東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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・土地建物,土壌等の汚染 その9 環境省 汚染廃棄物対策地域の指定の要件等を定める省令

・土地建物,土壌等の汚染 その9 環境省 汚染廃棄物対策地域の指定の要件等を定める省令

http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18816&hou_id=14583
汚染廃棄物対策地域の指定の要件等を定める省令

○環境省令第三十四号
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第十一条第一項、第二十五条第一項、第三十二条第一項及び第三十六条第一項の規定に基づき、汚染廃棄物対策地域の指定の要件等を定める省令を次のように定める。

平成二十三年十二月十四日
環境大臣細野豪志
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汚染廃棄物対策地域の指定の要件等を定める省令

(定義)
第一条 この省令において使用する用語は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(以下「法」という。)において使用する用語の例による。

(汚染廃棄物対策地域の指定の要件)
第二条 法第十一条第一項の環境省令で定める要件は、第一号に該当し、第二号に該当しないこととする。
一 次のいずれかに該当すること。
イ 警戒区域設定指示(事故に関して原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十五条第三項又は第二十条第三項の規定により内閣総理大臣又は原子力災害対策本部長(同法第十七条第一項に規定する原子力災害対策本部長をいう。以下同じ。)が市町村長に対して行った同法第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第六十三条第一項の規定による警戒区域の設定を行うことの指示をいう。ロにおいて同じ。)若しくは計画的避難指示(原子力災害対策特別措置法第二十条第三項の規定により原子力災害対策本部長が市町村長に対して行った避難のための計画的な立退きを行うことの指示をいう。ロにおいて同じ。)の対象区域であること、又はこれらの対象区域であったこと。
ロ その区域の大部分が警戒区域設定指示若しくは計画的避難指示の対象区域である市町村又はこれらの対象区域であった市町村の区域であること。
二 その区域内にある廃棄物(法第十一条第一項の規定による汚染廃棄物対策地域の指定後において対策地域内廃棄物に該当することとなるものに限る。)の収集、運搬、保管及び処分が相当程度実施されていることその他の事情から国が当該廃棄物の収集、運搬、保管及び処分を実施する必要があると認められない区域であること。

(除染特別地域の指定の要件)
第三条 前条の規定は、法第二十五条第一項の環境省令で定める要件について準用する。この場合において、前条第二号中「その区域内にある廃棄物(法第十一条第一号の規定による汚染廃棄物対策地域の指定後において対策地域内廃棄物に該当することとなるものに限る。)の収集、運搬、保管及び処分」とあるのは「その区域に係る除染等の措置等」と、「当該廃棄物の収集、運搬、保管及び処分」とあるのは「除染等の措置等」と読み替えるものとする。

(汚染状況重点調査地域の指定の要件)
第四条 法第三十二条第一項の環境省令で定める要件は、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルト未満の放射線量とする。

(除染実施計画を定める区域の要件)
第五条 法第三十六条第一項の環境省令で定める要件は、一時間当たり〇・二三マイクロシーベルト未満の放射線量とする。


附則
この省令は、法の施行の日(平成二十四年一月一日)から施行する。


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2011-12-20 : ・土地建物,土壌等の汚染 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・土地建物,土壌等の汚染 その8 放射性物質,「無主物」「附合」の問題

・土地建物,土壌等の汚染 その8 放射性物質,「無主物」「附合」の問題

二本松のゴルフ倶楽部による仮処分申立事件に関してネットでいろいろと話題になっている。

〔無主物〕
まず,
・「無主物」とは,現に所有者のない物である。
・現在は無主の動産が過去において,誰かの所有に属していた場合でも,その者が所有権を放棄していれば無主物となる。
・したがって,飛散して放射性物質の所有権放棄が許されない場合には,無主物たりえないこととなろう。

・そして放射性物質の管理や廃棄等の処理については,炉規法その他規則で定められているが,所有権放棄を認めない旨の規定は無さそうなので,観念的には所有権放棄も不可能ではないようだが微妙。もっとも,後述のとおり,飛散した放射性物質の所有権の帰属の問題と物権的妨害排除請求権の成立とは無関係と思われるので,あまり意味のない論点ではなかろうか。


〔附合〕
・不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する(民法242条本文)。
・一般に,不動産に「附合」するとは,物が不動産に付着合体して独立性を失い,一般に不動産そのものとみられ,その分離復旧が社会経済的に不利益となる場合と解される。
 そもそも,民法の添付(「附合」含む。)の規定は,数個の物が結合して一個の新たな物が生じたような場合に,その所有権の帰属を決定する必要があることと,分離復旧による社会的経済的損失を防ぐ趣旨から規定されたものである。
 つまり〔無権限であったとしても〕物が付着合体して社会的経済的価値が上がったのに,もういちど無理に分離復旧してそれぞれ元の所有者に所有権を認めることは,社会的経済的損失なので,その復旧を阻止するとというのが法の趣旨である。したがって,分離復旧で物の価値が上昇するような場合には,あてはまらないのであって,放射性物質による土地の汚染をもって土地への「附合」というのは強弁にすぎるということになろうか。
・いずれにしても飛散した放射性物質の所有権の帰属の問題と物権的妨害排除請求権の成立とは無関係と思われるので,あまり意味のない論点ではなかろうか。
〔飛散した放射性物質の所有権の帰属論に意味があるとすれば,東電からの放射性物質についての物権的返還請求権の成否の問題のみではないか?〕


〔物権的妨害排除請求権との関係〕
・物権は,物を直接かつ排他的に支配する権利である。つまり物権の物に対するこの支配関係は,法的に保護され,この直接的・排他的支配という本質的内容を脅かす侵害に対しては,自力救済が禁止さている法治主義の下では,それを排除する救済手段が与えられる必要があり,それが物権的請求権である。
・そして,物権的妨害排除請求権とは,占有以外の方法によって物権の内容の実現が妨げられている場合に,その侵害の除去を求めるという請求権である。
・したがって,直接的排他的支配という物権の内容の実現が妨げられているといえるかぎり,汚染物質の所有権が現に誰に帰属しているかは問題ではなく,その妨害状態ないしその原因を誰が作出したかが重要である。
・このため結局,放射性物質の「無主物」性や「附合」の論点は,本来,ゴルフ場側の物権的請求権の成否とは直接関係がないはずである。
〔せいぜい,その汚染物質の所有権の帰属主体なら,妨害状態を作出した者であると当然に推定が及ぶという程度であって,現に妨害状態が作られた時点で,妨害原因物の所有者でなければ,妨害排除請求を受けないという論理的関係はない。〕


〔物権的妨害排除請求権の成否〕
・同請求権の成否との関係では,ゴルフ場の敷地,施設の所有権に基づく直接的排他的支配がその放射性物質汚染によって脅かされているかが問題となろう。
 ごく微量の汚染で,人が入ってプレーしても,全く害がないというなら,直接的排他的支配の「妨害」がないとして,物権的妨害排除請求権の成立自体が否定されるかもしれない。〔汚染の程度の除染請求の関係については,以前に論じた。〕
 さらにもう1つ,妨害が侵害者の故意・過失によらない場合にも〔今回の事故は不明であるが〕,その侵害者の費用において妨害除去をするよう請求することができるのかという問題もある。


〔物権的妨害排除請求権の行使の可否〕
・物権的妨害排除請求権が,観念的にゴルフ場側の権利として認められたとして,それを現に行使することができるのかという問題がある。
 つまり,権利として観念できるが,現実に除染が不可能である場合には,〔少なくとも本案の結論が出ていない仮処分申立事件においては〕裁判所は不可能を強いることはできないとして,権利行使自体が否定されるかもしない〔権利濫用?、請求内容の不明確性?〕。
 なお,この場合の「除染不可能性」については,物理的に不可能であること,法令上私企業に不可能であること,〔経済的に不可能であることなど?〕,いくらか考えられる。
 そして,現に除染が全く不可能ならば,金銭賠償による満足以外は得られないことなるのかもしれない。

〔請求する行為内容の不明確性〕
最近は、放射性物質の除染が簡単なものでないことが報道されるようになって、一体どうやって除染するのかという、除染作業の内容そのものが問題とされるようになっている。
 運動場に丸太をばらまいたような事案なら、妨害排除として請求する内容は、「丸太をどけろ」というものではっきりしているだろうが、放射性物質による汚染の場合、義務者に具体的にどのような行為をせよと請求するのか、その内容が不明確であるということから、請求権の成立ないしその行使が否定される可能性はある。


※結局,「除染」というものが物理的に可能で,法令上の問題もなく,その具体的行為内容がある程度明確な場合には,東電側に除染義務が認められて当然だろう。ただし,その除染の費用が,汚染された不動産に関係する財産的損害を大幅に上回るような場合には,以前にも触れた除染費用と賠償額との関係が問題となるかもしれない。



テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

2011-11-30 : ・土地建物,土壌等の汚染 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・土地建物,土壌等の汚染 その7 放射性物質汚染対処特別措置法 条文

・土地建物,土壌等の汚染 その7 放射性物質汚染対処特別措置法


官報 平成23年8月30日付(特別号外 第42号)
http://kanpou.npb.go.jp/20110830/20110830t00042/20110830t000420000f.html
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平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法


目次
第一章 総則(第一条-第六条)
第二章 基本方針(第七条)
第三章 監視及び測定の実施(第八条)
第四章 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理及び除染等の措置等
 第一節 関係原子力事業者の措置等(第九条・第十条)
 第二節 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理(第十一条-第二十四条)
 第三節 除染等の措置等(第二十五条-第四十二条)
第五章 費用(第四十三条-第四十五条)
第六章 雑則(第四十六条-第五十九条)
第七章 罰則(第六十条-第六十三条)
附則


第一章
総則
(目的)
第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故(以下本則において単に「事故」という。)により当該原子力発電所から放出された放射性物質(以下「事故由来放射性物質」という。)による環境の汚染が生じていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、国、地方公共団体、関係原子力事業者等が講ずべき措置について定めること等により、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「原子力事業者」とは、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二条第三号に規定する原子力事業者をいい、「関係原子力事業者」とは、事故由来放射性物質を放出した原子力事業者をいう。
2 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(土壌を除く。)をいう。
3 この法律において「土壌等の除染等の措置」とは、事故由来放射性物質により汚染された土壌、草木、工作物等について講ずる当該汚染に係る土壌、落葉及び落枝、水路等に堆積した汚泥等の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置をいう。
4 この法律において「除去土壌」とは、第二十五条第一項に規定する除染特別地域又は第三十五条第一項に規定する除染実施区域に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた土壌をいう。
5 この法律において「水道事業者」又は「水道用水供給事業者」とは、それぞれ水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第五項に規定する水道事業者又は水道用水供給事業者をいい、「水道施設」とは、同条第八項に規定する水道施設をいう。
6 この法律において「公共下水道」、「流域下水道」、「公共下水道管理者」、「発生汚泥等」及び「流域下水道管理者」の意義は、それぞれ下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第三号及び第四号、第四条第一項、第二十一条の二第一項並びに第二十五条の三第一項に規定する当該用語の意義による。
7 この法律において「工業用水道事業者」とは、工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第五項に規定する工業用水道事業者をいい、「工業用水道施設」とは、同条第六項に規定する工業用水道施設をいう。
8 この法律において「一般廃棄物」、「特別管理一般廃棄物」、「産業廃棄物」、「特別管理産業廃棄物」、「一般廃棄物処理基準」、「特別管理一般廃棄物処理基準」、「一般廃棄物処理施設」、「産業廃棄物処理基準」、「特別管理産業廃棄物処理基準」及び「産業廃棄物処理施設」の意義は、それぞれ廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第二項から第五項まで、第六条の二第二項及び第三項、第八条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項並びに第十五条第一項に規定する当該用語の意義による。
9 この法律において「農用地」とは、耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地をいう。

(国の責務)
第三条 国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、必要な措置を講ずるものとする。

(地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国の施策への協力を通じて、当該地域の自然的社会的条件に応じ、適切な役割を果たすものとする。

