東日本大震災以降,原子力損害賠償法に興味あり,同法と東京電力の責任についても検討してみたい。

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■16条「必要な援助」国の措置 その9 原子力事故被害緊急措置法(仮払い法) 条文

■16条「必要な援助」国の措置 その9 原子力事故被害緊急措置法(仮払い法) 条文


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平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律
(平成二十三年八月五日)
(法律第九十一号)
第百七十七回通常国会
菅内閣
平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律をここに公布する。

平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律

(趣旨)
第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電施設の事故(以下「平成二十三年原子力事故」という。)による災害が大規模かつ長期間にわたる未曽有のものであり、これによる被害を受けた者を早期に救済する必要があること、これらの者に対する特定原子力損害の賠償の支払に時間を要すること等の特別の事情があることに鑑み、当該被害に係る対策に関し国が果たすべき役割を踏まえ、当該被害に係る応急の対策に関する緊急の措置として、平成二十三年原子力事故による損害を填補するための国による仮払金の迅速かつ適正な支払及び原子力被害応急対策基金を設ける地方公共団体に対する補助に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)
第二条 この法律において「特定原子力損害」とは、平成二十三年原子力事故による損害であって原子力事業者(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第二条第三項に規定する原子力事業者をいう。以下同じ。)が同法第三条第一項の規定により賠償の責めに任ずべきものをいう。

(仮払金の支払)
第三条 国は、この法律の定めるところにより、特定原子力損害であって政令で定めるものを受けた者に対し、当該特定原子力損害を填補するためのものとして、仮払金を支払う。
2 前項の規定に基づき国が行う仮払金の支払は、特定原子力損害を受けた者の早期の救済のために迅速なものであり、かつ、国民負担の観点から適正なものでなければならない。

(仮払金の額)
第四条 仮払金の額は、その者が受けた前条第一項に規定する特定原子力損害につき、当該者が提出した政令で定める資料に基づき、政令で定める簡易な方法により算定した当該特定原子力損害の概算額に十分の五を下らない政令で定める割合を乗じて得た額とする。ただし、当該者が当該資料を提出することが困難であると認められるときは、政令で定めるところにより、当該者が居住する地域又は事業を営む地域、当該特定原子力損害の種類等の事情に基づいて推計した当該特定原子力損害の額に当該割合を乗じて得た額とする。
2 前条第一項及び前項の政令は、原子力損害賠償紛争審査会が定める特定原子力損害の賠償に係る原子力損害の賠償に関する法律第十八条第二項第二号の指針に定められた事項に基づき、かつ、特定原子力損害を受けた者の早期の救済に資するものとなるように定めるものとする。

(仮払金の支払の請求)
第五条 仮払金の支払を受けようとする者は、政令で定めるところにより、主務大臣にこれを請求しなければならない。
2 仮払金の支払を受ける権利を有する者について相続、合併又は分割(その者が受けた第三条第一項に規定する特定原子力損害に係る事業を承継させるものに限る。)があった場合において、その者が死亡、解散又は分割の前に仮払金の支払を請求していなかったときは、その者の相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該事業を承継した法人は、自己の名で、その者の仮払金の支払を請求することができる。
3 前項の規定により仮払金の支払を受けることができる同順位の相続人が二人以上あるときは、その一人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支払は、全員に対してしたものとみなす。

(書類の作成等についての援助)
第六条 地方公共団体及び農業協同組合、漁業協同組合、商工会議所、商工会その他の事業者を直接又は間接の構成員とする団体は、仮払金の支払の請求を行う者の便宜を図るため、当該請求を行うに当たって必要となる書類の作成等について、必要な援助を行うよう努めるものとする。

(資料の提供その他の協力等の求め)
第七条 主務大臣は、仮払金の支払を迅速かつ適正に行うため必要があると認めるときは、地方公共団体、当該原子力事業者その他公私の団体に対し、資料の提供その他必要な協力又は確認を求めることができる。

(事務の処理等)
第八条 仮払金の支払に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
2 前項の政令を定めるに当たっては、都道府県知事に過重な負担を課することのないよう十分に配慮するものとする。
3 主務大臣又は第一項の規定により仮払金の支払に関する事務の一部を行う都道府県知事は、政令で定めるところにより、仮払金の支払に関する事務の一部(会計法(昭和二十二年法律第三十五号)に基づく支出の決定及び交付の事務を除く。)を、その事務を行うのにふさわしい者として政令で定める者に委託することができる。
4 主務大臣又は第一項の規定により仮払金の支払に関する事務の一部を行う都道府県知事は、前項に規定する政令で定める者に対し、仮払金の支払に必要となる資金を交付することができる。
5 前項の規定により資金の交付を受けた者は、会計法第十七条の規定により資金の交付を受けた職員とみなし、同法、予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)その他関係法令の適用を受けるものとする。この場合において、必要な読替えは、政令で定める。
6 農業協同組合、漁業協同組合その他の政令で定める団体は、他の法律の規定にかかわらず、第三項の規定による事務の委託を受け、当該事務を行うことができる。
7 第三項の規定による事務の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
8 都道府県知事が第一項の規定により仮払金の支払に関する事務の一部を行い、又は第三項の規定によりその委託を行う場合においては、国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、当該事務の処理及び委託に要する費用の全部を負担する。
9 前項に規定する場合においては、国は、同項に定めるもののほか、当該都道府県に対し、その円滑な実施を図るために必要な支援その他の措置を講ずるものとする。
10 関係行政機関の長は、仮払金の支払に関し、主務大臣、第一項の規定により仮払金の支払に関する事務の一部を行う都道府県知事又は第三項の規定による事務の委託を受けた者に協力するものとする。

