東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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・原発事故と精神的損害 その2 追加仮払補償金

・原発事故と精神的損害 その2 追加仮払補償金

原子力損害賠償紛争審査会 第二次指針追補
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-137.html



---------------------------------
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11070501-j.html
平成23 年7 月5 日
東京電力株式会社
各 位
会社名 東京電力株式会社
代表者名 取締役社長 西澤 俊夫
(コード番号:9501 東証・大証・名証第1部)
問合せ先 総務部株式グループマネージャー 大槻 陸夫
(TEL. 03-6373-1111)

避難等による損害への「追加仮払補償金」のお支払いについて

 このたびの当社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故により,発電所周辺地域の皆さまをはじめ,広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしていることを,改めて,心よりお詫び申し上げます。
 当社では,事故に伴い避難等を余儀なくされた方々へ,既に「仮払補償金」をお支払いさせていただいております(本年4 月15 日お知らせ済み)が,このたび,この「仮払補償金」と同様,避難等により発生した損害等への充当を前提に,「追加仮払補償金」をお支払いさせていただくことといたしました。
 この「追加仮払補償金」につきましては,本年6 月20 日に,原子力損害賠償紛争審査会から公表されました「東京電力福島第一,第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第二次指針追補」等を踏まえ,避難等を余儀なくされた方々,お一人様ごとに,それぞれの避難等の期間と状況に応じて,10 万円~30 万円の範囲でお支払いいたします。(詳細は別紙)また,「追加仮払補償金」は,避難等の期間に応じてお支払いすることから,その総額について,具体的な金額を見積もることは困難ですが,最大で480 億円と想定しております。本件が当社業績に与える影響につきましては,お示しできる状況になり次第,速やかにお知らせいたします。
 なお,請求書類につきましては,来週を目途に,前回の「仮払補償金」をご請求いただきました「世帯主様または世帯の代表者様」のご避難先へ郵送させていただきます。前回の「仮払補償金」のご請求以降,ご避難先等のご変更がある場合は,以下までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
以 上
---------------------------------------
<原子力事故による損害に対する補償に関するお問い合わせ先>
福島原子力補償相談室(コールセンター)
電話番号:0120-926-404
受付時間:午前9時~午後9時
[書類郵送先]
〒105-8730 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号
(郵便事業株式会社 芝支店 私書箱78号)
東京電力株式会社 宛
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<別紙>

追加仮払補償金のお支払い基準

【お支払いさせていただく対象の方】
○本年3 月11 日時点で以下の対象区域に生活の本拠があり,福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故により,「避難」,「屋内退避」を余儀なくされた方(世帯ではなく,「各個人」をお支払いの対象とさせていただきます)。
<対象区域>
・避難区域:福島第一原子力発電所から20km 圏内
     :福島第二原子力発電所から10 ?圏内(4 月21 日以降は8 ?圏内)
・屋内退避区域(4 月22 日解除):福島第一原子力発電所から20~30km 圏内
・計画的避難区域,緊急時避難準備区域(4 月22 日設定)
※上記対象区域に住民登録(住民票)があっても,本年3 月11 日時点での生活の本拠が別にあるなど,避難等の事実がない場合には,お支払いの対象となりません。

【お支払い金額】
○いずれも3 月11 日を起点とし,6 月10 日までの間の避難状況をもとに,以下の通りお支払いいたします。

対象者   お一人あたりの金額
6 月10 日時点で避難されている方(※1)
避難後5 月11 日~6 月10 日の間に帰宅された方 30万円
避難後4 月11 日~5 月10 日の間に帰宅された方 20万円
避難後4 月10 日までに帰宅された方
屋内退避(※2)のみの方 10万円

※1 計画的避難区域から6 月11 日以降に避難された方,または,緊急時避難準備区域から6 月11 日~19 日に避難された方は,6 月10 日時点で避難されているものといたします。
※2 屋内退避には,対象区域にとどまり避難されていない場合を含むものといたします。


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テーマ : 原発事故
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2011-07-06 : ・精神的損害 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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・原発事故と精神的損害 その1

・原発事故と精神的損害 その1

 原賠法は,民法の不法行為規定の特別法であり,特に精神的損害を排除する規定もないので,民法710条にあるとおり,精神的損害については,財産以外の損害として,それを賠償する義務がある。

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民法

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条  他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
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〔精神的損害として考えうるもの〕