(原子力事業者の責務)
第五条 関係原子力事業者は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、誠意をもって必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力しなければならない。
2 関係原子力事業者以外の原子力事業者は、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(国民の責務)
第六条 国民は、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力するよう努めなければならない。


第二章 基本方針
第七条 環境大臣は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策を適正に策定し、及び実施するため、最新の科学的知見に基づき、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 事故由来放射性物質による環境の汚染への対処の基本的な方向
 二 事故由来放射性物質による環境の汚染の状況についての監視及び測定に関する基本的事項
 三 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理に関する基本的事項
 四 土壌等の除染等の措置に関する基本的事項
 五 除去土壌の収集、運搬、保管及び処分に関する基本的事項
 六 その他事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する重要事項
3 環境大臣は、第一項の規定により基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 環境大臣は、基本方針につき第一項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 第一項及び前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。


第三章 監視及び測定の実施
第八条 国は、事故由来放射性物質による環境の汚染の状況を把握するための統一的な監視及び測定の体制を速やかに整備するとともに、自ら監視及び測定を実施し、その結果を適切な方法により随時公表するものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担及び相互の協力の下、事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について監視及び測定を実施し、その結果を適切な方法により随時公表するよう努めるものとする。


第四章 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理及び除染等の措置等
第一節 関係原子力事業者の措置等
(関係原子力事業者による廃棄物の処理等)
第九条 事故に係る原子力事業所内の廃棄物の処理並びに土壌等の除染等の措置及びこれに伴い生じた土壌の処理並びに事故により当該原子力事業所外に飛散したコンクリートの破片その他の廃棄物の処理は、次節及び第三節の規定にかかわらず、関係原子力事業者が行うものとする。

(関係原子力事業者による協力措置)
第十条 関係原子力事業者は、この法律に基づく措置が的確かつ円滑に行われるようにするため、専門的知識及び技術を有する者の派遣、当該措置を行うために必要な放射線障害防護用器具その他の資材又は機材であって環境省令で定めるものの貸与その他必要な措置(以下「協力措置」という。)を講じなければならない。
2 国又は地方公共団体は、この法律に基づく措置が的確かつ円滑に行われるようにするため必要があると認めるときは、環境省令で定めるところにより、当該関係原子力事業者に対し、協力措置を講ずることを要請することができる。
3 地方公共団体は、前項の規定による要請を受けた関係原子力事業者が当該要請に応じないときは、その旨を環境大臣に通知することができる。
4 環境大臣は、第二項の規定による要請を受けた関係原子力事業者が正当な理由がなくてその要請に係る協力措置を講じていないと認めるときは、当該要請を受けた関係原子力事業者に対し、当該協力措置を講ずべきことを勧告することができる。
5 環境大臣は、前項の規定による勧告を受けた関係原子力事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

第二節 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理
(汚染廃棄物対策地域の指定)
第十一条 環境大臣は、その地域内において検出された放射線量等からみてその地域内にある廃棄物が特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染されているおそれがあると認められることその他の事情から国がその地域内にある廃棄物の収集、運搬、保管及び処分を実施する必要がある地域として環境省令で定める要件に該当する地域を、汚染廃棄物対策地域として指定することができる。
2 環境大臣は、汚染廃棄物対策地域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。
3 環境大臣は、汚染廃棄物対策地域を指定したときは、遅滞なく、環境省令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、関係地方公共団体の長に通知しなければならない。
4 都道府県知事又は市町村長は、当該都道府県又は市町村の区域内の一定の地域で第一項の環境省令で定める要件に該当するものを、汚染廃棄物対策地域として指定すべきことを環境大臣に対し要請することができる。

(汚染廃棄物対策地域の区域の変更等)
第十二条 環境大臣は、汚染廃棄物対策地域の指定の要件となった事実の変更により必要が生じたときは、当該汚染廃棄物対策地域の区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による汚染廃棄物対策地域の区域の変更又は汚染廃棄物対策地域の指定の解除について準用する。

(対策地域内廃棄物処理計画)
第十三条 環境大臣は、汚染廃棄物対策地域を指定したときは、当該汚染廃棄物対策地域内にある廃棄物(当該廃棄物が当該汚染廃棄物対策地域外へ搬出された場合にあっては当該搬出された廃棄物を含み、環境省令で定めるものを除く。以下「対策地域内廃棄物」という。)の適正な処理を行うため、遅滞なく、対策地域内廃棄物の処理に関する計画(以下「対策地域内廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
2 対策地域内廃棄物処理計画においては、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 対策地域内廃棄物の量及び処理量の見込み
 二 対策地域内廃棄物処理計画の目標
 三 前号の目標を達成するために必要な措置に関する基本的事項
 四 その他対策地域内廃棄物の適正な処理に関し必要な事項
3 環境大臣は、対策地域内廃棄物処理計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、対策地域内廃棄物処理計画を定めたときは、遅滞なく、これを公告するとともに、関係地方公共団体の長に通知しなければならない。

(対策地域内廃棄物処理計画の変更)
第十四条 環境大臣は、汚染廃棄物対策地域の区域の変更により、又は対策地域内廃棄物の事故由来放射性物質による汚染の状況の変動等により必要が生じたときは、対策地域内廃棄物処理計画を変更することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による対策地域内廃棄物処理計画の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。

(国による対策地域内廃棄物の処理の実施)
第十五条 国は、対策地域内廃棄物処理計画に従って、対策地域内廃棄物の収集、運搬、保管及び処分をしなければならない。

(水道施設等における廃棄物の調査)
第十六条 次の各号に掲げる者は、環境省令で定めるところにより、当該各号に定める廃棄物の事故由来放射性物質による汚染の状況について、環境省令で定める方法により調査し、その結果を環境大臣に報告しなければならない。
 一 水道施設であって環境省令で定める要件に該当するものを管理する水道事業者又は水道用水供給事業者 当該水道施設から生じた汚泥等の堆積物その他の環境省令で定めるもの
 二 公共下水道であって環境省令で定める要件に該当するものを管理する公共下水道管理者又は流域下水道であって環境省令で定める要件に該当するものを管理する流域下水道管理者 当該公共下水道又は当該流域下水道に係る発生汚泥等
 三 工業用水道施設であって環境省令で定める要件に該当するものを管理する工業用水道事業者 当該工業用水道施設から生じた汚泥等の堆積物その他の環境省令で定めるもの
 四 第二十四条第一項に規定する特定一般廃棄物処理施設である焼却施設の設置者(市町村が廃棄物処理法第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために設置する第二十四条第一項に規定する特定一般廃棄物処理施設である焼却施設にあっては、管理者)又は同条第二項に規定する特定産業廃棄物処理施設である焼却施設の設置者 当該焼却施設から生じたばいじん及び焼却灰その他の燃え殻
 五 集落排水施設であって環境省令で定める要件に該当するものを管理する者 当該集落排水施設から生じた汚泥等の堆積物その他の環境省令で定めるもの
2 環境大臣は、前項各号に掲げる者が同項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、環境省令で定めるところにより、その者に対し、その報告を行い、又はその報告の内容を是正すべきことを命ずることができる。

(特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の指定等)
第十七条 環境大臣は、前条第一項の規定による調査の結果、同項各号に定める廃棄物の事故由来放射性物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、当該廃棄物を特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染された廃棄物として指定するものとする。
2 前条第一項各号に掲げる者は、当該各号に定める廃棄物であって前項の規定による指定に係るものが、国、国の委託を受けて当該廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を行う者その他第四十八条第一項の環境省令で定める者に引き渡されるまでの間、環境省令で定める基準に従い、これを保管しなければならない。

(特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の指定の申請)
第十八条 その占有する廃棄物の事故由来放射性物質による汚染の状況について調査した結果、当該廃棄物の事故由来放射性物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと思料する者(関係原子力事業者を除く。)は、環境省令で定めるところにより、環境大臣に対し、当該廃棄物について前条第一項の規定による指定をすることを申請することができる。
2 前項の申請をする者は、環境省令で定めるところにより、同項の申請に係る廃棄物の事故由来放射性物質による汚染の状況の調査(以下この条において「申請に係る調査」という。)の方法及び結果その他環境省令で定める事項を記載した申請書に、環境省令で定める書類を添付して、これを環境大臣に提出しなければならない。
3 環境大臣は、第一項の申請があった場合において、申請に係る調査が環境省令で定める方法により行われたものであり、かつ、当該廃棄物の事故由来放射性物質による汚染状態が同項の環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、当該申請に係る廃棄物について、前条第一項の規定による指定をすることができる。この場合において、当該申請に係る調査は、第十六条第一項の規定による調査とみなす。
4 環境大臣は、第一項の申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該申請をした者に対し、申請に係る調査に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、当該申請に係る廃棄物が保管されている場所に立ち入り、当該申請に係る調査の実施状況を検査させることができる。
5 前条第二項の規定は、第一項の申請をした者について準用する。この場合において、
同条第二項中「当該各号に定める」とあるのは「当該申請に係る」と、「前項」とあるのは「第十七条第一項」と読み替えるものとする。

(国による指定廃棄物の処理の実施)
第十九条 国は、第十七条第一項の規定による指定に係る廃棄物(以下「指定廃棄物」という。)の収集、運搬、保管(同条第二項(前条第五項において準用する場合を含む。)の規定による保管を除く。次条、第四十八条第一項、第四十九条第三項、第五十条第三項、第五十一条第二項及び第六十条第一項第三号において同じ。)及び処分をしなければならない。

(特定廃棄物の処理の基準)
第二十条 対策地域内廃棄物又は指定廃棄物(以下「特定廃棄物」という。)の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。

(廃棄物処理法の適用関係)
第二十一条 対策地域内廃棄物であって事故由来放射性物質により汚染されていないものについては、廃棄物処理法の規定は、適用しない。
第二十二条 廃棄物処理法第二条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「汚染された物」とあるのは、「汚染された物(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)第一条に規定する事故由来放射性物質によつて汚染された物(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)又は放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)の規定に基づき廃棄される物、放射性物質汚染対処特措法第十三条第一項に規定する対策地域内廃棄物、放射性物質汚染対処特措法第十九条に規定する指定廃棄物その他環境省令で定める物を除く。)を除く。)」とする。