(損害賠償との関係)
第九条 第三条第一項に規定する特定原子力損害を受けた者又は第五条第二項の規定により自己の名で仮払金の支払を請求することができる者が当該特定原子力損害の賠償(これに相当する金銭の支払として政令で定めるものを含む。)を受けたときは、その価額の限度において、仮払金を支払わない。
2 国は、仮払金を支払ったときは、その額の限度において、当該仮払金の支払を受けた者が有する特定原子力損害の賠償請求権を取得する。
3 前項の場合において、国は、速やかに当該損害賠償請求権を行使するものとする。
(仮払金の返還)
第十条 仮払金の支払を受けた者は、その者に係る特定原子力損害の賠償の額が確定した場合において、その額が仮払金の額に満たないときは、その差額を返還しなければならない。

(不正利得の徴収)
第十一条 偽りその他不正の手段により仮払金の支払を受けた者があるときは、主務大臣は、国税徴収の例により、その者から、その支払を受けた仮払金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(仮払金の支払を受ける権利の保護)
第十二条 仮払金の支払を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(税制上の措置)
第十三条 国及び地方公共団体は、特定原子力損害を受けた者の置かれている状況に配慮し、その支払を受けた仮払金について必要な税制上の措置を講じなければならない。

(原子力被害応急対策基金)
第十四条 地方公共団体が、平成二十三年原子力事故による被害について原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)又は関係法令の規定に基づいて地方公共団体が行う応急の対策に関する事業及び特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第八十五条第四項の財政上の措置の対象となり得る地方公共団体の事業(その区域内の経済社会若しくは住民の生活への平成二十三年原子力事故による影響の防止若しくは緩和又はその影響からの回復を図るために行う応急の対策に関する事業に限る。)に要する経費の全部又は一部を支弁するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十一条の基金として、原子力被害応急対策基金を設ける場合には、国は、予算の範囲内において、その財源に充てるために必要な資金の全部又は一部を当該地方公共団体に対して補助することができる。
2 前項の規定は、地方公共団体がその経費を原子力被害応急対策基金から支弁して特定原子力損害に係る措置を講じた場合において、国が当該原子力事業者に対して、同項の規定により補助した額に相当する額の限度において求償することを妨げるものではない。
3 国は、第一項の規定の運用に当たっては、関係地方公共団体の意見に配慮するものとする。

(主務大臣)
第十五条 この法律における主務大臣は、文部科学大臣及び特定原子力損害を受けた事業者の事業を所管する大臣その他の政令で定める大臣とする。

(政令への委任)
第十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

(罰則)
第十七条 第八条第七項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。


附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して四十五日を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(適用)
2 第三条第一項の規定は、同項に規定する特定原子力損害を受けた者であってこの法律の施行前に死亡し、又は合併若しくは分割の対象となったものについても適用する。

(財源の確保)
3 国は、仮払金の支払及び原子力被害応急対策基金を設ける地方公共団体に対する補助に要する費用の財源の確保に資するため、国の資産、剰余金及び積立金の活用、歳出の見直しその他の措置に努めるものとする。

(検討)
4 国は、この法律の施行後おおむね二年以内に、平成二十三年原子力事故に係る原子力事業者による損害賠償の支払の状況、この法律の施行の状況等を踏まえ、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

5 原子力損害の賠償に関する制度については、原子力損害を受けた者の早期の救済に資するものとなるよう、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。


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http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/177/pdf/t071770091770.pdf
第一七七回
参第九号

平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案

(趣旨)
第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電施設の事故(以下「平成二十三年原子力事故」という。)による災害が大規模かつ長期間にわたる未曽有のものであり、これによる被害を受けた者を早期に救済する必要があること、これらの者に対する特定原子力損害の賠償の支払に時間を要すること等の特別の事情があることに鑑み、当該被害に係る対策に関し国が果たすべき役割を踏まえ、当該被害に係る応急の対策に関する緊急の措置として、平成二十三年原子力事故による損害を迅速に填補するための国による仮払金の支払及び原子力被害応急対策基金を設ける地方公共団体に対する補助に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)
第二条 この法律において「特定原子力損害」とは、平成二十三年原子力事故による損害であって原子力事業者(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第二条第三項に規定する原子力事業者をいう。以下同じ。)が同法第三条第一項の規定により賠償の責めに任ずべきものをいう。

(仮払金の支払)
第三条 国は、この法律の定めるところにより、特定原子力損害であって政令で定めるものを受けた者に対し、当該特定原子力損害を填補するためのものとして、仮払金を支払う。

(仮払金の額)
第四条 仮払金の額は、その者が受けた前条に規定する特定原子力損害につき、当該者が提出した政令で定める資料に基づき、政令で定める簡易な方法により算定した当該特定原子力損害の概算額に十分の五を下らない政令で定める割合を乗じて得た額とする。ただし、当該者が当該資料を提出することが困難であると認められるときは、政令で定めるところにより、当該者が居住する地域又は事業を営む地域、当該特定原子力損害の種類等の事情に基づいて推計した当該特定原子力損害の額に当該割合を乗じて得た額とする。
2 前条及び前項の政令は、原子力損害賠償紛争審査会が定める特定原子力損害の賠償に係る原子力損害の賠償に関する法律第十八条第二項第二号の指針に定められた事項に基づき、かつ、特定原子力損害を受けた者の早期の救済に資するものとなるように定めるものとする。