1 生命侵害→死亡慰謝料
(1)爆発や急性放射線障害等で死亡した場合
(2)原発事故からの避難,退避の過程で死亡した場合

2 身体,健康
(1)被爆による急性放射線障害による精神的苦痛
(2)被爆により晩発性の障害が出た場合による精神的苦痛
(3)一定線量の被爆によって,将来,健康被害に至る可能性が増大したと認められ,健康の不安を抱えさせられた場合の精神的苦痛。

3 自由,生活の平穏等
(1)政府,自治体の指示による退避,避難によって生活の不便を強いられた場合の精神的苦痛
(2)自らの判断で退避,避難した場合の精神的苦痛
(3)避難等で失職,廃業に追い込まれた場合の精神的苦痛

4 財物
(1)ペット等愛玩物の死亡,喪失による精神的苦痛
(2)自宅土地建物の利用不能による精神的苦痛

5 純粋な精神的苦痛
 生命身体自由財産等になんら被害はないが,原発事故と放射能汚染に対する一般的不安,精神的ショックにより苦痛を感じた場合


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1 生命侵害→死亡慰謝料
 原発事故と同様には考えられないが,交通事故での死亡例などでは,2000万円から3000万円程度。


2 身体,健康
(1)(2)障害の程度(重篤度)によって,慰謝料は違う。
(3)一定線量の被爆によって,将来,健康被害に至る可能性が増大したと認められ,健康の不安を抱えさせられた場合は,どのように考えるか問題である。
 これは薬害事件に似たところがある。一定線量以上の被爆で,ガン等の発病の危険性が増加したが,未だ発病していない場合ていない場合なので,肝炎等のウィルスに感染したが未だ発病していない人と同様か?。発ガンリスクの増加の程度にもよるので同様には論じられない?


3 自由,生活の平穏等
(1)政府,自治体の指示による退避,避難によって生活の不便を強いられた場合
 避難に要した費用等は避難費用等は財産的損害として当然賠償の対象となるとして,避難,退避による不便,精神的苦痛による損害をどうするかのは問題である。
 これについては,紛争審査会の第一次指針で次のように述べられている。

「本件事故においては、実際に周辺に広範囲にわたり放射性物質が放出され、これに対応した政府からの避難や屋内退避等の指示があったのであるから、対象区域内の住民らが、住居から避難し、あるいは、屋内退避することを余儀なくされるなど、日常の平穏な生活が現実に妨害されたことは明らかであり、また、その避難等の期間も総じて長く、また、その生活も過酷な状況にある者が多数であると認められる。
 したがって、本件事故においては、少なくとも避難等対象者については、その状況に応じて、避難等により正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたことによる一定の精神的損害を観念することができる
3) この精神的損害に係る損害額の具体的な算定は困難であるが、例えば、避難等を余儀なくされた経緯(避難指示、屋内退避指示の別等)、避難等の別(避難、対象区域外滞在、屋内退避)、避難等の期間及び避難した施設の居住環境その他の避難等における生活状況等に応じて避難等対象者を類型化した上、段階的かつ合理的な差を設けるなどして、類型化された対象者ごとに共通する一定の精神的損害及びこれに対する賠償額を認めることが考えられる。」

 このように政府等によって避難退避指示された者については,その生活の不便等についての精神的損害は賠償の対象となることになる。その金額は不明であるが,たとえば交通事故で入院生活を強いられた場合などは,入院慰謝料として,通常の場合,6ヶ月で110万円程度,12ヶ月で166万円程度,24ヶ月で206万円程度とされている。怪我をして入院している場合と,健康なまま生活の不便を強いられている場合と違うだろうし,避難場所が,通常の病因より不便かもしれないし,ホテル等でそれより快適かもしれないし,同様には考えられない?

※一人月額10~12万円?
原子力損害賠償紛争審査会 第二次指針追補
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-137.html

(2)自らの判断で退避,避難した場合
 この場合,避難費用等の経済的損失や,それによる精神的損害も,そもそも賠償対象の「原子力損害」となるか否かが問題となる。
 これについては,現時点(平成23年5月20日)では,紛争審査会も指針は出しておらず,どうなるのか不明である。
 これはかなり難しい問題で,政府等によって避難退避指示をされた地域以外でも,現在の避難退避等指示地域よりも線量が高い場所もあるかもしれないし,客観的な線量を前提に,平均的・一般的な人の認識を基準として,退避,避難が合理的と認められる範囲での避難退避については,相当因果関係あるものとして「原子力損害」に該当しうるとすると,どの範囲が,平均的一般的な人の認識を基準とするのが合理的かという問題がある。
 かといって,政府による指示があった地域以外は,一切,避難費用も避難による精神的損害も認めないというのでは,ぎりぎり圏内に入る者と,そこからほんの数メートルしか違わない隣地の者との差が大きくなりすぎて公平ではなさそうだし,誰かがどこかで線を引くのか,原発からの距離や土地の放射線量に応じて賠償割合を漸減させるような形になるのか?