(特定一般廃棄物等の処理の基準)
第二十三条 前条の規定により読み替えて適用される廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物(一般廃棄物に該当するものに限る。)であって、事故由来放射性物質により汚染され、又はそのおそれがあるもの(環境省令で定めるものに限る。以下「特定一般廃棄物」という。)の処理を行う者(一般廃棄物処理基準(特別管理一般廃棄物にあっては、特別管理一般廃棄物処理基準)が適用される者に限る。)は、当該基準のほか、環境省令で定める基準に従い、特定一般廃棄物の処理を行わなければならない。
2 前条の規定により読み替えて適用される廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物(産業廃棄物に該当するものに限る。)であって、事故由来放射性物質により汚染され、又はそのおそれがあるもの(環境省令で定めるものに限る。以下「特定産業廃棄物」という。)の処理を行う者(産業廃棄物処理基準(特別管理産業廃棄物にあっては、特別管理産業廃棄物処理基準)が適用される者に限る。)は、当該基準のほか、環境省令で定める基準に従い、特定産業廃棄物の処理を行わなければならない。
3 特定一般廃棄物を輸出しようとする者に係る廃棄物処理法第十条の規定(この規定に係る罰則を含む。)の適用については、同条第一項第三号中「特別管理一般廃棄物処理基準)」とあるのは、「特別管理一般廃棄物処理基準)及び平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十三条第一項の環境省令で定める基準」とする。
4 特定産業廃棄物を輸出しようとする者に係る廃棄物処理法第十五条の四の七の規定(この規定に係る罰則を含む。)の適用については、同条第一項中「同条第一項第四号中「市町村」」とあるのは「同条第一項中「一般廃棄物」とあるのは「産業廃棄物」と、同条第三号中「一般廃棄物処理基準」とあるのは「産業廃棄物処理基準及び平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十三条第二項の環境省令で定める基準(以下この号において「特別処理基準」という。)」と、「特別管理一般廃棄物」とあるのは「特別管理産業廃棄物」と、「特別管理一般廃棄物処理基準」とあるのは「特別管理産業廃棄物処理基準及び特別処理基準」と、同項第四号中「市町村」」と、「読み替えるほか、同条の規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める」とあるのは「、同条第二項第一号中「一般廃棄物」とあるのは「産業廃棄物」と読み替えるものとする」とする。
5 特定一般廃棄物又は特定産業廃棄物を焼却する場合に係る廃棄物処理法第十六条の二の規定(この規定に係る罰則を含む。)の適用については、同条第一号中「特別管理産業廃棄物処理基準」とあるのは、「特別管理産業廃棄物処理基準及び平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十三条第一項又は第二項の環境省令で定める基準」とする。
6 第一項に規定する者が特定一般廃棄物の処理を行う場合に係る廃棄物処理法第十九条の三及び第十九条の四の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、廃棄物処理法第十九条の三第一号中「特別管理一般廃棄物処理基準)」とあるのは「特別管理一般廃棄物処理基準)又は平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十三条第一項の環境省令で定める基準(第三号及び次条第一項において「特別処理基準」という。)」と、同条第三号中「特別管理一般廃棄物処理基準)」とあるのは「特別管理一般廃棄物処理基準)若しくは特別処理基準」と、廃棄物処理法第十九条の四第一項中「特別管理一般廃棄物処理基準)」とあるのは「特別管理一般廃棄物処理基準)又は特別処理基準」とする。
7 第二項に規定する者が特定産業廃棄物の処理を行う場合に係る廃棄物処理法第十九条の三及び第十九条の五の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、廃棄物処理法第十九条の三第二号中「産業廃棄物処理基準」とあるのは「産業廃棄物処理基準若しくは平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十三条第二項の環境省令で定める基準(以下この条及び第十九条の五第一項において「特別処理基準」という。)」と、「特別管理産業廃棄物処理基準」とあるのは「特別管理産業廃棄物処理基準若しくは特別処理基準」と、同条第三号中「特別管理産業廃棄物処理基準)」とあるのは「特別管理産業廃棄物処理基準)若しくは特別処理基準」と、廃棄物処理法第十九条の五第一項中「産業廃棄物処理基準」とあるのは「産業廃棄物処理基準若しくは特別処理基準」と、「特別管理産業廃棄物処理基準」とあるのは「特別管理産業廃棄物処理基準若しくは特別処理基準」とする。

(特定一般廃棄物処理施設等の維持管理の基準)
第二十四条 一般廃棄物処理施設であって環境省令で定める要件に該当するもの(以下「特定一般廃棄物処理施設」という。)の設置者(市町村が廃棄物処理法第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために設置する特定一般廃棄物処理施設にあっては、管理者。第三項において同じ。)は、当分の間、廃棄物処理法第八条の三第一項の環境省令で定める技術上の基準のほか、環境省令で定める技術上の基準に従い、当該特定一般廃棄物処理施設の維持管理をしなければならない。
2 産業廃棄物処理施設であって環境省令で定める要件に該当するもの(以下「特定産業廃棄物処理施設」という。)の設置者は、当分の間、廃棄物処理法第十五条の二の三第一項の環境省令で定める技術上の基準のほか、環境省令で定める技術上の基準に従い、当該特定産業廃棄物処理施設の維持管理をしなければならない。
3 特定一般廃棄物処理施設の設置者が当該特定一般廃棄物処理施設の維持管理を行う場合に係る廃棄物処理法第九条の二第一項第一号及び第九条の三第十項の規定(廃棄物処理法第九条の二の規定に係る罰則を含む。)の適用については、これらの規定中「技術上の基準」とあるのは、「技術上の基準(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十四条第一項の環境省令で定める技術上の基準を含む。)」とする。
4 特定産業廃棄物処理施設の設置者が当該特定産業廃棄物処理施設の維持管理を行う場合に係る廃棄物処理法第十五条の二の七第一号の規定(この規定に係る罰則を含む。)の適用については、同号中「技術上の基準」とあるのは、「技術上の基準(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第二十四条第二項の環境省令で定める技術上の基準を含む。)」とする。

第三節 除染等の措置等
(除染特別地域の指定)
第二十五条 環境大臣は、その地域及びその周辺の地域において検出された放射線量等からみてその地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染が著しいと認められることその他の事情から国が土壌等の除染等の措置並びに除去土壌の収集、運搬、保管及び処分(以下「除染等の措置等」という。)を実施する必要がある地域として環境省令で定める要件に該当する地域を、除染特別地域として指定することができる。
2 環境大臣は、前項の環境省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 環境大臣は、除染特別地域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、除染特別地域を指定したときは、遅滞なく、環境省令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、関係地方公共団体の長に通知しなければならない。
5 都道府県知事又は市町村長は、当該都道府県又は市町村の区域内の一定の地域で第一項の環境省令で定める要件に該当するものを、除染特別地域として指定すべきことを環境大臣に対し要請することができる。

(除染特別地域の区域の変更等)
第二十六条 環境大臣は、除染特別地域の指定の要件となった事実の変更により必要が生じたときは、当該除染特別地域の区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による除染特別地域の区域の変更又は除染特別地域の指定の解除について準用する。

(除染特別地域内の汚染の状況の調査測定)
第二十七条 国は、除染特別地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について調査測定をすることができる。
2 国は、前項の調査測定をしたときは、その結果を公表しなければならない。
3 国の行政機関の長は、事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について調査測定をするため、必要があるときは、その必要の限度において、その職員に、土地又は工作物に立ち入り、土壌その他の物につき調査測定をさせ、又は調査測定のため必要な最小量に限り土壌その他の物を無償で収去させることができる。
4 国の行政機関の長は、その職員に前項の規定による立入り、調査測定又は収去をさせようとするときは、あらかじめ、土地又は工作物の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、過失がなくて当該土地若しくは工作物の所有者等又はその所在が知れないときは、この限りでない。
5 第三項の規定による立入り、調査測定又は収去をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
6 土地又は工作物の所有者等は、正当な理由がない限り、第三項の規定による立入り、調査測定又は収去を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。

(特別地域内除染実施計画)
第二十八条 環境大臣は、除染特別地域を指定したときは、当該除染特別地域について、除染等の措置等を総合的かつ計画的に講ずるため、当該除染特別地域に係る除染等の措置等の実施に関する計画(以下「特別地域内除染実施計画」という。)を定めなければならない。
2 特別地域内除染実施計画においては、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 除染等の措置等の実施に関する方針
 二 特別地域内除染実施計画の目標
 三 前号の目標を達成するために必要な措置に関する基本的事項
 四 その他除染特別地域に係る除染等の措置等の実施に関し必要な事項
3 環境大臣は、特別地域内除染実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、特別地域内除染実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを公告するとともに、関係地方公共団体の長に通知しなければならない。

(特別地域内除染実施計画の変更)
第二十九条 環境大臣は、除染特別地域の区域の変更により、又は除染特別地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染の状況の変動等により必要が生じたときは、特別地域内除染実施計画を変更することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による特別地域内除染実施計画の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。

(国による特別地域内除染実施計画に基づく除染等の措置等の実施)
第三十条 国は、除染特別地域について、特別地域内除染実施計画に従って、除染等の措置等を実施しなければならない。
2 特別地域内除染実施計画に基づく土壌等の除染等の措置は、関係人(土壌等の除染等の措置を実施しようとする土地又はこれに存する工作物、立木その他土地に定着する物件(以下「土地等」という。)に関し土壌等の除染等の措置の実施の妨げとなる権利を有する者をいう。以下同じ。)の同意を得て、実施しなければならない。
3 関係人は、特別地域内除染実施計画が円滑に実施されるよう、特別地域内除染実施計画に基づく土壌等の除染等の措置に協力しなければならない。
4 国は、特別地域内除染実施計画に基づく土壌等の除染等の措置を実施しようとする場合において、過失がなくて関係人又はその所在が知れないため、第二項の同意を得ることができないときは、当該土壌等の除染等の措置を実施する土地等、当該土壌等の除染等の措置の内容その他環境省令で定める事項を官報に掲載することができる。
5 前項の掲載があったときは、関係人は、その掲載の日から三月を経過する日までの間に、環境省令で定めるところにより、国に対し、当該土壌等の除染等の措置についての意見書を提出することができる。
6 第四項の掲載があった場合において、前項に規定する期間が経過する日までの間に、関係人から当該土壌等の除染等の措置について異議がある旨の同項の意見書の提出がなかったときは、当該土壌等の除染等の措置を実施することについて第二項の同意があったものとみなす。
7 国は、第二項の同意を得ることができない場合又は第五項の規定により関係人から当該土壌等の除染等の措置について異議がある旨の同項の意見書の提出があった場合において、当該土壌等の除染等の措置が実施されないことにより、当該土地等の事故由来放射性物質による汚染に起因して当該土地又はその周辺の土地において人の健康に係る被害が生ずるおそれが著しいと認めるときは、当該汚染による人の健康に係る被害を防止するため必要な限度において、第二項の同意を得ることなく当該土壌等の除染等の措置を実施することができる。

(除染特別地域内の土地等に係る除去土壌等の保管)
第三十一条 国は、除染特別地域内の土地等に係る除去土壌等(除去土壌及び土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物をいう。以下同じ。)を、やむを得ず当該除去土壌等に係る土壌等の除染等の措置を実施した土地において保管する必要があると認めるときは、当分の間、当該土地の所有者等(これらの者から権利を承継した者又は権利の設定を受けて、新たに当該土地の所有者等となった者を含む。第五項並びに第三十九条第一項及び第七項において同じ。)に対し、当該土地において当該除去土壌等を保管させることができる。ただし、当該土地が警戒区域設定指示(事故に関して原子力災害対策特別措置法第十五条第三項又は第二十条第三項の規定により内閣総理大臣又は原子力災害対策本部長(同法第十七条第一項に規定する原子力災害対策本部長をいう。)が市町村長に対して行った同法第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第六十三条第一項の規定による警戒区域の設定を行うことの指示をいう。)の対象区域であること、過失がなくて当該土地の所有者等が知れないこと等により当該土地の所有者等に当該除去土壌等を保管させることが困難な場合には、国が、当該土地において当該除去土壌等を保管することができる。
2 国は、前項の規定により、土地の所有者等に当該土地等に係る除去土壌等を保管させ、又は自らが当該土地において除去土壌等を保管しようとするときは、あらかじめ、当該土地の所有者等にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、過失がなくて当該土地の所有者等又はその所在が知れないときは、この限りでない。
3 環境大臣は、環境省令で定めるところにより、除染特別地域内の土地等に係る除去土壌等の保管に関する台帳を作成し、これを管理しなければならない。
4 環境大臣は、台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
5 除染特別地域内の土地等に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物(第二十二条の規定により読み替えて適用される廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物のうち産業廃棄物に該当するものに限る。)を当該土壌等の除染等の措置が実施された土地において当該土地の所有者等又は国が保管する場合には、廃棄物処理法第十二条第二項(特別管理産業廃棄物にあっては、第十二条の二第二項)の規定は、適用しない。

(汚染状況重点調査地域の指定)
第三十二条 環境大臣は、その地域及びその周辺の地域において検出された放射線量等からみて、その地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染状態が環境省令で定める要件に適合しないと認められ、又はそのおそれが著しいと認められる場合には、その地域をその地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な地域(除染特別地域を除く。以下「汚染状況重点調査地域」という。)として指定するものとする。
2 環境大臣は、前項の環境省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 環境大臣は、汚染状況重点調査地域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、汚染状況重点調査地域を指定したときは、遅滞なく、環境省令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、関係地方公共団体の長に通知しなければならない。
5 都道府県知事又は市町村長は、当該都道府県又は市町村の区域内の一定の地域で第一項の環境省令で定める要件に適合しないと認められるものを、汚染状況重点調査地域として指定すべきことを環境大臣に対し要請することができる。