(仮払金の支払の請求)
第五条 仮払金の支払を受けようとする者は、政令で定めるところにより、文部科学大臣にこれを請求しなければならない。
2 仮払金の支払を受ける権利を有する者について相続、合併又は分割(その者が受けた第三条に規定する特定原子力損害に係る事業を承継させるものに限る。)があった場合において、その者が死亡、解散又は分割の前に仮払金の支払を請求していなかったときは、その者の相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該事業を承継した法人は、自己の名で、その者の仮払金の支払を請求することができる。
3 前項の規定により仮払金の支払を受けることができる同順位の相続人が二人以上あるときは、その一人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支払は、全員に対してしたものとみなす。

(書類の作成等についての援助)
第六条 地方公共団体及び農業協同組合、漁業協同組合、商工会議所、商工会その他の事業者を直接又は間接の構成員とする団体は、仮払金の支払の請求を行う者の便宜を図るため、当該請求を行うに当たって必要となる書類の作成等について、必要な援助を行うよう努めるものとする。

(資料の提供その他の協力の求め)
第七条 文部科学大臣は、仮払金の支払を迅速に行うため必要があると認めるときは、地方公共団体、当該原子力事業者その他公私の団体に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

(事務の処理等)
第八条 仮払金の支払に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
2 文部科学大臣又は前項の規定により仮払金の支払に関する事務の一部を行う都道府県知事は、政令で定めるところにより、仮払金の支払に関する事務の一部(支払の決定を除く。)を、その事務を行うのにふさわしい者として政令で定める者に委託することができる。
3 農業協同組合、漁業協同組合その他の政令で定める団体は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による事務の委託を受け、当該事務を行うことができる。
4 第二項の規定による事務の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
5 都道府県知事が第一項の規定により仮払金の支払に関する事務の一部を行い、又は第二項の規定によりその委託を行う場合においては、国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、当該事務の処理及び委託に要する費用の全部を負担する。
6 前項に規定する場合においては、国は、同項に定めるもののほか、当該都道府県に対し、その円滑な実施を図るために必要な支援その他の措置を講ずるものとする。
7 関係行政機関の長は、仮払金の支払に関し、文部科学大臣、第一項の規定により仮払
金の支払に関する事務の一部を行う都道府県知事又は第二項の規定による事務の委託を受けた者に協力するものとする。

(損害賠償との関係)
第九条 第三条に規定する特定原子力損害を受けた者又は第五条第二項の規定により自己の名で仮払金の支払を請求することができる者が当該特定原子力損害の賠償(これに相当する金銭の支払として政令で定めるものを含む。)を受けたときは、その価額の限度において、仮払金を支払わない。
2 国は、仮払金を支払ったときは、その額の限度において、当該仮払金の支払を受けた者が有する特定原子力損害の賠償請求権を取得する。
3 前項の場合において、国は、速やかに当該損害賠償請求権を行使するものとする。

(仮払金の返還)
第十条 仮払金の支払を受けた者は、その者に係る特定原子力損害の賠償の額が確定した場合において、その額が仮払金の額に満たないときは、その差額を返還しなければならない。

(不正利得の徴収)
第十一条 偽りその他不正の手段により仮払金の支払を受けた者があるときは、文部科学大臣は、国税徴収の例により、その者から、その支払を受けた仮払金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(仮払金の支払を受ける権利の保護)
第十二条 仮払金の支払を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(税制上の措置)
第十三条 国及び地方公共団体は、特定原子力損害を受けた者の置かれている状況に配慮し、その支払を受けた仮払金について必要な税制上の措置を講じなければならない。

(原子力被害応急対策基金)
第十四条 地方公共団体が、平成二十三年原子力事故による被害について原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)又は関係法令の規定に基づいて地方公共団体が行う応急の対策に関する事業及び特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第八十五条第四項の財政上の措置の対象となり得る地方公共団体の事業(その区域内の経済社会若しくは住民の生活への平成二十三年原子力事故による影響の防止若しくは緩和又はその影響からの回復を図るために行う応急の対策に関する事業に限る。)に要する経費の全部又は一部を支弁するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十一条の基金として、原子力被害応急対策基金を設ける場合には、国は、予算の範囲内において、その財源に充てるために必要な資金の全部又は一部を当該地方公共団体に対して補助することができる。
2 前項の規定は、地方公共団体がその経費を原子力被害応急対策基金から支弁して特定原子力損害に係る措置を講じた場合において、国が当該原子力事業者に対して、同項の規定により補助した額に相当する額の限度において求償することを妨げるものではない。
3 国は、第一項の規定の運用に当たっては、関係地方公共団体の意見に配慮するものとする。

