耐震指針検討分科会報告書18 ページに以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。
(中略)
③ 地震時に発生する可能性のある次の諸事象が、発電所の重大な事故の誘因とならないことを確認する。また、その安全性を評価する場合には、その事象の発生の可能性を考慮すること。
)発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態
)冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性
)周辺の都市火災、およびそれに起因する煙、ガスの影響
)近接する化学プラントなどからの、可燃性ガス、毒性ガスの発電所、および、その従業員への影響
)上流にあるダムの崩壊の影響(地震に起因する堰止湖を含む)
(中略)
これらの意見も含め、地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
なお、外部電源喪失については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針9「・・・外部電源が利用できない場合においても、その系統の安全機能が達成できる設計であること」とされています。
また、冷却水のうち、原子炉停止後、炉心から崩壊熱を除去するための施設については、耐震クラスⅠとし、基準地震動Ss による地震力に対してその安全機能が保持できる設計であることが求められています.また、非常用ディーゼルの燃料供給については、非常用所内電源系としての安全性が求められています。
周辺の道路事情については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針6「環境条件に対する設計上の考慮」として、安全機能を有する構築物、系統および機器は、その安全機能が期待されているすべての環境条件に適合できる設計であることとされています。
以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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240頁
意見4 送電系統と冷却水の安定供給の確保 指針案8に、以下、も付け加えるべきである。)発電所につながる送電線、碍子及び関連する送電系統の健全性)冷却水(補助的工事用水を含む)の供給の安定性、について、地震によって起こり得るあらゆる場合を想定し、送電線の健全性と冷却水の継続的供給が、確実になされることを確保するべきである。理由)発電所につながる送電線とりわけ碍子及び関連する送電網の状態は、地震時には、まず停電し、原発内部の重要な送電が止まり機能しなくなる。又、鉄塔が倒れる、碍子が破壊される、道路も寸断され、復旧作業はいちじるしく困難になる事が想定される。)の冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性についても、配管が破断した時、純水をどのように補給するのか。地震は1回大きなものが来て終わりではなく、場合によっては、長期間にわたりくりかえし余震がおそってくる(今年3月の玄界島の地震も、北九州全域に未だに余震はくりかえし続いている)ことが分かってきているので、もし初期の大地震には耐えられたとしても、余震が続く中でも、送電線、配管、冷却水等にまったく問題が起こらないように、耐震設計を責任を持って行うべきである。



(対応方針案)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂指針案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、意見募集の参考資料として示した耐震指針検討分科会報告書18 ページに以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。
(中略)
③ 地震時に発生する可能性のある次の諸事象が、発電所の重大な事故の誘因とならないことを確認する。また、その安全性を評価する場合には、その事象の発生の可能性を考慮すること。
)発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態
)冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性
)周辺の都市火災、およびそれに起因する煙、ガスの影響
)近接する化学プラントなどからの、可燃性ガス、毒性ガスの発電所、および、その従業員への影響
)上流にあるダムの崩壊の影響(地震に起因する堰止湖を含む)
(中略)
 これらの意見も含め、地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
 なお、外部電源喪失については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針9「・・・外部電源が利用できない場合においても、その系統の安全機能が達成できる設計であること」とされています。
 また、冷却水のうち、原子炉停止後、炉心から崩壊熱を除去するための施設については、耐震クラスⅠとし、基準地震動Ss による地震力に対してその安全機能が保持できる設計であることが求められています.また、非常用ディーゼルの燃料供給については、非常用所内電源系としての安全性が求められています。
 周辺の道路事情については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針6「環境条件に対する設計上の考慮」として、安全機能を有する構築物、系統および機器は、その安全機能が期待されているすべての環境条件に適合できる設計であることとされています。
 以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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241頁
【意見9】
「8.地震随伴事象に対する考慮」として、原子炉への「冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性」についても指針の中に盛り込むべきである。
【理由】
 冷却水の確保は安全上極めて重要である。スクラムで原子炉が停止した後も、余熱除去のための冷却水は長時間にわたって必要だからである。新指針案においては、「原子炉停止後、炉心から崩壊熱を除去するための施設」が耐震クラス?の強度を要求されているが、これと「冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性」を確保できることとは同じではない。
 浜岡原発では敷地内に津波が侵入することも想定し、主要な施設に防水扉などを設けてはいるものの、津波の侵入によって持ち込まれた土砂で沈砂池(取水槽)が埋まり、冷却用の取水が妨げられる可能性については考慮されていない。津波そのものの評価だけでなく、必要ならば津波による土砂の移動量についても評価して設計に反映することが必要ではないか。地震動による施設の破壊以外に、津波随伴事象による取水能力への影響を考慮するためにも、冷却水(補助的工業用水を含む)の供給が安定的に確保されることを条件とすべきである。



(対応方針案)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂指針案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、意見募集の参考資料として示した耐震指針検討分科会報告書18 ページに以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。
(中略)
③ 地震時に発生する可能性のある次の諸事象が、発電所の重大な事故の誘因とならないことを確認する。また、その安全性を評価する場合には、その事象の発生の可能性を考慮すること。
)発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態
)冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性
)周辺の都市火災、およびそれに起因する煙、ガスの影響
)近接する化学プラントなどからの、可燃性ガス、毒性ガスの発電所、および、その従業員への影響
)上流にあるダムの崩壊の影響(地震に起因する堰止湖を含む)
(中略)
 これらの意見も含め、地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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242頁
(意見)
8.『地震随伴事象に対する考慮』に、次の項も加えるべき。「地震時に随伴して次の諸事象の変動が、発電用原子炉施設の重大な事故の誘因および促進因子にならないこと。すなわち、冷却水供給の安定、周辺道路状況の保全、等の事象の変動。」
(理由)
 巨大地震が起きた場合、原子炉が無事に緊急停止した場合にも、長時間にわたる冷却水の供給確保は最重要事項である。ましてやもし配管が破損した場合には、高圧噴出による相当な水量のロスも覚悟しなければならない。また、津波の前段階として引潮が大きかった場合、数分間の給水も一時途絶える上、波が戻った場合にも、太い給水管には空気が入っているため、再始動に時間がかかることも想定しなければならない。加えて、予備の貯水プールそのものにも、大きな地震によって亀裂が入り、かなり貯水量が減ることも有り得ないことではない。よって、実は予備プールは何倍も余るほどの数を備えておくことが必要である。また汲み出しポンプと、予備のディーゼル電源も十全の数を用意し、特に燃料については一週間以上、外部からの応援支給が届けられない事態に至っても、敷地内の原子炉全基を冷却できる程の分量を確保しておかなければならない。
 というのは、他発電所から電力補給してもらうはずの送電線網も、無事である保証はないからである。広範囲被害にて、他発電所自体も然りである。また、道路が破壊される恐れも十分にある。巨大地震がそのようであるのは、既に数多の事例が物語っている。場合によっては一週間でも通行不能となり、大きな専用機空輸による離着陸の場所も備えておくべきである。道路が破壊された場合の、外部からの救援部隊や消火部隊の入所方法も確保しておかなければならないこと等、地震随伴事象は軽んじられるべき事項ではない。



(対応方針案)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂指針案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、意見募集の参考資料として示した耐震指針検討分科会報告書18 ページに以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
 旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。
(中略)
③ 地震時に発生する可能性のある次の諸事象が、発電所の重大な事故の誘因とならないことを確認する。また、その安全性を評価する場合には、その事象の発生の可能性を考慮すること。
)発電所に繋がる送電線および、関連する送電網の状態
)冷却水(補助的工業用水を含む)の供給の安定性
)周辺の都市火災、およびそれに起因する煙、ガスの影響
)近接する化学プラントなどからの、可燃性ガス、毒性ガスの発電所、および、その従業員への影響
)上流にあるダムの崩壊の影響(地震に起因する堰止湖を含む)
(中略)
 これらの意見も含め、地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
 なお、外部電源喪失については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針9「・・・外部電源が利用できない場合においても、その系統の安全機能が達成できる設計であること」とされています。
 また、冷却水のうち、原子炉停止後、炉心から崩壊熱を除去するための施設については、耐震クラスⅠとし、基準地震動Ss による地震力に対してその安全機能が保持できる設計であることが求められています.また、非常用ディーゼルの燃料供給については、非常用所内電源系としての安全性が求められています。
 周辺の道路事情については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針6「環境条件に対する設計上の考慮」として、安全機能を有する構築物、系統および機器は、その安全機能が期待されているすべての環境条件に適合できる設計であることとされています。
 以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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245頁
 意見及び理由:意見2 地震による共通原因故障について意見の趣旨「耐震指針検討分科会報告書」18 ページ(5)地震随伴事象「⑤地震による損傷は、共通事象、同時多発的である。従って、単一事象としては、対策がとられていても、必要に応じ、同時多発の可能性のあることを認識して、その対策を考えなければならない」は必ず指針に導入するべき考え方である。 新指針は、このような点について議論がなされたにもかかわらず、地震によって複数の不具合が同時に発生する可能性について適切に考慮していない点で必ず見直されなければならない。意見の理由 地震は、原子炉施設全体を激しく揺すぶるものであり、その外力によっていくつもの箇所に不具合が同時に発生する可能性が否定できない。ところが、これについて新指針は、考慮しておらず、その点で新指針は不十分である。 現在の設計では、「「事故」に対処するために必要な系統、機器について、原子炉停止、炉心冷却及び放射能閉じ込めの各基本的安全機能別に、解析の結果を最も厳しくする機器の単一故障を仮定した解析を行なわなければならない。この場合、事象発生後短期間にわたっては動的機器について、また、長期間にわたっては動的機器又は静的機器について、単一故障を考えるものとする。」とされていて、これが、耐震設計においても適用されることとなっている。 しかし、同時に複数の機器に不具合の生じる共通原因故障の可能性が、地震においては考えられる。また動的機器のみならず静的機器についても、同時に不具合となるおそれが否定できないのである。 このような事態について考慮することが、耐震設計では絶対に必要であるが、この点については十分に議論もされず、また指針に盛り込まれていない。これでは地震現象に十分に対処した設計は不可能であって指針にこのような考えを盛り込むべきである。