(汚染状況重点調査地域の区域の変更等)
第三十三条 環境大臣は、汚染状況重点調査地域の指定の要件となった事実の変更により必要が生じたときは、当該汚染状況重点調査地域の区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による汚染状況重点調査地域の区域の変更又は汚染状況重点調査地域の指定の解除について準用する。

(汚染状況重点調査地域内の汚染の状況の調査測定)
第三十四条 都道府県知事又は政令で定める市町村の長(以下「都道府県知事等」という。)は、環境省令で定める方法により、汚染状況重点調査地域内の事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について調査測定をすることができる。
2 都道府県知事等は、前項の調査測定をしたときは、その結果を公表するよう努めなければならない。
3 都道府県知事等は、事故由来放射性物質による環境の汚染の状況について調査測定をするため、必要があるときは、その必要の限度において、その職員に、土地又は工作物に立ち入り、土壌その他の物につき調査測定をさせ、又は調査測定のため必要な最小量に限り土壌その他の物を無償で収去させることができる。
4 都道府県知事等は、その職員に前項の規定による立入り、調査測定又は収去をさせようとするときは、あらかじめ、土地又は工作物の所有者等にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、過失がなくて当該土地若しくは工作物の所有者等又はその所在が知れないときは、この限りでない。
5 第三項の規定による立入り、調査測定又は収去をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
6 土地又は工作物の所有者等は、正当な理由がない限り、第三項の規定による立入り、調査測定又は収去を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。

(除染実施区域に係る除染等の措置等の実施者)
第三十五条 次条第一項に規定する除染実施計画の対象となる区域として当該除染実施計画に定められる区域(以下「除染実施区域」という。)内の土地であって次の各号に掲げるもの及びこれに存する工作物、立木その他土地に定着する物件に係る除染等の措置等は、当該各号に定める者が実施するものとする。
 一 国が管理する土地 国
 二 都道府県が管理する土地 当該都道府県
 三 市町村が管理する土地 当該市町村
 四 環境省令で定める者が管理する土地 当該環境省令で定める者
 五 前各号に掲げる土地以外の土地 当該土地が所在する市町村
2 前項の規定にかかわらず、除染実施区域内の土地であって同項第五号に掲げるもののうち農用地又はこれに存する工作物、立木その他土地に定着する物件にあっては、当該農用地が所在する市町村の要請により、当該農用地が所在する都道府県が除染等の措置等を実施することができる。
3 前二項の規定にかかわらず、除染実施区域内の土地であって第一項各号に掲げるもの又はこれに存する工作物、立木その他土地に定着する物件にあっては、国、都道府県、市町村、同項第四号の環境省令で定める者又は当該土地等の所有者等が、当該各号に定める者との合意により、除染等の措置等を実施することができる。

(除染実施計画)
第三十六条 都道府県知事等は、汚染状況重点調査地域内の区域であって、第三十四条第一項の規定による調査測定の結果その他の調査測定の結果により事故由来放射性物質による環境の汚染状態が環境省令で定める要件に適合しないと認めるものについて、除染等の措置等を総合的かつ計画的に講ずるため、当該都道府県又は市町村内の当該区域に係る除染等の措置等の実施に関する計画(以下「除染実施計画」という。)を定めるものとする。
2 除染実施計画においては、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 除染等の措置等の実施に関する方針
 二 除染実施計画の対象となる区域
 三 除染等の措置等の実施者及び当該実施者が除染等の措置等を実施する区域
 四 前号に規定する区域内の土地の利用上の区分等に応じて講ずべき土壌等の除染等の措置
 五 土壌等の除染等の措置の着手予定時期及び完了予定時期
 六 除去土壌の収集、運搬、保管及び処分に関する事項
 七 その他環境省令で定める事項
3 都道府県知事等は、除染実施計画に定められるべき事項について調査審議するとともに、当該除染実施計画の効果的かつ円滑な実施を図るため、当該除染実施計画において除染等の措置等の実施者として定められることが見込まれる国、都道府県、市町村、前条第一項第四号の環境省令で定める者その他都道府県知事等が必要と認める者を含む者で組織される協議会を置くことができる。
4 都道府県知事等は、除染実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、前項に規定する協議会を設置している場合にあってはその意見を、その他の場合にあっては当該除染実施計画において除染等の措置等の実施者として定められることが見込まれる者その他の関係者の意見を聴くとともに、環境大臣に協議しなければならない。
5 都道府県知事等は、除染実施計画を定めたときは、遅滞なく、環境省令で定めるところにより、これを公告するとともに、関係市町村長に通知しなければならない。

(除染実施計画の変更)
第三十七条 都道府県知事等は、除染実施区域内の事故由来放射性物質による環境の汚染の状況の変動等により必要が生じたときは、除染実施計画を変更することができる。
2 前条第四項及び第五項の規定は、前項の規定による除染実施計画の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。

(除染実施計画に基づく除染等の措置等の実施)
第三十八条 第三十六条第二項第三号に規定する除染等の措置等の実施者(以下「除染実施者」という。)は、除染実施計画に従って、除染等の措置等を実施しなければならない。
2 除染実施計画に基づく土壌等の除染等の措置は、関係人の同意を得て、実施しなければならない。
3 関係人は、除染実施計画が円滑に実施されるよう、除染実施計画に基づく土壌等の除染等の措置に協力しなければならない。
4 国、都道府県又は市町村は、除染実施計画に基づく土壌等の除染等の措置を実施しようとする場合において、過失がなくて関係人又はその所在が知れないため、第二項の同意を得ることができないときは、当該土壌等の除染等の措置を実施する土地等、当該土壌等の除染等の措置の内容その他環境省令で定める事項を官報(都道府県又は市町村にあっては、当該都道府県又は市町村の公報)に掲載することができる。
5 前項の掲載があったときは、関係人は、その掲載の日から三月を経過する日までの間に、環境省令で定めるところにより、同項の掲載をした国、都道府県又は市町村に対し、当該土壌等の除染等の措置についての意見書を提出することができる。
6 第四項の掲載があった場合において、前項に規定する期間が経過する日までの間に、関係人から当該土壌等の除染等の措置について異議がある旨の同項の意見書の提出がなかったときは、当該土壌等の除染等の措置を実施することについて第二項の同意があったものとみなす。
7 国、都道府県又は市町村は、第二項の同意を得ることができない場合又は第五項の規定により関係人から当該土壌等の除染等の措置について異議がある旨の同項の意見書の提出があった場合において、当該土壌等の除染等の措置が実施されないことにより、当該土地等の事故由来放射性物質による汚染に起因して当該土地又はその周辺の土地において人の健康に係る被害が生ずるおそれが著しいと認めるときは、当該汚染による人の健康に係る被害を防止するため必要な限度において、第二項の同意を得ることなく当該土壌等の除染等の措置を実施することができる。
8 除染実施計画を定めた都道府県知事等は、環境省令で定めるところにより、除染実施者に対し、当該除染実施計画の進{状況について報告を求めることができる。

(除染実施区域内の土地等に係る除去土壌等の保管)
第三十九条 除染実施者(国、都道府県又は市町村に限る。以下この項及び次項において同じ。)は、除染実施区域内の土地等に係る除去土壌等を、やむを得ず当該除去土壌等に係る土壌等の除染等の措置を実施した土地において保管する必要があると認めるときは、当分の間、当該土地の所有者等に対し、当該土地において当該除去土壌等を保管させることができる。ただし、過失がなくて当該土地の所有者等が知れないこと等により当該土地の所有者等に当該除去土壌等を保管させることが困難な場合には、当該除染実施者が、当該土地において当該除去土壌等を保管することができる。
2 除染実施者は、前項の規定により、土地の所有者等に当該土地等に係る除去土壌等を保管させ、又は自らが当該土地において除去土壌等を保管しようとするときは、あらかじめ、当該土地の所有者等にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、過失がなくて当該土地の所有者等又はその所在が知れないときは、この限りでない。
3 除染実施者は、除去土壌等を保管したとき、又は第一項の規定により土地の所有者等に除去土壌等を保管させたときは、遅滞なく、環境省令で定めるところにより、当該土壌等の除染等の措置を実施した土地等に係る除染実施計画を定めた都道府県知事等に当該除去土壌等を保管した土地の所在地及び保管の状態その他環境省令で定める事項を届け出なければならない。
4 前項の規定による届出をした除染実施者は、その届出に係る事項が変更されたときは
、遅滞なく、その旨を当該届出をした都道府県知事等に届け出なければならない。
5 除染実施計画を定めた都道府県知事等は、環境省令で定めるところにより、除染実施
区域内の土地等に係る除去土壌等の保管に関する台帳を作成し、これを管理しなければならない。
6 除染実施計画を定めた都道府県知事等は、台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
7 除染実施区域内の土地等に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物(第二十二条の規定により読み替えて適用される廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物のうち産業廃棄物に該当するものに限る。)を当該土壌等の除染等の措置が実施された土地において当該土地の所有者等又は除染実施者が保管する場合には、廃棄物処理法第十二条第二項(特別管理産業廃棄物にあっては、第十二条の二第二項)の規定は、適用しない。

(土壌等の除染等の措置の基準)
第四十条 除染特別地域又は除染実施区域に係る土壌等の除染等の措置を行う者は、環境省令で定める基準に従い、当該土壌等の除染等の措置を行わなければならない。
2 除染実施区域に係る土壌等の除染等の措置を行う者は、当該土壌等の除染等の措置を委託する場合には、環境省令で定める基準に従わなければならない。
3 環境大臣は、前二項の環境省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

(除去土壌の処理の基準等)
第四十一条 除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。
2 除染実施区域に係る除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を委託する場合には、環境省令で定める基準に従わなければならない。
3 環境大臣は、前二項の環境省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 除染特別地域内又は除染実施区域内の土地等に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物(特定廃棄物を除く。)を当該土壌等の除染等の措置を実施した土地において保管する者は、環境省令で定める基準に従い、当該廃棄物の保管を行わなければならない。

(国による措置の代行)
第四十二条 国は、都道府県知事、市町村長又は環境省令で定める者から要請があり、かつ、次に掲げる事項を勘案して必要があると認められるときは、当該都道府県、市町村又は環境省令で定める者に代わって自らこの節(第三十四条、第三十六条及び第三十七条を除く。以下同じ。)に規定する措置を行うものとする。
 一 当該都道府県、市町村又は環境省令で定める者における除染等の措置等の実施体制
 二 当該除染等の措置等に関する専門的知識及び技術の必要性
2 前項の規定により国がこの節に規定する措置を行う場合においては、当該措置に関する事務を所掌する大臣は、政令で定めるところにより、同項の都道府県、市町村又は環境省令で定める者に代わってその権限を行うものとする。


第五章 費用
(財政上の措置等)
第四十三条 国は、地方公共団体が事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策を推進するために必要な費用についての財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(この法律に基づく措置の費用負担)
第四十四条 事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。
2 関係原子力事業者は、前項の措置に要する費用について請求又は求償があったときは、速やかに支払うよう努めなければならない。

(国の措置)
第四十五条 国は、第三条に規定する社会的な責任に鑑み、地方公共団体等が滞りなくこの法律に基づく措置を講ずることができ、かつ、当該措置に係る費用の支払が関係原子力事業者により円滑に行われるよう、必要な措置を講ずるものとする。


第六章 雑則
(汚染廃棄物等の投棄の禁止)
第四十六条 何人も、みだりに特定廃棄物又は除去土壌(以下「汚染廃棄物等」という。)を捨ててはならない。

(特定廃棄物の焼却の禁止)
第四十七条 何人も、特定廃棄物を焼却してはならない。ただし、国、国の委託を受けて焼却を行う者その他環境省令で定める者が第二十条の環境省令で定める基準に従って行う特定廃棄物の焼却については、この限りでない。