(政令への委任)
第十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

(罰則)
第十六条 第八条第四項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。
(適用)
2 第三条の規定は、同条に規定する特定原子力損害を受けた者であってこの法律の施行前に死亡し、又は合併若しくは分割の対象となったものについても適用する。
(財源の確保)
3 国は、仮払金の支払及び原子力被害応急対策基金を設ける地方公共団体に対する補助に要する費用の財源の確保に資するため、国の資産、剰余金及び積立金の活用、歳出の見直しその他の措置に努めるものとする。
(検討)
4 原子力損害の賠償に関する制度については、原子力損害を受けた者の早期の救済に資するものとなるよう、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。



理 由
 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電施設の事故による災害が大規模かつ長期間にわたる未曽有のものであり、これによる被害を受けた者を早期に救済する必要があること、これらの者に対する特定原子力損害の賠償の支払に時間を要すること等の特別の事情があることに鑑み、当該被害に係る対策に関し国が果たすべき役割を踏まえ、当該被害に係る応急の対策に関する緊急の措置として、当該事故による損害を迅速に填補するための国による仮払金の支払及び原子力被害応急対策基金を設ける地方公共団体に対する補助に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

この法律の施行に伴い必要となる経費
 この法律の施行に伴い必要となる経費としては、仮払金の支払に要する費用として現時点で見込まれるもの及び原子力被害応急対策基金を設ける地方公共団体に対する補助に要する費用として、約五千億円の見込みである。


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2011-07-15 : ■16条「必要な援助」国の措置 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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■16条「必要な援助」国の措置 その8 事故処理費が莫大な場合

■16条「必要な援助」国の措置 その8 事故処理費が莫大な場合

 原賠機構法案と全く関係なく、その数字もごく大雑把に、考えてみると。


http://www.asahi.com/national/update/0709/TKY201107090574.html
この記事から、楽観的に考えて、たとえば10年で処理終了と仮定。
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asahi.com
福島第一廃炉まで数十年 東電の中長期工程案  2011年7月10日4時59分

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東電と原子炉メーカーが検討している廃炉に向けた中長期的な工程表案が明らかになった。早くて3年後に使用済み燃料プールから燃料の取り出しを始め、10年後をめどに原子炉内の燃料を取り出し始める。原子炉を解体して撤去する廃炉まで、全体で数十年かかるとしている。

 朝日新聞が入手した資料によると、福島第一原発1~4号機の使用済み燃料プールに保管されている3108体の燃料を、十分に冷やした後、3年後の2014年度初頭をめどに取り出しを始める。取り出した燃料は敷地内の共用プールに移すことを検討する。共用プールの改造のほか、燃料の輸送容器の製造などが必要になる。
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http://www.asahi.com/special/10005/TKY201105310473.html
廃炉費用について、スリーマイル事故で約6兆円、チェルノブイリ事故で約20兆円とのこと。ただしチェルノブイリは今も処理終わらず。
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asahi.com
原発事故処理に5.7兆~20兆円 民間研究機関が推計2011年5月31日19時44分

 民間シンクタンクの日本経済研究センター(東京都)の岩田一政理事長は31日、東京電力の福島第一原子力発電所の事故処理費用について、農漁業の補償を除いた最も楽観的なケースでも10年間で5.7兆円、条件によって20兆円以上になるとの推計を、内閣府の原子力委員会で報告した。

 土壌汚染の処理費が不明なため、福島第一原発から半径20キロ圏内の土地を一律で東電や国が買い上げるとの極端な条件で計算した。

 この場合、土地の買い上げ費用が公示地価から4兆3千億円、立ち退きを強いられる人への所得補償は平均所得から6300億円と計算。

 さらに、原発の廃炉費用は、米スリーマイル島原発事故を参考にすると10年で6兆円弱、旧ソ連チェルノブイリ原発事故を参考にすると約20兆円かかる計算になるという。汚染水や土壌の処理費、農漁業への補償は含んでいない

 こうした処理の財源として、10年で約12兆円の資金が確保できれば「当面は心配いらない」としている。財源候補に、青森県六ケ所村の使用済み燃料再処理工場の来年予定の操業を凍結、費用の一部6兆円を転用することなどを挙げた。(小堀龍之)
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〔利害関係者の優先順位〕

1 抵当権など特定財産上に別除権ある債権

2 財団債権(破産法148条)→●廃炉費用等の事故処理費用
 租税のうち納期未到来や納期限から1年を経過していないもの、破産開始決定前の3か月間の未払給料、退職前3か月分の退職金など

3 優先的破産債権(破産法98条、一般の先取特権その他優先権ある債権) 租税のうち納期限から1年を経過したもの、財団債権となるもの以外の労働債権、●金融機関の保有する一般担保付社債など

4 一般の破産債権→●損害賠償請求権

5 劣後的破産債権(破産法99条)
 破産手続開始後の利息など

6 株主



〔前提〕ごくおおざっぱに仮定して

東電を大雑把に、
http://www.youtube.com/watch?v=2y3AFxwl2ec
純資産 2.6兆円
総資産 13兆円
年間売上 5兆円
純利益 2000億円程度?
純利益×10年で、2兆円
とする。

総資産と10年間の純利益合計で、13兆円+2兆円で、15兆円

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110503/plc11050323450017-n1.htm
この記事から、原発賠償総合計を4兆円と仮定


〔破綻処理すると〕

ごく大雑把に考えて、現時点で破産して、10年間、管財業務があるとして、

・当然株価は0として、

事故処理費(事故収束、廃炉費用等の、損害賠償以外の費用)