(対応方針案)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂指針案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、意見募集の参考資料として示した耐震指針検討分科会報告書18 ページに以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
 旧指針においては、地震随伴事象について特化した規定は存在していなかったが、今次改訂においては、原子力施設の周辺斜面の地震時における崩壊等への考慮、津波に対する考慮、地盤変動等についての考慮の取込みの要否等に関する幅広い調査審議が行われた。これに関連して、まず、周辺斜面の崩壊等及び津波への考慮についての議論がなされ、引き続き、以下のような具体的な案が追加的に出された。
(中略)
⑤ 地震による損傷は、共通事象、同時多発的である。従って、単一事象としては、対策がとられていても、必要に応じ、同時多発の可能性のあることを認識して、その対策を考えなければならない。
 これらの意見も含め、地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
 なお、安全保護系の多重性については、「発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針」の指針34 に「安全保護系は、その系統を構成する機器若しくはチャンネルに単一故障が起きた場合、又は使用状態からの単一の取り外しを行った場合においても、その安全保護機能を失わないように、多重性を備えた設計であること。」と記されています。
 以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。
(石橋委員意見)
 この意見及びこれと同類の意見について、分科会で審議するべきである。


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249頁
指針の中で、津波のエネルギーがどんなにすごいものか、最悪の場合を想定しているのかが疑問です。 いずれにしても、自然災害が私たちの想像もつかない事態を招くことは、近年のあらゆる事例を見ても明らかです。 狭い国土に一億二千万もの人が住む日本列島に、原子炉を作ること自体をやめなければ、住民の安全を守ることは出来ません。



 津波に対する考慮については、改訂指針案の「8.地震随伴事象に対する考慮」の項目において、施設の設計において十分に考慮する必要のある事項として、「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」と規定しております。
 また、地震随伴事象として考慮すべき事項について、改訂指針案にどのような事項を規定すべきかについての調査審議の経緯は、意見募集の参考資料として示した耐震指針検討分科会報告書18 ページの「(5)地震随伴事象について」に以下のとおり、記載されています。
「(5)地震随伴事象について
(中略)
 地震随伴事象として考慮すべき事項について、原子炉施設の「基本設計ないし基本的設計方針」の妥当性に係る「安全審査」において、設置許可申請対象となる固有の原子炉施設の耐震設計についての妥当性を審査すべき事項として適切かつ不可欠であるかどうかという視点、及び現行の他の関連する指針類で対応されているかどうかとの視点から議論を重ね、最終的には、改訂指針案のようになった。」
なお、津波に対する具体的な対策については、個々の原子力発電所の敷地周辺の状況等を踏まえ個別の安全審査において、その妥当性の確認が行われるものと考えております。
以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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250頁
津波の影響を考慮すべきである
 2004年のスマトラ島沖津波災害や、1983年の日本海中部地震、1993年の北海道東方沖地震など津波災害の恐ろしさを目の当たりにしてきたのだが、耐震設計審査指針にはこのことが触れられていない。
 津波は原子炉建屋を崩壊させなくても、大量の海水により電気系統、特に非常用電源装置を全部破壊するなど、極めて深刻な事態を引き起こす大きな要因になる。
 そのうえ、巨大地震が襲った直後に津波に襲われるなどとなれば、極めて危険な事態を招くことは明らかである。
 津波に対してとりわけ脆弱と見られるのが冷却用の海水を取水する設備であるが、浜岡原発以外では特段の対策を取っているということもない。
 浜岡であっても、海底取水用のプールを設置しているというだけで、津波が引き起こす海底土石流により埋まってしまうのではないかと懸念される。
 つまり、巨大地震と津波の来襲はセットであり、この両者の競合にも耐える対策が必ず必要なのであるが、そういった考慮は何もなされていない。
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 宮城県ではここ数年震度6クラスの地震が、何度も何度もおこっています。死者が出ていないため、一時的なもののように扱われていますが、現地の人にきくと、死者が出なかったのは遇然であると思われるほどの大きなゆれ、また大きな建物の被害です。
 女川原発の立地は、近い将来必ずくると言われる宮城県沖地震の被害を必ずうけるだろう場所です。S.53年の震度5の宮城県沖地震のときも、無防備な住民の多かったせいか、20人以上の死者が出ています。そして、最近の海外での巨大地震の例、また中越での何度も何度も揺りかえす、今までにないタイプの地震等、こんど来る宮城県の地震も、前例を超えた巨大規模のものでない、という保証はなにもありません。女川町はまた20世紀に2度も巨大津波におそわれ、山の上に漁船がうちあげられた高さ40mときいています。原発の強度は、40mの高さをともなった巨大な体積の海水の圧力に耐えうるのですか?
 残余のリスクについての意見ということですが、すべて原発は、震度7のゆれ、そのゆれの連続した到来、それにともなう津波に耐えうるべきです。そんな揺れは来ない、とはもう言えないでしょう。事故がおきたら三陸海岸の環境は全滅状態です。
 「巨大津波に必ず耐える原発」でなければ、廃止すべきです。
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(意見) 「津波対策をもっと具体的に記述すること」(理由) 新指針では、「(2)施設の供用期間中に極めてまれであるが、発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと。」とだけしかない。もっと具体的に津波対策の基準を設けるべきである。例えば、当該原子力発電所で発生が予想される津波の高さによる施設への破壊力の検討。施設の津波に対する安全性の具体的なデータによる確認をすること。予想される津波による引き潮の深さが、取水口の深さを上まわっていないことを確認すること。さらに原子炉の冷却機能が、維持できることの具体的な確認をすること。



※前ページの対応方針案と同じ


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251頁
(意見)
8.『地震随伴事象に対する考慮』の(2)について、「想定することが適切な津波」との表現を、「過去の記録以上、また想定され得る最大の津波」という表現に変えるべき。また、本項の末尾に、「具体的には、津波に質量エネルギーに耐え得る防護策を講ずること。」の一文を加えるべき。
(理由)
「想定することが適切な津波」との表現では、その規模をどうしても甘く設定しがちになるのが人の常である。よって、上述提案の表現に変えるべきである。また、本項が本当に「施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」となるために、津波の脅威を正当に評価しておくことが必要である。津波被害はスマトラ沖地震を見ても分かる通り深刻極まりない。津波は単なる高波ではない。巨大な質量を持つ塊であり、しかも流動体である。数kmにもわたり一旦引潮になった後、勢いをもって押し寄せてくる。それは後方数kmないしはそれ以上にわたる海水全ての突進であり、また流動体にして、簡単に、その高さより高い防波堤や砂丘があれば遮れるというものではない。
 津波の巨大質量の流動は、陸への入射角度や海底の地形によっても違いは出るものの、少々の高低差は乗り越え、しかも上陸後、車や樹木、家屋さえ飲み込んだまま再び海へと引き返していく、復路も衝撃度が増える大災害である。これが襲う時、原子炉建屋が破壊されないことは勿論のこと、外部との様々な接続系統も全て無事に守られるかどうか、重点的な防護策が予め講じられていなければならない。
 最大想定地震により押し寄せる、津波に総質量とスピードをエネルギー計算し、往復路共にそれを解消できるだけの状況を、施設は確保しておかなければならない。



「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」の「指針2.自然現象に対する設計上の考慮」において、重要度の特に高い安全機能を有する構築物、系統及び機器は、津波を含め、予想される自然現象のうち最も過酷と考えられる条件を考慮した設計であることが規定されております。
 また、「8.地震随伴事象に対する考慮」においては、想定することが適切な津波を考慮するように求めており、想定することが適切な津波には、過去の津波も含まれます。
 さらに、「8.地震随伴事象に対する考慮」においては、「施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこと」と規定しており、これは当然ながら、津波の直接的な被害によっても、重大な影響を受けるおそれのないことを求めているものです。
 以上のことから、改めてご意見を採り入れる必要はないと考えます。


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2011-08-11 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・設置関係資料 その17 IAEA 既設の原子炉等施設に関する耐震安全性の評価

・設置関係資料 その17 IAEA 既設の原子炉等施設に関する耐震安全性の評価(原子力安全基盤機構訳) 

http://www.jnes.go.jp/content/000016962.pdf

Evaluation of Seismic Safety for Existing Nuclear Installations, Safety Standard Series No. NS-G-2.13、IAEA (2009)
既設の原子炉等施設に関する耐震安全性の評価