(3)避難等で失職,廃業に追い込まれた場合
 避難等で失職や廃業した場合に,本来得られた給与,収入の減額分は当然に,損害であり,それは財産的損害であるが,それまでやっていた自分の仕事が奪われたことによる苦痛,次の仕事を探さなければならないことの苦労などによって,精神的苦痛が発生するのは容易に予想でき,それらも当然賠償の対象となる精神的損害となるであろう。〔一次指針では触れられていない?〕

・JT乳業事件
 平成17年5月18日,名古屋高裁金沢支部判決(平成15(ネ)329)
 会社代表者の任務懈怠で会社解散・解雇。従業員が会社代表者に損害賠償を求めた。
「既に認定した事実及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人従業員らは,Dの重大な過失に基づく本件任務懈怠により本件会社が解散,廃業に追い込まれたことで,突然に就業先を失って,日々の生活の糧を得る途を失う事態に遭遇するに至ったのであり,これにより,被控訴人従業員ら及びその家族が将来に対する大きな不安を抱いたこと,そして,被控訴人従業員らは,自らと家族の生計を維持するために相当に困難な再就職活動を余儀なくされ,そのための努力を強いられ,また,被控訴人従業員らのうち,再就職した従業員については,本件解雇前とは異なる職場環境で労働するほか,その多くは,本件解雇前の職種と異なる職種の労働に従事することになって,相当の苦労をし,他方,再就職できなかっ
た従業員については,自己及び家族の生活上の将来への不安を一層募らせたことを推認することができる。そうすると,被控訴人従業員らがDの本件任務懈怠により被った精神的苦痛は相当に重大であったものというべきであるから,雇用保険法に基づく基本手当及び再就職手当の受領の事実,退職金差額による逸失利益の存在の可能性を加減事情として考慮すると,被控訴人従業員らの被った上記精神的苦痛を慰謝するための額として,被控訴人従業員ら一人について各100万円を認めるのが相当である。」


4 財物
 財物の毀損,喪失で,発生する精神的損害について,それが賠償すべきものとなるか否かについては,通説的理解としては,財産的侵害があった場合に通常生ずる損害は,財産的損害であって,その外にはみ出した精神的損害があるならば,それは特別事情(物的損害が回復されてもなお回復されない特別の事情)による損害として,当事者に予見可能性があった場合のみ,賠償すべきと考えられている。

(1)ペット等愛玩物の死亡,喪失
 ペット等の愛玩等物の死亡等でも,そのペットの財産的価値以外に,その喪失による飼い主の精神的損害については,裁判所が認めることがある。
・飼い猫が犬に噛み殺された(東京地裁昭和36年2月1日,判時248-15)
・愛犬が他の犬にかみ殺された(東京高裁昭和36年9月11日,判時283-21)
・愛犬を行方不明にさせられた(東京地裁昭和39年4月27日,判タ162-186)
・飼い犬が自動車に轢かれて死亡(東京地裁昭和40年11月26日,判時427-17)
・愛着を持って育ててきた山林の伐採(大阪高裁昭和43年11月30日,判タ230-274)。
・藩主から拝領し愛着もって生育した植木が枯死(秋田地裁昭和48年12月3日判時745-88)

(2)自宅土地建物の利用不能による精神的苦痛
・隣地高台に瑕疵があり崩壊の危険がある場合(横浜地裁昭和38年3月25日,下民集14-3-444)

 最悪の状態を考えるとして,仮に,何十年も長期にわたり自宅に戻れないようなことがあった場合,土地建物を完全に喪失したようなものであり,この場合,その財産的価値の賠償は当然として,自宅を失ったことによる精神的損害についてどう考えるのか。
 土地の公用収用のような場合,一応,「公共用地の取得に伴う損失の補償を円滑かつ適正に行なうための措置に関する答申」(昭和37年(1962)3月20日、公共用地審議会から建設大臣あて答申)で,「公共用地を適法な手続により取得する場合において、たとえ精神的苦痛を与えることがあるとしても、これは社会生活上受忍すべきものであって、通常生ずる損失とは認めることができないものであるから、この種の補償項目は、設ける必要がない。」とされ,精神的損失の補償は否定されている。
 しかし,公用目的で正式な手続で収用される土地と,原発事故による汚染のように,私企業の事故で,突然土地を追われて戻れないことになった場合とでは,同列には論じられないのではないか。