(業として行う汚染廃棄物等の処理の禁止)
第四十八条 国、国の委託を受けて特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を行う者その他環境省令で定める者以外の者は、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を業として行ってはならない。
2 国、都道府県、市町村、第三十五条第一項第四号の環境省令で定める者(国、都道府県、市町村又は同号の環境省令で定める者から委託を受けて除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者を含む。)その他環境省令で定める者以外の者は、除去土壌の収集、運搬(土壌等の除染等の措置が行われた土地外に搬出するものに限る。第六十条第一項第四号において同じ。)、保管又は処分を業として行ってはならない。

(報告の徴収)
第四十九条 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、関係原子力事業者に対し、第十条第一項の規定により当該関係原子力事業者が講ずべき協力措置に関し、必要な報告を求めることができる。
2 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第十七条第二項(第十八条第五項において準用する場合を含む。)の規定により指定廃棄物の保管を行う者に対し、当該保管に関し、必要な報告を求めることができる。
3 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を行った者その他の関係者に対し、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分に関し、必要な報告を求めることができる。
4 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、除染特別地域に係る除染等の措置等を行った者その他の関係者に対し、当該除染等の措置等に関し、必要な報告を求めることができる。
5 除染実施計画を定めた都道府県知事等は、この法律の施行に必要な限度において、除染実施区域に係る除染等の措置等を行った者その他の関係者に対し、当該除染等の措置等に関し、必要な報告を求めることができる。

(立入検査)
第五十条 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、関係原子力事業者の事務所、事業場その他の場所に立ち入り、第十条第一項の規定により当該関係原子力事業者が講ずべき協力措置に関し、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、第十七条第二項(第十八条第五項において準用する場合を含む。)の規定により指定廃棄物の保管を行う者の事務所、事業場その他の場所に立ち入り、当該保管に関し、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において指定廃棄物を無償で収去させることができる。
3 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特定廃棄物の収集、運搬、保管若しくは処分を行った者その他の関係者の事務所、事業場、車両、船舶その他の場所に立ち入り、特定廃棄物の収集、運搬、保管若しくは処分に関し、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において特定廃棄物を無償で収去させることができる。
4 環境大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、除染特別地域に係る除染等の措置等を行った者その他の関係者の事務所、事業場、車両、船舶その他の場所に立ち入り、当該除染等の措置等に関し、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において除去土壌等を無償で収去させることができる。
5 除染実施計画を定めた都道府県知事等は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、除染実施区域に係る除染等の措置等を行った者その他の関係者の事務所、事業場、車両、船舶その他の場所に立ち入り、当該除染等の措置等に関し、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において除去土壌等を無償で収去させることができる。
6 前各項の規定により立入り、検査又は収去をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
7 第一項から第五項までの規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(措置命令)
第五十一条 環境大臣は、第十七条第二項(第十八条第五項において準用する場合を含む。)の環境省令で定める基準に適合しない指定廃棄物の保管が行われた場合において、指定廃棄物の適正な保管を確保するため必要があると認めるときは、必要な限度において、当該保管を行った者に対し、期限を定めて、当該指定廃棄物の適正な保管のための措置その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
2 環境大臣は、第二十条の環境省令で定める基準に適合しない特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分が行われた場合において、特定廃棄物の適正な処理を確保するため必要があると認めるときは、必要な限度において、当該収集、運搬、保管又は処分を行った者(第十五条又は第十九条の規定により当該収集、運搬、保管又は処分を行った国を除く。)に対し、期限を定めて、当該特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分の方法の変更、当該特定廃棄物の適正な処理のための措置その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
3 環境大臣又は除染実施計画を定めた都道府県知事等は、第四十条第一項の環境省令で定める基準に適合しない除染特別地域又は除染実施区域に係る土壌等の除染等の措置が行われた場合において、適正な土壌等の除染等の措置を確保するため必要があると認めるときは、必要な限度において、次に掲げる者に対し、期限を定めて、当該土壌等の除染等の措置の方法の変更、適正な土壌等の除染等の措置その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
 一 当該土壌等の除染等の措置を行った者(当該土壌等の除染等の措置を行った国、都道府県又は市町村を除く。)
 二 第四十条第二項の規定に違反する委託により当該土壌等の除染等の措置が行われたときは、当該委託をした者(当該委託をした国、都道府県又は市町村を除く。)
4 環境大臣又は除染実施計画を定めた都道府県知事等は、第四十一条第一項の環境省令で定める基準に適合しない除染特別地域又は除染実施区域に係る除去土壌の収集、運搬、保管又は処分が行われた場合において、除去土壌の適正な処理を確保するため必要があると認めるときは、必要な限度において、次に掲げる者に対し、期限を定めて、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分の方法の変更、当該除去土壌の適正な処理のための措置その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
 一 当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行った者(当該除去土壌の収集、運
搬、保管又は処分を行った国、都道府県又は市町村を除く。)
 二 第四十一条第二項の規定に違反する委託により当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分が行われたときは、当該委託をした者(当該委託をした国、都道府県又は市町村を除く。)
5 環境大臣又は除染実施計画を定めた都道府県知事等は、第四十一条第四項の環境省令で定める基準に適合しない除染特別地域内又は除染実施区域内の土地等に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物(特定廃棄物を除く。)の保管が行われた場合において、当該廃棄物の適正な保管を確保するため必要があると認めるときは、必要な限度において、当該保管を行った者に対し、期限を定めて、当該廃棄物の適正な保管のための措置その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
6 前各項の規定による命令をするときは、環境省令で定める事項を記載した命令書を交付しなければならない。

(関係地方公共団体の協力)
第五十二条 国、都道府県及び市町村は、この法律に基づく措置の実施のために必要があると認めるときは、関係地方公共団体に対し、必要な協力を求めることができる。

(汚染廃棄物等の処理等の推進)
第五十三条 国は、基本方針に基づき、地方公共団体の協力を得つつ、汚染廃棄物等の処理のために必要な施設の整備その他の事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理及び除染等の措置等を適正に推進するために必要な措置を講ずるものとする。

(調査研究、技術開発等の推進等)
第五十四条 国は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策の総合的かつ効果的な実施を推進するため、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を低減するための方策等に関する調査研究、技術開発等の推進及びその成果の普及に努めなければならない。

(知識の普及等)
第五十五条 国及び地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に関し、国民の理解と協力を得るため、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響及びその影響を低減するための方策に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。

(原子力安全委員会の意見)
第五十六条 環境大臣は、第二十条、第二十三条第一項及び第二項、第二十四条第一項及び第二項、第四十条第一項並びに第四十一条第一項の環境省令の制定又は改廃をしようとするときは、あらかじめ、原子力安全委員会の意見を聴かなければならない。

(権限の委任)
第五十七条 この法律による権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。

(環境省令への委任)
第五十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、環境省令で定める。

(事務の区分)
第五十九条 第三十四条第一項から第四項まで、第三十五条第一項(第五号に係る部分に限る。)、第二項及び第三項(同条第一項第五号に係る部分に限る。)、第三十六条第一項、第四項(第三十七条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項(第三十七条第二項において準用する場合を含む。)、第三十七条第一項、第三十八条第二項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)、第四項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)、第七項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)及び第八項、第三十九条第一項から第四項まで(第三十五条第一項第五号に掲げる土地における除去土壌等の保管に係る部分に限る。)及び第五項、第四十九条第五項、第五十条第五項並びに第五十一条第三項、第四項及び第五項の規定により都道府県又は市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。


第七章 罰則
第六十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 一 第四十六条の規定に違反して、汚染廃棄物等を捨てた者
 二 第四十七条の規定に違反して、特定廃棄物を焼却した者
 三 第四十八条第一項の規定に違反して、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を業として行った者
 四 第四十八条第二項の規定に違反して、除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を業として行った者
 五 第五十一条第一項から第五項までの規定による命令に違反した者
2 前項第一号及び第二号の罪の未遂は、罰する。

第六十一条 第十六条第二項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第二十七条第六項又は第三十四条第六項の規定に違反して、第二十七条第三項又は第三十四条第三項の規定による立入り、調査測定又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
 二 第三十九条第三項又は第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者(除染実施者が国、都道府県又は市町村である場合を除く。)
 三 第四十九条第一項から第五項までの規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 四 第五十条第一項から第五項までの規定による立入り、検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者

第六十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 一 第六十条第一項第一号から第四号まで 三億円以下の罰金刑
 二 第六十条第一項第五号又は第六十一条 各本条の罰金刑
2 前項の規定により第六十条又は第六十一条の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。


附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四章第二節及び第三節、第四十六条から第四十八条まで、第四十九条(第一項を除く。)、第五十条(第一項を除く。)、第五十一条、第六十条、第六十一条、第六十二条第一号、第二号、第三号(第四十九条第一項に係る部分を除く。)及び第四号(第五十条第一項に係る部分を除く。)並びに第六十三条の規定は、平成二十四年一月一日から施行する。

(準備行為)
第二条 第十一条第一項、第二十五条第一項及び第三十二条第一項の規定による指定並びに第二十五条第一項、第三十二条第一項、第四十条第一項及び第二項並びに第四十一条第一項及び第二項の環境省令の制定並びにこれらに関し必要な手続その他の行為は、前条ただし書に規定する規定の施行前においても、第十一条、第二十五条、第三十二条、第四十条並びに第四十一条第一項から第三項までの規定の例により行うことができる。
2 第十三条第一項の対策地域内廃棄物処理計画、第二十八条第一項の特別地域内除染実施計画及び第三十六条第一項の除染実施計画の策定に関し必要な手続その他の行為は、前条ただし書に規定する規定の施行前においても、第十三条、第二十七条、第二十八条、第三十四条及び第三十六条の規定の例により行うことができる。

第三条 地方自治法の一部を次のように改正する。
別表第一に次のように加える。
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)
第三十四条第一項から第四項まで、第三十五条第一項(第五号に係る部分に限る。)、第二項及び第三項(同条第一項第五号に係る部分に限る。)、第三十六条第一項、第四項(第三十七条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項(第三十七条第二項において準用する場合を含む。)、第三十七条第一項、第三十八条第二項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)、第四項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)、第七項(第三十五条第一項第五号に係る土壌等の除染等の措置に係る部分に限る。)及び第八項、第三十九条第一項から第四項まで(第三十五条第一項第五号に掲げる土地における除去土壌等の保管に係る部分に限る。)及び第五項、第四十九条第五項、第五十条第五項並びに第五十一条第三項、第四項及び第五項の規定により都道府県又は市町村が処理することとされている事務

(土地収用法の一部改正)
第四条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第二十七号の次に次の一号を加える。
二十七の二
国が設置する平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)による汚染廃棄物等の処理施設

(検討)
第五条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

第六条 政府は、放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制の在り方その他の放射性物質に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づき、法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。

第七条 政府は、原子力発電所において事故が発生した場合における当該事故に係る原子炉、使用済燃料等に関する規制の在り方等について検討を行い、その結果に基づき、法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする。


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テーマ : 原発事故
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2011-08-30 : ・土地建物,土壌等の汚染 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・土地建物,土壌等の汚染 その6 土壌の処理等の特別措置法案に関する記事

・土地建物,土壌等の汚染 その6 土壌の処理等の特別措置法案に関する記事



※放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別特措法案骨子案
http://www.taniokachannel.com/report/recource0803_5.pdf



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毎日新聞
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110818k0000m010131000c.html
がれき処理法:26日成立へ 国が除染、処理計画

 民主、自民、公明3党は17日、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染されたがれきや土壌などの処理のための特別措置法案を、今国会で成立させることで合意した。議員立法で19日の衆院環境委員会に提案して即日採決し、衆院本会議、参院環境委での審議を経て26日の参院本会議で成立させる見通し。原発事故が原因の環境汚染に対処する初めての法律となる。

 法案名は「原発事故により放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する特措法」。汚染の著しい地域を国が「特別地域」に指定し、国が除染することや、放射線で汚染されたがれきなどの処理計画を国が策定すると定めている。処理費用は原子力損害賠償法に基づいて主に東電が負担する。被災自治体支援のため、国が必要な措置を講ずることも定めた。

 民自公3党の実務者が17日の協議で最終合意。18日から他党にも法案の内容を説明し、賛成するよう働きかける。【田中成之】

毎日新聞 2011年8月18日 2時30分(最終更新 8月18日 9時54分)