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目 次
1. はじめに
背景(1.1–1.6)
目的(1.7–1.8)
範囲(1.9–1.11)
構成(1.12)
2. 耐震安全性評価のための実施計画の策定
全般的な考察(2.1–2.8)
耐震安全性の評価(2.9–2.22)
実施計画の構成(2.23–2.26)
3. データの収集と調査
既設の原子炉等施設に関するデータの収集(3.1)
当初の設計の根拠に関するデータ及び図書資料(3.2–3.6)
現状の(評価時の実際の)データ及び情報(3.7–3.13)
推奨される調査(3.14–3.23)
4. 地震ハザードの評価(4.1–4.8)
5. 耐震安全性の評価のための手法(5.1)
耐震裕度の評価(SMA)(5.2–5.19)
地震に起因した確率論的安全評価(SPSA)(5.20–5.31)
SMA及びSPSA手法の共通要素(5.32–5.52)
6. 発電所以外の原子炉等施設(6.1–6.15)
7.耐震性向上に関する考察
耐震性が向上されるべき機器等(7.1–7.3)
改善の設計(7.4–7.11)
8. 耐震安全性評価のためのマネジメントシステム..
マネジメントシステムの適用(8.1–8.4)
文書及び記録(8.5–8.7)
構成管理(8.8)
<略>
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1. はじめに
背景
1.1. 本安全指針は、IAEAの安全基準の整備計画の下に作成された。これは、「原子力発電所の安全:運転」[1] に定める原子炉等施設に関する安全要件を満たす際の推奨事項を補足し、かつ提示するものである。本指針は、また、参考文献 [2 - 4] に掲げるような多くのIAEAの安全基準に関係するものである。
1.2. 本安全指針「既設の原子炉等施設に関する耐震安全性の評価」は、新規の原子力発電所の設計及び建設に関するIAEAの「原子力発電所の耐震の設計及び確認に関する安全指針」[5] を補完するものである。本指針は、参考文献 [1] における要件を満たす際の推奨事項を提示し、その適用範囲を既設の原子炉等施設、すなわち、研究用原子炉、核燃料サイクル及び再処理施設、並びに独立した使用済燃料貯蔵施設に拡大するものである。「既設の原子力発電所の耐震評価に関する安全報告書シリーズNo. 28」[6] には、本安全指針に関連する詳細な情報が提示されている(参考文献 [6] の改訂が計画されている)。
1.3. 安全要件出版物である「原子力発電所の安全:運転」[1]では、発電所の供用期間を通して運転組織が体系的な安全再評価を実施することが要求されると述べている。この要件及びその他の要件、ならびに定期安全レビューにおける外的危険事象の解析に関する推奨事項 [7]に照らして、本安全指針は、既設の施設の耐震安全性評価を扱う。
1.4. 既設の原子炉等施設(主として原子力発電所)の耐震安全性評価のための手引きが、多くの加盟国において策定されており、使われてきた2。1990年代の初めより、これらの手法が個々の状況に適合化されて、多くの原子炉等施設の耐震安全性評価に適用されてきた。IAEAは、多くの加盟国が稼働中の原子炉等施設のためにこれらの手法を適合化しかつ適用する際に、支援してきており、これらの施設では、耐震安全性評価及び耐震性向上の計画が必要とされ、また実施された。
1 原子炉等施設の立地評価における地震ハザードに関する安全指針案は、参考文献 [4] に置き換わるものとして、現在作成中である。
2 既設の原子炉等施設の耐震安全性評価に関する手引きの策定及び使用は、アメリカ合衆国で始まり、同国ではそのような手引きが策定され、全ての既設の原子力発電所への適用が求められた。
1.5. 耐震の設計及び確認は、構築物、系統及び機器(SSC)の耐震の設計及び確認がほとんどの場合施設の建設前の設計段階で行われるという点で、耐震安全性評価とは別のものである。耐震安全性評価は施設の建設終了後にのみ適用されるものである。勿論、例外はあり、例えば施設の建設後の新たな又は交換用の機器の耐震の設計及び確認のようなものがある。逆に、建設前の新しい設計に対する、設計用基準地震動を超える条件を評価するための耐震安全性評価において、耐震安全性評価に適用される判断基準を利用する場合もある。
1.6. したがって、既設の施設に関する耐震安全性評価は、評価が行われる時点でのその施設の実際の状態に強く依存している。この鍵となる状態は「評価時の実際の」状態と表記され、地震が発生した場合には、施設はその実際の状態で地震の影響を受け、施設の応答及び地震耐力は、施設の実際の物理的構成や運転状況に依存することを示している。施設の評価時の実際の状態が全ての耐震安全性評価実施計画の基準線である。評価時の実際の状態には、施設の「竣工された時」、「運転された時」、「保守された時」の状態、及び評価時点での経年変化した状態を含む。
目的
1.7. 本安全指針では、既設の原子炉等施設の耐震安全性評価に関わる推奨事項を提示する。そのような耐震安全性評価は、当初の設計の根拠で設定されたものよりも大きい地震ハザードが認識されたことにより、新たな規制要件により、SSCの耐震脆弱性に関する新たな知見が得られたことにより、あるいは設計用基準地震動を超える条件下での性能を、国際的に認められた良好事例と同列に、それと整合をとって実証する必要により、急遽実施される場合がある。また、本安全指針は、原子炉等施設の目的又は施設に付随する放射線リスクが変わった場合、あるいは変更が提案された場合、及び施設の長期間の運転が考慮されている場合に用いられることもある。
1.8. 本安全指針は、規制要件を制定する任にあたる規制当局、及び耐震安全性評価と耐震性向上計画について直接に実施責任を持つ事業者による活用が意図されている。
範囲
1.9. 本安全指針は、参考文献 [8] で定義されている広範な既設の原子炉等施設、すなわち、陸上に定置された原子力発電所、研究用原子炉、核燃料加工工場、濃縮工場、再処理施設、及び独立した使用済燃料貯蔵施設を扱う。手法の多くは原子炉等施設の種類や原子炉の型式には依存していないが、プラントの性能判断基準、システムのモデル化等は、施設の種類ごとに固有である。原子力発電所用に開発された手法は、等級別扱いを通してその他の原子炉等施設にも適用可能である。
1.10. 本安全指針の目的のために、既設の原子炉等施設とは、(a) 運転段階にある施設(長期運転中の施設、及び一時的停止期間の長期化にある施設を含む)、あるいは (b) 運転前段階にある施設で、構築物の建設、機器及び系統の製造、据付及び/又は組立、並びに試運転活動が、大幅に進んだ又は完了した施設のいずれかである。運転段階及び運転前段階にある既設の原子炉等施設では、サイトでの新たな地震ハザードなど当初の設計の根拠の変更、あるいは、施設の地震ハザード及び/又は耐震設計の考慮に関する規制要件における変更は、設計への重大な影響、またその結果として重要な設備の変更につながることがある。
1.11. 本安全指針では、二つの手法、すなわち一般に耐震裕度評価(SMA)で代表される決定論的方法と地震に起因した確率論的安全評価(SPSA)が詳細に論じられている。これらの方法の変形又は代替方法が、第2章で論じられるように、容認可能であることを示してもよい。
構成
1.12. 第2章は原子炉等施設の耐震安全性評価に関する全般的な考察と全般的な推奨事項を提示する。第3章はデータの必要性(収集及び調査)を記す。第4章はサイトの地震ハザード評価に関する推奨事項を提示する。第5章は既設の原子力発電所に関する耐震安全性評価を行うための決定論的なSMAとSPSA手法の実施について詳述する。第6章は原子力発電所以外の原子炉等施設の評価に対する等級別扱いの適用について、(適宜第5章を参照しながら)推奨事項を提示する。第7章は耐震性向上に関する考察を示す。第8章は全ての活動を実施するために整備すべきマネジメントシステムに関する情報を提示するとともに、地震耐力を評価どおりに維持するための将来的活動における構成管理上の必要事項を特定する。第1~4章、第7章及び第8章は、全体的又は部分的に、全ての原子炉等施設に適用される。第5章は原子力発電所に特有の内容である。添付資料は、関連する参考文献を含めて、現在までの手法の開発と適用に関する広範な背景資料の概要を示す。技術用語の定義と説明については、IAEA安全用語集 [8] を参照願いたい。本安全指針に特有な用語の説明は脚注に提示される。