5 純粋な精神的苦痛
 生命身体自由財産等になんら被害はないが,原発事故と放射能汚染に対する一般的不安,精神的ショックにより苦痛を感じた場合どうなるのか。


・JCO事故時の損害認定指針(平成12年3月)
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-43.html
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8[精神的損害]
(指針)
 本件事故において、身体傷害を伴わない精神的苦痛のみを理由とする請求については、損害の発生及び金額の合理性について請求者側に特段の事情がない限り、損害とは認められない。
(備考)
 1)  研究会では、原賠法にいう「原子力損害」に精神的損害(慰謝料)が含まれることについては見解の一致を見た。しかしながら、本件事故における精神的損害のうち身体傷害を伴わない精神的苦痛の申し出に関しては、議論の過程で、賠償の対象とする損害と認められないとする見解と認められる余地があるとする見解が示されたものの、最終的には、請求者側に特段の事情がない限り認められないとする見解が支配的となった。
 2)  身体傷害を伴わない精神的苦痛の有無、態様及び程度等は、当該請求者の年齢、性別、職業、性格、生活環境及び家族構成並びに人生観、世界観及び価値観等の種々の要素によって著しい差異を示すものである点からも、損害の範囲を客観化することには自ずと限界がある。このような性質を有する身体傷害を伴わない精神的苦痛の申し出に対し、仮に一律の基準を定めて賠償の適否を判断しようとする場合には、ともすれば過大請求が認められる余地を残してしまう可能性があるとともに、他の損害項目に対する賠償との間でも不公平をもたらす可能性がある。
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・今回の原子力損害賠償紛争審査会の第一次指針(平成23年4月)
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-78.html
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4 精神的損害
(指針)
 本件事故において、避難等対象者が受けた精神的苦痛(ここでは、生命・身体的損害を伴わないものに限る。)について、そのどこまでが相当因果関係のある損害と言えるか判断が難しい。しかしながら、少なくとも避難等を余儀なくされたことに伴い、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛の部分については、損害と認められる余地があり、今後、その判定基準や算定の要素などをできるだけ早急に検討する。
(備考)
1) 前述したように、本件事故と相当因果関係のある損害であれば「原子力損害」に該当するから、生命・身体的損害を伴わない精神的損害(慰謝料)についても、相当因果関係が認められる限り、賠償すべき損害といえる。
2) 生命・身体的損害を伴わない精神的苦痛の有無、態様及び程度等は、当該被害者の年齢、性別、職業、性格、生活環境及び家族構成等の種々の要素によって著しい差異を示すものである点からも、損害の有無及びその範囲を客観化することには自ずと限度がある。
 しかしながら、本件事故においては、実際に周辺に広範囲にわたり放射性物質が放出され、これに対応した政府からの避難や屋内退避等の指示があったのであるから、対象区域内の住民らが、住居から避難し、あるいは、屋内退避することを余儀なくされるなど、日常の平穏な生活が現実に妨害されたことは明らかであり、また、その避難等の期間も総じて長く、また、その生活も過酷な状況にある者が多数であると認められる。
 したがって、本件事故においては、少なくとも避難等対象者については、その状況に応じて、避難等により正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたことによる一定の精神的損害を観念することができる。
3) この精神的損害に係る損害額の具体的な算定は困難であるが、例えば、避難等を余儀なくされた経緯(避難指示、屋内退避指示の別等)、避難等の別(避難、対象区域外滞在、屋内退避)、避難等の期間及び避難した施設の居住環境その他の避難等における生活状況等に応じて避難等対象者を類型化した上、段階的かつ合理的な差を設けるなどして、類型化された対象者ごとに共通する一定の精神的損害及びこれに対する賠償額を認めることが考えられる。
 他方で、上記2(避難費用)で述べたとおり、一般的に言えば、宿泊費等を負担してホテル、旅館等に宿泊する場合と、宿泊費等は負担しないで体育館、公民館、避難所等に宿泊する場合とでは、後者の方が精神的苦痛は大であると認められるから、このような差異にかんがみ、宿泊場所にかかわらず一定額を算定して、これをもって両者を併せた損害額と認定することにも合理性があると考えられ、あわせて今後検討する。
4) また、これまで述べた、生命・身体的損害に伴う精神的損害、避難等による正常な日常生活の著しい阻害に伴う精神的損害のほかにも、一定以上の放射性物質に曝露したことによる精神的苦痛など様々なものが考えられる。もちろん、原子力事故や放射性物質の放出に対する一般的・抽象的不安感や危惧感等は、精神的損害として認められるものではない。このような一般的・抽象的不安感や危惧感にとどまらないものについて、何が、またどこまで損害と認められるかは、今後検討する。
-----------------------