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毎日新聞
http://mainichi.jp/select/today/news/20110816k0000m010112000c.html
放射性物質:高濃度土壌、国が除染…3党が特措法案提案へ
2011年8月16日 2時34分 更新:8月16日 9時36分

 民主、自民、公明3党などが、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染されたがれきや土壌の処理に向けてまとめた特別措置法案の骨子案が15日、判明した。土壌汚染が著しい地域を「特別地域」に指定し、国が除染を行う。議員立法で各党が賛成する「委員長提案」として提案し、26日の参院本会議での成立を目指す。

 民主党が3日にまとめた原案では特措法に基づく処理費用を東電に「請求するのを妨げない」としていたが、骨子案では原子力損害賠償法に基づき東電の「負担の下に実施する」と明記、東電により厳しい内容になった。

 「特別地域」は原発から20キロ圏内で立ち入りが禁止される「警戒区域」を想定しており、環境相が指定。特別地域以外でも土壌汚染が基準を超えれば「汚染状況重点調査地域」に指定し、自治体が除染を行う。民主党の原案では原則自治体が行うとしていたが、被災自治体に配慮した。

 がれきなどの廃棄物が「特別の管理が必要な程度に汚染されているおそれがある」地域は、環境相が「汚染廃棄物対策地域」に指定し、国が処理する。【中井正裕】

 ◇除染◇

 放射性物質を汚染場所から除去し、放射線量を下げる作業。拡散させないよう、土壌の表面をはぎとったり汚染された植物を刈り取ったりする。高い線量が確認された建物は、屋根や壁、雨どい、窓などを水などで洗う。福島県南相馬市災害対策本部のマニュアルでは、除去した土などは原則として発生敷地内に一時保管し、後に最終処分場へ移動するとしている。


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asahi.com
http://www.asahi.com/politics/update/0815/TKY201108150390.html
放射能、国が除染 特別地域を指定 与野党で法案提出へ

 東京電力福島第一原発の事故で飛散した放射性物質による環境汚染に対応する特別措置法案の全容が15日、明らかになった。国が汚染の著しい地域を指定し、土壌や草木、建物の除染のほか、がれきの処理を実施するとしている。法案には民主、自民、公明の3党が合意。来週中にも国会に提出され、今国会で成立する見通しだ。

 現行法では、環境中に出た放射性物質の汚染処理についての定めがない。法案が成立すれば、原発事故による放射能での環境汚染に対処する初の法律となる。

 法案は「汚染による人への健康影響を低減する」ために、土壌などの除染が必要な地域を環境相が「特別地域」として指定。国は関係する自治体などの意見を聞いた上で実施計画を策定し、除染する。

 また、汚染のレベルが特別地域よりも低い場所は、汚染状況を調査・測定する「重点調査地域」に指定できる。同地域の除染は、都道府県や市町村が担い、必要に応じて国が代行する。


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共同通信社
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2011/08/post-2998.html
高汚染地域は国が除染 民自公が共同骨子案

 民主、自民、公明3党は12日、東京電力福島第1原発の事故で放射性物質に汚染されたがれきなど廃棄物の処理や土壌の除染措置などを定める特別措置法の共同骨子案をまとめた。民主党と自民、公明両党がそれぞれ法案骨子を公表していたが、原発周辺で汚染が著しい地域の除染は国が実施することなどを盛り込んで折り合った。

 来週にも衆院環境委員会で委員長提案の法案として国会提出することを決める方針で、会期中の成立を図る。

 3党の骨子案は「国は原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っている」と明記し、汚染廃棄物の処理や除染が国の責務であることを明確化。除染措置について民主党案は都道府県知事が計画を策定した上で国と自治体の分担を明記していたが、3党案では汚染のひどい地域は国が計画策定と除染を行う「特別地域」に指定することになった。

 また除染の費用は国が責任を持って手当てし、自治体の申請に基づく国の除染代行規定も民主党案の「代行できる」から「代行する」と国の責任を強めた。
(2011年8月12日)


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2011-08-18 : ・土地建物,土壌等の汚染 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・土地建物,土壌等の汚染 その5 人格権に基づく請求

・土地建物,土壌等の汚染 その5 人格権に基づく請求

 自分の土地建物等が汚染された場合に,東電に対して除染を請求しうるかという問題については,こちらで論じた。

 ただし,これは所有権者が自らの土地建物や農地等の除染を請求するものであって,自分の家や所有地だけ除染されても,その他の汚染がひどくて町や村を歩けなければ意味がない。
 そこで自分の住む町や村を住めるようになるまで,公道から河川,公園等の日常生活の範囲内すべて除染せよと,何らかの根拠に基づいて請求することができないか。


 まず,妨害排除を請求するにあたってどのような法律的根拠が考えられるのか。

1 不法行為構成(民法709条,原賠法3条)
 不法行為責任の内容として賠償だけでなく,原状回復や差し止め等の請求もなしうるとする説もあるが少数説。
 
2 物権的請求権(所有権に基づく妨害排除請求権)
 自分の所有地については可能であるが,他の部分の除染請求までは難しい。

3 環境権=人が健康で'快適な生活を維持するために必要な良き環境を享受し,かつ,これを支配し得る権利
 権利内容の不明確性が問題となる。

4 人格権=生命・健康を人間が本来有する状態で維持しうる権利
 大阪空港訴訟の一審判決が,「個人の生活上の利益は物権と同等に保護に値する」とし,その後の公害訴訟などで,広く根拠とされるようになった。
〔明文はないが,財産権である物権ですら排他的支配権の救済,保護の観点から妨害排除請求権等が認められることから,より重要な排他的権利である生命身体健康等への妨害の排除請求権は,私権として当然に認められてしかるべきという理屈〕

・金沢地方裁判所平成18年3月24日判決,志賀原発2号機差止訴訟1審判決
 電気事業者である被告が設置した原子力発電所の原子炉が運転された場合,原告らの生命,身体,健康が侵害される具体的危険が認められるとして,原告らの原子炉運転差止請求を認容した事例
個人の生命,身体及び健康という重大な保護法益が現に侵害されている場合,又は侵害される具体的な危険がある場合には,その個人は,その侵害を排除し,又は侵害を予防するために,人格権に基づき,侵害行為の差止めを求めることができると解される。原告らは,「人格権」を,生命,身体及び健康よりも拡大し,「人間の健康の維持と人たるにふさわしい生活環境の中で生きていくための権利」と主張するが,差止請求の根拠となる絶対的権利としての「人格権」は,名誉とプライバシーとを別にすれば,生命,身体及び健康を中核とする権利として捉えるべきものと考える。」
「原告らは,差止請求の根拠として「環境権」をも主張するが,「人が健康で快適な生活を維持するために必要な良き環境を享受し,かつ,これを支配し得る権利」が認められていると解すべき実定法上の明確な根拠はなく,また,環境は,社会の構成員が共通に享受する性格のものであるから,そのようなものについて個々人が排他的に支配し得るような私法上の権利を有していると認めることには疑問があり,少なくとも,その権利の内容及びこれが認められるための要件も明らかとはいえない現段階においては,このような権利ないし利益が実体法上独立の差止請求の根拠となり得ると解することは困難である。」
人格権に対する侵害行為の差止めを求める訴訟においては,差止請求権の存在を主張する者において,人格権が現に侵害され,又は侵害される具体的危険があることを主張立証すべきであり,このことは,本件のような原子炉施設の運転の差止めの可否が問題となっている事案についても変わるところはないと解すべきである。そして,前記第1章第2の2(5)イ,エの各事実によれば,原子炉周辺住民が規制値を超える放射線被ばくをすれば,少なくともその健康が害される危険があるというべきであるから,本件において原告らは,本件原子炉の運転により,原告らが規制値(以下「許容限度」ということがある。)を超える放射線を被ばくする具体的危険があることを主張立証すべきことになる。」


 この判決金沢地裁がいう「規制値」「許容限度」とはICRPの「一般公衆の防護のための線量限度として,実効線量限度を1年当たり1ミリシーベルト」が前提とされている。

 また,この判決は,商業溶炉で初めて,差し止めが認められた判決とされ,その後の控訴審,名古屋高等裁判所金沢支部平成21年3月18日判決では,「被控訴人ら本件原発の周辺公衆が許容限度を超える放射線を被ばくする具体的危険性があるとは認められない」として,被曝の具体的危険性の有無の認定で原告逆転敗訴となった〔最高裁は平成22年10月28日に控訴審判決を維持し上告棄却,上告不受理決定をした〕。

 ただし,この控訴審でも,「許容限度」の数字は特に問題とならず,ICRPの年1ミリシーベルトが前提とされている。


 このような判決の理屈でいくと,少なくとも〔バックグラウンド分を除く〕実効線量年1ミリシーベルト以上になる地域については,既に汚染されていて年1ミリの「許容限度」を超えているのだから具体的危険性の存在は明白とも言えるのであって,人格権に基づく妨害排除として,日常生活範囲の全ての除染を請求することができるのかもしれない。


 
2011-06-22 : ・土地建物,土壌等の汚染 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・土地建物,土壌等の汚染 その4 賠償額等の問題

・土地建物,土壌等の汚染 その4 賠償額等の問題

 土地等の財物汚染の原状回復費は,財物を破壊したような場合の修理費に似ている。

 自動車事故で,相手の自動車を一部損傷させ,その修理費が,相手の自動車の事故時の時価を超える場合は,全損扱いとなり,その時価が,車体に関する賠償額の限度となるのが普通である。したがって,時価より高い修理費までは請求できない。

 今のところ,土地建物等の除染がどの範囲で必要であり,どこまで除染すべきか,その方法や技術の有無,その費用等について知らないが,仮に,除染費用が高くて,それよりも土地の時価が安いような場合,どうなるのだろうか。坪単価の安い土地など,ひょっとしたら問題となるかもしれない。
 ただし,土地建物などは,個性の少ない自動車等とは同様には扱えず,除染等による原状回復費用が,時価を上回る場合であっても,被害者としては,それを利用し続けなければならないという必要性が高い場合が多く,そういった場合にまで,同様に扱われるのかは不明である。

 この点,第一次指針には,避難等の指定がなされた区域内について,「8 財物価値の喪失又は減少等」として,

「財物につき、現実に発生した以下のものについては、損害と認められる。なお、ここで言う「財物」は動産のみならず不動産をも含む
Ⅰ) 政府の指示による避難等を余儀なくされたことに伴い、対象区域内に所有していた財物の管理が不能等となったため、当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合には、現実に価値を喪失した部分及びこれに伴う追加的費用(当該財物の廃棄費用等)については合理的な範囲で損害と認められる。
Ⅱ) Ⅰ)のほか、当該財物が本件事故の発生時対象区域内にあり、) 財物の価値を喪失又は減少させる程度の量の放射性物質に曝露した場合又は、 ) )には該当しないものの、財物の種類、性質及び取引態様等から、平均的・一般的な人の認識を基準として、本件事故により当該財物の価値の全部又は一部が失われたと認められる場合には、現実に価値を喪失し又は減少した部分及び除染等の追加的費用について損害と認められる。」

また備考として,

「4) なお、Ⅱ)の)及び)に関しては、喪失又は減少した財物の価値を回復するため、除染等の措置が必要となる場合がある。この場合に、価値の喪失又は減少を損害ととらえるか、あるいは、その除染等の措置費用を損害ととらえるか、という問題があるが、この点は今後検討する。」

とある。

 この点について,避難等区域内で汚染があった場合,価値の喪失,減少,除染費用等は以下のような関係になろう。

ア 財物の使用価値(賃料相当損害金)
イ 財物の交換価値
 イ1 全部(汚染時の時価全額)厳密に言うと汚染直前の時価
 イ2 下落分(売却時点での時価の下落分)
ウ 原状回復費用(除染費用等)