A 処理費5兆円で済んだら   10兆円浮く→配当財源となりうる
B 処理費10兆円で済んだら   5兆円浮く→配当財源となりうる
C 処理費15兆円なら       配当財源無し
D 処理費20兆円なら    配当財源が一切無い上に、マイナス5兆円の処理費となり、ここは最終的に国が負担するしかない


・税金・労働債権・利息・その他の管財処理費等を全部考えないとして、

Aなら社債権者が満額5兆回収して、残り5兆円一般の破産債権者(事故被害者含む)が回収。事故被害者の賠償として足りない分があれば、原賠法16条との関係で、被害者への国からの補償は考えられる。

Bなら社債権者が5兆円回収しておわり。一般の破産債権者(事故被害者含む)は、回収できず。原発事故の賠償も東電からは0、ただし、原賠法16条との関係で、被害者への国からの補償は考えられる。

C、Dなら社債権者も他の破産債権者も全て回収不可。原発事故の賠償も東電からは0、ただし、原賠法16条との関係で、被害者への国からの補償は考えられる。

----------------------------
つまり

・結局破綻処理すると、国の負担は

Aなら、0
Bなら、原発賠償分の4兆円
Cなら、原発賠償分の4兆円
Dなら、原発賠償分の4兆円+処理費不足分5兆円=9兆円

・一般担保付社債権者の回収額は、

Aなら、満額5兆円
Bなら、満額5兆円
Cなら、0
Dなら、0

・他の債権者の回収額は、

Aなら、5兆円を案分
Bなら、0
Cなら、0
Dなら、0
※ただし、どの場合でも、原発事故被害者は、原賠法16条の存在から、国によって補償される余地あり。



-----------------------------
〔破綻処理しないと〕


賠償と処理費を除いて、上と同様に、東電の利益

年2000億円程度?

賠償金4兆円÷10年で、毎年4000億円

処理費÷10年=、
A 5000億円
B 1兆円
C 1兆5000億円
D 2兆円

社債その他債権者への返済、年間5000億円? 仮定


Aなら、年間2000億-4000億-5000億-5000億=1兆2000億円赤
10年後にマイナス12兆として、総資産13-12=1兆。

Bなら、年間2000億-4000億-1兆-5000億=1兆7000億円赤
10年後にマイナス17兆として、総資産13-17=-4兆(足りない分は国が金を入れたとして)

Cなら、年間2000億-4000億-1兆5000億-5000億=2兆2000億円赤
10年後にマイナス22兆として、総資産13-22=-9兆(足りない分は国が金を入れたとして)

Dなら、年間2000億-4000億-2兆-5000億=2兆7000億円赤
10年後にマイナス27兆として、総資産13-27=-14兆(足りない分は国が金を入れたとして)

-----------------------
つまり

・破綻処理しない場合、国の負担は

Aなら、0
Bなら、東電に入れた分の4兆円
Cなら、東電に入れた分の9兆円
Dなら、東電に入れた分の14兆円

・一般担保付社債権者の回収額は、

AからDまで、満額

・他の債権者の回収額は、

国が金を入れると考えた場合は、AからDまで、満額

・原発事故被害者は、

当然にAからDまで、東電から満額


------------------------------
〔結論〕
 極めて大雑把な計算で、予測すると

 原発事故被害者は、破綻、存続、どちらでも、東電又は国から満額回収できるとして、

 たぶん、事故収束、廃炉等の事故処理費の金額(5~20兆)と、社債残額(増えないとして5兆)の合計が、東電の総資産(13兆)と処理終了までの純利益の合計額(2兆?)を上回ったあたり、


 簡単にいうと、事故処理費と一般担保付き社債の合計が、東電の総資産と全利益を全部食いつぶすような場合は、もともと原発事故被害者へ回る分の余裕は、はじめから一切ないのだから、さっさと破産させて、処理した方が最終的には国の負担は少なくなる。


 上記の計算だと、事故処理費が10兆超えるようなら、すぐにでも破綻処理した方が国は得ということ。



 なぜこんなことになるかというと、

 そもそも債権の優先度は、

 事故処理費(財団債権) > 一般担保付社債 > 損害賠償請求権

だからである。


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 事故処理費が莫大なものになる可能性が出てくると、あながち枝野氏の直感も大きくはずれていたとは言えなくなる。



事故処理費と16条との関係はこちらで述べた。
http://genbaihou.blog59.fc2.com/blog-entry-116.html

 今から半世紀以上前の立法過程の議論を見ても、損害賠償額が巨額になって、それをどうするかという議論はあるが、事故処理費用等のいわば原子力事業者の自損分の金額が巨大になって、それをどうするという議論は見られず、不備としかいいようがない。



 
2011-07-12 : ■16条「必要な援助」国の措置 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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■16条「必要な援助」国の措置 その4 原賠法では東電自壊は止められない?

■16条「必要な援助」国の措置 その4 原賠法では東電自壊は止められない?