2. 耐震安全性評価に関する実施計画の策定
全般的な考察
2.1. よく設計された工業施設、特に原子力発電所が、当初の設計で考慮された地震よりも大きな地震に耐える内在的な能力を持っていることは、通常、認知されている。保守性は、耐震解析と一連の設計を通して織り込まれている。この内在的な能力又は頑強性は、通常、「耐震設計裕度」という言葉で表現され、(a) 地震工学において以前又は現在の慣行に従って用いられた耐震の設計及び確認の手順に存在する保守性、及び (b) 原子力発電所の設計においては地震荷重がいくつかのSSCに対しては主要な荷重とはならないことがあるという事実、の直接的な帰結である。
2.2. 原子力発電所に適用されている耐震の設計及び確認に関する現行の判断基準は、典型的には、大きな耐震設計裕度を取り入れてはいるが、裕度の程度が示されていないことが多く、その大きさが定量化されていることは殆どない。産業界の基準と手引き―特に原子炉等施設に適用される基準と手引きにおける設計基準の使用を通して、損傷に対して十分なかつ適切な耐震設計裕度が存在しかつ確保されていることが知られている。このことは、いくつかの加盟国で既設の原子力発電所に対するSMAもしくはSPSAの手法の実施を通して実証されている。当初の解析及び設計にかかわる種々の段階を通しての耐震設計裕度の導入は、原子炉等施設の全体を通して大きな期待される差異につながる。耐震設計裕度は、プラント内の場所ごとに、構築物、系統あるいは機器ごとに、また同一構築物内の場所ごとに、一般的に、大きく異なる。このように変動する主な理由の1つは、2.1項に記したように、原子炉等施設が事故条件や航空機衝突、竜巻、配管破断による圧力及びその他の環境からの荷重の例のような、広範囲の内的及び外的な極端な荷重に対して設計され、地震荷重が幾つかのSSCに対して支配的な荷重とならないことがあるという事実である。もう一つの理由は、設備確認の方法であり、これには包絡的な応答スペクトルが一般的に用いられている。保守性の因って来たるところを理解するためには、実際の設計慣行を詳細に調査すべきである。設計過程には余剰な保守性があるものだと無意識に当然のことと思うべきではない。そのように思えば、耐震安全性評価が独りよがりなものに陥ってしまうからである。
2.3. 本安全指針に示す手法は、評価時の実際の状態に従って既設の施設の地震耐力を評価し定量化することが意図されている。
2.4. 原子炉等施設の耐震安全性評価において、その目的は、必要とされる安全機能と地震耐力に関してSSCの本当の状態を把握し、その結果として、施設の耐震安全裕度を評価することである。したがって重要なことは、評価時の実際のSSCに関する現実的で最良の推定値を用い、結果に不必要な偏りをもたらすような安全係数を導入しないことである。例えば、SMAで用いられている手法では、(設計地震動よりも大きな)より高レベルの地震ハザードを考慮し、それと施設の現実的な地震耐力を関係付けている。そうすることで、SSCの内在的な余剰耐力が考慮され得る。
2.5. 加盟国の規制上の慣行に従って、SMA又はSPSAのいずれの手法においても、耐震分類I [5] には属さない機器等で、事故の防止又は事故条件の緩和のために用いられ当初の設計の根拠では耐震性の確認がなされていなかったものは、耐震安全性評価実施計画に含められる場合がある。例えば、シビアアクシデントマネジメントに用いられる既設の設備である。
2.6. 既設の原子力発電所に関して、発電所の評価時の実際の状態に基づいて実施された耐震安全性評価の実施計画は、広範囲に及ぶ複雑な解析を用いるよりは、実際的な評価に重点を置いていた。比較的簡単な構造モデルによる限定的な非線形解析、あるいはより高い減衰値と延性率の使用は、それが注意深く使われ、かつ許容変形と矛盾しないかぎり、弾性領域を超えた挙動を理解する際に特に有用となることがある。しかしながら、詳細で高度な非線形解析は、通常の慣行において一般的には行われていない。
2.7. 最大加速度は地震入力の大きさを表すために広く使われているパラメータであるが、延性挙動を示すSSCに地震動が損傷を引き起こす能力と最大加速度レベルとの間には明確な相関関係がないことは周知の技術的知見である。地震動がSSCに与える影響の思慮のある評価の際には、速度、変位、強震動継続時間、スペクトル加速度、パワースペクトル密度及び累積絶対速度のような他のパラメータが重要な役割を果たすべきことが知られている。もう一つの例がマグニチュードの小さな(即ち、M≤5.5の)直下型地震によって引き起こされる影響である。そのような地震の大部分が高周波数成分を含んでおり、高い最大加速度を生ずるが、それが構造物や機械装置に重大な損傷を与えることはない。しかしながら、そのような直下型地震によって生ずる高周波数成分が構造物に伝わると、装置の種類によっては運転上の問題を引き起こすことがあり得る。また、ガラスのように脆い物質に影響を及ぼすこともある。関連する安全上の懸念には、電気器具又は装置及び/又は計測制御系統の誤作動を含む。
2.8. 構築物、機器及び分配系(例えば、配管、ケーブルトレイ、換気ダクト)の挙動に関して、多くの現場での観測や研究開発計画が示してきたことは、弾性挙動と等価な静的方法に基づいて、通常、算出される力のような計算で求められる大きな力だけが釣り合う場合よりもむしろ、SSCの延性挙動が大きな歪みを吸収する場合に地震耐力の高い設計が得られることである。
耐震安全性の評価
耐震安全性評価を行う理由と目的
2.9. 安全要件出版物である「原子力発電所の安全:運転」に定められているように、「運転組織は、発電所の供用期間を通して、運転経験とすべての関連する分野からの新たな重要な安全情報を考慮し、規制要件に従って発電所の体系的な安全再評価を行わなければならない」(参考文献 [1] 10.1項)。 6
2.10. 上記の要件に従って、かつ国際的な慣行に沿って、下記のいずれかが起きたときに、既設の原子炉等施設について耐震安全性の評価が実施されるべきである。
(a) 設計用基準地震よりも大きな地震ハザードがサイトで発生する証拠。新しい又は追加的なデータ(例えば、新たに発見された地震構造、新たに設置された地震観測網、又は新たな歴史地震の証拠)、新しい地震ハザード評価方法、及び/又は施設に影響を及ぼす実際の地震の発生から得られる。
(b) 規制要件。「最新の知見」と施設の実際の状態を考慮に入れた定期安全レビューの要求。
(c) 不適切な耐震設計。概して設備が古いためによる。
(d) 新しい技術的知見。特定の構造物及び/又は非構造要素(例えば、石積壁)、及び/又は系統又は機器(例えば、継電器)についての脆弱性。
(e) 実際に発生した地震から得られる新しい経験。(例えば、地震動のより良好なデータの記録及びSSCについて観測された挙動)。
(f) 「クリフエッジ効果」が生じないことを確証するため、設計用基準地震動を超える地震動に対する施設の挙動を扱う必要性。即ち、設計用基準地震よりもわずかに大きな地震が起きたとしても施設には重大な損害が発生しないことを示すこと。(参考文献 [2] 4.6項及び5.73項)。
(g) そのような評価が一部となる長期運転の実施計画。
2.11. 上述の理由又はその他の理由により、既設の原子炉等施設の耐震安全性評価が要求される場合には、評価の目的が、評価工程が始められる前に明確に定められるべきである。これは、評価の目的次第で、利用可能な評価手順及び容認基準が大きく異なってくるためである。これに関して、耐震安全性評価の目的は以下に掲げるものの1つ又はそれ以上を含むことがある。
(a) 当初の設計用基準地震動を超える地震動に対する耐震設計裕度を示し、クリフエッジ効果が無いことを確認すること。
(b) 地震事象に関して、施設とその運転における繋がりが弱いことを明らかにすること。(c) 施設間の相対的な地震耐力及び/又はリスク順位を判断するために、施設の集まり(例えば、1地域あるいは1国内の全ての施設)を評価すること。このためには、同種の比較できる手法が採用されるべきである。
(d) リスク情報を活用した意思決定のための入力情報を提供すること。
(e) 考えられる耐震性向上案を特定し、優先度付けすること。
(f) 規制上の要件(もしあるならば)に対して、リスク指標(例えば、炉心損傷頻度、早期大規模放出頻度)を評価すること。
(g) 規制上の期待事項に対して、プラントの耐力指標(例えば、系統レベル及びプラントレベルでの耐力又は低い故障確率への高い確信度(HCLPF)の値)を評価すること。
2.12. 既設の施設に関する耐震安全性評価の目的は、規制要件に沿って、かつ規制当局と協議し、合意の上で定められるべきである。その結果、そのような目的に従って、入力地震動のレベル、地震耐力の評価手法、及び適用される容認基準は、最終的に要求される結果とともに規定されるべきである。特に、当初の設計の根拠で設定された事象よりも厳しい地震事象に対する耐震安全性の評価を行うに対しては、安全目的には、地震発生時もしくは発生後に確保されることが要求される機能と防止されるべき損傷モードを含むべきである。
2.13. 評価の最後に作成されるべき最終文書は、規制当局と合意の上で最初から明確にしておくべきであり、定められた実施計画の目的に合ったものとすべきである。これらの評価の最終的な成果物は、以下の事項の一つ又はそれ以上であり得る。
(a) 決定論的又は確率論的に表された原子炉等施設の地震耐力の程度。
(b) 耐震性向上計画に関する意思決定のための、地震耐力の低いSSCの特定及びそのプラント安全に対する影響。
(c) 地震耐力を向上するための運転上の改善事項の特定。
(d) 整理整頓の慣行(例えば、保守装置の保管)に関する改善事項の特定。
(e) 火災の防止設備と防護設備との相互作用の特定、等。