・第3回原子力損害賠償紛争審査会議事録(案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/attach/1306059.htm
------------------------
【田中委員】  確認なんですが、11ページの4)のところに、「一定以上の放射性物質に曝露したことによる精神的苦痛など様々なものが考えられる云々」と書いてありますが、ここで一般的・抽象的不安感、危惧感等は精神的損害として認められるものではないと言いつつも、これからどこまで損害が認められるかは、今後検討するということになっています。
 それで、実は、俗によく100ミリシーベルトの低線量の被ばくの場合には、ないとは言い切れなくて、かつ、医学的証明もできないというややこしい状況にありますので、今日のところはこの表現でいいと思うんですが、その部分については、別途、もう少し専門的な知見を持った方をも含めて、きちっとしたご議論をして、案を出すという方向で理解してよろしいでしょうかという、そういうことなんですが。
【能見会長】  おそらく、まずここで書いてあることの意味を、ここでも共通の理解として明らかにしたほうがいいと思いますけれども。ここで言おうとしているのは、一応放射性物質に曝露した、だけど、それがまだ具体的な健康被害などに至っていない、そういうときにも精神的な苦痛は発生するということは十分考えられるので、そういうものは精神的損害として賠償の対象になり得ると。しかし、そのあとの文章ですが、放射性物質には曝露していない、だけども、原子炉から放射能が出たというので、それに対する不安を感じて、ここに書いてある抽象的な不安感、一般的な不安感などが発生したという場合は、これは実際に曝露した場合と、そうでない場合とで線を切って、後者は精神的損害としては認めないというのでどうかという案でございます。
 ですから、そもそもこういう区切り方がおかしいということであれば、ここを変えなくてはいけないと思いますし、あるいは、放射能が出ているということで、その損害を主張する人は、全然曝露される可能性もない、非常に遠くに住んでいるけれども、原子炉から放射能が出ているということで、非常に心配性の人がいて、それで不安感を感じている。こういうときの精神的な危惧感等は、ここでいう賠償の対象にはならないということなんだというふうに私は理解しておりますが。
【田中委員】  それであれば結構です。
【能見会長】  それであれば、とりあえずここはよろしいですか。
【米倉委員】  そのとおりだと思います。やはり現地でそれなりの環境におられる方々にとってみますと、将来、ひょっとするとがんが起こるかもしれないという不安感、そういう意味での精神的苦痛がある方と、東京、あるいは、場合によってはもっと遠方のほうで、バックグラウンドが上がっているという話で、たかだか1ミリシーベルトにいかないような線量しか受けない、そういう方々の感じている不安感というのは、これはやはり別物としてとらえるべきではないかなと思います。
---------------------------


 以上のとおりであり,現在の紛争審査会の考え方だと,放射性物質に暴露していない人について,その純粋な精神的損害は認めないものと思われる。

 なお,3月には東京や千葉でも水道水が基準値を超えることがあったので,ほとんど東日本全土で,原発由来の放射性物質が飛来していたはずで,原発から遠くの人でも,立証の問題はあるとしても多少は暴露されていた可能性あるわけで,暴露ゼロの人ばかりではないだろうから,審査会の考え方でも余地がないとは言えない。ただし,普通は極微量であるはずで,健康に影響がなく,また,将来的な健康被害も全く予想されない程度なら,精神的損害の発生自体を否定されたり,相当因果関係が否定されたりして,損害賠償請求は認められないのではないか。


2011-05-20 : ・精神的損害 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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原子力損害賠償法について検討してみます。(リンクはご自由に)
なお、引用部分以外は私(一応法律家)の意見ですので、判例・学説・実務等で確定したものではありません。他の考えでも裁判等で争い認められる余地があります。

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