 事故後の経緯を見ていると,どうも事後処理費用等の「原子力損害」以外の負担が,莫大になりそうなので,考えてみる。 

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原賠法第16条
1 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。
--------------------

この16条については,以前にも触れたが,衆議院国会審議(昭和35年5月18日)において,政府委員が,

「原子力事業者が、第十六条の規定の場合に、破産してもかまわぬのかということでありますが、決してさようなことは考えておりません。つまり、第三章の損害賠償措置において、賠償措置が十分できない、その額をこえた場合において、原子力事業者に対して必要な援助を行なう援助の内容というものは、補助もあるし、貸付もあるし、融資もありますし、つまり、国の力を相当加えて、被害者に対しての援助を十分いたしますという意味でありますから、逆に言えば、原子力事業者を破産に追い込むまで、原子力事業者だけで被害者の損害を埋めろという意味を持っていない」

と述べているように,原賠法は,3条1項本文が無限責任であることを前提にしながら,その責任は原子力事業者に破産まで強いるものでなく,必要な場合には,16条で国が「必要な援助」を行うとしているものである。

 ただし,これは「原子力損害」の賠償に関するものであり,東電の財務一般を救済するものではない。原賠法は,被害者保護と原子力事業の健全な発達(1条)を目的とするが,あくまで原子力損害の賠償に関する法律であり,原子力事業者の救済法ではない。

〔原子力損害の賠償義務以外で東電の負担となるもの〕
①原発施設の損壊等で東電自ら受けた損害(2条2項但書で,「原子力損害」にあたらず。東電が原子力財産保険に入っている場合は一定額の損害填補の可能性があるが,震災津波等に起因する場合は保険会社は免責されるのではないか。)
②他の発電施設の停止による損害や検査,安全確保に要する追加費用
③福島第一の今後の廃炉等の処理費用
④土壌等に関する除染費用(これについては,「原子力損害」とされる可能性もあるが,被害者からの物権的請求権としての除染請求の場合は,原賠法に基づくものではなく,その費用は「原子力損害」の問題とはならない?。また,もそもそ請求がなくても法律で除染等は義務づけられているとも言えるので,そういう意味では,原子力事業者は,自らの費用でそれをなすのが原則であろう。〔原子炉等規制法64条,核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則6条,原子力災害対策特別措置法26条〕)
⑤この震災で受けたその他損害等

 東電が今回の事故で,上のような原子力損害の賠償以外の財産滅失,支出,負担などにより,そのことだけで債務超過に至るような場合は,電気料金の値上げというもの限度はあろうし,いくら原賠法の趣旨として原子力事業の健全な発達があるとしても,原子力損害の賠償義務負担以外のものまで,16条で「援助」することはあり得ないし,これだけで首が回らなくなる場合は,破綻は避けられないのではないか。
 そもそも16条は,原子力損害の賠償義務(3条1項本文)が無限責任であることを前提に,その額が大きすぎて,原子力事業者が支払えなくなる場合に,国が援助するものであり,その「支払えなくなる場合」の程度としては,「破産」までは要求しないというものであり,あくまで被害者に対する原子力損害の賠償に関して,国が助け船を出すというものであって,それ以外の事業者が自ら負った負担まで,16条で国が「援助」することは本来法が予定していないものであろう。
 つまり「原子力損害」の賠償義務が0だと仮定しても,他の要因による財務状態の悪化で破綻するような場合は,それは原賠法ではカバーされる問題ではなくなって,そのような原子力事業者は,原則として法的整理の対象となるのではなかろうか。

 これは結局,東電の財務状況と,上の①~⑤までの今後の費用がどのくらい膨大なものになるのかにかかってくるだろうから,いくら賠償スキームを作成しても,福島第一等の今後の事情によっては,破綻に至るかもしれないし,政治的に救済することにして,原賠法を超えて,どんどん税金をつぎ込んで生かすことになるのかも知れない。

 いずれにしても,法の目的が東電存続に直結するものではないし,原賠法16条は,原子力損害の賠償に関するものであって,それ以外の損失で,東電が自壊していくのを止めることは,少なくともこの法律によってはできないはずである。



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2011-06-08 : ■16条「必要な援助」国の措置 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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■16条「必要な援助」国の措置 その1 東電はつぶれるのか?

■16条「必要な援助」国の措置 その1 東電はつぶれるのか?

 ネットを見ていると、3条1項但書の免責規定の適用が無かったとすると、東電は巨額損害を無制限に賠償しなければならいので倒産は避けられないとする見解や、原子力損害賠償責任保険(8条,1200億円)と原子力損害賠償補償契約(10条、1200億円)を越える部分は、当然に16条の国の必要な援助(16条)で救済されるので倒産しないなど、いくつかの意見がある。

 そこで、16条の「必要な援助」について検討する。
 
 まず、民間保険(日本原子力保険プール)については、地震・噴火・津波に起因する損害の場合、保険会社の免責の余地があるので、今回はこれによる賠償は無いかもしれない。(なお、100%人災のJCOの臨界事故のときは、賠償額約150億円のうち10億円について、原子力保険プールから保険金が払われたとのことである。ご指摘の件
 この場合、まず原子力損害賠償補償契約(10条)に基づき、1200億円の損害までは、政府の補償によって填補される。なお、この1200億円は、1事業所ごとの金額であるから、福島第一原発の原子炉が複数破損した場合でも変わらない。
 そして損害額が、この1200億円を超えた場合に、16条の規定の適用が問題となってくる。16条は文言は以下のとおりである。

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第16条
1 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。
--------------------