(f) 施設に影響を及ぼす地震の発生前、発生時、及び発生後に取るべき行動の特定。これには、運転面及び管理面での対応のための取り決めと措置、得られる計器観測による地震測定記録と実施される検査の分析、結果として実施される健全性評価を含む。
(g) リスク情報を活用した意思決定への入力情報を提供する枠組み。
耐震安全性評価手法の選択
2.14. 耐震安全性評価実施計画の最初の段階の1つは、用いられる手法の選択であるべきである。評価の目的によって、用いられる手法、その手法のためのパラメータ値、共通のデータとサイト固有及びプラント固有のデータ、並びにその他の重要な要素が決まる。本安全指針の範囲の節に示されたように、2つの手法が推奨され、詳細に検討される。これらは、決定論的なSMAと確率論的なSPSAである。SMA 又はSPSAのいずれかの手法が計画の目的を満たし得るので、両方の手法が実施されるように意図されてはいない。これらの方法の変形又は代替方法についても容認可能であることを示してもよい。
2.15. 設計用基準地震動(即ちSL-2、参考文献 [4] 参照)の変更を伴わない耐震安全性評価と、規制当局によって設計用基準地震動の変更が求められる耐震安全性評価は、明確に区別されるべきである。本安全指針で重点的に扱う手法は、設計用基準地震動の変更は無いが、当初の設計の根拠のために定めたものよりも厳しい地震ハザードに対する既設の施設の耐震安全性の評価、及び有効な安全裕度の現実的な決定に関わるものである。この評価と決定の過程に対する地震入力と評価の容認基準を決めるに当たって規制当局の合意を得るべきことは明らかである。新しい施設の耐震の設計及び確認に適用される現行の地震工学的方法と容認基準が、既設の施設の耐震安全性評価と安全余裕の決定の目的のために用いられる場合には、最新の工学的方法と容認基準が、適用不可能で無いならば、大幅な耐震性向上の要求につながる可能性がある。
2.16. 評価手法を選択した後に、耐震安全性評価実施計画は以下の項目を包含すべきである。
(a) 地震入力、すなわち地震動パラメータの明確化(第4章参照)。
(b) 潜在的な地表断層活動に関するサイトの地質学的安定性の検証、及びその他の地盤の危険度(例えば液状化)の再評価のために新たに決められた地震ハザードの使用(第4章参照)。
(c) 地震ハザードを受けた際の施設の耐震挙動、すなわち、SSCに対する地震荷重とそれらの地震耐力又は脆弱性、系統の性能等。第5章ではこれらの課題を論じる。
(d) 容認基準と施設の耐震性向上の必要性(施設面と運転面の両方)。第7章ではこれらの課題を論じる。
2.17. 本安全指針では、SSCの現実的な損傷モード、すなわち、不十分な地震耐力又は地震相互作用のいずれかの原因でSSCが要求される機能を果たせなくなる状態を扱う。構築物についてのこの機能は、閉じ込め、他のSSCの支持及び/又は保護であり得る。分配系及び機器については、操作性及び/又は流体の保持であり得る。例えば、配管系統についての損傷は流れの保持能力の喪失であり、系統についての損傷は容認可能な性能の欠如である。構築物及び機械的な機器については、耐震安全性評価では、ある程度の非線形挙動を許容するにしても、在来型の工業施設で許されるよりは低いレベルにおいてである。SSCから求められる機能とそれらのSSCの損傷モードが特定されるべきである。
2.18. 系統及び機器の地震耐力又は脆弱性の評価は、多くの場合、地震の経験データや試験データに依存すべきである。既に大量のデータが取得され、評価され、審査され、評価手順に組み込まれている。これらのデータは、以下のような地震経験データ及び試験データから成っている。
(a) 地震経験データは、広範囲の国際的な情報源から得られており、概ね、強い地震を受けた工業施設の機械的及び電気的装置や分配系の挙動を反映したものである。
(b) 試験データは、機器の確認試験又は耐力試験に基づくものである。ある場合には、試験データのデータベースは、製造者、寸法、機能、固定法のような機器に固有な情報に依存している。
全ての場合、これらの地震経験データ及び試験データの適用性は、評価対象とする特定の原子炉等施設に関して検証されるべきである。
2.19. SMAの手法は、SSCが容認可能な地震耐力を持つことが示されたときに、地震の発生後に施設が無事に安全な状態に到達するであろうことの高い確信度を与える、1組のSSCを明らかにすることに基づいている。特定されたSSCは、「成功パス」を構成する。原子力発電所に対する成功パスは、第5章で適用されているように、「安全停止パス」と呼ばれる。原子力発電所以外の原子炉等施設(第6章)に対しては、「成功」は、評価対象とする原子炉等施設について達成されるべき最終状態、例えば地震の発生時及び発生後に核物質を無事に閉じ込めること、に応じて定められるべきである。成功パスに対する要求事項には、規制当局との合意のもとに定められた深層防護、系統の多重性などの考慮を含むことがある。これについては、5.2項と関連する脚注3も参照のこと。
2.20. プラントの現場確認は、SMA及びSPSAの手法に欠かせない部分である。全ての手法に対して、プラント現場確認は耐震安全性評価の実施計画の重要要素であるべきである。現場確認は、5.32–5.40項に詳しく論じられている。
経年変化に関する考慮
2.21. 全ての種類の原子炉等施設の耐震安全性評価において、経年劣化が考慮されるべきである。経年劣化は、SSCの地震耐力を減少させるような経年効果である。代表的な経年劣化影響としては、配管、タンク及び金属製機器の腐食並びに浸食、熱及び中性子照射による効果(例えば、原子炉圧力容器の脆化、コンクリート構造物、機器及び固定装置の劣化、電気設備の劣化)、応力腐食割れ(沸騰水型原子炉の炉心シュラウド、一次系配管等に対するもの)、塩水や地下水中の過剰な塩素濃度に浸ることに因る環境誘起腐食、並びに電気系統及び装置の経年変化がある。
地震計
2.22. サイト(堆積層又は岩盤上の自由表面及びボーリング孔内)及び施設内(基礎上及び構造物内の場所)に設置された地震計は、サイト近傍で地震が発生した場合に信頼できる実際の記録が得られることを確実なものとするために評価されるべきである。必要ならば、地震計は、地震の発生時及び発生後に地震動に関する適切な情報を得るために、またその後のプラントに対する対応措置を決めるために、最近の国際的な良好事例に照らして、適切に最新化し高性能化されるべきである。また、地震計に関する保守計画とデータ伝達計画が機能していることを確実なものとすべきである。地震計は、着目している大及び小地震を記録できるように適切なものとすべきである。
実施計画の構成
2.23. 施設の耐震安全性評価実施計画を実行するためには、完全かつ詳細な作業計画が作成されるべきである。作業計画では施設の運転が配慮されるべきである。評価時の実際のデータの収集、プラント現場確認の実施及び物理的な耐震性向上のような、施設の運転中には実施し難い作業も有り得る。作業計画では、懸案となっている物理的な又は運転上の変更についてそれらが評価に反映されるように考慮すべきである。耐震安全性評価実施計画の典型的な特徴である段階的な取組みは、これらの目的に合致している。
2.24. 本安全指針では、耐震安全性評価実施計画の実行に必要な工程表に関する具体的な推奨事項については提示されていない。この重要な側面については、安全に関わる高品質化の実施のために策定された全般的なマイルストーンを置いた工程表に従って、利用可能な資源の枠内で、規制当局の合意を得て事業者により定められるべきである。耐震性には関わらない追加的な高品質化が実施される場合には、耐震とそうではない面の高品質化の間の両立性の検証が実施計画に入れられるべきである。工程表は、放射線防護の最適化の原則とともに施設の運転上の必要性を考慮すると、評価段階(主にデータ収集関連)と高品質化段階(主に高品質化実施関連)の両方にわたって、建屋、区域、及び/又は設備へ接近できるか否かによって大きく影響される。
2.25. 耐震安全性評価実施計画を成功裡に策定して完了するためには、責任関係が明確で、その計画に従事するために必要な技術的能力を備えた専任組織の設立が要求される。この点に関しては、事業者は、施設のシニアマネジメントの直接の指揮命令下にある計画管理者によって監督される、評価を実施する専任グループ(通常の運転業務を伴わない)を設置すべきである。
2.26. 資源上の制約から生じる状況に対処するためには、最適リスク低減原則に基づいた優先度付け計画が用いられることがある。この計画は、論理的かつ技術的な順序を維持したより小さな基本作業に分割されることがある。便宜上、評価工程は主要作業に分けることができ、それぞれの作業はいくつかの活動を包含する。例えば以下に掲げる作業が特定される。
(a) 当初の耐震設計に関連する利用可能な情報の整理。
(b) 所在不明の評価時の実際の情報の特定と取得。
(c) 評価に使われる地震ハザードの決定。
(d) SMAについては、地震時の安全停止手順の設定、確保すべき安全目的と安全機能の明確化、及びそれに対応して選定される評価すべきSSC一式の特定。
(e) 評価時の実際のデータを収集するためのプラント現場確認の実行。これは、系統と機器間の地震相互作用の弱い連結と問題点を特定し、固有のまた実証され得る地震耐力のために評価の対象外とするSSCを選別しながら行われる。
(f) 適切な数学モデルの作成と建屋及び構築物の地震応答の計算。これには、地盤と建屋間の相互作用及び構築物内の応答スペクトル(床応答スペクトル)の計算を含む。
(g) 建屋及び構築物の地震耐力の評価。
(h) 設備及び装置の地震応答と地震耐力の評価。
(i) 地震耐力が不十分で耐震性向上されるべきSSCの特定。
(j) 地震耐力が不十分なSSCの耐震性向上。
(k) 必要ならば、数学モデル、地震応答の計算、及び耐震性向上された状態でのSSCの地震耐力の検証についての最新化。