(1)除染費用等が汚染時の時価を下回る場合の処理(ア+イ2+ウ<イ1)
ア 使用価値(除染が完了して戻るまでの賃料相当損害金。※自宅建物の場合,宿泊費用の損害分との関係が問題となりうる。)
 +
イ2 交換価値下落分(地価下落による損失,※もともと売却予定地であったような場合で,完全に除染されたのに,時価の下落があったときは,風評被害と同様に考えて,相当因果関係の有る範囲で賠償義務ありとする?)
 +
ウ 原状回復費用(除染費用等)

(2)除染費用等が汚染時の時価を上回る場合の処理(ア+イ2+ウ>イ1)
イ1 交換価値全部(汚染時の時価)+これに対する汚染時から年利5パーセント相当の遅延損害金
 ※ただし,前述のとおり不動産等は同様に扱えないかも。


 この(2)の場合,結局土地建物の所有者は,その土地建物に関しては,汚染時の時価の賠償しか受けられず,帰還するためには,その賠償額を超える分の除染費用を自ら捻出しなければならなくなる。〔もちろん,避難や失職を余儀なくされたことによる精神的,経済的損害等の他の損害は別途賠償対象となる。〕

 土地建物,土壌等が広範囲かつ長期にわたってダメになるようなことは,普通の不法行為では考えにくく,また,自分の土地建物だけ除染しても,日常生活の範囲内で,受忍限度を超えるような線量がある場合は無意味となる。原発事故の重大性,破局的性質から余り考えたことのない法律関係が生じているものといえよう。

 この(2)の場合が多くなると,結局,町や村をまるごと諦めるということになるのだろうか。
 経済的な合理性だけを考えると,除染費用>土地価格の場合は,〔その差の程度にもよるだろうが,除染費用の方がはるかに高くつくような場合は〕,事実上除染不可能で,帰還不能な土地ということになるのかもしれない。
 ただ,土地は原状に復しさえすれば,その後の使用価値はほぼ永久にあるわけで,除染費用>土地価格であったとしても,除染費用<土地価格+帰還後使用価値となる場合があるだろうから,経済的合理性だけを見ても簡単には言えない。
 もっとも,個人としてみると,普通は100年も寿命はないのだから,除染のために要した費用を,その個人が,その後の余命で回収できる程度でなければ,これも現実的ではないかもしれない。

 結局,このあたりの問題は,チェルノブイリの一定地域のように,長期に亘り使用不能,帰還不能な土地をつくっていいのかという国の政策の問題となってきて,東電の賠償義務から法律上漏れる部分が発生したとき,公的負担(ひいては国民の負担)で,どこまで短期的な経済合理性を超えて,国土を回復させるべきかという問題となるのかもしれない。


 ※なお,風評による地価の下落についてはこちらでふれた。
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・土地建物,土壌等の汚染 その3 除染とその費用の請求,法律構成

・土地建物,土壌等の汚染 その3 除染とその費用の請求,法律構成

 以下の二つの請求が考えられる。

a 自らの費用で除染して,その費用を東電に請求する。
b 東電に除染等原状回復ないし財物の利用妨害排除を請求する。

1 不法行為〔原賠法〕
a 自らの費用で除染して,その費用分を損害として東電に賠償請求する。
「原子力損害」といえる限り,原賠法3条1項本文で,請求可能。
 原発事故と汚染との事実的因果関係の立証は容易。ただし,どの程度の汚染なら,自ら除染して,その費用を賠償請求できるかは現在のところ不明。これは前項で述べた。
 除染の要否の問題に関しては,最終的には受忍限度論の問題になるかもしれないが,その限度内なのに除染してしまった場合は,除染費用については,「相当因果関係」が無いとして賠償請求が全く認められないか,過失相殺等で大幅に減額されることになるかもしれない。〔ただし,現時点ではどの程度まで受忍すべきかは不明であって,文科省の20ミリとかいう基準も専門家に批判されたりして,ふらついているし,よほど遠方で極微量でも無い限り,仮に将来,受忍限度を下回っていたと判明したとしても,過失相殺等による減額はそれほどでもないかもしれない。〕

b 東電に除染等原状回復ないし財物の利用妨害排除を請求する。
原賠法に基づいて,東電に除染を請求することはできない。原賠法は,民法の不法行為規定の特別法であり,金銭賠償の原則(民法722条1項,同417条)が適用され,行為請求権は原則として認められないからである(ただし,異説はある。)。

2 物権的請求権
a 自らの費用で除染して,その費用分を損害として東電に賠償請求する。
物権的請求権の内容として,費用負担まで含める説もあるが,通常は否定。

b 東電に除染等原状回復ないし財物の利用妨害排除を請求する。
 所有権等の物権は,物を直接かつ排他的に支配する権利であり,この支配関係は法によって保護されるものであり,これを脅かす侵害に対しては,自力救済が禁止されている法治主義の下では,それを排除する救済手段が与えられる。これが物権的請求権であり,民法上は占有訴権(民法197条以下)を除いて,特に規定な無いが,当然のこととして認められる。
 これには,①目的物返還請求権,②物権的妨害排除請求権,③物権的妨害予防請求権があり,ここで特に問題となるのは,②妨害排除請求権であろう。
 物権的妨害排除請求権は,占有以外の方法によって,物権の内容の実現が妨げられている場合に,その侵害の除去を求める請求権である。

 放射性物質によって,土地や建物等の利用が妨げられている場合には,当然,その土地建物等の所有者は,妨害原因を作り出した者(放射性物質の所有者である東電)に対して,妨害の排除を請求できることになろう。
 この場合,妨害者側の故意,過失は問われない。訴状に書くとすれば,原告が当該土地建物の所有者であること,そこに被告所有の放射性物質が飛来付着して,放射線によって,その利用が妨げられていることくらいのことであって,被告の抗弁としては受忍限度とか権利濫用の抗弁程度か。

※民法242条以下の「付合」の問題は別項で〔汚染態様による場合分け必要?〕

※物権的請求権について費用負担等の問題
 不可抗力で,Aの所有物が,Bの土地に入り,Bの土地利用を妨げている場合。
 理屈の上では,Aは所有権に基づき目的物の返還請求権を有し,Bは土地所有権に基づき物権的妨害排除請求権を有することになる。
 現実問題として,東電が,裁判等で,汚染地域の個人や自治体に対して,放射性物質を返還するよう請求することは考えにくいが,理論上は,AとBの請求権が両方なりたち,判例・通説では,権利濫用等にあたらない限り,先に訴えた方が勝つことになる。
 その場合の現実の返還費用や妨害排除費用を誰が負担すべきかという問題があり,これについては,そのまま敗訴した被告とする説や,責任割合に応じて求償請求しうるとする説がある。

※物権的請求権の時効
 原賠法に基づく損害賠償請求権については,原則として3年の時効にかかる。
 物権的請求権については,判例・通説では,所有権等その物権が存続する限り,消滅時効にはかからないと理解されている。ただし,これも反対説あり。

※物権的請求権と原賠法に基づく損害賠償請求権との競合問題。
 一般に,不法行為に基づく損害賠償請求権は,金銭賠償の請求であり,物権的請求権は,行為請求権であることから,その競合は生じないと理解されている。そして,原賠法は,不法行為法の特別法であることから,物権的請求権との競合は生じないと解されよう。
 なお,原賠法と民法の規定との適用関係を論じた判例(平成20年2月27日・水戸地裁判決・判タ1285号201頁)では,「原賠法に規定する原子力損害の賠償責任は,原子力事業者に対して原子力損害に関する無過失責任を規定するなどした民法の損害賠償責任に関する規定の特則であり,民法上の債務不履行責任又は不法行為の責任発生要件に関する規定は適用を排除され,その類推適用の余地もない」としているだけで,民法上のあらゆる請求権の排除を言ってるわけではない。

※不動産の賃借人の場合,債権しか有しないので,妨害排除請求をなしうるか問題となるが,登記等により対抗力のある賃借権については排他性があり,賃借人も妨害排除請求しうるとするのが判例通説。

※強制執行
 妨害排除請求訴訟で勝訴したものの,原子力事業者側が除染等を行わない場合,民法414条2項本文(「債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる」)によって,代換執行が可能となる。




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・土地建物,土壌等の汚染 その2 除染等による原状回復の必要な範囲

・土地建物,土壌等の汚染 その2 除染等による原状回復の必要な範囲

 どの程度の汚染ならば,その除染費用が「原子力損害」として認められるか,あるいは東電に対する除染請求が認められるかという問題がある。

 避難勧告が出ているような地域については,現に使用できない程度の汚染が進んでいるおそれがあり,その除染費用の多くは「原子力損害」として認められることになろうが,基本的には各地点の汚染の程度によるのではないか。
 本来は,福島第一から飛散した全ての放射性物質については,東電が除染や回収すべきところ,極微量でも除染を要することになると,少なく見積もっても東日本の大半がその対象になり,現実的ではないとして,政府や裁判所の判断では,そこまでは及ばないのではなかろうか。
 結局,人の健康等の影響などについて,合理的に考えて,どの程度であれば,除染を要するかということになり,逆にいうとどの程度なら市民は我慢すべきかということであって,騒音や日照権侵害等の公害訴訟でよくある「受忍限度論」が持ち出されるかもしれない。
 そして原発由来の放射性物質による汚染について,「社会共同生活を営む上で一般通常人ならば当然受忍すべき限度」がどの程度かが問題となり,人の健康に及ぼすリスクなど自然科学的なデータなり研究が基礎となり,一定程度の汚染地域については,除染等の措置が必要であるが,それ以下は一般公衆は,受忍せよということになるのかもしれない。

 ここで問題なのは,どの程度の汚染なら健康に全く問題がないのか,その程度が科学的にさほど明確でない場合に,線を引く作業を裁判所がなしうるのかということである。騒音や,振動や,日照阻害は,生命や健康の被害に直結するというものでもなく,どこでも日常的にあることで,商業地等のその地域の特異性や,他との比較や,法律・条例等での基準値,規制値があって,それなりの線を見つけることになろうが,放射性物質による汚染については,手がかりは少ない。


 労働関係法令を見てみる。
 
------------------------
●労働安全衛生法
第22条  事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
<略>
二  放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
<略>

(作業環境測定)
第65条  事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
<略>

(健康診断)
第66条  事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
2  事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
<略>

●労働安全衛生法施行令
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条  法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
<略>
六  別表第二に掲げる放射線業務を行う作業場で、厚生労働省令で定めるもの

(健康診断を行うべき有害な業務)
第22条  法第六十六条第二項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。<略>
二  別表第二に掲げる放射線業務
----
別表第二 放射線業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)
<略>
六 原子炉の運転の業務

●電離放射線障害防止規則
(定義等)
第2条  この省令で『電離放射線』(以下『放射線』という。)とは、次の粒子線又は電磁波をいう。
(1)  アルフア線、重陽子線及び陽子線
(2)  ベータ線及び電子線
(3)  中性子線
(4)  ガンマ線及びエツクス線
<略>
3  この省令で『放射線業務』とは、 労働安全衛生法施行令(以下『令』という。)別表第2に掲げる業務をいう。
<略>

(管理区域の明示等)
第3条  放射線業務を行う事業の事業者(第62条を除き、以下『事業者』という。)は、次の各号のいずれかに該当する区域(以下『管理区域』という。)を標識によつて明示しなければならない。
(1)  外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域(2)  放射性物質の表面密度が別表第3に掲げる限度の10分の1を超えるおそれのある区域
2  前項第1号に規定する外部放射線による実効線量の算定は、1センチメートル線量当量によつて行うものとする。
3  第1項第1号に規定する空気中の放射性物質による実効線量の算定は、1.3ミリシーベルトに1週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均(1週間における労働時間が40時間を超え、又は40時間に満たないときは、1週間の労働時間中における空気中の放射性物質の濃度の平均に当該労働時間を40時間で除して得た値を乗じて得た値。以下『週平均濃度』という。)の3月間における平均の厚生労働大臣が定める限度の十分の一に対する割合を乗じて行うものとする。
4  事業者は、必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならない。
5  事業者は、管理区域内の労働者の見やすい場所に、第8条第3項の放射線測定器の装着に関する注意事項、放射性物質の取扱い上の注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。

(放射線業務従事者の被ばく限度)
第4条  事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下『放射線業務従事者』という。)の受ける実効線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない
2  事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第6条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、3月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

第5条  事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては1年間につき150ミリシーベルト、皮膚に受けるものについては1年間につき500ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない。

第6条  事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下『妊娠中』という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
(1)  内部被ばくによる実効線量については、1ミリシーベルト
(2)  腹部表面に受ける等価線量については、2ミリシーベルト

-----------------------------



 要するに,労働関係法令では,3ヶ月で1.3ミリシーベルトを超えるおそれがある場合は,管理区域として扱われ,事業者に作業環境測定,明示,健康診断等が義務づけられる。(年間5.2ミリシーベルトか?)