 このような16条では「法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なう」とあるだけで、具体的にどういうときに、いかなる種類の援助をなすのか不明確な上に、「行う」とあるだけで政府の義務として規定されているわけでもない。このため種々の解釈が可能である。
 ます、立法課程をみると、当初は、賠償措置額を超えるものについては、当然に国の補償が前提とされていたようである。つまり、原賠法制定前には、3条の賠償責任は、原子力事業者の限定責任(賠償額の上限がある責任)として、規定される可能性があったものと思われる。それは、無限責任を負わせると、原発に手を出す事業者が出てこなくなって、原子力事業の推進ができないからというものであろう。
 原子力災害補償専門部会の答申(昭和34年12月)と原子力委員会内定「原子力災害補償制度の確立について」(昭和35年3月)では、以下のとおりの記述がある。

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原子力災害補償専門部会の答申(昭和34年12月)
「第3に、損害賠償措置によってカバーしえない損害を生じた場合には国家補償をなすべきである。損害賠償措置はそれによって確保される金額に限度があるだけでなく、現実の問題としては、種々の理由によって賠償義務の履行の確保として不十分な場合を生ずることを否定することができないが、かような場合には政府が補償を行ない、被害者の保護に欠けるところがないようにしなければならない。」
「第3は、損害賠償措置をこえる損害が生じたときにその超過額について国家補償を行なう場合である。この場合には、損害の発生について原子力事業者に故意または重大な過失があるときにのみ、政府は求償権を有するものとする。」
「国家補償については、原子力事業者に政令で定める基準により補償料を納付せしめる。その額については、原子力事故とりわけ損害賠償措置の額をこえるごとき損害を生ぜしめるような大事故の生ずるおそれがきわめて少ないことを考慮した上で、政府は、原子力産業の発展に関するその政策的立場から妥当な基準を定めるべきである」

原子力委員会内定「原子力災害補償制度の確立について」(昭和35年3月)
「(2)責任の限度
 原子力事業者の責任の限度額は、損害賠償措置の金額と国家補償額との合計額とする。」
「(2)損害賠償措置の金額を超える原子力損害が発生した場合においては、政府は原子力事業者に対し、財政事情の許す範囲内において、その超える部分の金額を交付し、第三者に対し賠償せしめる。」
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 このあと原子力事業者の限定責任論は、後退し、基本的に無限責任を前提として、国会で以下のような議論がさなれた。


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衆議院国会審議(昭和35年5月18日)
「○前田(正)委員 
 ただ、ここで一つお聞きしておきたいと思いますのは、原子力事業者が、なるほど保険でカバーできるものはもちろんでありますが、保険でカバーできないものに対しても、自分の許す範囲のことはやるべきであると思うのであります。しかし、原子力事業者は、それじゃ破産をするまで全部の負担をしていかなければ、政府は必要な援助をしないのか、こういうことが一つ問題でありまして、原子力事業者というものは、もし破産するまですべて責任を負わなければならぬのだということになってくると、事実上原子力事業者に対しましての原子炉の売買契約というものが、なかなか成立しにくいという問題が出てくるのではないか。だから、当然保険とか、あるいは国家補償ということでやることはやらなければならないし、また、原子力事業者自身も、自分でできる範囲のことはやらなければならぬと思いますが、突き詰めて、破産するまでやらなければ政府が必要な援助をしない、こういうことではないと思う。それでは、この第一条の目的の「原子力事業の健全な発達に資する」ということにはならないと私は思うのでありますが、これはどういうふうに解釈いたしますか、お伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 その点は、御趣旨の通りでありまして、第一条の「原子力事業の健全な発達」ということもこの法案の目的でございますから、原子力小業が健全に発達できないような措置は含まれないと解釈しております。たとえば、発電会社のような場合には、電気料金というものは、公益事業で統制されて、政府の認可を要するわけであります。電気事業者が勝手に上げるというわけには参らないものであります。そういう面からしましても、発電会社等の経営というものは、一定の限度があり、また、公共性があると思うのであります。そういう上から統制を受けておるものについて、会社が壊滅的打撃を受けて原子力事業が発達できないような措置を、この第十六条において期待しているものではないのであります。やはり国が料金を統制している以上は、ある程度原子力事業あるいは発電事業というものの健全な発注、あるいは大衆に迷惑がかからないようにするということも考慮の中に含まれているものでありまして、御趣旨の通りであるとわれわれは考えております。
○奧村(又)政府委員 これはむずかしいお尋ねでありまして、この法律では、損害が起こった場合に被害者の保護をはかり、それから原子力事業の健全な発達に資するという趣旨でありまして、被害者の保護という規定については、民間における損害に対する保険と、それから、それを補完する意味の政府の補償措置と、それでも足りない場合の第十六条の国の措置というものでありまして、それ以上に国としても、また、財政上の立場もありまして、何かはかに具体的にせよというお尋ねでありましょうが、私は、これで一応被害者と原子力事業者を守る規定は完備しておると思います。
○前田(正)委員 そういう意味じゃなしに、今、大臣から御答弁がありました通り、国が必要な援助を行なうというときには、原子力事業者というものは、保険とか政府の補償とか、あるいは自分で負担できる範囲のものは負担して、それでも足りないところは政府の必要な援助を受けるわけでありますけれども、しかし、原子力事業者が事業として成り立たない、破産をする程度までやらなければ、国は補償しないということではこの法律の目的を達しないから、やはり原子力事業の健全な発展に資するという程度において、国が必要な十六条の援助をする、こういうことでどうか。それは、今、大臣もその通りであるというような御答弁であったのですが、政務次官はどう考えるかということをお聞かせ願いたい。
○奧村(又)政府委員 先ほどの私の答弁は、少し言葉が足りませんでしたので、つけ加えて申し上げますと、原子力事業者が、第十六条の規定の場合に、破産してもかまわぬのかということでありますが、決してさようなことは考えておりません。つまり、第三章の損害賠償措置において、賠償措置が十分できない、その額をこえた場合において、原子力事業者に対して必要な援助を行なう援助の内容というものは、補助もあるし、貸付もあるし、融資もありますし、つまり、国の力を相当加えて、被害者に対しての援助を十分いたしますという意味でありますから、逆に言えば、原子力事業者を破産に追い込むまで、原子力事業者だけで被害者の損害を埋めろという意味を持っていない、こういう意味で、中曽根大臣の御答弁と同一でありますから、御了承願いたいと思います。」
-------------------------------