3. データの収集と調査
既設の原子炉等施設に関するデータの収集
3.1. 既設の原子炉等施設に関して実施されるべきあらゆる耐震安全性評価の全般的特徴として、その評価は、それが実施される時点における施設の状態を考慮して行なわれるべきである。施設のこの重要な状態は、「評価時の実際の」状態と表わされる。これは、地震が発生した場合に、その実際の状態の施設に影響を与え、施設の応答と耐力は、その実際の物理的構成及び運転状況に依存することを意味する。したがって、耐震安全性評価のための実施計画の最初のまたより重要な段階の一つは、施設の実際の状況の完全な表現を提示するための全ての必要なデータと情報を収集することである。評価時の実際のデータの収集は、耐震安全性評価の実施計画の範囲に入ると考えられ、また、システムの性能に対して直接的な影響を及ぼすか、又は地震動をある場所から他の場所に伝達することによって間接的な影響を与える、それらの選定されたSSCを網羅すべきである。評価時の実際の状態は、供用期間中における施設の経年劣化の影響を適切に反映しかつ含むべきであることもまた、強調されるべきである。未決定の物理的又は運転上の変更についてもまた、評価において考慮され得ることを認識しておくべきである。
当初の設計の根拠に関するデータ及び図書資料
3.2. 当初の設計の根拠に関するデータと図書資料は、利用可能なあらゆる情報源から収集されるべきである。設計段階において使用された原子炉等施設に関する固有のデータや情報の収集と整理には、可能な限り、重点が置かれるべきである。もし、より完全な情報が設計段階から収集されたならば、耐震安全性評価の実施計画のために要求される労力と資源は、より少なくて済む。
施設の全般的図書資料
3.3. 施設の設計段階において設計や許認可の目的のために使用されたすべての利用可能な全般的及び特定の図書資料は、以下を含めて、集められるべきである。
(a) 安全解析報告書、望むべくは、最終安全解析報告書。
(b) 施設の当初の設計時に使用された規格と基準。
(i) 使用された材料の公称値とその機械的特性を指定するために採用された基準と当初に適用された手順。
(ii) 当初の負荷組合せを明確にするため、また耐震設計パラメータを計算するために採用された基準と適用された手順。
(iii) 構築物、機器、配管系統、及び他の機器等の設計のために、適宜、使用された国の工業基準。
(iv) 施設設計時において在来建屋の設計に使用され、また、最低限の要件であったと考えられる国の基準と手順。
(c) 構築物、装置、及び分配系(例えば、配管、ケーブルトレイ、換気ダクト)に関する全体配置と配置図面。
(d) 内部(及び外部)事象の確率論的安全評価(PSA)の結果(実施された場合)。
(e) 試運転期間中に実施されたSSCの耐震確認試験の結果と報告に関するデータと情報。これには、検査、保守、及び不適合報告書や是正処置報告書に関する利用可能な全ての情報を含む
(f) 品質保証と品質管理の図書資料。これには、建設、製作、組立、及び試運転時の変更を評価するために材料、形状、及び配置構成の建設時の状態に特に重点を置いた不適合報告書や是正処置報告書を含む。これらのデータの正確度は評価されるべきである。
耐震安全性評価の実施計画に含まれるSSC固有の図書資料
3.4. 施設の当初の設計に関する固有情報、特に、耐震安全性評価の実施計画に含まれるSSCの情報は、以下のように収集されるべきである。
(a) システム設計
(i) システムの説明資料
(ii) 安全区分、品質区分、及び耐震区分
(iii) 設計報告書
(iv) システムの機能性の確認報告書
(v) 細部を含む計測制御
(b) 地盤設計
(i) 掘削、地質構造の埋戻し、及び基礎部管理(例えば、沈下、隆起、排水)
(ii) 擁壁、土手等の建設
(iii) 地盤‐基礎部‐構築物の損壊モードと耐力(例えば、推定される沈下、滑り、転倒、隆起、液状化)
(c) 構造設計
(i) 全ての着目すべき構築物の応力解析報告書
(ii) 構造図(例えば、構造用鋼、鉄筋コンクリート及び/又はプレストレストコンクリート)、望むべくは、建設時の図書資料
(iii) 材料物性(仕様及び試験データ)
(iv) 代表的な詳細(例えば、結合部)
(d) 機器設計
(i) 耐震解析及び設計の手順
(ii) 試験仕様書、試験報告書、等を含む耐震確認手順
(iii) 代表的な固定手段の要求事項と使用された種類
(iv) 応力解析報告書
(v) 運転前試験報告書(あれば)
(e) 分配系設計(配管、ケーブルトレイ、ケーブル導管、換気ダクト)
(i) 系統説明資料
(ii) 配管と計装の図表
(iii) 配管とその支持構造物の配置と設計図面
(iv) ケーブルトレイとケーブル導管、及びそれらの支持構造物の図表
(v) 換気用ダクトとその支持構造物の図表
(f) 役務用及び取扱用の装置(たとえ、その一部は安全上の関連がない装置であっても、運転時及び貯蔵時の配置構成における相互作用効果の解析と検討のために、その評価が必要となる場合がある)
(i) 主クレーン、及び補助クレーン
(ii) 燃料交換機
耐震設計の根拠
3.5. 耐震安全性評価の実施計画の実施に当たっては、当初の設計段階において使用された地震入力の特性がよく理解されるべきである。サイトの評価検討時に実施された地震ハザード解析の図書資料と、最終的に採用された当初の設計の根拠の値との乖離は、全て特定されるべきである。この情報は、参考レベルを決定する上で不可欠である。この参考レベルは、評価計画のために設定されるべき新しい地震入力に対する施設の耐震安全裕度を評価するために使用されることになる。この観点から、以下の事が包含されるべきである。
(a) SSCの設計と確認に使用された当初の設計の地震レベルの仕様書[4]。
(b) 弾性地盤応答スペクトル、加速度時刻歴、又は他の表現による自由表面の地震動パラメータ。
(c) マグニチュード(M)や強度(I)、震央距離(Δ)、強震動の定義と継続時間、又は、他の地震パラメータ、等の当初の入力地震動を定義するために使用された主要な地震の震源パラメータ。 16
(d) 構築物の一部が、設計スペクトルが非弾性挙動に関して内在的に減衰する内容の設計規格に従って設計されている場合には、新たに定義される地震入力に対する耐震安全性評価の実施計画の要求事項と比較する根拠を与えるために、それに対応する弾性地盤応答スペクトルが導出されるべきである。
地盤‐構造物の相互作用、構造物のモデル化、及び構造物内の応答の詳細
3.6. 当初の設計時に使用された地盤‐構造物の相互作用の解析、モデル化の技術、及び構造物の応答解析の技術に関する情報は、以下のように収集されるべきである。
(a) 地盤‐構造物の相互作用パラメータ
(i) 基準点の位置、即ち、入力地震動を適用するために選択された位置― 例えば、自由地盤面、基礎部マット上、又は基盤岩レベルに接した自由表面。
(ii) サイト固有の応答解析に使用された地盤の剛性や減衰特性、地下水位の変動に関する情報、及び歪み依存特性についての考慮、等を含む地盤の特性(3.14~3.17項を参照のこと)。
(iii) 地盤特性、及び、地盤‐構造物の相互作用解析技術の不確実性を説明する方法、例えば、地盤特性に関する最適推定、下限及び上限の三つの解析が当初の設計において使用されている場合には、その包絡線。
(b) モデル化の技術
(i) 構造物の地震応答と構造物内の応答スペクトル(床の応答スペクトル)の計算に使用されたモデル化の技術と解析の方法。
(ii) 物質とシステムの減衰、モード減衰の切り捨て。
(iii) 設計段階において想定され、また、建設時に実行されたような非弾性的挙動の許容幅。
(c) 構造物の解析と応答パラメータ
(i) 地盤と構造物の連結モデル又は基礎構造モデルを用いた1又は2段階の解析。
(ii) 機器と構造物の動的解析。
(iii) もし利用可能ならば、固有振動数とモードの形状。
(iv) 構造物の応答出力 (例えば、構造物の内部荷重 (力とモーメント);構造物内の加速度;変形又は変位)。 17
(v) 滑りや隆起等の全体的挙動を含む基盤の応答。
(vi) 構造物内の応答スペクトルの計算 (床応答スペクトル)、これには以下を含む。
— 設備の減衰。
— 包絡し且つ幅を持たせる判断基準(使用されている場合)。
現状の(評価時の実際の)データ及び情報
3.7. 前項までに推奨されたように、当初の設計の根拠に関連する可能な限り多くのデータを収集した後に、施設の現状と実際の状態(即ち、評価時の実際の状態)が評価されるべきである。この点に関して、評価を行う者は、実施する全ての段階を適切に文書化しつつ、一貫したかつ包括的な方法で行うべきである。
3.8. 施設が、参考文献[7]において推奨されているような定期安全レビューを受けてきている場合には、これらのレビューの報告書は、耐震安全性評価の実施計画の目的のために利用できるようにすべきである。
3.9. 建設時と運転前の全ての利用可能な図書資料(報告書、図面、写真、フィルム記録、非破壊検査報告書等)の精密なレビューが実施されるべきである。この目的のために、文書化されたデータを確認し、また、新しい、更新された情報を入手するために、予備的な選別のための現場確認が実施されるべきである。この現場確認中においては、施設の供用期間中に実施されたあらゆる重要な改修、及び/又は高品質化、及び/又は補修手段に関するデータが収集され、文書化されるべきである。これには、すべての経年変化影響の報告が含まれる。施設の地震応答と地震耐力に対して効果的であるためには、どの程度の改修が必要になるかについての判断は、地震耐力の評価に関する専門家によって行なわれるべきである。
3.10. 以下の項目に関連する建設及び/又は組立てに関する要求事項、手順、及び不適合報告書に対しては、特に注意が払われるべきである。
(a) 掘削と埋戻し
(b) 現場を経由する機器等 (例えば、配管、ケーブルトレイ、導管、管類)
(c) 非安全関連の機器等の据付け (例えば、石壁、遮蔽ブロック、室内ヒータ、飲用水配管と消火用水配管、つり天井)
(d) 機器間の分離距離又は間隔
(e) 現場試験を受けた機器等
(f) 固定手段
3.11. 施設の運転期間中において利用可能なすべての記録と図書資料は、補修記録や残存供用期間について実施された評価結果も含めて、現場検査や運転履歴によって特定された偶発故障や経年変化の影響に関するSSCの信頼性との関連で、評価されるべきである。SSCの動的特性付けに関して(もし、行われたならば)実施された試験の報告書の存在には、検査、保守、及び/又はモニタリング記録とともに、特に注意が払われるべきである。
3.12. サイトの定期的な地質工学的な監視や測地調査、及び施設の構築物からの利用可能な情報は、変形や沈下、基礎部の挙動、構築物の相対変位、等の評価に使用されるべきである。
3.13. サイト選定、サイト評価、運転前活動及び運転にわたる全期間を通してサイトに設置された地震計は、現実に地震に遭遇したときの地盤、構築物及び機器の固有の挙動をより良く理解し、評価するためのデータを提供するであろう。この観点から、全ての利用可能なデータは、編集され、解析されるべきである。原子炉等施設の地震計と緊急停止系については、それらの操作性や機能性とともに現状の評価が実施されるべきである(2.22項を参照)。既設の地震計の評価においては、以下の点を考慮すべきである。
(a) サイト周辺の近隣地域における地域の地震観測網
(b) 施設自体の地震計
(c) 地震発生時及びそれ以降に要求される活動のために定められた操作手順
推奨される調査
地盤に関するデータ
3.14. 信頼性のあるかつ現実的なサイト固有の地震応答解析を実施するためには、地盤と岩盤の断面の静的及び動的な物性が入手されるべきである。これらのデータがより初期の段階に(例えば、設計段階において)入手されたのであれば、現行の手法への妥当性が評価されるべきである。この点に関して、 19
(a) 岩盤層に関しては、各層の岩盤の物性の資料が妥当である。
(b) 多層地盤に関しては、各層に関して歪みに対する剛性率や減衰は、多層地盤の数学的モデルを導出する基盤となる。密度や低歪み物性(通常は、PとS波の速度のその場での測定値や3軸静的物性の実験室での測定値、及び可能ならば、動的物性と物質の減衰率)が与えられるべきである。歪みレベルの増大に伴う動的剛性率の値と減衰値の変動が深さの関数として必要である。歪みによる地盤の物性の変化は、地盤の種類が一般的区分と適切に関連付けされている場合には、一般的データに基づいてもよい。サイト固有の地盤特性を明らかにする静的及び動的物性値の妥当な範囲については、耐震安全性評価の実施計画における使用のために調査され、文書化されるべきである。
3.15. 代表的な一年間のその地域の地下水位の位置とその変動に関する情報が入手されるべきである。
3.16. サイト調査、設計、及び建設の種々の段階に関しては、運転職員やその他の人々によって記録された写真、覚書、及び観察結果のような通常には得られない情報源から、他のデータが利用できることがある。これらのデータは、それらの情報源や文書化の方法に照らして評価されるべきである。そのようなデータの収集は、参考文献 [9] に従い、可能な限り実施されるべきである。
3.17. サイトにおける又はその地域にある他の工業施設における実際の地震経験に関連するすべての利用可能な情報は、入手されるべきである。ダムの決壊による河川の氾濫、津波による沿岸の冠水、地滑りや液状化等の地震の誘発による現象に対しては、特に注意が払われるべきである。
建屋構造物に関するデータ
3.18. 安全関連の構造物の建設のために使用される評価時の実際のコンクリートの等級は、既存のプラント固有の試験とコンクリートに関する工業規格に基づいて検証されるべきである。試験には、破壊又は非破壊のいずれかの方法が使用され得る。当初の設計のデータの代わりに収集されたデータは、さらなる解析と耐力評価のために使用され 20
るべきである。設計値からの大きな差異がある場合には、その差異の原因とその結果が調査されるべきである。
3.19. 評価においては、鉄筋の実際の材料物性が使用されるべきである。材料物性は、既存の試験データから利用可能であるべきである。そうでない場合には、破壊及び非破壊試験の信頼できる方法が使用されるべきである。鉄筋の解析には、機械的物性と詳細項目(例えば、鉄筋の寸法、配置、形状特性、コンクリートかぶり、鉄筋の間隔)を含めるべきである。構造物全体の耐力評価のためには、全ての重要な載荷構成材の物性が評価されるべきである。その他、鉄筋の詳細が重要となるような場合には、例えば、貫通部及び大型機器の固定部が含まれる。
3.20. 経年効果は、通常、別個の計画において評価されるが、耐震安全性評価において、コンクリート建屋の調査は、最低限、亀裂、侵食/腐食や表面損傷の影響、中性化の程度、コンクリートかぶりの厚さ、及び、例えば地下水中に存在する塩化物や他の腐食性汚染物等による地下基礎部の劣化の程度についての目視検査を含めるべきである。
3.21. 抜き取り調査は、選択された構築物の構成材の形状特性を検証するために行なわれるべきである。
3.22. 評価の重要な要素は、地震荷重以外の、耐震安全性評価に使用される荷重の検証及びことによると新たな評価である。通常、評価時の実際の状態における静荷重と動荷重の両方とも、当初の設計に使用されたものとは異なる。その差異に関しては、慎重に吟味され、記録されるべきである。
配管及び装置に関するデータ
3.23. 配管、装置、及びそれらの支持構造物に対する設計情報が不十分な場合には、解析及び/又は試験が、それらの動的特性と挙動を定めるため実施されるべきである。この場合、代表的なもので十分である。