 また,放射線作業につく労働者については,緊急時を除いて,以下が限度となる。

 原則 50mSv/年 かつ 100mSv/5年
 妊娠可能性ある女性 5mSv/3月
 妊婦 妊娠診断から出産までの期間で1mSv


 このような労働関係法令を見ると,最大限に見つもっても,緊急時ではなく,日常使用に耐えうる土地,建物等は,せいぜい年間5ミリシーベルトまでということか。
 しかし,日常生活では,子供も妊婦もいるし,自らの選択で,通常より多量の放射線を浴びる可能性のある職業に就いている者と同レベルまで,一般市民に我慢しろというのもどうなのかという気がするので,結局,一般公衆の被爆線量(自然放射線,医療被曝等除く)に関する,ICRPの年間被曝許容限度1ミリシーベルト(あるいは5年平均で1ミリ)が限度となるのだろうか。
 このように考えた場合,どの範囲の建物,土地,山林等の除染が必要になるのだろうか。半減期の短いものについては崩壊してなくなるだろうが,セシウムなど長いものは除染等しないかぎり,そこに長期間にわたって存在し続けるわけで,これがどの範囲にまで及んでいるのだろうか。〔この一番外の青線が年2.2ミリ?〕

 考えれば,今回の事故は,自然災害が一因とはいえ,公害そのものであり,海洋汚染(漁業権侵害)もあって,その除染等による原状回復が必要な範囲の線引きは,特に立法がないかぎり,最終的には裁判所がすることになろう。〔ただし,現行法でも原子炉等規制法等の関連法規で,政府がある基準を決定して,それ以上のものについては除染措置をとらせることはできるだろう。〕


------------------
●核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
(危険時の措置)
第六十四条  原子力事業者等(原子力事業者等から運搬を委託された者及び受託貯蔵者を含む。以下この条において同じ。)は、その所持する核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉に関し、地震、火災その他の災害が起こつたことにより、核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による災害が発生するおそれがあり、又は発生した場合においては、直ちに、主務省令(第三項各号に掲げる原子力事業者等の区分に応じ、当該各号に定める大臣の発する命令をいう。)で定めるところにより、応急の措置を講じなければならない。

(罰則)
第七十八条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
<略>
二十七  第六十四条第一項の規定に違反し、又は同条第三項の規定による命令に違反した者

●核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則
(危険時の措置)
第六条  法第六十四条第一項 (原子力事業者等が工場又は事業所の外において放射性廃棄物を廃棄する場合に限る。)の規定により、原子力事業者等は、次の各号に掲げる応急の措置を講じなければならない。
一  放射性廃棄物による汚染が生じた場合には、その場所の周囲になわを張り、又は標識等を設け、及び見張人を配置することにより、関係者以外の者が立ち入ることを禁止すること。
二  放射性廃棄物による汚染が生じた場合には、速やかに、その広がりの防止及び汚染の除去を行うこと。
三  放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者がいる場合には、速やかに、その者を救出し、避難させる等緊急の措置を講じること。
四  その他放射線障害を防止するために必要な措置を講じること。

●原子力災害対策特別措置法
(原子力事業者の応急措置)
第二十五条  原子力防災管理者は、その原子力事業所において第十条第一項の政令で定める事象が発生したときは、直ちに、原子力事業者防災業務計画の定めるところにより、当該原子力事業所の原子力防災組織に原子力災害の発生又は拡大の防止のために必要な応急措置を行わせなければならない。

(緊急事態応急対策及びその実施責任)
第二十六条  緊急事態応急対策は、次の事項について行うものとする。
<略>
七  食糧、医薬品その他の物資の確保、居住者等の被ばく放射線量の測定、放射性物質による汚染の除去その他の応急措置の実施に関する事項
八  前各号に掲げるもののほか、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止を図るための措置に関する事項


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・土地建物,土壌等の汚染 その1 環境損害

・土地建物,土壌等の汚染 その1 環境損害

 福島県内の小学校等の土壌の汚染や農地の汚染が問題となっている。その他にも,個人の不動産,自治体の所有する土地(森林,河川,池沼,道路,その他施設の敷地等)や,建物(役所,その他施設)が放射性物質によって汚損している可能性がある。
 この種の損害に関して,平成10年9月,原子力委員会では,「環境損害」という概念について,その賠償をどうするのかという議論がなされていた。

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/songai/siryo/siryo03/siryo3-5.htm
資料3-5
---------------------------
原子力損害(環境損害)について
1. 環境損害の概念について
 ウィーン条約改正議定書においては、「環境損害の原状回復措置費用」が原子力損害に該当することとされたが、条約上、環境損害の定義は規定されていない。また、各国法において当該費用を原子力損害と規定することは、必ずしも条約加盟の条件とはされておらず、条約上も「管轄裁判所の法が決する限りにおいて」とされているところ。
 環境損害とは極めて多義的な概念であり、漠然と大気、海洋、河川などの汚染を環境損害と呼ぶ場合もあるが、一般的には被害者が特定の個人だけでなく、その環境に接する不特定多数の者であるような損害であり、公共の財産である環境そのものが侵害されるという点に特殊性を有するものと捉えることが可能である。また、個人の所有地が汚染される場合にあっても、地下水等を通じて不特定多数の者に汚染が及ぶ可能性があるので、このような場合は環境損害と捉えることが可能であり、所有権の有無にはかかわらないと考えられる。
2. 原賠法における環境損害の位置づけ
(1) 現行の原賠法においては、「環境損害」は規定しておらず、
 a.核燃料物質の原子核分裂の過程の作用
 b.核燃料物質等の放射線の作用
 c.核燃料物質等の毒性的作用
 により生じた損害を「原子力損害」と規定しているのみである。ここで「作用により生じた損害」とは、「作用」との間で相当因果関係がある損害を指すものであり、その限りにおいては、直接損害のみならず、間接損害も含まれるものとして捉えられている。
 このように、我が国原賠法は損害の種類によって賠償の対象になるか否かを分類していないため、「環境損害」に伴う原状回復措置費用も原子力損害に該当しうるものであり、排除されているものではない。
(2) ただし、この場合も環境損害に伴う原状回復措置費用が全て原子力損害として認められる訳ではなく、「相当因果関係」の存在が必要とされるであろう。また、額についても原状回復に要した費用全額ではなく、現実に支払った費用のうち合理的な費用に限定されるものと考えられる。
 以上のとおり、現行の原賠法でも相当因果関係のある環境損害に伴う原状回復措置費用は原子力損害として認められるものであり、かつこれ以上に新しく環境損害を定義するだけの必要性も無いものと考える
3. 油濁損害賠償保障法上の考え方
 なお、「環境損害」の検討に当たっては、「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(油濁損害条約)」及び「油濁損害賠償保障法」が参考になると考えられる。
 油濁損害条約においては、汚染損害の定義に環境損害に係る原状回復措置費用を規定しているが、本条約の国内実施法である油濁損害賠償保障法においては、油濁損害の定義(「船舶から流出し、又は排出された油による汚染により生ずる責任条約の締約国の領域内又は二百海里水域等内における損害」)の中で環境損害を読み込むことができるものとして、特別に環境損害に係る原状回復措置費用を規定することとしていない。
 油濁損害は原子力損害に比較して、環境損害(海洋汚染等)に伴う経済的損失が多くを占め、人的損害は比較的少ないとの相違が存在すると考えられ、必ずしも原子力損害の概念を油濁損害の概念と一致させる必要性はないとも考えられるが、改めて「環境損害」を定義せずとも、損害の定義の中において相当因果関係から読み込むことが可能である例として参考になると考えられる。
 なお、「合理的な費用」といえるか否かについて、油濁損害においては、「油濁損害賠償基金請求の手引き」を定めており、補償の対象となる請求としての環境損害について一定の指針を示している。(別紙参照)
-----------------------------

3回原子力損害賠償制度専門部会議事要旨(案)
1.日時     平成10年9月11日(金)
         午前10:00~12:00
2.場所     科学技術庁 第7会議室(通産省別館9階)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/songai/siryo/siryo04/siryo1.htm
(4)原子力損害(環境損害)の概念について
事務局より資料3-5に基づき、説明があった後、主に次の質疑応答があった。
(能見)整理すると、原子力損害に入るのかという問題と、賠償の対象になるとして一定の制限を設ける必要がないのかという問題がある。前者については、原子力損害の定義から予防措置費用は別としても、対象になるといってよいと考える。問題は後者で、裁判になれば相当因果関係で切られるだろうが、油濁と比較して原子力は環境以上に人身損害が大きい。理論的には無限責任ゆえ、すべての賠償はなされるにしても、現実には賠償措置額があって、限定された資金の中で環境損害と人身損害が一時的には取り合いになる。人身損害の重要性を考えると、環境損害には一定の限界を明確に設け、人身損害の保護を手厚くするのがよいのではないか。
(住田)結論に異論はないが、放射線の作用等による損害という定義は、損害の概念というよりは原因行為による類型にすぎず、損害が何かということは一切規定していないのではないか。そこで環境損害はどういうものかを一般法たる民法から考えていくことになる。油賠法の場合は条約を批准するための国内法整備として行われたため、条約の文言に引っ張られた面もあろうが、今回は条約とは別に独立した国内法として考えればよい。資料中、原賠法の原子力損害からは排除されていないとあるが、むしろこの点は規定されていないということであろう。環境損害の内容について各国なりの考え方があろうが、被害者が特定しがたいだけで、損害自体は発生しているわけだから、当然原賠法の損害概念に入るといってよい。そして損害賠償の範囲として、合理的な、社会通念上相当なものという判例があり、そこで縛りがかかると思う。よって、環境損害を入れることにつき、特別の規定は必要ないと考えている。ただ、油賠法の場合は経済的損失だけだが、我が国の一般原則でいくと、非財産的損害も入ってくることになろう。ただ、どのような取扱いにするかは議論をしておく必要があろう。避難費用については、前回法改正時に議論があったようだが、避難を余儀なくされたということは一つの損害であり、その賠償の範囲としては社会通念上相当なものとなり、やはり特別の規定は必要ないと考える。
(山嵜)原賠法は不法行為法の特別規定にすぎず、無過失責任や賠償措置額の強制を特別に定めたものである。原子力損害の損害に関する限り、不法行為法が基礎にある。能見委員の意見だが、環境損害の賠償額自体を制限するということか、それとも人身損害よりも弁済の順序を遅らせるということか。
(能見)勿論、賠償額を民事責任のレベルで制限することではない。将来的には、責任は限定せず、賠償措置額から取る順序なりルールなりを決めておくのがよいのではないか。

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 上の資料3-5にあるように,特に「環境損害」という概念を用いなくても,原発事故により,個人や自治体所有の土地建物等の財物汚損が生じている場合には,相当因果関係が認められる範囲で,その除染等の原状回復費用は,「原子力損害」として認めるられることになろう。〔主として海洋汚染に関するものであるが,上の資料にもあるとおり,油濁損害賠償補償制度については,今回の事件でも参考になるかもしれない。〕

問題として
・原状回復,除染等の必要な範囲の問題
・請求の法律構成
・損害額の算定
・除染等費用>土地価格の場合の問題
など

2011-06-08 : ・土地建物,土壌等の汚染 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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