 この政府答弁では、要するに、原子力事業者の損害賠償責任は限定責任ではなく、無限責任であることを前提として、ただし、16条の「必要な援助」は、原子力事業者が全財産を支払った後に、それで足りなかった場合にみ、政府による援助ができる趣旨の規定ではないものとされている。また、その方法も、補助・貸付・融資等あり、国の力を相当加えて、被害者に対して賠償を確保する趣旨とされている。
 結局、原子力事業者を破産に追い込むということはしないにしろ、いついかなる条件のもとに、いかなる援助がなされるかは、内閣と国会の判断に、ゆだねられるとしか言いようがない。賠償措置額を超えるという異常な事態での処理スキームについては、今、しかるべき所で考えられているはずであるが、「被害者の保護」と「原子力事業の健全な発達」のためという法の趣旨に合致するいかなる処置も可能性としてはありうるはずで、東電がいきなり破産はしないまでも、東電がやっていた事業が、資本的に別の経営主体に引き継がれる可能性や、そうでないとしても国が賠償・補償した部分については、破産せず事業継続する以上、将来的に国家に返済する義務は免れないはずで、そういう意味では、東電は、倒産はしないが、全額賠償は最終的には免れないといえるのではなかろうか。ただし、このあたりは、法の解釈適用というより、政治的決着がありうる。
 4月11日現在、いまだ原発事故は収束に向かっておらず、損害が拡大を続けているのであり、JCO事故の100倍の損害とすると、1兆5千億円だろうし、それ以下かもしれないし、その何倍も拡大するかもしれないので、それらがある程度明確になってこないかぎり、処理スキームも確定しようがないはずである。今はまだそこまでたどりついていないものと思われる。


 なお、昭和45年11月に、3条の賠償責任を、無限責任から限定責任に改正しようとする動きがあったが、結局は、無限責任のままでいくことになった。以下のとおりである。

--------------------------
原子力損害賠償制度検討専門部会答申(昭和45年11月30日)
「(ロ)このような状況にかんがみ、わが国においても、被害者の保護および原子力事業の健全な発達を図るという目的からみて、これら諸外国の例を参考として原子力事業者の損害賠償責任を一定の額で制限するとともに、民間の責任保険等の措置額をこえる原子力損害については、適正な補償料を徴収することを前提とする政府の損害賠償補償契約(以下「国家補償」という。)の拡大により措置することが望ましい方向であると考えられる。
 これに関して、現行賠償法の国の援助の規定は、万一損害賠償措置額をこえる原子力損害が発生した場合の被害者の保護のための措置としては、必ずしも十分ではなく、むしろ、一定の額まで国家補償を拡大することが、被害者の保護という点においてもより確実な措置といえるのではないかという意見、さらに原子力事業者に無過失の損害賠償責任を集中していることとの均衡から考えても無限の損害賠償責任を課しておくことは酷ではないかという意見が強く述べられた
 この場合、諸外国の例にもかんがみ、原子力事業者の損害賠償責任をたとえば400億円程度で制限し、これをこえる原子力損害について、原子力事業者を免責にするとともに、その額までは民間の責任保険等の措置額で不足する分について国家補償により対処しようとするものである。
(ハ)しかし、このような制度を今直ちに現行賠償法を改正して導入すべきか否かについては、次のような慎重論も強かった。
 すなわち、わが国は、地続きで国境を接する欧州諸国とは事情を異にしているので、諸外国の原子力損害賠償制度に合致させなければならない緊急性に乏しいとともに、すでに現行の原子力損害賠償制度のもとにおいて原子力発電所等の建設、運転が続々と進められており、現在までのところ責任制限および国家補償の拡大をしなければ被害者の保護に欠ける原子力事業の健全な発達を阻害するような事態は起っておらず、また近い将来においても必ずしも起こるものとは考えられない。反面、今日、原子力事業者の損害賠償責任を一定の額で制限することは、原子力に対する国民感情あるいは最近の社会情勢からみて必ずしも適当とはいえない。また、万一民間の責任保険等の措置額をこえる原子力損害が発生した場合には、被害者の保護を図り、原子力事業の健全な発達を阻害することのないよう原子力事業者に対する国の援助の規定を十分に活用して、援助措置を講ずることにより対処しうるものと考えられる

(ニ)上記の両意見についてさらに検討した結果、当面現行賠償法どおりとするが、原子力事業者の責任制限および国家補償の拡大については、将来の課題として検討すべき問題であると考える。」
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