4. 地震ハザードの評価
4.1. 耐震安全性評価のためのあらゆる実施計画の最初の段階は、第3章に示された関連データの収集と並行して、地震ハザードを確定することであるべきであり、それとの関連において既設の施設の耐震安全性が評価される。この点に関して、サイト特有の地震ハザードが、下記の3つの主要な要素との関連において評価されるべきである。
(a) サイトの地質の安定性評価 [4、9]。これには主たる2つの目的を持つ。
(i) 安全上重要な建屋や構築物の直下、又は非常に接近した場所において、相対的な地盤変位現象を生じる可能性のあるいかなる活断層も存在しないことを検証すること。新たな証拠がサイト区域内やサイト近傍における活断層の可能性を示した場合は、断層変位の危険性が、先ず、参考文献[4 ]に示される手引きに従って評価されるべきである。この問題の明確な解決が未だ不可能である場合には、断層変位の危険性は、確率論的手法を用いて評価されるべきである。
(ii) 恒久的な地盤変位現象が存在しないことを検証すること(即ち、液状化、斜面の不安定性、地盤沈下や崩壊、等)。
(b) サイトにおける地震動の強さの決定、即ち、調査対象となる4領域における地震構造論的影響の全範囲を考慮に入れた、参考文献[4 ]が推奨するような地盤震動パラメータの評価。
(c) 地震によって生じるダム決壊による河川の氾濫、津波による沿岸の冠水、及び地滑り、等の他の随伴現象の評価
4.2. 一般的に、地震ハザード評価は、その実施計画の目的と要求事項に依存して、決定論的又は確率論的方法を用いて実施され得る。いずれの方法においても、偶発的な不確実性及び認識可能な不確実性は、両方共、考慮されるべきである。
4.3. 4.1(a) 項と4.1(c)項 において推奨される評価は、使用されている方法論には拘りなく、参考文献 [4, 9, 10 ] に従い耐震安全性評価のための実施計画のあらゆる場合について実施されるべきである。地盤工学上の危険度(例えば、液状化、斜面の不安定性、地盤沈下、崩壊)の評価においては、新しい地震ハザードパラメータが使用されるべきである。4.4. 4 .1(b)項に関するサイトの地震ハザード評価に対する推奨事項は、その評価の目的に依存する。以下の場合における地震ハザード評価は、参考文献 [4 ] に推奨されるように実行されるべきである。
(a) 当初の設計用基準地震動の改定を行なう場合。これは、サイトにおける地震ハザードに関する新しい情報(例えば、新たに特定された断層)、不適切又は推奨された最低限度以下と判明した当初の設計の根拠(例えば、参考文献 [4~6]に与えられるような)、又は、設計の根拠の地盤震動特性が当初に使用されたものと異なること(例えば、直下型地震に関するより大きな高周波数成分)などのような状況により企てられることがある。
(b) 当初の設計用基準地震動を超える耐震安全裕度を設定する場合、及び、クリフエッジ効果がないことを実証する場合。
(c) 基準の改訂による規制要件に従った耐震安全性評価、もしくは長期運転(即ち、プラントの供用期間の延長)の支援における耐震安全性評価を実施する場合。
(d) あるレベルの地震動を受けたとき新たに観測されたSSCの挙動が、施設の地震耐力を損なわないことを検証するために評価を行う場合。
地震ハザード評価の結果、新たなサイト固有の地震ハザードが規定され、評価用の地震動として指定される。これは、施設の耐震安全性の評価に使用されるべきである。
4.5. ある場合には、規制当局が、明示的に地震ハザード評価を行うことなく、耐震安全性評価が実施されるための地盤震動を直接指定することがある。いかなる場合においても、評価用の地震動を決定する際の、また評価の結果を解釈する際の意思決定に有用な情報を提供するために、参考文献 [4] の推奨事項に従って(決定論的又は確率論的のいずれかの)地震ハザード評価が実施されることが推奨される。
4.6. 4 .4項の目的以外の目的を達成するためには、サイト固有の確率論的地震ハザード評価 [4] が実施されるべきである。通常、その目的には、以下を伴う。
(a) リスク指標の計算(例えば、炉心損傷頻度と早期大量放出の頻度)。
(b) リスク情報を活用した意思決定のためのリスク管理手段の確立。
(c) 地震ハザードと他の内的及び外的ハザードとの間の相対的な危険性の決定。
(d) プラントの耐震性向上に関する意思決定のために費用-便益分析に関する手段の提供。
4.7. SMA手法に関しては、評価用の地震動(4.5項)が、耐震安全性評価の実施計画に使用されるべき地震入力を規定する。この場合には、当初の設計基準地震動に対して十分に裕度のある評価用の地震動が定義されるべきである。これは、プラントの安全を確保するため、また、当初の設計用基準地震動以上の大きな地震事象に十分耐えるべき施設の能力を制限することのあるあらゆる「弱点」を見出すために行われる。
4.8. SPSA手法に関しては、評価用の地震動(4.5項)が、サイト固有の確率論的地震ハザードを意味する。一般的に、サイト固有の確率論的地震ハザード評価の結果は、地盤振動パラメータ(例えば、最大加速度)の年間超過頻度(しばしば、年超過確率と呼ばれる)を定める地震ハザード曲線、それに基づく応答スペクトル(例えば、一様ハザードスペクトル)、及び、有力な震源パラメータ(例えば、マグニチュードやサイトからの距離)の特性、等を含む。


<略>


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クリフエッジ効果
In a nuclear power plant, an instance of severely abnormal plant behaviour caused by an abrupt transition from one plant status to another following a small deviation in a plant parameter, and thus a sudden large variation in plant conditions in response to a small variation in an input.
原子力発電所において、一つの発電所パラメータの小さな逸脱の結果、ある発電所の状態から別の状態への急激な移行によって生じる、通常から大きく外れる発電所挙動の事例であり、このように入力の小さな変動に反応して発電所の状態が突然大きく変動すること。


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・設置関係資料 その16 安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画 原子力安全・保安院

・設置関係資料 その16 安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画 原子力安全・保安院


http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan053/siryo1.pdf

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第53回原子力安全委員会
資料第1 号

東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画

平成23 年7 月15 日
原子力安全・保安院

 平成23 年7 月6 日付け23 安委決第7 号において原子力安全委員会から求められた、東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画について、以下のとおり定める。

Ⅰ.評価手法
1.評価対象施設
 全ての既設の発電用原子炉施設を対象とし、建設中のものを含める。ただし、東京電力福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所及び廃止措置中であって燃料が発電所内に存在しないものは除く。
 核燃料サイクル関連施設については別途実施を検討する。

2.評価対象時点
 評価は、平成23 年7 月31 日時点の施設と管理状態を対象に実施する。

3.評価対象事象
 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえ、以下の事象を対象とする。
・自然現象: 地震、津波
・安全機能の喪失: 全交流電源喪失、最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失

4.評価実施方法
 事業者は、以下の方法に基づく評価を行い当院に提出する。当院は、事業者の評価結果に対する評価を行うとともに、原子力安全委員会に対し、当院の評価結果の確認を求める。
 事業者による評価は、一次評価と二次評価により構成する。なお、いずれの場合も、東京電力福島第一原子力発電所事故の後に緊急安全対策等として実施した措置について、明示すること。
(1)一次評価
 安全上重要な施設・機器等について、設計上の想定を超える事象に対してどの程度の安全裕度が確保されているか評価する。評価は、許容値に対しどの程度の裕度を有するかという観点から行う。また、設計上の想定を超える事象に対し安全性を確保するために取られている措置について、多重防護(defense in depth)の観点から、その効果を示す。これにより、必要な安全水準に一定の安全裕度が上乗せされていることを確認する。
(2)二次評価
 設計上の想定を大幅に超える事象の発生を仮定し、評価対象の原子力発電所が、どの程度の事象まで燃料の重大な損傷を発生させることなく耐えることができるか、安全裕度(耐力)を評価する。また、燃料の重大な損傷を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示すとともに、クリフエッジ効果を特定して、潜在的な弱点を明らかにする。これにより、既設の発電用原子炉施設について、設計上の想定を超える外部事象に対する頑健性に関して、総合的に評価する。
(3)評価の進め方
 評価において、事象の進展過程については、イベントツリーの形式で示すこととし、イベントツリーの各段階において、その段階で使用可能な防護措置について検討し、それぞれの有効性及び限界を示す。評価に当たっては、以下の点に留意する。
・起因事象発生時の状況として、最大出力下での運転など最も厳しい運転条件を想定するとともに、使用済燃料プールが使用済燃料で満たされるなど最も厳しいプラント状態を設定する。
・想定する自然現象は、地震及び津波とする。さらに二次評価においてはこれらの重畳についても想定することとし、設計段階での想定事象に限らず、最新の知見に照らして最も過酷と考えられる条件や、さらにそれを上回る事象をも考慮する。
・事象の過程の検討においては、事象の進展や作業に要する時間をあわせて検討する。
・原子炉及び使用済燃料プールが同時に影響を受けると想定する。また、防護措置の評価にあたっては、合理的な想定により機能回復を期待できる場合を除き一度機能を失った機能は回復しない、プラント外部からの支援は受けられない等、厳しい状況を仮定する。
・二次評価においては、事業者が自主的に強化した施設・機能や、耐震B・Cクラスの構造物・機器であっても合理的な推定によって機能維持が期待できるものについては、評価に含めることができる。
・喪失する安全機能として、全交流電源喪失及び最終ヒートシンクの喪失を想定するが、二次評価においてはこれらの重畳についても想定する。
・複数号機を有する発電所については、複数号機間の相互作用の可能性について考慮する。
・決定論的な手法を用い、過度の保守性を考慮することなく現実的な評価を行う。

5.一次評価実施事項
 以下に示す事項について実施する。
(1)地震
 ①地震動が、設計上の想定を超える程度に応じて、耐震Sクラス及び燃料の重大な損傷に関係し得るその他のクラスの建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かを許容値等との比較若しくは地震PSA(確率論的安全評価)の知見等を踏まえて評価する。
 ②①の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、その地震動の大きさを求めるとともに、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(2)津波
 ①津波高さが、土木学会「原子力発電所の津波評価技術」(平成14年)を用いて評価した設計想定津波の高さ(設計津波高さ)を超える程度に応じて、安全上重要な建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かを設計津波高さ等との比較若しくは津波PSAの知見等を踏まえて評価する。
 ②①の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、その津波高さを求めるとともに、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(3)全交流電源喪失
 ①内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。
 ②①において特定された事象の過程及び外部電源喪失から全交流電源喪失への進展過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(4)最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
 ①内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。
 ②①において特定された事象の過程の進展を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。

6.二次評価実施事項
 以下に示す事項について実施する。
(1)地震
 ①地震動が、設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かを地震PSAの知見等を踏まえて評価する。
 ②①の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、その地震動の大きさを求めるとともに、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(2)津波
 ①津波高さが、設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、施設・機器等が損傷・機能喪失するか否かについて、津波PSAの知見等を踏まえて評価する。
 ②①の評価結果を踏まえて、発生する起因事象により燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、その津波高さを求めるとともに、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(3)地震と津波との重畳
 ①設計上の想定を超える地震とそれに引き続く設計上の想定を超える津波が発生した場合において、燃料の重大な損傷に至る事象の進展を地震・津波PSAの知見を踏まえて同定し、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ②特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(4)全交流電源喪失
 ①内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失の継続時間を明らかにする。
 ②①において特定された事象の過程及び外部電源喪失から全交流電源喪失への進展過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(5)最終的な熱の逃し場(最終ヒートシンク)の喪失
 ①内的事象PSAの知見を踏まえて、最終ヒートシンク喪失を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の最終ヒートシンク喪失の継続時間を明らかにする。
 ②①において特定された事象の過程の進展を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(6)全交流電源喪失と最終ヒートシンクの喪失の複合
 ①内的事象PSAの知見を踏まえて、全交流電源喪失と最終ヒートシンク喪失の複合事象を起因事象として燃料の重大な損傷に至る事象の過程を明らかにするとともに、その場合の全交流電源喪失と最終ヒートシンク喪失の複合事象の継続時間を明らかにする。
 ②①において特定された過程を踏まえ、設計の弱点を明らかにして、クリフエッジの所在を特定する。
 ③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷に至る事象の過程の進展を防止するための措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。
(7)シビアアクシデント対策
 ①現在備えているアクシデント・マネージメント対策におけるクリフエッジ効果を明確にするとともに、シビアアクシデントの発生からそこに至るまでの時間を評価する。
 ②クリフエッジ効果を防止するために実施可能な措置について、多重防護の観点から、その効果を示す。その際、ハードウェアのみならず、手順書、組織体制の整備などソフト面について考慮する。


Ⅱ.実施計画
1.一次評価
 定期検査中で、起動準備の整った原子炉に対して実施する。

2.二次評価
 全ての既設の発電用原子炉施設(ただし、東京電力福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所及び廃止措置中であって燃料が発電所内に存在しないものは除く)に対して実施し、事業者からの報告の時期は本年内を目途とするが、欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島第一原子力発電所事故調査・検証委員会の検討状況を踏まえ、必要に応じ見直す。
 建設中の発電用原子炉施設については、起動までに本評価を実施する。
 評価は、発電所単位で実施する。

3.当院の対応
(1)一次評価
 当院は、一次評価の提出を受けた場合には、その内容を評価する。評価結果については、原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。
(2)二次評価
 当院は、提出された報告について、その内容を評価する。評価結果については、原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。
 なお、当院は、欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島第一原子力発電所事故調査・検証委員会の検討状況も踏まえ、必要に応じ、二次評価実施事項を修正し、修正後の実施事項に基づいて評価を実施するよう事業者に対し改めて指示を行う。


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2011-07-28 : ・設置関係資料2 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
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